わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

阿佐ヶ谷・河北病院と緑地の配置は?ヘリは?(2020年6月3日一般質問)

 2020年6月3日、杉並区議会第2回定例会で「阿佐ヶ谷駅北東地区のまちづくり」について一般質問しました。動画はこちらです。

http://suginami.gijiroku.com/voices/g07_Video_View.asp?SrchID=6537

 今回、河北病院の建築案をたまたま入手しましたが、建物はやっぱりめいっぱい40mだったり、つくらないことになっている「ヘリポート」が記載されていたり、屋敷林は区の規制以外はほとんど残らないとか、やりたい放題じゃないかと思ったわけです。

 杉並区は、病院に対して高さを下げろとも言うつもりはないとの答弁。何のために共同施行者になっているのでしょう。容積率をサービスしてあげたのだから、せめて建物や緑地の配置については、意見を言ったらどうか。区は病院の僕なのでしょうか。

(以下は原稿です。実際の発言とは異なる部分があります。なお、文中の図は、河北病院の建築案の図面から松尾が作成したものです。)

阿佐ヶ谷駅北東地区のまちづくりについて>

(1)屋敷林について

 一般質問をいたします。阿佐ヶ谷駅北東地区のまちづくりについてうかがいます。

 昨年の施行認可、仮換地指定、さらに今年3月には地区計画決定と、関連する大きな手続きが行われました。事業に具体的に着手するのは今年度後半、10月頃の予定とのことですが、この土地区画整理事業については、これまで何度も、多くの問題があることを指摘し、抜本的な見直しを求めてきたところです。事業着手の前に残された時間は少なく、問題は大きすぎますが、この時点で特に考えるべき論点をとりあげたいと思います。

【河北病院の建築案を入手】

 まず、なんといっても、屋敷林のみどりの問題です。

 先ごろ決定された阿佐ヶ谷駅北東地区地区計画ではその目標として「阿佐ヶ谷の歴史と文化が調和したみどり豊かなまち」を掲げ、方針として「地域のシンボルである屋敷林のみどりを将来にわたって可能なかぎり保全する」旨、うたわれています。では、現実の河北病院の建築計画においてはどうなのか、まず確認してみたいと思います。

 実は、私は最近、とある方から、病院の建築案の図面を入手しました。そのまま出すわけにはいかないので、その図面をもとに作成した図を提示します。まず立面図です。

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河北病院計画案の立面図

【制限いっぱい40mのビルは高すぎる】 

 建物の高さは、制限いっぱいの40m、9階建てとされています。さらに屋上にはヘリポートの記載がありました。地区計画の高さ制限は上限であって、目一杯建てるとは限らないというのがこれまでの区の説明でしたが、病院側はやはり、40mを目一杯使う計画です。

 この地域に突然高さ40mの建物が出現することは異様です。こちらに保存樹と書かれているけやきの樹高が20~25mであることと比べ、ほぼ倍の高さとなり、環境保護の観点から容認できません。

 そこでうかがいます。杉並区は、河北病院の建築計画を把握しているでしょうか。建物、緑地の配置などを具体的にご存じでしょうか。また、建物の高さについて、区は、環境保護の責任者として、また共同の事業者として、病院に対して高さを抑えるよう求めていくべきと考えますが、いかがか。見解をうかがいます。(Q1-1)

【屋敷林のうち残る部分は少ない】 

 次に配置図を示します。

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河北病院計画案の配置図

 緑の部分は緑地とされています。一見、緑の部分がけっこうあるように見えるのですが、問題はその中身です。

 敷地の西側部分は地区施設に指定されている緑地1・2であり、いやおうなく緑地としなければならない部分です。一方、東側の部分はどうでしょうか。図ではそれなりに緑地が認められますが、ここは現在は駐車場で、舗装されているので木はありません。つまり、新しく植える緑ということです。現在の屋敷の東側には、西側に劣らず大径木が集中していますが、その一帯は配置図では建物部分となります。つまりこの一帯の木はすべて伐採されることになります。そして、おそらくは手のかからない低木、例えばつつじなどを植えるのではないかと思われます。

