わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

保育予算の流出、高井戸児童館、区民センター利用率など質問しました(決算特別委員会質疑)

 2018年10月15日の採決をもって決算特別委員会が終わりました。私は6会計の決算すべての認定に反対しました。下記は私の質疑の要旨です。
決算特別委員会の動画はこちらから見られます。
保育について(質疑1回目:10/3)
 私立認可保育園はそのほとんどが公費(国・都・区)で運営されています(区立保育園は国の補助金が出ません。政府の民間誘導=優遇政策です)。ところが、そのうちかなりの金額が運営法人の「他の事業」「他園の新築」経費や積立に回されていることがわかりました。東京都全体で18%の公費が流出や積み立てなどに回され、園の保育に使われていません(岩波新書『ルポ保育格差』小林美希著参照)。
 そこで、私は杉並区の状況を調査しました(東京都から情報開示)。私立認可37園合計で
・年度末の支払い資金残高が合計約10億円
・他区分(他園、他の事業=介護などへ)の支出が合計約6億円
と、総額のうち16%ほどが園の保育以外に使われていることがわかりました。
 他方、区立保育園の民営化1園あたりの経費削減は6000万円余り(区側答弁)ですので、15億円の流出は20園以上の民営化に相当します。杉並区は区立保育園の民営化を加速していますが、それより保育に使われずに「抜かれている」お金を取り戻せばいいわけです。
 つまり、民間企業を保育でもうけさせるために区立園がつぶされていっているわけですね。わかりやすいですね。
 人件費について補足しますと(委員会では質問していません)、公費(公定価格)のうち7割が人件費として計上されています。その部分が抜かれているわけです。ちなみに、上記調査で私立認可37園のうち、人件費(しかも園長なども含む)が7割以上という園は7園しかありません。
地域区民センターの利用率(質疑2回目:10/4)
 2014年度から区民施設利用料の大幅な値上げ&団体割引の廃止となりましたが、そのため区民センターの利用率が大幅に下がっています。この間に20ポイント以上利用率が下がった(70%→50%とか、50%→30%とか)コマ(部屋毎の時間帯)がなんと41%もあります。
また、今年度第一四半期実績で、利用率が5割未満のコマがなんと55%。うち2割未満のコマだけでも19%に及ぶのでした。半分以上の部屋が半分以上の時間帯空いているという状態。使いたい人がいないのじゃなくて、高くて使えない。区民センターという事業が完全に失敗していますね。
 ちなみに、あんさんぶる荻窪の最後の年度と、移行した先の「ウェルファーム」の現在の利用率は以下のようです。
<あんさんぶる> 
(午前)61.0(午後1)75.2(午後2)70.9(夜間)62.7%
<ウェルファーム(天沼集会所)>
(午前)11.0(午後1)14.8(午後2)13.8(夜間) 9.0%
 だから言ったでしょ、と言いたくなる結果。皆さんの意見を聞くと「駅から遠くて不便」「場所がわかりにくい」「あんさんぶるは駅から近くて便利だったのに」。天沼集会所は5部屋あるので、毎日1部屋入っていれば2割にはなるんですけどね。それすら使われてないんですね。実際、日曜日にウェルファームに行ったとき午前1部屋、午後1部屋しか入ってなかったですもん。日曜日ですよ。
男女平等センター(質疑2回目:10/4)
 これは、ある日、センターを訪れるとなんと真っ暗で入れなかったという事件を追及したものです。利用者の方が驚いて区役所に通報したそうです。委託事業者の職員が午前の勤務なのに午後と思い込んでいたという単純ミスなんですけど、公共施設ですよ。ありえないですね。区がいかに男女平等センターを軽視しているかよくわかります。委託契約書では、決められた日時までに業務を履行すること、契約通りに履行された分についてのみ委託料を支払うとはっきり書かれています。遅延損害金についても定めがあります。がしかし、「始末書を書かせたんで、ペナルティーとかは別に」みたいな答弁で。
 さらにひどいのは、前日までにこの質問を通告しているにもかかわらず、「契約書を読み上げて」というと課長が「事前の通告がなかったので用意していない」と平気で言ったことです。こんなぶざまな事件を質問されるとわかっていて契約書が手元にないとか、全く緊張感も反省もないですね。ていうか、それ以前に所管なんだから契約書は委員会室に持ってこようよ。
上井草保育園と保育園の土地代(質疑3回目:10/9)
 杉並区は区有地を貸して民間保育園を建てた場合、当初3年間土地代無料、かつそれ以降は通常の地代の3分の1という優遇をしています。向井公園や久我山東原公園に建てた保育園などが代表的です。
「こういう優遇をしている区はほかにあるんですか」
「ないのではないかと思います」
「区は保育にお金がかかると言っているんだから土地代とればいいんじゃないですか」
というやりとりをしました。企業に優しすぎです。
 区有地利用の民間保育園は現在16園。うち地代を払っているのは4園しかないそうです。
高井戸児童館・学童クラブ(質疑3回目:10/9)
 高井戸小学校はものすごく子どもが増えていて、今年は1年生が5クラス。来年は6クラスか!?と言われているそうです。当然学童クラブもパンパンなので、区民会議室を潰して学童クラブに使います、ということは聞いていました。
 ところが。保健福祉委員会にも報告のないまま学童クラブが「委託」になっていたんです。
 そこで質問したのですがポイントは
○児童館内で学童クラブをやるのに、分離できるのか。できないと「偽装請負」になる可能性が高い。
○他方むりやり分離すれば、これまでと違い学童の子たちが児童館を自由に使えなくなる。
という両方から見て、両立は無理なのじゃないかということです。具体的には、
・2階を学童クラブ専用とし、1階の児童館部分と分離。
・児童館内の階段を閉鎖し、直接の行き来ができなくする。
・2階の学童クラブから1階の児童館へ遊びにいくには別の階段からいったん外へ出て玄関から入り直さなくてはならない。
・しかも引率者が必要なので、子どもが勝手に行くわけには行かない。
・しかも、そこまでしても、結局1階で混ざってしまう(子どもも職員も)ので偽装請負の防止は困難。
 こんな無理な委託をなぜやるのでしょう。杉並区は事業の目的を完全に見失っています。委託で少々お金が浮くのかもしれないけど、そのために子どもの福祉が犠牲になっているわけです。委託の弊害がそのまま具現化したといえます。
小学校の警備(質疑4回目:10/11)
 これは、PTAの人から聞いたんですが、杉並区が小学校の校門に配置している民間のガードマンを節約のためシルバー人材センターに変えるという案があったそうです。ガードマンが殺されたりしているご時世に、高齢者に警備させるんですよ。しかも低賃金!
 さすがに教育委員会も思いとどまったそうですけど、経費削減のためらしく、こちらも事業の目的がわからなくなっている杉並区らしいです。
阿佐ヶ谷の開発(質疑4回目:10/11)
 阿佐ヶ谷はけやきのまちです。私は子ども時代、朝な夕な二階の窓から近所の教会の大きなけやきの木を見て育ちました。中杉通りやけやき屋敷はいうまでもありません。これは数字的にも実証されています。区内全体としてけやきが多いのですが、阿佐ヶ谷はとびぬけて多く樹木の3割くらいがけやきです。他方、阿佐ヶ谷は区内でも緑が少ない(高円寺に次ぐ)まちです。
 ちなみに、まちづくり「意見交換会」ではコンサルが「けやき屋敷といっても大して木はない」かのような説明をしましたが「杉並区みどりの実態調査報告書」ではけやき屋敷のほぼ全面が「樹木被覆地」と確認されています。
 今回のけやき屋敷の開発にあたっては、都条例(東京における自然の保護と回復に関する条例)により、自然環境調査をしなければならないということがわかりました。春、秋2回の調査が必要であり、調査結果に基づいて、樹木等の保全、移植、伐採等の計画、工事工程等を示した報告書を提出する義務があります。また「既存樹木等保護検討書」は保護樹林・保護樹木を対象とし、行為地内にそのまま残すことまたは行為地内での移植を検討すること、保存できない場合はその理由を述べる必要があるとされています。
 この調査をこれから杉並区が行うとのことですが、どのような結果になるのか、そもそもその結果が公表されるのか、追及していきたいと思っています。

杉並区は児童館を全部廃止します/阿佐ヶ谷再開発は豊洲と同じ(一般質問しました)

