わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

人は何を言ったかではなく何をしたかで評価される(2022年2月16日一般質問)

 2022年2月16日、杉並区議会第一回定例会において一般質問しました。質問項目は、

1.区長の政治姿勢について(予算編成方針について)

 区長のいう「新自由主義的な行革からの脱却」は口先だけ(あるいはリベラルへの秋波)で、これまでの新自由主義的な区政への反省もなければ、「脱却」する道筋も全くないことを指摘しました。さらにパラリンピック学校観戦の強行、および、「愛郷心の醸成」に対する異議を述べました。

 山田前区長と同じことをやってるじゃないか、というと怒る田中区長ですが、実態はかわらないし、部分的には山田区政より悪くなっていると思います。

2. 阿佐ヶ谷駅北東地区の再開発について

 杉一小を移転させて跡地が何になるのか。何度質問しても「未定」としか返ってこないのですが、駅前の一等地に5500平米の用地となると、ディベロッパー的にはタワマン一択でしょう。とても心配です。

(以下は質問原稿です。実際の発言とは一部違う場合があります)

1.区長の政治姿勢について(予算編成方針について)

 一般質問をいたします。まず、予算編成方針に示された区長の見解のいくつかに疑問があるので質問します。

【区民をないがしろにした「実績」】

 区長は、予算編成方針の冒頭まず、この10年間、多くのチャレンジを行って実績を上げたと述べました。しかし、ここに挙げられた、あんさんぶる荻窪荻窪税務署の財産交換や、向井公園、久我山東原公園など、公園を廃止した民間保育園の建設は、地域住民からの強い反対意見をないがしろにして強行された、田中区政の代表例です。

【住民の反対は「敵」認定】

 住民に説明もなく唐突に打ち出される計画への反対意見を、区長は「政治的な意図をもった反対意見」と、区長と対立する政党の差し金であるかのように印象づけて敵認定し、自らの正当化に利用してきました。

 区長はこれらも含めて「チャレンジ」と呼んでいるようですが、何を誇っているのでしょうか。住民を敵視することは何に対する「チャレンジ」なのでしょう。

【盗撮、虚偽の刑事告発、スラップ訴訟】

 また、高円寺学園の建設にいたっては、近隣住民に対して、対話ではなく弾圧で応じ、説明会では住民にことわりなく盗撮、事業者が住民に突き飛ばされたと虚偽の刑事告発、さらに住民をターゲットとしたスラップ訴訟など、ありとあらゆる手を講じて、住民の反対の声を封殺しました。

 そして今も変わらず同じ手法が続いています。西荻窪の補助132号線や阿佐ヶ谷駅北東地区の再開発、さらに、児童館の廃止に反対する声に対して「理のある意見なら聞く」といういいぐさは、自分と異なる意見には理がないと切り捨てるものであり、住民自治の否定、民主主義の抹殺です。様々な意見を包摂し、区民全体の奉仕者たるべき首長のとるべき態度ではありません。

新自由主義からの脱却というが】 

 さて、驚いたのは「新自由主義的な行革概念からの脱却を図る」と述べたことです。これまで新自由主義批判などひとことも述べたことがない区長が、どういう心境の変化でしょうか。

 脱却を図る、転換を図る、というなら、第一にこれまでの区政に対する反省があるはずですし、第二に、予算編成方針にも具体的な転換が政策として示されるはずですが、そのような見解は示されていません。

 とすれば、新自由主義的行革概念からの脱却や、行財政改革の転換とは、単なるリップサービスにすぎないのでしょうか。以下この問題意識により質問します。

新自由主義の定義は】

 まず、区長は何をさして「新自由主義」と定義しているのかでしょうか。

 また、新自由主義、「ネオ・リベラリズム」は一般には、イギリスのサッチャリズムに代表され、日本では小泉政権がかかげた「官から民へ」による民営化であり規制緩和とうけとめられます。新自由主義からの転換を進めるという区長は、サッチャー政権や小泉政権が推進した「小さな政府」についてどう評価しているのかうかがいます。(Q1-1)

