わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

阿佐ヶ谷再開発に関する陳情の採択を求める(2022年6月9日本会議)

 2022年6月9日杉並区議会本会議において、阿佐ヶ谷再開発に関する陳情を採択すべき、との意見を述べました。

 都市環境委員会では「不採択」とする委員が多数でした。本会議でも、私のこの発言のあと採決され「不採択」と決しました。

 3年間も審議せず「塩漬け」にした挙げ句、不採択とは、ふざけるんじゃない、という気持ちです。

 *なお「反対の立場」としているのは、「不採択とすることに反対」との意味です。

(以下、発言原稿です。実際の発言とは異なるところがあります)

 1陳情第16号「阿佐ヶ谷駅北東地区土地区画整理事業に関する陳情」について、反対の立場から意見を述べます。

 本件陳情の主旨は「阿佐ヶ谷駅北東地区土地区画整理事業の事業計画に関する公聴会を開催してほしい」というものであり、その理由として、本件事業は個人共同施行となっているが、その内容はきわめて公共性が高く、公共施行同様のものと位置づけて都市計画法第16条1項に規定する公聴会を開催すべきというものです。

 都市環境委員会では、2019年7月の区まちづくり条例による公聴会、また、そのほかの説明会やオープンハウスが行われたことをもって願意は満たされているとする意見がありました。しかし、これは誤りであり、陳情の願意は満たされていません。

 第一に、都市計画法第16条1項の解釈です。区担当者は委員会質疑において、これまでの区議会答弁同様、16条1項の公聴会は「例示にすぎない」ため開催の必要はない旨述べました。

 しかし、これが誤りであることはすでに2019年6月の第二回定例会一般質問において、次のように指摘してきたところです。

国交省の『都市計画運用指針』では、『法第16条第1項において公聴会の開催を例示しているのは、住民の意見を反映させるための措置として、住民の公開の場での意見陳述の機会を確保するべきという趣旨であることに留意する必要がある。』と述べ、さらに、説明会は、都市計画の原案について住民に説明する場であるのに対し、公聴会は、住民が公開の下で意見陳述を行う場であるとしており、単なる例示ではないこと。したがって、特に必要がないと認められる場合以外は公聴会を開催すべきとしている。」

 以上です。

 本陳情は、本件開発を公共施行同様に扱うことを求める趣旨から都市計画法にもとづく公聴会を求めたものであり、その願意は満たされていません。

 第二に、区まちづくり条例にもとづく公聴会の開催が不公正であったことです。これも2019年9月の本会議一般質問で指摘したところですが、公聴会の告知直前に、公述人選定のルールがくじ引きから区長による選任に変更され、その結果、公述申し出者28人のうち、賛成4名は全員が公述し、反対・慎重意見は24名中6名しか公述できないという明らかに偏った人選がなされました。

 以上の点から、陳情の願意は満たされていません。陳情者も、区が開催した公聴会は求める公聴会ではないと補足説明のなかで指摘されていました。

 従って、区議会は陳情を採択すべきです。また、不採択の理由として「願意が満たされている」とされたことは論外であり、反対です。

 なお、本件陳情の審査時期について述べます。

 本件陳情は、その番号が示すように令和元年の5月20日に提出されたものです。すでに3年以上が経過したところで、ようやく審査が行われましたが、当該事業はすでに実行されており、けやき屋敷は更地となりました。

 本件陳情者は計画が実行される前にと、緊急性を感じて提出したものと考えられ、それを3年も塩漬けにした区議会、特に都市環境委員会の歴代委員長の不作為は厳しく糾弾されてしかるべきです。

 陳情者の補足説明では、陳情代表者が出席できなかった事情について語られました。

 代表者の方が体調を崩され、出席どころか、電話連絡をとることもかなわないとのことです。3年前ならお元気だったので、補足説明でお話しされたいことが山ほどあったに違いない、悔しいとおっしゃっていました。

 意見開陳では、あろうことか、陳情者に対して、陳情を提出しなおすべきだったなどと発言した委員がいたことに呆れました。区議会としての不作為を棚にあげてなんという言い草なのでしょうか。

 このような区議会のありかた、特に陳情審査のあり方については、陳情者の補足説明でも繰り返し疑問が投げかけられていました。私からも、議会基本条例を定めた杉並区議会として抜本的な改善を求めます。

 さて、私ども会派、無所属・少数会派連携は、各議員の政治信条を尊重し違いを認めあい、議会における多様性の確保を追求し、同時に一致できる課題ではしっかりと協力しあって活動しています。

 本件土地区画整理事業についてもその一つであり、情報が不透明であり、公平公正の観点から疑問があり是正されるべきという点で一致しているものです。

 都市環境委員会では会派の木梨議員が、容積率変更による地権者の利益誘導、都市計画審議会委員である本件コンサルの利益相反、緑の確保の問題を指摘しました。田中区長が地域の一部の有力者の利益のために、公共の利益をないがしろにし、杉並区政を大きくゆがめています。

 本件事業の是正について、今後とも追及していく決意を述べて、意見といたします。

情報公開裁判でおおむね勝訴しました(2022年5月26日一般質問)

 2022年5月26日杉並区議会第二回定例会で一般質問しました。

 質問のテーマは「情報公開について」。私が杉並区を訴えた阿佐ヶ谷再開発の情報公開についての裁判の結果、おおむね勝利したことを主に報告、さらに木彫母子像「つたえあい」の購入について質疑しました。

(以下は質問原稿です。実際の発言と異なる場合があります)

(1)阿佐ヶ谷駅北東地区に関する訴訟について

 一般質問をいたします。まず、阿佐ヶ谷駅北東地区に関する情報公開についての訴訟の結果について報告しつつ、その評価についてうかがいます。

【被告杉並区おおむね敗訴の判決】

 4月8日東京地裁において、杉並区に対する情報公開の命令を求めた裁判(令和2年(行ウ)第299号 行政文書非公開処分取消請求事件 市原義孝裁判長)の判決がありました。原告・被告ともに控訴せず、判決は確定しました。

 判決は、私の請求の一部を除きその他すべてを認めたものであり、原告おおむね勝訴、すなわち被告杉並区おおむね敗訴の結果と受け止めています。

【裁判にいたる経緯】 

 まず裁判にいたる経緯について述べます。昨年9月3日、裁判の場で意見陳述しましたので、以下、この陳述から抜粋・引用して訴訟に至った経緯を確認します。

 「杉並区は2019年8月に阿佐ヶ谷駅北東地区土地区画整理事業を施行認可し、10月には事業の個人共同施行者である欅興産、河北医療財団とともに3者で仮換地処分を行いました。その際、区議会、区民に対しては一切説明がありませんでした。

 そこで私は、同年11月の区議会において、区議会に対し事前の説明がないまま仮換地に同意したことは不当で、いったん撤回すべきこと、また、共同施行者2法人の仮換地情報は公開すべきこと、等を求めましたが、杉並区長はこれらを拒否したばかりか「ご納得いただけないというのであれば、あとは裁判にでも何にでもお訴えされる以外ない」と述べる始末でした。

 議会において情報が得られないので、次に私は情報公開請求を行いました。その請求に対する決定が、本件訴訟の対象となっている行政処分です。仮換地に関する書類が何枚も全面真っ黒に墨塗りされていたことには衝撃を受けました。当時は国会でもいわゆる「のり弁」が話題になっていましたが、まさか杉並区で同じものを見せられるとは思いませんでした。そこで、2020年3月に不服審査請求を提出しました。

 ところが、その提出時に、窓口で「現在2年半ほど前の請求を審査しているところなので、しばらくお待ちいただくことになる」と聞き、再度驚きました。不服審査の期限を設けている自治体も多いなか、杉並区は期限がないため、いつまでたっても審査が進まないのです。仮に請求が認められ情報を入手できたとしても、それが数年後では、事業は進んでしまい、あるいは完了してしまい、情報の意義がなくなってしまいます。形の上では不服審査という救済制度がありながら、杉並区では全く機能していないのが現実です。

 ここに至って、議会質問の際、あれほどかたくなに私の要望を突っぱねることができたのは、どんな情報も区が隠そうとすれば、それを牽制する機能は事実上どこにもないことを知っていたからだとわかりました。

 杉並区が情報公開に対して真摯に向き合わないのであれば、訴訟もやむなしと思う一方、費用と労力のことを思えば正直、訴訟をしたくはありませんでしたが、司法の判断を仰ぐしかないという思いで、本件訴訟に至ったものです。」

 以上意見陳述より引用しました。

【非公開の取り消しを求めた】

 私が訴えた内容は、区画整理事業の主体である共同施行者の河北医療財団および欅興産の2法人の仮換地情報について、また、土地評価基準を定めた評価員3名の氏名および所属について、非公開とした決定を取り消し、公開することです。

 訴えに対し、東京地裁判決は、

第一に、原告の訴えのうち、一部を除く請求を認容する(認める)。

第二に、杉並区長による一部公開決定のうち裁判所の認容部分について、決定を取り消す。

第三に、杉並区長は、原告に対し、認容部分の各情報を公開する旨の決定をせよ。

第四に、訴訟費用は原告が20分の3、被告が20分の17とする。

としました。費用負担割合から計算して20分の17すなわち85%は私の主張が認められたものと理解しています。

 他方、認められなかった請求は、2法人の財産評価に関わる指数等、及び、評価員3人の所属です。指数等については、今後公開される情報をふまえることで仮換地指定の検証が可能との判決であること、また、評価員の所属については被告杉並区が保有しない情報であるとの理由でしたのでやむなしと受けとめ、それ以外の大半の請求が認容されたこと、及び、弁論における原告側の主張がほぼ全面的に認められた重要な判決であったと考え、控訴はしませんでした。

【3つの争点】

 東京地裁が判断したのは3点です。

 第一に、仮換地指定にかかわる2法人の情報が杉並区情報公開条例(以下条例といいます)第6条第1項第3号すなわち、法人の事業活動情報であるから公開できないとする被告杉並区の主張は適切かどうか。

 第二に、同じく仮換地情報は条例第6条第1項第4号すなわち行政執行情報であるから公開できないとする区の主張は適切かどうか。

 第三に、仮換地の評価員の氏名、所属は条例第6条第1項第2号すなわち個人情報にあたるから公開できないとする区の主張は適切かどうか。

 これら3点に対する東京地裁の判断に対し、まず、区の所見を求めます。(Q1-1)

【仮換地情報は非公開とすべきか】

 各争点についての地裁判決を紹介します。まず、第一の争点すなわち条例第6条1項3号「法人事業情報」についての判断です。

 被告杉並区は、公開すれば2法人に対して「不動産開発業者等から問い合わせが多数寄せられ、また、営業活動が活発に行われ、業務に著しい支障をきたす」などと主張しましたが、判決は、本件土地区画整理事業はすでに公告、公衆縦覧に供されて周知されているのだから、問い合わせや営業を行うことは現在でも十分可能であるにもかかわらず、こうした事態が発生した証拠は一切提出されておらず、従って被告の主張は失当と退けました。

【「著しい不利益」は推測ではダメ】

 また、被告杉並区は「公開すれば著しい不利益が生ずる」と主張しましたが、判決は、「著しい不利益」とは「一般的抽象的な不利益発生の可能性の推測では足りず、客観的具体的に合理的理由を説明する必要がある」とする「杉並区情報公開・個人情報保護制度事務手引」(以下手引といいます)の記載を根拠として、一部情報については非公開を認めたものの、登記簿と同等の内容すなわち権利者、仮換地の位置、形状、街区番号及びこれらを記載した図面等の情報については公開すべきものと判断しました。

