わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

阿佐ヶ谷北口開発、情報公開と公聴会を求める(2019年6月4日一般質問)

 2019年6月4日、杉並区議会第二回定例会において一般質問をしましたので、質問原稿を掲載します。ところで、今回の一般質問を前に、これだけはどうしても許せないというポイントが2つありました。

・杉一小と権利交換する対象である河北病院用地の価格など情報について「個人情報だから公開できません」と説明していた区の幹部。

・学童クラブの民間委託先を選定する「選定委員会」の委員に選ばれた保護者に「このことは誰にも口外しないように」と口止めしていた区職員。

 両方とも「こんなルールがあるはずない!」と質問するつもりでした。ところが、事前の打ち合わせの段階で、各担当課から「それは間違いです」「そんなルールはありません」というお返事があったのです。ほっとする一方、じゃあ、なぜ区民に対してウソをついて隠したり脅したりするのかとの憤りは消えません。

 以下原稿を掲載しますが、内容の概要は、

1.阿佐ヶ谷駅北東地区のまちづくりについて

 いよいよ事業認可に向けて区が加速しています。しかし、区民の多くはいまだにこの計画を知りません。知らされていないのです(説明会に参加するなど、計画を知った人は強く反対しています)。土地交換にむけての土地評価額、事業費の区負担額、河北病院の汚染、けやき屋敷の緑と生態系の実態、etc. 区民になにひとつ公開せず重大な財産処分を行おうとしていることに対し、情報公開と公聴会の開催を求めました。

2.児童館・学童クラブについて

 来年3月には児童館がいっきに5館も廃止されてしまうのです。廃止の説明会にいくと、地域の皆さんが「児童館は子どもたちを守るために必要。どうしてなくすのか」と口々におっしゃっていました。

 児童館廃止の目的の一つは学童クラブの民営化です。学童クラブの委託に際して、選定委員会の「守秘義務」、事業者の参入資格が「同様の事業1年以上の実績」が区の要綱に反している件、また、委託された学童クラブの職員に欠員が生じていること、桃五学童クラブの「つめこみ」状態の解消を求めることなど、などを質問しました。 

(以下は質問原稿です。実際の発言とは異なる部分があります) 

1.阿佐ヶ谷駅北東地区のまちづくりについて

 一般質問をいたします。第一に阿佐ヶ谷駅北東地区のまちづくり、阿佐ヶ谷の再開発についてうかがいます。

 私たち区議会議員の選挙が終わったとたん、区役所はこの計画の実現へむかっていっきに駆け出したようです。開票から3日目には都市計画審議会が開かれ、10連休をはさんで連休明けの7日に土地利用構想の届け出、公告・縦覧開始、そして先々週は7日間の間になんと4回もの説明会およびオープンハウスが開かれるというハードスケジュールでした。 

<重要な情報が全く公開されない>

 阿佐ヶ谷再開発に関する区政の重大な問題は、計画の是非に直結する重要な情報が全く秘匿されているということです。国の情報隠しもひどいですが、それ以上です。

  杉並第一小学校という駅前の一等地にある区有地を処分する計画であるのに、肝心な換地関連の情報は全く示されていません。土地区画整理事業の費用負担も闇です。河北病院の土壌汚染や地質についての情報もありません。また、けやき屋敷の自然環境調査が行われているはずですが、いまだに現況の緑や生態系の実態すらわかりません。

 近隣の皆さんが最も知りたい、河北病院の建築計画も全く不明です。先日の説明会では近隣の方が「日照や電波障害についての情報が全くないのでは、計画に賛成のしようがない」と発言されていました。あたりまえだと思います。

 杉一小跡地に何ができるのかも一切説明されない。10年以上先の計画とはいえ、全く決まってないということはありえず、すでにプランはあるはずです。

<説明会で進め方への批判が多数>

 これほどまでの秘匿ぶりは、あまりにも区民を愚弄しています。当然の帰結として5月24日に行われた地区計画素案の説明会では、区の進め方に対する批判的な意見が相次ぎました。

