わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

高円寺小中一貫校設置に反対しました(2019年6月18日の発言)

 だいぶん、時間がたってしまったのですが、高円寺中、杉四小、杉八小の廃止と高円寺小中一貫校の設置対する反対意見を掲載します。すでに議事録も出ているのですが、原稿でごらんください。近隣住民の反対に対する区と建設事業者の対応は、直接の暴力(は犯罪になるので)以外なら何でもありというものでした。

 なお、建設事業者の自作自演により「暴行」で警察の聴取を受けた住民は、当然のことながら不起訴処分となりました。

(2019年6月18日本会議における発言。実際の発言とは異なる部分もあります)

以下原稿。

 議案第32号杉並区立学校設置条例の一部を改正する条例について意見を述べます。
 この議案は杉並第四小、杉並第八小、高円寺中の3校を廃止し、新たに高円寺小、高円寺中を一体とした小中一貫校を設置するものです。3校の廃止と小中一貫校の設置には反対とし、以下理由を述べます。

 第一に、学校統廃合が不適切であることです。杉四小、杉八小の両校学区では、地域の方からの強い反対の声がある中、統廃合が決定されました。児童数の減少がその主な理由でしたが、今日、高円寺も含む区内ではむしろ子どもが増えている原状があり、また、学校が地域の防災拠点であることから廃止にはきわめて慎重であるべきでした。時代の要請にも逆行しているといえます。
 第二に、小中一貫校の教育効果に問題があることです。杉並区に先立つ各地の小中一貫校をめぐる研究でも教育的効果を高めるとのエビデンスはありません。むしろ、小学校高学年の自己肯定感が低くなるなどデメリットが指摘されているところです。区が小中一貫校のメリットとして挙げている中一ギャップの解消についてはすでに中一ギャップの存在そのものが否定されています。
 第三に、新たな学校の配置と設計、つまりは教育環境及び安全性に問題があることです。新たな高円寺学園は杉並区の端に立地しており、しかも環七通りの東側にあります。大半が環七の西側から通ってくる小学生にとっては通学距離がこれまでより格段に長くなる上に、危険な環七を渡らなければなりません。また、小中一貫校の区内第1号である和泉学園は和泉中・和泉小の2校の敷地を合わせて建設されましたが、高円寺学園はさして広いとはいえない高円寺中1校の敷地に建設されたため、特に校庭がきわめて狭小となっています。住民の中からは、仮に小中一貫校にするとしても高円寺中と杉四小の2校の敷地を活用して中学部・小学部として設置すべきという案が出されましたが区は聞き入れませんでした。
 児童数の減少を理由に統廃合されにもかかわらず、最大1080名の受け入れ可能な校舎という過大な建築規模も多くの問題につながっています。まず校舎が巨大すぎて校庭がきわめて狭いこと。また、巨大な校舎を建てるために、建築規制のかからない敷地の南側に校舎をもってきたため、校庭が校舎のカゲに入ること。日照時間は短く、雨、雪の際には校庭がいつまでも乾かないと何度も指摘してきましたが、教育委員会は「北側校庭の例は多数あり、水はけのよい素材を使うの出大丈夫」と説明してきました。北側校庭の例はほとんど見当たらないことも確認しておりますが、その上、結局、今議会では校庭を人工芝にすることが明らかになりました。その理由は土だと雨の時に乾きにくいからだと教育委員会自ら説明しています。これまでの説明は虚偽だったということでしょうか。ちなみにプラスチック環境汚染が指摘される今日にあって、人工芝はその代表的な汚染源であることも留意すべきです。
 特別支援教室の配置については、議会に陳情が出され、大きな議論のテーマとなったことは記憶に新しいところです。
 総体として新校の教育環境が従前よりも劣化することは大変残念です。
 第四に、近隣住民の反対を押し切り、住民を敵視する様々な問題を区役所が引き起こしてきたことです。何度も言いましたが、工事を計画しているのに隣接する住宅に挨拶にすら行かず、一片のお知らせで計画決定を伝えたところから住民無視は始まっています。高円寺中を建て替えるのだから旧校舎同様のものをつくるのだろうと思っていた住民は敷地の南側に30mもの高さの巨大な建物ができることを知って驚き、抗議しました。しかし、区は主権者たる地域の住民の意見を聞き入れて計画を修正するどころか、話し合いに応じなくなり、住民を敵視する始末でした。住民を出し抜いて行われたボーリング調査、建設会社による住民の盗撮、スラップ訴訟、自作自演による暴力事件のでっち上げ、そしてしまいには設計不備による工事の遅れの原因を住民に押しつけるという、嫌がらせのオンパレードでした。何人もの住民が体調をくずしました。「学校づくりはまちづくり」という兵庫はどこへいったのかと思わされます。
 以上、問題点を述べてきましたが、高円寺小中一貫校の経緯は田中区政の問題点を凝縮したようなものです。その根底にあるのは、とにかく大規模な公共工事を行うことが至上命題ということです。その邪魔になると見ればあらゆる手段を使って住民を排除し、意見を聞き入れることはありませんでした。こうした区政が今後も続いていくとすれば、同じ問題がさらに次々に生じる可能性を憂慮するものです。
 以上をもって反対の意見とします。