わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

田中区長の議事妨害、いびきなどについて質問しました(2020年2月18日杉並区議会本会議)

  2020年2月18日、杉並区議会第一回定例会において一般質問を行いました。(動画配信はこちらです。)

 昨年の保健福祉委員会で区長が私の発言を執拗に妨害したこと、またその後はいびきをかいて爆睡していたことなど冒頭に指摘しました。このようなレベルの低い問題に本会議の貴重な質問時間を割くことは不本意でしたが、委員会での発言妨害があまりにもひどかったため本会議に持ち出しました。田中区長は最初の質問には答弁しなかったのですが(総務部長が答弁)、再質問に対して登壇し、「議案と関係ない質問をした」などと誹謗の上塗りをしました。許せません(議案と関係ないかどうか、議事録を見てください。私の質問と議案の関連性が理解できない区長のほうに問題があることがわかると思います。)

 田中区長は気に入らない議員に対して答弁に立たないくせに、再質問で答弁して持論を展開することがままあります。この日もそうでしたが、杉並区議会のルールで再質問が終わると議員側は発言の機会がなく反論できないとわかっているからです。議員席からは「最初から答弁に立て」というやじが飛びました。

 このほか、阿佐ヶ谷北口再開発、児童館、新たな科学の拠点について質問しました。

(以下は原稿です。実際の発言とは異なる部分があります。)

1.区長の政治姿勢について

1)区長と区議会の関係について

 一般質問をいたします。まず、区長の政治姿勢について。区長と区議会の関係について、区長の見解をただします。 

 区長と区議会は区政の両輪といいます。地方自治体においては、それぞれの選挙で選出される首長と議会とが相互に牽制し、また互いに敬意を払って意見交換し、多様な住民の利益にかなう施政を実現していくことが求められています。

【田中区長の居眠り、いびき。そんなに疲れているのか】

 ところが田中区長の区議会に臨む態度は、区議会への敬意を払っているのか疑わしいものです。とりわけ、議場における区長の居眠りが日常の風景になりつつあることは、嘆かわしいことです。議場で区長のいびきがとどろいたときにはぎょっとしましたが、そればかりか、昨年11月26日の保健福祉委員会までも、議案に対する意見開陳の最中に、いびきの音がひびき、耳を疑いました。

 区長はご自分の提出した議案の帰趨は気にならないのか、委員の意見を真摯に聞く気はないのか、眠っていても、どうせ議案は可決されるとタカをくくっているのか。

 あるいは、まじめに聞きたい気持ちがあるのに、睡魔に抵抗できないほどお疲れなのか。議案審議以上に重要な、どんな公務でそんなに体力を消耗しておられるのでしょうか。

【児童館の議案審議中に発言妨害】

 この委員会では、5つの児童館の廃止という重大な議案が審議されました。その議案に対する私の質疑の最中に、突然、区長が、いつまでやるんだ、と大声で不規則発言したので驚きました。委員長の指示を仰いで質問を続けると、再度大声で、昼を回ったので休憩すべき、と発言され、またも発言を止めざるを得ませんでした。その後も、私の発言中に「議案と関係あるのか」とか「中高生は児童館に行ってない」などと執拗に発言妨害を繰り返し、そのたびに止まる議事。私個人へのヤジにとどまらず委員会の議事妨害です。 

【安倍首相より悪質な議事妨害】

 国会では、安倍首相が「意味のない質問だ」などと野党に対してやじったことから、謝罪に追い込まれましたが、田中区長の不規則発言は議事妨害という点で安倍首相以上に悪質です。

 区長は議会と議員に対して相応の敬意を払い、態度を改めること、また、こうした発言への謝罪、及び、今後は、議員の発言を妨害することなく謙虚に耳を傾けるよう求めますが、いかがか。区長の答弁を求めます。

  このような低レベルの問題に本会議の貴重な時間を費やすことは私も本意ではありません。しかし、保健福祉委員会での発言妨害はさすがに放置できず、全体で共有すべきことと考えてあえて取り上げたものです。