【「仮換地」は登記と同様の公開性をもつ】

 この判断にあたっては仮換地情報の位置づけと公開性が論点となりました。

 被告杉並区は仮換地は不確定な情報である旨主張しましたが、これに対して判決は、仮換地は実質的な換地予定地だが、形式上「工事のため必要がある」として指定をすることが実務上通例となっている、という私の主張を認め、さらに、東京都などが発行する「仮換地指定証明書」を誰でも請求し公開を求めることができる事実、また、仮換地による土地の使用収益権の移転の実態から、仮換地指定に係る情報は、登記記録と同様、公開の必要性が高いと判断し、被告杉並区の主張を退けました。

【非公開とすべき行政執行情報にあたるか】

 第二の争点は第4号行政執行情報です。

 4号の条文では、「取締り、立入調査、選考、入札、交渉、争訟等の事務に関する情報」であって公開した場合に「これらの事務の執行を著しく困難にするおそれのあるもの」を非公開の要件としています。

 被告杉並区は、仮換地は交渉に類する事務であると主張しましたが、判決は手引の記述を根拠として「条例に列記されたものと類似する性格を有する事務に関する情報に限定される」ところ、仮換地は「交渉」に類似する事務とは解し難いと指摘しました。

 また、被告杉並区は「仮換地の指定は不確定なものであり、このような不確定な情報を共同施行者の一人にすぎない被告が公開することにより、

・本件事業の自治的な運営を阻害する

・関係権利者に無用の混乱を招く

・施行者及び施行者以外の地権者との信頼関係に影響を及ぼす」

などと主張しましたが、判決は、第1の争点に述べたように仮換地情報は公開の必要性が高く、著しい支障を生じるとはいえないとして、公開が相当としました。

【地裁判決後もつづく違法な非公開】

 ところで最近、この第4号行政執行情報について、都市計画道路補助221号線に関する違法な非公開決定と思われる情報がよせられました。

 地元の方が221号線の事業認可申請書類を公開請求したところ「公開できない」とされ、その理由は「事業認可に関わる文書なので行政執行情報にあたる」というものであったとのこと。

 しかし、事業認可は4号の行政事務の列記に含まれていないし、類似の事務でもありません。したがって、地裁判決に照らせば、事業認可事務であることを理由とした非公開決定は条例違反といわねばなりません。

 しかも、この非公開決定は地裁判決確定後の今月であることに驚きます。区長は控訴せず地裁判決を受け入れたのですから、このような処分をしてはならないはずです。裁判の教訓が全く生きていません。杉並区はこの方の請求に対して、早急に決定変更し情報公開すべきです。

【「評価員」の氏名は個人情報か】

 第三の争点では、被告杉並区は評価員の氏名が第2号個人情報にあたり、非公開と主張しましたが、それに対し私は、裁判でもまた区議会でも一貫して、不動産鑑定士等の専門家である3名の氏名は「事業を営む個人の当該事業に関する情報は除く」とされている条例の条文に該当するので公開情報である旨主張し、判決は、この主張を全面的に認めました。

 被告杉並区は「不動産鑑定士は土地評価基準について意見を求められたもので、鑑定士としての業務を行ったわけではない」と主張しましたが、判決は、土地評価基準は土地の評価額算定の基準となるものであり、これについて意見を述べることは法に定められた不動産鑑定士の業務に含まれるものであるから被告杉並区の主張は失当というほかない、と厳しく退けました。

【自らつくったルールを守らない杉並区】

 3つの争点に共通するものとして、特に強調しておきたいのは、杉並区が、自らが作成した事務手引を、軽視し、場合によって恣意的に解釈し、さらに先ほどの新たな情報にあったように今も逸脱しているという事実です。

 この手引は情報公開の窓口に常備され、利用者誰もが自由に手にとって閲覧できるものです。また、この手引をつかって職員さんが説明をしてくれることもあります。

 つまり、手引は区役所と利用者の約束でありルールを明文化したものです。だからこそ地裁判決は、随所において、この手引を杉並区の情報公開のルールとして尊重し、これにもとづいた判断を下したものです。

 私は、訴訟以前の2020年第一回定例会において、同手引に反する手続きがとられていることを指摘しましたが、手引だけによらず総合的に判断するという、きわめて曖昧かつ主観に左右される、はっきりいうと政治的判断や操作の入る余地のある答弁がなされてきました。

 この答弁は訂正し、今後は区自身が定めたルールである手引を厳密に適用とすべきと考えるがいかがか。見解を求めます。(Q1-2)

 以上地裁判決の概要を述べてきましたが、全体を総括して被告杉並区はこの判決をどう受け止めたか、所見を求めます。(Q1-3)

【「裁判でもしろ」という田中区長の暴言】

 東京地裁が公開すべきと認めた情報について、田中区長は、先にも述べたように、当時区議会に対して全く説明しなかったばかりか、私の質問に対して「納得いただけないなら裁判にでもなんでも訴える以外にない」「議案に賛成する見込みのない人に対して説明するほど人手は余っていない」と暴言で応じました。

 これは私個人にとどまらず、議会に対する説明責任を放棄し、議会の存在意義を否定し、議会を冒涜する発言であることは以前にも指摘したところですが、司法の判断が下されたいま、あらためてこの発言に対する区長の反省を求めますがいかがか。答弁を求めます。(Q1-4)

【訴訟の終結以後の対応】

 次に、裁判終結以降の区の対応についてうかがいます。まず、裁判所の命令に対し、杉並区はどのように対応したか、説明を求めます。(Q1-5)

 先日、変更された公開情報が私の手元に届きました。確認したところ、裁判で請求した項目のうち、地裁判決が認容したものについてはたしかに公開されました。また、却下された請求については墨塗のままですが、判決にしたがいやむを得ないものと受け止めています。

 一方、これ以外の部分で、引き続き墨塗が残っています。

 私は、墨塗部分のすべてを裁判に訴えたわけではありませんでしたが、請求を限定した目的は、争点をシンプルにし、速やかに裁判所の判決を得ることにあったのであって、訴えなかったからといって非公開が適当と考えたわけではありません。このことは裁判でも述べました。

区画整理施行者会会長氏名は個人情報か】

 墨塗部分のうち、例として施行者会会長の氏名について述べます。

 先ほど紹介したように、地裁判決では、評価員3名の氏名の公開を命じました。判決を受けて、条例に忠実に解釈すれば、施行者会会長の氏名は評価員同様「事業を営む個人の当該事業にかかわる情報」であり「氏名は事業と一体の情報」です。

 すでに代理人を通じて杉並区に要請したところですが、司法の判断を尊重し、その趣旨を理解するならば、これらは当然にも公開すべきと考えますが、区は命令された部分だけ公開すればよいと考えているのでしょうか。見解をうかがいます。(Q1-6)

【不服審査請求が救済にならない】

 次に、行政不服審査請求について質問します。

 私は本件情報公開について不服審査請求を提出したものの、時間がかかると言われ、訴訟に踏み切ったことは先ほど述べました。

 結局、2年以上経過し、裁判も終結した現在に至ってもいまだに諮問に付されていません。その理由を説明してください。また、今後の審査の対応はどうなるのか説明を求めます。(Q1-7)

【職員不足は解消されたのか】

 一昨年第二回定例会で私は、情報公開の窓口は見るからに人数が足りず、職員の体制を大幅に増強する必要があると指摘しましたが、今年度になって情報公開の窓口へいくと、職員さんが増えたように見受けられました。

 情報公開を担当する職員は増員されたのでしょうか。また、情報公開における不服審査請求の担当者はいかがか、説明を求めます。(Q1-8)

【全国で杉並区だけが無法地帯】

 情報公開、不服審査請求は民主主義と自治の基礎を支える土台であって、これが機能していないことが、区民の監視の目を遠ざけ、強引な政策を進めて恥じない杉並区の体質を作り出しています。

 情報公開決定に対して不服があり審査請求をしてもたなざらしにされ、裁判しなければ公開されないのですから、全国の中で杉並区だけこの制度が存在しないのと同然の、ほぼ違法状態といえます。いわば杉並区だけが無法地帯になっています。

【噴飯ものだった被告杉並区の主張】

 裁判における被告杉並区の主張は、電話が集中して業務に支障があるとか、区と民間事業者の信頼関係がこわれるとか、はっきり言って噴飯ものでした。

 司法の場においてこのような主張しかできない被告杉並区の情報公開のずさんな実態が明らかになり、問題を剔出したこと自体、本件訴訟には、大きな意義があったものと考えています。

 田中区長はじめ杉並区は、確定した東京地裁判決を重く受け止め、今後は心を入れ替えて、区民、区議会に対する説明責任を果たしていくようあらためて求めるものです。

(2)木彫母子像「つたえあい」について

 次に、情報公開に関連して母子像「つたえあい」についてうかがいます。

【偏見に満ち満ちた答弁】

 先の予算特別委員会において、ジェンダー平等の観点から区役所本庁舎2階ギャラリーの母子像「つたえあい」について質問したところ、偏見に満ち満ちた答弁がかえってきました。

 いわく「あまりにも一方的な、極端な見方」「一流の彫刻家の作品なので、リスペクトすべき」「あなたの好き嫌いの問題」等々です。

 区自らが作成した「男女共同参画の視点で伝える表現ガイド」も示し、すぐれた芸術といえども、今日ではジェンダーの視点を免れないと指摘しましたが、「母子像の存在、展示が、育児は女性のみが行うものというメッセージ性を含んでいるのかといえば、どう考えても否だ」と、「この作品は別」的な答弁でした。

【990万円の支払先が非公開】

 あまりにも偏った答弁のオンパレードに、詳細を知ろうと情報公開請求したところ、情報公開についても相変わらず問題があることがわかり、質問する次第です。

 まず、購入先の名称が墨塗であることです。区に物品を売却して公金から約1000万円もの支払いを受けた相手の名称がなぜ墨塗りなのか。理由を説明するよう求めます。(Q2-1)

 公開された「業者指定について」という文書には、購入先を随意契約とした理由が説明されています。その中で根拠法令として記載されている地方自治法施行令167条の2第1項第2号とはなにか。また、区の「随意契約の手引き」Ⅱの2(1)④とはなにか。それぞれ説明を求めます。(Q2-2)

【990万円の根拠が不明】

 この購入先ですが、区の非公開理由が条例第6号第1項第2号の個人情報であったことから、相手先は個人でありかつ美術品の売買を業としていないことが確認されました。すなわち美術品についての価格査定能力や資格がないということです。

 それでは990万円という値段は誰がどうやって決めたのでしょうか。

 公開された情報には、価格算定の根拠を示す文書はありませんでした。一方、昨年8月25日付、田中区長から小平市長に対し同市立美術館学芸員への作品評価の依頼状、及びその回答がありましたが、回答は、作者および当該作品に関する一般的な情報と評価を述べるにとどまっています。価格はおろか、価格を査定するための当該作品の保存状態や同じ作者の他作品の売買例など一切記載がありません。

【アバウトな説明】

 起案文書には、文化・芸術の振興が目的などと書かれていますが、郷土博物館や図書館の計画に、美術品の収集方針等は明確化されていません。何の事業に資するのか根拠が不明です。ただ知り合いから頼まれたから、ほいほい買ったのでしょうか。

