わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

天皇即位賀詞決議に反対しました(2019年12月6日本会議)

 杉並区議会2019年第4回定例会が閉会しました。最終日に審議された「天皇即位賀詞決議」を求める陳情とこの陳情にもとづく決議案に私は反対しました。理由は原稿にある通りです。

 そもそも、杉並区議会では決議案を出す場合は原則全員が賛成できることという不文律があり、賀詞決議についても2か月ほど前から話がありましたが、反対する会派があるため決議案の提出を見送ったと理解しています。ところが、今議会の中日11月22日に突然上程された陳情(神社庁の方から出されたもの)が29日には委員会で採択されてあっというまに決議にまで至ったという経過は逸脱です(指摘する議員に対して「陳情だろ」というヤジが飛んでいましたが、それは詭弁というものです)。

 これまで、少数派が決議案を出したくても合意が得られないからと断念したことが何度もあります。しかし、今回このような逸脱があったからには考え直さなくてはなりません。下記発言の最後の補足はそういうニュアンスをこめています。

(以下原稿です。実際の発言とは異なる部分があります)

 「1陳情第39号」の採択に反対する立場から意見を述べます。本陳情は、新天皇の即位にともなって杉並区議会が賀詞を発することを求める陳情です。

 わが国は国民主権に基づいており、日本国憲法では天皇は日本国の象徴、日本国民統合の象徴とされている一方、国事行為のみを認められ、それ以外の国政に関する権能を有しないとされています。即ち天皇は君主ではなくこの国を治めるものでもありません。この国を治めるのは我々国民です。

 したがって天皇即位に際し、あたかも臣下であるかのように、我々国民が賀詞を奉ずることは、国民主権基本的人権の理念に反するといわなければなりません。

 そもそも憲法基本的人権の規定において、すべて国民は身分、門地等によって差別されないとされている中で、天皇の地位だけが世襲によるとされていることが矛盾しています。天皇をいただく日本国民という構図は、封建的な身分制度を肯定するものであり、現代の日本社会における多様性、とりわけ民族的多様性を排除していくことになりかねません。

 また、信教の自由の観点からも問題があります。天皇制は特に明治以降、国家神道と一体のものとして存在してきました。今般の即位関連儀式の多くもきわめて宗教的な色彩の濃厚なもので、こうした儀式を国民全体の負担でまかなうことについては、信教の自由を侵すものとして、これまでも違憲訴訟も行われているように、違憲性を免れません。

 神話時代から数えて126代の天皇という点については委員会でも異議が述べられていましたが、杉並区議会が神話と歴史とを混同するような陳情を採択してはならないのではないでしょうか。

 さらに、戦前の大日本帝国憲法下で行われた侵略戦争昭和天皇の戦争責任問題はいまだに日本社会で十分な共通認識となっておらず、そのことが繰り返されるヘイトスピーチアジア諸国との関係構築の困難さにつながっていることも指摘しなければなりません。

 おめでたいことだから祝いたいという人がいるのは否定しません。しかし、こうしたさまざまな問題に対して、区民の中にも多様な意見があります。本陳情は、杉並区議会に対し、区民を代表して賀詞を決議するよう求めていますが、区民全体でなく一部の区民の意見を区議会が代弁することは区議会として行うべきではありません。

 以上をもって反対とします。

 なお、本陳情は改選後39号とのことですが、これ以前に多数の陳情が出ているのにいっこうに審査が進まない中で、出されたばかりのこの陳情だけが優先的に審査されたことには違和感を否めません。賀詞決議に対して区議会全体の合意が得られないなかで、陳情を足場にして強引に決議を提案することは円滑な議会運営にも不協和音を来す行為であることを指摘しておきます。

誰も知らないうちに区長が土地を処分(一般質問しました)

 2019年11月22日、杉並区議会第四回定例会において一般質問しました。

 誰も知らないうちに杉一小と河北病院の土地の権利交換(土地区画整理事業の「仮換地」指定)が終わっていました。私たち区民の土地である学校の土地処分なのに、区議会には一切の説明がなく、終わったあとの報告もいまだにありません。

 区有地を区長が勝手に処分してしまったわけです。森友学園も真っ青です。

 区議会もなめられたものです。ここで怒らなくてどこで怒るんでしょうか。

 (以下質問原稿です。(1)はややこしい話なので、ご用とお急ぎの方は(2)からどうぞ!)

<一般質問 阿佐ヶ谷北東地区のまちづくりについて>

【誰も知らない間に仮換地指定】

 一般質問をいたします。阿佐ヶ谷北東地区のまちづくりについてです。

 土地区画整理事業が8月末に施行認可されたと思ったら、誰も知らない間に仮換地指定が終わっていました。例えれば、親の土地を、自分が知らない間に兄弟が勝手に売ってしまったようなもので、とんでもない話です。

【区議会に一切の情報提供なし】 

 これが売買であれば、財産鑑定が行われ、財産価格審議会の審査を受け、かつ、区議会の議決を経なければ取引できないところ、それらすべて法的な義務でないとしてノーチェック。しかも、区議会に対しては一切の情報提供のないままに、杉一小、阿佐ヶ谷児童館の土地は、実質的な所有権の移転である仮換地の指定まで終わっていました。公共用地の処分としてあってはならないことと厳しく指弾します。

(1)施行認可

【けやき屋敷とツミの保護計画はいまだに】

 最初に、8月末の施行認可について述べます。果たして認可は適切であったかをあらためて検証します。

 阿佐ヶ谷では歴史ある屋敷林の消滅を許すのかということが大きな焦点になっています。「東京における自然の保護と回復に関する条例」(以下、都条例)は、「何人も開発に当たっては……損なわれる自然を最小限にとどめ、自然が損なわれた場合は、その回復を図らなければならない」としており、樹林地等の自然地を含む3000平米以上の開発に際して「既存樹木等の保護の検討に必要な調査が行われ、当該調査に基づき、当該既存樹木等をそのまま残し、又は行為地内において移植することについて適正な検討が行われていること」を許可の条件としています。

  阿佐ヶ谷の計画の場合はどうか。都条例の定めにより、昨年秋、今年春の2回、自然環境調査が行われ、さらに、猛禽類ツミの生息が確認されたため6月に追加でツミの調査が行われました。環境省猛禽類保護の進め方」には更に来年の営巣期まで調査を行うことが求められており、必要な調査はまだ終わっていません。

【自然保護の協議待たず認可した杉並区】

 都条例の求める「保全計画書」どころか、その前提とされる調査が未了、当然、開発許可の条件となる都との協議も未了です。にもかかわらず、区は土地区画整理事業の施行認可を行いました。

 土地区画整理法運用指針では「事業化のあり方」の項で、環境の保全における留意事項として、施行規則を引用して、施行地区及びその周辺における環境保全のため、樹木の保存、表土の保全その他の必要な措置を求め、また、関係法規が定められている場合はこれに準拠すべきとしています。これらに照らせば、都条例協議未了の状態は施行認可にあたっての条件を満たしたとはいえず認可は尚早であったと考えますがいかがか。

 また、仮に今後、同様の民間事例が出てきたときにもやはり、協議未了でも認可してしまうことになるのでしょうか。それを考えると行政自らが悪しき前例をつくることは許されないと考えますがいかがか。見解を求めます。(Q1)

【土地区画整理は開発行為】

 都市計画法によれば、開発行為、即ち建物を建てるなどの目的のために土地の区画形質の変更をしようとするものは、開発許可を得なくてはなりません。

 阿佐ヶ谷の計画の場合も開発行為ですが、土地区画整理事業都市計画法29条但し書きで開発許可を必要としないとされています。しかし、それは許可でないからいいかげんでいいとか、条件がゆるいとかいう話ではありません。

 区は土地区画整理事業が開発行為でありながら開発許可を要しない理由をどのように考えているのでしょうか。見解を伺います。(Q2)

 そもそも、戦前の都市計画法が生きていた1954年に土地区画整理法はつくられました。1968年にやっと現在の都市計画法がつくられ、開発行為は開発許可によってコントロールされることとなりましたが、土地区画整理事業についてはすでに存在する土地区画整理法により審査が担保されるということが前提で除外されたと理解できます(注)。ネットで見た埼玉県の解説によれば「都市計画上十分な監督のもとに行われることから開発許可不要とされたものです」とされています。

【基準を満たしていない計画を認可した】 

 区のいいぶんは、土地区画整理事業の場合には開発許可でなく施行認可だから違法でなければ認可しなければならないというものです。しかし、それは違います。 

 開発行為は各基準をクリアしないと許可されません。土地区画整理法9条は関係法令違反のないことが認可の要件としています。当然、都条例についても許可が必要です。土地区画整理事業の場合には施行認可が開発行為の計画審査でもあります。従って施行認可とはいえ、内容的には許可と同等の審査が前提となっているものです。東京都もこの認識は共有しているとききました。

【協議未了で安直に認可してはならない】 

 さらに区は、都条例についても、同様に許可ではなく協議なので、着工までに整えばいいといいます。しかし、都条例の「開発許可の手引き」には協議をもって許可にかえるとし、「協議にあたっては、許可等の基準要件を準用して行います」とあるので、審査の内容は同等です。

  仮に協議が不調となり、保全計画が受理されない場合を考えてみましょう。その場合には認可された事業そのものが成り立たなくなります。そのような認可を安直に出してはならないということです。ちなみに、不調となる可能性はおおいにあります。なぜなら、条例をそのまま読めば木は切れない、特にツミの営巣地から半径350m以内は切れないので、簡単に都と事業者が折り合うとは考えにくいからです。

【施行認可の撤回を求める】

 都条例協議が整うどころか、調査も未了の現段階での施行認可は時期尚早であり、撤回すべきですが、いかがか見解を求めます。(Q3)

 今回の土地区画整理事業では、区が行うものなのに個人共同施行だったり、区長が申請して区長自身が認可する一人二役、そして施行認可についても、いま述べてきたような問題があります。

 この計画は、公共減歩がわずか4%と公共性が極めて薄く、公共施設整備のためというよりは、土地区画整理事業という仕組みを利用して、公共の土地を不当に安く、民間の土地を不当に高く権利交換する、豊洲市場と全く同じ構造の汚染地のロンダリングだと指摘してきました。

 違法でなければ何をしてもよいというのは、民間ならともかく行政の姿勢としてありえないことです。法の網の目をかいくぐるようなやり方は、まるでディベロッパーがやっているかのようで、きわめて問題です。

(2)換地設計

【区議会へ一切事前の報告なく】

 さて、施行認可を得た事業者3者は足早に次の段階に進みました。冒頭言ったように、我々区議会が何も知らないうちに、仮換地指定まで行われていたのです。

 ここで、田町で行われた土地区画整理事業について、港区の対応を紹介しましょう。JR田町駅東口開発のケースは、小学校などのある区有地を東京ガスの土地と交換するものでした。阿佐ヶ谷と同じく、区と民間との個人共同施行で行われた土地区画整理事業で、駅前の小学校を移転させ、その用地と東京ガスの汚染地を交換した汚染地のロンダリングの手法まで阿佐ヶ谷とそっくりです。