【反対する議員に説明するほど暇じゃない!?】

  さらに、昨年第四回定例会における私の質問に対する区長答弁についてです。

 「何を説明しても賛成いただく見込みのない方に対しては、それは、こちらも人手が余っているわけではありませんので」云々というくだりです。これには驚きました。後で述べる杉一小敷地の仮換地に関する私の質問に対する答弁でしたが、そもそも、仮換地にかんして、私個人ではなく、議会全体に対する説明を求めたものです。それに対して、反対する人に説明をつくすほど暇じゃない、といわんばかりのこの発言です。単に私に対する反論にとどまらず、区議会は区長に賛成さえすればいいという主張は、議会の存在意義そのものを否定する態度です。

 この発言について区長は議会に対し陳謝し、発言を撤回するよう求めますがいかがか、答弁を求めます。

 2.阿佐ヶ谷駅北東地区のまちづくりについて

 次に阿佐ヶ谷駅北東地区のまちづくりについて述べます。これまで指摘してきたように、JR阿佐ヶ谷駅至近の立地、かつ、小学校、屋敷林、病院を擁する公共性の高いこの地域の計画は、地権者だけでなく、駅や学校、商店街を利用する多くの区民の生活に多大な影響を与えることから、本来なら公共施行で行うべき事案ですが、区はあえて個人共同施行を選択しました。

【公共施行すべきところなぜ個人施行】

 そもそも個人施行に地方公共団体が1施行者として参加することの意義は何でしょうか。民間だけだと、乱開発につながったり、民間の利益だけが追求されたり、また資金的に脆弱だったりするリスクがある中、土地区画整理事業の目的である公共性を担保することにあるのではないでしょうか。いかがか。区としての所見を伺います。

  ところが本計画は、区が参入したことによって、かえって、公共の利益を害することになりました。特に、計画のキモといっていい仮換地が、区議会・区民の知らないうちに実施され、その後も情報が公開されないことは重大な問題です。

【仮換地情報は2か月待たされて真っ黒】

  第四回定例会一般質問への答弁で「このあとの総務財政委員会に報告する」とのことだったので、待っていると、総務財政委員会の資料は区の従前従後図だけであとは黒塗りというナメたものでした。

 そこで、情報公開請求すると、2か月も待たされたあげく、これがまあなんと真っ黒なんですよ。

【杉一小は誰の手に?全く不明】

 この間、杉一小の敷地は河北病院の敷地と交換すると説明されてきましたが、土地区画整理事業は単純な交換ではなく、区画全体の中での全員の所有権の再配置です。ですから、小学校の移転先が河北病院だからといって、必ずしも、そこの所有者と取り換えたとは限らない。つまり、杉一小の土地はいま、誰だかわからない人に仮換地され、知らないうちに売られてしまう可能性さえあるわけです。

【港区では仮換地情報を事前に議会に説明している】

  港区では同じ個人共同施行でありながら、民間事業者の東京ガス東京モノレールの換地先について、少なくとも図面だけは議会に提出しています。かたや杉並区は真っ黒。区長以下区の幹部は港区と比べて恥ずかしくないんですか。最低でも、区有地が、今後誰のものになるのか説明するのは公有財産を預かる公務員としての義務です。あらためて施行者3者の換地先について、黒塗りを撤回して明確な資料を提供するよう求めます。

【法人等の事業活動情報は原則開示対象】

  区は、換地情報非開示の理由として「公開することにより当該法人に著しい不利益を与えるとみとめられる事業活動情報に該当する」としています。しかし、杉並区情報公開・個人情報保護制度事務手引には、「法人その他団体等に関する情報については原則公開」とあります。さらに「杉並区情報公開懇談会提言」では「企業の財産権保証が常に「知る権利」に優先するという理由は存しない」としています。

【著しい不利益、とは?】

  また、区は「著しい不利益」といいますが、「著しい不利益」とは何か。事務手引によれば、「著しい不利益」は「一般抽象的な可能性が推測されるだけでは足りず、客観的・具体的にその合理的理由が必要」とされています。

