わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

阿佐ヶ谷北口開発、情報公開と公聴会を求める(2019年6月4日一般質問)

 2019年6月4日、杉並区議会第二回定例会において一般質問をしましたので、質問原稿を掲載します。ところで、今回の一般質問を前に、これだけはどうしても許せないというポイントが2つありました。

・杉一小と権利交換する対象である河北病院用地の価格など情報について「個人情報だから公開できません」と説明していた区の幹部。

・学童クラブの民間委託先を選定する「選定委員会」の委員に選ばれた保護者に「このことは誰にも口外しないように」と口止めしていた区職員。

 両方とも「こんなルールがあるはずない!」と質問するつもりでした。ところが、事前の打ち合わせの段階で、各担当課から「それは間違いです」「そんなルールはありません」というお返事があったのです。ほっとする一方、じゃあ、なぜ区民に対してウソをついて隠したり脅したりするのかとの憤りは消えません。

 以下原稿を掲載しますが、内容の概要は、

1.阿佐ヶ谷駅北東地区のまちづくりについて

 いよいよ事業認可に向けて区が加速しています。しかし、区民の多くはいまだにこの計画を知りません。知らされていないのです(説明会に参加するなど、計画を知った人は強く反対しています)。土地交換にむけての土地評価額、事業費の区負担額、河北病院の汚染、けやき屋敷の緑と生態系の実態、etc. 区民になにひとつ公開せず重大な財産処分を行おうとしていることに対し、情報公開と公聴会の開催を求めました。

2.児童館・学童クラブについて

 来年3月には児童館がいっきに5館も廃止されてしまうのです。廃止の説明会にいくと、地域の皆さんが「児童館は子どもたちを守るために必要。どうしてなくすのか」と口々におっしゃっていました。

 児童館廃止の目的の一つは学童クラブの民営化です。学童クラブの委託に際して、選定委員会の「守秘義務」、事業者の参入資格が「同様の事業1年以上の実績」が区の要綱に反している件、また、委託された学童クラブの職員に欠員が生じていること、桃五学童クラブの「つめこみ」状態の解消を求めることなど、などを質問しました。 

(以下は質問原稿です。実際の発言とは異なる部分があります) 

1.阿佐ヶ谷駅北東地区のまちづくりについて

 一般質問をいたします。第一に阿佐ヶ谷駅北東地区のまちづくり、阿佐ヶ谷の再開発についてうかがいます。

 私たち区議会議員の選挙が終わったとたん、区役所はこの計画の実現へむかっていっきに駆け出したようです。開票から3日目には都市計画審議会が開かれ、10連休をはさんで連休明けの7日に土地利用構想の届け出、公告・縦覧開始、そして先々週は7日間の間になんと4回もの説明会およびオープンハウスが開かれるというハードスケジュールでした。 

<重要な情報が全く公開されない>

 阿佐ヶ谷再開発に関する区政の重大な問題は、計画の是非に直結する重要な情報が全く秘匿されているということです。国の情報隠しもひどいですが、それ以上です。

  杉並第一小学校という駅前の一等地にある区有地を処分する計画であるのに、肝心な換地関連の情報は全く示されていません。土地区画整理事業の費用負担も闇です。河北病院の土壌汚染や地質についての情報もありません。また、けやき屋敷の自然環境調査が行われているはずですが、いまだに現況の緑や生態系の実態すらわかりません。

 近隣の皆さんが最も知りたい、河北病院の建築計画も全く不明です。先日の説明会では近隣の方が「日照や電波障害についての情報が全くないのでは、計画に賛成のしようがない」と発言されていました。あたりまえだと思います。

 杉一小跡地に何ができるのかも一切説明されない。10年以上先の計画とはいえ、全く決まってないということはありえず、すでにプランはあるはずです。

<説明会で進め方への批判が多数>

 これほどまでの秘匿ぶりは、あまりにも区民を愚弄しています。当然の帰結として5月24日に行われた地区計画素案の説明会では、区の進め方に対する批判的な意見が相次ぎました。

「説明会というが、決まったことを発表しているだけではないか」

「すぐ近所に住んでいるが、最近までこの計画を知らなかった」

「住民が知らないのに進めるのではなく、もう一度最初からやりなおすべき」

 そして、最後には「今日発言した人は全員反対だったということを確認しましょう」という発言があったくらい、区の進め方に納得いかない方が多数でした。

  まずは、どれくらいの人にそもそも計画情報が伝わっているかを確認するため、阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくり意見交換会及びオープンハウス、土地利用構想オープンハウス、地区計画素案説明会及びオープンハウスのそれぞれの開催回数と延べ人数をお示しください。また、地区計画素案説明会における発言者の人数、およびどのような意見が出されたかをお示しください。(Q1-1、2、5-1)

<意見募集で8割は反対、懸念>

  時期が前後しますが、1月末から2月にかけて、まちづくり計画に関する意見募集が行われました。その結果を区のホームページ上で確認しますと、81名、150項目という多数の意見が寄せられています。しかも、数えてみると、そのうち約120項目、つまり約8割の意見は、反対もしくは一部変更を求める、疑問があるという意見です。意見募集自体がろくに告知もされない中でも多くの方が意見を寄せて、阿佐ヶ谷の将来を心配しているのです。

  内容をみると、屋敷林の保全を求める人が6割強、また、杉一小の移転に反対の人が4割を占めています。これらの意見を尊重する気が少しでもあるなら、いったん立ち止まり、時間をかけて計画を全面的に見直すべきです。地区計画素案説明会及びまちづくり計画の意見募集に対する意見のうち、今後、どのような意見が、計画のどの部分に反映されていくのか、説明を求めます。(Q1-2-2)

都市計画法公聴会の開催を定めている>

  私は、第一回定例会において、地区計画に関する公聴会の開催を求めました。しかし、区の答弁は「公聴会は例示のひとつ」というものでした。この答弁については、予算特別委員会で誤りを指摘しました。すなわち国交省の「都市計画運用指針」では、「法第16条第1項において公聴会の開催を例示しているのは、住民の意見を反映させるための措置として、住民の公開の場での意見陳述の機会を確保するべきという趣旨であることに留意する必要がある。」と述べ、さらに、説明会は、都市計画の原案について住民に説明する場であるのに対し、公聴会は、住民が公開の下で意見陳述を行う場であるとしており、単なる例示ではないこと。したがって、特に必要がないと認められる場合以外は公聴会を開催すべきとしていることです。説明会だけではだめなのです。そこで、あらためて国の運用指針に沿った公聴会を開くことを求めますがいかがか。

 また先の答弁では「十分な陳述の機会を設ける」とのことでしたが、それは何を指すのか、答弁を求めます。(Q1-3)

