わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

保育園と学校建築の補助金について(2017年3月6日杉並区議会予算特別委員会1ブロックの質疑)

 3月6日杉並区議会予算特別委員会で質疑を行いました。テーマは補助金です。「保育園の補助金がなくなったので、区立を減らして私立を増やしていかないと区の財政負担が大変だ」という説明を区はしています。しかし、いったいいくらなのか。金額で議論したいと思いました。
 ポイントは
・減らされた補助金は年間10億円程度(もちろん10年前の話なので保育園の数も経費もすごく増えていますが)。
・でも、特別区財政調整交付金(=都区財調。東京都と23区の間で税金を配分する仕組み)が当時上積みされたので、完全に区負担に振り替えられたわけではない。
・建設費に関しては1園建築すると5億円余りが全額区負担となった。でも、高円寺小中一貫校建設計画は75億円のうち補助金はマックス8億円(未定なので)と約1割。たいして補助金が出ない。
・保育園の補助金がないないというなら、高円寺小中の建設費も節約したほうがよい。
です。
 最後に求めてもいないのに、教育委員会次長が長々と答弁しましたが、私の持ち時間があと数秒になった段階なので、反論できないのがわかっていての発言は卑怯ですね。
(以下質疑応答の要旨)
【保護者説明会での問題発言】
(松尾)保育園の民営化について、歳入の面から考えてみたい。
 が、他の委員の発言で話題となった民営化の保護者説明会の議事録について私からも一言申し上げる。保健福祉委員会でこの件をとりあげた際に言ったことだが、議会軽視ともとれる発言そのものが論外だが、議会の権能に関して誤った説明をして保護者が「反対してもしかたがない」と思うように誘導したことに問題があると考えるがいかがか。
(中村保育施設整備推進課長)そういったふうにとられかねない発言だった。保護者に対して新たに補足の説明を作成しているところ。今週中に配布する。
【保育園補助金、公立・私立の運営費の差は6000万円】
(松尾)保育園関係補助金等についてうかがう。国・都の補助金の総額、区立、私立分はそれぞれいくらか。
渡辺保育課長)区立は2700万円余、私立は28億7千万円余。合計で28億9千万余。
(松尾)どういったものについての補助か。
渡辺保育課長)区立は、一時預かりや産休代替。私立は公定価格分(運営費)の負担金、延長保育、一時預かり、定期利用。宿舎の借り上げ、巡回指導に関するもの等々。
(松尾)民営化について、運営費の面ではどういったメリットがあるか。1園当たり平均の運営費の区立と指定管理の比較。
渡辺保育課長)区立は1園あたり2億2200万円余。民営は2億1千万円余。
(松尾)だいたい1園あたり6000万円くらい差がある?
渡辺保育課長)そのくらいです。
【国・都の補助金がなくなったというが】
(松尾)ここで1つ確認したい。古い話だが、一般財源化(国の補助金のうち平成16年に保育園運営費が、18年に建設費が廃止されたこと)による保育の影響額はいくらぐらいあったか。
渡辺保育課長)当時の一般財源化に伴う費用については手元にないので後ほど。(→*文末の注へ)
(松尾)区議会の議事録をみると当時の質疑で6億8千万円くらいじゃないかという発言があった。当時都区制度改革の議論があった。平成19年度に特別区への配分が52%から55%に増えたが、三位一体改革のもと、一般財源化への対応も含まれていたと考えてよいか。
(齊藤財政課長)そのへんも加味して55%に引き上げられた。
特別区財調交付金に保育園の経費も算定】
(松尾)直近の都区財調の算定において、基準財政需要額に保育の費用がどのくらい含まれているか。
(齊藤財政課長)運営費では算定上の数字としては、区立保育園の部分として55億6500万、私立保育園に関しては21億5000万ほど。
【完全に区負担というと誇張では?】
(松尾)一般財源化の分がそのまま上乗せされたわけではないし需要額がそのまま見てもらえるわけではない。しかし、部分的には上乗せ分があるということ。完全に区の独自財源に振り替えられたかのようにいうと誇張ではないか。
(齊藤財政課長)基準財政需要額から基準財政収入額を引いたものが交付金というかたちになるが、例えば港区では収入額が高いから交付金はゼロとか、同じような需要額の規模でも杉並区は交付金370億円に対して板橋区は670億円とかいうこともあるので、なかなかそのなかの保育園部分がどれくらい見られているのかは難しいところもあるが、需要額として算定はされている。