 2018年9月13日杉並区議会第三回定例会で一般質問しました。
◎児童館について
 このかん開かれた「施設再編整備計画第二次プラン」の説明会では多くの質問が児童館に集中しました。すべての児童館を廃止するという区の方針を初めて知ってショックを受けた人も多かったようです。
 6月の区長選挙に際して田中区長は「杉並区長 田中良〜児童館の枠を越えた取り組み〜」という動画を発信しています。それを見て驚きました。
 「児童館が全廃されるというデタラメを喧伝する人がいる」はもちろんウソっぱちですが、「中高生の利用を児童館から切り離さないと乳幼児の利用拡大ができない」「そのためには法律の縛りのある児童館という名称を外さなくてはいけない」(大意※)と聞いたことのない理屈が突然出現。しかも同じ動画で「中高生の利用はゼロか1〜2人」とも言っているのですから、え?じゃあ、利用を阻害はしてないのでは?です。ウソをついてるから発言が混乱するのです。
 部長さんたちの答弁は最近はやりの「ご飯論法」で「児童館の機能を移転するということを申し上げたもの」と答えになっていません。「乳幼児施設である子ども子育てプラザでも小中学生の利用はできる」と答えたのは区長の発言と矛盾しています。
※発言は「児童館という名称は法律に依拠していまして、その法律には、児童館とは高校生まで対象にしなければならないという定義がある」というもの。この発言は不正確で、児童福祉法自体の対象は18歳未満とされているものの、児童館の条項に特段の年齢の定義はない。「児童館ガイドライン」で児童館の対象を18歳未満とされている。
◎杉九・東原地域の再編について
 私のご近所の東原児童館が廃止される方針が突如発表されました。そればかりか、同じ地域の「杉九ゆうゆうハウス」(生涯学習振興室)、「ゆうゆう阿佐ヶ谷北館」と3つの施設がいっきに廃止される計画。この地域にウラミでもあるのか。
 しかも、学童クラブと放課後居場所事業をやるといっている杉九小は教室がいまパンパンの状態です。空き教室はありません。無理矢理ほかの事業をもってくれば学習環境の悪化につながります。
 杉九地域は、地域の方々が、子どものためにボランティアを地道に続けてきた地域。その拠点である児童館をなくすことはできません。
2.阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくりについて
◎河北病院の建て替えから始まった
 「阿佐ヶ谷駅北東地区を考える会」というナゾの団体。区役所は「民間の団体」といいながら、えらく優遇していて、この団体の言うことを受け入れてきています。その正体に迫りました。
豊洲新市場と同じ区画整理事業のあやしさ
 東京ガス土地区画整理事業の仕組みを利用して、(1)豊洲の汚染地と東京都所有の普通地を交換(2)汚染地を普通地として高く評価(3)汚染対策が不十分だったが東京都が請求を放棄、と何重にも利益を得ました。河北病院と杉一小の土地交換も同じ構図です。土地区画整理事業を使うと区民が知らないうちに一括で事業を進めることができてしまうのです。 
◎「意見交換会」について
 知らない間に6回もやっている意見交換会。計画予定地(杉一、けやき屋敷、河北病院と新進会商店街)の権利者と一皮(面している家)だけに配布しているため参加者が少ない。しかも、区とコンサルが一方的に説明をしているので参加者は「???」の状態。それなのに「反対意見がなければこれで」みたいな進め方です。大切な駅前、もっと議論が必要です。
◎情報公開
 放っておくと区が事業費を負担して河北病院と地主さんが儲かる構図になります。土地評価などもうわかっているはずなので、公開させなければなりません。
(以下は発言原稿です。実際の発言とは違うところがあります)
1.施設再編整備計画について
(1)児童館について
<「学校に行きたくなければ児童館へおいで」>
 一般質問をいたします。まず児童館について質問します。
 9月、新学期が始まるとき、子どもの自殺が最も多い時期といわれます。「学校に行きたくなければ図書館においで」「児童館においで」と公共施設もよびかけます。
 2015年、川崎や寝屋川で中学生が犠牲になる痛ましい事件が起きたとき、杉並区議会でも多くの議員から「子どもの居場所が必要」との発言がありました。そのとき私は議員の皆さんに対して、以下のように述べました。
「杉並では、42の児童館に中高生が自由に行くことができます。特に「ゆう杉並」と7つの地域児童館に組織されている中高生委員会では、中学生が高校生といっしょになって活発に活動しています。そして、この場を通じて、児童館の職員さんや地域のおとなとつながることで、杉並の中高生は守られてきました。杉並はいわばこの問題の先進地域なのです。(中略)問題は居場所がないことではなくて、目の前にあるのに、それを区がなくそうとしていることなのです。子どもの居場所を心配する皆さんは、児童館をなくさないように、という声をどうぞ上げてください。」
 ところが残念ながら、その後3つの児童館が廃止され、さらに今回、第二次プランで、杉並区は3年間でいっきに9館を廃止しようとしています。これは子どもをめぐる社会の要請に全く逆行しているとしか言いようがありません。
<選挙で「児童館廃止はデタラメ」と区長>
 そこでまず、区長の見解を質したいと思います。
6月に施行された区長選挙の際に区長の陣営が配信した動画は区長が児童館について述べたものでした。
 まず冒頭、区長は「児童館全廃というデタラメを喧伝している人がいる」と延べています。そこでうかがいますが、「児童館全廃」はデタラメというのは区の共通認識でしょうか(Q1−1−1)。それはこのかん「最終的には施設としての児童館はすべてなくなる」旨、説明会で回答してきていることとも矛盾します。幸いというかこの動画の閲覧数はさほど多くないのですが、このように、選挙の票めあてで、事実を政治的に歪曲するのは姑息で、廃止は廃止として堂々と主張していただきたいものです。
 次に、児童館の事業内容について。区長はこの動画で「児童館の主な事業は3つ」と述べています。しかしこれは間違いではありませんか。区の公式見解でしょうか。児童館の主な事業とはなにか、区長がわかっていないようでは困るので、今更ですが説明を求めます。(Q1−1−2)
<中高生の児童館利用は乳幼児のじゃま?>
 この動画で区長は、児童館の中高生の利用は極めて少ないが乳幼児の需要は強い、として次のように述べています。
「ニーズの少ない中学生や高校生の居場所というのは児童館から切り離して、他に考えていきたい。だから児童館という名称を消さないと、中学生・高校生を切り離すことができない。」
 驚きました。区が児童館を廃止するのはそういう理由なのでしょうか。(Q1−1−3)
 子ども子育てプラザ条例は18歳までの子どもを対象としており、小中学生の来館も拒まないと区は説明してきたのですが、区長の「切り離す」発言は、この方針とも矛盾しているのではありませんか。見解を求めます。(Q1−1−4)
<国は児童館を充実、活用へ。杉並区は逆行>
 さて国の動きは杉並区の動きとは反対に児童館の充実、活用に向かっています。
 国の社会保障審議会「放課後児童対策に関する専門委員会」は今年7月に発表した「総合的な放課後児童対策に向けて」(中間とりまとめ)で「大きく社会状況が変化している中で福祉、子どもの権利の観点から検討の必要がある」として、子どもの権利条約第31条の休息・余暇及びレクリエーション等についての規定にふれ、
・放課後児童クラブや放課後子ども教室と、児童館・社会教育施設等をはじめとした地域の様々な施設を有機的に連携させる
・児童館については、児童館ガイドラインにそって機能をより一層充実させていく
・高学年の待機児童の対策として児童館、社会教育施設等を活用して地域に多様な居場所を用意する
と児童館の充実と活用を打ち出しています。杉並区の児童館をすべて廃止するという方針はこれに逆行するものではありませんか。見解を求めます。(Q1−1−5)
<改正「児童館ガイドライン」では「子どものための館」>
 また、同じ社保審の「遊びのプログラム等に関する専門委員会」は「児童館ガイドライン」改正の最終案を発表しています。その中では新しく「施設特性」の項目を設け、「子どもが安心してくつろぐことができる」「子どもが困ったときや悩んだときに相談したり助けてもらえたりする職員がいる」などと定義されています。中でも第一に「拠点性」が挙げられ、「児童館は、地域における子どものための拠点(館)である」と定義されています。他の施設では代替できない児童館の特性です。
 そこで、このガイドライン改正の趣旨と概略、および、新設条項である「施設特性」について説明を求めます。杉並区の児童館廃止方針は、館がなくなっても機能を分散移転するからよい、とするものですが、これはこの新ガイドラインに掲げる「拠点性」に反するものと考えるがいかがか。見解を求めます。(Q1−1−6)
(2)杉九・東原地域の再編について
<東原児童館など3施設廃止の衝撃>
 次に、杉九・東原地域の施設再編についてうかがいます。
 第二次プランが発表され、私の地元の杉九小・東原中地域には衝撃が走りました。なぜ私たちの地域が突然ふってわいたようにターゲットにされたのかわかりませんが、それぞれ多くの大人や子どもが利用している東原児童館、ゆうゆう阿佐ヶ谷北館、杉九ゆうゆうハウスという3つの施設をいっぺんに奪われることに対し、地域の方々から懸念や疑問の声がわいています。
<学校には余裕教室がない>
 まず、学童クラブを杉九小に移転するということですが、杉九小には空き教室はなく、来年以降、教室が不足することは確実です。区の案では、もともと校舎の一部を転用した杉九ゆうゆうハウスを廃止し、学童クラブに再転用することになっています。ところが、現在の東原学童は面積にして約190平米、3教室分ありますが、ゆうゆうハウスは転用しても2教室分しかとれずスペースが不足します。現状では学童クラブを移転させるのは無理です。
 それだけでなく、児童館の代替事業として放課後等居場所事業を学校内で行うことになっていますが、さらに教室が削減されることになりますから、もちろんこのスペースもとることはできません。
 区は特別教室の転用で対応するといいますが、いま現在学校教育のために使っている教室を削減することは即、杉九小の教育環境の悪化となります。しかも、東原学童クラブは昨年数ヶ月児童館を閉鎖して定員拡大のため工事をしたばかりです。それなのにまた工事して学校内に移転とは、この無駄遣い、朝令暮改は何なのか。学校側からもご意見として「地域に丁寧に説明してほしい。子どものため、を第一として行ってほしい」とのお話があり、区の担当者も直接聞いておられました。学校教育にとっても学童クラブにとっても無理な計画を強行すべきでないと考えますが、区の見解はいかがか。伺います。(Q1−2−1)
<学童クラブは学校内だけでいいのか>
 また、地域の方々からは、仮に学校内に学童クラブを移すとしてもなお、学校外の学童クラブという選択肢は必要との声が聞かれます。児童館の学童クラブも存続させ選択肢の保障と定員拡大に対応すべきと考えるがいかがか。見解を求めます。(Q1−2−2)
<地域のボランティアは「お払い箱」?>
 次に、杉九小では放課後子ども教室「わくわくクラブ」が運営されてきました。しかし、放課後等居場所事業の導入でこの事業は終了することになります。地域のボランティアの皆さんが区の要請に応えて懸命に維持してこられた活動です。区が別の事業をやることにしたからと、一方的にお払い箱にしてしまうことは許されません。ボランティアの方々と地域の子どもたちはまちで会っても声をかけあう関係があり、こうした地域のネットワークが壊されてしまうことを危惧します。区はいったいどう考えているのか。所見を伺います。(Q1−2−3)
<杉九ゆうゆうハウスまで廃止される>