  同様に、土地区画整理事業についても、杉並区まちづくり条例に定める土地利用構想に関する公聴会を開くことを求めます。条例28条では、大規模開発事業の手続き等について、「区長が必要と認めるときは公聴会を開催できる」と規定しています。区民からも土地区画整理事業に関する公聴会開催を求める陳情が提出されているところです。地区計画および区画整理事業の双方について、区長は、公聴会を開催すべきですが、いかがか。答弁を求めます。(Q1-4)

 なお、同条例26条には「区民等」が土地利用構想について意見を提出できるとありますが、オープンハウスで配布された資料には「周辺に居住する者等」となっており、周辺の人しか意見を出せないのかとの誤解を招きます。区民には正確に告知すべきであり、説明を求めます。(Q1-5-2)

<歴史的にも貴重な屋敷林の消滅という愚行>

 さて、阿佐ヶ谷再開発に関して、個別の課題について述べます。第一に屋敷林の消滅という問題です。何度も指摘してきたように、この屋敷林は杉並区自身が選定した「杉並らしいみどりの保全地区」であり、また、東京都により「旧跡」指定も受けている文化財でもあります。四百年続いてきたともいわれるこの歴史的な屋敷林を、こともあろうに、区が主導して一部の大企業や有力者のいっときの金もうけのために消滅させるというのはなんという愚行か、蛮行か。実施されるなら杉並区の歴史に大きな汚点を残すことになるでしょう。

<緑化率25%では森は守れない>

 地区計画素案で区は、けやき屋敷の緑化率の最低限度を25%と定めました。ところで、地区施設として計画されている保存緑地等の面積を計算すると病院予定地の約15%にあたります。さらに沿道に新たな植栽を行うとしているので、両者をあわせるとそれだけで25%になりそうです。それでは森は残りません。そこでお聞きしますが、25%には地区施設の保存緑地等を含むのでしょうか。地区施設は公共的なものであり、病院敷地の緑化率からは除外して計算するべきと考えますがいかがか。

 また、緑化率を定めただけでは拘束力がなく、地区計画緑化率条例を定めるべきであるが、いかがか。条例を定めないのであれば緑化率はさらに10%程度引き上げるべきと考えるがいかがか。答弁を求めます。(Q1-6)

絶滅危惧種のタカ「ツミ」がいると判明>

 次に、屋敷林の貴重な生態系の問題です。先の一般質問や予算特別委員会で指摘してきましたが、区の委託した自然環境調査においてもツミが確認されたと聞きました。先に指摘したように、ツミは東京都の定めるレッドリストで23区部及び隣接する北多摩地区において「絶滅危惧1A類」即ち「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの」とされており、都の「開発の手引き」では、環境省の「猛禽類保護の進め方」のオオタカの扱いに準拠して調査・保護することとされています。「保護の進め方」では、採食地(餌場)の喪失がタカの繁殖への大きな痛手となることから潜在的な採食環境を含め保全されることが重要、としていますが、ツミが飛んでいるからには、けやき屋敷が他の場所に営巣しているツミの採食地として保全の対象となる可能性が高いと思われます。仮にけやき屋敷にツミの営巣が確認された場合は今後の計画にどう影響するのでしょうか。また、巣はなくとも行動圏であると確認された場合はどうでしょうか。答弁を求めます。(Q1-7)

<掘削除去で汚染がなかったことにはできない>

  次に、杉一小の移転予定地とされる河北病院の汚染の問題です。他の議員からの質問に対し、区の答弁は依然として、三者協定で河北病院が汚染拡散防止措置(掘削除去)の費用を負担するので大丈夫というものでした。それではダメなんだということは、予算特別委員会において、第一に土地の権利交換の評価額への影響、第二に土壌汚染対策の責任の所在、第三に学校が開校してからの環境汚染の3つの観点から指摘したところです。

<汚染が除去されても土地の価格はマイナス評価>

 第一の土地評価額の問題では、換地の際に、区が大幅に損失を被る恐れがあります。日本不動産鑑定士協会連合会の「不動産鑑定評価基準に係る実務指針」では「土壌汚染の存在の可能性が認められたときに、それが価格形成に重大な影響を与えないと判断できる場合以外は、土壌汚染の影響を考慮しなければならない」とし、さらには、例え汚染が除去されたとしても、土地の最有効使用の制約、汚染物質の残存の可能性、また汚染地であったということによる心理的嫌悪感(トラウマ)などにより、不動産の減価を招くことに注意を促しています。

 つまり、区がいうような、河北病院が全面的に責任を負うという理由で土壌汚染がない土地と同等とする扱いは誤りであり、仮にそのように扱うなら、それはそのまま、土地価格の過大評価すなわち地権者に対する不当な利益供与ということになります。

<病院の土壌汚染対策は期限つきでは>

 第二に土壌汚染対策の責任です。区は、掘削除去に加え、瑕疵担保責任条項を入れれば、病院側がすべての汚染に責任を負うかのように描いています。しかし、瑕疵担保責任は永遠ではありません。たとえば馬橋公園の拡張用地に関して国との間に結ばれた契約では瑕疵担保責任は2年間であるとのことです。杉一小移転後までは保障されないと考えられます。 

<土壌の全面入れ替えを誰が負担するか>

 従って、第三の小学校用地の問題になります。見つかったところだけ除去するという対策では、後々新たな汚染が見つかる可能性が高く、汚染の危険を完全に回避するためには、土壌の全面入れ替えしかないこと、そして、その費用は区の委託調査により7億3千万円と算定されていることも指摘してきました。この調査では学校建築の費用、即ち区の負担として計上されていましたが、本来は原因者である河北病院が全面的に負うべきです。区は、病院側に負担を求める考えはあるでしょうか。所見を求めます。(Q1-8-1)

<汚染の履歴調査に何年かかるのか>

 また、汚染対策はまず履歴の調査からです。他の議員の質問に対し「病院側は履歴調査を行っているところ」との答弁がありましたが、書類上の調査にいったい何年かかるのでしょうか。3年前の計画策定以前から取り組まれているはずの履歴調査は、とうに終わっているはずですが、区は履歴情報を取得していないのでしょうか。確認します。(Q1-8-2)

<ボーリングはいまでもできる>

  なお、ボーリング調査は病院移転、建物解体後に行うとされていますが、これも馬鹿にした話で、操業中でもボーリングはできるのですから、早急に土壌調査を行うべきです。

<一等地の杉一小を二束三文の土地と交換>

 最後に換地計画です。この開発計画の核心は、何よりも、杉一小用地という阿佐ヶ谷駅前の一等地を開発のタネ地として民間の開発事業者に引き渡すことであり、ひきかえに病院跡地の汚染地で、しかも昔は川や田んぼであったゆるゆるの軟弱地盤、浸水地という誰も買わない二束三文の土地を区が引き受けるというところです。照応原則に反する不適正な権利交換であり、汚染地のロンダリング豊洲市場の小型版ともいえます。