 ところでこのケースでの港区の対応にはいくつか学ぶべき点があります。

 1点目は、仮換地指定の1年前から仮換地計画をちゃんと議会に説明していること。

 2点目は、施行者まかせにせず、不動産鑑定機関による検証を行っていること。

 3点目は、東京ガス跡地への小学校移転をやめたことです。

【港区の姿勢に学ぶ】

 まず1点目。港区ではこの計画の仮換地指定への同意を2012年3月23日に行いましたが、その前日に、区議会の特別委員会で、仮換地の詳細を報告し、議会の審議に付しています。そのことにまず驚きました。杉並区と全く違うのです。

 港区は詳細な資料を議員に配布して委員会審議を行っています。売買ではないといっても、公有財産を処分するのだから、当然のことです。ところが、杉並区からは今に至るまで全く情報提供がなく、私は、情報公開により、杉並区にかかわる換地規定等の書類を入手しました。しかも、それはあくまで仮換地指定後のことです。

【仮換地の1年も前に区議会に説明】

 さらに驚いたのは、港区議会では仮換地指定からさかのぼることなんと1年も前の2011年の3月にも仮換地に関して実際に決定されたのとほぼ同じ内容の説明がなされていたことです。通常、換地計画は1年くらい前にはできているというのが常識だそうですから当然可能だったのでしょう。

 阿佐ヶ谷のことを考えれば、昨年11月には3者協定を結んでおり、この段階では換地計画はできていたと考えるのが自然です。仮換地同意の時点はもちろんですが、もっと前の段階で、杉並区議会に対しては情報を明らかにして説明すべきだったのです。

【議会の委員会開催を待った港区】

 田町の場合、仮換地指定通知と同意依頼が2012年2月10日に出されたのに対し、1カ月以上後の3月22日に議会報告、翌日の3月23日に区の同意回答しました。議会の特別委員会開催を待っての同意となっています。

【区議会休会中を狙った?杉並区】

 これに対し、阿佐ヶ谷の場合は、本年10月10日の指定通知と同意依頼に対して、約10日後の同月21日にさっさと同意の回答を行い、事前の議会報告なし。議会に報告するため日程を待つどころか、逆に、閉会中を狙ったかのようなスケジュールで同意を行いました。事後もいまのところ書面での情報提供すら一切ありません。 

 私は前回定例会において、仮換地の情報は事前に議会に報告されるべきと追及しましたが、区側は行わないと答弁しました。しかし、それが行政としてまったく非常識なふるまいだったことは、港区の例をみればよくわかることでしょう。

 港区でできたことがなぜ杉並区でできないのか。あるいはしないのか。同じ23区の行政として、また区長として、恥じるべきだし、こんな議会軽視、区民軽視のやり方を認めるわけにはいきません。区議会へのひとことの説明もなく行われた区有財産処分には正当性がなく、区は仮換地指定への同意を撤回すべきと考えますがいかがか、見解を求めます。(Q4)

 【不動産鑑定機関による検証】

 田町のケースの2点目は、不動産鑑定です。これについても私は、先の一般質問で「不動産鑑定を行うのか」と質問しましたが、区の答弁は鑑定は行わないというものでした。

 しかし、港区は区議会で仮換地指定の1年も前に計画について説明し、「日本不動産研究所に検証を依頼して妥当なものであると保証されている」旨、述べています。

 同じ個人施行の土地区画整理事業でありながら、港区は公有財産の処分において、不動産鑑定機関に評価を依頼して正当性の保証としています。わが杉並区は闇の中の取引です。

 そこで改めて不動産鑑定を行い、河北の土壌汚染の可能性も視野に入れた正当な価格を公表することを前提として仮換地指定をやりなおすよう区に求めますがいかがか。うかがいます。(Q5)

【土壌汚染地の学校建設をやめた港区】

 港区のケースでもうひとつ指摘すべきは、東京ガス跡地の汚染を調査した結果、小学校の用地としては使わない決断をしたことです。浄化に時間がかかり、小学校の移転の時期が見通せないというのがその理由でした。普通の行政なら、少なくともこの程度の見識はもっていてしかるべきです。

 ひるがえって杉並区はどうか。すでに築60年を超えた杉一小は本計画のために建て替えが10年延びました。「今すぐ建て替えないと子どもたちの命が危ない」かのように煽っていた区の説明はなんだったのかと、地域では不信の声がうずまいています。

 土壌汚染に至っては、法令上土壌汚染対策を求められる施設であるにもかかわらず、いっこうに汚染の実態を把握しようともしません。意図的にサボタージュして書類上の調査すら進めようとしていません。

 港区の決断と比べるとき、杉並区の学校の扱いのぞんざいさを痛感します。

【土地の価値は広さだけではない】

 しかも、杉一小じたいには移転する理由がない。現地で建て替えれば今すぐにでも着手できるのです。区は広くなる、広くなるといいますが、いまの杉一小のスペースの中で、長年十分に充実した教育活動が行われてきました。10月には運動会が行われ、私も拝見しましたが大変盛り上がって挙行されておりました。

 浸水地、汚染地ということを無視して、少しくらい広くなるからいいだろうというのはおかしいと素人でもわかります。「あんさんぶる荻窪」の時もそうでしたが、区長は、土地の価値は広さだけじゃないということが、どうしてもわからないらしいので、誰か教えてあげてください。

【杉並区が損する換地】

 さて仮換地です。ざっくり言って、区はずいぶんと損をする計画になっていると思います。

 区はこれまで杉一小の土地に3割の区の権利が残るといっていました。しかし、仮換地指定では杉一に残る区の土地は1433平米であり、面積は4分の1たらずです。しかも中杉通り側ではなく裏側なので相対的に安く、さらに権利は小さいのです。

 正面路線価では倍以上の差があるのに、仮換地の従前従後の面積で比較すると約1.3倍にとどまっています。

 仮換地指定通知記載の地積を参照して改めて路線価で計算してみると、現在の杉一小敷地のうち4割近く、2000平米くらいの価値が残るはずです。1433平米とはかなり安く評価されたと見ることができます。

【欅興産、河北財団の換地情報も公開を】

 それにしても、今回開示された情報は、区の従前従後の土地に関する情報だけで、欅興産と河北病院に関する情報がないため、その当否を正確に判断しようがないという面もあります。他の地権者はともかくとして、事業主体である欅興産と河北の仮換地指定通知や換地図など換地に関する情報は公開すべきと考えますが、いかがか。うかがいます。(Q6)

【売買なら平米200万円にも】

 その上、これが売買だったらこんなものではありません。「あんさんぶる荻窪」は財産交換の際の鑑定で、開発法で平米当たり200万円と評価されました。荻窪駅阿佐ヶ谷駅の違いを差し引いても、阿佐ヶ谷駅から1分のこの場所であれば、同程度の評価になるでしょう。マンション用地として購入すれば総額100億円以上の土地ということです。換地した先の土地にはたして100億円の価値があるでしょうか。

 そこでお尋ねしますが、仮換地の計算では、杉一小と河北河北病院の土地はどのくらいの格差がついて評価されたのでしょうか。価格では出していないということなので、平米あたり指数でお答えください。また、容積率や環境条件の修正係数はどのように設定されたのでしょうか。(Q7)

 また、区の計画では今後、地区計画をかけ、容積率の変更が行われる予定です。特に杉一の土地は現在の200%、300%の土地がすべて500%に変更されます。つまり利用価値が上がるのでこれを反映して換地計画を行うべきと考えるがいかがか、見解を求めます。(Q8) 

【田町で港区は土地を大安売り】

 先に述べた田町のケースを再度参照します。区議会への対応では評価しましたが、計画自体は大変問題があるものでした。議事録を見ると換地の説明に対して「実は再開発等促進区をかけて容積を大幅に引き上げるのではないか」との質問が出ていましたが、その時点では区はだんまり。ところが、仮換地後、容積率の引き上げは現実となって、なんと940%にまで引き上げられ、結果としてみると、港区は土地を大安売りしたことになってしまいました。

【杉一小跡地にできるのはマンションでは?】

 さて、阿佐ヶ谷で同じことが起きない保証が果たしてあるでしょうか。田町では業務用の巨大なビルが建てられました。阿佐ヶ谷はどうなのか。大規模商業施設が入るのではと心配する向きもあるようですが、収益性を考えれば、あえて大型商業ビルを作るよりはむしろマンションではないかと思います。

【駅近だけが売れるマンション】

 11月19日付日本経済新聞に「マンション高値 駅近人気が支え 首都圏新築、売れ行きは鈍く」という記事が出ていました。マンションの販売価格が過去最高に近づく一方、売れ行きは鈍っているという内容です。NHKも10月のマンション販売が1973年以来最低に落ち込んだと報道しました。

 他方、「駅近」物件は人気で、日経の記事によれば今年1月~6月の販売戸数のうち、最寄り駅5分以内の物件が5割に迫る勢い、これらが需要を支えているのだそうです。

 このような市場の構造にあって、とりわけ住宅販売に力を入れている不動産ディベロッパー各社は、駅前好立地の土地を安く購入できないかと、血眼で探しているはずです。杉一小5600平米の土地は、ディベロッパー垂涎の土地でしょう。

野村不動産の分析】

 区役所の目の前にいま「プラウ南阿佐ヶ谷」を建設中の野村不動産は、ご存じのように、以前、阿佐ヶ谷住宅の再開発で再開発等促進区の制度を利用して第一種低層住宅専用地域に6階建て575戸のマンション群を建設しました。阿佐ヶ谷駅の南口駅前にも「プラウド」ブランドの13階建てのマンションがあり、阿佐ヶ谷と縁の深い会社です。主要不動産会社のなかでは、特に住宅販売の比重が大きいという特徴があるといい、この野村不動産が「用地の仕入れ環境の悪化」「長期的な用地ストックが足りていない状況」などと述べていることは参考になりそうです。

【小学校跡地を「割安」売却でマンションに】

 小学校跡地のマンションという前例として、中野区の東中野小学校跡地のマンションがあります。こちらは東京建物と三菱地所の共同開発ということですが、ブログ記事の取材に答えて会社側は「区からの土地取得価格が容積率100%当たり坪73万円と割安だった」と述べています。

 相対的に安値で取引されたと考えられる今回の杉一小の土地が、10年後、東中野のようにマンション開発に利用される可能性はきわめて高いと考えます。即ち、河北病院移転に始まったこの計画が、究極、不動産会社、建設会社、金融機関などの都心の大企業のもうけのために阿佐ヶ谷の一等地を安く売り渡したという結果に終わるということです。

【仮換地後の土地を売却できる】 

 ところで注意しなければならないのは、仮換地後、登記上は変更されなくても、欅興産は杉一の土地を実質的に売ることができるようになったということです。区役所も知らない間に売られてしまった等ということがないか心配です。

 もとの持ち主の了解なしに売れば違法だという判例もあるそうです。特に、不動産ディベロッパーに売却されるようなことがないようにしていただきたい。仮に欅興産が売却するなどというときには、当然区には情報が入るものと思いますが、大丈夫でしょうか。確認します。(Q9)

(3)防災

【軟弱地盤の河北病院用地に避難所?】

 最後に防災です。すでに複数の議員から指摘があったので簡単にしますが、杉一小の移転先である河北病院の地質は私も心配です。

 J-SHISのハザードカルテによると、河北病院は谷底低地、軟弱地盤、地盤増幅率は1.65で揺れやすさは全国の上位7%以内でDランク。それに対して現在の杉一は、ローム台地、地盤増幅率1.45、揺れやすさは全国の上位9%以内でCランク。震災救援所としてどちらが適切かは明らかです。