【客観的具体的、合理的な理由がなければ非開示処分はできない】

  港区は同じ個人共同施行の換地情報を民間事業者の分も含めて区議会の場に、しかも事前に公開しましたが、これらの事業者に「著しい不利益」は生じていません。いったい、欅興産、河北医療財団にとっての「著しい不利益」とはなんですか。東京ガス東京モノレールは開示してもいいが、欅興産と河北病院は開示できない理由はなんですか。事務手引に従って、一般抽象的な可能性の推測ではなく、客観的・具体的にその合理的理由を説明してください。

 また区は同時に、非開示の理由として「事務の目的が達成できなくなり、または適切な執行を著しく困難にするおそれがある行政執行情報に該当し、公開できない」とも述べていますが、こちらはどうか。

【行政情報も原則開示対象】

 まず条例の規定は、行政情報一般ではなく、「取締り、立入調査、選考、入札、交渉、訴訟等の事務に関する情報」と限定されています。換地情報はあてはまりません。また、事務手引には「行政執行に伴う情報については原則公開」とされています。すなわちこの条文は非開示の理由にはなりません。また、先ほどのケースと同じく「著しく困難」は、一般抽象的な可能性の推測ではだめです。客観的・具体的にその合理的理由を説明してください。

【施行者会任命の評価員が誰だかわからない】

  仮換地の数字どころか配置図すらも公開されない、おかしいじゃないか、というと区はなんと説明するか。「施行者会が任命した3人の評価員が確認している」の一点張りです。では、その3人って誰ですか?

 私は情報公開請求しましたが、3人の評価員の名前は黒塗りでした。そこで「所属先」を請求しましたら、こちらも非開示でした。3人の人たちが、どこの誰なのか、本当に中立の人なのか、欅興産や河北病院と利害関係はないのか、調べることもできないし、調べる以前に、本当にこの3人の評価員という人たちは実在しているのでしょうか。もしかしたら架空の人物かもしれません。

【架空の人物かもしれない評価員】

 架空の人物かもしれない3人の評価員が「大丈夫です」といったところで、誰が納得するでしょうか。3人の氏名・所属を公開せずに証明はできません。しかもその報酬は区も税金で負担する業務です。つまり契約の相手先ですから、公開しないことは不当です。

【個人でも、事業情報は公開対象】

 個人情報の保護といいますが、この場合は、個人の事業に係る情報であり、事業に係る情報は、先の企業・団体の「事業活動情報」と同じ扱いですので、公開した場合の「著しい不利益」については、同じく一般抽象的な可能性の推測ではなく客観的・具体的に合理的な理由が必要です。説明を求めます。

【杉一小と河北病院の地価は本当に1.5倍か】

 さて、大変乏しい情報の中から、先の仮換地が正当かどうかを検証しなければなりません。第四回定例会において、杉一小用地と河北病院用地の平米あたり指数を求めたところ、167,700点と117,100点との答弁を得ました。すなわち、両方の土地の価値は1.5倍の開きがあると評価されたということです。

 ところで、以前にも述べたように、路線価でみると、杉一小は平米あたり102万円。河北病院は47万円と2倍以上の開きがあります。仮換地の評価は低すぎるのではないか。

【プロの判定は3~4倍の価格差】

 そこで、ある不動産鑑定士さんに、情報を提供して、財産鑑定をしたらどのくらいの値段になりそうか、概算をたずねたところ、杉一用地は坪あたり500~600万円。河北病院用地は坪あたり150~180万円というところだろうとのお答えでした。プロの目から見て、3倍から4倍の開きがあって当然という結果でした。ちなみに現地にも土地勘のある方です。しかもマンション、商業ビルなどの用地に関しては、容積率が上がるほど地価があがるそうですから、現実にはさらに開きが出てきます。

容積率500%が評価されていない】

 杉一小は今後、容積率が500%に引き上げられます。他方、換地先の河北病院用地は300%ですから、5:3すなわち、1.67倍に評価されてもいいはずです。ところが、換地計算では1.2倍弱にすぎません。容積率だけみても、仮換地は、売買の際の不動産鑑定の価額に比べ、これほど低い評価になっています。