【官製ワーキングプアを大量に生み出した】

 官から民へのかけ声のもと、公共サービスの市場化は、杉並区においても、非正規化と民営化により、官製ワーキングプアを大量に生み出してきました。

 前区長がどうのこうのといいますが、ご自分はどうか。退職不補充の方針による清掃や、給食・用務の非正規化、民営化など、前区長の路線をそのまま踏襲してこれまでやってきたのではありませんか。

 保育園や学童クラブの委託・民営化に対しては、当事者である保護者から強い反対の声が上がったケースも多々ありましたが聞き入れられることなく強行されました。

【山田前区長の路線を踏襲してきた】

 人は何を言ったかではなく、何をしたかで評価されます。政治は結果責任ともいいます。

 前区政をいまごろ批判するのなら、12年前の就任時に新自由主義と決別することができたはずです。今さら何を言っているのでしょうか。

 そこで質問しますが、区長はこれまでの行財政改革のどこに問題点、課題があると考えているのでしょうか。また、これまでの杉並区の職員削減、民営化をどう評価しているのか見解をうかがいます。(Q1-2)

【今後も民営化、市場化を加速する】

 予算編成方針を聞くかぎりでは、新自由主義すなわち民営化や小さな政府の政策を転換するどころか、むしろ加速するようです。

 たとえば、学校施設の一般利用について、これまでの教育委員会直轄の学校開放のしくみ、利用者団体登録による調整や、校庭開放(遊びといこいの場)の改善ではなく、営利企業に委託するモデル事業の方向性は、すなわち、公共財を利用した利潤の追求であり市場化でなくて何なのか。

 保育園の民営化や、児童館廃止による学童クラブと放課後等居場所事業の民間委託は転換されることなく進められます。これのどこが「新自由主義からの脱却」でしょうか。

 また、「民間人材の積極的な登用」により専門性の確保を図るなどとされていますが、「新自由主義から脱却」するのであれば、民間だけに頼るのでなく、むしろ区内部の専門職の育成、専門人材の職員採用こそ必要ではないでしょうか。見解を伺います。(Q1-3)

【国政野党支持層への「秋波」にすぎない】

 結局のところ、区長の「新自由主義からの転換」は、岸田政権の「新しい資本主義」にのっかり、目新しいことを言ってみたということでありまた、昨年の衆院選・東京8区における立憲民主党新人の圧勝をみて、国政野党の支持層に対して秋波を送っている、風見鶏的な対応と言わざるをえません。

パラリンピック学校観戦の強行】

 次に、教育行政に関する認識をうかがいます。昨年8月のパラリンピック学校観戦について、私は観戦を行わないよう区長と教育長に要望を提出しました。その理由は、教育現場の意思決定過程をないがしろにするものであり、現場に混乱をもたらしていると考えたからです。

【個人的な観戦ではなく教育活動として】

 「参加、不参加の自由を保障する」というのが区長の言い分ですが、問題の立て方がまったく間違っています。個人的な観戦ではなく、教育活動として実施する以上は、それなりの意思決定課程を経なければならないし、そこに至る合意形成の努力が欠かせません。

 昨年の決算特別委員会で確認したところ、オリンピック学校観戦の中止後、区内全小中学校がパラリンピック観戦中止を決めていました。各学校ではそれまでの学校におけるオリパラ教育との関連のなかで、観戦を行うかどうかの判断を行ったはずです。

 区長は、パラリンピック観戦に関連して、観戦中止を求める意見は「極論」「思考停止」などといいますが、各学校長の観戦中止決定は教育的見地からのものではなかったのか。見解をうかがいます。(Q1-4)

【教育行政に対する政治介入】

 ところがその一方で、区長は都知事や都教育庁などに対して学校観戦の要望を提出していました。

 結局、各学校の教育的判断としてではなく、観戦日程の直前に児童生徒個々人の意向を直接確かめるかたちで、観戦が強行されました。各学校の判断をくつがえすものであり、これでは、学校教育活動として成り立たず、区長の政治介入といって過言ではないと考えますが、いかがか。区長の見解をうかがいます。(Q1-5)

【90周年事業と「愛郷心」】

 次に、90周年事業についてうかがいます。区長は認識していないかもしれませんが、これも社会教育という教育行政の一部にもかかわることです。

 杉並区の歴史を90周年を契機に振り返るのは重要なことであり、一昨年の決算特別委員会で私も区史について質問しました。会派の堀部議員の代表質問に対して、区長が区史、教育史等の編纂について言及したことは重要なことです。