 また、水害ハザードマップでも河北病院は浸水域です。両者は標高で3~4m違うので、大雨のときには杉一から河北へ向かって道路を雨水が滝のように流れます。他の議員に対して、河北の土地は水害の避難所として問題ないかのような答弁がありましたが、あの水量を見たら、ちょっと信じられないことです。

 震災救援所として、水害避難所として、果たして河北病院の場所に移転した杉一小は利用が可能なのでしょうか。また、内閣府の避難所運営ガイドラインには避難所の掲示が求められているが、水害避難所、震災救援所の掲示はなされるのでしょうか。(Q10

 そうでなくても、阿佐ヶ谷北口は木密地域と言われます。ただでも避難所の受け入れ人数が足りない地域です。先ほど述べたように駅前に巨大なマンションでもできて数百人からもしかして1000人もの人口が増えたら防災上も大変な問題になりかねません。将来にわたる安全なまちづくりの観点からも、杉一小の病院用地への移転は間違っていると言わざるをえません。

 本計画は立ち止まって抜本的に見直すべきと改めて指摘して質問を終わります。

注:後日、以下の記述を専門家からご教示いただきました。「それぞれの根拠法により都市計画上必要な規制が行われるので、開発許可については適用除外とされている」(「都市計画法規概説」p.75,荒 秀,小高 剛編,信山社出版,1998)

佐々木千夏議員の発言取り下げについて(2019年9月24日議会運営委員会における発言)

 2019年9月24日杉並区議会議会運営委員会理事会及び議会運営委員会が相次いで開催され、佐々木千夏議員の発言取り下げを審議する本会議の開催が決定されました(26日本会議が開催され、発言取り下げを認めるとともに、井口かづ子議長が異例の議長コメントを述べました)。

 私は、理事会を傍聴(理事会の傍聴は議員のみ)し、議員運営委員会で委員外議員として発言しました。以下は発言の要旨(発言メモ)です。

 

〇9月12日の本会議一般質問における佐々木議員の発言は、全編これヘイトスピーチといってもいい内容のもので、杉並区議会の品位を傷つけるだけでなく、そもそも公の場であってはならない発言であり、決して容認されるべきものではない。

〇具体的には、朝鮮通信使の問題、また、日韓併合創氏改名は朝鮮から頼まれて仕方なくやったことであるとか、日本の植民地支配という歴史的事実をまっこう否定するものであって決して許容できるものではない。

〇さらに、なんら具体的事例を示すことなく「在日朝鮮人から子どもがいじめを受けた」と一方的に誹謗中傷し「やられっぱなし、殴られっぱなし、これでいいのか」とあおる発言もあった。

〇これらすべてが特定の民族に対するヘイトスピーチであり、とりようによってはヘイトクライムの扇動ともなる。人種差別、人権侵害であり、区議会として、これを許容することは断じてできない。

〇今般、佐々木議員が自ら削除を申し出たと報告があった。削除について異存はなく、本会議の開催は必要なものと考える。しかし、この問題はこれで終わりではない。先ほど委員の皆さんからも発言があったが、私自身も、まだ途中経過にすぎないという認識である。

〇佐々木議員の真摯な対応をさらに求めるとともに、区民の前に陳謝すべきと指摘する。

 また、杉並区議会として、ヘイトスピーチを断じて許さない、認めないという明確な姿勢を示す必要がある。
 そのため、個々の議員、会派としても、また、議会全体としてもさらなる対応が求められていることを指摘する。

使用料改定、阿佐ヶ谷開発…区政にとって公共とはなにか(2019年10月11日決算意見開陳)

 2019年10月11日、杉並区議会決算特別委員会で決算に対する反対意見を述べました。今回の決算審議でのポイントは「公共性」だと思って追及してきました。阿佐ヶ谷の開発問題では区が行うのに「個人共同施行」と、あたかもプライベートな事業であるかのように、情報が公開されません。河北病院の土壌汚染調査はその最たるものです。ひどいなあと思っているところに公表された「施設使用料見直し案」では公共施設の意味を見失い、民間の貸し会議室と変わらないかのような認識です。

 税金で行われる事業は公正性、公平性、公共性が担保される方法で行わなくてはならないのは、いうまでもないことですが、杉並区はその認識すら危うくなり、区長がやるといえば何でもアリになっているように思います。

 最後にヘイトスピーチについて述べました。本会議でとんでもないヘイトスピーチを行った佐々木千夏議員は、いまだに謝罪を行っていません。問題はまだ終わっていないのです。区議会議員全員が責任を負っていると思います。(議会運営委員会における発言はこちら

(以下発言原稿です。実際の発言とは異なる箇所があります)

 (1)当該年度の区政について

 杉並わくわく会議として、決算に対する意見を述べます。当該2018年度を振り返ると、あんさんぶる荻窪荻窪税務署の財産交換が行われ、高円寺小中一貫校においては、引き続き工事が進められ、さらに、事業者選定など手続きをめぐって問題が指摘されてきた上井草保育園が民営化され、他にも杉並保育園などの民営化の手続きが進められた年でした。住民、利用者の強い批判や反対の声を無視し、強行されてきた事業が当該年度継続され、また完遂されたというわけです。阿佐ヶ谷開発、西荻窪の補助132号線拡幅計画が本格的な準備段階に入り、地域の反対の声が募ってきた年でもあります。

 8月に発表された区立施設再編整備計画第二次プランをめぐっては、区内各地で、児童館の廃止を中心として、区民から多くの異論が出されたにもかかわらず、当初の案どおり、9つの児童館、3つのゆうゆう館の廃止を含む計画が決定されました。年度末には下井草児童館が廃止され、来春にはいっぺんに5つもの児童館の廃止が計画されています。

 また、前年度中に決定された保育料の値上げ、介護保険料、国民健康保険料の値上げと、いっそうの区民負担がのしかかった年でもあります。

 このような区政のあり方は容認できるものではなく、認定第1号平成30年度杉並区一般会計歳入歳出決算ほか4件の認定に対しては反対とします。
(2)施設使用料

 さて、質疑に関連して述べます。ここでは「公共性」がキーワードとなります。最初に施設使用料の見直しについてです。

【施設建設費を使用料に転嫁】

 論点の1つ目は、今回の最も大きな変更、施設建設費を使用料算出のベースに算入することです。

 これまで杉並区は施設建設費を使用料に転嫁することはせず、前回の大幅な見直し時でさえも

「施設に係るすべての経費を受益者負担とすることは、かえって公平性を欠くことになりかねません。このため、区では間接的人件費や減価償却費などは、算定経費には加えていないものです」

と述べています。転嫁するのはランニングコストのみという考え方をとってきました。ところが、今回施設建設費を算入するという大きな変更を行いました。その理由を質問しましたが、明確な答弁はありませんでした。

【税金の二重取り】

 公共施設は区民の税金でつくられるものです。つまり、利用者はすでに建設費を払っているのであり、使用料にこれを算入するのは税金の二重取りといえます。質疑のなかで紹介しましたが、ある自治体はこのように述べています。基本的な考え方ですから、もう一度読み上げます。

「公の施設は住民の福祉を増進する目的をもって設置された市民全体の財産であり、設置目的に合致する限り誰でも利用できる施設であるため、減価償却費は『資産の取得に要する費用』として公費で負担する」

 これは、従前の杉並区の考え方とも一致しています。前回の使用料見直し時には、公の施設は「誰もが利用することができ、受益者となりうるものであり、公費負担とする」と述べています。

 今回の案では負担率50%とされた集会施設等は現行より安くなるところも多いですが、負担率はいくらでも変更でき、今後の大幅値上げも懸念されます。前回の見直し時の考え方に立ち戻り、建設費を算定から除外するよう求めます。

【「使わない人に不公平」?】 

 論点の2つ目は、区が一貫して値上げの根拠としてあげる「使う人と使わない人の不公平」の問題です。

 いま述べたように、公共施設とは「誰もが利用することができ受益者となりうる」ことが前提です。今日まで使ったことのない人でも明日は使うかもしれない。図書館だろうが体育館だろうが、集会所だろうが、いつでも門戸は開かれている。それが公共施設です。区もそう考えていたはずです。まさか、区民の中に使う人と使わない人という画然とした線引きがあるとでも考えているのでしょうか。

【「特定の個人のため」?】

 そもそも区は何のために集会施設や体育館を建てているのでしょうか。それは区が今回述べているような「特定の個人の生活を快適にするため」ではありません。もちろん、公共施設の目的に区民個々の生活を豊かなものにすることが含まれてはいます。しかし誰にでも開かれている以上、「特定の個人」のためと表記するのは大きな間違いです。変更を求めます。また大事なのは、そのことが単に個人の生活を豊かにするのみでなく、地域社会を豊かにすることに直結しているということです。

【公共施設は社会を豊かにする】

 趣味やスポーツ、勉強などの活動は、それ自体、個人のみならず社会を豊かにすることでもありますし、グループで集れば、地域のつながりを形成することになります。活動の中で気づいたこと、学んだことを行政に提言したり、ボランティア活動などにつながっていけば、具体的に地域社会を改善していくことにもつながります。元来、社会教育活動とはこのような住民自治の仕掛けとして設計されているものであり、そのために教育文化施設、地域施設が各地にもうけられてきたのではないでしょうか。

 ところが、今回の見直しにおける区の主張は、個人が民間サービスのかわりに公共サービスを利用しているのだから、民間サービスと同じように、整備費用まで負担すべきと論じていることと同じです。そこには社会的な意義づけと、それだからこそ求められる公共の役割が抜け落ちています。

 今回の見直し案を読むと、杉並区の公共性に関する認識が怪しくなっているのではと心配になります。税金でまかなわれる公の事業は対価を得て販売する商品ではないし、区長は中小企業のオーナー社長ではありません。公務員はいうまでもなく単なる区長の部下ではなく全体の奉仕者です。当たり前のことですが、その当たり前にいま一度立ち戻って考えていただくよう求めます。

 (3)阿佐ヶ谷開発

 質疑では、阿佐ヶ谷の開発問題について時間を割きました。これもまた公共とはなにかを深く考えさせられる問題です。

【公共性を無視した「個人共同施行」】

 阿佐ヶ谷の問題については、これまで定例会のたび毎回のように問題点を追及してきました。屋敷林が伐採されてしまうことも、阿佐ヶ谷の人間にとってはつらいことですし、杉一小がなぜ水はけの悪い、土壌汚染の可能性がある場所に移転しなければならないのか、理不尽に思っている卒業生やその保護者、関係者も多いのです。

 なぜこのような理不尽な計画がなされるのかといえば、公共性を無視した手法がまかり通っているからです。区役所が関与するのに、あえて個人共同施行として行い、換地情報をはじめとして、重要情報を区民に公開しようとしません。また、制度の盲点を突くように、区長が申請して自身で認可するという一人芝居は、違法でないとはいえ、区民に説明できるものではありません。

【不動産鑑定評価も区議会の審査もしない】

 仮に杉一小の土地と河北病院用地が売買されるのであれば、不動産鑑定評価が行われ、区の財産価格審議会で審議され、最終的に区議会で審議して議決しなければなりません。ところが、土地区画整理事業というブラックボックスの中ですべてが行われるため、不動産鑑定すらもおこなわれず、いわんや区議会は蚊帳の外。すべてが終わってから事後承認をするしかないのです。公共の土地の権利移転でありながら、公正さを担保する仕組みが見事に全部外されています。