【とびぬけて優良な杉一小用地を安売り】

 本計画区域内の中でも最も駅に近く、大通りに面しており、整形地で地盤も水利もよい、とびぬけて優良な土地が、換地という手法をとったため、不当に低い評価をつけられ、杉並区は大損するかっこうになっています。不当な財産の処分、民間事業者への利益供与にほかなりません。このような仮換地は認められません。仮換地を撤回し、計画全体をもう一度見直すべきと指摘しますが、いかがか伺います。

 3.施設再編整備計画について

1)児童館・学童クラブについて

 次に、施設再編整備計画について、第一に児童館・学童クラブについて質問します。

【杉並区の児童館廃止計画にマスコミが注目】

 2月8日付の朝日新聞で杉並区の児童館全館廃止の問題が報道されました(消える児童館に懸念 杉並区、コスト削減で再編)。また、翌日の9日にはTBS「噂の東京マガジン」でも取り上げられ、全国的にも注目されています。

【保健福祉委員会で東原学童クラブの陳情を審査】

 昨年11月の保健福祉委員会では、東原児童館ほか4児童館の廃止の議案、及び、東原学童クラブの保護者からの陳情が審査されました。残念ながら、児童館廃止の議案は可決され、また、陳情は不採択となりましたが、審議の過程では、児童館廃止に賛成の立場の委員も含め、「保護者の理解は得られているのか」と懸念する意見が多く出されました。この審議を経て、子ども家庭部長、児童青少年課長からは、これまでの対応について反省の弁も聞かれたのは重要なことでした。

 そこでうかがいますが、この反省にもとづき、学童クラブの保護者意見交換会やその他の保護者グループとの話し合いなどの機会において、区からはどのような情報提供が行われてきたでしょうか。その後の変化を具体的に説明してください。

【児童館の事業が学校に移ったら】

 ところで先日、杉二学童クラブと放課後等居場所事業を見学する機会を得ました。子どもたちが校舎内や校庭で元気に遊んでいる様子を見ることができました。しかしながら、区がいうように「児童館の事業を学校内で継承・発展し、これまでと変わるところなく子どもの居場所は保障される」とはいきません。

【学校内で自由に遊ぶことはできない】

 第一に、子どもの往来が自由ではないことです。この日は確かに校庭を使って子どもたちが遊んでいましたが、きくと、学童も放課後居場所も、今から校庭に行く人、と募って指導員が引率して校庭に出る、帰る時も一緒に帰るという形です。途中から「僕も行きたい」と加わったり、逆に「やっぱり部屋で遊びたい」と途中で抜けることは原則的にはできないようです。見学していた保護者の方がうまい表現をされていましたが「バスに乗り遅れたら遊びにいけない」のです。

【高学年の授業中は、静かに】

 さらに、高学年の授業中は、校庭で遊ぶことはできません。児童館なら、自分の授業が終わって児童館にくれば、好きな場所で遊ぶことができます。玄関や廊下のスペースも子どもたちがところ狭しと走り回り、一輪車を乗り回しています。こうした騒々しい遊びは授業中の学校ではできません。

 そこでうかがいますが、すでに実施されている学校内学童クラブ、例として杉二学童クラブでは、校庭及び体育館の利用日数、時間の実績はどうなっているでしょうか。説明してください。

【子どもの名前は覚えられない】

 また、室内で子どもたちの受付をしている職員さんにきくと、子どもたちの名前は覚えていないそうです。放課後等居場所事業では、子どもの人数が多いわりに、職員のほとんどがパート、アルバイトということもあり、継続的な関係づくりは難しいと感じました。

【教室をそのまま転用した学童クラブ】

 学童クラブの部屋も見せていただきましたが、教室をそのまま転用しているので、専用施設としてつくられた児童館と比べると、あたたかみや、居心地の良さが劣り、授業が終わっても教室の中にいる感覚は拭えません。