 学童クラブの移転のために廃止される杉九ゆうゆうハウスについても、地域からは懸念の声が多く上がっています。ゆうゆうハウスをご存じない方も多いかもしれません。杉九ゆうゆうハウスは、地域の方が登録して使える会議室と自習室から構成されています。地域団体とりわけ子どもにかかわるいくつものボランティア団体が、ゆうゆうハウスで会議をもって団体の活動を続けてきました。自習室では図書館以上に静穏な環境のなかで、定期試験や受験勉強に子どもたちががんばっています。地域に根付いた地域活動の拠点です。こんなに安易に廃止していいものでしょうか。そもそもゆうゆうハウス設置の目的は何だったのですか。説明を求めます。
<中央線の南側まで行けと?>
 また、今回の第二次プランでは、阿佐ヶ谷駅南口の産業商工会館へ、さらには荻窪駅南口の中央図書館へ「機能移転」と説明されていますが、区北部の区境に位置する私たちの地域から、わざわざ中央線を越えてそんなところまで子ども達が行くと思いますか。近所にあるから行くのです。「機能移転」など現実的ではありません。この地域を軽視しているとしか思えませんが、いかがか。見解を求めます(Q1−2−4)。「機能移転」などとごまかさず、「廃止するので申し訳ないけどあっちを使ってください」とまず謝るのがスジではありませんか。
<ボールで遊べる唯一の場所>
 東原児童館の使われ方も、区は実態を把握しているのでしょうか。杉九小校区にはボール遊びのできる公園がありません。児童館が唯一のボールで遊べる場所です。また、東原児童館は東原中学校に近いため、学校帰りの中学生がふらっと立ち寄る場所でもあります。
 乳幼児から高齢者までが使える地域コミュニティ施設に再編するといいますが、小学生、中高生は除外されています。しかも我々の北部地域にはいまのところ中高生の居場所は検討にすら上がっておらず居場所がなくなります。これら児童館機能の維持について見解を求めます。(Q1−2−5)
<地域活動に大きなダメージ>
 以上の様々な地域の声に区はひとつひとつ誠実に答える義務があると考えます。この項の冒頭に述べたように、児童館、ゆうゆう館、ゆうゆうハウスという利用者の多い3つの施設がいっきに廃止されれば、地域活動には大きなダメージとなります。計画は全面的に見直すべきと考えるがいかがか。この項の最後に見解を求めます。(Q1−2−6)
2.阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくりについて
<「阿佐ヶ谷駅北東地区を考える会」とはなにか>
 次に阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくりについて質問します。この話は、ちょうど2年前に公になりましたが、以来「阿佐ヶ谷では『阿佐ヶ谷駅北東地区を考える会』の活動などまちづくりの機運が高まっている」としきりに説明されてきました。いったいこの「考える会」とは何なのかと、本会議でも質問しましたが「民間団体なので」と説明してもらえないわけです。
 そこで調べてみたところ、この団体は2014年1月に設立されたものだとわかりました。河北病院のホームページに「考える会を設立」と記載されています。河北病院がつくった団体かと思うと、代表者は地主の相澤さん、そして連絡先はなぜか港区にある会社に置かれていました。阿佐ヶ谷の、それも北東地区というきわめてローカルな問題を議論する会がなぜか港区です。
<区役所が特別扱いするたった11人の団体>
 しかも、阿佐ヶ谷駅北東地区の計画に関わる区の事業委託公募要項を見ると、驚くことに、一民間団体にすぎないこの団体とのコンタクトが条件となっています。例えば、2015年「まちづくり方針案策定等支援業務委託公募」には「北東地区を考える会との意見交換の想定回数を教えてください」というQ&Aが出ています。河北病院の移転が公表されるよりもずっと前のことです。2016年「まちづくり基礎調査委託業務」では公募要項冒頭の「目的」の項に「阿佐ヶ谷駅北東地区を考える会が検討している」云々書かれています。どうも素朴な住民団体とはちょっと扱いが違うようです。
 そこで情報公開でこの会が区に提出した「阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくり構想」という報告書を入手したところ、34ページにもわたる専門的な報告書で、これは2015年4月から2年間、首都圏不燃公社の補助金を受けてコンサルに依頼してまとめたものだそうです。一般人にはなかなか考えつかない手法です。この段階から区がアドバイスをしていたのでしょうか。
 こんなふうに妙な存在感のある団体ですが、さぞかし幅広いまちの人たちで構成されているのかと思えば、メンバーはたった11人。たった11人の民間の人の考えが優先されて、阿佐ヶ谷のまちの運命を決めてしまうのでしょうか。
<河北病院の建て替えのために>
 この報告書を読むと、2015年段階では河北病院が現地で建て替えるためには敷地の拡大が必須、として「その際、病院中央に区道があることから区道の付け替えが必須であった。道路の付け替えは中杉通りに接続する9mの道路整備が課題であるが、そのためには新しい分院の解体が避けられないことが課題だった」とあり、また「大規模建築を建て替えるには、東京都安全条例による前面道路の規制により、道路整備の検討が必要である」ともあり、道路拡張や付け替えの話自体が防災云々言う以前にそもそも河北病院が建て替えをする都合から始まった話であることがわかりました。そしていまそれが、土地区画整理事業による駅前開発へと膨張しています。
<汚染地の交換は豊洲と同じ>
 ところでちょっと話が飛びますが、区画整理事業といえば、東京都の豊洲新市場も実は、区画整理事業です。豊洲は移転が間近となった今も、まだ多くの難問をかかえていますが、都民の税金がいかに浪費されたかも知る必要があります。
 東京ガス区画整理事業の仕組みを利用して、第一に、汚染された土地を東京都所有の土地と交換することにより利益を得、第二に、汚染対策が万全に行われる前提で資産評価を行ったため、過大な資産評価を得ることができ、第三に、汚染対策が不十分だとわかった時点で、都が追加対策を東京ガスに請求することなく放棄してしまったことで、何重にも多くの利益を得ました。しかし、こうした不公正は区画整理事業という複雑な仕組みを隠れ蓑に、都民の目から隠されています。
 田中区長の都政の師匠ともいわれる元都議会議員の方が手掛けた案件であり、同じく民間の汚染地と公共用地の交換である阿佐ヶ谷の区画整理事業と構図がそっくりなのは不穏な兆候です。
<土壌入れ替えには7億円>
 第一に汚染地と普通地の交換は、まさに河北病院用地と杉一小の交換です。第二に土地評価の問題では、やはり、対策が行われる前提で病院用地が不当に高く評価される恐れがあります。第三に、万が一、あとから汚染が発覚した場合、東京都のように区が請求を放棄してしまう可能性も否定できません。そっくりの構図です。
 問題の土壌汚染対策ですが、学校を建てるのだから、当然土壌を全面入れ替えすると思いたいですが、区の委託調査によれば、予定地の土壌を3mの深さで全面入れ替えすると7億円以上の経費がかかるとのことです。果たして河北病院がこの費用を負担して土壌入れ替えを行うかどうかわかりません。盛り土をしただけで終わる可能性があります。
 新しい杉一小用地の安全性は現在の大まかな協定だけでは担保されず、別協定できちんと保障すべきです。汚染が残った場合の病院側の責任、金銭的解決するなどの条項を盛り込んだ具体的な協定を、河北病院と別途結ぶべきと考えますがいかがか。見解を求めます。(Q2−1)
<河北病院土地の過大評価につながり区が損を>
 事業の順序としては、土壌汚染調査の実施より前に仮換地指定が行われます。その場合、河北病院跡地を清浄土壌として評価すれば、豊洲同様の過大評価になり区にとって不利な交換となると考えますがいかがか。見解を求めます。(Q2−2)
 公益財団法人区画整理促進機構の報告書には、こうしたトラブルを未然に防ぐため、また照応の原則から、汚染地は原位置換地すなわち元の権利関係のままが適切という指摘があります。地域の方々からも、病院の跡地に杉一小を移して大丈夫なのかというご意見をたびたびうかがいます。本件区画整理事業においても原位置換地が適切ではないでしょうか。見解を伺います。(Q2−3)
<「保留地」は区が購入することに?>
 事業費用にも問題がありそうです。3者の協定書では、第5条に「土地区画整理事業の施行に係る費用については保留地の設定及び処分により充当する」とあります。
 区画整理事業において権利者が土地を提供して保留地とし、それを売却することにより事業費を生み出す手法は一般的ですが、公共施設の建設や移転が絡むと保留地の大半を自治体が購入することにより、他の権利者が負担なく開発事業を行うケースが各地に多々あります。阿佐ヶ谷の事業においても、保留地をすべて区が購入するということになりはしないでしょうか。そうなれば他の当事者は事業費の負担なく事業を行うことになり、こんなおいしい話はないわけです。
<まちづくり計画意見交換会
 さて先日、阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくり計画の意見交換会が行われました。この意見交換会は、今回第6回目ですが、告知される地域は一貫して対象区域内及び一皮ということで、きわめて限定されているため参加者は少ないです。しかも、毎回、区の担当者とコンサルタントが一方的に説明して、参加者はちんぷんかんぷんという風情です。こんな会合をアリバイとして「反対意見はなかった」などと計画を進めるのでしょうか。駅前開発は公共性が高く、一部の地権者だけで決めてはなりません。広く区民に告知を行い、また、議論の場を多く設けるべきです。見解を求めます。(2−4)
阿佐ヶ谷駅前は高さ60mまで許容?>
 会合の中では新進会商店街および中杉通りの拡幅にあたり、容積や斜線制限を緩和し絶対高さ制限を導入するとの説明がありました。新進会は30m、杉一小敷地は60mが提案されていました。60mというとマンションだと20階くらいになるとのことです。阿佐ヶ谷駅はすでに南口に13階と16階のマンションが建ち、まちの風景が一変してしまいました。北口は駅前広場が南口よりずっと狭いのに、そこにもっと高い建物が建つ想定となります。かなりの圧迫感です。
 大幅な緩和は阿佐ヶ谷のまちにふさわしくありません。現状を大きく越えない高さに制限すべきと考えるがいかがか。見解を求めます。(Q2−5)
<河北病院の建築計画公表を>
意見交換会では河北病院の建築計画が毎回質問されます。地域の人たちが一番気にしているのはそこなのです。病院はどちらが入口か、高さは何階建てか。ヘリポートは果たしてできるのか。しかし、まだ検討中だからとのことで回答はありません。
 ところが、病院の配置はほぼ決まっているはずです。昨年の区の計画をまとめる段階で三者による調整会議が行われていました。そこでは河北病院の設計案も出されたことになっています。区民に対しても、すみやかに明らかにするべきと考えますが、いかがか。見解を求めます。(Q2−6)
 また、けやき屋敷のみどりをどう残すかについても説明がありました。その時の話では樹木の専門家に調査してもらったとのことでしたが、いつどのような専門家に依頼したか。またどのような調査を行ったか。評価はどうだったか。説明を求めます。(Q2−7)
 杉並らしいみどりの保全地区の中核をなす森です。区には保全の責任があることを改めて強調しておきます。
<土地評価を区民に公表すべき>
 最後に肝心な換地計画について触れます。換地の根拠となるのは土地の資産評価ですが、実は鑑定はすでに行われています。情報公開しましたが、マスキングされて値段どころか面積すら全くわからない状態です。民間の土地とはいえ、区が当事者として行っている区画整理事業に関する情報は公的なものであり区民に開示すべきです。
 区の土地は、区民の財産であり、その処分の是非を判断するのは区民です。仮換地指定以前に、権利交換にかかわる財産鑑定や区画整理路線価図などの情報を公にし、区民に意見を求めるべきと考えるがいかがか。最後にうかがって質問を終わります。(Q2−8)

