わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

情報公開裁判でおおむね勝訴しました(2022年5月26日一般質問)

 2022年5月26日杉並区議会第二回定例会で一般質問しました。

 質問のテーマは「情報公開について」。私が杉並区を訴えた阿佐ヶ谷再開発の情報公開についての裁判の結果、おおむね勝利したことを主に報告、さらに木彫母子像「つたえあい」の購入について質疑しました。

(以下は質問原稿です。実際の発言と異なる場合があります)

(1)阿佐ヶ谷駅北東地区に関する訴訟について

 一般質問をいたします。まず、阿佐ヶ谷駅北東地区に関する情報公開についての訴訟の結果について報告しつつ、その評価についてうかがいます。

【被告杉並区おおむね敗訴の判決】

 4月8日東京地裁において、杉並区に対する情報公開の命令を求めた裁判(令和2年(行ウ)第299号 行政文書非公開処分取消請求事件 市原義孝裁判長)の判決がありました。原告・被告ともに控訴せず、判決は確定しました。

 判決は、私の請求の一部を除きその他すべてを認めたものであり、原告おおむね勝訴、すなわち被告杉並区おおむね敗訴の結果と受け止めています。

【裁判にいたる経緯】 

 まず裁判にいたる経緯について述べます。昨年9月3日、裁判の場で意見陳述しましたので、以下、この陳述から抜粋・引用して訴訟に至った経緯を確認します。

 「杉並区は2019年8月に阿佐ヶ谷駅北東地区土地区画整理事業を施行認可し、10月には事業の個人共同施行者である欅興産、河北医療財団とともに3者で仮換地処分を行いました。その際、区議会、区民に対しては一切説明がありませんでした。

 そこで私は、同年11月の区議会において、区議会に対し事前の説明がないまま仮換地に同意したことは不当で、いったん撤回すべきこと、また、共同施行者2法人の仮換地情報は公開すべきこと、等を求めましたが、杉並区長はこれらを拒否したばかりか「ご納得いただけないというのであれば、あとは裁判にでも何にでもお訴えされる以外ない」と述べる始末でした。

 議会において情報が得られないので、次に私は情報公開請求を行いました。その請求に対する決定が、本件訴訟の対象となっている行政処分です。仮換地に関する書類が何枚も全面真っ黒に墨塗りされていたことには衝撃を受けました。当時は国会でもいわゆる「のり弁」が話題になっていましたが、まさか杉並区で同じものを見せられるとは思いませんでした。そこで、2020年3月に不服審査請求を提出しました。

 ところが、その提出時に、窓口で「現在2年半ほど前の請求を審査しているところなので、しばらくお待ちいただくことになる」と聞き、再度驚きました。不服審査の期限を設けている自治体も多いなか、杉並区は期限がないため、いつまでたっても審査が進まないのです。仮に請求が認められ情報を入手できたとしても、それが数年後では、事業は進んでしまい、あるいは完了してしまい、情報の意義がなくなってしまいます。形の上では不服審査という救済制度がありながら、杉並区では全く機能していないのが現実です。

 ここに至って、議会質問の際、あれほどかたくなに私の要望を突っぱねることができたのは、どんな情報も区が隠そうとすれば、それを牽制する機能は事実上どこにもないことを知っていたからだとわかりました。

 杉並区が情報公開に対して真摯に向き合わないのであれば、訴訟もやむなしと思う一方、費用と労力のことを思えば正直、訴訟をしたくはありませんでしたが、司法の判断を仰ぐしかないという思いで、本件訴訟に至ったものです。」

 以上意見陳述より引用しました。

【非公開の取り消しを求めた】

 私が訴えた内容は、区画整理事業の主体である共同施行者の河北医療財団および欅興産の2法人の仮換地情報について、また、土地評価基準を定めた評価員3名の氏名および所属について、非公開とした決定を取り消し、公開することです。