 この事業そのものの公共性自体がきわめて低く、そのことは公共減歩4%という数字に表れていると一般質問で指摘しました。河北病院と地主さんに対する利益供与と指摘してきましたが、いずれ杉一小学校の移転後行われる、同用地をタネ地とする開発事業に至れば、地元の有力者どころではなく、大手不動産ディベロッパー、大手金融機関が顔をあらわすことでしょう。駅前の一等地で140年以上地域の人たちに愛されてきた、地域のシンボルであった小学校を彼らの利益のために差し出すことの引き換えに区民は何を得られるのでしょうか。

【河北病院の土壌汚染は不明のまま】

  河北病院用地の土壌汚染調査についても質問しました。区は河北病院が移転するまで土壌汚染調査を行わないといっています。だとすれば、この土地は汚染のあるものとして扱うことが不動産鑑定の常識であることは何度も指摘してきました。

 副区長の言葉を借りれば「掘ってみなくちゃわからない」のにもかかわらず、換地計画において汚染によるマイナス評価はせずに、交換価値を計算する、すなわち普通地として扱うというのが区のこれまでの一貫した答弁です。これが地主さん及び地上権をもっている河北病院に対する優遇でなくて何なのでしょう。

 河北病院の土壌汚染問題について、区長は「風評被害」だなどと的はずれなことを言っていましたが、河北病院くらいの規模の大きな病院であれば、土壌汚染対策法及び東京都環境確保条例に定められた特定施設等に該当することから、汚染がある前提で関係者が行動するのは当然だと言っているだけです。仮にも小学校を建てようなどという者がその程度の心得もないとすればとんでもなく危険なことです。

 病院の都合で移転をするのですから、病院側からすすんで情報公開を徹底し、汚染の有無をふくめて逐次状況を明らかにして、区民の信頼を得るように努めるのは当然のことですが、現在やっていることは正反対です。わかっているはずの地歴を公開せず、また、サンプリングもいっさい行わない。区の事業パートナーとしての姿勢が問われます。まして小学校の移転予定地です。区は最低限、地歴調査、有害物質の使用履歴情報を求めて、区民に提供すべきです。

【汚染地のロンダリング 

 土壌汚染を解明しないまま、普通地として換地計画を進めるならば、それはまさに豊洲市場田町駅前で行われたのと同じ手法、公共用地をからめた「汚染地のロンダリング」にほかならないと指摘します。

 阿佐ヶ谷の計画については、まちの人たちが次第に問題のありかに気づきはじめ、全区的な問題になりつつあります。あらためて、計画の全面的な見直しを求めるものです。

 (4)保育園

 保育園についても質疑しました。

【「民営化しなければ財政破綻」はウソ】

 区長は議会での民営化に反対する意見にたいして、たびたび、民営化を否定すれば財政破綻する、と発言していますが、本当にそうなのかを数字で確認しました。

 質疑では、区立保育園の民営化1園あたりの行革効果は1億円弱という外部監査の報告を確認しました。当該年度実績で約260億円の保育経費に対し、1億円では、焼け石に水とまでは言いませんが、全体に大きな影響を与える金額とはいえません。民営化しなければ財政破綻などという脅し文句を軽々しく使うべきではないと指摘します。民営化にはもっと別の意図があるだろうと思いますが、時間の関係で、また別の機会に譲ります。

 【私立保育園への加算金】

 もうひとつは、私立保育園に対する区独自の加算金についてです。やはり外部監査報告によれば、区独自加算は私立認可保育園の運営費の35~40%を占めており、これをやめればほとんどの私立園は経営が立ち行かなくなる、と指摘されています。私はこの加算金については減らすべきではない、むしろ、拡大すべきであると考えています。

 しかし、同じ外部監査の意見の中で独自加算について見直しを求められたことから、区は見直しを行っているとのことです。多くの園では加算金が減額になる可能性が高く、経営への影響を心配する声も聞きます。

 区は民間にできることは民間に、とこれまで民営化を積極的に進めてきましたし、また膨大な数の私立保育園を新設してきました。がしかし、それらの園は国・都・区の負担する公定価格分の公費はもちろんですが、さらに区の独自加算もなければ経営が立ちゆかないのです。保育こそは本質的に公共的な分野であることを改めて痛感します。見直しにおいては慎重に行うよう求めます。

 (5)産業、西荻窪補助132号線

【消費税インボイス制度】

 産業に関してひとこと述べます。質疑では、消費税のインボイス制度についてうかがいました。産業部門がこの問題にほとんど関心なく、危機感を持っていないことは残念ですし、そうでなくても、消費税の引き上げにより商売が厳しくなるなか、区内の零細事業者、フリーランスの皆さんの営業を今後守れるのだろうかと心配になります。今後の対策強化を求めます。

補助金不正事件】

 商店街の関連では、西荻窪商店会連合会の補助金不正事件の解明も急務です。領収証の偽造は論外ですが、5年前にも都から指摘を受けていた協賛金の取扱いについて、翌年以降も問題のある取り扱いがされていたことは、区の指導責任であり、知らなかったですませられることではありません。ことの露見からおよそ半年がたちました。今後すみやかに事実を解明し、責任の所在を明らかにするよう求めます。

 【補助132号線】

 このほか区政の課題はあまたありますが、特に、事業認可が迫る西荻窪の補助132号線問題は問題です。再開発との関連も指摘されているところです。まちづくり全体のなかで必要性の有無から検討しなおす必要があることを指摘します。

 (6)ヘイトスピーチについて

 最後にやはりひとこと述べておかなくてはならないのは、ヘイトスピーチについてです。

 委員会でも他の委員からヘイトスピーチについての質疑がありましたが、杉並区議会の本会議において、日本に居住する外国籍の方々に対するヘイトスピーチが行われたことは許されることではありません。

 本件については、すでに議会運営委員会の席上、委員外議員として意見を述べましたので、繰り返しませんが、朝鮮通信使に対する侮辱、日本の植民地支配などの歴史的事実の否定、なんの根拠もなく在日の方々を犯罪者扱いするような発言は典型的なヘイトスピーチです。

 私は超党派の議員有志の一員として、当該議員に対して発言の取り下げと謝罪を申し入れましたが、今日現在、ご本人からは回答をいただいていません。真摯な対応を求めるものです。 

 民族差別をはじめとするあらゆる人権侵害を許さないという点では、議員の皆さん、また区役所の皆さんとは思いを同じくしているものと思います。とりわけ、今回の井口議長の迅速な対応には心よりの感謝を表明するものです。

今後、杉並区議会において、また杉並区政において、ヘイトスピーチ、人権侵害を二度と起こさないと強く決意するものです。

  以上意見といたします。

 終わりにあたり、今回の決算審議にあたり、多くの資料を調整し、ご教示くださり、また数々の質問に根気よく答えてくださった職員の皆様にお礼申し上げます。ありがとうございました。

公共性を失った土地区画整理事業。認可撤回を(2019年9月13日一般質問)

 2019年9月13日、杉並区議会第三回定例会にて一般質問しました。

1.阿佐ヶ谷駅北東地区のまちづくりについて

 杉並区は「土地区画整理事業」に認可をおろしましたが、田中区長が申請して田中区長が認可するという一人二役、猿芝居です。もともと「杉一馬橋公園通り」の拡幅が「喫緊の課題!」といっていたのに、フタをあけてみるとA地主さんの土地提供はナシ。

 病院跡地の汚染については「更地にするまで調査しない」。病院が汚染対策するから土地評価には影響ない(実際より高い価値で交換)。換地(土地の権利交換)の資料も出さない。

 区として行う事業なのに法の盲点を突いた「個人施行」ですべて隠蔽しています。

 こんな卑怯なやり方でわが街がボロボロにされるのは許せない。本当に許せない。

2.保育について

 区立保育園の民営化に関するガイドラインについて質問しました。区立にはお金を出さないという国の方針が間違っているのですが、杉並区のような富裕な自治体は自前でちゃんと区立を運営していくべきです。

 以下原稿です。(実際の発言とは異なる部分があります) 

1.阿佐ヶ谷駅北東地区のまちづくりについて

 一般質問をいたします。まず、阿佐ヶ谷駅北東地区のまちづくりについて質問します。

 8月30日、田中区長は、自らと、河北医療財団、欅興産の3者で行う土地区画整理事業に対し事業の施行を認可しました。この事業計画については、これまで何度となく議会の場で問題点を指摘してきましたが、計画ありきで決定されたことはきわめて遺憾なことです。

<区が行うのに「個人施行」とはこれいかに>

 とりわけ、手続きには問題が多すぎます。土地区画整理事業は、公共施行と個人施行に分かれており、杉並区が行う場合には、当然公共施行として行うべきです。しかも、今回は阿佐ヶ谷の駅前という高度に公共的な区域が対象ですからなおさらです。ところが、区は個人施行を選択しました。

 思い起こすのは沖縄県辺野古新基地です。県の埋め立て承認取り消しに対して、国が不服申立てを行いました。個人が権力に対抗するために用意された制度を国が恥ずかしげもなく利用するという反則です。

 これと同じで、個人のために用意された制度を、禁じられていないからといって、自治体という公権力が利用するのはやってはいけないことです。

<区長が申請、区長が認可とはこれいかに> 

 その上に、区長が事業者として申請した事業を、区長自身が認可する一人二役というのも、制度の欠陥とはいえ、やはり反則です。

 <内緒で公聴会の「ゴールポストを動かす」>

 7月17日には、杉並区まちづくり条例にもとづき、大規模土地利用計画に関する公聴会が開かれました。事前に区ホームページ上の公聴会運営要綱を見ると「くじにより10人の公述人を選定する」「公述の申出者からくじに立ち会う旨の申出があった場合は立ち会わせなければならない」とありましたので「くじ引きはいつ、どこで行うのか」を所管に問い合わせたところ、なんと、この要綱は公聴会が告知される前日の6月27日にひそかに変更されていたという驚くべき事実が判明しました。

 変更後は、くじ引きではなく、区長が公述人を任意に選ぶことができるようになり、さらに、くじ引きを行う場合であっても公述人を立ち会わせる義務は削除されました。しかも、この要綱の変更については、公述申出者には一切知らせないまま、公聴会に至りました。今に至るまでホームページにも掲載されていないため誰も知ることができません。

 世間ではこういうのを「ゴールポストを動かす」といいます。区民が知ることのできないルールによって行われた公聴会は無効と考えます。

 <賛成の人だけ全員発言>

 このように選ばれた公述人はどういう人たちであったか。公聴会を傍聴したところ、10人の公述人のうち賛成意見が4人、反対・慎重意見が6人でした。後に区民の方が所管に問い合わせたところ、全体で28名の公述申出があったうち、賛成は4名しかいなかったそうです。すなわち賛成意見の4名は全員発言を許され、残る24名からは、たった6名しか発言ができなかったのです。これこそ突然の要綱変更の効果です。

<しかも、区長・区役所のご指名?>

 しかも、賛成の4人は、東京商工会議所杉並支部、マイタウン阿佐ヶ谷協議会、杉並建築会、阿佐ヶ谷神明宮のそれぞれ代表や役員を務める方々です。地域の顔役で、区長、区役所とも日常的におつきあいのある皆さんです。なかの1人の人は発言の中で「もうこのへんでいいですか」と区側に尋ねるシーンもあり、出来レースが疑われます。