河北健診クリニックの肺がん見落としで検証委員会(2018年8月21日保健福祉委員会)

 7月17日に公表された河北健診クリニックの肺がん見落とし事故(杉並区のお知らせはこちら)を受けて、杉並区が外部検証委員会設置の条例案を区議会に提案、本日保健福祉委員会で審議しました。
 河北病院といえば、阿佐ヶ谷の再開発の中心でもあります(関連記事:阿佐ヶ谷の森を守ろう(杉並区主導の駅前再開発に反対します))。今回の事故に関連して、病院経営の拡大路線が影響したのではという声もあります。
 約3時間の審議を通じて、区長の答弁回数がいつになく多かったことが印象的でした。そして、その答弁の内容は、事故の責任の所在を明確にするというよりは、逆に問題を一般化するような発言が多かったと思います。また、具体的な内容に踏み込むとすべて「それは検証委員会でやること」と棚上げしてしまう姿勢にも疑問を感じました。
 私の質疑は、外部検証委員会のミッション、区と医師会、病院側の責任の所在に注目しました。
(1)本件の患者さんは河北健診クリニックで3回にわたり肺がんを見落としされた結果、治療機会を逸して残念ながらお亡くなりになりました。3回目は区の肺がん検診であり、事業の運営主体としての区も責任は免れません。
(2)他方、実際の検診業務を行ったクリニックは、事後の検証(法人の内部検証報告書)において、2014年の1回目の見落とし(職場の成人健診)に以降の判断も引きずられてしまったことを明らかにしています。3回の連続する見落としの端緒、そしてその結果はクリニックに一義的責任があると考えます。
(3)なおかつ、区の肺がん検診である3回目の見落としにおいては、委託事業の実施要領にある「専門医の配置」が守られていませんでした(数年にわたって常態化していたことが質疑でわかりました)。さらに、見落としが発覚して後、区に対する報告も「速やか」とはいえません。委託契約の条項にある「事故の際は速やかに報告」にも反していました。
(4)設置される外部検証委員会では、これらの事実をあらためて検証するとともに、区、医師会、クリニックの三者の責任の所在を明確にすること。また、会議が非公開で行われるため、説明責任を果たせる議事録の作成、十分な情報公開を求めて、議案には賛成しました。
 以下、松尾ゆりの質疑要旨および意見。
(松尾)他の委員からも質問があったが、河北の内部検討委員会の報告書が本委員会に提出されていないことは、私も遺憾に思う。すでに私も情報公開請求をしているが、延長されており本日には間に合っていない。
(日暮健康推進課長)情報公開の第三者の保護に関する条項により、財団で行われた検証内容なので照会が必要と判断した。
(松尾)検討委員会のミッションについて。肺がん検診の見落とし事案の検証、今後の対策の大きく2つと説明された。お願いしたいのは、区、医師会、河北クリニックの三者に責任があり、その三者を検証委員会できちんと峻別、切り分けていただきたい。全部区がわるいといってボウズ懺悔でなく、区は何を求められているのかを明確にする委員会であるべき。
(日暮健康推進課長)事実関係をきちんと確認する必要がある。
(松尾)今回の経緯について。3回の見落としが同じ医療機関で行われ3回目が区民検診であった。区の責任があったとすれば、どういったところが問題だったと考えられるか。一義的には見落とした医療機関の問題では。
(田中区長)そのために第三者による検証委員会を提起している。検診一般について議論をするということであれば、厚労省や東京都で議論すればよい。こういう問題が発生したことを重く受け止め、今回の事案について区として事実関係を検証するフィールドワークをちゃんとやるべきだということで委員会を設置する。
 今回の事故の直接的な問題、あるいはそこにつながる背景、事情の有無も皆さんに十分検証していただきたい。河北内部の検証委員会の報告書も区の設置した検証委員会で検証するということでなくてはいけない。具体的にはその先に責任とか施策の改善が導かれる。
(松尾)区の検診実施要領の第10条にある「二重読影する医師のうち1名は、呼吸器又は放射線の専門医が望ましい」との条件が満たされていなかった。クリニックの院長も記者会見で「残念ながら私どもの施設では人員の配置は、呼吸器の専門、画像の専門を配置できていなかったことは否めない事実」と反省の弁を述べている。
 ところでお聞きしたいが、この状態が普段からそうだったのか、たまたまこの方の読影が専門家が入っていなかったのか、他の人の読影もそうだったのか。
(布施地域保健・医療連携担当課長)河北健診クリニックの院内検証委員会報告書によると、2015年秋、センター放射線科医の負担が大きくなり、区民肺がん検診の読影担当より放射線科医をはずす、ということが記載されている。29年度もだが、体制がとれていなかったと認識。
(松尾)こういうことがあるので、内部検証報告書を読みたい、ということなんですが、2015年に放射線科医をはずしていたということですね。すなわち、いまの状態も、他の人の読影も専門家が入らない状態で行われていたということか。
(布施地域保健・医療連携担当課長)2015年秋以降と記載されていたので、その間の検診について区として再読影を要請した。今年度(の検診)に関しては、この検証報告書が6月19日に提出されたところ、検診は6月1日から開始されるという事情をひかえて、区と医師会で協議して、今年度の河北クリニックの検診は二次判定、総合判定を医師会に引き上げた。
(松尾)次に、賠償責任について。委託契約書第6条2項に賠償責任の条項がある。今回訴訟になる可能性もある。この条項では検診のなかで起きた事故については区に賠償責任があるとなっているが、本件についてはどうか。
(日暮健康推進課長)現在賠償請求されているわけではないが、今後適切に対処したい。
(松尾)同項には「故意または重大な過失によるものをのぞき」とありここの判断が重要。同じ第6条の1項には事故の報告義務が明記され「応急措置を講ずるとともに速やかに報告」とされているが、この点について河北健診クリニックの対応は。
(布施地域保健・医療連携担当課長)区として口頭報告を受けたのが5月7日。その後、医師会を通じて報告書が届いたのが8日。
(松尾)資料によれば4月18日に、病院として見落としを把握しているが、区への通報は口頭により5月7日。正式には5月8日。「速やかに」とはいえないと思うが。
 また、クリニックから口頭で報告があったということだが、院長ということか。
(布施地域保健・医療連携担当課長)口頭報告時、河北健診クリニックのセンター長も在席していた。報告までの期間が20日間という点、河北からの報告があった時点で、もう少し速やかに報告していただけなかったのかということはお伝えした。
(松尾)区の肺がん検診に関する問題がどこにあったのかということについていうと、1つは専門医の配置について実施要領が守られていない状態が常態化していたことが一番大きい。もう1つは、区に対する報告が遅いこと、その後の経緯も非常に時間がかかっていることも問題があると思う。
 専門医の配置について、記者会見で院長が再発防止策を述べている。この解決策を見ても、専門医の配置についての問題点を改善することが読み取れない。区はどのように受け止めているか。
(田中区長)それは松尾委員の考えかと思うが、それがスタンダードだろうか。専門医というが、専門医が最初に見落としたのが発端。他の委員からは専門医がいないことが問題というが、専門医かどうかは、読影の技量とどの程度重なるのか、疑問はもつ。これらすべて検証委員会に検証してほしい。
 専門医、専門医というが、仮にいたとしても、検診の数が急激に増えていったときに、同じメンバーでやっていたら負担が重くなる。リスクが高まる。医療資源の分配のありかた、受診率の向上をどう見ていくのか。検診をするのは区だけでなく、各種の健康保険の健診もある。それを全部区が把握するのは無理。事実を検証するということがまず大事であって、責任をなすりつけてしまうような議論は排して、専門家にきちんと検証してもらう。
(松尾)事実を第三者に検証してもらうことは、共有されていると思う。
 私が言っているのは個人的な見解ではなく客観的な事実として、河北財団自身が報告している事実として、実施要領に規定されている専門医の配置ができていなかった事実が確認されている。これに対してクリニックの再発防止策というのが十分なのだろうかという疑問を呈したもの。
 ちょっと気になったので質問しますが、「専門医」とは何か。説明をお願いします。
(布施地域保健・医療連携担当課長)いろんな専門医があるが、一例をあげると〇〇学会認定の専門医、認定医という資格がある。学会により条件があり、臨床経験年数、症例数、などにより認定されたものを専門医とよぶ。
(松尾)だから、専門医というのは根拠があるということ。学会できちんと認定されている。キャリアや、それなりの技量がある人を専門医として認定している。区長は専門医が最初に見落としたじゃないか、というが、区は実施要領において、放射線科あるいは呼吸器の専門医によることと定めている。それが条件で委託をしているわけだから、それに逸脱する行為があったという話をしている。
 それから医療資源からみて、これだけのボリュームを見ることができるのかと区長がおっしゃって、それは私たちも危惧をしているところだが、分量が多いから見落としが増えるというと大変まずいことになってしまう。分量が増えたから免罪されるものではないし、区もそれを管理しきれなかった責任がある。関連して、ペナルティという話があったが、今後とも河北健診クリニックが指定医療機関(二次検査まで行う)としてやっていけるのかは無理があるように思う。
 関連して伺いたいが、委託している1件あたりの単価、ダブルとシングルとでそれぞれいくらか。
(布施地域保健・医療連携担当課長)肺がん検診の単価はデジタル撮影で7170円。撮影および一次判定で6252円、二次判定、総合判定を行うことで918円。合計で7170円。
<議案に対する意見>
 あってはならない事故が起きた。被害者のご冥福を心からお祈りします。
 本議案を検討するにあたり、河北財団側の内部検証報告書が提供されなかったことは大変遺憾である。提供された資料から判断するしかない。質疑をふまえ、委員会の設置は必要なものと認め、議案には賛成する。
 ただし、質疑の中で確認したとおり、本件は、3回の見落としのうち2回は民間の健診であって、3回目が区民健診であったところで区が関わってくる。こうしたことが引き起こされたのは、区の健診ではなく、河北健診クリニックの見落としが根源である。
 今後検証委員会で検討していくべき問題として、区の責任、医師会、河北健診クリニックの三者の主体の責任をきりわけて明確にすることが求められている。
 実施要領に反して専門医の不在が常態化していたこともすでに明らかになっている。また、委託契約の条項にある速やかな報告義務という点でも逸脱があった。こうしたクリニック側の責任が明確になることが必要と考える。
 最後に、非公開で行われるということについて。原則として公開で行われるべき案件と考えるが、個人情報にかかわることを峻別しがたいという説明もあった。したがって、この間私は杉並区の議事録について問題にしてきているが、十分な説明責任を果たせる議事録の作成、その上での情報公開を求め賛成とする。