 しかし見逃せないのは90周年事業の意義づけです。「愛郷心を醸成することを目的として」とありますが、区民に対して「杉並を愛するように」と求めるのは大変失礼なことです。

【区民が愛する杉並の宝を奪われた】

 大体、愛郷心が最も欠けているのは田中区長ではありませんか。地元出身なのに、杉並区民が誇りに思い、愛してやまない杉並区の宝、科学館、児童館、あんさんぶる荻窪、けやき屋敷、そして都市公園を次々に破壊して奪ってきたではありませんか。

 ふるさと杉並に何かうらみでもあるのかと思うほどです。愛するものを奪われた区民に、区長は、どうやって愛郷心を持てというのでしょうか。

 こうした区長の姿勢にうんざりして杉並を見放す人も少なからずいらっしゃるのです。

 そんな状況だから、区長は、杉並区民には愛郷心が不足しており醸成の必要ありとの認識なのでしょうか。また、その認識の根拠をうかがいます。(Q1-6)

 検索してみましたが、同じく90周年を迎える他区に「愛郷心の醸成」などという表現はどうも見当たらず、淡々と90周年を祝うようです。あえて愛郷心を醸成しなければならないと考える区長の心理のありようが心配になります。

愛郷心は煽るものではない】

 ひとの心の内面を云々する前に、区長はじめ区役所がまず、杉並を心から愛し、放っておいても区民から愛されるまちを回復していただきたいと思います。

 地域の歴史を記録することは、杉並区を無条件、無前提に称揚する「愛郷心」ではありません。私たちの先輩たちがこの地域でなにを問題にし、なにを作り上げてきたかを知ることであり、むしろ現状に問題意識をもち、住民自治によって解決していこうとする自覚の基盤であり、社会教育の目的とするところではないでしょうか。90周年事業については、安易な愛郷心の鼓舞に陥ることなく、社会教育的な位置づけなおしが必要と考えます。

2.阿佐ヶ谷駅北東地区再開発について

【杉並区に対する情報公開の裁判が結審】

 第二に、阿佐ヶ谷駅北東地区の再開発についてうかがいます。

 この計画については、仮換地指定に関する情報を一部非公開とした決定を取り消すよう求めて東京地裁に提訴した裁判が昨年末結審しました。判決は4月となりますが、裁判所の公正な判断を望むとともに、杉並区が情報公開を誠実に履行するよう引き続き求めるものです。

【都内各地で100m超タワマン再開発】

 さて、最近都内各地で駅前などの再開発により、超高層のマンションいわゆるタワマンが建設される事例が相次いでいます。

 報道によれば、不動産大手の三菱地所野村不動産といった企業が史上最高益を上げているそうですが、タワマンブームに沸き、マンション価格が高騰する東京にいると、さもありなんと思われます。

 特に、公共用地、公共の資金をあてにした事業が目立ちます。杉一小と共通する要素でもあるので、各地の事例を少し紹介してみます。

 中央線・武蔵小金井の駅周辺再開発では野村不動産の100mのツインタワーのマンション、国分寺では住友不動産の135mのツインタワーの再開発マンションが建てられたことは一昨年、一般質問で述べたとおりです。

中野駅前に1000戸のタワマン】

 お隣の中野駅周辺は多数の再開発が一斉に動いていますが、中でも、サンプラザと中野区役所の再開発では、野村不動産を代表事業者とする企業グループが選定され、昨年12月、区議会にも報告が出ました。

 都庁の高さも超えるという262mのタワーに、商業施設、公共施設、オフィス、そしてなんと1000戸ものマンションが入る計画です。

【タワマン開発の公費依存】

 板橋区の大山ハッピーロードを分断して開発されるのは住友不動産の高さ100m近いマンション2棟。葛飾区立石では高さ120m、650戸のマンション。区役所庁舎も入居するため、なんと公費が700億円も投じられ、事業費の7割を税金でまかなうとのことで、事業規模だけでなく、公費のへの依存ぶりも目をみはるものがあります。

