わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

自由がない民間委託学童クラブ(2021年6月2日杉並区議会本会議における一般質問)

 2021年6月2日、杉並区議会第2回定例会で一般質問しました。

 今回とてもひどかったのは、阿佐ヶ谷開発についての質問で、まともな答弁が返ってこなかったことです。「けやき屋敷」を伐採して高層病院を建てる計画に関して、高さの抑制とみどりの創出(駐車場・駐輪場の予定を緑地に)、地区計画緑地の管理は誰が?などの質問を行いましたが、「法や条例に基づいて適切に設計されるものと理解する」しか答弁がない。「いろいろ聞いてるんだからそれぞれ答えて」と再質問しても、同じ答弁しか返ってこないどころか、さらにスルー。よほど都合が悪いのだろうか。

 いちおう補足しておくと、これらの質問はずっと前に通告して、一言一句確認済みのものです。それでこの答弁なので、通告は必要ないことがわかりました。

 

 質問概要は、

1.阿佐ヶ谷駅北東地区開発について

(1)河北総合病院の建築計画の説明会があったので、緑地をふやすための提案。それから、説明会が説明会になってないので認められないこと。

(2)河北病院工事のために、杉並第一小学校を工事して敷地内にトラックを通す!まわりの交通混雑、危険性を指摘。代替案を提案しました。

2.児童館・学童クラブについて

これまでベールにつつまれていた民間委託学童クラブの姿があらわに!

自由遊びができない!工作ができない!泥だんご禁止!長靴外遊び禁止!などなど驚くべき現実です。杉並区が「児童館から学校への『機能移転』にすぎず、内容は変わらない」などと説明してきたことがウソ八百だったことは事実をもって証明されました。

 

(以下は原稿です。実際の発言とは違うところがあります)

1.阿佐ヶ谷駅北東地区開発について

 一般質問をいたします。第一に阿佐ヶ谷駅北東地区再開発についてです。

(1)河北病院の土地利用構想とみどりについて

【質問時間のない説明会】

 3月26、27日に杉並区まちづくり条例の大規模開発事業の手続きに基づき、河北総合病院の新築工事に関する説明会が開催されました。私も参加しましたが、所用時間は1時間、うち半分以上が説明に費やされ、十分な説明を全く得られないまま終わってしまいました。

 このように、開催しました、という形だけの説明会を開催実績として認めるのは、まちづくり条例を形骸化するものです。区は事業者に対し住民に再度、誠意ある説明をつくすよう指導すべきと考えるがいかがか、見解を求めます。(Q1-1)

【意見に対する見解書が出ない】 

 説明会と前後して区民意見募集が行われ4月12日に締め切られ、もうすぐ2か月になりますが、現在、事業者からはまだ見解書が提出されていないと聞きました。

 今後、提出時期の見込みはいかがでしょうか。また、あまりにも提出が遅ければ問題です。現在は特段の期限が設けられていませんが、今後、区は提出期限の基準を設けるべきではないでしょうか。見解を求めます。(Q1-2)

公聴会の開催を求める】

まちづくり条例では、見解書の提出後、区長は公聴会の開催およびまちづくり景観審議会に助言を求めることができるとされています。これらの手続きを必ず行うよう求めますが、いかがか。見解を求めます。(Q1-3)

【突出する高さ】 

 以下、計画の内容について述べます。第一に計画建築物の高さです。規制いっぱいの高さ40mで計画されていますが、これまで近隣には40mの建物はなく突出しています。特に、現在の病院用地に小学校が移転した場合、学校に影を落とすことは問題です。また、樹林に接して高層建物が建つので通風・日照に悪影響を与えます。

 したがって例えば地下を2層とする、あるいは各階の高さを少しずつ削るなどして高さを抑えるよう設計変更を指導するべきと考えますがいかがか、見解を求めます。(Q1-4)

【緑化率25%のからくり】

 次に緑地について述べます。本件計画地は、地区計画により25%以上の緑地の確保が義務づけられています。事業者は説明会で、25%を超えて緑地を確保できたと説明しましたが、実は、その半分以上は地区計画に定められた緑地1号です。地区計画緑地を除くと緑化率ははるかに未達です。

【緑地の保全・管理は誰が?】

 この開発計画の当初、病院の責任において保全管理を当然行うから緑地1号を病院敷地に算入するものと受けとめていたのですが、これまでの区議会での質疑や説明会における病院の話では「管理者はまだ決まっていない」「これから検討」「エリアマネジメントという話もある」などあやふやになってきました。