<「個人情報だから非公開」のウソ>

 先日の土地利用構想に関するオープンハウスで、参加した区民の方が、河北病院の土地の価格について尋ねたところ、区のある幹部が「個人情報なんで公開できません」と繰り返し答えている場面に遭遇しました。ところが後日、所管課に確認したところ、あっさりと「個人情報だから公表できないなどということはない」とのことでした。区の幹部が、区民に対して、どうしてこういうすぐばれるウソをつくのか。区民を欺しても、区長および大企業や地域の有力者に便宜を図るというならあきれるしかありません。

<情報公開は「のり弁」>

 私は情報公開により、2017年2月3日の「杉並第一小学校施設整備に関する地権者等調整」の資料を入手しましたが、そこには協議内容として「不動産鑑定評価等について意見交換」と書かれ、暫定版ではありますが、不動産鑑定評価の資料がついていました。区はとっくに鑑定評価を行って、結果を持っているのです。ところが、開示された資料は杉一小以外の部分が真っ黒にマスキングされた「のり弁」状態でした。土地の情報は、本来公開情報であるはずです。まして、区有地の処分に関わることですから秘匿は許されません。

 学校用地は区民共有の財産です。区民はその処分が正当な価格に基づくものかを知り、評価する権利があります。事業認可がおりて、仮換地が実施される前に、換地計画および関連情報を公開するよう求めます。できないとすれば、どのような根拠法令によるものか。説明を求めます。(Q-1-9)

 区の財産を毀損するなんてことはないと区長は以前答弁していましたが、それを証明する情報をなにひとつ出せないでいます。それこそが後ろめたい証拠ではないでしょうか。正しい政策だと自信があるなら、区民に情報を開示して正々堂々と議論するべきです。区民への情報公開と公聴会の開催を改めて強く求めます。

 2.児童館・学童クラブについて

 次に、児童館・学童クラブについて質問します。区立施設再編整備計画第一期第二次プランにおいては、児童館9館の廃止が予定され、すでに今春、下井草児童館が廃止となりました。

<地域に支えられ子どもを守ってきた児童館>

 来年廃止になる5つの児童館のうち、私は3月に行われた3館の説明会に出席しました。どの児童館においても、地域の町会やボランティアの方々が積極的に発言され、一つひとつの児童館が、地域の力に支えられてきたことを改めて知ることができました。

 児童館は子どもが自由に来館し遊ぶことのできる文字通り児童の館であり、その目的には健全な遊びを通じて子どもの健康と情操の発達をはかることがうたわれています。単なる遊びの提供ではなく、児童館という安心できる場所で、子どもが信頼できる大人と関わりながら成長していくところに大きな意味があります。

<児童館職員の専門性をムダにするのか>

 中でも最も大きな力は児童館の職員さんの専門性にあります。ある館の説明会では参加者から「児童館の職員さんが地域のネットワークをつないでくれている。区は『いいまちはいい学校をつくる』と言っているが、その基本をつくってきたのは児童館です」と評価する声、また「いま児童虐待がこれだけ大きな問題になっているときに、杉並区はなぜ児童館の職員を減らし、民間委託するのか。長年つちかってきたノウハウを無駄にする行為ではないか」という疑問などが出されました。

 単なる子どもの遊び場という意味では放課後等居場所事業も一定の役割を果たすことを否定はしません。しかし、児童館が行ってきたのはそれだけでなく、地域の「子育てネットワーク」で学校など公共機関、児童福祉施設、地域の人々がつながりあって、子どもを守る中心となってきました。これは、0歳から18歳までの子どもを長い目で見守る児童館だからできることなのです。

 そこでうかがいますが、区は児童館がこれまで果たしてきた、また現在果たしている役割の重要性についてどう認識しているでしょうか。所見を求めます。(Q-2-1)

<学童クラブ民間委託ガイドライン

 次に、児童館の廃止に伴う学童クラブの民営化についてうかがいます。杉並区は先日「学童クラブの民間委託ガイドライン」を定めましたが、このガイドラインに関連して質問します。もとより保護者はこれまでの区直営の学童クラブを望んでおり、決して民営化に積極的でないことはまず指摘しておきます。

<「選定委員になったことを誰にも言わないように」?>

 第一に選定委員会のありかたです。選定委員10名のうち4名を保護者委員としたことは評価できます。

 ところが、選定委員に選ばれた保護者に対して、区職員が「選ばれたことは誰にも言わないように」と口止めをしたという話を聞きました。所管課に確認したところ「そういう運用はしていない」とのことで安心しましたが、こんな何の根拠もない架空のルールで保護者を脅すようなことが行われているとすればきわめて問題です。そうでなくても、小学生の保護者が夜間の会議に出かけなくてはならないことだけでも大きな負担です。それでも子どもたちのためにがんばろうと引き受けた方が、まわりの保護者に相談もできないような状況に追い込むのは言語道断です。個々の職員が独断で言ったとはとても思えません。子ども家庭部として反省し、今後はこのようなことのないようにしていただきたいと思います。

<保護者委員は保護者の意見を伝える役割>

 保護者委員は、あくまで保護者の代表であり、保護者間で必要な意見交換、情報共有が図れるようにしていただきたいと考えますが、所見を伺います。

 また、保護者の意見をまとめるうえでも、委員会の内容はできるだけ保護者どうし共有する必要があります。その際、選定委員となった方は、委員会の内容をどこまで話していいか悩むことになるでしょう。そこでうかがいますが、選定委員の守秘義務の範囲は何と何か。また、その根拠となる法令はなにかをお示しください。(Q2-2)

<事業者の応募要件「経験1年」は要綱違反では>

 次に、事業者の応募要件について質問します。このたびの民間委託ガイドラインでは、応募要件として、学童保育等の1年以上の実績があることとされ、私は、たった1年かと驚きました。ところが、杉並区委託事業プロポーザル実施取扱要綱第9条においては、参加資格要件として「提案業務又は類似する業務を引き続き2年以上営業していること」とされています。明らかに要綱に反しているのでガイドラインの訂正を求めますがいかがかうかがいます。(Q2-3)

 なお、同条2項、3項の例外規定によりこの要件を除外することができるとの説明も受けましたが、よりによって学童クラブの業務委託に関してのみ特例でハードルを下げるなどありえません。早急な訂正を求めます。