 訴えに対し、東京地裁判決は、

第一に、原告の訴えのうち、一部を除く請求を認容する(認める)。

第二に、杉並区長による一部公開決定のうち裁判所の認容部分について、決定を取り消す。

第三に、杉並区長は、原告に対し、認容部分の各情報を公開する旨の決定をせよ。

第四に、訴訟費用は原告が20分の3、被告が20分の17とする。

としました。費用負担割合から計算して20分の17すなわち85%は私の主張が認められたものと理解しています。

 他方、認められなかった請求は、2法人の財産評価に関わる指数等、及び、評価員3人の所属です。指数等については、今後公開される情報をふまえることで仮換地指定の検証が可能との判決であること、また、評価員の所属については被告杉並区が保有しない情報であるとの理由でしたのでやむなしと受けとめ、それ以外の大半の請求が認容されたこと、及び、弁論における原告側の主張がほぼ全面的に認められた重要な判決であったと考え、控訴はしませんでした。

【3つの争点】

 東京地裁が判断したのは3点です。

 第一に、仮換地指定にかかわる2法人の情報が杉並区情報公開条例(以下条例といいます)第6条第1項第3号すなわち、法人の事業活動情報であるから公開できないとする被告杉並区の主張は適切かどうか。

 第二に、同じく仮換地情報は条例第6条第1項第4号すなわち行政執行情報であるから公開できないとする区の主張は適切かどうか。

 第三に、仮換地の評価員の氏名、所属は条例第6条第1項第2号すなわち個人情報にあたるから公開できないとする区の主張は適切かどうか。

 これら3点に対する東京地裁の判断に対し、まず、区の所見を求めます。(Q1-1)

【仮換地情報は非公開とすべきか】

 各争点についての地裁判決を紹介します。まず、第一の争点すなわち条例第6条1項3号「法人事業情報」についての判断です。

 被告杉並区は、公開すれば2法人に対して「不動産開発業者等から問い合わせが多数寄せられ、また、営業活動が活発に行われ、業務に著しい支障をきたす」などと主張しましたが、判決は、本件土地区画整理事業はすでに公告、公衆縦覧に供されて周知されているのだから、問い合わせや営業を行うことは現在でも十分可能であるにもかかわらず、こうした事態が発生した証拠は一切提出されておらず、従って被告の主張は失当と退けました。

【「著しい不利益」は推測ではダメ】

 また、被告杉並区は「公開すれば著しい不利益が生ずる」と主張しましたが、判決は、「著しい不利益」とは「一般的抽象的な不利益発生の可能性の推測では足りず、客観的具体的に合理的理由を説明する必要がある」とする「杉並区情報公開・個人情報保護制度事務手引」(以下手引といいます)の記載を根拠として、一部情報については非公開を認めたものの、登記簿と同等の内容すなわち権利者、仮換地の位置、形状、街区番号及びこれらを記載した図面等の情報については公開すべきものと判断しました。

【「仮換地」は登記と同様の公開性をもつ】

 この判断にあたっては仮換地情報の位置づけと公開性が論点となりました。

 被告杉並区は仮換地は不確定な情報である旨主張しましたが、これに対して判決は、仮換地は実質的な換地予定地だが、形式上「工事のため必要がある」として指定をすることが実務上通例となっている、という私の主張を認め、さらに、東京都などが発行する「仮換地指定証明書」を誰でも請求し公開を求めることができる事実、また、仮換地による土地の使用収益権の移転の実態から、仮換地指定に係る情報は、登記記録と同様、公開の必要性が高いと判断し、被告杉並区の主張を退けました。

【非公開とすべき行政執行情報にあたるか】

 第二の争点は第4号行政執行情報です。

 4号の条文では、「取締り、立入調査、選考、入札、交渉、争訟等の事務に関する情報」であって公開した場合に「これらの事務の執行を著しく困難にするおそれのあるもの」を非公開の要件としています。

 被告杉並区は、仮換地は交渉に類する事務であると主張しましたが、判決は手引の記述を根拠として「条例に列記されたものと類似する性格を有する事務に関する情報に限定される」ところ、仮換地は「交渉」に類似する事務とは解し難いと指摘しました。