「説明会というが、決まったことを発表しているだけではないか」

「すぐ近所に住んでいるが、最近までこの計画を知らなかった」

「住民が知らないのに進めるのではなく、もう一度最初からやりなおすべき」

 そして、最後には「今日発言した人は全員反対だったということを確認しましょう」という発言があったくらい、区の進め方に納得いかない方が多数でした。

  まずは、どれくらいの人にそもそも計画情報が伝わっているかを確認するため、阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくり意見交換会及びオープンハウス、土地利用構想オープンハウス、地区計画素案説明会及びオープンハウスのそれぞれの開催回数と延べ人数をお示しください。また、地区計画素案説明会における発言者の人数、およびどのような意見が出されたかをお示しください。(Q1-1、2、5-1)

<意見募集で8割は反対、懸念>

  時期が前後しますが、1月末から2月にかけて、まちづくり計画に関する意見募集が行われました。その結果を区のホームページ上で確認しますと、81名、150項目という多数の意見が寄せられています。しかも、数えてみると、そのうち約120項目、つまり約8割の意見は、反対もしくは一部変更を求める、疑問があるという意見です。意見募集自体がろくに告知もされない中でも多くの方が意見を寄せて、阿佐ヶ谷の将来を心配しているのです。

  内容をみると、屋敷林の保全を求める人が6割強、また、杉一小の移転に反対の人が4割を占めています。これらの意見を尊重する気が少しでもあるなら、いったん立ち止まり、時間をかけて計画を全面的に見直すべきです。地区計画素案説明会及びまちづくり計画の意見募集に対する意見のうち、今後、どのような意見が、計画のどの部分に反映されていくのか、説明を求めます。(Q1-2-2)

都市計画法公聴会の開催を定めている>

  私は、第一回定例会において、地区計画に関する公聴会の開催を求めました。しかし、区の答弁は「公聴会は例示のひとつ」というものでした。この答弁については、予算特別委員会で誤りを指摘しました。すなわち国交省の「都市計画運用指針」では、「法第16条第1項において公聴会の開催を例示しているのは、住民の意見を反映させるための措置として、住民の公開の場での意見陳述の機会を確保するべきという趣旨であることに留意する必要がある。」と述べ、さらに、説明会は、都市計画の原案について住民に説明する場であるのに対し、公聴会は、住民が公開の下で意見陳述を行う場であるとしており、単なる例示ではないこと。したがって、特に必要がないと認められる場合以外は公聴会を開催すべきとしていることです。説明会だけではだめなのです。そこで、あらためて国の運用指針に沿った公聴会を開くことを求めますがいかがか。

 また先の答弁では「十分な陳述の機会を設ける」とのことでしたが、それは何を指すのか、答弁を求めます。(Q1-3)

  同様に、土地区画整理事業についても、杉並区まちづくり条例に定める土地利用構想に関する公聴会を開くことを求めます。条例28条では、大規模開発事業の手続き等について、「区長が必要と認めるときは公聴会を開催できる」と規定しています。区民からも土地区画整理事業に関する公聴会開催を求める陳情が提出されているところです。地区計画および区画整理事業の双方について、区長は、公聴会を開催すべきですが、いかがか。答弁を求めます。(Q1-4)

 なお、同条例26条には「区民等」が土地利用構想について意見を提出できるとありますが、オープンハウスで配布された資料には「周辺に居住する者等」となっており、周辺の人しか意見を出せないのかとの誤解を招きます。区民には正確に告知すべきであり、説明を求めます。(Q1-5-2)

