わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

善福寺・西荻北児童館の廃止に反対しました(11月22日保健福祉委員会議事録より)

 2021年11月22日の杉並区議会保健福祉委員会では、西荻北児童館の廃止*1と善福寺児童館の廃止*2が審議されました。
 杉並区が計画する児童館全館廃止について考える上での論点を私自身の備忘録も兼ねて、質疑の中からまとめてみました。
 私は両議案に反対しましたが、賛成多数で可決となりました。可決を受けて、安斉あきら委員長は善福寺児童館廃止に関する陳情*3(署名851筆)の「みなし不採択」*4を宣言しました。
 2つの児童館の別々の条例を一括で審議、かつ、陳情を実質審議せず議案の可否をもって「みなし」とする安斉委員長の進行には疑問があるので、私は冒頭で動議を提出しましたが、否決されました。
 *1:議案第86号杉並区立児童青少年センター及び児童館条例の一部を改正する条例
 *2:議案第87号杉並区立子ども・子育てプラザ条例の一部を改正する条例
 *3:3陳情第9号善福寺児童館の廃館・機能移転に関する陳情
 *4:この場合、善福寺児童館の廃止が可決されたことが委員会の意思なので、反対する陳情の趣旨は否定されたものと「みなす」こと。
 以下、議事録から松尾ゆりの発言の一部を抜粋します。見出しはブログ掲載のために作成しました。なお、答弁は省略しています。(議事録はこちらから委員会名、年月日を選択すると閲覧できます。)
【1:動議を提出】
(松尾)ただいま議案第86号と87号が同時に上程をされております。この進行はイレギュラーな進行だと思いますので、委員長に質問させていただきます。
 第1に、2議案一括審議については、前例として申し上げますが、一昨年、東原児童館等の廃止と高円寺プラザの設置については、別々に審議をされていると思います。質問ですが、今回一括の審議とした理由はどのようなものでしょうか。また、それぞれ独立した審議としていただきたいのですが、いかがでしょうか。
 第2に、陳情について伺います。
 本日の議事次第に、3陳情第9号、善福寺児童館に関わる陳情が予定されております。確認しますけれども、実質審議は行わないのでしょうか。また、その旨陳情者には確認をされているのでしょうか。
 第2に、陳情者は補足説明を行うことができると思いますが、陳情者に補足説明を希望するか否か確認をしているでしょうか。
 第3に、陳情者の方が本日傍聴に来られていると思いますが、これからでも補足説明するかどうかの意思確認をされてはどうか。また、その上で、意思があれば、これからでも受け入れるべきではないかと思いますが、委員長、いかがでしょうか。
(安斉委員長:2議案は関連性があると考え一括審議する。陳情は議案の結果により「みなし」とする。そのことは陳情者には伝えていない。)
(松尾)陳情のほうなんですけれども、陳情者の方も、みなしという形での扱いということは承知しておられないということ。それから、みなしという形になるとしても、陳情者の方の補足説明は、御意思があればですけれども、行うべきと考えます。
 そこで、動議を提出したいと思いますが、陳情者に補足説明を希望するか否かについて尋ねるための休憩を取っていただきたいと思います。
 以上、動議を提出いたします。
(安斉委員長:議案を先に審議するのが基本なので結果が出た段階で「みなし」となるもの。
 動議の採決:賛成少数により否決。)
【2:「みなし不採択」は前例にしてはならない】
(松尾)数年前にも、区立施設の条例であったりとか使用料の条例についてみなし不採択が行われ、陳情者からかなり強い抗議を受けたということも聞いています。そうした経緯が生かされずに、本日のこうした審議の形態になったことは非常に残念だと思います。
 陳情者の方は、補足説明をするかどうか問われていない。それ以前に、みなしでの審議という形になるということもお聞きになっていないということで、陳情者に対しても議会として大変不誠実な対応になってしまっているということを、私も議会の一員として申し訳ないと思っております。
 今後このようなことが続き、結局、区の施策に反対するような陳情は塩漬けにして消してしまってから、みなし不採択などという形が当たり前になってしまうことは、区議会に対する信任という点からも非常に問題があると思いますので、取扱いについては、今後とも注意深く、慎重にやっていきたいと思っております。
 以上、意見として、私たちも共有していくものだと思いますし、委員長にもお願いをしておきたいというふうに思います。
【3:2児童館の廃止は計画にのっていない】
(松尾)今、第2期計画に初めて西荻北、善福寺の再編ということが出てまいりまして、ただいま12月3日までパブコメ中なわけですよね。今その最中ということです。ですから、まだこれに反対の意見を述べることもできるわけですね。だけれども、それに先んじてここで議決をしてしまうということは、区民に対して意見を言ってくださいと言っているパブコメの制度として問題はないんでしょうか。
(中略)
(松尾)大変不誠実な対応だと思うんですよ。片方で、意見を言ってくださいと言っている中に、この件は入っているわけですよね。だけど、反対ですとか、むしろこういうふうに変更してくださいとか、そういう意見をパブコメで出しても、それはもう採用されない。パブコメとして、つまり内容の変更に至らないということが前提にされちゃうわけですよね、今ここで議決したら。それは違法じゃないからやっていいんだとかいう話ではないと思うんですが、もう一度。