【児童館と違い制約が多い学校内】

 さらに、先日のTBSの番組では、区民から「児童館のときよりも制約が増えている」等のご意見が寄せられることがあると、区自身が認めていることが紹介されていました。具体的には、学校内には携帯ゲームやおやつの持ち込みができないこと、ビブスを着用しなければならないことなどへのご意見です。児童館でできたことができていません。

 すでに4つの児童館が廃止されて学童クラブと放課後等居場所事業が実施され、現場の実情が次第に見えてきました。マスコミが注目してくれたのも、現場を実際に体験して問題を感じた保護者の声が高まってきているひとつの現れだと思います。

【児童館廃止は考え直すときに】

 区は「児童館の廃止」を「継承、発展、充実」と糊塗してきましたが、現実を前にその虚構は破綻しました。児童館と学校では事業の内容が変わってくること、そして、それは子どもたちの領域を狭める方向に働いていることを区は率直に認めるべきです。児童館を残していくべきではないのか、検討しなおす時期に来たということだと思います。

【学童クラブの民間委託で職員配置は?】

 さて、東原学童クラブの保護者の方々からは、移転・民営化に対して多くの疑問が私のところにも届いています。新たな陳情を提出された方々もいらっしゃいます。

 まず、職員配置についてです。移転後の杉九学童クラブは最大受入数160名になりますが、民間委託先の職員は常勤、非常勤、それぞれ何名配置されるでしょうか。また、施設長は放課後居場所事業と兼任するのか否か。学童クラブの民間委託ガイドラインでは、160名に対し、常勤4名、非常勤12名と示されていますが、この配置は必ず守らなければいけない配置なのか否か、お答えください。

【3年以内で職員が交代】

 東原学童クラブの保護者会において、委託先に予定されている株式会社明日葉の本社の方が説明に来られ、職員体制に関する質問に対し、職員は最長3年程度で入れ替わると説明したので、大変驚いたと保護者の方からうかがいました。区としては職員がころころ入れ替わるような対応は容認できないと思いますがいかがか。また、区として委託事業者の在籍年数、勤続年数についての基準はどのように設定しているか説明を求めます。

【施設長が長期休職、つぎつぎ交代…】

 また、保護者の方の調査により、この事業者が他の自治体で受託した学童クラブにおいて、施設長が長期にわたって休んだ、1年の間に3人も施設長が入れ替わった、指導員が1年後には1名を残して全部入れ替わってしまった、などのケースがあったことがわかりました。この数年で学童の委託をいっきに増やし、現在100カ所以上を請け負っている会社ですので、人材確保に無理があるのではないかと心配になります。また、この会社は前身が葉隠勇進という会社で学校給食を請け負っており、杉並区でも受託実績がありますが、過去に他自治体で食中毒を起こして業務停止になっていたこともわかりました。

【食中毒も起こしている】

 こうした情報は、選定段階で選定委員の耳に入っていたのでしょうか。お聞きします。私が聞いた選定委員は知らなかったと言っています。もしこれらの情報が知らされていたとしたら、この事業者が選ばれたでしょうか。杉並区が学童クラブの委託要件を株式会社にも拡大した第一号がこの会社です。緩和は明らかに質の低下を招いているのではないでしょうか。強い懸念をもって、保護者の方々ともども、見守っているとお伝えしておきたいと思います。

2)科学館と新たな科学の拠点について

 最後に、施設再編の項目のうち、科学館と新たな科学の拠点についてうかがいます。

 2016年春、日本一の科学教育センターとうたわれた杉並区科学館が幕を閉じました。多くの区民が反対の声をあげ、区議会に陳情が出され、関係各学会から区長へ要望書が出されましたが、顧みられることなく、廃止が決まってしまいました。その後4年間がたって、いまやっと、新たな拠点の計画が動き出そうとしています。しかし、その目指すところが、どうも漠然としていてわかりませんので質問します。