 杉並区や病院側は、新しい病院を「森の中の病院」と称しています。そういわれると木立のなかに、2階建てくらいの白い建物がひっそりと見え隠れするようなイメージですが、現実の設計図を見ると全く逆で、先ほどの立面図に見たとおり、広大な病院の建物の端に、せいぜい建物の半分くらいの高さまでの木がへばりつくように残るだけです。

 【「緑化」は「保全」ではない】

 緑地の確保には保全と緑化の2つの方向性があります。保全とは既存の緑地、既存の自然を残し、守っていくことです。緑化とは、緑のない地面に緑を植えて、緑を確保すること、さらにいうと緑化率の義務づけとしての建築規制でもあります。この間、議会や説明会の場で区役所側は繰り返し緑を創出するので問題ないと説明してきましたが、それは「緑化」の数字をクリアするということであって「保全」とは違います。

 【35年間つづく「杉並区自然環境調査」】

 そこで、自然環境調査にあらためて注目します。

 東京都の「東京における自然の保護と回復に関する条例」に従い、昨年度から現地の自然環境調査が行われ、今年も、まさに今、調査が継続されています。

 東京都レッドリスト指定のツミが注目されていますが、それ以外にも貴重な動植物が現地で見つかっています。レッドリスト記載の生物としてはアズマヒキガエルやイモリなどですが、実は、杉並区として注目すべき種はほかにもあります。

 今回の調査とは別に、杉並区には1985年から35年間にわたる杉並区自然環境調査があります。この調査は、昨年度で第7次となり、他自治体には見られない大変貴重な調査です。この調査の特徴は、民間のボランティアの皆さんに支えられていることです。「杉並メダカ」を発見したことでも知られる故須田孫七先生をはじめ、専門家のアドバイスをいただきながら、多くの方々がいまも調査員として関わっています。私の知人もそのひとりです。プロの自然調査員でもあるこの方に、けやき屋敷周辺の自然環境調査報告書を見ていただきました。

 【シンミズヒキ、オオルリなど貴重種がみつかる】

 この方のご意見として、「植物では、特にシンミズヒキが注目される。現在の東京都区部レッドリストからは外れているものの、改定前のレッドリストには挙げられていた植物であり、杉並区第7次調査では、18カ所の調査地域の中で1カ所のみの確認。それも、区内で保護移植したものであり、それ以外には確認されていない貴重な種である。

 また、ヒメミカンソウは2地点、アマチャズルは5地点、マルバスミレは7地点の確認で、いずれも区内では数少ない在来種である。

 鳥類については、渡りのピークから外れた時期の調査で、しかも少ない調査日数にも関わらず、ウグイス、オオルリビンズイが確認されていることが注目される。  特にビンズイの確認は杉並区では珍しく、第7次調査でも特筆されている。オオルリは第一次調査で確認されて以来、確認されておらず珍しい。他にも、樹林地を好む鳥が非常に多く確認されているといえる。」などでした。
【森がなくなれば希少種が生きられない】

 杉並の自然をずっと観察してきたこの方の所見として、レッドリスト指定ではなくても、区内ではほとんど見られない貴重な植物や鳥が、けやき屋敷周辺の調査から指摘されたことは重要です。

 森がなくなれば、ツミだけでなく、これらの貴重な種は、生き延びることができません。都条例には土壌の保全も責務とされています。これらの動植物をいかに保護していくか、区としての考えをうかがいます。(Q1-2)

【400年続いた森の存亡のとき】 

 私は、ちょうど10年前の6月、一般質問で杉並区自然環境調査を取り上げ、以下のように述べました。

「決して自然が豊かとは言えない我が杉並区ですが、それだからこそかえって、都市環境の中の自然、生き物がどのように生息し、またその状況がどのように変化していくか、継続して調査していくことには、極めて大きな意味があると言えます。また、そんな中にも多くの希少な植物、動物がまだまだ息づいています。これらを保護する意味からも調査は重要です。」

 400年以上続いた貴重な屋敷林の存亡がかかるいま、まさに、この視点が必要だと思います。

 このたびの新型コロナウイルスについても、自然破壊の結果ではないかという指摘もあります。自然保護、生物多様性とは、単に珍しい種を愛でるという話ではなく、私たちの生命にかかわる環境の問題です。区の真剣な取り組みを期待します。