 また、被告杉並区は「仮換地の指定は不確定なものであり、このような不確定な情報を共同施行者の一人にすぎない被告が公開することにより、

・本件事業の自治的な運営を阻害する

・関係権利者に無用の混乱を招く

・施行者及び施行者以外の地権者との信頼関係に影響を及ぼす」

などと主張しましたが、判決は、第1の争点に述べたように仮換地情報は公開の必要性が高く、著しい支障を生じるとはいえないとして、公開が相当としました。

【地裁判決後もつづく違法な非公開】

 ところで最近、この第4号行政執行情報について、都市計画道路補助221号線に関する違法な非公開決定と思われる情報がよせられました。

 地元の方が221号線の事業認可申請書類を公開請求したところ「公開できない」とされ、その理由は「事業認可に関わる文書なので行政執行情報にあたる」というものであったとのこと。

 しかし、事業認可は4号の行政事務の列記に含まれていないし、類似の事務でもありません。したがって、地裁判決に照らせば、事業認可事務であることを理由とした非公開決定は条例違反といわねばなりません。

 しかも、この非公開決定は地裁判決確定後の今月であることに驚きます。区長は控訴せず地裁判決を受け入れたのですから、このような処分をしてはならないはずです。裁判の教訓が全く生きていません。杉並区はこの方の請求に対して、早急に決定変更し情報公開すべきです。

【「評価員」の氏名は個人情報か】

 第三の争点では、被告杉並区は評価員の氏名が第2号個人情報にあたり、非公開と主張しましたが、それに対し私は、裁判でもまた区議会でも一貫して、不動産鑑定士等の専門家である3名の氏名は「事業を営む個人の当該事業に関する情報は除く」とされている条例の条文に該当するので公開情報である旨主張し、判決は、この主張を全面的に認めました。

 被告杉並区は「不動産鑑定士は土地評価基準について意見を求められたもので、鑑定士としての業務を行ったわけではない」と主張しましたが、判決は、土地評価基準は土地の評価額算定の基準となるものであり、これについて意見を述べることは法に定められた不動産鑑定士の業務に含まれるものであるから被告杉並区の主張は失当というほかない、と厳しく退けました。

【自らつくったルールを守らない杉並区】

 3つの争点に共通するものとして、特に強調しておきたいのは、杉並区が、自らが作成した事務手引を、軽視し、場合によって恣意的に解釈し、さらに先ほどの新たな情報にあったように今も逸脱しているという事実です。

 この手引は情報公開の窓口に常備され、利用者誰もが自由に手にとって閲覧できるものです。また、この手引をつかって職員さんが説明をしてくれることもあります。

 つまり、手引は区役所と利用者の約束でありルールを明文化したものです。だからこそ地裁判決は、随所において、この手引を杉並区の情報公開のルールとして尊重し、これにもとづいた判断を下したものです。

 私は、訴訟以前の2020年第一回定例会において、同手引に反する手続きがとられていることを指摘しましたが、手引だけによらず総合的に判断するという、きわめて曖昧かつ主観に左右される、はっきりいうと政治的判断や操作の入る余地のある答弁がなされてきました。

 この答弁は訂正し、今後は区自身が定めたルールである手引を厳密に適用とすべきと考えるがいかがか。見解を求めます。(Q1-2)

 以上地裁判決の概要を述べてきましたが、全体を総括して被告杉並区はこの判決をどう受け止めたか、所見を求めます。(Q1-3)

【「裁判でもしろ」という田中区長の暴言】

 東京地裁が公開すべきと認めた情報について、田中区長は、先にも述べたように、当時区議会に対して全く説明しなかったばかりか、私の質問に対して「納得いただけないなら裁判にでもなんでも訴える以外にない」「議案に賛成する見込みのない人に対して説明するほど人手は余っていない」と暴言で応じました。

 これは私個人にとどまらず、議会に対する説明責任を放棄し、議会の存在意義を否定し、議会を冒涜する発言であることは以前にも指摘したところですが、司法の判断が下されたいま、あらためてこの発言に対する区長の反省を求めますがいかがか。答弁を求めます。(Q1-4)

【訴訟の終結以後の対応】

 次に、裁判終結以降の区の対応についてうかがいます。まず、裁判所の命令に対し、杉並区はどのように対応したか、説明を求めます。(Q1-5)