【新たな拠点は科学館の実績の上に】

 区はこの間「出前型、ネットワーク型」を標榜して、出前授業や移動式プラネタリウム、そして毎年のサイエンスフェスタなどを科学館の代替事業として行ってきたので、今回の拠点はその継続の上に構築すると説明しています。

 しかし、杉並区がまず科学の拠点構築の基盤とすべきは、47年間にわたって、すぐれた科学教育を内外から賞賛されてきた旧科学館の実績ではないでしょうか。

【科学館を語るのがタブーになっている】

 科学館のよかったこと、継承すべきことは何か、反対に、何が不足だったのか、新たに行うべきことは何か、その振り返りをしないで、次の施設はつくれないはずです。しかし、この議論がタブーのようになっているから、次の施設に対する明瞭なビジョンが出せないのだと思います。

【学校ではできない本物の迫力】

 科学館が提供してきた、学校ではできない流水実験や解剖、また、夏休みの科学教室は、本物のもつ迫力、専門的な講師の講義とともに、今も多くの卒業生の記憶に強く残っています。それだけでなく、科学館は教員の研修、教材の手配、さらには、科学教育団体へのアドバイスやサポートも行い、区全体の科学教育を推進する拠点となっていました。

 そうした科学館に対し、新たな科学の拠点は、機能、位置付けがどう変わるのでしょうか。特に、学校教育との連携はどのように考えているのでしょうか。説明を求めます。

【運営事業者は何をする?】

 新たな拠点で、教育委員会は何を実現したいと考えているのでしょうか。具体的なポリシー、あるいはコンセプトは何か。主なターゲットとする年齢層、利用者像はどういった方々なのでしょうか。 

 今後、運営法人が公募されるとのことですが、区と事業者との関係は、指定管理、業務委託、建物賃貸のどれにあたるか。また、予定地の杉四小敷地では、集会施設としての活用等もなされると聞きますが、法人が運営する範囲はそのうちのどの部分か説明を求めます。

【科学教育団体の活動が機能するように】

 3月1日に第5回を迎えるサイエンスフェスタは毎回、参加団体も参加者も増えて、大盛況です。年に一度のフェスタだけでなく年間を通して実行委員会のメンバーが会合をもち、私も実行委員会の一員としてずっとかかわってきましたが、団体の皆さんとは、連帯感の感じられる、いいネットワークが形成されていると思います。これらの団体と新たな拠点のかかわりはどうなるのでしょうか。科学教育に関わる人々のネットワークが有効に機能するためには、運営事業者や教育委員会との連携、この拠点における区民の運営協議会のような協働のしくみが必要と考えますがいかがか、所見を求めます。

【資料は持たないのか。雑誌は?】

 新たな科学の拠点は博物館的な機能は持たせないと聞いていますが、しかし、一切資料を持たないというわけにはいかないと思います。特に、調べ物に使う書籍も必要ですし、また、雑誌に関しては、科学雑誌は一通りここで読めるというくらいのものは持たないと、新たな拠点の名が泣くと思います。

【科学館のお宝はどこへ】

 そういえば科学館には多数の標本や資料がありました。これらはいまどうなっているのでしょう。たとえば貝類の標本、鉱物標本はどこにあるのか。また、プラネタリウムでは多くのプログラムが上演されていましたが、その中には、「2001年宇宙の旅」や「幼年期の終わり」で知られるアーサー・C・クラークの生前の生インタビューなどというお宝もあったそうですし、また、スローン・デジタル・スカイ・サーベイ(SDSS)、これは宇宙観測によって詳細な全宇宙地図をつくろうという壮大な全世界的プロジェクトだそうですが、その中で杉並区立科学館が分担した部分、世界に1枚しかない分光板があったとも聞きました。これらはいまどこにあるのでしょう。そもそも、科学館の資料のリストはどこにあるのでしょうか。それらも活用することはできないでしょうか。

 杉並区が誇るべき科学館の歴史をもう一度振り返り、その遺産の上に築かれる新たな拠点こそ、知的興奮に満ちた、区民の学習、活動の場となることと信じます。そのような場の実現を願って質問を終わります。