<歴史的にも貴重な屋敷林の消滅という愚行>

 さて、阿佐ヶ谷再開発に関して、個別の課題について述べます。第一に屋敷林の消滅という問題です。何度も指摘してきたように、この屋敷林は杉並区自身が選定した「杉並らしいみどりの保全地区」であり、また、東京都により「旧跡」指定も受けている文化財でもあります。四百年続いてきたともいわれるこの歴史的な屋敷林を、こともあろうに、区が主導して一部の大企業や有力者のいっときの金もうけのために消滅させるというのはなんという愚行か、蛮行か。実施されるなら杉並区の歴史に大きな汚点を残すことになるでしょう。

<緑化率25%では森は守れない>

 地区計画素案で区は、けやき屋敷の緑化率の最低限度を25%と定めました。ところで、地区施設として計画されている保存緑地等の面積を計算すると病院予定地の約15%にあたります。さらに沿道に新たな植栽を行うとしているので、両者をあわせるとそれだけで25%になりそうです。それでは森は残りません。そこでお聞きしますが、25%には地区施設の保存緑地等を含むのでしょうか。地区施設は公共的なものであり、病院敷地の緑化率からは除外して計算するべきと考えますがいかがか。

 また、緑化率を定めただけでは拘束力がなく、地区計画緑化率条例を定めるべきであるが、いかがか。条例を定めないのであれば緑化率はさらに10%程度引き上げるべきと考えるがいかがか。答弁を求めます。(Q1-6)

絶滅危惧種のタカ「ツミ」がいると判明>

 次に、屋敷林の貴重な生態系の問題です。先の一般質問や予算特別委員会で指摘してきましたが、区の委託した自然環境調査においてもツミが確認されたと聞きました。先に指摘したように、ツミは東京都の定めるレッドリストで23区部及び隣接する北多摩地区において「絶滅危惧1A類」即ち「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの」とされており、都の「開発の手引き」では、環境省の「猛禽類保護の進め方」のオオタカの扱いに準拠して調査・保護することとされています。「保護の進め方」では、採食地(餌場)の喪失がタカの繁殖への大きな痛手となることから潜在的な採食環境を含め保全されることが重要、としていますが、ツミが飛んでいるからには、けやき屋敷が他の場所に営巣しているツミの採食地として保全の対象となる可能性が高いと思われます。仮にけやき屋敷にツミの営巣が確認された場合は今後の計画にどう影響するのでしょうか。また、巣はなくとも行動圏であると確認された場合はどうでしょうか。答弁を求めます。(Q1-7)

<掘削除去で汚染がなかったことにはできない>

  次に、杉一小の移転予定地とされる河北病院の汚染の問題です。他の議員からの質問に対し、区の答弁は依然として、三者協定で河北病院が汚染拡散防止措置(掘削除去)の費用を負担するので大丈夫というものでした。それではダメなんだということは、予算特別委員会において、第一に土地の権利交換の評価額への影響、第二に土壌汚染対策の責任の所在、第三に学校が開校してからの環境汚染の3つの観点から指摘したところです。

<汚染が除去されても土地の価格はマイナス評価>

 第一の土地評価額の問題では、換地の際に、区が大幅に損失を被る恐れがあります。日本不動産鑑定士協会連合会の「不動産鑑定評価基準に係る実務指針」では「土壌汚染の存在の可能性が認められたときに、それが価格形成に重大な影響を与えないと判断できる場合以外は、土壌汚染の影響を考慮しなければならない」とし、さらには、例え汚染が除去されたとしても、土地の最有効使用の制約、汚染物質の残存の可能性、また汚染地であったということによる心理的嫌悪感(トラウマ)などにより、不動産の減価を招くことに注意を促しています。

 つまり、区がいうような、河北病院が全面的に責任を負うという理由で土壌汚染がない土地と同等とする扱いは誤りであり、仮にそのように扱うなら、それはそのまま、土地価格の過大評価すなわち地権者に対する不当な利益供与ということになります。