【杉一小の跡地は高層ビル?】

 ところで先日、阿佐ヶ谷の公共施設で知人と再開発を話題にしていたところ、近くの席に座っていた見知らぬ人から「杉一小の跡地は、30階建てのビルになる。そして大手の〇〇スーパーが入るんだよ」と言われました。いま街ではこんな話が飛び交っているようです。

石神井公園駅周辺に100mのタワマン】

 杉一小用地は地区計画で高さ60m、容積率500%の規制があるので30階は無理では? と思います。ところが、実は、それを緩和する手法がないわけではありません。

 たとえば、地区計画を再度設定し直すことです。

 練馬区は、石神井公園駅前の、絶対高さ35mに規制した地区計画を変更して、野村不動産の高さ100mのマンション建設計画をアシストしました。これに反対する訴訟が起きています。練馬区長は東京都の局長を務め築地移転にもかかわった人であり、区長とも縁の深い方かと思います。

 あるいは、市街地再開発事業を新たに導入すること。これは以前紹介した田町の例があります。港区立の小学校用地を区画整理事業で移転させて民間事業者に渡し、その後、市街地再開発事業で170m、180mのビルが2棟立ちました。

【「総合設計制度」による緩和】

 また、総合設計制度というものがあり、一定の条件を満たせば高さ、容積とも緩和することが可能です。高さは1.5倍まで緩和できるので、杉一小用地でも30階の建築が本当に可能となるようです。

【杉一小用地で100億円の利益も】

 仮に、杉一小用地に総合設計制度で緩和を適用した場合、現在の容積率500%から最大675%まで緩和できます。その場合、300戸以上のマンションを販売することができ、不動産開発会社、ディベロッパーはざっと計算して100億円近くの粗利を手にします。一般的にマンション開発による営業利益は売り上げの2割、しかし、公共がからむと3割に増加すると言われます。この場合、杉並区のアシストによって、ディベロッパーの営業利益は60~70億円にものぼることでしょう。

 例えば野村不動産でも、中長期計画をみると住宅事業の事業利益は3年間で300億円の目標、つまり1年あたり100億円ですから、ディベロッパーにとって、70億円の利益がいかに大きいか、杉一小跡地の再開発がいかに魅力的かわかります。タワマン建設の可能性が心配です。

【河北病院新築計画の圧迫感】

 さて、来年度から予定されている河北病院の新築工事へ向けて準備が進んでいるようです。1月17日には、まちづくり景観審議会景観専門部会が開催され、河北病院の資料が提出されました。こちらが提出されたパース(資料を掲示)ですが、予測していたこととはいえ、あの低層住宅地において、9階建ての病院は相当な圧迫感です。

 病院側は「森の病院」という説明を度々繰り返していますが、森などあとかたもなく、高層の建物にへばりつくように木がわずかに残っているイメージです。

【ツミの環境保護は】

 特に気になるのは、「東京における自然の保護と回復に関する条例」の猛禽類保護の条件です。度々指摘してきたことですが、壁面緑化や高木により建物を可能なかぎり隠蔽すること、及び、既存樹木の樹高以上の幅の緑地を確保することが開発許可の条件です。

【壁面緑化不足、植栽の高さ不足】

 昨年3月に行われた河北病院の説明会では、建物北側3階部分の外周に一部壁面緑化を施すという説明がありましたが、今回の資料にそれはありません。

 建物の隠蔽については、壁面緑化がないばかりか、北側の植栽も高さが足りません。建物全体は9階建て、40m北側部分は段階的に4階、6階となっていますが、植栽計画では、最高でも4mの木しかありません。

【残留緑地の幅不足】

 また、残留緑地についても、昨年の決算特別委員会で確認しましたが、既存樹木の樹高がおおむね25mのところ、病院敷地に含まれる残留緑地の幅はおおむね20mとのことで、既存樹木の樹高には幅が足りない計画です。

 河北病院は昨年の大規模土地利用構想に対して区民から提出された、壁面緑化の拡大、みどりの確保を求める多くの意見に対し「地区計画で定められた緑化基準25%は、地上部分で達成しており」云々と消極的です。