【4:説明会では全く足りていない】
(松尾)説明した、説明したと言うんだけれども、私も地元で同じような再編を経験しているからよく知っているんだけれども、児童館の再編の地域説明会って、1回こっきりですよね。(中略)
 地域の個別の人たちに説明したから、それでいいんですという話じゃない。大半の人はそこから漏れているという問題が1つあります。だからこそパブコメが大事なんじゃないんですかと言っているんです。なので、そこのところ、パブコメの話なんだということ。
 もう一つは、施設再編に関する意見募集というのは、全体の考え方を問うものなんだとおっしゃいますよね。毎回そうおっしゃっていると思うんですよ。それに対してもいろいろ意見は出ると思います。だけど、特に施設再編の場合は、個々の施設をいつどうするのかということを非常に具体的に掲載されていて、それに対する意見も、皆さん言えるわけです。(中略)。その権利が善福寺、西北の関係者というのは十分に保障されなかったんじゃないんですかということを言っているんですが、この2点。
【5:待機児童対策だけが行政の仕事ではない】
(松尾)確かに、学童クラブに入れなければ働けない親御さんはいらっしゃって、切迫している、それは分かりますよ。だけど、子供たちの遊びを豊かに保障していくということも、これは区の切迫している──目の前で誰かが生活できないとか、そういう話じゃないですよ。だけど、杉並区の責務としてやるべき子供の健全育成ということからすれば、ある意味、より重い意味があるんじゃないかと思います。(中略)
 そういったことの全体を包含して、均衡を考えながら、均衡を取りつつ、全体を一気に十分にはできないわけだから、少しずつでもバランスを取りつつ整備をしていくというのが公共の仕事たるべきものじゃないかなと、ちょっと今感想なので、御答弁は結構で、次に行きます。
【6:児童館の「あり方検討」はなされないまま】
(松尾)片方で保育園のあり方検討というのがありましたよね。それで、民営化する予定の保育園はここですとか、何年頃ですとか、あるいは指定管理をどうしますとか、そういうことが述べられている計画が別にあるわけですよ。それを踏まえて理解することがある程度できるのかなと。これは次善の策としてそういう理解ができると思うんです。
 しかし、児童館に関しては、全くそういうものがないんですよ。あり方検討って、2006年以来ないわけ。2006年のあり方検討で、児童館のどこかを廃止しますなんていう話は一つも出てないわけ。それが、施設再編が2014年に策定されて、そこで初めて出てきているわけですよ。児童館のどこかを廃止して、別の事業に転換しますということを言ってきているわけ。施設再編の話の計画の中に載らない限りは、うちの子供が行っている児童館が再編されるよということは誰にも分からないわけ。そういう違いがあると思うんですよ。
【7:地域によっては同じ権利が保障されない】
(松尾)今、パブコメの目的について御答弁いただいたんですけれども、ちょっと読み上げます。これに関してなんですけれども、「区民等の区政への参画及び協働を推進するとともに、区政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって住民自治の更なる進展及び区民等の権利利益の保護に資することを目的とする。」(注:杉並区区民等の意見提出手続きに関する条例)と書いています。
 先ほど透明性の向上については触れられたわけですけれども、先ほど他の委員からありました自治基本条例の理念にのっとり、参画と協働を推進する、住民自治のさらなる進展に資することということがあるのと同時に、公正性の確保、それから区民等の権利利益の保護ということが書かれています。この目的に照らしたときに、例えば、うちの地元の東原児童館でいうと、この条例にのっとり、パブリックコメントが募集され、それから説明会が開かれ、うちの地元の人たちも説明会、区役所に大勢で来ましたよ。それで、そこで意見も言うことができ、説明も聞き、学校や学童での説明会もいただいて、そういうことを経て、もちろん反対の意見も根強かったけれども、結果として今、杉九学童クラブという形に変わっているわけですよね。
 ところが、善福寺や西荻北の児童館、そして学童クラブに関わる人たち、子供たちとその保護者や地域の人たちは、そのような私たち杉九学区の者が享受した意見を言う機会、パブリックコメントや説明会で質問する機会、そういったものが与えられないままに、今日ここに至っているわけですよ。そのことに不公正はないのか、不公平はないのかということを私は問いたいんです。
 それで、区民等の権利利益の保護という点からしても、その人たちは──山田さんもその一員だということなんだけれども、善福寺や西北に関わる人たちは、権利利益の保護という点からしても、例えば、私が経験した地域の扱いに比べて、やはり権利が少し確保されてないんじゃないかというふうにも見えるわけですね。そういう点で不均衡がありませんかと。
 だから、今行われている2期計画に載っているんだから、この計画がパブコメを経て確定される以前に廃止の決定をすることはふさわしくないんじゃないんですかという話をしております。このパブコメの理念に関することについて、再度御答弁をいただきたいと思います。