【施設更新費年平均90億円のうち保育園は5億円余り】
(松尾)施設整備の観点から考えてみたい。施設再編整備計画の前提では平成45年までの改築を考えると、区立保育園の改築では何園くらい対象になるか。
(福原施設再編整備担当課長)今後50年を迎えるものが10年で20数園くらい。
(松尾)30年くらいで年に1園程度だと思う。ところで保育園1園建てるのにいくらかかるか。
(高沢保育施設担当課長)区立では(仮称)成田東保育園(阿佐谷南保育園の仮園舎)で5億2600万円余。
(松尾)区立で年に5億円くらいということ。施設再編再編計画では「今後30年間、平均で90億円」とあるうちの5億円。決して安いとはいえないが、保育園の建て替え費用を惜しむために民営化を行うとすれば、それは適切ではないと思うが。いかがか。
(高沢保育施設担当課長)施設整備についてはこの間の議論もふまえて、基本的には「建て替えに伴って10園民営化」でやってきた。29年度にしっかりと区立保育園のありかたを定めて、今後検討していく。
【高円寺小中一貫校の補助金
(松尾)次に、高円寺小中一貫校の建設補助金についてうかがう。国に対してどういった補助金を申請しているか。
(和久井学校整備課長)負担金については、中学校の屋内運動場(体育館)、小学校の校舎と屋内運動場、交付金は危険建物改築とプールの関係、給食室関係の補助金を申請している。
(松尾)資料には国の負担率2分の1とか3分の1とかあるが、実際の補助金はどのように算出されるか。
(和久井学校整備課長)児童・生徒の数、学級数をもとに、定められた必要面積というものがあり、ここから現在の保有面積をひいた面積が資格面積となり、補助金の積算根拠となる。これに実際の工事単価または国の基準単価の安いほうを掛けて、それぞれ補助率を2分の1などをかける。
(松尾)大きい建物を建てればそれだけ補助金が出るという性質のものではないということですね。教室数は何教室で計算しているか。
(和久井学校整備課長)申請の段階では、中学校は特別支援も含めて7クラス、小学校は特別支援を含めて17クラス。
(松尾)少人数教室は入っていない?
(和久井学校整備課長)入っていない。
(松尾)教育長の本会議答弁でも少人数教室は容易に普通教室に転換できると位置づけられているが補助金の対象にはならない。この学校は普通教室、少人数教室を合わせて36教室となっており過大であると考える。計画の縮小は可能ではないかと指摘する。
【建築費75億円に対し補助金は8億円】
(松尾)次に、そもそもこの学校の建築費の総額はいくらか。また、そのうち補助金がいくらか。
(和久井学校整備課長)建築費は75億円余。補助金は2〜3年の総額で8億円余。
(松尾)申請したものが全部認められたとして8億円。全体の1割くらい。
【高円寺小中一貫校の見直して、保育園6〜7園建てられる?】
(松尾)さきほど保育園の話をしたが、この学校の補助金の率も1割くらいとそれほど高くない。保育のほうは国都の負担金がないないというならこの建築計画も見直しする必要。たとえば、校舎分離型一貫校にして中学だけの建てかえであれば、30億円くらい浮く。その金額で区立保育園を6つや7つ建て替えられる。大きな建物を建てるという場合だけ天井知らずで規模が大きくなるのは区政としてバランスを欠いているのでは?
(和久井学校整備課長)小中一貫教育校ということなのでバランスを欠いているとは思わない。
(徳嵩教育委員会事務局次長)先ほどの答弁に補足する。36教室という話があったが誤解がある。少人数教室については「老朽改築計画」の中で施設標準を定め、小学校、中学校とも必要な少人数教室として算定しているもの。人口の動態によっては普通教室に転換もできるということ。高円寺の新しい学校については長きにわたり地域、保護者、関係者の方々と話し合いのなかで将来を見据えて高円寺中学の敷地を活用して、将来にむけて子どもたちの教育環境をつくるという意味での施設。こうした経過をふまえて計画を進めていく必要がある。
(松尾)反論の時間がない。
 こつこつ民営化しても、学校1棟で節約した分がふっとんでしまう。
 最後に。高円寺中では、3日金曜日も今日も住民が集まり工事車両の搬入を阻止した。このようなことは前代未聞で、区のやり方のまずさがこういう状況を招いた。区の担当者は事業者丸投げで現場に行って一切対応しようとしない。とにかく、現場へ行って住民に対して誠意をもって対応するよう求める。
(*注:一般財源化の影響額についての追加答弁=三位一体改革前の公立に対する国・都の負担金は平成16年決算で国6億8800万円余、都3億4400万円余。)