【緑地確保は杉並区の責任】

 400年続いた屋敷林を伐採して、そびえたつ高層の病院を計画し、あまつさえ「森の病院」とまでいっているのだから、みどりの確保は至上命題ですが、それ以前に、そもそも区画整理事業計画の全体が、都条例の条件を満たすことを必須条件としてみとめられているものです。

 杉並区は、施行者の一員として、ツミの生息環境保全に共同の責任を負っています。条例に違反すれば、区画整理事業全体が東京都協議の要件を外れることになりますので、病院まかせでなく、区としても適切に対応すべきです。

 そこでうかがいますが、河北病院の新築工事に関して、今後、建築確認申請までに求められる緑化計画等の手続きはどのようなものがあるか説明を求めます。(Q2-1)

そして、その進行の中で、都条例のツミの保護上必要な壁面緑化や植栽などについて、区として今後どのような指導ができるかうかがいます。(Q2-2)

【「エリアマネジメント」とは】

 最後に、エリアマネジメントについてうかがいます。

 まず、エリアマネジメントとはなにか。また、今年3月付けで提出された株式会社計画工房による「まちづくりの取組手法等検討支援業務報告書」では、エリマネの収入として、行政の補助金助成金に言及されているところですが、利用できる補助金はどういったものがあるでしょうか。区の財政負担については、どのように考えているのでしょうか。説明を求めます。(Q2-3)

千代田区が土地建物を無償貸与】

 千代田区では以前、前区長が、超高層マンション建設の規制緩和の見返りとして三井不動産レジデンシャルから利益供与を受けていた疑惑で大問題になりましたが、先日は、同じ三井不動産が中核となった日比谷のエリアマネジメント企業に千代田区が土地・建物を無償貸与し、これによって企業側が年間6000万円もの利益を得ているのは不当として、元区議らが区長を提訴しました。このような癒着は論外ですが、阿佐谷は大丈夫でしょうか。

【エリアマネジメントと住民の関与】

 ここで次に、エリアマネジメントについて、近隣住民、地権者からの意見聴取は行うか。またその時期について説明を求めます。(Q2-4)

 報告書では、4名の地域関係者に聞き取りをしたとされています。対象者と聞き取り内容は非公開ですが、事業者公募時の書類では、町会、商店会、まちづくり団体等が対象とされています。

 町会、商店会はともかく、民間まちづくり団体は、ひろく地域に開かれたものではありません。

【特定のまちづくり団体の意見しか聞かない】

 そもそも再開発計画が区議会で初めて明らかになったときに名前が出たのが「阿佐ヶ谷北東地区を考える会」でしたが、この会の実態は十数人の非公開で私的な会で、参加者以外には全く知られていません。ところが、計画工房の報告書には「前向きな活動を行っている既存のまちづくり団体等との連携が大切」とあり、エリマネも、あくまでもこうした特定のまちづくり団体のみの意見で進めていく方向です。

【阿佐ヶ谷だけまちづくりから住民を排除】

 私は、阿佐ヶ谷でも、荻窪西荻窪のように、区が主導して、一般公募の区民によるまちづくり協議会を設立すべきとたびたび主張してきましたが、区は頑なに拒みました。なぜ阿佐ヶ谷のまちづくりだけが、特定の団体の提案をもとに行われるのか。区の役割は民間のお先棒担ぎなのか。公正性、公開性に欠けるのではないでしょうか。

 こうして少数の事業者の声だけをきいて、一般の住民にはまったく知らされないまま進行していくエリアマネジメントは、先に例をあげた日比谷のように、ディベロッパーが主導し、場合によっては営利を追求する事業体となり、住民は蚊帳の外になる危険性があります。

【一部の企業、地権者だけのまちづくり】

 こうした地域の状況を踏まえて、杉並区として、エリアマネジメントにおける住民参加の範囲についてはどのように考えているか。また、運営形態については、協議会方式、会社形式などのうちからどのような形態を想定しているか説明を求めます。(2-5)

 住民に開かれ、公正公平な空間の活用を考えるべきまちづくりが、エリマネという閉じた団体、一部の企業、地権者だけのものになるのではないかと危惧します。

 まちづくりまでも、大企業のもうけのネタにしてしまう田中区政は、まちづくりにおいても、新自由主義を脱却どころか、まっしぐらだということを指摘して質問をおわります。