わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

「財政が大変なので児童館を廃止する」は嘘っぱち(2021年11月18日杉並区議会本会議における一般質問)

 2021年11月18日、杉並区議会第四回定例会において一般質問しました。(答弁はこちら。動画配信はこちら。)

質問項目は、

1.区長の政治姿勢について((1)総選挙結果について(2)女性政策について)

 (1)小選挙区になって以来初めて東京8区で自民党が敗北、立憲民主党の吉田はるみさんが当選した総選挙結果について、自民党を熱心に応援していた区長の感想を求めました。

 (2)総合計画で、男女平等と動物愛護が並列なのはどういうことか。区はSDGsSDGsというけど、口先だけです。ジェンダー平等を区政のすべての分野に導入することがSDGsでは。

2.施設再編整備計画について

 施設再編計画(第二期)案がパブコメ中ですが、「財政が大変なので児童館を廃止する」というのは嘘っぱちです。第一期期間中に児童館12館が廃止され7400平米が削減されました。かたや区立施設の総面積は77000平米も増加しています。たくさんの子どもが悲しい思いをしているのに、財政が楽になるどころか、負担は増えていく一方なのです。こんな欺瞞はやめていただきたい。

(以下は発言原稿です。実際の発言と違う部分があります)

1.区長の政治姿勢について

【総選挙結果について】

 一般質問をいたします。最初に区長の政治姿勢についてうかがいます。第一に、先ごろ行われた第49回総選挙の結果についてうかがいます。選挙結果は、自民党議席を減らしたものの、引き続き自公政権が継続する結果となりました。私は政権交代を期待するものですが、残念ながら今回、野党は新たな選択肢を十分に示せなかったと思います。

【対米従属政治の転換を】

 とりわけ、対米従属政治の転換、日中、日韓、日朝関係の改善によりアジアの平和を確立する外交、安全保障政策が不足しています。かつての民主党鳩山由紀夫代表は、東アジア共同体、常時駐留なき日米安保を持論とし、選挙でも沖縄の米軍基地問題を大きな争点として争って、政権交代を実現しました。

 先日、都内で開催された対中国外交の転換を求める会合で発言された鳩山氏は「1972年、日中共同声明の精神に立ち戻るべき」と述べておられましたが、こうした国の根幹に関わる論点を回避することなく自公政権と対決していくことを野党の皆さんには期待したいと思います。

【区長が応援していた自民党候補の落選】

 さて、こうした中でも、区内東京8区では旧4区の金子みつさん以来の杉並選出の女性議員として吉田はるみさんが当選、自民党のベテラン大物議員が落選し、全国的にも注目されました。田中区長は自民党候補を熱心に応援されていましたが、どのような感想を持たれたか。

 また先日、わが会派の田中議員の質問に対して、総務部長は元代議士に大変お世話になった旨、答弁しましたが、この方の落選により、今後の区政にどのような影響があると考えるか、うかがいます。(Q1-1)

【選択的夫婦別姓について】

 第二に、女性政策についてうかがいます。まず、選択的夫婦別姓についてうかがいます。私自身、通称使用で社会生活をしている当事者として無関心ではいられません。総選挙でも大きな焦点の1つとなり、各党党首の記者クラブ会見では自民党以外のすべての党首が別姓に賛成して注目されましたが、田中区長は賛成・反対等どのように考えているか、見解をお示しください。(Q1-2)

【男女平等と動物愛護は並列なのか】

 女性政策について質問しなければと思った理由は、実は総合計画・実行計画案への疑問にあります。「男女共同参画」は「地域の支え合いと安心して暮らせる体制づくり」の5番目にやっと出てきます。また、驚いたのは、男女共同参画の次は、「動物との共生」だったことです。動物愛護と男女平等は並列なのかとショックでした。

SDGs全体をつらぬくジェンダー平等】

 今回の総合計画ではSDGsが意識されていますが、SDGsでは、ジェンダー平等は単なる1つのゴールではなく、アジェンダの前文において「すべての人々の人権を実現し、ジェンダー平等とすべての女性・女児のエンパワメントを達成することを目指す」とされる全体の大きな目標です。さらに本文においても、人権に次いで、ジェンダーを掲げ「ジェンダー平等の実現と女性・女児のエンパワメントは、すべての目標・ターゲットにおける進展に死活的に重要な貢献をするもの」として、17のゴールすべての達成において必須のものであることが明記されています。

