わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

あんさんぶる荻窪の児童館廃止など可決(9月19日保健福祉委員会)

 2017年9月19日保健福祉委員会で、あんさんぶる荻窪に関する3議案が審議されました。
 あんさんぶる荻窪の廃止(予定は2018年3月)にむけて、あらかじめ施設の移転・廃止・新設を決めておくものです。議案第68号(福祉事務所の移転)、第70号(荻窪北児童館の廃止)、第71号(子ども・子育てプラザの新設)の3議案です。私は「あんさんぶるの財産交換は来年3月まで決定されないのだから、それまで継続審議すべき」と動議を提案しましたが、賛成少数で否決。その後採決が行われ、賛成多数で原案可決されました。
 あんさんぶる荻窪荻窪税務署の双方が現在使われている施設であるところから、土地・建物の財産交換は複雑な手続きになっています。現在使っている施設どうしの交換というのは前例もありません(そもそもあんさんぶる荻窪のように新しい施設を交換に供するような愚かな自治体はないということです)。そのため、手順も手探りのようで、委員会質疑にも混乱が見られました。
 私の述べた反対意見、つづいて質疑の主な内容を紹介します。
<議案70号(荻窪北児童館の廃止)に対する反対意見>
 議案第70号について意見を述べる。荻窪北児童館の廃止については反対とする。
【あんさんぶるは「子どもの城」】
 まず、あんさんぶるの財産交換については別の議案への意見で述べたとおり、財産交換自体に反対である。あんさんぶるは地域住民、町会、保護者らが7年間かけて話し合い、遊び場のない子どもたちのために広い体育室やお花畑のある屋上、外階段を中心につくられた杉並区の子どもの城。児童館は年間7万人の子どもが利用している。乳幼児から中高生まで大勢の子どもたちの居場所がなくなることは許されない。そのなかには荻窪駅前の小さな保育施設の子どもたちの園庭機能も含まれている。保育施設建設には熱心な区だが子どもの育ちの環境が悪化することを危惧する。
【財産交換の目的は再開発】
 そもそも財産交換の目的は特養と説明されてきたが、区長の平成22年の要望書により、目的はまちづくりであったことが明らかになった。国の担当者も歴代そのように認識している。あんさんぶるの廃止は児童館を廃止して荻窪の再開発、ビル建設をやりやすくする目的がある。私たちは高齢者か子どもかで悩んできたが、実態は子どもを犠牲にしての再開発が目的と認識した。
【慣れ親しんだ子どもの居場所の大切さ】
 児童館事業についても、杉並区は児童館のすべてを廃止するという計画をもっており、その一環であるところからも反対。児童館事業の重要さはあんさんぶるがいかに活用されているかを見ればわかる。乳幼児から高校生までが利用することの意味、これは時間を経て、一貫して関わってくださる職員さんがいること、また、年齢差のある人間関係が育っていくこと、こうした大変有意義な事業がこれまで展開されてきている。小さいときから慣れ親しんだ自分たちのホーム、居場所だと子どもたちは言っている。児童館廃止の計画の中でも、施設そのものがなくなってしまうのは、この荻窪北児童館が最初となるところから認められない。以上をもって反対とする。
<質疑から>
【あんさんぶる荻窪財産交換の議決について】
 こんなところで1時間ももめるとは思わなかったのですが、説明があいまいで混乱しました(言葉の行き違いもありました)。副区長が「通例」とかいって「他団体ではみんなこうやってますよっ」的な説明をしているんですが、後日「その例は?」と問い合わせたところ、1件出てきただけ。しかも本件とは違って単純な土地交換で価額が変更になったケースにすぎません。
(松尾)来年3月に国と契約しない限りはこの財産交換は成らない。昨年の議決は、財産交換を前提に事業を進めていいよということを承認したものと思っているが、決して、国との契約が結ばれたわけではなく、契約じたいは来年にならないと結べない。それが議会で議決されるまではこの財産交換に関しては議会の意思は定まらない。さきほどの副区長の説明だと、財産交換をやることは議会が決めた、決めたけれど値段がちょっと違うから値段だけ変更するというように聞こえるが、それは間違っていると思う。
