わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

高円寺小中一貫校の工事契約に反対しました。

 12月7日の本会議において、高円寺小中一貫校の工事契約が審議され、私は意見を述べて反対しました。採決の結果は可決となりました。
(以下は発言の原稿です。)
 議案第103号 仮称杉並区立高円寺地域小中一貫教育校及び併設1施設建設建築工事の請負契約の締結について及び議案第104号、105号、106号について反対の立場から意見を述べます
 最も大きい反対の理由は、近隣住民の納得が得られていないことです。地域にはこの小中一貫校に対し根強い疑問の声があります。中でも隣接する住民の方々は「被害者の会」を作り、「巨大校舎反対」の横断幕が張られています。建築工事をするのにお隣の家に挨拶にも行かないという非常識な進行で、巨大な校舎建設計画を進めた結果、住民との間には大きな溝ができています。これを解決しないまま、見切り発車で入札を行い、契約案件を提案してきたことに抗議します。
 また、住民からはボーリング調査が不十分ではないか、落札率が高すぎるのではないかという疑問が投げ掛けられています。私はこの点について先日一般質問しました。また、総務財政委員会でもこの点について質問が集中していました。しかし区の答弁は納得できるものではありませんでした。
 さらに、この計画自体に多くの問題があり、指摘します。
 第一に、予定されている校舎の教育環境が劣悪であることです。
 さほど広くない高円寺中の敷地に3校を統合し、巨大な校舎がつくられるため、校庭が狭くなります。北側校庭、南側校舎であるため、巨大な校舎の影が校庭を覆います。一般質問では、北向き校舎で9年間という前例があるのかとの私の問いに対して、前例がないことは区も認めています。しかも、環七、JRの大気汚染、騒音対策として二重窓で9年間エアコンづけの学校生活にも心配の声が絶えません。
 その他にも、建物が高層であるため児童生徒の上下移動が大きいこと、小中学生の教室が輪切りにされているため動線を分けることが難しいこと、中学生の普通教室が1フロアに集中していること、特別支援学級の中学生が普通学級から隔離されていることなど、建物の構造上、設計上の問題も多々あります。
 第二に、一体型小中一貫教育校のメリットが見いだせないことです。和泉学園の発足から1年半ですが、教育委員会も検証はできていませんし、また、全国的に見ても、小中一貫校のメリットを証明するような研究はありません。むしろ、小学校高学年の自己肯定感が低いなどのデメリットが指摘されています。
 第三に、人口予測に対して教室数が過大であることです。普通教室29に加え、普通教室にいつでも転用できる7つの少人数教室があり、現在の児童生徒数はもちろん、ピーク時でも700人という区の児童生徒数予測に対しても過大です。一般質問に対する答弁では、さらなる統廃合は「いまのところ」考えていないとのことでしたが、将来的な可能性は否定されていません。また、別の所では「先行して3校の統合を計画してきた」との説明もなされており、次のステップを考えているものと考えざるを得ません。
 第四に、2つの学童クラブが学校内に移転されることです。9年間同じ校舎内、しかも低学年から夕方まで校舎内にとどまることは子どもにとって気の重いことではないでしょうか。学童クラブを移転したあとの児童館の再編についても明らかにされていないことも問題です。
 これらの問題を指摘されながらも巨大な校舎を建築するため、70億円という巨額を費やすことになることはきわめて問題です。杉四・杉八の統合と小中一貫校を認めるとしても、杉四小の敷地を活用して分離型の小中一貫校にすればよく、経費は半額以下にとどめることができるのに、なぜそうしないのか。ふくれあがったムダな公共事業の典型と指摘し、反対意見とします。