 ジェンダー平等はアリバイ的にのせておけばいい、とでもいうような杉並区総合計画案の書きぶりは、国際標準から大きく後れをとっています。

ジェンダー主流化をとりいれる】

 そこで、ジェンダー主流化、すなわちあらゆる分野におけるジェンダー平等の視点の導入とその実現、についての区長の考えをうかがいます。また、総合計画・実行計画案においては、ジェンダー主流化を取り入れるべきと考えるがいかがか、うかがいます。

2.施設再編整備計画

【区政の中心は施設再編】

 次に、施設再編整備計画についてうかがいます。

 先の基本構想特別委員会において、私は、この基本構想には2つの転倒があり賛成することはできないと述べました。その1つは、住民自治の観点が不十分で、結果、行政が決めて区民が実行するかのような、区民と行政との主客転倒であり、もう1つが、この施設再編整備計画と基本構想の主客転倒です。委員会では、「杉並区政は基本構想にそって進められているというよりは、いまや、施設再編整備計画によって進められているというのが実態です」と指摘しました。以下、この観点から、施設再編整備計画に検討を加えます。

【不入りの説明会。原因は】

 現在、施設再編を含む6計画案が公表され、パブリックコメントが行われています。説明会もありました。私は2カ所の説明会に行きましたが、どちらも参加者は15~6名と大変低調でした。質問もあまりなく、説明する皆さんにとっては、らくちんな説明会だったのかもしれません。最初の施設再編整備計画には284件と多数のパブコメが提出されました。それと比べて、今回どれほどの意見が集まるか、大変心配です。

【誰もしらない説明会】

 これまでの施設再編単独の説明会は、多いところで70~80名の参加が見られ、時間が足りないほど質疑応答が行われたものです。今回はコロナ対策として申し込み制であったことを割り引いても人数がきわめて少ないのは、説明会の告知が区民に届いていないからです。区政に関心が高く、説明会にはいつも参加するような方の多くが「知らなかった」「説明会はいつあったの」といいます。

 そこでまず、総合計画等6計画の説明会の参加者数、主な意見、またオープンハウスの参加者数についてうかがいます。(Q2-1)

 説明会の告知はいつ、どのように行われたか。また、私たち議員には説明会の案内ちらしが配布されましたが、あのちらしはどのように使われたものなのでしょうか。配布枚数、および配布先をうかがいます。(Q2-2)

【広報の告知がちぐはぐ】

 広報すぎなみ10月29日号に計画の概要とパブコメの告知が掲載され全戸配布されましたが、これには説明会の案内はのっていません。いっぽう、10月1日号に説明会の案内が掲載されましたが、となりのページは基本構想が大きく掲載されており、基本構想の説明会と勘違いしていた人もいました。

 パブコメの案内と説明会の案内が同じ紙面にのらなければ誤解を招くのは当然です。混乱したのは、コロナのためにスケジュールが押したせいですが、結局区民の知る機会がしわよせを受けたわけです。

【ある日突然、プールが閉鎖された】

 そもそも説明会以前に、毎回の計画案の決定まで、施設の廃止等が全く秘匿され、案の公表によって突然知らされるということがおかしいのです。

 事前に計画を知ることができればいいほうで、ほとんどの方が、ある日突然、施設が閉鎖されているのを不意打ち的に知るというのが現実です。特に廃止についての公の説明を行わないのは、反対意見を言わせないための卑怯な手口です。たとえば、阿佐ヶ谷のけやき公園プールは典型で、夏になると今でも、驚いた、どうなっているのか、とのお声があります。

 区民共有の財産である区立施設、特に身近な施設の統廃合については、パブコメにかけるよりもっと前に、住民に打診があってしかるべきです。施設の近隣地域ごとに、利用者、PTA、町会などとの事前調整、合意形成のプロセスが必要で、その積み上げこそ住民自治であり、区の説明責任です。区は抜本的に姿勢を改めるべきです。