 そこであらためて伺いますが、病院敷地に組み込まれている緑地1号は河北病院が保全管理するのか否か。また「エリアマネジメント」を導入する場合の管理主体は誰か、答弁を求めます。(Q1-5)

【緑化率規制のがれ】

 区または第三者の負担による管理となるのに、病院の計画敷地に算入するのならば、緑化率の規制のがれの脱法的行為ともいえ、こうした手法がまかりとおるなら、隣接する緑地を計画敷地として建築計画を作成して、みかけだけ緑化率をクリアするような行為が今後も続き、せっかくの緑化率規制が空洞化する心配があります。

 緑地1号は病院計画敷地からはずし、残った面積で25%を達成するよう、杉並区は事業者に対し計画変更を指導するよう求めますが、いかがか。見解を求めます。(Q1-6)

【緑を保全する設計変更を】 

 ところで緑化率25%は、けやき屋敷に比べ格段に劣るものであることは指摘してきた通りです。今回大径木127本のうち半数近くが伐採される計画です。説明会では伐採の理由は病害虫などと濁していましたが、健全なのに建物や道路にかかるため伐採される樹木が実は多数あります。これらの樹木を少しでも保全できるような設計に変更すべきです。

【駐車場を緑地に】

 また新たな緑地の創出も必要ですが、計画ではわずかです。そこで、現在の分院部分に計画されている駐車場を緑地とするよう提案します。

 本計画における駐車場設置義務は110台とのことですが、近年は地下で120台設置でき、かつ建築物の構造基礎としても活用できる駐車場の導入事例もあるそうです。こうした技術を活用することで駐車場は地下に集約し、北側駐車場予定地を緑地に転換することができます。

【東南角地がなぜ駐輪場】

 また、最も日当たりのいい敷地の南東部分は職員用駐輪場とのことでしたが、自転車に日光をあててどうするのでしょうか。これも緑地とすることが最も適切な土地の利用法であり、区は変更を指導すべきと考えますがいかがか。見解を求めます。(Q1-7)

【ツミ保護のための条件を満たさない】 

 樹木に関する質問の最後に、ツミの保護に関する都条例の協議で条件とされている点が計画では不十分であることを指摘します。

 第一に、周辺に現存樹木の樹高以上の幅の残留緑地を確保すること、とありますが、北側は先に指摘したように駐車場とする計画であり、また、東側の緑地計画も幅は狭く、条件を満たしません。

 第二に、建築物等工作物は高木植栽等により可能な限り隠蔽することとありますが、周辺に残置する高木は高いもので20~25mであり、6階以上の壁面は隠蔽されません。特に営巣地に近い北側は高木植栽が予定されておらず、かつ、壁面緑化も3階北側のわずかな部分だけで、少なすぎ、建物はほとんど隠蔽されません。

 都条例協議の条件を満たすよう設計変更を指導すべきと考えますがいかがか。見解を求めます。(Q1-8)

(2)杉一小敷地内の工事用通路について

【杉一小敷地内を工事用車両が通過する】

 阿佐ヶ谷開発についての項目の第二に、杉一小敷地内の工事用車両搬入路について質問します。

  けやき屋敷の工事現場をめざす工事用車両は、中杉通りからこの通路を経由して神明宮前のT字路を右折、一方通行を逆走することになります。したがって、逆走部分については、道路使用許可が必要です。

 そこで警視庁に問い合わせたところ、このような長期にわたる工事の道路使用許可は、地域住民の理解と協力を得られることが前提であるとの見解でした。

 搬入路に接する世尊院前交差点は、阿佐ヶ谷駅の北口に住む人なら誰もが毎日利用するといっても過言ではありません。区は広範な住民に対して計画をきちんと説明し、納得と協力を得る義務があります。しかし、実態はどうかというと、地域のほとんどの人は、この計画を知りません。

【説明会なく見切り発車】 

 区は町会連合会の席で説明したとのことですが、北口の町会からは住民説明会が要望されています。現在は新型コロナの緊急事態のため開催できない事情は理解できますが、住民への説明会なしに見切り発車で工事が始まったことは容認できません。最低でも説明会が開催できるまでプロセスを中断すべきと考えるがいかがか。見解を求めます。(Q1-9)

【世尊院前交差点が危険に】 

 ところで、地域からは、この通路の危険性を指摘し、計画変更を求める声が上がっています。

 懸念の第一は、既存の杉一馬橋公園通りが西行きの一方通行であるのに対し、その南側に沿って東行きの進入路としてつくられるため、実体上車両右側通行の変則的な道路となり、そのことにより中杉通り等周辺を通過するドライバーや歩行者・自転車の錯誤が引き起こされ、事故が誘発される危険性が高いことです。