 当該作品購入が審議された昨年9月の総務財政委員会で、金額の根拠を問われた総務課長は、査定については一切説明せず、作者遺族の方とこのくらいの値段ということでやりとりをした、同じ作者の作品で1530万円で売買されたものがあり、それよりは安い、という大変アバウトな説明に終始しています。

 昨年9月総務財政委員会というと、阿佐谷地域区民センターの指定管理者をめぐって、応募事業者と区民生活部長の軽井沢ゴルフという大問題があったので、それどころではなく、どさくさに紛れた感があります。

【郷土博物館年間予算に匹敵】

 ちなみに、郷土博物館の年間費用全額が、令和2年度決算で1000万円弱とあり、母子像1点とほぼ同じ金額です。1点1000万円の美術品を買うくらいなら、博物館の文化財保護事業を充実するために別の使い道があったのではないでしょうか。

 公開情報では誰が査定したのかわかりません。もしや言い値で買ったのか。説明を求めます。(Q2-3)

【公金の支払先は個人でも公表すべき】

 この情報公開決定も地裁判決後のものですが、ひきつづき、個人情報をたてに情報が秘匿されているのは判決をないがしろにするものです。

 地裁判決は個人の氏名であっても「事業を営む個人の当該事業に関する情報」であれば公開対象と認めました。母子像購入先は、「業者指定について」で指定され、随意契約として契約書も交わしています。単なる個人として扱ってよいのでしょうか。

【公開している区もある】

 こうした場合、他区はどのように扱っているのかと思い検索してみると、杉並区はじめ各自治体、行政庁が随意契約の一覧をホームページ上に公開していることがわかりました。

そのなかで個人名がのっている例は少数だったのは事実です。しかし、23区のなかでも個人名を掲載している区もありました。また、情報公開は別対応で、公開請求すれば公開する区もあるのではないかと思われます。

 

ある区のホームページ上に、文化財保有している個人からの購入の案件について、個人名が掲載されていたので、この区の担当者に電話をして、美術商などではない個人の方であることを確認しました。個人名を公開する理由について、担当者は「公金の支出先だから」と説明されました。ちなみに支払額は100万円です。

 ひるがえって杉並区では、990万円の公金の支払い先が誰だかわからないというのは、適切ではないと考えます。相手方が個人であっても公金の支払先としてホームページ上にまで公開している区があるのだから、杉並区も同様に氏名を情報公開すべきと考えるがいかがか。所見を伺って質問を終わります。(Q2-4)

人は何を言ったかではなく何をしたかで評価される(2022年2月16日一般質問)

 2022年2月16日、杉並区議会第一回定例会において一般質問しました。質問項目は、

1.区長の政治姿勢について(予算編成方針について)

 区長のいう「新自由主義的な行革からの脱却」は口先だけ(あるいはリベラルへの秋波)で、これまでの新自由主義的な区政への反省もなければ、「脱却」する道筋も全くないことを指摘しました。さらにパラリンピック学校観戦の強行、および、「愛郷心の醸成」に対する異議を述べました。

 山田前区長と同じことをやってるじゃないか、というと怒る田中区長ですが、実態はかわらないし、部分的には山田区政より悪くなっていると思います。

2. 阿佐ヶ谷駅北東地区の再開発について

 杉一小を移転させて跡地が何になるのか。何度質問しても「未定」としか返ってこないのですが、駅前の一等地に5500平米の用地となると、ディベロッパー的にはタワマン一択でしょう。とても心配です。

(以下は質問原稿です。実際の発言とは一部違う場合があります)

1.区長の政治姿勢について(予算編成方針について)

 一般質問をいたします。まず、予算編成方針に示された区長の見解のいくつかに疑問があるので質問します。

【区民をないがしろにした「実績」】

 区長は、予算編成方針の冒頭まず、この10年間、多くのチャレンジを行って実績を上げたと述べました。しかし、ここに挙げられた、あんさんぶる荻窪荻窪税務署の財産交換や、向井公園、久我山東原公園など、公園を廃止した民間保育園の建設は、地域住民からの強い反対意見をないがしろにして強行された、田中区政の代表例です。

【住民の反対は「敵」認定】

 住民に説明もなく唐突に打ち出される計画への反対意見を、区長は「政治的な意図をもった反対意見」と、区長と対立する政党の差し金であるかのように印象づけて敵認定し、自らの正当化に利用してきました。

 区長はこれらも含めて「チャレンジ」と呼んでいるようですが、何を誇っているのでしょうか。住民を敵視することは何に対する「チャレンジ」なのでしょう。

【盗撮、虚偽の刑事告発、スラップ訴訟】

 また、高円寺学園の建設にいたっては、近隣住民に対して、対話ではなく弾圧で応じ、説明会では住民にことわりなく盗撮、事業者が住民に突き飛ばされたと虚偽の刑事告発、さらに住民をターゲットとしたスラップ訴訟など、ありとあらゆる手を講じて、住民の反対の声を封殺しました。

 そして今も変わらず同じ手法が続いています。西荻窪の補助132号線や阿佐ヶ谷駅北東地区の再開発、さらに、児童館の廃止に反対する声に対して「理のある意見なら聞く」といういいぐさは、自分と異なる意見には理がないと切り捨てるものであり、住民自治の否定、民主主義の抹殺です。様々な意見を包摂し、区民全体の奉仕者たるべき首長のとるべき態度ではありません。

新自由主義からの脱却というが】 

 さて、驚いたのは「新自由主義的な行革概念からの脱却を図る」と述べたことです。これまで新自由主義批判などひとことも述べたことがない区長が、どういう心境の変化でしょうか。

 脱却を図る、転換を図る、というなら、第一にこれまでの区政に対する反省があるはずですし、第二に、予算編成方針にも具体的な転換が政策として示されるはずですが、そのような見解は示されていません。

 とすれば、新自由主義的行革概念からの脱却や、行財政改革の転換とは、単なるリップサービスにすぎないのでしょうか。以下この問題意識により質問します。

新自由主義の定義は】

 まず、区長は何をさして「新自由主義」と定義しているのかでしょうか。

 また、新自由主義、「ネオ・リベラリズム」は一般には、イギリスのサッチャリズムに代表され、日本では小泉政権がかかげた「官から民へ」による民営化であり規制緩和とうけとめられます。新自由主義からの転換を進めるという区長は、サッチャー政権や小泉政権が推進した「小さな政府」についてどう評価しているのかうかがいます。(Q1-1)

【官製ワーキングプアを大量に生み出した】

 官から民へのかけ声のもと、公共サービスの市場化は、杉並区においても、非正規化と民営化により、官製ワーキングプアを大量に生み出してきました。

 前区長がどうのこうのといいますが、ご自分はどうか。退職不補充の方針による清掃や、給食・用務の非正規化、民営化など、前区長の路線をそのまま踏襲してこれまでやってきたのではありませんか。

 保育園や学童クラブの委託・民営化に対しては、当事者である保護者から強い反対の声が上がったケースも多々ありましたが聞き入れられることなく強行されました。

【山田前区長の路線を踏襲してきた】

 人は何を言ったかではなく、何をしたかで評価されます。政治は結果責任ともいいます。

 前区政をいまごろ批判するのなら、12年前の就任時に新自由主義と決別することができたはずです。今さら何を言っているのでしょうか。

 そこで質問しますが、区長はこれまでの行財政改革のどこに問題点、課題があると考えているのでしょうか。また、これまでの杉並区の職員削減、民営化をどう評価しているのか見解をうかがいます。(Q1-2)

【今後も民営化、市場化を加速する】

 予算編成方針を聞くかぎりでは、新自由主義すなわち民営化や小さな政府の政策を転換するどころか、むしろ加速するようです。

 たとえば、学校施設の一般利用について、これまでの教育委員会直轄の学校開放のしくみ、利用者団体登録による調整や、校庭開放(遊びといこいの場)の改善ではなく、営利企業に委託するモデル事業の方向性は、すなわち、公共財を利用した利潤の追求であり市場化でなくて何なのか。

 保育園の民営化や、児童館廃止による学童クラブと放課後等居場所事業の民間委託は転換されることなく進められます。これのどこが「新自由主義からの脱却」でしょうか。

 また、「民間人材の積極的な登用」により専門性の確保を図るなどとされていますが、「新自由主義から脱却」するのであれば、民間だけに頼るのでなく、むしろ区内部の専門職の育成、専門人材の職員採用こそ必要ではないでしょうか。見解を伺います。(Q1-3)

【国政野党支持層への「秋波」にすぎない】

 結局のところ、区長の「新自由主義からの転換」は、岸田政権の「新しい資本主義」にのっかり、目新しいことを言ってみたということでありまた、昨年の衆院選・東京8区における立憲民主党新人の圧勝をみて、国政野党の支持層に対して秋波を送っている、風見鶏的な対応と言わざるをえません。

パラリンピック学校観戦の強行】

 次に、教育行政に関する認識をうかがいます。昨年8月のパラリンピック学校観戦について、私は観戦を行わないよう区長と教育長に要望を提出しました。その理由は、教育現場の意思決定過程をないがしろにするものであり、現場に混乱をもたらしていると考えたからです。

【個人的な観戦ではなく教育活動として】

 「参加、不参加の自由を保障する」というのが区長の言い分ですが、問題の立て方がまったく間違っています。個人的な観戦ではなく、教育活動として実施する以上は、それなりの意思決定課程を経なければならないし、そこに至る合意形成の努力が欠かせません。

 昨年の決算特別委員会で確認したところ、オリンピック学校観戦の中止後、区内全小中学校がパラリンピック観戦中止を決めていました。各学校ではそれまでの学校におけるオリパラ教育との関連のなかで、観戦を行うかどうかの判断を行ったはずです。

 区長は、パラリンピック観戦に関連して、観戦中止を求める意見は「極論」「思考停止」などといいますが、各学校長の観戦中止決定は教育的見地からのものではなかったのか。見解をうかがいます。(Q1-4)

【教育行政に対する政治介入】

 ところがその一方で、区長は都知事や都教育庁などに対して学校観戦の要望を提出していました。

 結局、各学校の教育的判断としてではなく、観戦日程の直前に児童生徒個々人の意向を直接確かめるかたちで、観戦が強行されました。各学校の判断をくつがえすものであり、これでは、学校教育活動として成り立たず、区長の政治介入といって過言ではないと考えますが、いかがか。区長の見解をうかがいます。(Q1-5)

【90周年事業と「愛郷心」】

 次に、90周年事業についてうかがいます。区長は認識していないかもしれませんが、これも社会教育という教育行政の一部にもかかわることです。

 杉並区の歴史を90周年を契機に振り返るのは重要なことであり、一昨年の決算特別委員会で私も区史について質問しました。会派の堀部議員の代表質問に対して、区長が区史、教育史等の編纂について言及したことは重要なことです。

 しかし見逃せないのは90周年事業の意義づけです。「愛郷心を醸成することを目的として」とありますが、区民に対して「杉並を愛するように」と求めるのは大変失礼なことです。

【区民が愛する杉並の宝を奪われた】

 大体、愛郷心が最も欠けているのは田中区長ではありませんか。地元出身なのに、杉並区民が誇りに思い、愛してやまない杉並区の宝、科学館、児童館、あんさんぶる荻窪、けやき屋敷、そして都市公園を次々に破壊して奪ってきたではありませんか。

