わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

わくわくレポート新年号<保育編>

保育料値上げ、民営化、待機児童問題 〜杉並の保育が大きく転換される〜
★1【待機児童問題】
 杉並区は平成29年4月1日時点の待機児童を29人と発表し「杉並の保育、危機を回避!」と大々的に宣伝しました。しかし、杉並区の「待機児童数」は区保育室や認証保育などの認可外施設に入所した人を除外しているため、待機児童の実態とは大きくかけ離れています。朝日新聞の調査では杉並区の待機児童は1,853人で全国5位でした(表)。「危機回避」どころではありません。
(表:隠れ待機児童数 朝日新聞調べ)
    隠れ待機児童 待機児童)
1位 横浜市 3257人  2人
2位 川崎市 2891人  0人
3位 港区  2510人  171人
4位 大阪市 2264人  325人
5位 杉並区 1853人  29人
★2【保育料値上げ】
 年末の区議会で可決された保育料値上げでは、生活保護世帯を除く全世帯がもれなく値上げの対象となります。具体的には、
・住民税非課税世帯:これまで負担ゼロだったが今後は有料に(23区内での前例は6区のみ)。
・年齢区分:これまで「3歳未満」「3歳」「4歳以上」の3区分だったのが「0歳」「1・2歳」「3歳以上」の区分に変わり、特に0歳、4・5歳での引き上げ率が大きい。
・引き上げ率:0歳児については2割程度、1〜3歳児については1割程度、4・5歳児については1〜3割程度の引き上げ。
★3【区立保育園の民営化】
 区立保育園の民営化方針(「今後の区立保育園の役割と民営化の方針について 保育のあり方検討部会報告」)が発表されました。区役所の内部だけで検討したもので、区民には全く公開されていません。報告書を見ても審議の経緯は全くわかりません。杉並区は意思形成過程が本当にブラックボックスです。
 松尾ゆりは、他区の状況を調べ、杉並区と違い慎重に進めていることを指摘しました。それぞれの区が理念を持って進めています(表)が、杉並区は「民営化ありき」で理念がありません。
 具体的には、
・区内を7地域に分け、各地域2園を中核園とする。障害児指定園を14園指定。これらは区立として存続。
・中核園と障害児指定園は重なる場合もあり、最悪区立園は14園(現在の3分の1)になる可能性もある。
平成36年までに6園を民営化する。現在進行中の上井草、杉並のほかに新たに中瀬、井荻保育園が指名された。
・指定管理(公設民営)の7園も民設民営に移行する。これは上記6園とは別枠(つまり平成36年までに最大13園民営化の可能性)。
・これまでは保育園の老朽建て替え時に民営化していたが、今後は園舎の新しい園も民営化する。その場合、土地建物は区有のまま賃貸する。
(表:23区の事例)
北区:区立を4園新設。
文京区:1園のみ民営化、その後は民営化しない方針に転換。
江戸川区:民営化した園は全て、区内の私立幼稚園・保育園が共同で設立した法人が運営。
世田谷区:民営化はせず区立を統廃合、跡地を民間保育園に。
<保育料とはなにか。保育とはなにか。>(保育料値上げに関する松尾ゆりの質疑より)
・保育料は「サービス購入の対価」ではない。児童福祉法では「保育にかかる経費は市町村が負担する。その一部または全部を利用者から徴収することができる」と規定。
・同じく「能力に応じて負担」とも規定され、所得に応じて負担するのが原則。
・保育は就労支援サービスではない。親の所得や就労状況によらず「保育に欠ける」子どもに健全な生活を保障するための「児童福祉」。
・23区は保育料を他地域よりもかなり安く抑えている。それは、生活費がかかる都市部において子育て世帯を応援するため。