 第二は、一日最大170台の計画で大型の工事車両が進入することにより、ただでも歩行者、自転車が集中している世尊院前交差点がいっそう混雑し、かつ混乱することです。

【警視庁も懸念】

 これについて警視庁の担当者は、敷地内について警察は差し止める権限がないものの、危険性については懸念を示しておられました。ちなみに、警視庁に対して区は住民説明会を行ったかのような報告をしているとのことで、大変驚きました。

 当該搬入路の設置によって起きる交通の混乱と混雑、交通安全への影響についての区の認識はいかがでしょうか。また、地域住民からは、中杉通りから三菱銀行裏へ進入するルートや青梅街道からけやき公園を経由するルートなど他のルートへの搬入路の分散、変更が要望されています。これについても区の見解を求めます。(Q1-10)

【搬入ルートの分散、変更を】

 また、杉一小北側道路はそもそも道路拡幅が予定されているのですから、拡幅を先行して正常な相互通行を可能にし、工事期間は暫定使用する計画に変更すべきと考えますがいかがか。見解を求めます。(Q1-11)

 なお、神明宮前の一方通行逆走について、道路使用許可権者はだれでしょうか。また万が一、住民が懸念しているような事故がこの通路にかかわって発生した場合の責任を明確にしていただきたい。答弁を求めます。(Q1-12)

 2.児童館・学童クラブについて

 次に児童館・学童クラブについて質問します。

【初めてわかった学童クラブ民営化後の姿】

 施設再編整備計画が策定されて以来7年、これまで、12館の児童館が廃止されてきました。一部の機能が学校に移されたあと何が起きているのかは、なかなか明らかになりませんでしたが、このたび旧東原学童クラブ、現在の杉九学童クラブの保護者グループが、現在の学童クラブの運営について、子どもたちの声を集め、それにもとづく要望書を区に提出しました。これにより初めて具体的に、児童館廃止の前とあとでどう変わったかを把握することができました。この調査は非常に貴重なものであり、区は間違ってもこれを「一部の保護者のクレーム」と受けとめることなく、事業改善の指針とし、さらには、児童館の価値を再評価する素材として真摯に受けとめていただきたいと考えます。

学童保育の質低下があきらか】

 調査を拝見した感想ですが、ひとことでいうと、施設再編整備計画案が発表されたときに多くの関係者が危惧したことが、まさにそのまま現実になり、特に保育の質の低下が著しいと感じました。

 非常に問題だと思ったことは、第一に、子どもの遊びが児童館にくらべ、非常に制限されていて、自由がないこと。第二に、委託先職員の管理的な態度、子どもに厳しい保育が行われており、児童館のような職員との信頼関係が築けないことです。

【遊びの自由がなくなった】 

 遊びの自由については、高学年の授業終了まで育成室で過ごし、校庭遊びの時間が短いことは予想の範囲でしたが、校庭、体育館では、その日職員が決めた以外の遊びができず、いわゆる自由遊びではないことは予想外でした。さらに驚いたのは、工作活動ができないことでした。事業者は月2回程度の工作プログラムを設定していますが、用意された一律の工作キットを組み立てるだけだそうです。

【工作は月に2回程度】

 児童館では、自由に図工室を使うことができ、また、職員さんが工作を教えてもくれました。我が子が初めて学童クラブに入会したとき、初日から毎日作り物を持ち帰るので驚いたことを思い返すと、そんな児童館と現在の委託学童はあまりにも違い過ぎます。

【同じ利用料でこの格差】 

 また、泥だんごが作りたいのに禁止された子や、雨の日に長靴をはいていって、長靴で校庭遊びは禁止と言われた子。こうした禁止事項も児童館にはなかったもので、機能移転・民営化しても児童館と変わらないと言ってきた区の説明と全く違い、しかも、児童館内の学童クラブと杉九学童クラブでは、同じ杉並の子ども、かつ同じ利用料を払っている利用者でありながら保育の質に大きな格差があることを問題にしないわけにはいきません。

 区は、こうした実情を認識しているでしょうか。また、事業者に対しては、遊びの選択の自由について、どのように指導しているのでしょうか。見解を求めます。(Q2-1)