 ふるさと杉並に何かうらみでもあるのかと思うほどです。愛するものを奪われた区民に、区長は、どうやって愛郷心を持てというのでしょうか。

 こうした区長の姿勢にうんざりして杉並を見放す人も少なからずいらっしゃるのです。

 そんな状況だから、区長は、杉並区民には愛郷心が不足しており醸成の必要ありとの認識なのでしょうか。また、その認識の根拠をうかがいます。(Q1-6)

 検索してみましたが、同じく90周年を迎える他区に「愛郷心の醸成」などという表現はどうも見当たらず、淡々と90周年を祝うようです。あえて愛郷心を醸成しなければならないと考える区長の心理のありようが心配になります。

愛郷心は煽るものではない】

 ひとの心の内面を云々する前に、区長はじめ区役所がまず、杉並を心から愛し、放っておいても区民から愛されるまちを回復していただきたいと思います。

 地域の歴史を記録することは、杉並区を無条件、無前提に称揚する「愛郷心」ではありません。私たちの先輩たちがこの地域でなにを問題にし、なにを作り上げてきたかを知ることであり、むしろ現状に問題意識をもち、住民自治によって解決していこうとする自覚の基盤であり、社会教育の目的とするところではないでしょうか。90周年事業については、安易な愛郷心の鼓舞に陥ることなく、社会教育的な位置づけなおしが必要と考えます。

2.阿佐ヶ谷駅北東地区再開発について

【杉並区に対する情報公開の裁判が結審】

 第二に、阿佐ヶ谷駅北東地区の再開発についてうかがいます。

 この計画については、仮換地指定に関する情報を一部非公開とした決定を取り消すよう求めて東京地裁に提訴した裁判が昨年末結審しました。判決は4月となりますが、裁判所の公正な判断を望むとともに、杉並区が情報公開を誠実に履行するよう引き続き求めるものです。

【都内各地で100m超タワマン再開発】

 さて、最近都内各地で駅前などの再開発により、超高層のマンションいわゆるタワマンが建設される事例が相次いでいます。

 報道によれば、不動産大手の三菱地所野村不動産といった企業が史上最高益を上げているそうですが、タワマンブームに沸き、マンション価格が高騰する東京にいると、さもありなんと思われます。

 特に、公共用地、公共の資金をあてにした事業が目立ちます。杉一小と共通する要素でもあるので、各地の事例を少し紹介してみます。

 中央線・武蔵小金井の駅周辺再開発では野村不動産の100mのツインタワーのマンション、国分寺では住友不動産の135mのツインタワーの再開発マンションが建てられたことは一昨年、一般質問で述べたとおりです。

中野駅前に1000戸のタワマン】

 お隣の中野駅周辺は多数の再開発が一斉に動いていますが、中でも、サンプラザと中野区役所の再開発では、野村不動産を代表事業者とする企業グループが選定され、昨年12月、区議会にも報告が出ました。

 都庁の高さも超えるという262mのタワーに、商業施設、公共施設、オフィス、そしてなんと1000戸ものマンションが入る計画です。

【タワマン開発の公費依存】

 板橋区の大山ハッピーロードを分断して開発されるのは住友不動産の高さ100m近いマンション2棟。葛飾区立石では高さ120m、650戸のマンション。区役所庁舎も入居するため、なんと公費が700億円も投じられ、事業費の7割を税金でまかなうとのことで、事業規模だけでなく、公費のへの依存ぶりも目をみはるものがあります。

【杉一小の跡地は高層ビル?】

 ところで先日、阿佐ヶ谷の公共施設で知人と再開発を話題にしていたところ、近くの席に座っていた見知らぬ人から「杉一小の跡地は、30階建てのビルになる。そして大手の〇〇スーパーが入るんだよ」と言われました。いま街ではこんな話が飛び交っているようです。

石神井公園駅周辺に100mのタワマン】

 杉一小用地は地区計画で高さ60m、容積率500%の規制があるので30階は無理では? と思います。ところが、実は、それを緩和する手法がないわけではありません。

 たとえば、地区計画を再度設定し直すことです。

 練馬区は、石神井公園駅前の、絶対高さ35mに規制した地区計画を変更して、野村不動産の高さ100mのマンション建設計画をアシストしました。これに反対する訴訟が起きています。練馬区長は東京都の局長を務め築地移転にもかかわった人であり、区長とも縁の深い方かと思います。

 あるいは、市街地再開発事業を新たに導入すること。これは以前紹介した田町の例があります。港区立の小学校用地を区画整理事業で移転させて民間事業者に渡し、その後、市街地再開発事業で170m、180mのビルが2棟立ちました。

【「総合設計制度」による緩和】

 また、総合設計制度というものがあり、一定の条件を満たせば高さ、容積とも緩和することが可能です。高さは1.5倍まで緩和できるので、杉一小用地でも30階の建築が本当に可能となるようです。

【杉一小用地で100億円の利益も】

 仮に、杉一小用地に総合設計制度で緩和を適用した場合、現在の容積率500%から最大675%まで緩和できます。その場合、300戸以上のマンションを販売することができ、不動産開発会社、ディベロッパーはざっと計算して100億円近くの粗利を手にします。一般的にマンション開発による営業利益は売り上げの2割、しかし、公共がからむと3割に増加すると言われます。この場合、杉並区のアシストによって、ディベロッパーの営業利益は60~70億円にものぼることでしょう。

 例えば野村不動産でも、中長期計画をみると住宅事業の事業利益は3年間で300億円の目標、つまり1年あたり100億円ですから、ディベロッパーにとって、70億円の利益がいかに大きいか、杉一小跡地の再開発がいかに魅力的かわかります。タワマン建設の可能性が心配です。

【河北病院新築計画の圧迫感】

 さて、来年度から予定されている河北病院の新築工事へ向けて準備が進んでいるようです。1月17日には、まちづくり景観審議会景観専門部会が開催され、河北病院の資料が提出されました。こちらが提出されたパース(資料を掲示)ですが、予測していたこととはいえ、あの低層住宅地において、9階建ての病院は相当な圧迫感です。

 病院側は「森の病院」という説明を度々繰り返していますが、森などあとかたもなく、高層の建物にへばりつくように木がわずかに残っているイメージです。

【ツミの環境保護は】

 特に気になるのは、「東京における自然の保護と回復に関する条例」の猛禽類保護の条件です。度々指摘してきたことですが、壁面緑化や高木により建物を可能なかぎり隠蔽すること、及び、既存樹木の樹高以上の幅の緑地を確保することが開発許可の条件です。

【壁面緑化不足、植栽の高さ不足】

 昨年3月に行われた河北病院の説明会では、建物北側3階部分の外周に一部壁面緑化を施すという説明がありましたが、今回の資料にそれはありません。

 建物の隠蔽については、壁面緑化がないばかりか、北側の植栽も高さが足りません。建物全体は9階建て、40m北側部分は段階的に4階、6階となっていますが、植栽計画では、最高でも4mの木しかありません。

【残留緑地の幅不足】

 また、残留緑地についても、昨年の決算特別委員会で確認しましたが、既存樹木の樹高がおおむね25mのところ、病院敷地に含まれる残留緑地の幅はおおむね20mとのことで、既存樹木の樹高には幅が足りない計画です。

 河北病院は昨年の大規模土地利用構想に対して区民から提出された、壁面緑化の拡大、みどりの確保を求める多くの意見に対し「地区計画で定められた緑化基準25%は、地上部分で達成しており」云々と消極的です。

【緑地確保は杉並区の責任】

 400年続いた屋敷林を伐採して、そびえたつ高層の病院を計画し、あまつさえ「森の病院」とまでいっているのだから、みどりの確保は至上命題ですが、それ以前に、そもそも区画整理事業計画の全体が、都条例の条件を満たすことを必須条件としてみとめられているものです。

 杉並区は、施行者の一員として、ツミの生息環境保全に共同の責任を負っています。条例に違反すれば、区画整理事業全体が東京都協議の要件を外れることになりますので、病院まかせでなく、区としても適切に対応すべきです。

 そこでうかがいますが、河北病院の新築工事に関して、今後、建築確認申請までに求められる緑化計画等の手続きはどのようなものがあるか説明を求めます。(Q2-1)

そして、その進行の中で、都条例のツミの保護上必要な壁面緑化や植栽などについて、区として今後どのような指導ができるかうかがいます。(Q2-2)

【「エリアマネジメント」とは】

 最後に、エリアマネジメントについてうかがいます。

 まず、エリアマネジメントとはなにか。また、今年3月付けで提出された株式会社計画工房による「まちづくりの取組手法等検討支援業務報告書」では、エリマネの収入として、行政の補助金助成金に言及されているところですが、利用できる補助金はどういったものがあるでしょうか。区の財政負担については、どのように考えているのでしょうか。説明を求めます。(Q2-3)

千代田区が土地建物を無償貸与】

 千代田区では以前、前区長が、超高層マンション建設の規制緩和の見返りとして三井不動産レジデンシャルから利益供与を受けていた疑惑で大問題になりましたが、先日は、同じ三井不動産が中核となった日比谷のエリアマネジメント企業に千代田区が土地・建物を無償貸与し、これによって企業側が年間6000万円もの利益を得ているのは不当として、元区議らが区長を提訴しました。このような癒着は論外ですが、阿佐谷は大丈夫でしょうか。

【エリアマネジメントと住民の関与】

 ここで次に、エリアマネジメントについて、近隣住民、地権者からの意見聴取は行うか。またその時期について説明を求めます。(Q2-4)

 報告書では、4名の地域関係者に聞き取りをしたとされています。対象者と聞き取り内容は非公開ですが、事業者公募時の書類では、町会、商店会、まちづくり団体等が対象とされています。

 町会、商店会はともかく、民間まちづくり団体は、ひろく地域に開かれたものではありません。

【特定のまちづくり団体の意見しか聞かない】

 そもそも再開発計画が区議会で初めて明らかになったときに名前が出たのが「阿佐ヶ谷北東地区を考える会」でしたが、この会の実態は十数人の非公開で私的な会で、参加者以外には全く知られていません。ところが、計画工房の報告書には「前向きな活動を行っている既存のまちづくり団体等との連携が大切」とあり、エリマネも、あくまでもこうした特定のまちづくり団体のみの意見で進めていく方向です。

【阿佐ヶ谷だけまちづくりから住民を排除】

 私は、阿佐ヶ谷でも、荻窪西荻窪のように、区が主導して、一般公募の区民によるまちづくり協議会を設立すべきとたびたび主張してきましたが、区は頑なに拒みました。なぜ阿佐ヶ谷のまちづくりだけが、特定の団体の提案をもとに行われるのか。区の役割は民間のお先棒担ぎなのか。公正性、公開性に欠けるのではないでしょうか。

 こうして少数の事業者の声だけをきいて、一般の住民にはまったく知らされないまま進行していくエリアマネジメントは、先に例をあげた日比谷のように、ディベロッパーが主導し、場合によっては営利を追求する事業体となり、住民は蚊帳の外になる危険性があります。

【一部の企業、地権者だけのまちづくり】

 こうした地域の状況を踏まえて、杉並区として、エリアマネジメントにおける住民参加の範囲についてはどのように考えているか。また、運営形態については、協議会方式、会社形式などのうちからどのような形態を想定しているか説明を求めます。(2-5)