<病院の土壌汚染対策は期限つきでは>

 第二に土壌汚染対策の責任です。区は、掘削除去に加え、瑕疵担保責任条項を入れれば、病院側がすべての汚染に責任を負うかのように描いています。しかし、瑕疵担保責任は永遠ではありません。たとえば馬橋公園の拡張用地に関して国との間に結ばれた契約では瑕疵担保責任は2年間であるとのことです。杉一小移転後までは保障されないと考えられます。 

<土壌の全面入れ替えを誰が負担するか>

 従って、第三の小学校用地の問題になります。見つかったところだけ除去するという対策では、後々新たな汚染が見つかる可能性が高く、汚染の危険を完全に回避するためには、土壌の全面入れ替えしかないこと、そして、その費用は区の委託調査により7億3千万円と算定されていることも指摘してきました。この調査では学校建築の費用、即ち区の負担として計上されていましたが、本来は原因者である河北病院が全面的に負うべきです。区は、病院側に負担を求める考えはあるでしょうか。所見を求めます。(Q1-8-1)

<汚染の履歴調査に何年かかるのか>

 また、汚染対策はまず履歴の調査からです。他の議員の質問に対し「病院側は履歴調査を行っているところ」との答弁がありましたが、書類上の調査にいったい何年かかるのでしょうか。3年前の計画策定以前から取り組まれているはずの履歴調査は、とうに終わっているはずですが、区は履歴情報を取得していないのでしょうか。確認します。(Q1-8-2)

<ボーリングはいまでもできる>

  なお、ボーリング調査は病院移転、建物解体後に行うとされていますが、これも馬鹿にした話で、操業中でもボーリングはできるのですから、早急に土壌調査を行うべきです。

<一等地の杉一小を二束三文の土地と交換>

 最後に換地計画です。この開発計画の核心は、何よりも、杉一小用地という阿佐ヶ谷駅前の一等地を開発のタネ地として民間の開発事業者に引き渡すことであり、ひきかえに病院跡地の汚染地で、しかも昔は川や田んぼであったゆるゆるの軟弱地盤、浸水地という誰も買わない二束三文の土地を区が引き受けるというところです。照応原則に反する不適正な権利交換であり、汚染地のロンダリング豊洲市場の小型版ともいえます。

<「個人情報だから非公開」のウソ>

 先日の土地利用構想に関するオープンハウスで、参加した区民の方が、河北病院の土地の価格について尋ねたところ、区のある幹部が「個人情報なんで公開できません」と繰り返し答えている場面に遭遇しました。ところが後日、所管課に確認したところ、あっさりと「個人情報だから公表できないなどということはない」とのことでした。区の幹部が、区民に対して、どうしてこういうすぐばれるウソをつくのか。区民を欺しても、区長および大企業や地域の有力者に便宜を図るというならあきれるしかありません。

<情報公開は「のり弁」>

 私は情報公開により、2017年2月3日の「杉並第一小学校施設整備に関する地権者等調整」の資料を入手しましたが、そこには協議内容として「不動産鑑定評価等について意見交換」と書かれ、暫定版ではありますが、不動産鑑定評価の資料がついていました。区はとっくに鑑定評価を行って、結果を持っているのです。ところが、開示された資料は杉一小以外の部分が真っ黒にマスキングされた「のり弁」状態でした。土地の情報は、本来公開情報であるはずです。まして、区有地の処分に関わることですから秘匿は許されません。

 学校用地は区民共有の財産です。区民はその処分が正当な価格に基づくものかを知り、評価する権利があります。事業認可がおりて、仮換地が実施される前に、換地計画および関連情報を公開するよう求めます。できないとすれば、どのような根拠法令によるものか。説明を求めます。(Q-1-9)

 区の財産を毀損するなんてことはないと区長は以前答弁していましたが、それを証明する情報をなにひとつ出せないでいます。それこそが後ろめたい証拠ではないでしょうか。正しい政策だと自信があるなら、区民に情報を開示して正々堂々と議論するべきです。区民への情報公開と公聴会の開催を改めて強く求めます。