<「学童クラブ運営指針」遵守は選定時に評価されるのか>

  次に、「杉並区学童クラブ運営指針」についてうかがいます。ガイドラインの「事業者への引継ぎ」の項では「運営指針に沿った運営が可能となるようにすること」とされています。指針を読むと「子どもが安心して自分らしさを出し、のびのびと過ごせる場になるように配慮する」とか「子どもの心を理解するように努める」など大切なことが書かれています。まさに杉並区の学童クラブで実践されてきたことが述べられており、大変いい内容だと思います。民間の事業者においても、文字通りこの指針を忠実に実施していただきたいと思います。

  ただ、残念ながら、この指針が選定に反映されるのかは、審査基準、審査項目をみても具体的にはわかりません。審査基準にはどのように反映されるのか。説明を求めます。(Q2-4)

<民間委託学童クラブの職員に欠員>

 最後に、すでに民営化された学童クラブについてうかがいます。まず、民間委託された学童クラブにおいて、区が求める人員配置ができず欠員が生じているところがあるとききました。その中には今年4月に民営化されたばかりのところもあるとのことですが、事実でしょうか。お答えください。(Q2-5)

 人手不足の中、杉並区がいっきに民間委託を進めていることのひずみが出ているのではないでしょうか。

<桃五学童クラブ、つめこみに悲鳴>

 また、4月から下井草学童クラブを移転・統合した桃五学童クラブに関してうかがいます。児童館の学童クラブと比べて問題が多く、子どもたちと保護者から次のような苦情が寄せられています。

子どもの声としては

・とにかく狭い。

・静かに遊べる部屋がない。

・遊ぶとき、宿題するときに机が足りない。

・本が少ない。

・遊ぶものが少ない。

保護者からは

・けんかやトラブル等があった際、気持ちを落ち着かせるためのスペースがなく、気分を切り替えるのに時間がかかる。

・隣に公園(遊び場114番)があって友達が遊んでいるのに、どうして自分はそこで遊べないのか、室内から外に出られないのか、とかわいそうな状況。

・学校の校庭開放は利用できる日や時間が限られており、運動の機会が少ない。

・学童つまらないから行きたくないといわれることもあり、親としては苦しい。

など、かなり厳しい状況を訴えられています。

<下井草児童館のプラザ化延期で遊び場確保を>

 誰ひとり望んでいない下井草児童館の廃止、また、学校内の放課後居場所スペース確保の段取りの悪さ、そのしわ寄せで子どもたちは狭い場所につめこまれ、十分に体を動かすこともできない日々となっています。そこで提案ですが、学校内の放課後居場所事業のスペースが確保できる来年春まで、子どもプラザ下井草の開所を延期して旧児童館施設を活用、学童クラブ及び子どもの放課後の遊びの場を保障すればよいと考えますが、いかがですか。所見をうかがいます。(Q2-6)

 児童館の再編が進み、その問題点が保護者、区民にも次第に明らかになってきました。この項の冒頭に指摘したように、杉並区の児童館は子どもたちにとってなくてはならないものです。その役割を再認識し、再編計画に歯止めをかけていくことを求めて質問を終わります。

あんさんぶる荻窪に関する住民監査請求

 2019年4月25日、あんさんぶる荻窪に関する住民監査請求を提出しました。平たくいうと「あんさんぶる荻窪の財産交換の際、杉並区長は財務省に対して請求すべき消費税分を請求せず約1億2千万円の損害を区に与えたのでこの損害を回復せよ」というものです。以下請求書の本文です。

<杉並区職員措置請求書>

杉並区長に関する措置請求の要旨

1 請求の要旨

(1)

杉並区長は,2018年5月1日、区所有の「あんさんぶる荻窪」の土地・建物と財務省所有の荻窪税務署の土地・建物の財産交換を実施した。

その際、両者の財産評価額の差金として、4000万円を財務省から受領した(資料1)。ところが、区長はこの際に財務省に対して当然請求すべき消費税及び地方消費税相当額1億1840万円の請求を怠り、区に損害を与えたものである。本請求は、区長の責任においてこの損害を回復することを求めるものである。以下詳述する。

(2)

本件財産交換にあたっては、交換差金の決定が以下の通り行われた。

2018年1月16日、財務省において「見積もり合わせ」が行われ、財務省側の評価額と杉並区側の評価額を比較したうえで、交換差金が決定された(資料2)。その際の両者の評価額は下記の通りであった。

財務省側の評価額)(資料3)

・交換渡財産(荻窪税務署の土地建物)

44億0000万円(土地44億0000万円 建物0円)

消費税及び地方消費税相当額0円

合計 44億0000万円(a)

・交換受財産(あんさんぶる荻窪の土地建物)

45億1000万円(土地27億1000万円 建物18億0000万円)(資料4)

消費税及び地方消費税相当額1億4400万円(建物価額18億0000万円×8%)…①

合計 46億5400万円(b)

交換差金(b-a) 2億5400万円(国が杉並区に差金支払い)      

(杉並区側の評価額)(資料5)

・交換受財産(荻窪税務署の土地建物)

47億0000万円(土地47億0000万円 建物0円)(c)

うち消費税及び地方消費税相当額0円

・交換渡財産(あんさんぶる荻窪の土地建物)

47億4000万円(土地32億6000万円 建物14億8000万円)(資料6)(d)

うち消費税及び地方消費税相当額1億0962万9629円)…②

交換差金(d-c)4000万円(国が杉並区に差金支払い)

両者を比較した結果、比較低額である杉並区の評価額が採用され上記(1)のとおり、財務省から杉並区に対して4000万円の支払いが行われたものである。

(3)

ところで、本件において消費税及び地方消費税(以下、消費税と称する)を課すべきは、あんさんぶる荻窪の建物のみである(土地には消費税を課さないこと及び荻窪税務署の建物評価額は0円であることによる)が、(2)に見たように、財務省側はあんさんぶる荻窪の建物評価額を決定後、消費税を算定して加算している(①)。これに対して、杉並区は評価額から割り返して消費税額を算出、表示している(②)。しかし、不動産鑑定士による評価額には取引上の消費税額は含まれていないのであるから、含まれているかのようなこの表記は誤りである。それは財務省側の取り扱い、すなわち消費税を鑑定価額とは別途算出して加算しているところからも明確である。

(4)

本件においては上記(2)にみたように、見積もり合わせの結果として、杉並区の提出した金額がそのまま採用された。ところがこれに消費税が実質的に加算されていなかったことから、杉並区長は本来財務省に対して行うべき消費税額分1億1840万円(杉並区によるあんさんぶる荻窪の建物評価額14億8000万円×消費税率8%)の請求を怠り区に損害を与えたものである。

(5)

本請求の直接の論点は、(4)に述べたように区が被った1億円余の巨額の損失にあるが、それ以外にも指摘すべき論点があると考えるので付言する。

1点目は、本件財産交換において、仮に杉並区が消費税を正しく加算した場合、杉並区の評価による交換差金は1億5840万円(4000万円+1億1840億円)となり、財務省の負担が格段に大きくなることから、その場合、そもそも財産交換自体が破談となる可能性すらあったということである。