 そこで伺います。公聴会開催にあたり、区役所は直前になって内緒で要綱を変更しました。それはどういう理由によるものでしょうか。また、要綱変更の事実を、現在に至るまで公述を希望した人も含む区民に対して公に示していませんがそれはなぜか、説明を求めます。

<まちづくり景観審議会部会も省略> 

 さらに、まちづくり条例によれば、公聴会の次に、区長はまちづくり景観審議会土地利用専門部会の意見を聞くことができるとされていますが、このプロセスが省略されたことも不当です。 

 このように不当なやりかたで結ばれた協定は撤回し、大規模土地利用手続きのプロセスはもう一度公聴会からやり直すように求めるがいかがか、所見を求めます。(Q1-1-1)

 <土地区画整理事業の目的は道路、公園の整備>

 次に事業計画についてうかがいます。

 土地区画整理法によれば土地区画整理事業の本旨は「公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図る」こととされています。すなわち、公共施設をつくるため、個人の財産を一部提供していただく、土地の面積は減るが、利便性が高まり、資産価値が上がるという見返りがある、という仕組みです。

 公共施設のために供出する土地を公共減歩といいますが、一般的には20%、30%、もっと強力な減歩では50%などという例もあるとききます。

<公共施設への拠出はせず、メリットだけ享受>

 ところが、このほど入手した事業計画書を見ると、公共減歩率は全体でわずか4.05%と極限まで低くほぼゼロに近いのが特徴です。

 その一方、河北病院は現状の約1.5倍にあたる30,000平米の延べ床面積をもつ病院を建てられるようになり、地主さんは汚染地・浸水地の河北病院用地を手放し、駅前の一等地を手に入れるという、2者にとっては濡れ手に粟のような計画となっています。一般の土地取引ではない「土地区画整理事業」という特殊な制度をつかうメリットは享受するのに、公共への貢献はほとんど果たさない計画です。

 <「喫緊の課題」への貢献はナシ>

 特に、この間、区が「喫緊の課題」と住民に説明してきた区画北側道路(図1参照。区がいうところの杉一馬橋公園通り)の9mへの拡幅が問題です。

 現在の計画図(図2)でみると、拡幅予定区間の約1/4しか当該区画に入っていません(図2の「A街区上部のグレー部分)。つまり、残りの部分、河北病院本院・分院の北側部分は公共減歩ではなく、別に区が買収することになります(図2の「B・C街区上部のピンク部分)。

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図1 2017年の計画図。北側道路が含まれている

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図2 2019年の計画図

 この事業の民間の主体は、これだけメリットのある計画を使っておきながら、なんとケチくさいことに、これだけの土地すら提供することを拒み、拡幅したいなら区が買い取れと言っているわけです。

<公共性は失われた。認可の撤回を>

 この土地区画整理事業計画最大の公共施設整備だったはずの当該道路がほとんど外れた時点で、もはやこの計画の公共性は失われたといってもよく、土地区画整理事業として施行認可したことは不当であり撤回すべきです。なお、念のため、土地区画整理事業における公共施設とは道路、公園、河川等であり学校は該当しません。

 当該道路の3/4を土地区画整理の対象から外したのはなぜか。また、今後の拡幅スケジュールはどうなるのか、説明を求めます。(Q1-1-2)

 なお、計画図によると他にも2、3、4号道路があります。それぞれ拡幅や付け替えなどが予定されていますが、それらの公共性についても説明を求めます。(Q1-1-3)

土地区画整理事業公聴会開催を> 

 私はこれまで公聴会を開催すべきと要望してきました。土地利用構想の公聴会が開かれたことはいろいろ問題がありながらも一歩前進と評価します。

 しかし残念ながらその対象となったのは、計画のほんの概略にすぎません。このたびの阿佐ヶ谷の土地区画整理事業は最初に述べたように、きわめて公共性の高い地域を改変する開発行為であり、都市計画の扱いに準ずるべきです。

施行認可はいったん撤回し、土地区画整理事業についての公聴会を改めて開催すべきと考えますがいかがか、見解を求めます。(Q1-1-4)

 <「仮換地」前に議会に説明を>

 次に、換地すなわち地区内における土地の権利交換についてうかがいます。

 土地区画整理事業の要は土地利用に関する権利の変換にありますが、いま現在、換地に関する情報は一切公開されていません。

 そこでまずうかがいますが、仮換地指定の時期はいつか。また、仮換地の登記以前に換地計画は議会に説明して審査に付されると考えてよいでしょうか。所見を求めます。(Q1-2-1)

 ちなみに港区の田町駅前開発は、同じ個人施行の土地区画整理事業ですが、区は仮換地指定の直前ではあるが、区議会に詳細な資料を提供して説明を行っています。

<河北病院の土壌汚染、軟弱地盤はマイナス評価すべき> 

 次に換地計画の手法について具体的にうかがいます。

 不動産鑑定評価は行われるのでしょうか。また、河北病院用地は土壌汚染および軟弱地盤が指摘されており、これらの土地の欠陥については当然マイナスに査定されるべきですが、換地計画のなかではどのように評価されるのか、説明を求めます。(Q1-2-2)

<河北病院の汚染を把握していない問題>

 この計画の中で、河北病院用地の汚染調査は大変大きな要素です。仮換地に先立って、河北病院の汚染の状況を把握し必要な費用を評価から差し引くべきですが、先日の他の議員への答弁でも病院から調査報告すらまだ受けていないとのことでした。

 また、土壌汚染調査に関しては、必要に応じてボーリングも実施すべきです。これまで区は病院が更地にならないとボーリングができないかのような説明をしてきましたが、更地にしなくてもボーリングは可能です。

 <杉並区も知っている。原状でのボーリングは可能>

 その一例として、杉並区が国から馬橋公園拡張用地として取得した旧気象庁住宅のケースがあります。先の第2回定例会で、この用地の解体工事に関連して土壌汚染が報告されました。そこで、その詳細について情報公開請求を行ったところ、報告書には、住宅棟の中に入り、畳を上げ、床板を切り抜いて、ボーリングを行っている様子を撮影した写真が添付されていました。直径10cmの筒が入ればいいので、床板を切り抜くといっても、さほど大きな面積ではありません。

  このように、杉並区においても解体工事を行う以前に土地の汚染を把握した事例が確認できました。一時的な作業ですから、もちろん営業中の病院でも調査は可能です。

あらためて、河北病院用地の汚染について、ボーリングを含む調査を行い、汚染の実態を把握するよう求めますがいかがか、所見を求めます。(Q1-2-3)

 <区の権利が「3割」しかないのはなぜ?>

 次に、換地後の権利ですが、区はこれまで、換地後の杉一小敷地について、「区の権利が3割程度残る」と説明してきました。ためしに、路線価を基にして計算したところ、土地の高低や汚染、軟弱地盤などを考慮せず、単純に面積かける路線価で計算しても、杉一小と河北病院の敷地の価値はほぼ5対3、即ち、杉一小における区の権利は4割あって当然、その上、さらに売買の実勢価格や汚染地であり軟弱地盤による減額を考慮すれば、5割、6割の権利があってもいいはずです。

  いったいどのような計算をすれば7:3などという数字になるのか、その計算方法、および、地価をいくらとして計算したのか、具体的な説明を求めます。(Q1-2-4)

 <狙われる駅前公共用地>

 仮換地指定の後は、さらに油断ができません。これも田町の例ですが、この計画では仮換地指定が行われたあとに、容積率を400、500%からなんと940%と、ものすごい緩和を行いました。

  ちなみに、このケースも駅前の学校用地を民間の汚染地と交換する点で、阿佐ヶ谷の計画にそっくりです。いま、駅前の公共用地はどこもディベロッパーに狙われているのです。

<わざと容積率アップをあとまわし> 

 阿佐ヶ谷では、これから仮換地が行われますが、そのあとにやはり、用途地域容積率の変更が予定されています。

 けやき屋敷は容積300%に。また、杉一小の敷地については、現在は商業、近隣商業、住居専用地域が混在しており容積率は500、300、200%ですが、これをすべて商業地域に変更する旨説明されてきました。その際にはいっきに600%まで引き上げるという話です。

  ところが、これらの容積率の大幅な緩和は、先行する仮換地の時点では、まだ実現していません。田町の例同様、いずれ土地の利用価値が大幅に拡大するとわかっているのに、杉一小用地は緩和前の、過小評価された状態で仮換地が行われることになります。区にとっては大損です。

<区が大損する取引。見逃す区議会> 

 通常の売買であればありえない不均衡な取引、区の財産を大幅に毀損する取引が、土地区画整理事業というブラックボックスを使って、いままさに行われようとしているのです。

  区議会がこれほどに不利な取引を見逃すなら、職務怠慢どころか存在意義を問われます。公共の財産を守るために、立場を超えて、この問題について明確な説明と是正を求めることは私たち議会に課せられた使命です。

 <平米150万円の高価な保留地を買うのは誰?>

 なお、土地区画整理事業では、地権者が保留地を拠出してそれを売却することによって事業費をまかなうのが一般的ですが、この事業計画では保留地400平米余を6億円余で売却するとされています。平米単価は約150万円ということになります。

 計画書では、対象地区の平均地価は平米あたり115万円としています。これと比べて3割以上も割高ということですから、ずいぶんといい土地を売りに出すようです。この単価はどういう根拠に基づいて算出されたものか、説明を求めます。(Q1-2-5)

  6億円を投じてこんな高値でこの土地を買うのは誰かということも今後問題になりそうです。

<けやき屋敷100本の大木を伐採>

 阿佐ヶ谷開発問題の最後に、やはり自然環境についてうかがわなくてはなりません。昨年から行われていた自然環境調査がこのほどまとまり、報告書を拝見しました。

  その中でまず、けやき屋敷における大径木の本数は何本か。うちケヤキは何本かをお示しください。特に、そのなかでも大きい木についてうかがいます。目通り径が最大のものは何センチか、また1mを超える木は何本か。お示しください。(Q1-3-1)

 提案されている地区計画素案では、保存緑地及び歴史的景観緑地として一部の樹木を残すことが計画されていますが、これらの対象として保存される樹木は何本でしょうか。お示しください。(Q1-3-2)

 ざっと数えても、残る木は40本足らず、100本もの大木が伐採される計画です。

 <タカのいるまち阿佐ヶ谷>

 また、生き物についてうかがいます。これまで指摘してきた絶滅危惧種のタカの一種ツミについて、この森を使って生息している実態が調査により詳細に確認されました。ちなみに、ツミについてはその後、飛翔している姿を見たとの情報や写真を阿佐ヶ谷の方々からいただきました。

 「タカのいるまち阿佐ヶ谷」素晴らしいですね。

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杉一小校庭でハトを捕まえたツミ

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松山通りのお店の軒先のツミ

 

  東京都の条例では、タカ類の生息環境保全のために特段の配慮が求められます。他の議員の質問にもありましたが、環境省の手引きによれば2営巣期をカバーする1.5年の観察期間が必要なはずです。区は具体的にはどのような対応を行うのか。また、東京都との協議は現在どうなっているか、説明を求めます。(Q1-3-3)

 <自然豊かな屋敷林を残せ>

 自然環境調査では、ツミ以外にも多数の生き物が確認されています。両生類ではアズマヒキガエル、爬虫類ではニホンヤモリがおり、絶滅危惧種ではないが、やはり東京都レッドリスト指定であることが示されています。 