 住民に開かれ、公正公平な空間の活用を考えるべきまちづくりが、エリマネという閉じた団体、一部の企業、地権者だけのものになるのではないかと危惧します。

 まちづくりまでも、大企業のもうけのネタにしてしまう田中区政は、まちづくりにおいても、新自由主義を脱却どころか、まっしぐらだということを指摘して質問をおわります。

善福寺・西荻北児童館の廃止に反対しました(11月22日保健福祉委員会議事録より)

 2021年11月22日の杉並区議会保健福祉委員会では、西荻北児童館の廃止*1と善福寺児童館の廃止*2が審議されました。
 杉並区が計画する児童館全館廃止について考える上での論点を私自身の備忘録も兼ねて、質疑の中からまとめてみました。
 私は両議案に反対しましたが、賛成多数で可決となりました。可決を受けて、安斉あきら委員長は善福寺児童館廃止に関する陳情*3(署名851筆)の「みなし不採択」*4を宣言しました。
 2つの児童館の別々の条例を一括で審議、かつ、陳情を実質審議せず議案の可否をもって「みなし」とする安斉委員長の進行には疑問があるので、私は冒頭で動議を提出しましたが、否決されました。
 *1:議案第86号杉並区立児童青少年センター及び児童館条例の一部を改正する条例
 *2:議案第87号杉並区立子ども・子育てプラザ条例の一部を改正する条例
 *3:3陳情第9号善福寺児童館の廃館・機能移転に関する陳情
 *4:この場合、善福寺児童館の廃止が可決されたことが委員会の意思なので、反対する陳情の趣旨は否定されたものと「みなす」こと。
 以下、議事録から松尾ゆりの発言の一部を抜粋します。見出しはブログ掲載のために作成しました。なお、答弁は省略しています。(議事録はこちらから委員会名、年月日を選択すると閲覧できます。)
【1:動議を提出】
(松尾)ただいま議案第86号と87号が同時に上程をされております。この進行はイレギュラーな進行だと思いますので、委員長に質問させていただきます。
 第1に、2議案一括審議については、前例として申し上げますが、一昨年、東原児童館等の廃止と高円寺プラザの設置については、別々に審議をされていると思います。質問ですが、今回一括の審議とした理由はどのようなものでしょうか。また、それぞれ独立した審議としていただきたいのですが、いかがでしょうか。
 第2に、陳情について伺います。
 本日の議事次第に、3陳情第9号、善福寺児童館に関わる陳情が予定されております。確認しますけれども、実質審議は行わないのでしょうか。また、その旨陳情者には確認をされているのでしょうか。
 第2に、陳情者は補足説明を行うことができると思いますが、陳情者に補足説明を希望するか否か確認をしているでしょうか。
 第3に、陳情者の方が本日傍聴に来られていると思いますが、これからでも補足説明するかどうかの意思確認をされてはどうか。また、その上で、意思があれば、これからでも受け入れるべきではないかと思いますが、委員長、いかがでしょうか。
(安斉委員長:2議案は関連性があると考え一括審議する。陳情は議案の結果により「みなし」とする。そのことは陳情者には伝えていない。)
(松尾)陳情のほうなんですけれども、陳情者の方も、みなしという形での扱いということは承知しておられないということ。それから、みなしという形になるとしても、陳情者の方の補足説明は、御意思があればですけれども、行うべきと考えます。
 そこで、動議を提出したいと思いますが、陳情者に補足説明を希望するか否かについて尋ねるための休憩を取っていただきたいと思います。
 以上、動議を提出いたします。
(安斉委員長:議案を先に審議するのが基本なので結果が出た段階で「みなし」となるもの。
 動議の採決:賛成少数により否決。)
【2:「みなし不採択」は前例にしてはならない】
(松尾)数年前にも、区立施設の条例であったりとか使用料の条例についてみなし不採択が行われ、陳情者からかなり強い抗議を受けたということも聞いています。そうした経緯が生かされずに、本日のこうした審議の形態になったことは非常に残念だと思います。
 陳情者の方は、補足説明をするかどうか問われていない。それ以前に、みなしでの審議という形になるということもお聞きになっていないということで、陳情者に対しても議会として大変不誠実な対応になってしまっているということを、私も議会の一員として申し訳ないと思っております。
 今後このようなことが続き、結局、区の施策に反対するような陳情は塩漬けにして消してしまってから、みなし不採択などという形が当たり前になってしまうことは、区議会に対する信任という点からも非常に問題があると思いますので、取扱いについては、今後とも注意深く、慎重にやっていきたいと思っております。
 以上、意見として、私たちも共有していくものだと思いますし、委員長にもお願いをしておきたいというふうに思います。
【3:2児童館の廃止は計画にのっていない】
(松尾)今、第2期計画に初めて西荻北、善福寺の再編ということが出てまいりまして、ただいま12月3日までパブコメ中なわけですよね。今その最中ということです。ですから、まだこれに反対の意見を述べることもできるわけですね。だけれども、それに先んじてここで議決をしてしまうということは、区民に対して意見を言ってくださいと言っているパブコメの制度として問題はないんでしょうか。
(中略)
(松尾)大変不誠実な対応だと思うんですよ。片方で、意見を言ってくださいと言っている中に、この件は入っているわけですよね。だけど、反対ですとか、むしろこういうふうに変更してくださいとか、そういう意見をパブコメで出しても、それはもう採用されない。パブコメとして、つまり内容の変更に至らないということが前提にされちゃうわけですよね、今ここで議決したら。それは違法じゃないからやっていいんだとかいう話ではないと思うんですが、もう一度。
【4:説明会では全く足りていない】
(松尾)説明した、説明したと言うんだけれども、私も地元で同じような再編を経験しているからよく知っているんだけれども、児童館の再編の地域説明会って、1回こっきりですよね。(中略)
 地域の個別の人たちに説明したから、それでいいんですという話じゃない。大半の人はそこから漏れているという問題が1つあります。だからこそパブコメが大事なんじゃないんですかと言っているんです。なので、そこのところ、パブコメの話なんだということ。
 もう一つは、施設再編に関する意見募集というのは、全体の考え方を問うものなんだとおっしゃいますよね。毎回そうおっしゃっていると思うんですよ。それに対してもいろいろ意見は出ると思います。だけど、特に施設再編の場合は、個々の施設をいつどうするのかということを非常に具体的に掲載されていて、それに対する意見も、皆さん言えるわけです。(中略)。その権利が善福寺、西北の関係者というのは十分に保障されなかったんじゃないんですかということを言っているんですが、この2点。
【5:待機児童対策だけが行政の仕事ではない】
(松尾)確かに、学童クラブに入れなければ働けない親御さんはいらっしゃって、切迫している、それは分かりますよ。だけど、子供たちの遊びを豊かに保障していくということも、これは区の切迫している──目の前で誰かが生活できないとか、そういう話じゃないですよ。だけど、杉並区の責務としてやるべき子供の健全育成ということからすれば、ある意味、より重い意味があるんじゃないかと思います。(中略)
 そういったことの全体を包含して、均衡を考えながら、均衡を取りつつ、全体を一気に十分にはできないわけだから、少しずつでもバランスを取りつつ整備をしていくというのが公共の仕事たるべきものじゃないかなと、ちょっと今感想なので、御答弁は結構で、次に行きます。
【6:児童館の「あり方検討」はなされないまま】
(松尾)片方で保育園のあり方検討というのがありましたよね。それで、民営化する予定の保育園はここですとか、何年頃ですとか、あるいは指定管理をどうしますとか、そういうことが述べられている計画が別にあるわけですよ。それを踏まえて理解することがある程度できるのかなと。これは次善の策としてそういう理解ができると思うんです。
 しかし、児童館に関しては、全くそういうものがないんですよ。あり方検討って、2006年以来ないわけ。2006年のあり方検討で、児童館のどこかを廃止しますなんていう話は一つも出てないわけ。それが、施設再編が2014年に策定されて、そこで初めて出てきているわけですよ。児童館のどこかを廃止して、別の事業に転換しますということを言ってきているわけ。施設再編の話の計画の中に載らない限りは、うちの子供が行っている児童館が再編されるよということは誰にも分からないわけ。そういう違いがあると思うんですよ。
【7:地域によっては同じ権利が保障されない】
(松尾)今、パブコメの目的について御答弁いただいたんですけれども、ちょっと読み上げます。これに関してなんですけれども、「区民等の区政への参画及び協働を推進するとともに、区政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって住民自治の更なる進展及び区民等の権利利益の保護に資することを目的とする。」(注:杉並区区民等の意見提出手続きに関する条例)と書いています。
 先ほど透明性の向上については触れられたわけですけれども、先ほど他の委員からありました自治基本条例の理念にのっとり、参画と協働を推進する、住民自治のさらなる進展に資することということがあるのと同時に、公正性の確保、それから区民等の権利利益の保護ということが書かれています。この目的に照らしたときに、例えば、うちの地元の東原児童館でいうと、この条例にのっとり、パブリックコメントが募集され、それから説明会が開かれ、うちの地元の人たちも説明会、区役所に大勢で来ましたよ。それで、そこで意見も言うことができ、説明も聞き、学校や学童での説明会もいただいて、そういうことを経て、もちろん反対の意見も根強かったけれども、結果として今、杉九学童クラブという形に変わっているわけですよね。
 ところが、善福寺や西荻北の児童館、そして学童クラブに関わる人たち、子供たちとその保護者や地域の人たちは、そのような私たち杉九学区の者が享受した意見を言う機会、パブリックコメントや説明会で質問する機会、そういったものが与えられないままに、今日ここに至っているわけですよ。そのことに不公正はないのか、不公平はないのかということを私は問いたいんです。
 それで、区民等の権利利益の保護という点からしても、その人たちは──山田さんもその一員だということなんだけれども、善福寺や西北に関わる人たちは、権利利益の保護という点からしても、例えば、私が経験した地域の扱いに比べて、やはり権利が少し確保されてないんじゃないかというふうにも見えるわけですね。そういう点で不均衡がありませんかと。
 だから、今行われている2期計画に載っているんだから、この計画がパブコメを経て確定される以前に廃止の決定をすることはふさわしくないんじゃないんですかという話をしております。このパブコメの理念に関することについて、再度御答弁をいただきたいと思います。
【8:PTAの要望書は会員の総意】
(松尾)先ほど、PTAの要望書について、意見が違う方もたくさんおられて、総意ではないんだ的な答弁があったんですけれども、どういう理解なのか、もう一度示してください。
(答弁略)
(松尾)ちょっと勘違いしていると思うんですよ。PTAってそういうものじゃないんですよ。私も会長とかやらせていただいたんですけれども、PTAで合意を取って、しかも区役所に対してとか区議会に対して会長名で要望を出すって、すごく大変なことなんですよ。会長が、自分の思いとかあるいは何人かの役員の思いとかで勝手に出せるものじゃないですよ。任意団体とはいえ、PTAというのは、Tというところに先生も会員でいらっしゃるし、ほとんどの場合は、ほとんどの保護者家庭が会員になっていらっしゃって、その方たちの意見に反して、勝手な思いで暴走して要望を出すなんてことはあってはならないことなんですよ。
 つまり何が言いたいかというと、こうやって要望書を出して、しかも会長さんのお名前で、4団体がこうやって父母会やPTAという団体のお名前で要望を出していらっしゃるということは、基本的にはこれは会員さんの総意なんです。それは、会員さんの中には違う意見の人がいますよ、もちろん。皆さんが進めていらっしゃる再編だって、私たちみたいに反対の人間がいるんだから、総じて区議会は賛成しましたと言ったって、反対の人もいましたよねとなる。それと同じで、会員さんの中に、まあいいんじゃないの、区役所がやっていること、私は賛成よという人、いると思いますよ、もちろん。
 だけど、こういった形で懸念材料がありますよ、だから、ここを解決してくださいという要望書を4団体が、しかも4団体が連名でお出しになるなんて、私の経験からしたら、これはすごいことなんですよ、言っておくけど。こういう形で合意をされてお出しになったことの重みというのをやっぱりもう少し感じてほしい。学校の中には反対の保護者もいるんですよ、これがみんなの意見じゃないですよなんていう話じゃないんですよ。プロセスを経て、アンケートも取っていらっしゃいますよね。そうやって会員さんの合意形成を図り、皆さんの最大公約数の意見はここですね、この場合だったら、校庭開放をとにかく残してほしいというのが一番大きいんだけれども、そういうふうにしてやっていらっしゃったことを、都合よく別の意見に乗っかって解釈するというのはちょっと違うかなと思います。
【9:学校内と児童館の施設の違い】
(松尾)次なんですけれども、学校内の学童クラブについて、少し状況を踏まえた上でお話をしたいと思うんです。
 それで、ちょっとまとめてお話しするかなと思いますが、1つは、先ほどから話題になっている施設再編整備計画、一番最初の案が出たときに、区役所側が説明会とかでおっしゃったのは、学校という広いフィールドを使って、児童館ではできなかったことができるんですよと。特別教室、図書室や音楽室、図工室、学校の施設を利用して、今までできなかったような活動ができますとおっしゃったけれども、実際にはどのぐらい使えているのかということを、これまで再編した学校について教えてくださいというのが1点です。
 それから2つ目です。そうはいっても、今、学校の授業が終わるまで、最終学年の6年生とかが下校するまで校庭や体育館は使えないという話題がさっきから出ているんですけれども、そういう中で、今の学校内の学童というのは、今御指摘ありましたように、非常に狭い。そうすると、何が問題かというと、子供たちは非常にストレスがたまるわけですよ。だから、その中でいじめが起きたという事例も私は聞いています。そういうこともあり得る。それは、子供同士のところは常にそういう問題は起きるんだけれども、やはり狭いところで限られた空間で子供たちが遊ばなければならないことのストレスは、大きいんじゃないかなと思っています。
 何かトラブったときに、児童館だったら、例えば、2階の育成室で遊んでいました。ちょっと嫌なことを言われたりたたかれたりした。すぐに1階に逃げるとかできるんですよ。あるいは、部屋がたくさんあるから、別の部屋に逃げるとかできるんです。だけど、学童クラブではそれが難しい。学校内の学童クラブは空間が狭いということが、子供たちの精神的なストレスと、それからいじめとかあった場合、あるいはけんかになったりとかした場合の逃げ場がないんじゃないかなというふうに思いますが、その点についての配慮、どのように考えていらっしゃるかということです。
 それから3つ目なんですけれども、これは休憩中も課長にお聞きしたんだけれども、遊びの種類が限られているんじゃないかという点、それは改善していますとおっしゃっているんですけれども、どうしても事業者側から用意された、今日はこれで遊びましょうというプログラムの中から選ばざるを得ないとか、児童館の場合は、音楽室、図工室などに行って、図書室もあるし、本を読みたい子はそこへぷらっと行って、飽きたら遊戯室に行って遊ぶとか、そういうことも自在にできるわけですよ。学校の中の限られた育成室と、それから今日使えるスペースは校庭とか、そういうふうに決まっている中では、自由にそこを行き来して、自分がその日の思いつきで、今日の気分で、これをやってみようかなということがやりにくい。やっぱり児童館と比べて、遊びの種類とか本人の自由な意思というのは、どうしても制約されやすいんじゃないかと思います。その点について現況をどう把握されているか、御説明等を伺いたい。