【緑化率を条例に定めるが】 

 さて、今議会には、阿佐ヶ谷駅北東地区地区計画に関連して条例が提案されています。この地区計画は「街並み誘導型地区計画」という緩和型地区計画ですが、条例案では高さ制限等に加えて緑化率が規定されています。都市緑地法の定めにより、緑化率の最低限度を強制力のある規制とするためには地区計画等緑化率条例を制定する必要がありますが、それを取り込んだ提案となっています。

 地区計画等緑化率条例については、この開発計画の当初、必要性を指摘してきたことでもあり、地区計画条例に包含する形で設置すること自体には必ずしも否定的ではありません。しかし、けやき屋敷の緑化率が25%でいいのかという問題は残ります。

【30%以上の緑化率も定める方法がある】

 都市緑地法では、条例に定める率の上限を25%と規定しており、これ以上引き上げることはできません。一方、あえて条例に定めず、別の形で地区計画に盛り込む手法もあり、例えば他自治体では、地区計画の中の「整備開発及び保全の方針」の部分に30%以上の緑化率を書き込んだケースもあります。今回の計画は当事者が少数の法人ですので、定めたルールを守らないとは考えられず、条例で強制しないこの手法でも十分有効であり、考慮に値いします。

【既存樹木は守れるのか】 

 しかも、ここで注意すべきはやはり、保全と緑化の違いです。私たちは、地区施設として緑地が定められたことで、なんとなく、既存樹木の保全が図られるように受け取ってしまいますが、緑化率イコール既存樹木の保全を意味するわけではありません。新しく木を植えてもよいし、極端な話、芝生であっても緑化率には問題ありません。すなわちこの緑化率規制だけで既存樹木、既存の自然環境が本当に守られるのだろうかという疑問がわいてきます。

 そこで調べてみると、都市緑地法には、また別に地区計画等緑地「保全」条例という制度があります。まず、この制度はどういうものか、説明を求めます。また、けやき屋敷の緑地保全のためには緑化率だけでは足りず、保全条例を導入すべきではないかと考えますがいかがか、伺います。(Q1-3)

 【緑地は誰が管理?】

また、管理者も問題です。今後、事業が開始された場合、地区施設の緑地1・2の管理は誰が行うのか。欅興産か、河北病院か、または杉並区のいずれとなるのでしょうか。また、区が買い取ることはあるのか。さらに、買い取らなくても、市民緑地として一般に開放し、活用する可能性はあるかうかがいます。(Q1-4)

 もっとも樹林を開放することが適切かどうかは議論のあるところです。開放することで、公園のように誰もが緑に親しむことができる一方、人が踏み固め、土地が乾燥してしまうため、従来の生態系を守るためには、閉鎖して保全するほうがよいとの意見もあり、検討が必要です。

【じゃり道のけやき並木を保全すべき】 

 さらに、けやき屋敷の外側になりますが、屋敷の南側のじゃり道に沿うけやきの並木について、たびたび近隣の方々から大切なので保全してほしいとの要望を聞きます。地権者と協定を結ぶなどして、病院敷地の緑地と一体のけやきの並木として積極的に保全、整備していくことを提案したいと思います。

 けやき屋敷の森の大半が伐採されてしまうとすれば、区はせめて新しく緑地を作り出す努力をすべきです。そして、管理に関しても、これまでのように地権者まかせでなく、手入れの費用などについてもっと支援を行うべきではないでしょうか。見解を伺います。(Q1-5)

【河北病院屋上ヘリポートはあり?なし?】 

 つぎに、関連してヘリポートについてうかがいます。

 2017年秋に、私は河北病院のイベントに参加し、病院の理事長さんの講演を聞く機会がありました。その際、示された図には、ヘリコプターの絵が描かれていて、病院がヘリを利用する計画が当然のように語られていましたが、その後、区議会の質疑の中では「病院に確認したがヘリポートはつくらない」との答弁が繰り返されていて、不思議に思っていました。

 ところが、このたび入手した立面図や他の資料には、ヘリポートがやはり明記されています。

 ちなみに、航空法上のヘリポートには「公共用ヘリポート」と「非公共用ヘリポート」があり、ドクターヘリ専用の病院のヘリポートや警察のヘリポートなどは「非公共用」に該当します。病院ではあえて常設のヘリポートを設置せず、「飛行場外離着陸場」(臨時ヘリポート)で対応しているところも多いそうです。このほか、屋上などのヘリパッド「緊急離着陸場」もあります。