本件財産交換は老朽化した荻窪税務署の建替えを焦点とするものであるが、元々財務省側は荻窪税務署の現在地建替えを想定しその際の建築費を約11億円と見積もっていた。他方、杉並区長の提案による財産交換は既存の建物である、あんさんぶる荻窪荻窪税務署が移転することで建替え経費を節減するメリットがあるとされた。この際、あんさんぶる荻窪を改修する経費は7億円余と見積もられた。ところが差金が1億5840万円となれば、改修・移転経費は9億円に迫り、現在地建替えの場合と比べて財産交換のメリットはほとんどなくなるといってよいのであり、財務省が財産交換をとりやめる判断に至っても不思議ではなかった。本件財産交換は杉並区が消費税額を請求しないことによってかろうじて成立したといっても過言ではないということである。

(6)

2点目として、消費税に対する区の認識の誤りを指摘する。国は財産処分の際には消費税を加算する旨を通達により明確に定めており(資料7)、本件においてもそれは実施された。対して杉並区は財産処分を行うことがきわめてまれなこともあり明確なルールがなく、本件およびこれまでの財産処分において消費税を加算せずに行ってきたことが明らかになっている(資料8)。その理由として、区は消費税を納税していないので、財産処分の際、買い手に対して消費税を請求するべきでないとの考え方によるものであったことが、明らかにされている。この点に杉並区の大きな過誤があることを指摘しなくてはならない。

消費税において非課税業者が消費税相当額を顧客から徴収すると、その金額がまるまる事業者の懐に入るかのように描く「益税」とする論があるが、これは誤りである。仕入れにかかる消費税は転嫁することができ、また転嫁しなければ業者自身の負担となってしまうことから、非課税業者であっても当然価格に転嫁することが適当である。これは行政においても同様である。すなわち、杉並区が財産を売却するとして、同財産の形成に必要なたとえば建築工事費等には当然消費税がかかっている。これを売却の際に転嫁しないならば、そのまま区民負担となってしまう。したがって、杉並区においても国と同様、財産処分においては消費税を請求しなければならない。にもかかわらず、本件において杉並区は消費税を実質的に請求しなかった。そのことは財政的な損失であることはもちろんだが、消費税に対する誤った認識にもとづいて行政たとえば産業政策等も執行されていることになり看過できない。

(7)

以上により、杉並区長に対し、損害額1億1840万円を回復する手段をとるよう勧告することを貴職に対し求めるものである。

回復の手段としては(1)国に対して、消費税額を追加請求のうえ徴収することが望ましいが、これが不可能であった場合(2)区長の責任において賠償することを求める。

2 請求者

住 所 杉並区下井草1-25-36

氏 名 (松尾ゆり 自署 印) 

  地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添え、必要な措置を請求します。

 2019年4月25日

杉並区監査委員殿

(別紙)

<資料目録>

資料1:杉並区議会2018年議案第21号(区議会において交換差金4000万円を受領する旨提案されたことを示す。議案は2018年3月15日杉並区議会本会議にて可決された)

資料2:見積もり合わせの結果について(財務省による見積もり合わせの結果、交換差金4000万円を国が区に支払う旨決定されたことを示す)

資料3:予定価格調書(交換差金)(見積もり合わせにおける財務省側評価額を示す。うち明細は交換差金計算調書による)

資料4:評価回答書(財務省側評価額のうち土地・建物の区分を示す。なお、財務省は2者の不動産鑑定士の平均をとって決定額としている)

資料5:見積書(交換差金)(見積もり合わせにおける杉並区側評価額を示す。うち明細は内訳書による)

資料6:不動産鑑定評価(調査報告書)の概要(杉並区側評価額のうち土地・建物の区分を示す。なお、杉並区は2者の不動産鑑定士の評価のうち区にとって有利(受け取り差金が比較高額)な評価額を決定額として採用している)

資料7:普通財産の管理処分における消費税の取扱いについて(大蔵省(当時)が国有財産の処分において「課税標準に消費税率を乗じて求めるものとする」と定めたことを示す)

資料8:2019年3月5日杉並区議会予算特別委員会における松尾ゆりの質疑(区は消費税を納税しないので売却価格に消費税を算定していない旨の区見解を示す)

阿佐ヶ谷のまちづくり~土壌汚染問題を中心として~(2019年度予算に反対する意見)

 2019年3月15日予算特別委員会において、予算に反対する意見を述べました。

 第一に、阿佐ヶ谷の再開発問題です。土壌汚染問題を中心として論じました。(1)土地の権利交換の評価額への影響。(2)土壌汚染対策の責任の所在。(3)学校が開校してからの環境汚染の心配。これらが考えられます。区は「河北病院が全面的に責任を負う」から「汚染がないものとして土地評価」などとふざけたことを言っていますので、反論しております。

 また、この地域で最近オオタカの姿が見られた、と発言しましたが、「ツミ」ではないかとの情報がよせられました。猛禽類の保護、ひいては生態系の保全についても述べました。さらに、地区計画導入に際しての「公聴会」について。本会議での答弁は間違いだと思うので指摘しました。 

 第二に消費税について。昨年5月に「あんさんぶる荻窪」と荻窪税務署の土地・建物交換が行われましたが、その際なんと、区は消費税の請求をしていなかったことが判明。1億2000万円の損になっています。財務省へのサービスだったのかと思ったのですが、実は、消費税のしくみを区が誤解していたということがわかってきました。この件、今後も追及いたします。

 田中区長の「土地転がし」で区が損をするのはもうやめてほしいと思います。

 第三に児童館や保育園などの子ども政策について述べました。杉並区のすぐれた子ども政策をなぜ目の敵にして潰していくのか。区長はなにかウラミでもあるのか。

(以下は発言原稿です。実際の発言とは異なる部分もあります)

 

【阿佐ヶ谷のまちづくりについて】

 杉並わくわく会議として、来年度予算案についての意見を述べます。

 第一に、阿佐ヶ谷北東地区のまちづくりについて述べます。阿佐ヶ谷北地域に育ち暮らして来た者として、この計画で地域が全く変わってしまうことは許容できません。

 質疑の中では、主に土壌汚染問題、換地価格、自然環境の保全についてただしました。

 まず、河北病院は土壌汚染対策法上の特定施設であり、東京都環境確保条例の指定作業場です。すなわち、有害物質を取り扱っている、土壌汚染があることが前提となる施設です。

 指定作業場であることが本件でどう問題になってくるかというと、第一に土地の権利交換にあたっての評価額です。第二に、病院の廃止とその後の工事に際しての土壌汚染対策の責任の所在です。第三に、学校が現実に開校して以降の環境汚染の心配です。