阿佐ヶ谷の森を守ろう(杉並区主導の駅前再開発に反対します)

 現在、杉並区は阿佐ヶ谷駅北口の河北総合病院の移転・改築を全面的にバックアップする計画を進めています。このまま計画が進行すると、2020年には「けやき屋敷」の森が全面的に伐採され、阿佐ヶ谷はビルの林立するまちに変貌していくことになります。
 阿佐ヶ谷を守りたい。
 その思いを多くの方と共有したいと思い、これまで区議会などで述べてきた問題点をまとめました。
<計画の概要>
 杉並区は河北総合病院の移転・改築計画を受けて2017年5月、阿佐ヶ谷北東地区の開発計画をまとめました。前年3月に杉並第一小学校の移転計画が確定したばかり。病院の移転を契機に(=移転を実現するために)決まったばかりの計画を全面的に覆すこと自体、行政として異例としかいいようがありません。
 資料:杉並第一小学校等施設整備等方針*この文書の「A案」が2016年3月策定のもの。→変更後のものが「B案」。
 計画の骨子は:(1)河北病院→けやき屋敷に新築・移転(〜2025年)。(2)杉一小→河北病院が引っ越した跡地に移転(〜2028年)。(3)杉一小敷地→河北病院土地と交換、民間と区の共同で高層ビル建設(〜2032年)。

【問題点1 民間病院のための規制緩和
 この計画は、河北病院と地主さんの利益のために行われる規制緩和容積率の引き上げ)が本質です。予定地(けやき屋敷)は約10000平米ですが、病院側は32000平米以上の建物を希望しているとのこと。しかし、同予定地の現在の容積率は200%の規制があり、希望どおりの病院は建てられません。そのため、容積率の引き上げを求めたものです。
 それは公共の利益ではなく、病院の経営上の利益にすぎません(地主さんにとっても地代の上昇等の利益)。一方、用途地域の変更は住環境の悪化を招きます。住宅地阿佐ヶ谷において、一般の住民が開発で得るものはありません。
 なお、区は公共の利益という理由をひねり出すために、病院北側の道路拡張をいいますが、計画地区内の拡張が行われるのみで、河北病院より先の拡張の見込みは全くありません。
【問題点2 けやきの森の伐採】
 通称「けやき屋敷」と呼ばれる予定地の森は南西の一部の木を残して全面的に伐採されます(図には「森に囲まれた」などとありますが、伐採しないとビルは建てられません)。「けやき屋敷」は、みどりの少ない阿佐ヶ谷に残された貴重な屋敷林として、杉並区「みどりの顕彰表彰屋敷林」(2012年)、「杉並らしいみどりの保全地区」(2014年杉並区緑地保全計画)に指定されています。守るべきみどりとして杉並区自身が選定したものであり、区には森を守る責務があります。

 過去、「杉並区自然環境調査」(第一次1985年、第二次1990年)で「けやき屋敷」の調査が行われ、植物の種の数、多様度、また自然林要素率において大変高いスコアを示しました。逆に帰化植物の率を示す帰化率は非常に低く、区内でも有数の「自然性が高く、安定した植物相」を示しているという結果が出ています。小学校のプールで行われる「ヤゴ救出作戦」では杉並第一小学校は駅前にも関わらず区内で最もヤゴが豊かだそうです。森の恩恵なのです。
★「民間の土地だから…」と思っていませんか?
 「けやき屋敷」は民間所有だから、所有者の意向次第、伐採も止めることはできないのでは?と思われる方も多いと思います。しかし上記のように区は「守るべきみどり」と指定しており、所有者を援助して森の保全に努めなければなりません。また、今回は公的な制度(規制緩和、都市計画)を利用して開発を行う予定ですので、そのなかで「緑被率」や木の本数の維持、「地区施設」としてみどりを指定するなど、保全のための制度は法的にも保障されており、開発の当事者(所有者)は決定されたら従わなくてはなりません。
【問題点3 区にとって不利な土地交換】
 「区画整理事業」の実施により、現在の河北病院敷地(地主さんの所有)と杉一小敷地(区所有)の権利交換が行われますが、権利交換においては「照応の原則*」が満たされなければなりません。
*照応の原則:交換される両者の位置、地積、土質、水利、利用状況、環境等が大きく変わらないこと。
 ところが河北病院の土地は旧桃園川に接しハザードマップでも浸水地域とされています。また、病院の土地は汚染地です。他方、杉一小の土地は駅前の中杉通りに面した一等地であり、標高もやや高く、2つの土地の価値は照応しません。土地区画整理法にも反します。いうなれば区の財産を毀損する(区民が損をする)計画です。
 区は杉一小が移転により広くなる、住宅地なので学校の環境がよくなると交換の理由を挙げていますが、杉一小は長く現在の場所にあって地域から愛されてきました。少々広くなるからといって浸水、医療廃棄物の可能性がある土地に移るリスクは無視できません。また、静かな住宅地に移ることは逆に周囲への迷惑となり、他校で学校へのクレームが多くなった例も指摘されています。
★河北病院の地質のわるさはこんなところに
 北側、旧桃園川にあたる道路に面した部分が大きく陥没しています(2018年3月撮影)。

↑花壇部分が陥没し穴は奥へと広がっています。

↑配管(多分排水管)が露出しています。
【問題点4 地域の人が知らない】
 阿佐ヶ谷駅北東地区を今後どうしていくのかは、地権者はもちろんのこと、近隣住民らに広く意見を求めた上で納得のいく計画を策定する必要がありますが、阿佐ヶ谷の多くの人はこの計画をまだ知りません。阿佐ヶ谷駅前は杉並の顔ともいえるきわめて公共性の高い場所であり、一般の住宅地の建替えとはわけがちがいます。病院も公益性の高い施設です。権利者間の利害調整だけですませてはいけない場所です。
 区は「阿佐ヶ谷駅北東区域のまちづくりを考える会」という実態不明の民間団体からのまちづくり提案があったということも述べていますが、その内容については全く公表されていません。
★駐車場をめぐる疑惑
 計画が「A案」から「B案」に変更されたにもかかわらず、すでに変更前の案に従って2億円が執行されていました。うち1億3千万円が代替運動場の賃貸料でした(月880万円、平成28年度1億500万円、29年度(4〜6月)2600万円)。当初計画で仮設校舎の運用は平成30年4月からの予定でしたが、使用予定の2年も前から借りており、しかも使用された実績はゼロで全額がムダになりました。
 区は駐車場管理会社に転貸し月340〜360万円の賃貸料を得ていましたが、区が借りる前から同地は駐車場であり地主さんは同額程度の賃貸料を得ていたと思われます。それなのに、区が借りた際には1か月当たり550万円も上積みされています。
 そもそも学校建て替え時に代替運動場を借りた例はなく、現在工事中の桃二小も他の学校の校庭などを借りています。杉一小の場合だけわざわざ代替運動場を確保するのは不自然です。
 さらに、仮設校舎予定地だった「けやき公園」からは馬橋小学校・馬橋公園グラウンドが至近であり、借りていた民間駐車場と距離は変わりません。ますます必要がなかったと考えられ、不当な利益供与と見られても仕方がありません。
[関連記事]
河北病院の移転で阿佐ヶ谷のけやきの森は(一般質問しました)(2018年6月1日)
杉一小移転先の河北病院に大穴(予算特別委員会の質問から)(2018年3月16日)
代替運動場に1億3千万円は不当な利益供与(決算特別委員会の質疑まとめ)(2017年10月28日)
杉一小移転と阿佐ヶ谷のまちづくりは誰のため?(議案に対する意見)(2017年6月16日)
高円寺スラップ訴訟、住民説明会で隠し撮り(一般質問を行いました)(2017年6月1日)*2.杉一小改築と阿佐ヶ谷のまちづくりについて