 植物については、けやき屋敷の敷地内では174種、周辺に128種がみられ、日常的に人の手で整備されている屋敷林にもかかわらず、生態系における多様性が非常に豊かであることがわかりました。

<公共性なく区にとって不利な事業、引き返すべき> 

 今回の質問では、土地区画整理事業の施行認可を受けて、計画の公共性のなさ、それに対して民間2事業者のメリットばかりが大きく、区はきわめて不利な取引を強いられる計画であることを述べてきました。

 前に述べた豊洲市場における汚染地との権利交換、また田町駅前の開発とも瓜二つです。

 まちづくりの観点はもちろん、財務の面からも、とうてい認めることはできません。いまならまだ間に合います。区の財産が大きく毀損され、貴重な自然が損なわれる前に引き返す勇気が必要です。

2.保育について

 次に保育についてうかがいます。7月から区立保育園民営化ガイドライン改定のための懇談会が開催されています。私も傍聴しました。本日はこの民営化ガイドラインについてうかがいます。

 現行の民営化ガイドラインは、単なる事務手続きを並べただけのものであって、区立保育園の保育の質を継承していくためには不十分であると考え、これまでもたびたび意見を言ってきたところです。区長も最近は「区内全体の保育の質向上ということを進めていきたい」と述べておられますので、改定に期待したいところです。

 <杉並区の保育を守るために>

 区立園の民営化は行うべきでないというのが私の立場です。しかし、最低限、守るべきルールを策定することは、あるべき杉並区の保育をきちんと守っていくために意義があると考えます。したがって、これまでにも述べてきたように、民営化ガイドラインには、まず、民営化にあたっての区のめざす保育及び理念がまず書かれなくてはならないと思いますがいかがか。また、杉並区は民間事業者の保育園に対して何を期待しているのかうかがいます。(Q2-1)

 <「民営化の必要性」はガイドラインにそぐわない>

 現行のガイドラインには理念がまったくありません。残念ながら、改定案にも理念は明らかでなく、ガイドラインは「民営化を円滑に進めるため」のものと書かれているほか、新たに「民営化の必要性」の説明が追加されています。これは民営化のルールを示すガイドラインにはそぐわない1章で、削除すべきと考えます。

<「保護者満足度」ではなく客観的な比較を>

 次に、杉並区はこれまでの民営化についてどう評価・検証しているのか。この質問をすると毎回返ってくるのは「保護者アンケートで、9割が満足」というゆるい答えです。なんの証明にもなりません。

 検証については、保護者満足度のような主観的なあいまいな数字ではなく、職員の勤続年数、待遇や事故の有無、保育内容、行事など、区立との客観的、具体的な比較が必要と考えますが、いかがか。また、区はこれまでの民営化で何が得られたと考えているか、お示しください。(Q2-2)

<保護者の反対を押し切って進めてきた>

 これまで、区立保育園の民営化にあたって、多くの園では当然、保護者の強い反対が起きましたが、区は「予定どおりすすめる」の一点張りでつき進むのが常でした。

 当該園の保護者に通知もしていないのに、民営化を区民意見募集に付していたり、父母会で相談している最中に、見切り発車で事業者の選定を始めると脅したり、しまいには、選定委員の点数のつけかたまで批判するという始末でした。

 本来、子どもの代弁者としての保護者の意見をていねいにききとり、反映するべきですが、これまで民営化にあたって保護者の意見を取り入れた例があれば、どんなことがあるか、お示しください。

<選定委員会は保護者4名に> 

 また、保護者が意見を言える最大の場は選定委員会です。改定案によれば委員10人中2名しか保護者は入れず、これに対して、職員は5名も入っており不均衡です。保護者は仕事のあと、子育てもある中で会議に参加しなければならず、仕事や子どもの病気などでやむなく欠席することもあるかもしれません。4名の枠を確保することで、誰かが必ず出席できる保証ともなります。したがって、ガイドライン上、保護者枠は4名に拡大すべきと考えますが、いかがか。所見を伺います。(Q2-3)

<職員配置「事業者の判断」でいいのか> 

 民営化でもっとも心配なのは、職員の配置、人数と職員の処遇です。

 まず、配置について。区は「民営化しても区立とかわりません」と説明する一方、「公募要項に定めた条件は守るよう働きかけはするが、罰則などを設けることはできない」また「配置については事業者の判断による」とも述べています。

 参入時に区立のときと同様以上の配置がなされていることは当然のこととして、その配置が開園以後も維持されているのかは随時確認を行うべきですが、どのような体制でチェックしていくのでしょうか。また、現在は、職員に欠員が生じたことを、区としてどのようにして把握しているのか。その場合、事業者に対する支援はどのように行っているか、説明を求めます。

 <毎年の労働環境モニタリングが必要>

また、最近は、多くの「ブラック保育園」などといわれるケースが出てきています。

区では社労士による労働環境モニタリングを行っていますが、民営化した保育園に関しては、毎年の労働環境モニタリングを行うべきと考えるがいかがか、所見を求めます。(Q2-4)

  さらに応募条件として「労働法令違反を指摘されたことがない」こと、及び運営上は「労働法令の遵守」を追加すべきです。また、悪質な場合には、契約解除などを含む罰則も考える必要があるのではないでしょうか。

<保育の引き継ぎ期間が短すぎる> 

 最後に区立から民間への引継ぎについてうかがいます。区は「合同保育は4か月」といいますが、実際にクラスに保育士が入って合同で保育を行うのはわずか2か月にすぎません。これでは、保育士、児童、保護者が相互に知り合い、なじむ時間としてはあまりにも短すぎます。

 これも前から言っていることですが、民間への移行をはさんで前後半年ずつ1年程度は合同保育が必要と考えますがいかがか。民営化後も半年程度は区職員が一部残留して合同保育にあたっている自治体があることは、以前の一般質問でも紹介したところですが、杉並区でも実施できるはずです。そしてその後も週1回程度の巡回支援を行うなど、引継ぎは手厚く指導と連携を強めるべきと考えるがいかがかうかがいます。(Q2-5)

 以上、意見を含め様々述べました。保育の主体である子どもと保護者の意見が尊重されるよう、ガイドラインに取り入れていただければ幸いです。

高円寺小中一貫校設置に反対しました(2019年6月18日の発言)

 だいぶん、時間がたってしまったのですが、高円寺中、杉四小、杉八小の廃止と高円寺小中一貫校の設置対する反対意見を掲載します。すでに議事録も出ているのですが、原稿でごらんください。近隣住民の反対に対する区と建設事業者の対応は、直接の暴力(は犯罪になるので)以外なら何でもありというものでした。

 なお、建設事業者の自作自演により「暴行」で警察の聴取を受けた住民は、当然のことながら不起訴処分となりました。

(2019年6月18日本会議における発言。実際の発言とは異なる部分もあります)

以下原稿。

 議案第32号杉並区立学校設置条例の一部を改正する条例について意見を述べます。
 この議案は杉並第四小、杉並第八小、高円寺中の3校を廃止し、新たに高円寺小、高円寺中を一体とした小中一貫校を設置するものです。3校の廃止と小中一貫校の設置には反対とし、以下理由を述べます。

 第一に、学校統廃合が不適切であることです。杉四小、杉八小の両校学区では、地域の方からの強い反対の声がある中、統廃合が決定されました。児童数の減少がその主な理由でしたが、今日、高円寺も含む区内ではむしろ子どもが増えている原状があり、また、学校が地域の防災拠点であることから廃止にはきわめて慎重であるべきでした。時代の要請にも逆行しているといえます。
 第二に、小中一貫校の教育効果に問題があることです。杉並区に先立つ各地の小中一貫校をめぐる研究でも教育的効果を高めるとのエビデンスはありません。むしろ、小学校高学年の自己肯定感が低くなるなどデメリットが指摘されているところです。区が小中一貫校のメリットとして挙げている中一ギャップの解消についてはすでに中一ギャップの存在そのものが否定されています。
 第三に、新たな学校の配置と設計、つまりは教育環境及び安全性に問題があることです。新たな高円寺学園は杉並区の端に立地しており、しかも環七通りの東側にあります。大半が環七の西側から通ってくる小学生にとっては通学距離がこれまでより格段に長くなる上に、危険な環七を渡らなければなりません。また、小中一貫校の区内第1号である和泉学園は和泉中・和泉小の2校の敷地を合わせて建設されましたが、高円寺学園はさして広いとはいえない高円寺中1校の敷地に建設されたため、特に校庭がきわめて狭小となっています。住民の中からは、仮に小中一貫校にするとしても高円寺中と杉四小の2校の敷地を活用して中学部・小学部として設置すべきという案が出されましたが区は聞き入れませんでした。
 児童数の減少を理由に統廃合されにもかかわらず、最大1080名の受け入れ可能な校舎という過大な建築規模も多くの問題につながっています。まず校舎が巨大すぎて校庭がきわめて狭いこと。また、巨大な校舎を建てるために、建築規制のかからない敷地の南側に校舎をもってきたため、校庭が校舎のカゲに入ること。日照時間は短く、雨、雪の際には校庭がいつまでも乾かないと何度も指摘してきましたが、教育委員会は「北側校庭の例は多数あり、水はけのよい素材を使うの出大丈夫」と説明してきました。北側校庭の例はほとんど見当たらないことも確認しておりますが、その上、結局、今議会では校庭を人工芝にすることが明らかになりました。その理由は土だと雨の時に乾きにくいからだと教育委員会自ら説明しています。これまでの説明は虚偽だったということでしょうか。ちなみにプラスチック環境汚染が指摘される今日にあって、人工芝はその代表的な汚染源であることも留意すべきです。
 特別支援教室の配置については、議会に陳情が出され、大きな議論のテーマとなったことは記憶に新しいところです。
 総体として新校の教育環境が従前よりも劣化することは大変残念です。
 第四に、近隣住民の反対を押し切り、住民を敵視する様々な問題を区役所が引き起こしてきたことです。何度も言いましたが、工事を計画しているのに隣接する住宅に挨拶にすら行かず、一片のお知らせで計画決定を伝えたところから住民無視は始まっています。高円寺中を建て替えるのだから旧校舎同様のものをつくるのだろうと思っていた住民は敷地の南側に30mもの高さの巨大な建物ができることを知って驚き、抗議しました。しかし、区は主権者たる地域の住民の意見を聞き入れて計画を修正するどころか、話し合いに応じなくなり、住民を敵視する始末でした。住民を出し抜いて行われたボーリング調査、建設会社による住民の盗撮、スラップ訴訟、自作自演による暴力事件のでっち上げ、そしてしまいには設計不備による工事の遅れの原因を住民に押しつけるという、嫌がらせのオンパレードでした。何人もの住民が体調をくずしました。「学校づくりはまちづくり」という兵庫はどこへいったのかと思わされます。
 以上、問題点を述べてきましたが、高円寺小中一貫校の経緯は田中区政の問題点を凝縮したようなものです。その根底にあるのは、とにかく大規模な公共工事を行うことが至上命題ということです。その邪魔になると見ればあらゆる手段を使って住民を排除し、意見を聞き入れることはありませんでした。こうした区政が今後も続いていくとすれば、同じ問題がさらに次々に生じる可能性を憂慮するものです。
 以上をもって反対の意見とします。

阿佐ヶ谷北口開発、情報公開と公聴会を求める(2019年6月4日一般質問)