【反対させないための3年サイクル】

 また、示される具体的なプランはたった3年間と短期、計画即実施で、反対するいとまを与えない。さらには、今般の善福寺児童館、西荻北児童館の廃止のように、その3年間の計画にすらなく、パブコメを経ていない計画が、突然「経営会議で意思決定した」として計画、実行される。明らかにパブコメ条例違反です。ここには民主主義のポーズすらありません。

【職員を追い立てる杉並区】

 計画のサイクルが3年間と短いことは、区役所にとっても見過ごせない影響があります。1年目に着手したと思ったら次の年度にはもう見直しが入り、最終年度はもう次の計画を発表するというあわただしさで、これでは落ち着いて事業の評価と改善を行うことなどできません。企画立案する部署も、事業を所管する部署も、施設再編に振り回される日常になっています。無理なスケジュールで、ムチを入れるように、次の計画策定を急がせる。施設再編整備計画によってかりたてられる杉並区政の姿は異様です。

【短期サイクルで工事を絶やさない】

 他区の公共施設等管理計画は、30~50年計画のものが多く、実施計画も短いものでも5年スパンです。杉並区のように短期サイクルで次々に施設を壊し、改修し、新築し続けるところはなく、きわめて特殊なやり方です。なぜこれほどまでに短いサイクルの計画なのか。

【区内事業者との癒着が問題に】

 先の第三回定例会では、区内事業者と区長、区幹部の会食、ゴルフ等癒着が問題になりました。切れ目なく建設工事を作り出して次々に発注していくのは誰のためか。建設利権の分配のためではないか。また、計画を絶対に変更させようとしないのは、すでに誰かと約束ができているからではないか。こうした疑惑を招いても不思議ではありません。

【財政効果を検証していない】

 こんな施設再編整備計画にも大義があるとすれば唯一、将来の財政負担を減らし、財政破綻を防ぐことですが、成果はあったのか。第一期8年間の再編の効果と課題を検証する必要があります。

 第二期計画案には第一期の成果として保育園の待機児童解消などが書かれていますが、肝心の財政効果については、検証にあたいする数字がありません。

【減るはずの施設面積が増えた】

 まず、施設面積について。第一期計画は「区立施設全体の規模を縮減することで今後の改築改修費等の軽減を図る」としましたが、この期間は逆に2万3000平米ほど増えました。区内の各地で身近な児童館が次々に廃止され、子ども、特に小中学生の居場所が激減し、児童福祉は大幅に後退しました。それだけの犠牲を払ったのに、総面積は増加したのです。

 そこで伺いますが、施設再編整備計画第一期計画期間の施設面積の増加約2万3000平米の内訳について、増加した面積と主な施設名、減少した面積と主な施設名を説明してください。(Q2-3)

 また、同期間において、児童館、ゆうゆう館の廃止数、および、廃止された面積はどのくらいだったかうかがいます。(Q2-4)

【架空の「財政効果額」】

 次に、「財政効果額」です。第一期計画では30年の効果額は137億円とされましたが、その大半の100億円は用地取得費の節約及び実際には売らなかった土地の売却益であり、いわば架空の数値です。改築改修経費の節約は37億円、1年あたりでは1億円あまりにすぎません。しかも、これはあくまで想定なので、実際の8年間の結果はどうだったのかを検証したいのですが、第一期の効果額の実績値は書かれていません。

 そこで、第一期計画における財政効果額とその内訳、および実績における財政効果額とその内訳について説明を求めます。(Q2-5)

【築浅建物の廃止・解体というムダづかい】

 なお、この間の再編においては、節約どころか、新築からまだ二十数年、三十数年という築浅建物の廃止・解体がいくつも行われ、特に、学校改築の際に、まだ新しい校舎も一括で解体して全面改築するなど、逆に財政負担を増加させたケースが目立ちました。財政負担を回避するためと言われて我慢しているのに、現実には節約どころかむしろ支出が増える。一方、身近な施設が廃止・再編されるのでは、区民は浮かばれません。

【第二期計画も財政効果は願望の数字】

 続いて、同様の観点から第二期計画案を検討します。まず、財政効果額について。40年間で221億円の効果とされていますが、うち用地取得費の節約が155億円ということです。これを除くと66億円で、年平均では1.6億円にしかなりません。そしてもちろん、これも想定というか願望の数字にすぎません。