児童館12館つぶしても焼け石に水の建築費増大(一般質問への答弁)

 一般質問に対する区側答弁の要旨です。なお、区長はいっさい答弁せず、各担当部長が答弁。「選挙について」は総務部長が区長代理で答弁。(Qの番号は質問に対応。かっこ内は松尾の補足と感想です)

(Q1-1)東京8区の選挙結果については、杉並区の地域の実情を吸い上げて、国民、区民の暮らしをよりよくするための議論をしていただくことを期待。(さすがに区長は答弁できないのか。部長も国会議員に対してはちょっと殊勝)

(Q1-2-1)首相は「国民の間に様々な意見があり引き続きしっかり議論すべき問題」とのべており、国会で議論していただきたい。(こんな後ろ向きの杉並区)

(Q1-2-2)男女共同参画の具体的な取組については現在改定作業を行っている行動計画で明らかにしていく。(全然わかってないと思う。総合計画にこそジェンダー主流化を徹底すべきなのですが。)

(Q2-1)説明会の参加者は91名、オープンハウスは126名。(7回の合計でコレですよ。説明会1回あたり13名。こんな不入りでもペナルティがないお気楽な商売)

(Q2-2)案内ちらしは区立施設、小中学校、区内関係団体に6700枚を配布した。(ええと、58万区民に6700枚なんですよね。お客さん来てほしくないっていうことですね)

(Q2-3)第一期計画の増加面積は約77000平米、減少は約54000平米。

(Q2-4)第一期計画の児童館機能移転(=廃止)は12館、面積は約7400平米。ゆうゆう館の機能移転(=廃止)は3館、面積は約1000平米。(児童館12館もつぶして7400平米減らしても、他で77000平米増えたら焼け石に水

(Q2-5)第一期計画の財政効果額は第一次・第二次合計で約244億円。うち施設転用の効果(=土地代の節約)が約220.5億円。なお、財政効果額はひとつの目安であり実績を示すことは困難。(実績を検証できない数字になんの意味があるのでしょう。誇大広告です)

(Q2-6)工事費圧縮の基準はもうけていない。(これがすべて。節約する気はまったくない)

(Q2-7)最小の経費で最大の効果を生み出す経営手法や民間事業者ならではの創意工夫によるアイデアなどを期待。(←これは発言したとおりの文章です。民間事業者だからできる公的サービスの改善なんかないっていうこと。空虚)

(Q2-8)集会室の利用率は平成25年度65.7%、令和元年度52.5%。今後はより多くの利用が見込まれると考える。(平成26年度から段階的に使用料を引き上げたことが直接影響していることを認めず「利用率は決して下がっていない」的な答弁でした。施設再編計画では利用率が低いから統廃合といっていることと矛盾しているし)

「財政が大変なので児童館を廃止する」は嘘っぱち(2021年11月18日杉並区議会本会議における一般質問)

 2021年11月18日、杉並区議会第四回定例会において一般質問しました。(答弁はこちら。動画配信はこちら。)

質問項目は、

1.区長の政治姿勢について((1)総選挙結果について(2)女性政策について)

 (1)小選挙区になって以来初めて東京8区で自民党が敗北、立憲民主党の吉田はるみさんが当選した総選挙結果について、自民党を熱心に応援していた区長の感想を求めました。

 (2)総合計画で、男女平等と動物愛護が並列なのはどういうことか。区はSDGsSDGsというけど、口先だけです。ジェンダー平等を区政のすべての分野に導入することがSDGsでは。

2.施設再編整備計画について

 施設再編計画(第二期)案がパブコメ中ですが、「財政が大変なので児童館を廃止する」というのは嘘っぱちです。第一期期間中に児童館12館が廃止され7400平米が削減されました。かたや区立施設の総面積は77000平米も増加しています。たくさんの子どもが悲しい思いをしているのに、財政が楽になるどころか、負担は増えていく一方なのです。こんな欺瞞はやめていただきたい。

(以下は発言原稿です。実際の発言と違う部分があります)

1.区長の政治姿勢について

【総選挙結果について】

 一般質問をいたします。最初に区長の政治姿勢についてうかがいます。第一に、先ごろ行われた第49回総選挙の結果についてうかがいます。選挙結果は、自民党議席を減らしたものの、引き続き自公政権が継続する結果となりました。私は政権交代を期待するものですが、残念ながら今回、野党は新たな選択肢を十分に示せなかったと思います。

【対米従属政治の転換を】

 とりわけ、対米従属政治の転換、日中、日韓、日朝関係の改善によりアジアの平和を確立する外交、安全保障政策が不足しています。かつての民主党鳩山由紀夫代表は、東アジア共同体、常時駐留なき日米安保を持論とし、選挙でも沖縄の米軍基地問題を大きな争点として争って、政権交代を実現しました。

 先日、都内で開催された対中国外交の転換を求める会合で発言された鳩山氏は「1972年、日中共同声明の精神に立ち戻るべき」と述べておられましたが、こうした国の根幹に関わる論点を回避することなく自公政権と対決していくことを野党の皆さんには期待したいと思います。

【区長が応援していた自民党候補の落選】

 さて、こうした中でも、区内東京8区では旧4区の金子みつさん以来の杉並選出の女性議員として吉田はるみさんが当選、自民党のベテラン大物議員が落選し、全国的にも注目されました。田中区長は自民党候補を熱心に応援されていましたが、どのような感想を持たれたか。

 また先日、わが会派の田中議員の質問に対して、総務部長は元代議士に大変お世話になった旨、答弁しましたが、この方の落選により、今後の区政にどのような影響があると考えるか、うかがいます。(Q1-1)

【選択的夫婦別姓について】

 第二に、女性政策についてうかがいます。まず、選択的夫婦別姓についてうかがいます。私自身、通称使用で社会生活をしている当事者として無関心ではいられません。総選挙でも大きな焦点の1つとなり、各党党首の記者クラブ会見では自民党以外のすべての党首が別姓に賛成して注目されましたが、田中区長は賛成・反対等どのように考えているか、見解をお示しください。(Q1-2)

【男女平等と動物愛護は並列なのか】

 女性政策について質問しなければと思った理由は、実は総合計画・実行計画案への疑問にあります。「男女共同参画」は「地域の支え合いと安心して暮らせる体制づくり」の5番目にやっと出てきます。また、驚いたのは、男女共同参画の次は、「動物との共生」だったことです。動物愛護と男女平等は並列なのかとショックでした。

SDGs全体をつらぬくジェンダー平等】

 今回の総合計画ではSDGsが意識されていますが、SDGsでは、ジェンダー平等は単なる1つのゴールではなく、アジェンダの前文において「すべての人々の人権を実現し、ジェンダー平等とすべての女性・女児のエンパワメントを達成することを目指す」とされる全体の大きな目標です。さらに本文においても、人権に次いで、ジェンダーを掲げ「ジェンダー平等の実現と女性・女児のエンパワメントは、すべての目標・ターゲットにおける進展に死活的に重要な貢献をするもの」として、17のゴールすべての達成において必須のものであることが明記されています。

 ジェンダー平等はアリバイ的にのせておけばいい、とでもいうような杉並区総合計画案の書きぶりは、国際標準から大きく後れをとっています。

ジェンダー主流化をとりいれる】

 そこで、ジェンダー主流化、すなわちあらゆる分野におけるジェンダー平等の視点の導入とその実現、についての区長の考えをうかがいます。また、総合計画・実行計画案においては、ジェンダー主流化を取り入れるべきと考えるがいかがか、うかがいます。