(宇賀神副区長)契約は最終的な評価額が決まらないと国との契約はできない。ただ、昨年の1定の財産の交換についての議決は、これを前提に財産交換を判断いただかないと区として進められないので、判断いただいた。最終的には5月の直近の価格で議決をいただく。その価額をもって契約する。
(松尾)そういうことなので「区議会決めたでしょ」と言われても困る。価額を修正しますみたいな発言については間違っているので、訂正していただきたい。
(宇賀神)これまで他自治体の財産交換を見ても、議会の判断を得た上で、議決いただいた価額を変更するのが通例。
【説明会で発言妨害】
(松尾)あんさんぶるを廃止することについての説明会がいまだに行われていないことは、地元の皆さんにとってはまったく納得がいかないこと。議案が出ている最中で、本当に遅きに失しているが、説明会を行うべきと指摘しておきたい。
 先ほど「説明会は単体では行っていないが、施設再編だとか桃二小建て替えなどの際に行ってきた」という説明があった。しかし、実態はどうだったか。私も説明会などに参加させていただいたが「今日はあんさんぶるのことは発言しないでください」とか、これは甚だしいケースだが、あんさんぶるのことで発言しようとした地元の人を、司会がその人だけ1分で遮って、マイクで声をかぶせて他の人に聞こえないように妨害行為のようなことも行われたことを目撃した。実態としてはこういうことだった。話そうとした人を司会が途中で止めたりとか、考えられない行為が行われた。
 だいたいあんさんぶるの話をどうして桃二小でやらないの、若杉小でやるの、ということも指摘されていた。そのように区は説明を逃げてきている。だからこそ、いろんな場で、あんさんぶるのことを聞きたいといって発言されるのは、天沼3丁目の説明会の場などで私も見てきた。だって、前提となっているあんさんぶるの財産交換の話が説明されていないじゃない、と思うのは当然のこと。
 町会に対して説明してほしいということが、町会長と区との間でやりとりがずっとされてきた。私はそれを小耳にはさんでいて、こんど何日ごろにやるらしいよとか、それがのびて今度は議会があるから議会が終わってからやるらしいよとか、何度かあって、結局やられないで終わってしまっているという実態がある。
【一番被害をうけるのが児童館】
(松尾)あんさんぶるの財産交換で一番被害を受けるのは児童館。他の施設、福祉事務所とか消費者センターとかは天沼3丁目の新しい複合施設に移転する。だけれども児童館だけは移転せずに廃止されてしまう。子どもたちにとった大切な施設がなくなってしまうことを確認しておきたい。
 あんさんぶるがどのように使われているかについて確認しておきたい。児童館がどのように子どもたちに活用されているか。
(藤山児童青少年課長)利用の実態としては平日は1日200名以上の利用がある。学童クラブ100人と一般利用の子。乳幼児親子も多い。一方、中高生の利用は非常に少ない。1日平均3名くらいの状況。
(松尾)全区の児童館の中でも最も利用人数の多い児童館。地域の方たちは、荻窪の駅前なので学区の中に大きな公園がない、本当に小さな公園しかないので子供達が走り回れるような場所をということで200平米の体育館をつくられたと聞いている。
 また、屋上、階段も含めて子どもたちが使ったりできる状況にあるときいているが。
(福原施設再編整備担当課長)詳細は手元にないが、自由に出入りができるので親子で利用したりという現状はあったのでは。
【子どもたちを思ってつくられた屋上庭園】
(松尾)この階段や屋上庭園も近所の人たちがこの施設をつくる際に荻窪の駅前は自然がないので植物や虫に触れさせてあげたいということでつくられたもの。これが税務署になってしまったときに、屋上、階段の庭園は区民が使えるものなのか。
(福原)現在税務署の設計を進めているところなので、どういった利用ができるかは状況をふまえて。