【改築費用は1.3倍に高騰】

 他方、改築改修経費の軽減に資するとされる区立施設の総面積については具体的な抑制目標がありません。むしろ、「区立施設全体の面積は増加傾向にあります」などと、ひとごとのように述べ、面積が増大することは当然視されているようです。

 改築改修経費の試算については、今後40年間で4840億円、年平均120億円と予測されています。第一期計画では30年間で4000億円、年平均93億円とされていたことと比べると約1.3倍と大幅に高騰しているのに驚きます。しかも、第二期計画では新たに最大80年まで長寿命化する考え方を取り入れたので、さぞかし改築改修経費が軽減されると思いきや、現実は逆です。

【工事費を小さく見せる印象操作】

 第二期計画案では、施設関連経費をイニシャルコストとランニングコストに切り分け、氷山に模して、ランニングコストが約85%という説明をしていますが、ハードとソフトでみれば比率は1対3です。問題をすりかえ、工事費を小さくみせる印象操作です。

【複合化で余分な建築費】

 また、これは第一期からの一貫した問題ですが、財政負担の軽減といいながら、その方策は、複合化・多機能化の一本やりです。複合化・多機能化が共有部分等、少々の床面積の削減にはなったとしても、高層にすることで余分に建築費がかかり、財政的には逆効果になっている実例がいくつもあります。

 一例として、高円寺学園の建築は約80億円を費やし、6階建ての高層、しかも屋上に重たい25mプールが置かれたため、基礎構造に大きな費用がかかる建築となりました。ボーリングの不足を指摘されて追加調査し、杭の仕様が変更されたりもしています。無理に小中一体型にせず、3階建ての中学校の建て替えだけなら半額以下でした。工事規模拡大の方向に再編された一例です。

 今後のメンテナンスを考えたときに不都合と思われる事例もあります。永福図書館は区民集会施設、保育園との複合施設となりましたが、生活の場である保育園は配管の老朽化が早いことは想像に難くなく、改修時の図書館や集会施設への影響が今から心配です。それこそランニングコストを度外視した建設工事の肥大化です。

【建築コストの削減を考慮しない計画】

 面積が減らない、複合化もあまり貢献できないとすれば、あと考えられるのは設計の際の仕様や工法の見直しにより、少しでも建築コストを減らすことですが、これについては全く言及がありません。

 他自治体の公共施設等管理計画をみると、たとえば世田谷区の計画では基本方針の第一に、「施設はできるだけ長く使い、簡素にする」をかかげ、「必要最低限の仕様、できるだけ簡素で低廉な施設」と述べています。板橋区は大規模改修工事のコスト削減のため、改修内容を防水や機器交換などに限定したり、再利用できる部材の活用、既存樹木の活用、学校改築では夏休み中心に工程を組むことによる仮設費用の節減、などをあげています。調布市では、施設の標準仕様を定める、適切なグレードの建材や汎用品の活用など、それぞれ建築コストの縮減を意識して、手法を具体的にのべています。

 そこでうかがいますが、杉並区では、施設改築・改修にあたり、工事費の圧縮についてはどのような基準及び目標を設けているでしょうか。説明を求めます。(Q2-6)

【「質実剛健」はどこにある】

 公共施設、とりわけ学校は質実剛健が望ましいとは、先の決算特別委員会で、吉田副区長が述べられたことですが、私もこれには全く同感です。しかし、高円寺学園の例のほかにも、例えば桃二小校舎の改築では、建物が三角形で角が鋭角の部屋や廊下があり、部材の標準化や先々の他用途への変更には難があるなど、杉並区の区立施設はこれまで必ずしも質実剛健とはいえませんでした。

 施設再編にこれだけ力を入れながら、建設コストの軽減が全く省みられないのは、結局、財政負担軽減は本気ではないということです。

【「財政難」は欺瞞】

 財政負担の削減に本当に取り組むなら、施設再編にはやむを得ない部分もあるだろうと私も考えます。しかし、本計画はそうなっていないことを検証してきました。施設再編整備計画の本質は、統廃合と複合化を口実とした建設工事の増大と建設利権。返す刀で、児童館廃止や民営化などによる職員削減だということがわかります。財政難と区民を欺くのはやめて、工事費を膨張させる再編計画のありかたを根底から見直す必要があると指摘します。

