わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

高円寺の工事延期の理由は「妨害」ではありえない(補正予算にたいする反対意見)

 2017年12月6日本会議補正予算に反対する意見を述べました。理由は、成田西児童館、下井草児童館の廃止・再編の費用が含まれていることです。また、補正予算に関連して、高円寺小中一貫校の工事延期の理由を区が「住民の妨害行為があったから」と述べていることについて新たな情報も含めてあらためて指摘しました。
(以下、原稿です。実際の発言とは一部異なるところがあります。)
 議案第83号杉並区一般会計補正予算(第5号)について反対の立場から意見を述べます。反対の理由は、児童館の廃止と児童館事業の再編の費用が含まれていることです。成田西児童館および学童クラブについては、保健福祉委員会において廃止に対する反対意見を述べましたので詳しくは述べませんが、区内児童館をすべて廃止していくという区の計画が区の子ども政策として致命的な誤りであることについてはあらためて強調しておきます。
 保健福祉委員会では、成田西児童館では中高生の利用が少ないので「ゆう杉並」に利用を収斂するという答弁がありました。中高生の利用が少ないことは中高生のニーズにこたえきれていないということであり、区政が真剣に取り組まなくてはならない大きな課題です。もともと利用が少ないのだからなくしてもいいというのは職務怠慢であり、無責任かつ不見識な答弁としかいいようのないものです。あらためて真剣な対策を求めます。
 下井草学童クラブの移転整備は、下井草児童館の廃止にむけてのものであり、廃止には断固反対します。昨年、向井公園を一部廃止しての保育園建設に対し、地域の皆さんが公園をつぶさなくてもすむようにと提案したのが、下井草自転車集積場を他に集約することで保育園建設用地とする案でした。当時、区はこの案を一顧だにせず向井公園の廃止にこだわりました。その後、公園の代替地および学童クラブの移転用地として同集積場が示されたことに対し、提案した区民の皆さんは呆然としました。保育園と共存していこうとする住民の前向きな提案を逆手にとり、公園を廃止したばかりか、今度は隣接する児童館まで廃止し、子どもたちの居場所をさらに奪おうとする区のやりかたは、公園つぶしに反対した地域への報復とすら受け止められています。
 さらに、学童クラブの移転計画そのものにも疑問があります。公園の代替としてボールネットが先に建設されたために、学童クラブが間にネットをはさむ形で2つに分断されること、学童クラブが1か所で200名と巨大な規模になること、これまで学区の東西2か所にあった学童が1か所になってしまい、学区の東側の児童は自宅から遠くなることなどです。これらの理由により下井草学童クラブの移転には反対します。
 次に、債務負担行為の変更について述べます。高円寺小中一貫校建設工事の債務負担行為の期間が31年度まで延長されたことについては、反対はいたしませんが、その理由には大きな疑問があります。それについてはすでに一般質問でとりあげたところですが、新しい事実が判明しましたので、あわせて述べたいと思います。
 同建設工事工期延長の理由を、区が「工事妨害があった」と述べていることについて、私は一般質問で、延長の真の理由は東京都建築安全条例および建築確認(計画通知)の手続きに時間がかかったこと、さらに天候不順や地下水、オリンピックの影響による竣工検査のスケジュール延長などがあるのではないかと指摘しました。その後、文教委員会、総務財政委員会でこれらについての詳しい質疑が行われました。委員の皆さんの質疑のなかで明らかになったことは、住民の抗議行動による工事の遅れと称するものはあったとしてもほんのわずかであり、3か月とか4か月とかいうほどのものではなかったということです。担当課長は「妨害により車両が入れなかった日は4日」と答弁しており、いくら再調整に時間がかかるとはいえ、4日のことが4か月にまで拡大されているのは無理があります。また、天候による遅れが何日あったのかとの委員の質問に対してはその日数を把握すらしていないこともわかりました。それに対し、建築確認は予定よりも3か月も遅れたとの答弁があり、どう考えてもこちらが真の理由と考えるべきです。
 さらに、最近になって区民に対して開示された書類では、6月時点ですでに工事業者、設計業者と区の間で工期の検討がなされていたことがわかりました。この書類を検討してみましたところ、既成杭の発注が5月時点で3か月余り延期されていたことがわかりました。杭ができあがらなくてはそもそも工事にかかれません。他方、発注は住民が妨害しようのない行為であり、住民の行動は全く影響を及ぼしていません。もっと早く発注することもできたのに、杭の発注が5月初めまで延期された理由としては、計画通知が4月18日まで下りなかったそのことによるとしか考えられません。すなわち、計画通知の遅れが杭の製作の遅れに、そして工事全体の遅れに導いたと考えるのが妥当です。その他、歩道の切り下げの申請もやはり5月に延期されています。
 なぜこのような遅れが生じたのか。第一に考えられるのは土質調査の不十分さなど設計者の問題です。そうでないとすれば、杉並区側のスケジューリングの甘さ、そもそもの計画に無理があったことなどが考えられます。いずれにしても、責任は住民にはないということがわかりました。しかし、住民の抗議行動が行われたことをこれ幸いと「地元の神様」として利用して、区は責任を回避しています。きわめて不当、不公正な行為といわざるをえません。
 杉並区は「工事妨害による工事の遅延」という説明を即刻撤回し、区民、保護者に対して正確な説明をあらためて行うべきです。このことを強く求めておきます。以上議案に対する反対意見といたします。