2.施設再編整備計画

【区政の中心は施設再編】

 次に、施設再編整備計画についてうかがいます。

 先の基本構想特別委員会において、私は、この基本構想には2つの転倒があり賛成することはできないと述べました。その1つは、住民自治の観点が不十分で、結果、行政が決めて区民が実行するかのような、区民と行政との主客転倒であり、もう1つが、この施設再編整備計画と基本構想の主客転倒です。委員会では、「杉並区政は基本構想にそって進められているというよりは、いまや、施設再編整備計画によって進められているというのが実態です」と指摘しました。以下、この観点から、施設再編整備計画に検討を加えます。

【不入りの説明会。原因は】

 現在、施設再編を含む6計画案が公表され、パブリックコメントが行われています。説明会もありました。私は2カ所の説明会に行きましたが、どちらも参加者は15~6名と大変低調でした。質問もあまりなく、説明する皆さんにとっては、らくちんな説明会だったのかもしれません。最初の施設再編整備計画には284件と多数のパブコメが提出されました。それと比べて、今回どれほどの意見が集まるか、大変心配です。

【誰もしらない説明会】

 これまでの施設再編単独の説明会は、多いところで70~80名の参加が見られ、時間が足りないほど質疑応答が行われたものです。今回はコロナ対策として申し込み制であったことを割り引いても人数がきわめて少ないのは、説明会の告知が区民に届いていないからです。区政に関心が高く、説明会にはいつも参加するような方の多くが「知らなかった」「説明会はいつあったの」といいます。

 そこでまず、総合計画等6計画の説明会の参加者数、主な意見、またオープンハウスの参加者数についてうかがいます。(Q2-1)

 説明会の告知はいつ、どのように行われたか。また、私たち議員には説明会の案内ちらしが配布されましたが、あのちらしはどのように使われたものなのでしょうか。配布枚数、および配布先をうかがいます。(Q2-2)

【広報の告知がちぐはぐ】

 広報すぎなみ10月29日号に計画の概要とパブコメの告知が掲載され全戸配布されましたが、これには説明会の案内はのっていません。いっぽう、10月1日号に説明会の案内が掲載されましたが、となりのページは基本構想が大きく掲載されており、基本構想の説明会と勘違いしていた人もいました。

 パブコメの案内と説明会の案内が同じ紙面にのらなければ誤解を招くのは当然です。混乱したのは、コロナのためにスケジュールが押したせいですが、結局区民の知る機会がしわよせを受けたわけです。

【ある日突然、プールが閉鎖された】

 そもそも説明会以前に、毎回の計画案の決定まで、施設の廃止等が全く秘匿され、案の公表によって突然知らされるということがおかしいのです。

 事前に計画を知ることができればいいほうで、ほとんどの方が、ある日突然、施設が閉鎖されているのを不意打ち的に知るというのが現実です。特に廃止についての公の説明を行わないのは、反対意見を言わせないための卑怯な手口です。たとえば、阿佐ヶ谷のけやき公園プールは典型で、夏になると今でも、驚いた、どうなっているのか、とのお声があります。

 区民共有の財産である区立施設、特に身近な施設の統廃合については、パブコメにかけるよりもっと前に、住民に打診があってしかるべきです。施設の近隣地域ごとに、利用者、PTA、町会などとの事前調整、合意形成のプロセスが必要で、その積み上げこそ住民自治であり、区の説明責任です。区は抜本的に姿勢を改めるべきです。

【反対させないための3年サイクル】

 また、示される具体的なプランはたった3年間と短期、計画即実施で、反対するいとまを与えない。さらには、今般の善福寺児童館、西荻北児童館の廃止のように、その3年間の計画にすらなく、パブコメを経ていない計画が、突然「経営会議で意思決定した」として計画、実行される。明らかにパブコメ条例違反です。ここには民主主義のポーズすらありません。

【職員を追い立てる杉並区】

 計画のサイクルが3年間と短いことは、区役所にとっても見過ごせない影響があります。1年目に着手したと思ったら次の年度にはもう見直しが入り、最終年度はもう次の計画を発表するというあわただしさで、これでは落ち着いて事業の評価と改善を行うことなどできません。企画立案する部署も、事業を所管する部署も、施設再編に振り回される日常になっています。無理なスケジュールで、ムチを入れるように、次の計画策定を急がせる。施設再編整備計画によってかりたてられる杉並区政の姿は異様です。

【短期サイクルで工事を絶やさない】

 他区の公共施設等管理計画は、30~50年計画のものが多く、実施計画も短いものでも5年スパンです。杉並区のように短期サイクルで次々に施設を壊し、改修し、新築し続けるところはなく、きわめて特殊なやり方です。なぜこれほどまでに短いサイクルの計画なのか。

【区内事業者との癒着が問題に】

 先の第三回定例会では、区内事業者と区長、区幹部の会食、ゴルフ等癒着が問題になりました。切れ目なく建設工事を作り出して次々に発注していくのは誰のためか。建設利権の分配のためではないか。また、計画を絶対に変更させようとしないのは、すでに誰かと約束ができているからではないか。こうした疑惑を招いても不思議ではありません。

【財政効果を検証していない】

 こんな施設再編整備計画にも大義があるとすれば唯一、将来の財政負担を減らし、財政破綻を防ぐことですが、成果はあったのか。第一期8年間の再編の効果と課題を検証する必要があります。

 第二期計画案には第一期の成果として保育園の待機児童解消などが書かれていますが、肝心の財政効果については、検証にあたいする数字がありません。

【減るはずの施設面積が増えた】

 まず、施設面積について。第一期計画は「区立施設全体の規模を縮減することで今後の改築改修費等の軽減を図る」としましたが、この期間は逆に2万3000平米ほど増えました。区内の各地で身近な児童館が次々に廃止され、子ども、特に小中学生の居場所が激減し、児童福祉は大幅に後退しました。それだけの犠牲を払ったのに、総面積は増加したのです。

 そこで伺いますが、施設再編整備計画第一期計画期間の施設面積の増加約2万3000平米の内訳について、増加した面積と主な施設名、減少した面積と主な施設名を説明してください。(Q2-3)

 また、同期間において、児童館、ゆうゆう館の廃止数、および、廃止された面積はどのくらいだったかうかがいます。(Q2-4)

【架空の「財政効果額」】

 次に、「財政効果額」です。第一期計画では30年の効果額は137億円とされましたが、その大半の100億円は用地取得費の節約及び実際には売らなかった土地の売却益であり、いわば架空の数値です。改築改修経費の節約は37億円、1年あたりでは1億円あまりにすぎません。しかも、これはあくまで想定なので、実際の8年間の結果はどうだったのかを検証したいのですが、第一期の効果額の実績値は書かれていません。

 そこで、第一期計画における財政効果額とその内訳、および実績における財政効果額とその内訳について説明を求めます。(Q2-5)

【築浅建物の廃止・解体というムダづかい】

 なお、この間の再編においては、節約どころか、新築からまだ二十数年、三十数年という築浅建物の廃止・解体がいくつも行われ、特に、学校改築の際に、まだ新しい校舎も一括で解体して全面改築するなど、逆に財政負担を増加させたケースが目立ちました。財政負担を回避するためと言われて我慢しているのに、現実には節約どころかむしろ支出が増える。一方、身近な施設が廃止・再編されるのでは、区民は浮かばれません。

【第二期計画も財政効果は願望の数字】

 続いて、同様の観点から第二期計画案を検討します。まず、財政効果額について。40年間で221億円の効果とされていますが、うち用地取得費の節約が155億円ということです。これを除くと66億円で、年平均では1.6億円にしかなりません。そしてもちろん、これも想定というか願望の数字にすぎません。

【改築費用は1.3倍に高騰】

 他方、改築改修経費の軽減に資するとされる区立施設の総面積については具体的な抑制目標がありません。むしろ、「区立施設全体の面積は増加傾向にあります」などと、ひとごとのように述べ、面積が増大することは当然視されているようです。

 改築改修経費の試算については、今後40年間で4840億円、年平均120億円と予測されています。第一期計画では30年間で4000億円、年平均93億円とされていたことと比べると約1.3倍と大幅に高騰しているのに驚きます。しかも、第二期計画では新たに最大80年まで長寿命化する考え方を取り入れたので、さぞかし改築改修経費が軽減されると思いきや、現実は逆です。

【工事費を小さく見せる印象操作】

 第二期計画案では、施設関連経費をイニシャルコストとランニングコストに切り分け、氷山に模して、ランニングコストが約85%という説明をしていますが、ハードとソフトでみれば比率は1対3です。問題をすりかえ、工事費を小さくみせる印象操作です。

【複合化で余分な建築費】

 また、これは第一期からの一貫した問題ですが、財政負担の軽減といいながら、その方策は、複合化・多機能化の一本やりです。複合化・多機能化が共有部分等、少々の床面積の削減にはなったとしても、高層にすることで余分に建築費がかかり、財政的には逆効果になっている実例がいくつもあります。

 一例として、高円寺学園の建築は約80億円を費やし、6階建ての高層、しかも屋上に重たい25mプールが置かれたため、基礎構造に大きな費用がかかる建築となりました。ボーリングの不足を指摘されて追加調査し、杭の仕様が変更されたりもしています。無理に小中一体型にせず、3階建ての中学校の建て替えだけなら半額以下でした。工事規模拡大の方向に再編された一例です。

 今後のメンテナンスを考えたときに不都合と思われる事例もあります。永福図書館は区民集会施設、保育園との複合施設となりましたが、生活の場である保育園は配管の老朽化が早いことは想像に難くなく、改修時の図書館や集会施設への影響が今から心配です。それこそランニングコストを度外視した建設工事の肥大化です。

【建築コストの削減を考慮しない計画】

 面積が減らない、複合化もあまり貢献できないとすれば、あと考えられるのは設計の際の仕様や工法の見直しにより、少しでも建築コストを減らすことですが、これについては全く言及がありません。

 他自治体の公共施設等管理計画をみると、たとえば世田谷区の計画では基本方針の第一に、「施設はできるだけ長く使い、簡素にする」をかかげ、「必要最低限の仕様、できるだけ簡素で低廉な施設」と述べています。板橋区は大規模改修工事のコスト削減のため、改修内容を防水や機器交換などに限定したり、再利用できる部材の活用、既存樹木の活用、学校改築では夏休み中心に工程を組むことによる仮設費用の節減、などをあげています。調布市では、施設の標準仕様を定める、適切なグレードの建材や汎用品の活用など、それぞれ建築コストの縮減を意識して、手法を具体的にのべています。

 そこでうかがいますが、杉並区では、施設改築・改修にあたり、工事費の圧縮についてはどのような基準及び目標を設けているでしょうか。説明を求めます。(Q2-6)

【「質実剛健」はどこにある】

 公共施設、とりわけ学校は質実剛健が望ましいとは、先の決算特別委員会で、吉田副区長が述べられたことですが、私もこれには全く同感です。しかし、高円寺学園の例のほかにも、例えば桃二小校舎の改築では、建物が三角形で角が鋭角の部屋や廊下があり、部材の標準化や先々の他用途への変更には難があるなど、杉並区の区立施設はこれまで必ずしも質実剛健とはいえませんでした。

 施設再編にこれだけ力を入れながら、建設コストの軽減が全く省みられないのは、結局、財政負担軽減は本気ではないということです。

【「財政難」は欺瞞】

 財政負担の削減に本当に取り組むなら、施設再編にはやむを得ない部分もあるだろうと私も考えます。しかし、本計画はそうなっていないことを検証してきました。施設再編整備計画の本質は、統廃合と複合化を口実とした建設工事の増大と建設利権。返す刀で、児童館廃止や民営化などによる職員削減だということがわかります。財政難と区民を欺くのはやめて、工事費を膨張させる再編計画のありかたを根底から見直す必要があると指摘します。