 先日、変更された公開情報が私の手元に届きました。確認したところ、裁判で請求した項目のうち、地裁判決が認容したものについてはたしかに公開されました。また、却下された請求については墨塗のままですが、判決にしたがいやむを得ないものと受け止めています。

 一方、これ以外の部分で、引き続き墨塗が残っています。

 私は、墨塗部分のすべてを裁判に訴えたわけではありませんでしたが、請求を限定した目的は、争点をシンプルにし、速やかに裁判所の判決を得ることにあったのであって、訴えなかったからといって非公開が適当と考えたわけではありません。このことは裁判でも述べました。

区画整理施行者会会長氏名は個人情報か】

 墨塗部分のうち、例として施行者会会長の氏名について述べます。

 先ほど紹介したように、地裁判決では、評価員3名の氏名の公開を命じました。判決を受けて、条例に忠実に解釈すれば、施行者会会長の氏名は評価員同様「事業を営む個人の当該事業にかかわる情報」であり「氏名は事業と一体の情報」です。

 すでに代理人を通じて杉並区に要請したところですが、司法の判断を尊重し、その趣旨を理解するならば、これらは当然にも公開すべきと考えますが、区は命令された部分だけ公開すればよいと考えているのでしょうか。見解をうかがいます。(Q1-6)

【不服審査請求が救済にならない】

 次に、行政不服審査請求について質問します。

 私は本件情報公開について不服審査請求を提出したものの、時間がかかると言われ、訴訟に踏み切ったことは先ほど述べました。

 結局、2年以上経過し、裁判も終結した現在に至ってもいまだに諮問に付されていません。その理由を説明してください。また、今後の審査の対応はどうなるのか説明を求めます。(Q1-7)

【職員不足は解消されたのか】

 一昨年第二回定例会で私は、情報公開の窓口は見るからに人数が足りず、職員の体制を大幅に増強する必要があると指摘しましたが、今年度になって情報公開の窓口へいくと、職員さんが増えたように見受けられました。

 情報公開を担当する職員は増員されたのでしょうか。また、情報公開における不服審査請求の担当者はいかがか、説明を求めます。(Q1-8)

【全国で杉並区だけが無法地帯】

 情報公開、不服審査請求は民主主義と自治の基礎を支える土台であって、これが機能していないことが、区民の監視の目を遠ざけ、強引な政策を進めて恥じない杉並区の体質を作り出しています。

 情報公開決定に対して不服があり審査請求をしてもたなざらしにされ、裁判しなければ公開されないのですから、全国の中で杉並区だけこの制度が存在しないのと同然の、ほぼ違法状態といえます。いわば杉並区だけが無法地帯になっています。

【噴飯ものだった被告杉並区の主張】

 裁判における被告杉並区の主張は、電話が集中して業務に支障があるとか、区と民間事業者の信頼関係がこわれるとか、はっきり言って噴飯ものでした。

 司法の場においてこのような主張しかできない被告杉並区の情報公開のずさんな実態が明らかになり、問題を剔出したこと自体、本件訴訟には、大きな意義があったものと考えています。

 田中区長はじめ杉並区は、確定した東京地裁判決を重く受け止め、今後は心を入れ替えて、区民、区議会に対する説明責任を果たしていくようあらためて求めるものです。

(2)木彫母子像「つたえあい」について

 次に、情報公開に関連して母子像「つたえあい」についてうかがいます。

【偏見に満ち満ちた答弁】

 先の予算特別委員会において、ジェンダー平等の観点から区役所本庁舎2階ギャラリーの母子像「つたえあい」について質問したところ、偏見に満ち満ちた答弁がかえってきました。

 いわく「あまりにも一方的な、極端な見方」「一流の彫刻家の作品なので、リスペクトすべき」「あなたの好き嫌いの問題」等々です。

 区自らが作成した「男女共同参画の視点で伝える表現ガイド」も示し、すぐれた芸術といえども、今日ではジェンダーの視点を免れないと指摘しましたが、「母子像の存在、展示が、育児は女性のみが行うものというメッセージ性を含んでいるのかといえば、どう考えても否だ」と、「この作品は別」的な答弁でした。