 【河北病院は「指定作業場」であり汚染が前提】

 まず、交換価値について、区は一貫して「土壌汚染については河北病院が全面的に責任を負うので、換地の評価には汚染を勘案しない」との態度です。しかし、土壌汚染調査は、あくまでも河北病院がけやき屋敷用地に移転した後に行うとのことであり、その実態は今のところ全くわかりません。病院が指定作業場であることを前提すれば、汚染があることを前提として評価する必要があります。

 何度もいいますが、この時点ですでに「照応原則」に反するのでそもそも換地が成り立たない土地だということです。区役所、区議会の皆さん、法の求める公正さを守らなくていいという立場に少なくとも私は立てませんが、みなさんはどうなのですか。

 【土壌汚染は「可能性」でも価格に影響】

 不動産鑑定においては、土壌汚染に対して、浄化費用分及び心理的減価(スティグマ)分をさしひく必要があるというのが常識です。

 また、本件に関しては土壌汚染の有無がいまのところ不明ではありますが、その場合には土壌汚染がないものとしてはならないというルールがあります。日本不動産鑑定士協会連合会の「不動産鑑定評価基準に係る実務指針」では「土壌汚染の存在の可能性が認められたときに、それが価格形成に重大な影響を与えないと判断できる場合以外は、土壌汚染の影響を考慮しなければならない」、また、「汚染の除去等の措置が行われたとしても、措置方法次第ではそれによる最有効使用の制約に加えて、汚染物質は存在し続ける場合もあり、また汚染物質を除去した場合でも汚染地であったということが心理的嫌悪感を招来し、対象不動産の減価の要因となる場合がある」とされています。

【本件病院跡地は汚染地かつ浸水地で売却困難】

 すなわち、汚染地は汚染の可能性があるというだけでも、またみつかった汚染が除去されたとしても、その価格を低く見積もられるのが常識なのです。本件病院跡地は加えて浸水地でもあり、地権者からすれば売却にはきわめて不利な土地ということになります。これを区が駅前の一等地と交換してくれるとは、天の助けのような話です。

 逆に、区は、不当に高い代価を払うことになり、地権者及び病院に対する不当な利益供与ということになります。公共財産の処分としては、許されません。

豊洲市場と同じ手法】 

 汚染地を汚染のないものとして扱うこの手法は、豊洲市場用地の土地交換で使われたものであり、田中区長はその経験から、ここでも同じ手法を使おうとしていると思いますが、区民の財産を毀損する不当な手法であり、正当な価格算定を要求します。

 ちなみに、換地にかかわる鑑定の情報などは請求しても黒塗りで出てくる状況です。これでは区議会、区民は、正しい判断ができません。仮換地指定以前に、換地計画とその根拠となる情報を区民に公開することが求められます。

 【土壌汚染対策に瑕疵担保責任を】

 第二に、土壌汚染処理の責任についてです。協定では「土壌汚染拡散防止措置、掘削除去」を病院の負担で行うとなっています。ところで、掘削除去といったところで、発見することのできた汚染土壌の除去、入れ替えであって、敷地全体の土壌の入れ替えではないことに注意が必要です。土壌汚染調査はサンプリングで行われるので、発見できた以外にも汚染が残っている可能性は否定できません。

 病院側が対策を行った後にも隠れた瑕疵がみつかった場合のために、病院の瑕疵担保責任を明記した契約を結ぶ必要があることは指摘しました。

 他の委員の質問に対して、吉田副区長が「馬橋公園拡張用地では国の責任でちゃんとやっている」と発言しましたが、その用地の国との契約において、瑕疵担保責任がうたわれているのですから、まして民間との取引においては当然のことと考えます。

【土壌の全面入れ替えが必要だが】 

 第三に、学校用地としての利用と汚染の可能性の問題です。いまのべたように病院側が汚染対策をしたとしても、のちのち汚染が見つかる可能性がないとはいえません。それは、学校が建設され、運営が始まったのちに発見される可能性もあります。

 それを避けるためには、やはり土壌の全面入れ替えが必要と考えます。小学校用地として使われる前提で話が進んでいるのですから、病院の責任において、土壌の全面入れ替えを行うことを求めるべきです。先ほどの土地評価の話にもどると、そこまでの保証があってはじめて「汚染のない土地」としての評価ができるものです。

【土壌入れ替えは区の負担になる?】

 ところが、区が民間に委託した「阿佐ヶ谷駅北東地区大規模敷地活用に関する調査業務委託報告書」では杉一小改築の費用算定に土壌入れ替えの費用7億3000万円が計上されています。河北の土壌汚染対策とは別に、区の負担で土壌全面入れ替えを実施するのかと問うたところ、それは今後の調整ということでした。

 今後の調整とはすなわち、土地区画整理事業全体の事業費の中に紛れ込ませてしまおうということなのか、そうして病院は負担を逃れて実質区負担になるのではないかと危惧します。

 【土地区画整理事業が隠れ蓑に】

 個人施行の土地区画整理事業という形をとっていることが、あらゆる情報の隠れ蓑となっています。区の財産処分をチェックするはずの財産価格審議会も口出しできません。

 なお、吉田副区長は日産跡地の話もされましたが、ここでつけたすと、この土地はURが購入後も地下水の汚染がみつかり、日産が薬剤処理したが、その後、1年間のモニタリングが行われています。河北病院跡地も、汚染の状況によってはモニタリング期間を必要とし、結果として、杉一小の移転はさらに1~2年延びる可能性も出てきます。これも調査業務委託報告書で指摘されていたことです。

 【絶滅危惧種の猛禽がいる】

 次に、環境保護の問題です。現在の計画では阿佐ヶ谷のシンボルであるけやき屋敷の森がほとんど消滅してしまいます。「意見交換会」でのコンサルの説明では緑化率を25%とするとの案も示されていますが、その大部分は新たな沿道緑化であり、森は南西の一部が形だけ残るだけです。

  東京都のレッドリスト絶滅危惧種IAに指定されているツミの話をしました。IA類とは「近い将来の絶滅の可能性が非常に高い」という分類です。

 ツミは2013年の杉並区自然環境調査において、のべ12羽が目撃され、区内で新たに繁殖が確認されました。先日本会議でお示しした写真は阿佐ヶ谷駅近くの商店街で撮影されたものですが、けやき屋敷、神明宮でも目撃されています。

 環境省の「猛禽類保護の進め方」では、猛禽類は行動圏が広く、調査によって得られる情報は断片的なものでしかない。したがって専門家の知見を得て不足している部分を補うことが重要、とされています。