【子どもへの叱責、管理的指導】

 第二に管理的な保育についてです。委託事業者の保育に対し、言い聞かせるのではなく叱責する指導、管理的な指導が目立つと子どもや保護者から指摘がありました。たとえば、問題が起きたときに「なにか言うことありませんか」などと感情的に叱責したり説教する場面がみられること。また、配慮の必要な子どもに対し、頭ごなしに怒ったり力で行動を規制する場面も見られるとのこと。

 こうした実態があることについて区は認識しているでしょうか。見解を求めます。(Q2-2)

【子どもは安心できる?】 

 学童クラブは、家庭にかわる放課後の子どもの居場所です。ときにはいたずらもし、また悩みを抱えてまわりにぶつけることもある生身の子どもを丸ごと受けとめて、守り、育てる大人が必要です。だからこそ、杉並区学童クラブ運営指針には「子どもが安心して自分らしさを出し、のびのびと過ごせる場になるように配慮する」とあるのです。委託事業者はこの運営指針に沿って運営することが義務づけられています。

【管理に都合のいい子ども像】

 しかし、この事業者の保育目標はどうか。「自分で正しいことを選び取れる子ども」「思いを適切に表現できる子ども」など、ぱっと見、よさそうなことが書いてありますが、よく考えると、これは、手のかからない、管理しやすい子ども像です。このような保育目標や杉九で指摘されている叱りつけ管理する保育は杉並区学童クラブ運営指針に適合していると考えられるでしょうか。見解を求めます。(Q2-2)

【職員の顔も名前もわからない】

 次に、事業者の運営姿勢についてのべます。ある保護者に職員体制をたずねたところ、非常勤については通知や掲示がなく、そもそも名前と顔が全くわからないとのことでした。非常勤の人は人数が多く、「知らない先生がたくさんいる」という子どもの声もあります。誰がクラブの職員なのかもわからない状態では、安全安心の根本が崩れています。質問通告後に知ったことなので答弁はけっこうですが、この点は即刻是正し保護者に職員の一覧を配布するよう求めます。

【保育園の卒園式が…】 

また、事業者の姿勢としてどうかと思うのは、今年度新入生の保護者説明会が近隣の大きな保育園2園の卒園式と同じ時間に設定されたことです。

 この件については、昨年度中に所管に伝えたところですが、あらためて区は事業者をどのように指導したのか、説明を求めます。(Q2-3)

宇都宮市で指定取り消しされた事業者】 

さらに、他の議員からも指摘がありましたが、3月、宇都宮市学童保育12か所の指定管理者として予定されていたこの事業者、株式会社明日葉は、指定を取り消され、それにより、宇都宮市の今年度予算が市議会でいったん否決されるという重大な事態に至ったとのことです。取り消しの理由は人員確保が困難になったことでした。施設の従前の職員をそのまま雇用すれば人員面の心配はないはずだったのに、雇用条件で折り合わなかったとのことです。

【都内で時給985円の違法求人】

 実は、同社が運営する学童クラブの職員募集の掲示を区外で見たことがあります。そこには有資格者時給1000円、無資格者985円とありました。つい先日のことです。いうまでもなく、この募集は最低賃金法違反です。この事実を区は把握しているでしょうか。お尋ねします。(Q2-5)

 杉九学童クラブの実態を垣間見て、職員の質が大いに問題があると感じましたが、よく考えると、こうした企業の労務体質に根本的に問題があり、職員が努力しても質の向上が容易でない実態があると思われます。

 【児童館事業が引き継がれない?】

 次に、東原地域子育てネットワークや児童館の行事についてこの1年のことを述べます。区は児童館が廃止されても子育てネットワークと行事は近隣の子ども子育てプラザ、放課後等居場所事業で引き継ぎ、これまでと変わらず実施すると説明してきました。

【東原地域子育てネットワークはどこへ】

 ところが、東原児童館が廃止された2020年度、東原地域子育てネットワークおよび行事の開催実績が全てゼロでした。新型コロナの影響で対面での開催が難しかったことは理解できますが、オンラインなど別の手段はどうかなど、地域の方々になげかけることはできたはずです。しかし、地域の関係者に対して、担当する近隣の下井草プラザからの打診や中止の連絡はなかったとのこと。また、ネットワークのニュースすら発行されませんでした。地域の方々からは「新型コロナで学校が休校になるなど子どもたちが困難に直面している時だからこそ、子育てネットワークの役割は大きい」とのご意見もいただきました。