【990万円の支払先が非公開】

 あまりにも偏った答弁のオンパレードに、詳細を知ろうと情報公開請求したところ、情報公開についても相変わらず問題があることがわかり、質問する次第です。

 まず、購入先の名称が墨塗であることです。区に物品を売却して公金から約1000万円もの支払いを受けた相手の名称がなぜ墨塗りなのか。理由を説明するよう求めます。(Q2-1)

 公開された「業者指定について」という文書には、購入先を随意契約とした理由が説明されています。その中で根拠法令として記載されている地方自治法施行令167条の2第1項第2号とはなにか。また、区の「随意契約の手引き」Ⅱの2(1)④とはなにか。それぞれ説明を求めます。(Q2-2)

【990万円の根拠が不明】

 この購入先ですが、区の非公開理由が条例第6号第1項第2号の個人情報であったことから、相手先は個人でありかつ美術品の売買を業としていないことが確認されました。すなわち美術品についての価格査定能力や資格がないということです。

 それでは990万円という値段は誰がどうやって決めたのでしょうか。

 公開された情報には、価格算定の根拠を示す文書はありませんでした。一方、昨年8月25日付、田中区長から小平市長に対し同市立美術館学芸員への作品評価の依頼状、及びその回答がありましたが、回答は、作者および当該作品に関する一般的な情報と評価を述べるにとどまっています。価格はおろか、価格を査定するための当該作品の保存状態や同じ作者の他作品の売買例など一切記載がありません。

【アバウトな説明】

 起案文書には、文化・芸術の振興が目的などと書かれていますが、郷土博物館や図書館の計画に、美術品の収集方針等は明確化されていません。何の事業に資するのか根拠が不明です。ただ知り合いから頼まれたから、ほいほい買ったのでしょうか。

 当該作品購入が審議された昨年9月の総務財政委員会で、金額の根拠を問われた総務課長は、査定については一切説明せず、作者遺族の方とこのくらいの値段ということでやりとりをした、同じ作者の作品で1530万円で売買されたものがあり、それよりは安い、という大変アバウトな説明に終始しています。

 昨年9月総務財政委員会というと、阿佐谷地域区民センターの指定管理者をめぐって、応募事業者と区民生活部長の軽井沢ゴルフという大問題があったので、それどころではなく、どさくさに紛れた感があります。

【郷土博物館年間予算に匹敵】

 ちなみに、郷土博物館の年間費用全額が、令和2年度決算で1000万円弱とあり、母子像1点とほぼ同じ金額です。1点1000万円の美術品を買うくらいなら、博物館の文化財保護事業を充実するために別の使い道があったのではないでしょうか。

 公開情報では誰が査定したのかわかりません。もしや言い値で買ったのか。説明を求めます。(Q2-3)

【公金の支払先は個人でも公表すべき】

 この情報公開決定も地裁判決後のものですが、ひきつづき、個人情報をたてに情報が秘匿されているのは判決をないがしろにするものです。

 地裁判決は個人の氏名であっても「事業を営む個人の当該事業に関する情報」であれば公開対象と認めました。母子像購入先は、「業者指定について」で指定され、随意契約として契約書も交わしています。単なる個人として扱ってよいのでしょうか。

【公開している区もある】

 こうした場合、他区はどのように扱っているのかと思い検索してみると、杉並区はじめ各自治体、行政庁が随意契約の一覧をホームページ上に公開していることがわかりました。

そのなかで個人名がのっている例は少数だったのは事実です。しかし、23区のなかでも個人名を掲載している区もありました。また、情報公開は別対応で、公開請求すれば公開する区もあるのではないかと思われます。

 

ある区のホームページ上に、文化財保有している個人からの購入の案件について、個人名が掲載されていたので、この区の担当者に電話をして、美術商などではない個人の方であることを確認しました。個人名を公開する理由について、担当者は「公金の支出先だから」と説明されました。ちなみに支払額は100万円です。

 ひるがえって杉並区では、990万円の公金の支払い先が誰だかわからないというのは、適切ではないと考えます。相手方が個人であっても公金の支払先としてホームページ上にまで公開している区があるのだから、杉並区も同様に氏名を情報公開すべきと考えるがいかがか。所見を伺って質問を終わります。(Q2-4)