 2019年6月4日、杉並区議会第二回定例会において一般質問をしましたので、質問原稿を掲載します。ところで、今回の一般質問を前に、これだけはどうしても許せないというポイントが2つありました。

・杉一小と権利交換する対象である河北病院用地の価格など情報について「個人情報だから公開できません」と説明していた区の幹部。

・学童クラブの民間委託先を選定する「選定委員会」の委員に選ばれた保護者に「このことは誰にも口外しないように」と口止めしていた区職員。

 両方とも「こんなルールがあるはずない!」と質問するつもりでした。ところが、事前の打ち合わせの段階で、各担当課から「それは間違いです」「そんなルールはありません」というお返事があったのです。ほっとする一方、じゃあ、なぜ区民に対してウソをついて隠したり脅したりするのかとの憤りは消えません。

 以下原稿を掲載しますが、内容の概要は、

1.阿佐ヶ谷駅北東地区のまちづくりについて

 いよいよ事業認可に向けて区が加速しています。しかし、区民の多くはいまだにこの計画を知りません。知らされていないのです(説明会に参加するなど、計画を知った人は強く反対しています)。土地交換にむけての土地評価額、事業費の区負担額、河北病院の汚染、けやき屋敷の緑と生態系の実態、etc. 区民になにひとつ公開せず重大な財産処分を行おうとしていることに対し、情報公開と公聴会の開催を求めました。

2.児童館・学童クラブについて

 来年3月には児童館がいっきに5館も廃止されてしまうのです。廃止の説明会にいくと、地域の皆さんが「児童館は子どもたちを守るために必要。どうしてなくすのか」と口々におっしゃっていました。

 児童館廃止の目的の一つは学童クラブの民営化です。学童クラブの委託に際して、選定委員会の「守秘義務」、事業者の参入資格が「同様の事業1年以上の実績」が区の要綱に反している件、また、委託された学童クラブの職員に欠員が生じていること、桃五学童クラブの「つめこみ」状態の解消を求めることなど、などを質問しました。 

(以下は質問原稿です。実際の発言とは異なる部分があります) 

1.阿佐ヶ谷駅北東地区のまちづくりについて

 一般質問をいたします。第一に阿佐ヶ谷駅北東地区のまちづくり、阿佐ヶ谷の再開発についてうかがいます。

 私たち区議会議員の選挙が終わったとたん、区役所はこの計画の実現へむかっていっきに駆け出したようです。開票から3日目には都市計画審議会が開かれ、10連休をはさんで連休明けの7日に土地利用構想の届け出、公告・縦覧開始、そして先々週は7日間の間になんと4回もの説明会およびオープンハウスが開かれるというハードスケジュールでした。 

<重要な情報が全く公開されない>

 阿佐ヶ谷再開発に関する区政の重大な問題は、計画の是非に直結する重要な情報が全く秘匿されているということです。国の情報隠しもひどいですが、それ以上です。

  杉並第一小学校という駅前の一等地にある区有地を処分する計画であるのに、肝心な換地関連の情報は全く示されていません。土地区画整理事業の費用負担も闇です。河北病院の土壌汚染や地質についての情報もありません。また、けやき屋敷の自然環境調査が行われているはずですが、いまだに現況の緑や生態系の実態すらわかりません。

 近隣の皆さんが最も知りたい、河北病院の建築計画も全く不明です。先日の説明会では近隣の方が「日照や電波障害についての情報が全くないのでは、計画に賛成のしようがない」と発言されていました。あたりまえだと思います。

 杉一小跡地に何ができるのかも一切説明されない。10年以上先の計画とはいえ、全く決まってないということはありえず、すでにプランはあるはずです。

<説明会で進め方への批判が多数>

 これほどまでの秘匿ぶりは、あまりにも区民を愚弄しています。当然の帰結として5月24日に行われた地区計画素案の説明会では、区の進め方に対する批判的な意見が相次ぎました。

「説明会というが、決まったことを発表しているだけではないか」

「すぐ近所に住んでいるが、最近までこの計画を知らなかった」

「住民が知らないのに進めるのではなく、もう一度最初からやりなおすべき」

 そして、最後には「今日発言した人は全員反対だったということを確認しましょう」という発言があったくらい、区の進め方に納得いかない方が多数でした。

  まずは、どれくらいの人にそもそも計画情報が伝わっているかを確認するため、阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくり意見交換会及びオープンハウス、土地利用構想オープンハウス、地区計画素案説明会及びオープンハウスのそれぞれの開催回数と延べ人数をお示しください。また、地区計画素案説明会における発言者の人数、およびどのような意見が出されたかをお示しください。(Q1-1、2、5-1)

<意見募集で8割は反対、懸念>

  時期が前後しますが、1月末から2月にかけて、まちづくり計画に関する意見募集が行われました。その結果を区のホームページ上で確認しますと、81名、150項目という多数の意見が寄せられています。しかも、数えてみると、そのうち約120項目、つまり約8割の意見は、反対もしくは一部変更を求める、疑問があるという意見です。意見募集自体がろくに告知もされない中でも多くの方が意見を寄せて、阿佐ヶ谷の将来を心配しているのです。

  内容をみると、屋敷林の保全を求める人が6割強、また、杉一小の移転に反対の人が4割を占めています。これらの意見を尊重する気が少しでもあるなら、いったん立ち止まり、時間をかけて計画を全面的に見直すべきです。地区計画素案説明会及びまちづくり計画の意見募集に対する意見のうち、今後、どのような意見が、計画のどの部分に反映されていくのか、説明を求めます。(Q1-2-2)

都市計画法公聴会の開催を定めている>

  私は、第一回定例会において、地区計画に関する公聴会の開催を求めました。しかし、区の答弁は「公聴会は例示のひとつ」というものでした。この答弁については、予算特別委員会で誤りを指摘しました。すなわち国交省の「都市計画運用指針」では、「法第16条第1項において公聴会の開催を例示しているのは、住民の意見を反映させるための措置として、住民の公開の場での意見陳述の機会を確保するべきという趣旨であることに留意する必要がある。」と述べ、さらに、説明会は、都市計画の原案について住民に説明する場であるのに対し、公聴会は、住民が公開の下で意見陳述を行う場であるとしており、単なる例示ではないこと。したがって、特に必要がないと認められる場合以外は公聴会を開催すべきとしていることです。説明会だけではだめなのです。そこで、あらためて国の運用指針に沿った公聴会を開くことを求めますがいかがか。

 また先の答弁では「十分な陳述の機会を設ける」とのことでしたが、それは何を指すのか、答弁を求めます。(Q1-3)

  同様に、土地区画整理事業についても、杉並区まちづくり条例に定める土地利用構想に関する公聴会を開くことを求めます。条例28条では、大規模開発事業の手続き等について、「区長が必要と認めるときは公聴会を開催できる」と規定しています。区民からも土地区画整理事業に関する公聴会開催を求める陳情が提出されているところです。地区計画および区画整理事業の双方について、区長は、公聴会を開催すべきですが、いかがか。答弁を求めます。(Q1-4)

 なお、同条例26条には「区民等」が土地利用構想について意見を提出できるとありますが、オープンハウスで配布された資料には「周辺に居住する者等」となっており、周辺の人しか意見を出せないのかとの誤解を招きます。区民には正確に告知すべきであり、説明を求めます。(Q1-5-2)

<歴史的にも貴重な屋敷林の消滅という愚行>

 さて、阿佐ヶ谷再開発に関して、個別の課題について述べます。第一に屋敷林の消滅という問題です。何度も指摘してきたように、この屋敷林は杉並区自身が選定した「杉並らしいみどりの保全地区」であり、また、東京都により「旧跡」指定も受けている文化財でもあります。四百年続いてきたともいわれるこの歴史的な屋敷林を、こともあろうに、区が主導して一部の大企業や有力者のいっときの金もうけのために消滅させるというのはなんという愚行か、蛮行か。実施されるなら杉並区の歴史に大きな汚点を残すことになるでしょう。

<緑化率25%では森は守れない>

 地区計画素案で区は、けやき屋敷の緑化率の最低限度を25%と定めました。ところで、地区施設として計画されている保存緑地等の面積を計算すると病院予定地の約15%にあたります。さらに沿道に新たな植栽を行うとしているので、両者をあわせるとそれだけで25%になりそうです。それでは森は残りません。そこでお聞きしますが、25%には地区施設の保存緑地等を含むのでしょうか。地区施設は公共的なものであり、病院敷地の緑化率からは除外して計算するべきと考えますがいかがか。

 また、緑化率を定めただけでは拘束力がなく、地区計画緑化率条例を定めるべきであるが、いかがか。条例を定めないのであれば緑化率はさらに10%程度引き上げるべきと考えるがいかがか。答弁を求めます。(Q1-6)

絶滅危惧種のタカ「ツミ」がいると判明>

 次に、屋敷林の貴重な生態系の問題です。先の一般質問や予算特別委員会で指摘してきましたが、区の委託した自然環境調査においてもツミが確認されたと聞きました。先に指摘したように、ツミは東京都の定めるレッドリストで23区部及び隣接する北多摩地区において「絶滅危惧1A類」即ち「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの」とされており、都の「開発の手引き」では、環境省の「猛禽類保護の進め方」のオオタカの扱いに準拠して調査・保護することとされています。「保護の進め方」では、採食地(餌場)の喪失がタカの繁殖への大きな痛手となることから潜在的な採食環境を含め保全されることが重要、としていますが、ツミが飛んでいるからには、けやき屋敷が他の場所に営巣しているツミの採食地として保全の対象となる可能性が高いと思われます。仮にけやき屋敷にツミの営巣が確認された場合は今後の計画にどう影響するのでしょうか。また、巣はなくとも行動圏であると確認された場合はどうでしょうか。答弁を求めます。(Q1-7)

<掘削除去で汚染がなかったことにはできない>

  次に、杉一小の移転予定地とされる河北病院の汚染の問題です。他の議員からの質問に対し、区の答弁は依然として、三者協定で河北病院が汚染拡散防止措置(掘削除去)の費用を負担するので大丈夫というものでした。それではダメなんだということは、予算特別委員会において、第一に土地の権利交換の評価額への影響、第二に土壌汚染対策の責任の所在、第三に学校が開校してからの環境汚染の3つの観点から指摘したところです。

<汚染が除去されても土地の価格はマイナス評価>

 第一の土地評価額の問題では、換地の際に、区が大幅に損失を被る恐れがあります。日本不動産鑑定士協会連合会の「不動産鑑定評価基準に係る実務指針」では「土壌汚染の存在の可能性が認められたときに、それが価格形成に重大な影響を与えないと判断できる場合以外は、土壌汚染の影響を考慮しなければならない」とし、さらには、例え汚染が除去されたとしても、土地の最有効使用の制約、汚染物質の残存の可能性、また汚染地であったということによる心理的嫌悪感(トラウマ)などにより、不動産の減価を招くことに注意を促しています。

 つまり、区がいうような、河北病院が全面的に責任を負うという理由で土壌汚染がない土地と同等とする扱いは誤りであり、仮にそのように扱うなら、それはそのまま、土地価格の過大評価すなわち地権者に対する不当な利益供与ということになります。