「みどり豊かな福祉と文化のまち杉並」2018年区長選挙にあたって〜

 6月24日杉並区長選挙が行われます。現職の田中良区長は3期目を目指していますが、私たちは、この区政はもう終わらせなくてはならないと考えます。
 田中区政の特に2期目の4年間は区長の増長が目立ち、住民との紛争が区内各地で発生しました。荻窪(あんさんぶる荻窪の財産交換と2つの余分な公共工事)、下井草・久我山(公園つぶして保育園建設)、高円寺(学校統廃合で巨大校舎建設)など枚挙にいとまがありません。突然、一方的に非常識な方針を打ち出し、住民の意見を一切省みず、計画は絶対に変更しない区長、区役所の態度。私たち杉並区民の住民自治は圧殺されているといって過言ではありません。
 なぜか。それは、田中氏が区長の権力をかさに、建設業など少数の事業者や地域の有力者と利権で結びつき、駅前の再開発をもくろみ、まだ何十年も使える公共施設を壊し木々を根こそぎ伐採し、不要不急の公共工事をつぎつぎに行い、そのためには住民の声や民主主義の手続きは妨害物としか考えていないからです。残念ながら区議会の大半もこれに追従し区長の従属物に堕しています。
 保育料や施設使用料、国民健康保険料など値上げ続きで区民には負担を強いておきながら、公共工事にはふんだんに財政を費やし、区長・区議会議員ら特別職の給与は何度も引き上げてきました。区財政の公正さがゆがめられています。雇用の非正規化と低所得化で、働く区民の生活は厳しく、商店など中小企業は廃業が相次ぎ産業は衰退しています。
 私たち杉並区民は、このような区政を放置することができません。
 私たちのまち杉並には、原水禁運動発祥の地の誇りと住民自治の伝統があります。時代は移り社会状況も変わりましたが、私たち杉並区民には、自分たち自身の手で、この区政のあり方を転換し、杉並の住民自治を再生させていく自治の力があります。
 区政を変えようと立ち上がった区長候補の皆さん、そして区民の皆さん。
 心からの連帯の挨拶とともに、住民自治を取り戻し、区政の転換を実現しようと呼びかけます。ともに頑張りましょう。
2018年6月17日
杉並わくわく会議「私たちがめざす新しい杉並区政」プロジェクト
<以下、私たちがめざす新しい杉並区政>
みどり豊かな福祉と文化のまち杉並
〜住民自治にもとづく杉並らしいまちづくりのために〜
1.駅前再開発ではなく、みどり豊かな杉並に
〇田中区長のめざす駅前にビルの林立するまちではなく、住宅地杉並の静穏な環境と景観を守り充実させていくことを求めます。
 ・荻窪駅周辺の整備は、南北交通の不便解消と景観の改善、商店街の活性化を重視すること。
 ・阿佐ヶ谷駅北口のけやきの森を守ること。区内に残された生態系を大切にすること。
 ・公園を増やし、特に中央線の北側地域に公共のみどりを増やすこと。
〇むだな公共工事の口実とされている現在の施設再編整備計画を抜本的に見直し、区民が使いやすい施設の整備を求めます。
 ・児童館の廃止を撤回し、むしろ数をふやすなど充実させること。ゆうゆう館を存続させること。
 ・図書館の「スリム化」「コンパクト化」をやめ、建て替えの際にはむしろ拡張すること。
 ・科学館に相当する施設を再建すること。
 ・旧杉並中継所を区民の集う文化施設として活用すること。
 ・学校統廃合を行わず、地域の学校施設を区民の活動に活用すること。
 ・区民集会施設等の利用料の引き下げ、無料化を行うこと。
 ・区民が無料で自由に使える場所(フリースペース)を増やし、区民が集い学ぶ活動を支援すること。
 ・これらを実現できる適切な財政計画を有する施設再編整備計画に改めること。
〇地域で住み続けられるための福祉制度と施設の充実を求めます。
 ・介護保険のサービスが必要な人に必要なだけ提供すること。また、家族と同居の場合や要介護でなくても使える区独自の高齢者サービスを大幅に拡充すること。
 ・国に対して介護保険や障害者支援制度の改善・拡充を求めること。各種保険料や自己負担において低所得者の負担軽減を進めること。
 ・障害者の生活支援、特に移動支援を使いやすいものにすること。作業所や地域活動センターの安定した運営のための補助金を拡充すること。グループホームをふやすこと。
 ・生活保護世帯への区独自支援、とくに子どもへの支援を拡充すること。
 ・福祉の現場で働く人たちの待遇を改善し、福祉の質を引き上げるため、区独自の補助を行うこと。
 ・国民健康保険料、介護保険料、保育料など区民、特に低所得者層の負担を軽減すること。
2.子どもの育ちに必要な遊びと学びを保障する杉並に
〇子どもには安心して遊べる場所が必要です。児童館や公園を減らすのではなく増やしていくことを求めます。
 ・家でも学校でもない居場所としての児童館を、削減・廃止せずさらに充実させていくこと。
 ・安心して遊べる、自然とふれあえる安全な公園などの居場所を増やすこと。
 ・中高生、若者が無料でいつでも活動できる場所を増やすこと。第二、第三の「ゆう杉並」の建設、及びかつての青年館のような施設をつくること。
 ・学童保育の不足と詰め込みを解消すること。児童館の学童クラブは存続したまま、児童館外にも学童クラブを増設すること。学童保育の解消につながる「全児童対応」事業は行わないこと。
〇保育園の数を増やすと同時に、質を高めていくよう求めます。
 ・認可保育園は数を増やすだけでなく、参入する事業者の質を厳しく審査すること。
 ・保育の質を高めるため、人員配置と面積、施設の基準に区独自の上乗せを行うこと。民間保育士の研修を大幅に拡充すること。
 ・東京都と連携して認可外保育施設の監査を充実していくこと。
〇学校教育に余裕をもたせ、また、学校以外でも子どもの学ぶ環境を拡充するよう求めます。
 ・教員の業務を見直し、多忙化の解消を図ること。東京都とも協議し、教員配置の改善や非常勤教員の身分保障を行うこと。
 ・学校統廃合、区立小中一貫校創設は行わないこと。
 ・学校支援本部、学校運営協議会のあり方を整理・縮小すること。社会教育団体としてのPTA支援を再構築すること。
・区内大学や高校との連携、また、図書館や新たな社会教育拠点(科学館や博物館、文学館、美術館など)の充実により、子どもも大人も専門家から深く学べる仕組みをつくること。教職員の研修や補助にも役立てること。
3.商店街や中小企業が発展し、くらしやすい杉並に
〇大型店やチェーン店ばかりの街でなく、杉並らしい個性ある商店街中心の活気あるまちづくりを求めます。
 ・商店会の加盟率向上、経営支援、商店会の事務や手続きへのサポートを行うこと。
 ・消費喚起のためのプレミアム商品券を復活すること。
 ・杉並らしい生活関連の製造業や建設業を支援すること。
 ・杉並の歴史、文化資産を尊重し、活用することで地域の活性化を図ること。
〇区民の生活の安定と雇用確保、労働環境の改善を求めます。
 ・産業の発展で働く場の確保、福祉関連産業の待遇改善で生活保障につなげること。
 ・官製ワーキングプアをなくすため区の事業の民営化を見直し、直接雇用を増やすこと。
 ・区の委託先で働く人の雇用環境を把握し、事業者に改善を促すこと。
 ・公契約条例を制定すること。
 ・若い人たちが杉並に住みつづけられるよう公営住宅の増設や家賃補助を行うこと。銭湯を維持する政策を拡充すること。
4.住民自治にもとづき発展する杉並に
〇区長と特定の事業者や地域の有力者が癒着する金権政治を一掃し、公正な行政を回復するよう求めます。
 ・区長ら特別職に関する倫理条例を制定すること。
 ・公文書管理条例を制定し、文書の記録と保存、情報公開を徹底すること。公文書館を設立すること。
〇住民自治にもとづく行政のしくみをつくり、住民一人一人の人権と意見が尊重されるよう求めます。
 ・形骸化している各種審議会、協議会のあり方を改め、その委員選考にあたっては選考基準を明らかにするなど透明性を高めること。
 ・社会教育活動を拡充し、住民の創意や問題意識を区政が受け止めともに政策づくりをすること。
 ・男女共同参画の担当者を専任とし、男女平等センターにおくこと。区が主体となって行う研修や相談事業を拡充すること。区役所内部で女性の登用を推進すること。
 ・性的マイノリティが不利益を被ることのないよう、制度を整えること。
 ・「原水禁運動発祥の地」としての杉並区は平和政策でもっと積極的に発信を行うこと。
 ・多文化共生の政策を積極的に進めること。特に外国籍の子どもたちへの教育支援を拡充すること。
以  上

障害者施設の重大事故/上井草保育園の現状(保健福祉委員会での質問)

 2018年6月5日杉並区議会保健福祉委員会における質疑要旨です。
◆障害者施設の重大事故
(松尾)昨年10月に区内の障害者施設で大変重篤な事故が起こり、当時担当課長に説明を聞いたが、今日に至るまでその事故に関して公表されていない。
 聴取した内容によると、入所者がかなり重篤な負傷をした状態で部屋で発見され、その後3か月ほど入院していた。本人が誤って傷を負ったのかと聞いたところ本人が自ら負ったものではなく、その後、虐待を疑われて警察も調査したが、結局受傷に至った経緯はわからなかったという。
 かなり重篤な負傷であったこと、また限りなく虐待が疑われる事件であったということから、ある程度の事実を公表し、責任の所在、対応方針を明確にしていただきたいと要望する。
(河合障害者施策課長)大変残念な事案。保護者の意向、原因が特定されていないところから公表はしていない。
(松尾)重篤な事故であり、本人や家族の意向は勘案すべきではあるが、区や事業者が事件の概要、責任の所在、処分、今後の対応策を一定の時期に明らかにすべきだったのではないか。
 当初は警察の捜査などからやむを得なかったが、発生から7か月以上たつ状況の中で、いまだに公になっていないのはいかがなものか。
(河合障害者施策課長)法にもとづき東京都に報告している。毎年都のほうで公表している。
(松尾)重篤かつ虐待が限りなく疑われるケースであり、重大な問題。再発防止は当然として、他の施設、法人を含め起こりうることなので、経験を共有していくという意味で、きちんと総括し、責任を明らかにして、一定レベルの公表をしていくべき。
 驚くような事故であり、そのことについて我々保健福祉委員さえ知らないというのはどういうことなのか。そこは信頼していただいて、ある程度の情報を伝えていただかないと、区民の方との対応もある。
◆上井草保育園民営化について
(松尾)民営化後、常勤の職員についてはむしろ増えているが、パートがずいぶん減ってしまったと聞いた。朝夕の保育が手薄になっている。これまでは朝夕の時間帯も子どもが園庭で遊んでいたのに、いまは遊ばせてもらっていないと聞いた。非常勤の人数と、保育の状況が変わっていることについて、把握しているか。
(武井保育課長)新しい園になっての人員配置は把握している。特にこの園が配置が薄くなっているとは聞いていない。
(松尾)常勤者は増えているが、パートの人がずいぶん減ったと聞いている。もうひとつ、公立のときは用務専任の人がいたが、現在は保育士が用務の仕事までしていて、ますます多忙化しているとの指摘があるが。
(武井保育課長)私のほうでは問題ないと聞いているが、あらためて、確認したい。
(松尾)ぜひしっかりとやっていただきたい。民営化にあたっては区役所も事業者も「区立のときと全く保育はかわりません」と説明し、それで保護者はしぶしぶというか、協力されていると思う。ところが、完全民営化された状態の中では様々な変化が起きてきているのが現実。これまで区立で行っていたのと同等の保育ができるのか、区立とかわらずしっかりした保育をやってもらうよう、決意をうかがって終わる。
(徳嵩子ども家庭担当部長)これからもいろいろな改善を行い、充実したひきつぎを行って、安心安全な保育を実現できるよう、支援していきたい。

河北病院の移転で阿佐ヶ谷のけやきの森は(一般質問しました)