 東原に関しては、下井草プラザと話し合い、今年度はしっかり活動していくとの回答を得ています。しかし、今回、プラザの地元学区以外のことは、結局、軽く見られていると感じました。同様に児童館が廃止になった他の地域でも、担当するプラザが他学区のネットワークや行事はやらなくてもいいと考えるようなことがあると困るので、あらためて所管の反省を促すところです。答弁を求めます。(Q2-6) 

 また、昨年度はほかにも子育てネットワークニュースを発行しなかった館・地域があったとの説明を受けましたが、東原のほかに何カ所あったのか、説明を求めます。(Q2-7)

【移転と民営化、同時は無理】 

 次に、移転・民営化プロセスへの杉九学童クラブの保護者の要望を紹介します。民間委託ガイドラインの変更が必要な内容もありますので検討をお願いします。

 まず、学校内への移転から民営化まで最低でも1年間あけることです。先ほどのプラザの事例をみても、児童館廃止・機能移転と民営化が同時に行われてプラザの職員に過大な負担となり、結果として手がまわらなかったとも思えます。直営のまま移転し、おちついた時期をみはからって民営化することのほうがまだしも良いのではないかと思われますがいかがか。

 また、現在は学童クラブの民間への引き継ぎ期間が3か月と短く、全く不十分です。引き継ぎ期間を最低でも半年に延長するよう求めますがいかがか。以上見解を求めます。(Q2-8)

【学校との調整不足】 

 次に学校との調整です。現在は、事業が開始されるまで、学校施設がどのていど使用できるかわからず、全く準備不足です。たとえば杉九の場合には、年度途中から体育館の利用を増やすため利用者団体に枠を空けてもらうなど、混乱があったようです。

 区は事業開始の前年度までに、年間計画をたて、学校側と話し合って施設使用を確保する責任があると考えますがいかがか、見解を求めます。(Q2-9)

【保護者の意見、要望はきかれているか】 

 次に、保護者への対応です。杉並区学童クラブ運営指針にも「保護者の意見、要望をクラブの運営にとりいれる」ことが明記されています。当然、移転や民営化の是非についても、保護者の意見をきちんと聞き、父母会のあるクラブでは父母会としての意見を尊重すべきです。

【説明会等が延期されている】

 現在、善福寺、西荻北児童館の廃止が計画されていますが、新型コロナにより保護者説明会や父母会の会合が延期されたり、そもそも開催できない状況があります。区は一方的にプロセスを進めるのでなく、保護者との意見交換が適切に行えるまでスケジュールを延期すべきと考えるがいかがか。見解を求めます。(Q2-10)

【事業者選定委員は父母会が選出すべき】

 また、事業者選定委員会においては保護者委員4名とされていますが、保護者の意見を十分にまた公正に反映するため、委員選出は区の指名ではなく、話し合いにより父母会が主体で行うべきと考えますがいかがか。

【選定委員の守秘義務は限定的】

 杉九学童クラブの選定では、当初、保護者委員に対し、他の保護者に選定委員であることを明かしてはいけないとか、委員会の内容は一切、他の保護者に話してはならないなど、誤った説明がありました。私はこれを区議会で指摘し「保護者間で意見交換することは差し支えない」との答弁を得ました。

 今後の選定委員会にあたっても、守秘義務を強調しすぎることなく、保護者間で情報共有できることを周知徹底すべきと考えますがいかがか。見解を求めます。(Q2-11)

【選定委員に学童クラブの職員を】 

さらに、選定委員会には当該クラブの区職員を委員に任命すべきと考えます。保育園民営化の選定委員会では当該園の園長ほか現場の保育士が入っているのに対し、学童クラブは現場職員が入っていないのはバランスを欠きます。見解を求めます。(Q2-12)

【児童館全部廃止は見直しを】

 質問の最後に、あらためて施設再編整備計画の抜本的な見直しを求めます。

児童館を全館廃止する区の方針に対し、現在も多くの区民から疑問の声が上がっています。また、本日の質問で明らかにしてきたように、児童館を廃止して機能移転しても事業の中身は変わらないとする区の説明は全く空論で、もはや現実をもって反駁されてしまいました。

 社会情勢は、新型コロナの影響もあり、多くの子どもの心が以前よりも不安にさらされています。今こそ、杉並区の児童館の果たす役割は大きく、それは、これまで述べてきたような委託事業者の運営では代替できないものです。

 したがって、私はあらためて、児童館の全館廃止を抜本的に見直し、具体的には、残る30館の児童館と直営の学童クラブを維持すること、また、区立保育園の中核園に相当する学童クラブの制度創設を求めますが、いかがか。見解を伺って質問をおわります。(Q2-13)