【8:PTAの要望書は会員の総意】
(松尾)先ほど、PTAの要望書について、意見が違う方もたくさんおられて、総意ではないんだ的な答弁があったんですけれども、どういう理解なのか、もう一度示してください。
(答弁略)
(松尾)ちょっと勘違いしていると思うんですよ。PTAってそういうものじゃないんですよ。私も会長とかやらせていただいたんですけれども、PTAで合意を取って、しかも区役所に対してとか区議会に対して会長名で要望を出すって、すごく大変なことなんですよ。会長が、自分の思いとかあるいは何人かの役員の思いとかで勝手に出せるものじゃないですよ。任意団体とはいえ、PTAというのは、Tというところに先生も会員でいらっしゃるし、ほとんどの場合は、ほとんどの保護者家庭が会員になっていらっしゃって、その方たちの意見に反して、勝手な思いで暴走して要望を出すなんてことはあってはならないことなんですよ。
 つまり何が言いたいかというと、こうやって要望書を出して、しかも会長さんのお名前で、4団体がこうやって父母会やPTAという団体のお名前で要望を出していらっしゃるということは、基本的にはこれは会員さんの総意なんです。それは、会員さんの中には違う意見の人がいますよ、もちろん。皆さんが進めていらっしゃる再編だって、私たちみたいに反対の人間がいるんだから、総じて区議会は賛成しましたと言ったって、反対の人もいましたよねとなる。それと同じで、会員さんの中に、まあいいんじゃないの、区役所がやっていること、私は賛成よという人、いると思いますよ、もちろん。
 だけど、こういった形で懸念材料がありますよ、だから、ここを解決してくださいという要望書を4団体が、しかも4団体が連名でお出しになるなんて、私の経験からしたら、これはすごいことなんですよ、言っておくけど。こういう形で合意をされてお出しになったことの重みというのをやっぱりもう少し感じてほしい。学校の中には反対の保護者もいるんですよ、これがみんなの意見じゃないですよなんていう話じゃないんですよ。プロセスを経て、アンケートも取っていらっしゃいますよね。そうやって会員さんの合意形成を図り、皆さんの最大公約数の意見はここですね、この場合だったら、校庭開放をとにかく残してほしいというのが一番大きいんだけれども、そういうふうにしてやっていらっしゃったことを、都合よく別の意見に乗っかって解釈するというのはちょっと違うかなと思います。
【9:学校内と児童館の施設の違い】
(松尾)次なんですけれども、学校内の学童クラブについて、少し状況を踏まえた上でお話をしたいと思うんです。
 それで、ちょっとまとめてお話しするかなと思いますが、1つは、先ほどから話題になっている施設再編整備計画、一番最初の案が出たときに、区役所側が説明会とかでおっしゃったのは、学校という広いフィールドを使って、児童館ではできなかったことができるんですよと。特別教室、図書室や音楽室、図工室、学校の施設を利用して、今までできなかったような活動ができますとおっしゃったけれども、実際にはどのぐらい使えているのかということを、これまで再編した学校について教えてくださいというのが1点です。
 それから2つ目です。そうはいっても、今、学校の授業が終わるまで、最終学年の6年生とかが下校するまで校庭や体育館は使えないという話題がさっきから出ているんですけれども、そういう中で、今の学校内の学童というのは、今御指摘ありましたように、非常に狭い。そうすると、何が問題かというと、子供たちは非常にストレスがたまるわけですよ。だから、その中でいじめが起きたという事例も私は聞いています。そういうこともあり得る。それは、子供同士のところは常にそういう問題は起きるんだけれども、やはり狭いところで限られた空間で子供たちが遊ばなければならないことのストレスは、大きいんじゃないかなと思っています。
 何かトラブったときに、児童館だったら、例えば、2階の育成室で遊んでいました。ちょっと嫌なことを言われたりたたかれたりした。すぐに1階に逃げるとかできるんですよ。あるいは、部屋がたくさんあるから、別の部屋に逃げるとかできるんです。だけど、学童クラブではそれが難しい。学校内の学童クラブは空間が狭いということが、子供たちの精神的なストレスと、それからいじめとかあった場合、あるいはけんかになったりとかした場合の逃げ場がないんじゃないかなというふうに思いますが、その点についての配慮、どのように考えていらっしゃるかということです。
 それから3つ目なんですけれども、これは休憩中も課長にお聞きしたんだけれども、遊びの種類が限られているんじゃないかという点、それは改善していますとおっしゃっているんですけれども、どうしても事業者側から用意された、今日はこれで遊びましょうというプログラムの中から選ばざるを得ないとか、児童館の場合は、音楽室、図工室などに行って、図書室もあるし、本を読みたい子はそこへぷらっと行って、飽きたら遊戯室に行って遊ぶとか、そういうことも自在にできるわけですよ。学校の中の限られた育成室と、それから今日使えるスペースは校庭とか、そういうふうに決まっている中では、自由にそこを行き来して、自分がその日の思いつきで、今日の気分で、これをやってみようかなということがやりにくい。やっぱり児童館と比べて、遊びの種類とか本人の自由な意思というのは、どうしても制約されやすいんじゃないかと思います。その点について現況をどう把握されているか、御説明等を伺いたい。