 2018年6月1日杉並区議会第2回定例会で一般質問しました。
1.朝鮮半島情勢と日本の進路について(区長の政治姿勢について)
 朝鮮半島に歴史的な動きが始まりました。大きな世界の動きに日本の進路も大きな岐路に立たされていると思います。平和への歩みを大いに歓迎したいと思い(他に誰も質問しないし)、質問しました。
2.施設再編整備計画について
●「土建屋政治」の根拠
 もうすぐ杉並区長選挙ですが、「政治資金パーティー」「ゴルフコンペ」など、区長と区の工事や民間委託の事業者との癒着が問題となっています。昔の政治家みたいな「土建屋政治」になってしまった杉並区。文教地区、文化の杉並はどこへ…。
 やりたい放題の公共工事、その根拠となっている施設再編整備計画がそもそもずさんという話しをしました。
●河北病院の移転
 2016年秋に突然「河北病院がけやき屋敷に移転・改築」と知らされましたが、実は杉並区はもっと前から知っていた??
●けやき屋敷
 30年前自然環境調査が行われていたことをつきとめました。杉並区はけやき屋敷を「まもるべき杉並のみどり」と選定していたのに、いま伐採しようとしている。阿佐ヶ谷の宝、けやきの森を守る手段はある!!
●児童館
 杉並区は児童館を全部廃止する計画を進めていますが、その代替といっている学校内での「放課後等居場所事業」について、最初から関係者が指摘していたとお〜りの問題が起きていることを指摘しました。「建物としての児童館はなくなっても事業は変わりませーん」などと区民を欺している議員はいいかげんにしてほしいと思います。
●下井草児童館
 次の再編・廃止のターゲットとなっています。学童クラブの移転で来年から260平米に150名がひしめくことが判明。また「学校という広いフィールド」で行うと言っていた「放課後等居場所事業」は学校の外に拠点を求めるとのこと。なんかもう、児童館さえなくなれば何でもいいんだな、杉並区…(ちょっと自棄)。
(以下は質問原稿です。実際の発言とは異なるところがあります)
1.朝鮮半島情勢と日本の進路について(区長の政治姿勢) 一般質問をいたします。最初に、朝鮮半島情勢と日本の進路について、区長の政治姿勢をうかがいます。
 4月27日、韓国と朝鮮民主主義人民共和国の南北首脳会談が開催されました。世界が中継画面にくぎづけになりました。まさに今、歴史の転換点が訪れようとしています。
 昨年の朝鮮による核実験、ミサイル発射をめぐり、アメリカ・トランプ大統領との激しい応酬に一触即発の危機を感じていたのは、私だけではないと思います。しかし、今年に入り劇的な変化が生まれました。平昌オリンピック・パラリンピックを契機として、南北朝鮮の交流が始まり、首脳会談に至る流れがつくられました。
 金正恩委員長と文在寅大統領が4月27日に署名した「板門店宣言」には、
朝鮮戦争終結へむけて、今年中に終戦を宣言し、休戦協定の平和協定への転換を推進していくこと、及び、
・南北の交流・往来の活性化
朝鮮半島の非核化
が具体的に書き込まれました。
 米朝首脳会談がどうなるかなど、不確定な要素がまだまだ多いところではありますが、南北会談で動き始めた歴史の大きな流れが逆戻りすることはもうないでしょう。
 民族の分断と戦争状態の克服に向かって踏みだしたこの日を迎えるまでの、両国の人々の長い長い苦難と努力を思い、心からの敬意を表するものです。
 そこでまず区長にうかがいますが、こうした朝鮮半島、東アジアの動きについて、どのような感想、見解をお持ちか、お示しください。(Q1−1)
<日本こそ当事者として>
 さて、こうした朝鮮半島の動きは、わが国にとって決して他人事ではなく、むしろ当事者として積極的に関わっていくべき外交課題でもあります。
 なぜならば、日本こそは、1910年の韓国併合以来、45年の敗戦まで朝鮮を植民地として支配してきた国であり、分断を招いた責任があります。そして、50年から始まる朝鮮戦争において、日本は米軍に協力し、朝鮮・韓国の人々の犠牲のうえに朝鮮戦争「特需」による繁栄を勝ち取った国でもあるからです。
 しかし、残念ながら、わが国安倍政権は終始「金正恩は信用できない」「最大限の圧力をかけつづける」など一貫して朝鮮の動きを否定的にとらえてきた結果、世界から「蚊帳の外」とみられる有様で、この朝鮮半島の動きに全く対応できていません。私たち国民はこのような外交を続ける政治を転換していかなければならないと考えます。
<このままアジアの孤児となるのか>
 朝鮮戦争終結と非核化の進展により、在韓米軍の縮小・撤退も視野に入ります。さらに日本政府と国民の対応次第では、在日米軍の縮小・撤退もありえますが、この機を逃せば、むしろ逆に、在日米軍の強化、韓国に代わる日本の要塞化さえありうるのではないでしょうか。
 すでに安倍政権は、2015年、安保法制の成立により、米軍と共同して全世界で軍事行動を展開することを可能としています。このままアジアの孤児となってアメリカの戦争を肩代わりしていく道を歩むのか、それとも進路を転換してアジアの隣国と協力して平和なアジア地域を形成していくのか、いま日本こそが重大な岐路に立たされているのです。
 そこで、区長に伺います。新しい国際情勢の中で日本外交の課題はなにか、またとりわけ日米安保についてどう考えるか。所見をお示しください。(Q1−2)
2.施設再編整備計画について
(1)計画の見直しについて
 さて、世界はこのように激動していますが、我々の杉並区に目を戻しましょう。施設再編整備計画について質問します。
<田中区長の「土建屋政治」>
 区長選挙が近づき、8年間の田中区政が審判を受けるわけですが、先の第1回定例会では他の議員の質疑により、田中区長の政治資金パーティーの呼びかけ人や、区長の後援会が主催するゴルフコンペのメンバーの多くが、区役所の工事や委託事業を受託している企業、団体の関係者であることが白日の下にさらされました。ひとことで言えば区民のための区政ではなく、公共工事優先の、いうなれば「土建屋政治」になってしまっているわけで、その根拠となっているのが施設再編整備計画です。
<浪費の根拠「施設再編整備計画」>
 そもそも施設再編整備計画とは、できるだけ財政負担を軽減していくことが目的のはずです。それは区民のために必要な施設をしっかりと更新していくためでもある。ここまでは立場を超えて合意できる部分だと思います。ところが、杉並区の計画は財政負担の軽減どころか、まだまだ使える施設を解体、改築する口実、浪費の根拠となってしまっています。
 究極の無駄といえばあんさんぶる荻窪の財産交換です。これからまだ50年以上使える施設を廃止。しかも駅前の一等地を国に譲り、交換のために全く新しい施設を33億円かけて建設、学童クラブの移設のために桃二小改築を決定、これにも30億円が費やされます。高円寺小中一貫校の過大な70億円もそうですが、使わなくてすむはずの予算がどんどん浪費されています。
 さらに、40年ほどで解体した桃二小の校舎、プールは12年で解体。永福南小学校跡地のビーチコート建設では築30年の校舎を解体など、まだ新しい施設を惜しげもなく壊していく解体工事の連続は、誰に貢献しているのだろうと考えさせられます。少なくとも区財政には貢献どころかマイナスです。
<他区の施設計画のポリシー>
 今年度は第二次プランが策定され、さらに第二期計画へと連なっていく時期です。これを視野に、計画の見直しについて述べます。まず、第一期計画・第一次プランはどういう原則によって統御されているのかを考えてみます。
 他区の、たとえば世田谷区の「公共施設等総合管理計画」を見ると、3つの原則として「建物をできるだけ長く使い、簡素にする」「総量を抑制しつつ、公共的空間を拡充する」「民間の知恵と力を最大限活かす」とあります。
 また、練馬区では「持続可能性の確保」「安全で利便性の高い施設」などの5つの目標を定めた上で、4つの方針を定め、たとえば「施設の目標使用年数は80年」などと具体的です。
<杉並区の基本原則の混乱>
 これに対して、杉並区の計画は「基本原則」として9項目が掲げられていますが、そこには、施設そのものにかかわること(複合化・多機能化、バリアフリーなど)と政策分野にかかわる判断(ゆうゆう館、児童館の再編など)が混在しており、施設全体を貫くポリシーは何なのか全くわかりません。
 「財政負担の軽減」をかかげながら、抑制的なルールがなく、原則があいまいなことにより、まだ新しい施設の廃止・解体や、不必要に巨大な施設の建設などが許されてしまう、すなわち、区長が公共工事をやりたいと思えば浪費がどこまでも許される構造になっているのではないでしょうか。施設再編整備計画は、総体としてのあるいは個別の施設の改修・改築について費用の抑制などの「原則」をきちんと定め、他方、個別の分野の事業方針については各所管の判断と計画に従うというすみわけを再構築すべきと考えます。
 そこで、第二次プラン策定にあたり、基本原則を改定して、施設再編整備計画はあくまで普遍的な施設更新の原則とするよう求めるがいかがか。所見を求めます。(Q2−1−1)
 また、面積や金額の数値目標もわかりやすく定めるべきではないでしょうか。見解を求めます。(Q2−1−2)
<施設の「カルテ」をつくる>
 浪費を防止するためのもうひとつの方法は、個別施設一つ一つの老朽化の状況をきちんとつかみ、「カルテ」をつくること。実際にどの程度の改修・改築費用がかかるかを具体的に積算していくことです。それらがない状態でこれまで「こんなにお金がかかって大変だ」とのべてきた施設再編整備計画はいわばサバを読んでいるわけで、区民に対する根拠のない脅しになっています。
 カルテづくりの第一歩として、政府が義務付けている個別施設の長寿命化計画の作成、活用が考えられます。区として、個別施設の長寿命化計画について、どのようなスケジュールで策定されるのか、見通しをお示しください。また、第二次プランにはそれらの計画をどのていど反映することができる見込みかをお示しください。(Q2−1−2)
(2)阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくりについて
 次に、阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくりについてうかがいます。
 河北病院が突然移転・改築を表明したところから、杉一小の改築計画がいきなり棚上げとなりました。一民間病院の建設計画のために区の計画が全面的に変更になるという、前代未聞のできごとでした。
<もっと前から知っていた?河北病院の移転>
 区は一昨年2016年9月に河北病院の建て替え申し出を公表しましたが、実はさらに1年前の2015年の7月には区はこの計画をすでに把握していたのではないかと思われるような事実が浮かんできました。
 杉一小改築の仮設校庭として大規模駐車場を賃貸借した経緯を所管にお尋ねしたところ、地権者とのやりとりの中に、2015年7月まで当該駐車場を河北病院が一部賃貸借しており、この契約が更新されなければ区に貸せる、という話が出てきます。そして、実際、河北が契約を更新しない旨通知してきたため、区が代わって賃借人になったという経緯です。