 2.児童館・学童クラブについて

 次に、児童館・学童クラブについて質問します。区立施設再編整備計画第一期第二次プランにおいては、児童館9館の廃止が予定され、すでに今春、下井草児童館が廃止となりました。

<地域に支えられ子どもを守ってきた児童館>

 来年廃止になる5つの児童館のうち、私は3月に行われた3館の説明会に出席しました。どの児童館においても、地域の町会やボランティアの方々が積極的に発言され、一つひとつの児童館が、地域の力に支えられてきたことを改めて知ることができました。

 児童館は子どもが自由に来館し遊ぶことのできる文字通り児童の館であり、その目的には健全な遊びを通じて子どもの健康と情操の発達をはかることがうたわれています。単なる遊びの提供ではなく、児童館という安心できる場所で、子どもが信頼できる大人と関わりながら成長していくところに大きな意味があります。

<児童館職員の専門性をムダにするのか>

 中でも最も大きな力は児童館の職員さんの専門性にあります。ある館の説明会では参加者から「児童館の職員さんが地域のネットワークをつないでくれている。区は『いいまちはいい学校をつくる』と言っているが、その基本をつくってきたのは児童館です」と評価する声、また「いま児童虐待がこれだけ大きな問題になっているときに、杉並区はなぜ児童館の職員を減らし、民間委託するのか。長年つちかってきたノウハウを無駄にする行為ではないか」という疑問などが出されました。

 単なる子どもの遊び場という意味では放課後等居場所事業も一定の役割を果たすことを否定はしません。しかし、児童館が行ってきたのはそれだけでなく、地域の「子育てネットワーク」で学校など公共機関、児童福祉施設、地域の人々がつながりあって、子どもを守る中心となってきました。これは、0歳から18歳までの子どもを長い目で見守る児童館だからできることなのです。

 そこでうかがいますが、区は児童館がこれまで果たしてきた、また現在果たしている役割の重要性についてどう認識しているでしょうか。所見を求めます。(Q-2-1)

<学童クラブ民間委託ガイドライン

 次に、児童館の廃止に伴う学童クラブの民営化についてうかがいます。杉並区は先日「学童クラブの民間委託ガイドライン」を定めましたが、このガイドラインに関連して質問します。もとより保護者はこれまでの区直営の学童クラブを望んでおり、決して民営化に積極的でないことはまず指摘しておきます。

<「選定委員になったことを誰にも言わないように」?>

 第一に選定委員会のありかたです。選定委員10名のうち4名を保護者委員としたことは評価できます。

 ところが、選定委員に選ばれた保護者に対して、区職員が「選ばれたことは誰にも言わないように」と口止めをしたという話を聞きました。所管課に確認したところ「そういう運用はしていない」とのことで安心しましたが、こんな何の根拠もない架空のルールで保護者を脅すようなことが行われているとすればきわめて問題です。そうでなくても、小学生の保護者が夜間の会議に出かけなくてはならないことだけでも大きな負担です。それでも子どもたちのためにがんばろうと引き受けた方が、まわりの保護者に相談もできないような状況に追い込むのは言語道断です。個々の職員が独断で言ったとはとても思えません。子ども家庭部として反省し、今後はこのようなことのないようにしていただきたいと思います。

<保護者委員は保護者の意見を伝える役割>

 保護者委員は、あくまで保護者の代表であり、保護者間で必要な意見交換、情報共有が図れるようにしていただきたいと考えますが、所見を伺います。

 また、保護者の意見をまとめるうえでも、委員会の内容はできるだけ保護者どうし共有する必要があります。その際、選定委員となった方は、委員会の内容をどこまで話していいか悩むことになるでしょう。そこでうかがいますが、選定委員の守秘義務の範囲は何と何か。また、その根拠となる法令はなにかをお示しください。(Q2-2)