<病院の土壌汚染対策は期限つきでは>

 第二に土壌汚染対策の責任です。区は、掘削除去に加え、瑕疵担保責任条項を入れれば、病院側がすべての汚染に責任を負うかのように描いています。しかし、瑕疵担保責任は永遠ではありません。たとえば馬橋公園の拡張用地に関して国との間に結ばれた契約では瑕疵担保責任は2年間であるとのことです。杉一小移転後までは保障されないと考えられます。 

<土壌の全面入れ替えを誰が負担するか>

 従って、第三の小学校用地の問題になります。見つかったところだけ除去するという対策では、後々新たな汚染が見つかる可能性が高く、汚染の危険を完全に回避するためには、土壌の全面入れ替えしかないこと、そして、その費用は区の委託調査により7億3千万円と算定されていることも指摘してきました。この調査では学校建築の費用、即ち区の負担として計上されていましたが、本来は原因者である河北病院が全面的に負うべきです。区は、病院側に負担を求める考えはあるでしょうか。所見を求めます。(Q1-8-1)

<汚染の履歴調査に何年かかるのか>

 また、汚染対策はまず履歴の調査からです。他の議員の質問に対し「病院側は履歴調査を行っているところ」との答弁がありましたが、書類上の調査にいったい何年かかるのでしょうか。3年前の計画策定以前から取り組まれているはずの履歴調査は、とうに終わっているはずですが、区は履歴情報を取得していないのでしょうか。確認します。(Q1-8-2)

<ボーリングはいまでもできる>

  なお、ボーリング調査は病院移転、建物解体後に行うとされていますが、これも馬鹿にした話で、操業中でもボーリングはできるのですから、早急に土壌調査を行うべきです。

<一等地の杉一小を二束三文の土地と交換>

 最後に換地計画です。この開発計画の核心は、何よりも、杉一小用地という阿佐ヶ谷駅前の一等地を開発のタネ地として民間の開発事業者に引き渡すことであり、ひきかえに病院跡地の汚染地で、しかも昔は川や田んぼであったゆるゆるの軟弱地盤、浸水地という誰も買わない二束三文の土地を区が引き受けるというところです。照応原則に反する不適正な権利交換であり、汚染地のロンダリング豊洲市場の小型版ともいえます。

<「個人情報だから非公開」のウソ>

 先日の土地利用構想に関するオープンハウスで、参加した区民の方が、河北病院の土地の価格について尋ねたところ、区のある幹部が「個人情報なんで公開できません」と繰り返し答えている場面に遭遇しました。ところが後日、所管課に確認したところ、あっさりと「個人情報だから公表できないなどということはない」とのことでした。区の幹部が、区民に対して、どうしてこういうすぐばれるウソをつくのか。区民を欺しても、区長および大企業や地域の有力者に便宜を図るというならあきれるしかありません。

<情報公開は「のり弁」>

 私は情報公開により、2017年2月3日の「杉並第一小学校施設整備に関する地権者等調整」の資料を入手しましたが、そこには協議内容として「不動産鑑定評価等について意見交換」と書かれ、暫定版ではありますが、不動産鑑定評価の資料がついていました。区はとっくに鑑定評価を行って、結果を持っているのです。ところが、開示された資料は杉一小以外の部分が真っ黒にマスキングされた「のり弁」状態でした。土地の情報は、本来公開情報であるはずです。まして、区有地の処分に関わることですから秘匿は許されません。

 学校用地は区民共有の財産です。区民はその処分が正当な価格に基づくものかを知り、評価する権利があります。事業認可がおりて、仮換地が実施される前に、換地計画および関連情報を公開するよう求めます。できないとすれば、どのような根拠法令によるものか。説明を求めます。(Q-1-9)

 区の財産を毀損するなんてことはないと区長は以前答弁していましたが、それを証明する情報をなにひとつ出せないでいます。それこそが後ろめたい証拠ではないでしょうか。正しい政策だと自信があるなら、区民に情報を開示して正々堂々と議論するべきです。区民への情報公開と公聴会の開催を改めて強く求めます。

 2.児童館・学童クラブについて

 次に、児童館・学童クラブについて質問します。区立施設再編整備計画第一期第二次プランにおいては、児童館9館の廃止が予定され、すでに今春、下井草児童館が廃止となりました。

<地域に支えられ子どもを守ってきた児童館>

 来年廃止になる5つの児童館のうち、私は3月に行われた3館の説明会に出席しました。どの児童館においても、地域の町会やボランティアの方々が積極的に発言され、一つひとつの児童館が、地域の力に支えられてきたことを改めて知ることができました。

 児童館は子どもが自由に来館し遊ぶことのできる文字通り児童の館であり、その目的には健全な遊びを通じて子どもの健康と情操の発達をはかることがうたわれています。単なる遊びの提供ではなく、児童館という安心できる場所で、子どもが信頼できる大人と関わりながら成長していくところに大きな意味があります。

<児童館職員の専門性をムダにするのか>

 中でも最も大きな力は児童館の職員さんの専門性にあります。ある館の説明会では参加者から「児童館の職員さんが地域のネットワークをつないでくれている。区は『いいまちはいい学校をつくる』と言っているが、その基本をつくってきたのは児童館です」と評価する声、また「いま児童虐待がこれだけ大きな問題になっているときに、杉並区はなぜ児童館の職員を減らし、民間委託するのか。長年つちかってきたノウハウを無駄にする行為ではないか」という疑問などが出されました。

 単なる子どもの遊び場という意味では放課後等居場所事業も一定の役割を果たすことを否定はしません。しかし、児童館が行ってきたのはそれだけでなく、地域の「子育てネットワーク」で学校など公共機関、児童福祉施設、地域の人々がつながりあって、子どもを守る中心となってきました。これは、0歳から18歳までの子どもを長い目で見守る児童館だからできることなのです。

 そこでうかがいますが、区は児童館がこれまで果たしてきた、また現在果たしている役割の重要性についてどう認識しているでしょうか。所見を求めます。(Q-2-1)

<学童クラブ民間委託ガイドライン

 次に、児童館の廃止に伴う学童クラブの民営化についてうかがいます。杉並区は先日「学童クラブの民間委託ガイドライン」を定めましたが、このガイドラインに関連して質問します。もとより保護者はこれまでの区直営の学童クラブを望んでおり、決して民営化に積極的でないことはまず指摘しておきます。

<「選定委員になったことを誰にも言わないように」?>

 第一に選定委員会のありかたです。選定委員10名のうち4名を保護者委員としたことは評価できます。

 ところが、選定委員に選ばれた保護者に対して、区職員が「選ばれたことは誰にも言わないように」と口止めをしたという話を聞きました。所管課に確認したところ「そういう運用はしていない」とのことで安心しましたが、こんな何の根拠もない架空のルールで保護者を脅すようなことが行われているとすればきわめて問題です。そうでなくても、小学生の保護者が夜間の会議に出かけなくてはならないことだけでも大きな負担です。それでも子どもたちのためにがんばろうと引き受けた方が、まわりの保護者に相談もできないような状況に追い込むのは言語道断です。個々の職員が独断で言ったとはとても思えません。子ども家庭部として反省し、今後はこのようなことのないようにしていただきたいと思います。

<保護者委員は保護者の意見を伝える役割>

 保護者委員は、あくまで保護者の代表であり、保護者間で必要な意見交換、情報共有が図れるようにしていただきたいと考えますが、所見を伺います。

 また、保護者の意見をまとめるうえでも、委員会の内容はできるだけ保護者どうし共有する必要があります。その際、選定委員となった方は、委員会の内容をどこまで話していいか悩むことになるでしょう。そこでうかがいますが、選定委員の守秘義務の範囲は何と何か。また、その根拠となる法令はなにかをお示しください。(Q2-2)

<事業者の応募要件「経験1年」は要綱違反では>

 次に、事業者の応募要件について質問します。このたびの民間委託ガイドラインでは、応募要件として、学童保育等の1年以上の実績があることとされ、私は、たった1年かと驚きました。ところが、杉並区委託事業プロポーザル実施取扱要綱第9条においては、参加資格要件として「提案業務又は類似する業務を引き続き2年以上営業していること」とされています。明らかに要綱に反しているのでガイドラインの訂正を求めますがいかがかうかがいます。(Q2-3)

 なお、同条2項、3項の例外規定によりこの要件を除外することができるとの説明も受けましたが、よりによって学童クラブの業務委託に関してのみ特例でハードルを下げるなどありえません。早急な訂正を求めます。

<「学童クラブ運営指針」遵守は選定時に評価されるのか>

  次に、「杉並区学童クラブ運営指針」についてうかがいます。ガイドラインの「事業者への引継ぎ」の項では「運営指針に沿った運営が可能となるようにすること」とされています。指針を読むと「子どもが安心して自分らしさを出し、のびのびと過ごせる場になるように配慮する」とか「子どもの心を理解するように努める」など大切なことが書かれています。まさに杉並区の学童クラブで実践されてきたことが述べられており、大変いい内容だと思います。民間の事業者においても、文字通りこの指針を忠実に実施していただきたいと思います。

  ただ、残念ながら、この指針が選定に反映されるのかは、審査基準、審査項目をみても具体的にはわかりません。審査基準にはどのように反映されるのか。説明を求めます。(Q2-4)

<民間委託学童クラブの職員に欠員>

 最後に、すでに民営化された学童クラブについてうかがいます。まず、民間委託された学童クラブにおいて、区が求める人員配置ができず欠員が生じているところがあるとききました。その中には今年4月に民営化されたばかりのところもあるとのことですが、事実でしょうか。お答えください。(Q2-5)

 人手不足の中、杉並区がいっきに民間委託を進めていることのひずみが出ているのではないでしょうか。

<桃五学童クラブ、つめこみに悲鳴>

 また、4月から下井草学童クラブを移転・統合した桃五学童クラブに関してうかがいます。児童館の学童クラブと比べて問題が多く、子どもたちと保護者から次のような苦情が寄せられています。

子どもの声としては

・とにかく狭い。

・静かに遊べる部屋がない。

・遊ぶとき、宿題するときに机が足りない。

・本が少ない。

・遊ぶものが少ない。

保護者からは

・けんかやトラブル等があった際、気持ちを落ち着かせるためのスペースがなく、気分を切り替えるのに時間がかかる。

・隣に公園(遊び場114番)があって友達が遊んでいるのに、どうして自分はそこで遊べないのか、室内から外に出られないのか、とかわいそうな状況。

・学校の校庭開放は利用できる日や時間が限られており、運動の機会が少ない。

・学童つまらないから行きたくないといわれることもあり、親としては苦しい。

など、かなり厳しい状況を訴えられています。

<下井草児童館のプラザ化延期で遊び場確保を>

 誰ひとり望んでいない下井草児童館の廃止、また、学校内の放課後居場所スペース確保の段取りの悪さ、そのしわ寄せで子どもたちは狭い場所につめこまれ、十分に体を動かすこともできない日々となっています。そこで提案ですが、学校内の放課後居場所事業のスペースが確保できる来年春まで、子どもプラザ下井草の開所を延期して旧児童館施設を活用、学童クラブ及び子どもの放課後の遊びの場を保障すればよいと考えますが、いかがですか。所見をうかがいます。(Q2-6)

 児童館の再編が進み、その問題点が保護者、区民にも次第に明らかになってきました。この項の冒頭に指摘したように、杉並区の児童館は子どもたちにとってなくてはならないものです。その役割を再認識し、再編計画に歯止めをかけていくことを求めて質問を終わります。