 河北病院に隣接する当該駐車場について、当時、地域では「河北病院が建て替えするための土地」との話が広まっていました。ところが、けやき屋敷への移転が見えてきたため、河北病院は駐車場の賃貸借が不要となったと考えられます。この事実を区は把握していたわけですから、もっと早い段階で移転計画をつかむこともでき、そうすれば、完全にムダ金となった仮設校庭の賃料1億3千万円をはじめとする2億円の経費は不要でしたし、何よりも、杉一小改築懇談会の皆さんが、河北病院の計画も加味して改築について議論をすることができたはずでした。当時の区と河北病院、地権者とのやりとりは、非常に不透明と指摘します。
容積率を緩和しないと河北病院の移転はできない>
 そして、河北病院の建て替えに、なぜか区が協力することになるわけですが、それは、河北病院にとっては、容積率の緩和がなければ希望する大規模な施設が建てられないからだということは前に指摘しました。
 容積率用途地域の変更などを含む手続きや許認可は、おおむね来年度前半をめどとするということですが、区画整理事業、地区計画などはどのようなスケジュールで進められていくのか、また、それらについて、どのようなタイミングで区民の意見を聴取するのか、説明を求めます。(Q2−2−1)
<けやきの森の消滅?>
 河北病院の移転・改築で最も懸念されるのは、阿佐ヶ谷の原風景ともいえるけやきの森の消滅です。
 もともと民間所有の森であるため、私たち阿佐ヶ谷の住民は、自分たちは手が出せないが、これからもなんとか残ってくれればいいがと祈るような思いで森をながめ、森の恩恵を受けてきました。
 隣接する杉一小は区内小学校の「ヤゴ救出作戦」で、最もヤゴが豊かだそうです。駅前なのに意外ですが、隣のけやき屋敷の豊かな生態系が守られているおかげです。
 今のところの区の説明によれば、現存の森は、南西部分の一部をカギ型に残し、それ以外はすべて伐採されてしまうということです。木は新たに植えるというものの、緑の総量は減り、これまでの豊かな森と生物の多様性は失われてしまいます。また、区の貴重木に指定されている樹木もあり、これらの運命も心配です。
<けやき屋敷は「杉並らしいみどりの保全地区」に指定>
 ちなみに、けやき屋敷は2012年に区の「みどりの顕彰表彰屋敷林」として選定され、さらに2014年策定の杉並区緑地保全計画では、区内10か所を厳選した「杉並らしいみどりの保全地区」にも入っています。守るべきみどりとして杉並区自身が選定したものであり、この森を消滅させるような計画を推進するならば、先に定めた区の方針自体と矛盾することになります。そうではなく、区は全力を挙げて保全に努めなければなりません。
<みどりを守る制度がある!>
 3月に北東地区まちづくりの意見交換会が行われ、その際、講師の方から、みどりを守るためのさまざまな制度についてのレクチャーがありました。たとえば、けやきの森の一部や、新たに植える沿道のみどりを地区施設として指定すれば安易な撤去はできなくなるとのこと、また、区画ごとに高い緑化率を定めて義務づけることもできるそうです。
 すなわち、公的制度を利用した開発行為である以上、民間の土地、民間の主体とはいえ勝手なことはできないということです。
 そこで、質問です。みどりを守るための地区計画制度にはどのようなものがあるか概要をお示しください。また、それらは本件に適用可能か、どのような手続きで行われるかについてもご説明ください。(Q2−2−2)
 また、地区計画等緑化率条例制度というものがあることも知りました。三鷹市などでは実際に条例が制定されているそうです。この制度についてもご説明および実施例についてご紹介をお願いします。(Q2−2−3)
<けやき屋敷の調査があった!>
 けやき屋敷のみどりを守るといっても、現状を知らないことにはどのように保全すればよいかわかりません。けやき屋敷の植生や生物相の調査が必要と考えるが、いかがか。ご所見をうかがいます。(Q2−2−4)
 それも通り一遍の調査であってはならないと思います。そこで、関連して、杉並区自然環境調査についておうかがいします。杉並区自然環境調査は、1985年から開始され、すでに第六次までの調査がまとめられています。全国的にも最も長期にわたる詳細な調査であり、杉並の誇るべき事業です。そこで、同調査の概略および意義について、ご説明をお願いします。(Q2−2−5)
<区内でも有数の自然性>
 調査では、社寺や屋敷林などの民有地も含む50か所余りについて綿密な調査が行われています。善福寺公園和田堀公園神田川玉川上水東京女子大など、杉並の代表的な樹林地、緑地が選ばれ、けやき屋敷に対しても、1985〜86年の第一次調査、90〜91年の第二次調査の2回、調査が行われています。その結果、けやき屋敷は、植物の種(しゅ)の数、多様度、また自然林要素率において大変高いスコアを示し、逆に帰化植物の率を示す帰化率は非常に低く、区内でも有数の「自然性が高く、安定した植物相」を示しているという結果が出ています。30年前の調査とはいえ、あらためてけやき屋敷の貴重さを知ることができます。
 今回の計画にあたり、少なくともこの調査と同等の調査をあらためて行うべきです。阿佐ヶ谷だけでなく、杉並区全体として、この森を決して失ってはならないということを、区役所、区議会、区民の皆様に強く訴えるものです。
(3)児童館と子どもの居場所について
 最後に、児童館についてうかがいます。第二次プラン策定にあたっては、ぜひ児童館廃止の方針の全面的な見直しを求めたいと思います。
 私はかねてから、児童館を拡充することはあっても、全廃の方針は全く間違っているということを訴えてまいりました。そして、実際に児童館が廃止され新しい事業に再編された現実から、やはり児童館廃止は間違っていると強く確信します。
<小学生の利用が減ってきた>
和泉児童館が廃止され子ども子育てプラザになりました。小学生の受け入れは続けられているものの、乳幼児専用施設となったため、小学生は、全館を自由に使えた児童館時代と違い、時間帯も使える部屋も限られています。また、小学生むけのプログラムは「放課後等居場所事業と子どものとりあいになる」という理由から一切行わないため、徐々に小学生の利用が減ってきているとのことです。
<6年生の授業が終わるまで待機>
 一方、学校で行う放課後等居場所事業は、児童館の代替にはなっていません。中高生や他校の小学生が参加できないことはもちろんですが、6年生の授業が終わるまでは遊べず、低学年の子は授業が終わっても教室で待機していなければなりません。
<特別教室では遊べない>
 また、区は説明会などで、繰り返し「学校には児童館よりずっと広い体育館、図書館、音楽室、図工室がある。学校という広いフィールドを活用する」という説明をしてきましたが、いくら広くても現実には特別教室は全く使えていませんし、体育館も学校との調整で使ってよいと決められた日以外は使えません。
 児童館は施設のすべてが子どもの遊びのための施設ですから、子どもは工作でも音楽でも読書でも、好きな遊びを選び、好きな場所で遊ぶことができます。学校ではそうはいかないということを私はずっと指摘してきましたが、いよいよそのことが事実をもって明らかになったと思います。
<下井草児童館が廃止される>
 さて、私の近所の下井草児童館が次の再編の対象となっていますので例として取り上げます。一昨年、向井公園が、「待機児童緊急事態宣言」で区長のパフォーマンスのためにつぶされてしまい、恒久的な代替公園は作られないままです。そして今度は、残された居場所である下井草児童館までも廃止されようとしています。
 そこでまず、下井草児童館廃止・再編について、学童クラブ、放課後等居場所事業、子ども子育てプラザのそれぞれ実施スケジュールをお示しください。(Q2−3−1)
<児童館の代替事業、行き当たりばったり>
 また、児童館にかわり桃五小内で行うとされる放課後等居場所事業の実施場所、特に拠点となるスペースはどこを想定しているのでしょうか。敷地内のふれあいの家が立ち退くようなお話もうかがいますが、そうなのでしょうか。お示しください。(Q2−3−3)
 先日、下井草児童館の再編についての説明資料を拝見しました。学童クラブの移転先である旧下井草自転車集積所の配置図がこのようになっています(図を提示する)。南から順番に既設の桃五学童クラブ、防球ネット、新しい学童クラブ、そして一番北側は「別敷地」とされていて、使途は未定です。自転車集積所をとりこわして下井草学童クラブの移転先にするとは聞いていたものの、このような配置とは思いもよりませんでした。
 意味もなく2つに分かれた学童クラブで防球ネットをはさむ形。しかも、学童クラブの子どもたちは自由に防球ネットでボール遊びをすることは禁止されているとききます。つぎはぎの、いかにも、行き当たりばったりの計画です。
<学童クラブ配置の変更を>
 せめてこの学童クラブの配置を動かすことはできないでしょうか。すなわち、「別敷地」と書いてある北側にずらして、空いた部分を公園のようにすれば、両側の学童が庭のように使い、かつネットで遊ぶ子も共有できます。すでに、着工しているところではありますが、あまりにもぶざまな計画なので、せめて建設位置だけでも変更するべきと考えますが、見解をうかがいます。(Q2−3−2)
<残地は子どものためのスペースに> 
配置の変更が無理だとしても、「別敷地」については、オープンスペース(または屋内スペース)として確保し、地域の子どもの居場所にしてほしいという保護者の方々からの声もうかがっています。ぜひ実現してほしいと考えますが、見解を伺います。(Q2−3−4)
<下井草に新しい公園を>
 下井草地域は大きな公園がなく、向井公園がなくなったことは大きな痛手でした。しかもこの学区の桃五小は校庭全面に芝生が貼られ、年間の半分以上が養生期間で校庭をまともに使えない、子どもの運動不足が心配と保護者の方々から頻繁に苦情を伺います。先生方からは、体育の授業すら校庭の隅っこしか使えないとの声をお聞きします。子どもが思いきり体を動かせる、向井公園に代わる新しい公園を整備していくことが切実に求められています。
 新たな土地の購入、賃貸借、あるいは公有地の転用など、ぜひ実現にむけ計画していただきたいと考えますが、いかがか。見解を伺います。(Q2−3−5)
<区の調査から子どもたちの声>
 結びにあたり、「平成29年度杉並区青少年実態調査」を紹介したいと思います。
 この調査を拝見すると、区政に対する子どもの意見として、運動する場所、遊べる場所をふやしてほしい、自然を増やしてほしい、原っぱや野原を作ってほしい、また、室内で遊べるところや静かに勉強できるところがほしい、ゆう杉並のような場所をもっとつくってほしい、などの意見が本当に多数書かれています。
 杉並の子どもは遊ぶ場所も、勉強する場所も、友だちと集まる場所もまだまだ足りないのです。それなのに、公園がつぶされ、児童館が廃止されているのはとんでもないことです。
<児童館、科学館がなくなり傷つく>
 同じ調査に「児童館をつぶさないでほしい」「保育園をつくるために公園をつぶさないでほしい」「科学館・プラネタリウムの復活」という意見もあり、この間の区政の動きによって子どもたちが傷つき、抗議していることもわかります。
 子どもの遊びや自由な活動の場を保障するのは私たち大人の、とりわけ行政の責任です。
 区長選挙が近づいてきますが、このかんの区政を省みるとともに、子どもの未来にしっかり投資する区政への転換をめざしたいと思います。