 いったいヘリポートはつくられるのでしょうか。病院はもしや、緊急離着陸場なのでヘリポートではないという解釈をしているのかもしれません。ヘリパッドはどうでしょうか、答弁を求めます。(Q1-6)

 【ヘリポート設置は自然保護条例違反では】

 ツミをはじめとする生き物の保護には、先に述べたように、40mの高層の建物も問題ですが、さらに問題なのはヘリコプターの発着です。「自然の保護と回復の条例」の観点からは屋上ヘリポートの設置はできないと考えますがいかがか、答弁を求めます。(Q1-7)

(2)施行協定について 

 さて次に施行協定についてうかがいます。

 秋からの事業着手を計画する土地区画整理事業の施行者会は、近く施行協定を結ぶと聞いています。そこでまず、施行協定を結ぶ意義、目的について説明を求めます。(Q2-1)

【土壌汚染対策と民法改正】 

 ところで、河北病院跡地の汚染問題について、後から汚染が発見された場合はどうするのかとの質問に対し、区は瑕疵担保責任の条項を施行協定に盛り込む旨、これまで答弁してきましたが、昨年の決算特別委員会で述べたように、今年4月に民法が改正されました。瑕疵担保責任の条項は契約不適合責任と名称もかわり、法に規定された権利等も変更されています。

 そこで、新旧制度の主な違いについて説明を求めます。また、河北病院敷地の汚染対策について、法改正による影響はあるのか、うかがいます。(Q2-2)

【土壌汚染対策の責任を明記すべき】 

 桃井原っぱ広場や馬橋公園拡張用地の土壌汚染については2年間の瑕疵担保責任条項で対応したということですが、今回の河北病院用地に関しては、期間はどうなるのか。

 河北病院用地が更地になって、杉並区に管理が移される時点を起算点として、工事期間だけでなく、学校が開校して以降も当分の間、例えば10年なりの間、汚染については河北病院が責任を負う旨を協定で明らかにしておく必要があります。

【汚染状況の把握が遅すぎる】 

 事業着手後、河北病院の汚染に関しては調査をすることが予定されているそうですが、本来なら施行認可以前に汚染の状況については明らかにしておくべきでした。当初から土壌汚染対策の必要を指摘されていながらここまで引き延ばした区の責任は重大です。

 なお、田中区長は昨年の決算特別委員会で私の質問に対し、「病院の土地が汚染されているかのような発言で風評被害だ」とか「政争の具」だとかいう発言をしましたが、これは大変失礼な発言です。

 河北病院ほどの規模の病院は、法律的にもまた都条例においても土壌汚染対策を求められる特定施設あるいは指定作業場に指定されているのであって、だからこそ私は調査を求めているのですし、まさに区長ご自身も、自らの責任で結んだ協定においてわざわざ土壌汚染について定めているのではありませんか。ひとの発言をデマよばわりするのはやめていただきたいと思います。

 【施行協定は、今議会に報告を】

 さて協定に戻ります。施行協定は5月末ころに締結すると聞いていましたが、いつ締結されるのか、うかがいます。また、当然区議会に報告するものと思いますが、9月議会では事業着手の直前すぎて、間に合いません。今議会中に報告して審議に付すことが当然と考えますが、いかがか、うかがいます。(Q2-3)

 【施行認可、仮換地…区議会には事後報告】

 本計画については、認可申請と区長による施行認可が昨年の区議会休会中の7~8月に行われ、区議会には事後報告でした。さらに、10月の仮換地指定とその確認についても事後報告で、例えば港区が同様の個人施行の土地区画整理事業において、区議会に説明したのちに仮換地指定の確認を行ったことと比べ、議会軽視であり、このように隠れて事業を進める態度は容認できないと、何度も指摘してきたところです。またも、区議会を無視して、勝手に協定を結ぶようなことは、今度こそあってはならないと指摘しておきます。