(松尾)言いたいことは、この荻窪児童館は、児童館単体でもすばらしい児童館ではあるが、あんさんぶるという施設の中にあって、屋上や階段の庭園であるとか、3階のフリースペース(情報資料コーナー)を勉強に使うお子さんとか、あるいは親子で児童館で待ち合わせとか3階のスペースを使ったりとか、いろんな使い方のなかで、子どもたちが大人とも接しながら、児童館の活動や自分たちの遊び、趣味の活動を活発に展開していけるという非常に理想的な条件のあるところだということ。そういう意味からもユニークな場所であって、あんさんぶるを廃止することは大きな損失になると思う。
【小さいときからの居場所】
(松尾)次に中高生の話をしたい。中高生の利用が少ないということだったが、ゆう杉並の利用と地域の児童館の中高生の利用のしかたの違いは把握しているか。
(藤山)一般的な児童館では非常に利用状況が低調になっている。きわめて限定的な利用。ゆう杉並は中高生専用施設なので、非常に活発に活動してきた状況。
(松尾)担当課長でいらっしゃるので、もう少し実態を詳細にというか、現場に接近したところで認識していただきたいとあえて申し上げる。私は中高生にも意見をきいたが、ゆう杉は非常にアクティブな場所であって、なにか、たとえば、バスケやりたいとかバンドやりたいとかいう子が遠くからでも行こう!という場所なので、そういう趣味を展開するのにいい場所。仲間で頑張ろうぜ、という場所。地域の児童館とどう違うかというと、地域の児童館は、小さいときから行っていた場所、なじみの場所、乳幼児から行っていた子もいれば、小学生で行き始めた子もいるが、昔から行っていて年下の知っている子がいるとか、知っている職員さんが昔からいるとかで人間関係もあるし場所にもなじみがあるのですごく落ち着ける場所だというんですよ。ゆう杉はゆう杉でいいが、地域の児童館の意味はそういうところにある。
 ひところ中学生が事件にまきこまれることが、大変な事件が相次いだころに、みなさんが「中学生の居場所をつくってあげなきゃ」と口々におっしゃっていたが、幸いにして杉並区でそういう事件が起こらないというのは児童館という、悩みがあったときに児童館の先生にしゃべれる、年下の子の面倒をみることで有用感を感じたり、そういう場所があったことが杉並の中高生のセイフティネットになってきたのでは。何かをやりに行く場所ではなくて自分の居場所がここにあるという意味で大事であり廃止することには疑義がある。
【保育園の子も使っている】
(松尾)次に、先ほどの屋上庭園のこととも関係するが、保育園の皆さんがこの施設をどのように使っているか。
(有坂保健福祉部長)私は平成16年に児童青少年課長、18年は環境の課長だった。周辺の保育園がお散歩に来ていた。
(松尾)多分そのころよりもたくさんの保育園、保育室が荻窪の駅前にできている。南口の場合は区立の保育園ですら園庭がない。保育室はビルの3階、4階に入っていて、公園が少ないなかで、あんさんぶるは大変人気。毎日どこかしらの保育園の子がカートできたり、手をつないで来ていて、児童館で遊んだり、庭園で遊んでいたりという光景が見られる。あんさんぶるは保育園の園庭としての機能を果たしてきたんだということを確認したい。今後小学校に小学生の居場所等を移転するというが、そういった子どもたちの受け皿がなくなってしまうのではないか。
【公園は児童館の代わりにならない】
(松尾)次に、先ほどからお話しの出ている4丁目公園の話ですが、場所的に駅前からは遠い。広い通りを渡って行かなければいけないということで、あんさんぶるの代替だと言われても納得できない。
(藤山)児童館の機能がそのままそこに移転するということではないが、荻窪北児童館の機能を移転するがまだ足りないというご意見も聞かれたなかで子どもの居場所の機能を充実していこうと考えた。地域の環境を整えていくうえで大きな機能を果たせる。
(松尾)他では利用率の高い公園をつぶしたりしているので公園を増やすことはけっこうだと思うが、児童館のかわりにはならないですよね。露天であって屋根があるところじゃないから雨の日は使えないとか、児童館は専門の職員さんがいるが公園にはいないとか、そういうことをいうまでもなく、公園が児童館の代わりにはならないですよね。公園もつくるから、というのはいいわけかなと思います。