<事業者の応募要件「経験1年」は要綱違反では>

 次に、事業者の応募要件について質問します。このたびの民間委託ガイドラインでは、応募要件として、学童保育等の1年以上の実績があることとされ、私は、たった1年かと驚きました。ところが、杉並区委託事業プロポーザル実施取扱要綱第9条においては、参加資格要件として「提案業務又は類似する業務を引き続き2年以上営業していること」とされています。明らかに要綱に反しているのでガイドラインの訂正を求めますがいかがかうかがいます。(Q2-3)

 なお、同条2項、3項の例外規定によりこの要件を除外することができるとの説明も受けましたが、よりによって学童クラブの業務委託に関してのみ特例でハードルを下げるなどありえません。早急な訂正を求めます。

<「学童クラブ運営指針」遵守は選定時に評価されるのか>

  次に、「杉並区学童クラブ運営指針」についてうかがいます。ガイドラインの「事業者への引継ぎ」の項では「運営指針に沿った運営が可能となるようにすること」とされています。指針を読むと「子どもが安心して自分らしさを出し、のびのびと過ごせる場になるように配慮する」とか「子どもの心を理解するように努める」など大切なことが書かれています。まさに杉並区の学童クラブで実践されてきたことが述べられており、大変いい内容だと思います。民間の事業者においても、文字通りこの指針を忠実に実施していただきたいと思います。

  ただ、残念ながら、この指針が選定に反映されるのかは、審査基準、審査項目をみても具体的にはわかりません。審査基準にはどのように反映されるのか。説明を求めます。(Q2-4)

<民間委託学童クラブの職員に欠員>

 最後に、すでに民営化された学童クラブについてうかがいます。まず、民間委託された学童クラブにおいて、区が求める人員配置ができず欠員が生じているところがあるとききました。その中には今年4月に民営化されたばかりのところもあるとのことですが、事実でしょうか。お答えください。(Q2-5)

 人手不足の中、杉並区がいっきに民間委託を進めていることのひずみが出ているのではないでしょうか。

<桃五学童クラブ、つめこみに悲鳴>

 また、4月から下井草学童クラブを移転・統合した桃五学童クラブに関してうかがいます。児童館の学童クラブと比べて問題が多く、子どもたちと保護者から次のような苦情が寄せられています。

子どもの声としては

・とにかく狭い。

・静かに遊べる部屋がない。

・遊ぶとき、宿題するときに机が足りない。

・本が少ない。

・遊ぶものが少ない。

保護者からは

・けんかやトラブル等があった際、気持ちを落ち着かせるためのスペースがなく、気分を切り替えるのに時間がかかる。

・隣に公園(遊び場114番)があって友達が遊んでいるのに、どうして自分はそこで遊べないのか、室内から外に出られないのか、とかわいそうな状況。

・学校の校庭開放は利用できる日や時間が限られており、運動の機会が少ない。

・学童つまらないから行きたくないといわれることもあり、親としては苦しい。

など、かなり厳しい状況を訴えられています。

<下井草児童館のプラザ化延期で遊び場確保を>

 誰ひとり望んでいない下井草児童館の廃止、また、学校内の放課後居場所スペース確保の段取りの悪さ、そのしわ寄せで子どもたちは狭い場所につめこまれ、十分に体を動かすこともできない日々となっています。そこで提案ですが、学校内の放課後居場所事業のスペースが確保できる来年春まで、子どもプラザ下井草の開所を延期して旧児童館施設を活用、学童クラブ及び子どもの放課後の遊びの場を保障すればよいと考えますが、いかがですか。所見をうかがいます。(Q2-6)

 児童館の再編が進み、その問題点が保護者、区民にも次第に明らかになってきました。この項の冒頭に指摘したように、杉並区の児童館は子どもたちにとってなくてはならないものです。その役割を再認識し、再編計画に歯止めをかけていくことを求めて質問を終わります。