(3)情報公開について 

 最後に、仮換地の情報公開について述べます。

 先の第1回定例会において私は、仮換地に関する情報公開決定について質問し、公共用地すなわち区民の財産を権利交換する重大な内容であるにもかかわらず、企業活動情報、個人情報等を理由に一部非公開としたことは、杉並区自身が定めた情報公開の手引きに照らしても、具体性、客観性の点で不当であり、公開すべきであると指摘しました。

【「2年前の不服請求を処理中」!?】 

 残念ながら、区の答弁では、不当な処分が改善される様子はないので、不服審査請求を提出しました。

 ところが、請求書の提出時に驚くことを聞かされました。いま、2年前の請求を処理しているので、かなり待っていただくことになる、との説明を受けたのです。まさかそんな状態だとは思いもよりませんでした。

 例えば本件の場合、仮に2年後に黒塗りを不当として情報を公開すべきとの結論が出たとしても、その時には多分工事が始まっていて、情報は何の役にも立ちません。これでは、区が公開しないと決めたら、それがどんなに不当な決定であっても、逃げ得ということになってしまいます。

【不当な処分は区の「逃げ得」に】 

 行政不服審査法の目的は、法第1条に「国民が簡易迅速かつ公正な手続きの下で不服申し立てをすることができるための制度を定め、国民の権利利益の救済を図るとともに行政の適正な運営を確保すること」とされています。迅速さはこの法の目的の1つでもあります。

 ところが、杉並区においては不当な処分が行われても、時間がかかりすぎて、権利利益の救済が実質的に不可能になっている実態があります。この状況をこのまま放置しておくことはできないので以下質問します。

 【なぜ審査に2年もかかるのか】

 まず、杉並区においては、情報公開に関する審査請求は情報公開・個人情報保護審査会、それ以外については行政不服審査会がもうけられています。それぞれの審査会の構成、委員の人数および各人の専門資格について説明を求めます。(Q3-1)

 次に、情報公開請求に関する審査請求について、平成28年度以降、年度ごとの請求件数、処理件数について、説明を求めます。また、処理に要した期間について最も短いものと最も長いものを示してください。(Q3-2)

 情報公開請求に関する審査請求が2年以上も滞っているのはなぜでしょうか。その理由について説明を求めます。(Q3-3)

 近年、多数の情報公開請求が集中したため業務過多になっているとの話も聞きましたが、情報公開請求の件数はいかがか。推移をお示しください。(Q3-4)

【知る権利ないがしろ、意図的なサボタージュ

 普通に考えて、これだけ業務が滞っているのは、業務量に対して職員が不足していることが容易に想像されます。そこで、情報公開にあたる職員、および審査請求にあたる職員の人数および職位を確認します。(Q3-5)

 情報公開は、区政の公正さを担保する大変重要な業務です。請求が増えて審査請求ができないなどといういいわけで、情報公開に対する不服申立てを実質的に封じている現状は、区民の知る権利をないがしろにする、意図的なサボタージュといわれても仕方ありません。

【情報公開の人員が足りない】

 情報公開の窓口で対応されている職員さんは、皆さん、大変誠実、かつ丁寧に対応して下さいます。しかし、見るからに人数が足りないのがわかります。この問題は、担当職員の個人的な努力で解決できることではありません。杉並区の人事として、情報公開に関する職員の体制を大幅に増強し、人材の育成を進める必要がありますがいかがか。

 また、審査請求に関しては、法の趣旨に照らして少なくとも3か月程度で回答できるよう標準審査期間を定めることが必要です。早急に体制を整えるよう求めますがいかがか、うかがいます。(Q3-6)

【「個人施行」が隠れ蓑に】

 阿佐ヶ谷の区画整理事業について述べてきました。駅前のきわめて公共性の高い場所の開発であり、しかも、駅前一等地の公共用地の処分にかかわることでありながら、個人施行という制度に隠れて、区議会にすら十分に報告しない姿勢は言語道断であり、民間事業者への利益供与が優先されていることを想像させます。先の予算特別委員会においても他の議員から、容積率の引き上げに関して一部の事業者への優遇ではないかとの指摘もあったところです。

 そうではないというのなら、区長は議会、区民に対して正々堂々と情報を公開し、かつ、意見を率直に受け止めて計画を見直していくべきです。真摯な対応を求めて質問を終わります。