わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

教育長の任命同意に反対しました

 2018年3月15日杉並区議会本会議において、教育長の任命同意に反対しました。以下原稿です(実際の発言と異なる場合もあります)。
<反対意見>
 議案第39号教育委員会教育長の任命の同意について、について意見を述べます。
 井出隆安氏は、2006年に教育長に就任されて以来、12年にわたって勤めてこられました。その間、多くの業績もあったかとは思いますが、杉並区の教育をめぐっては、見過ごせない大きな問題が、それも主に区行政、教育委員会の側から引き起こされてきました。
 一例をあげれば、区民、地域の意向を無視した強引な学校統廃合、小中一貫校の推進です。神明中の廃校問題では地域ぐるみ区政の大問題となり、計画が撤回されました。和田中民間人校長による夜間塾いわゆる「夜スペ」の開講と同校PTA廃止、地域本部の不明朗会計の問題では、教育委員会は問題点の糾明どころか、10年間にわたり同校で民間人校長を存続させ、利権を擁護しました。教科書問題では、井出氏就任以降も2009年採択において、いわゆる「つくる会」歴史教科書が採択され、その際には井出氏自ら賛成意見を表明しています。最近でも、学校をめぐっては、高円寺小中一貫校問題、また、杉一小改築をめぐる朝令暮改、あんさんぶる荻窪財産交換にまきこまれた桃二小の前倒し改築などの問題が起きています。
 さらに、社会教育分野に対する認識が薄く、政策の後退が目立ちます。教育ビジョン等をみてもそれは明らかです。
 原水禁運動発祥の地という輝かしい杉並区の歴史は、杉並区立公民館での主婦たちの学びが原点でした。住民自らが学ぶことにより、自ら社会問題解決の道を見いだしていく、社会教育活動は自治の基板となるものですが、とりわけ昨今の杉並区は社会教育部門の縮小が目立ちます。日本一の科学教育施設として、国際的にも高い評価を受けていた科学館の突然の廃止はいうまでもなく、公立図書館では指定管理化が推進され、また、今年度から中央図書館長が生涯学習担当部長兼任となり、実際上の格下げとなったことは由々しいことです。スポーツ関連部門が区民生活部に移されたことも、事業の位置づけを全く変えてしまうもので問題です。
 これらの問題は、ひとり教育長の責任というわけではなく、むしろ区長および区長部局の意向を強く反映した結果でもあると思います。しかし、そのことこそが問題です。教育長は本来、政治の不当な支配に屈することなく、教育の独立を守る責務があります。井出氏はその任を十分に果たしておらず、区長および区長部局にとって都合の良い教育長になってしまっているのではないでしょうか。
 年齢の問題も言わなくてはなりません。井出氏は71歳とのことで、教育委員のおひとりであればまだしも、教育行政全体の実務を先頭に立って牽引していくべき教育長としては高齢といわざるをえません。後進に道を譲るべきときではないでしょうか。
 以上、井出氏の教育長任命同意に対し反対の意見とします。