 営巣地だけを守ればよい、個体が視認されなかったから終わり、ではありません。当該地はよそに住んでいるツミなど猛禽のえさ場になっている可能性も高いのです。

【森がなくなれば生態系が失われる】

 猛禽は生態系の頂点です。猛禽がいるということは、下位の生態系も健全なのであり、森がなくなることは、猛禽を頂点とするそこにある生態系が根こそぎ失われることになります。低木でも芝生でもなんでもいいから緑を植えれば緑化だという考え方では守れません。他の委員から玉川上水周辺の生物多様性保全という発言がありましたが、他方これほど都市化が進んだ阿佐ヶ谷における残された生物多様性はいっそう貴重で壊れやすいものです。区長が主張するように、区が関与したからみどりが守れるというのなら、この森を守るために、病院配置、学校配置をいまいちど見直す必要があると指摘します。

 【公聴会は「ひとつの例」ではない】

 次に、地区計画等における公聴会の開催についてです。

本会議では「公聴会は例示のひとつ」との答弁でしたが、これは国交省の見解とは異なるものです。

 「都市計画運用指針」では「特に、法16条第1項において公聴会の開催を例示しているのは、住民の意見を反映させるための措置として、住民の公開の場での意見陳述の機会を確保するべきという趣旨であることに留意する必要がある」と述べています。ここには「公聴会は一つの例示」とする言葉はなく、あえて公聴会、と書かれている意義について注意を促しています。

【説明会と公聴会は違う】

 つづいて「説明会は、都道府県または市町村が作成した都市計画の原案について住民に説明する場と考えられ、公聴会は、都道府県または市町村が作成した都市計画の原案について住民が公開の下で意見陳述を行う場と考えられる。(中略)今後は、都市計画の名称変更その他特に必要がないと認められる場合を除き、公聴会を開催するべきである」としています。

 説明会と公聴会を明確に区別し、そのうえで公聴会の開催を求めているものです。説明会ではだめなのです。本会議で答弁された「意見陳述の機会」を国交省の指針の趣旨を忠実に反映して行うように求めます。

 【消費税について】

 次に、消費税について述べます。今年10月の消費税率引き上げは区民の生活と営業に大きな打撃となるだろうことは想像に難くありません。質疑への答弁では、そのへんの関心があまり高くないらしいので残念に思いました。もう少し事業者に寄り添った対応が必要だと思います。

 【消費税1億2000万円の請求もれ】

ところで、あんさんぶる荻窪の財産交換を調べているうちに、大変な問題にぶつかりました。あんさんぶるの価額見積もりに消費税が転嫁されていなかった問題です。この金額は約1億2千万円にのぼり、この取引で区長はこれだけの損害を区に与えたことになります。 転嫁しなかった理由は、区が消費税を納税していないから、請求しなかったということでした。もし本当だとすると、これは大変な誤りです。

 【「益税」の誤り】

質疑でも指摘したことですが、よく「益税」といって「消費税は預り金であり、免税業者が消費税を徴収するのはおかしい」という論が見られますがこれは誤りです。事業者は消費税を徴税しているのではなく、自らが払った消費税を商品価格に転嫁することができる、という仕組みです。私たちがまちで買い物をして払う消費税は、正確には税ではなく、消費税が転嫁された価格の一部にすぎません。 

 杉並区はこの誤った「益税」の考え方にとらわれ「消費税を払わない者が消費税をとってはいけない」と間違えてしまったのではないでしょうか。もちろん、価格に転嫁するしないは事業者の自由ともいえます。しかし、区の場合は転嫁しなければそれはそのまま区民負担になってしまいます。あんさんぶるの財産交換では1億2千万円もの区民負担となってしまいました。しかも、他の資産売却でも同様に処理されてきたというのだから深刻です。

 同時に、消費税に対する誤った認識は、区民、事業者に対する区の政策にも影響を与える恐れがあります。特に、事業者の皆さんの経営と消費税の関係を誤って解釈する恐れがありますので、認識を正していただくようお願いします。

 すでに売却された、あんさんぶる等の資産について、この消費税分についての取り扱いは今後適切な形で是正を求めていきたいと考えています。

【田中区長の「土地ころがし」】 

 そうでなくても、あんさんぶるの財産交換には、財産鑑定が行われず、価格調査という形で交換が行われたこと、またその内容にも問題があることは昨年の予算特別委員会で指摘したところです。

  田中区長が、区有地および区施設を、土地ころがしのように国や民間の土地と交換し、そのたびに区の財産が毀損されていくのは見ていられません。

 このたびの阿佐ヶ谷の再開発においても、駅前一等地の貴重な区有地である杉一小敷地を手放し、駅前の一体開発に供するのは、区民のためではなく、不動産ディベロッパーや金融機関、ゼネコンなどの利益のためでしかないと厳しく指摘するものです。

 【公共用地が食いものにされる】

 他区でも、中野区の東中野小跡地のマンション開発、港区の田町駅前の土地区画整理事業による公共用地を利用した高層ビル街建設など、公共用地を食い物にする開発がいま都内で相次いでいます。このような手法を杉並区に、阿佐ヶ谷に持ち込むのはやめていただきたいと思います。

【区内各地に道路問題】

 都市整備ではこのほか、西荻窪の132号線をはじめとして、高円寺の227号線、この阿佐ヶ谷の133号線、相互通行問題がくすぶりつづける荻窪131号線。外環道、外環の2など多くの道路問題。動き始めた西武新宿線連続立体事業もあります。大型公共工事が住民の生活に及ぼす影響ははかりしれません。地域住民が主人子となるまちづくりに転換する必要があると指摘します。

 【児童館、保育園等子ども政策】

 次に、児童館・学童クラブ、保育園等子ども政策について述べます。委員会質疑では、最近の事件を受けて、児童虐待への対策を求める多くの発言がありました。どのご意見ももっともと思われるものでしたし、区が対応を急いでいることもわかりました。

 しかし、虐待の発見とその後の対処は、いわば対症療法です。もちろん、緊急に対処が必要なケースもありますが、行政が行うべき本質的な責務はもっと深いところにあるのではないでしょうか。

虐待行為やいじめなどが起こらないような親子関係、子ども相互の関係づくり、そして、子どもが安心して自分らしく成長していける社会と家庭のゆたかな環境づくり。いわば、対症療法以前の基礎体力作りのところで親子を支えていくことは、基本的な行政の役割です。

 【児童館がセイフティネット】

 杉並区の児童館は、職員はもちろん、地域の子育てネットワーク事業で、地域の人々や学校、行政機関と連携しながら子どもたちを守っています。一例として、昨夜説明会に参加するため訪れた堀ノ内南児童館では、町会の方が、特別支援学級の子どもたちの送迎などサポートを行っているとのこと、地域の力で子どもたちが守られていることがよくわかりました。