【民間への貸出は公正か】

 さて、第二期計画案では新たに7つの基本方針が打ち出されました。うち方針①施設マネジメントの推進では、遊休地、遊休施設の民間への貸し出しなど活用が述べられていますが、区有地、区有施設は公共の目的に用いるものであり、いくばくかの料金をとるとしても、民間企業等の営利のために占有させることには疑義があります。

【学校跡地は高層マンションに?】

 そもそも遊休地・遊休施設が多いことが疑問です。旧若杉小学校は廃止されて10年以上経過しながら、ずっと暫定利用です。統合校である天沼小学校の厳しい教室不足とそれによる追加工事費用をみるにつけ、若杉小を廃止しなければよかったと思われてなりません。杉並中継所は負担付き譲与の期限切れから10年以上経過しながら、まだ施設利用の方針が決まっていません。新たな計画の中でも、杉一小をはじめ、富士見丘小、高円寺図書館、旧永福図書館など、大規模施設の跡地利用が未定という無計画さは問題です。

 特に杉一小や若杉小に関しては、JR駅近辺という好立地の大規模敷地ということで、方針⑤の民間活力の活用とあいまって、高層マンションを含む再開発の魔の手が伸びているのではという懸念はぬぐえません。

【民間「経営ノウハウ」とは】

 計画にはまた、民間の「経営ノウハウ」を活かすとありますが、このかん民営化されてきた保育園、学童クラブ、学校給食や用務など、なにか民間の優位性が示された例があるとは思えません。

 そこで、計画案の方針⑤において民間に期待する「経営ノウハウ」とは具体的に何を指しているか、説明を求めます。(Q2-7)

【ノウハウは労働者がもっている】

 たとえば、地域区民センターの運営委託においては、入札によって企業が交代しても、勤務している人はほとんど変わりません。なぜか。その施設を運営するノウハウは、そこで働いている人たちが持っているので、前の企業に雇われていた人をそのまま「居抜き」で雇ってノウハウを引き継ぐためです。つまり運営ノウハウを持っているのは労働者であって、企業ではありません。

【人買い、ピンハネのノウハウ】

 では、民間事業者のノウハウはなにかというと、要するに労働者を低賃金で雇い入れて差額を抜く、いわゆる「中抜き」、もっと露骨にいえば、ピンハネ、人買いのノウハウにすぎません。官製ワーキングプアという言葉が知られるようになって久しいですが、公共の仕事が区民の貧困を招くようなことは許されないことです。

【利用率低いから集会施設を統廃合?】

 最後に、区民集会施設についてうかがいます。第二期計画案の集会施設の部分に「利用率が50%程度にとどまっている」との記載があります。第一期計画では「60%ていど」と書かれていたのがぐっと下がった印象があります。そこで、集会施設の利用率が2013年から2019年の間にどう変わったか説明を求めます。また、利用率低下の原因は何か、所見をうかがいます。(Q2-8)

【利用率を上げることは考えない?】

 利用率が低いから施設の統廃合やむなしと印象づけるような計画案の記載です。しかし、施設が十分利用されていないというなら、普通は、どうすれば利用率を引き上げられるのかを考えるものではないでしょうか。ところが、区はこの間、団体割引の廃止等により、利用料を大幅に値上げして収入確保を図ろうとした結果、かえって区民を施設利用から遠ざけてしまいました。その結果がおしなべて50%という数字です。

 ここは、利用料の割引きを復活するなどして利用を増やす、前向きの方針に転じるべきではないでしょうか。

【公共施設は自治のゆりかご】

 集会施設に限らず、公共施設とはどういう意義があるのでしょうか。公共施設は、建設利権の食いものにするためのものでもなければ、財政のお荷物でもありません。

 一昨年の決算特別委員会でも述べたことですが、公共施設に住民が集まり様々な活動をすることで、地域のつながりが形成され、さらにはボランティア活動、行政への提言へと発展し、地域社会を豊かにします。それが住民自治の原点です。

 住民自治のゆりかご、住民自治の基盤となる公共施設の役割を、杉並区はいちから考え直していただきたい。そのことを最後にのべて質問を終わります。