【民間への貸出は公正か】

 さて、第二期計画案では新たに7つの基本方針が打ち出されました。うち方針①施設マネジメントの推進では、遊休地、遊休施設の民間への貸し出しなど活用が述べられていますが、区有地、区有施設は公共の目的に用いるものであり、いくばくかの料金をとるとしても、民間企業等の営利のために占有させることには疑義があります。

【学校跡地は高層マンションに?】

 そもそも遊休地・遊休施設が多いことが疑問です。旧若杉小学校は廃止されて10年以上経過しながら、ずっと暫定利用です。統合校である天沼小学校の厳しい教室不足とそれによる追加工事費用をみるにつけ、若杉小を廃止しなければよかったと思われてなりません。杉並中継所は負担付き譲与の期限切れから10年以上経過しながら、まだ施設利用の方針が決まっていません。新たな計画の中でも、杉一小をはじめ、富士見丘小、高円寺図書館、旧永福図書館など、大規模施設の跡地利用が未定という無計画さは問題です。

 特に杉一小や若杉小に関しては、JR駅近辺という好立地の大規模敷地ということで、方針⑤の民間活力の活用とあいまって、高層マンションを含む再開発の魔の手が伸びているのではという懸念はぬぐえません。

【民間「経営ノウハウ」とは】

 計画にはまた、民間の「経営ノウハウ」を活かすとありますが、このかん民営化されてきた保育園、学童クラブ、学校給食や用務など、なにか民間の優位性が示された例があるとは思えません。

 そこで、計画案の方針⑤において民間に期待する「経営ノウハウ」とは具体的に何を指しているか、説明を求めます。(Q2-7)

【ノウハウは労働者がもっている】

 たとえば、地域区民センターの運営委託においては、入札によって企業が交代しても、勤務している人はほとんど変わりません。なぜか。その施設を運営するノウハウは、そこで働いている人たちが持っているので、前の企業に雇われていた人をそのまま「居抜き」で雇ってノウハウを引き継ぐためです。つまり運営ノウハウを持っているのは労働者であって、企業ではありません。

【人買い、ピンハネのノウハウ】

 では、民間事業者のノウハウはなにかというと、要するに労働者を低賃金で雇い入れて差額を抜く、いわゆる「中抜き」、もっと露骨にいえば、ピンハネ、人買いのノウハウにすぎません。官製ワーキングプアという言葉が知られるようになって久しいですが、公共の仕事が区民の貧困を招くようなことは許されないことです。

【利用率低いから集会施設を統廃合?】

 最後に、区民集会施設についてうかがいます。第二期計画案の集会施設の部分に「利用率が50%程度にとどまっている」との記載があります。第一期計画では「60%ていど」と書かれていたのがぐっと下がった印象があります。そこで、集会施設の利用率が2013年から2019年の間にどう変わったか説明を求めます。また、利用率低下の原因は何か、所見をうかがいます。(Q2-8)

【利用率を上げることは考えない?】

 利用率が低いから施設の統廃合やむなしと印象づけるような計画案の記載です。しかし、施設が十分利用されていないというなら、普通は、どうすれば利用率を引き上げられるのかを考えるものではないでしょうか。ところが、区はこの間、団体割引の廃止等により、利用料を大幅に値上げして収入確保を図ろうとした結果、かえって区民を施設利用から遠ざけてしまいました。その結果がおしなべて50%という数字です。

 ここは、利用料の割引きを復活するなどして利用を増やす、前向きの方針に転じるべきではないでしょうか。

【公共施設は自治のゆりかご】

 集会施設に限らず、公共施設とはどういう意義があるのでしょうか。公共施設は、建設利権の食いものにするためのものでもなければ、財政のお荷物でもありません。

 一昨年の決算特別委員会でも述べたことですが、公共施設に住民が集まり様々な活動をすることで、地域のつながりが形成され、さらにはボランティア活動、行政への提言へと発展し、地域社会を豊かにします。それが住民自治の原点です。

 住民自治のゆりかご、住民自治の基盤となる公共施設の役割を、杉並区はいちから考え直していただきたい。そのことを最後にのべて質問を終わります。

生活保護に関する杉並福祉事務所の不適切な対応について(2021年9月14日の発言)

 2021年9月14日、杉並区議会本会議において質疑しました。生活保護受給者に対して区職員が虚偽の説明をするなどして苦痛を与えたとする裁判についての報告に対するものです。

(報告の内容はこちら↓ 文中の(1)(2)イ、エなどはこちらの引用です。

報告第11号 地方自治法第180条第1項の規定により指定された和解の専決処分をしたことの報告について

 区役所それも福祉事務所という、最も弱い立場の人とかかわる職員にあるまじき対応が見られたことは、杉並区役所全体が深く反省してほしい事案です。

(以下、発言原稿です。実際の発言とは異なる場合があります)

 報告11号について質問します。報告11号は、生活保護を受給している杉並区民の方が福祉事務所職員の対応により苦痛を受けたとして損害賠償を求めた裁判についての和解です。

 昨年3月10日の予算特別委員会において、私はこの訴訟について質問しました。当時は係争中であり、争いの内容について踏み込んでお聞きすることはしませんでしたが、和解という形で裁判が終結したので、報告書には書かれていないことも含め、やや詳しく訴訟の内容を確認した上で、質問は最後にまとめて述べます。

生活保護担当職員が虚偽の説明】

 原告が損害賠償請求の対象とした被告杉並区の職員の不法行為は2つありました。

 1点目は、報告書にもあるように、原告が当時申し立てていた審査請求について、この審査がまだ終わっていないにもかかわらず、当該職員が原告に対して請求は「棄却された」と虚偽の説明をして返還の書類にサインさせようとしたことです。

 原告が裁判所に提出した訴状および録音によると、審査の結果がまだ出ていないと主張する原告に対し、当該職員は「棄却すべきである」と書かれた審査員意見書の「すべきである」の部分をあえて略して「棄却」と読んで聞かせ、「棄却になったんですね」「棄却、とあります」などと虚偽の説明により原告を誘導しようとしました。

【保護費を人質に長時間サインを迫る】

 二点目は、保護費の返還に同意する書類へサインを執拗に迫り、サインしないかぎり保護費を渡さない、と1時間にわたり執拗に原告を説得したことです。訴状および録音によると、サインを迫られた原告は「もう帰りたい」「書けません」「もう一度来ます」など、何度も断りましたが当該職員は「いや、返還を始めていただければ、お金、お渡しできます」などと述べ、返還に同意するサインをしなければ保護費を受け取れない状況に原告を追い込みました。

 詐欺的な言辞を弄して、虚偽の説明を行ったり、長時間にわたってサインを強要し、あろうことか保護費を人質にとったことは、きわめて悪質な対応と受けとめるものです。

 原告は、当該職員の一連の行為により極めて大きな精神的苦痛を受け、損害賠償を求めて本件提訴に踏み切りました。

【「著しく違法性の高い不法行為」】

訴状において、原告は「当該職員(訴状では実名)の行為は、保護受給者に対して、現場で生活保護を確保する直接の業務に従事するケースワーカーが、徴収金の天引きを約する書面にサインをしなければ、保護費を渡さないと迫り、強引に天引きを実現しようとして、保護受給者である原告の生存権を脅かすとともに、そのような手段によって、保護費の天引きに応じるか否かについての原告の自由を侵害したものであり、著しく違法性の高い不法行為である」と厳しく断じています。

【なぜこのような事件になったのか】 

 ところで、私の経験では、杉並区の生活保護の窓口はみなさん親身な対応でしたし、また他区の支援団体の方などからも、杉並区の評判は決して悪いものではありません。むしろ評判がいいといってもいいくらいです。

 それなのに、なぜこうした事件が起きてしまったのか。職員個人の問題なのか。福祉事務所に話を聞くと、当該職員は決して高圧的な人ではなく、むしろ日頃は丁寧な対応をしているとの評価でした。では、どこに原因があったのか。区の管理体制はどうか。職員への指導はどうだったか。

【区民の救済よりも債権回収を優先?】

 個人的な感想ですが、録音の反訳を読むと、この職員の執拗さの背景には何かしらの強いプレッシャーの存在があるのではとも感じられます。

 この問題は区にとっては債権の回収という問題であるため、もしも、福祉事務所内部、あるいは区全体の体制として、1円でも多く、1日でも早く返還させなければならないという圧力が働き、生活に困窮した原告の救済という、福祉事務所本来の責務よりも債権回収が優先されたとすれば、本末顛倒で許されることではありません。

 区はこのような事案を繰り返さないため、和解条項に確約した生活保護事務の改善を徹底していただきたいと思います。

【杉並区としての対応は?】

 以下、まとめて質問します。まず、一連の事実経過について2点質問します。

 第一に、訴訟に至る一連の事実の起点となった、原告のマンション売却とそれに対する福祉事務所の返還請求処分の経緯を時系列で説明してください。(Q1-1)

 第二に、提訴後の経緯として、杉並区内部、特に福祉事務所としての検討経過とその内容を説明してください。(Q1-2)

【和解条項の遵守を求める】

 次に、和解条項を踏まえて、今後の区の対応についてうかがいます。

 第一に、(1)で被告杉並区は原告への謝罪を行うとありますが、文書、口頭など、どのような形で、誰が、謝罪を行うのか。あるいは、行ったのか。(Q2-1)

 第二に、(2)のイにおいて状況により複数の職員で面談にあたるとあるが、これまでの生保事務においてそうした例はあるか。また、この条項の意義を説明するよう求めます。(Q2-2)

 第三に、(2)のエで、不利益処分については3事務所合同で検討する等とあるが、本件返還請求にあたってはどのような検討体制だったのか。また、これまで3事務所による検討の実績はなかったのか。(Q2-3)

 最後に、かなり具体的かつ詳しい和解条項ですが、これを誠実に履行し、生活保護事務を改善することが求められます。杉並区としての決意を伺って質問を終わります。(Q2-4)

【区側の答弁要約】(答弁:喜多川保健福祉部長)

Q1-1:生活保護法63条にもとづき原告所有のマンション売却を指示。2016年10月に売却され12月に原告から被告杉並区に対して収入申告があったため返還請求の決定を行った。その後、未申告の収入であると誤って判断し、法78条に基づく返還手続きをとった。原告はこれを不服とし処分取消の審査請求を行い、その後請求が却下されると、処分取消を求める訴訟、さらに本件賠償請求訴訟が提起された。

Q1-2:2020年にあらためて当時の担当者以外複数名で検討を行ったところ78条処分が不適当であったことが判明。2021年5月、同処分を取り消す決定を行った。

Q2-1:すでに文書で謝罪を行った。さらに今後、福祉事務所長と担当係長が面談して直接謝罪するとともに、以降の対応をご相談する。

Q2-2:これまでも担当職員のほかに複数で面談を行う場面もあった。担当以外が同席することで客観的な視点が入る意義があると考える。

Q2-3:78条処分などの不利益処分について、これまでは各事務所で判断していたが、困難事例などは3事務所(注:荻窪、高円寺、高井戸)合同で検討することとした。

Q2-4:和解条項を誠実に履行し、職員の研修、コミュニケーション能力の向上など、受給者に寄り添ったより適切な生活保護事務を履行していく。