 これこそが杉並の子どもを守るセイフティネットです。児童福祉事業ではない放課後等居場所事業では、ここはカバーできないところなのです。

 しかし、新年度も児童館の廃止がスピードアップして進められます。

 【認可とは名ばかりの保育園】

 保育園も同様に、単なる子どもの預り所ではなく、親も子もともに成長していく場として保障されてきました。しかし昨今は、その能力のない保育園が増えてきました。区立保育園の民営化、及び、新しい民間園の質の問題です。区は認可保育園を今後も増やしていくといい、それ自体は必要なことですが、残念ながら、最近の新しい園の多くは、認可とは名ばかり、ビルの一室だったり、園庭がないのは当たり前、驚くほど狭い敷地に、子どもをぎっしり詰め込むような園が多くなりました。数ばかり追いかけて、保育の質がおきざりになっています。

 児童館廃止及び保育園、学童クラブの民営化に歯止めをかけて、今いちど、杉並区のすぐれた子ども政策、児童館、保育園のあり方に立ち戻ることが必要と指摘します。

  以上、区政の主な問題点について述べてまいりました。

 杉並わくわく会議として、平成31年度杉並区一般会計予算ほか4予算には反対とし、関連議案のうち、第23号議案については反対、他の議案については賛成とします。

  終わりにあたり、職員の皆様には、この間、資料の調整に多くの労力を割いていただき、また様々な問題につきまして丁寧にご教示いただきましたことに心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

阿佐ヶ谷の土地区画整理事業・地区計画に関する追加知識

 杉並区は2月28日まで「阿佐ヶ谷駅北東地区のまちづくり計画(案)」に対する意見募集を行っています。

www.city.suginami.tokyo.jp

 このページの「案」だけを読んでも具体的な中身はわかりません。

 住民グループ「阿佐ヶ谷の原風景 けやき屋敷の緑を心配する会」のブログを参照してください。こちらに掲載されている補足情報を簡単に紹介します。

1.けやき屋敷の緑はほとんど残らない(→けやき屋敷の緑地は20~25%のみ?)

 この記事に掲載されている写真は、区のオープンハウスに掲示されていたものです。けやき屋敷一帯の「河北病院予定地」の緑化率は20~25%とされていますが、写真の薄い緑の部分しか残らないとのことです。現状を航空写真でみると、屋敷の屋根が見える以外はほとんど緑に埋め尽くされているのですが。

2.河北病院は高さ40m=10階建て(→中杉通り沿いは高さ60mか?

 区の資料には「森に囲まれた病院」と素敵なことが書かれていますが、高さ40mですから現実には林立するビルのまわりに少しの緑という光景です。

3.小学校を汚染地へ移転(→中杉通り沿いは高さ60mか?

 杉並第一小学校は河北病院の跡地に移転する計画ですが、汚染地への公共施設の設置は豊洲市場を連想させます。また、河北病院の土地はきわめて地盤がゆるいこともわかっています。(辺野古と同じ軟弱地盤)

4.小学校跡地は高層ビル(→中杉通り沿いは高さ60mか?

 杉一小用地は病院用地と交換されます。そして、西友三菱UFJ銀行と並ぶ、中杉通り東側には60mの高さまでのビルが建てられるようになります(容積率や斜線制限も緩和)。

 

阿佐ヶ谷「北東地区のまちづくり」について(2019年2月18日一般質問)

 2019年2月18日、杉並区議会定例会において一般質問を行いました。質問項目は、 

1.阿佐ヶ谷駅北東地区のまちづくりについて

2.児童館・学童クラブについて

です。とりいそぎ、発言原稿を掲載します。(実際の発言は原稿と異なる部分があります。)

1.阿佐ヶ谷駅北東地区のまちづくりについて

 一般質問をいたします。第一に、阿佐ヶ谷駅北東地区のまちづくりについて質問します。

<区民に知らされない「意見募集」>

 現在、杉並区は「阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくり計画」についての意見募集を行っています。しかし区民のほとんどはそのことを知りません。なぜなら「広報すぎなみ」には告知がなく、区のホームページトップの「区からのお知らせ」には「阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくり計画案について」と書かれているだけです。そこから意見募集を読み取るのは不可能です。

 また1月28日には「まちづくり報告会」、31日には「オープンハウス」が開催されました。25日にはこの2つの会合の案内が、珍しく「区からのお知らせ」に掲載されましたが、28日当日になって、何があったのか知りませんが、この告知が忽然と消えていました。

 あらためて、阿佐ヶ谷の説明会等の開催、および意見募集については「広報すぎなみ」及び区のホームページで区民全体に告知し、ホームページの記載も「意見募集」が行われていることが明確にわかるように書き換えるべきと考えますがいかがでしょうか。うかがいます。(Q1-1)

 <「意見交換会」は名ばかり。「公聴会」を求める>

 また、これまでの「まちづくり意見交換会」は案内を地権者、居住者等ほんの一部にしか配布しておらず、いつも10人程度の参加しかありません。しかも、「意見交換」とは名ばかり、ほとんどの時間は説明を聞く会です。これでは区民の意見を十分に聞いたとはいえません。

 都市計画法16条には都市計画に係る公聴会開催の規定があります。「都市計画運用指針」ではこの条文が「縦覧及び意見書の提出とは別に、都市計画の案の作成の段階でも住民の意見をできるだけ反映させようという趣旨」であり「住民の公開の場での意見陳述の機会を確保するという趣旨であることに留意する必要がある」と説明しています。今回は杉並区の中でも学校、病院、森を含む駅前の最も公共的なエリアの地区計画です。地権者だけが納得すればいいというような話ではありえません。広く区民に諮って意見を聞く「公聴会」を開催すべきと考えますがいかがか。所見をうかがいます。(Q1-2)

 <具体的な内容は隠されて>

 さてこのたび公表された計画案を読みますと、これまで「意見交換会」で区の担当者とコンサルが詳しく説明してきた具体的な規制数値等が何も書かれていません。

  緑化率、高さ制限、容積率などの数値は、この地区計画に対する、賛否を含めた判断をする際の最も重要なファクターです。例えば、けやき屋敷のみどりがどれくらい保存されるのか。50%なのか、30%なのか、はたまた10%なのかで判断は変わってきます。

  建物の規模感もわかりません。「意見交換会」では何度も地域の方から「河北病院はどのくらいの高さ、大きさになるのか。ヘリポートはできるのか。入口はどちらになるのか」などの質問がありましたが答えはなく、「高さ40mのビル」という話が出てきて初めて、だいたい10階建て、森の高さをはるかに超すビルが建つ、ということがわかったのです。

<河北病院は10階建て、杉一跡地は60mの高層ビル街に>

  さらに、杉一小跡地です。今回の計画案には「一体的な街区として土地利用の見直しを行う」と書かれています。これだけでは何のことやらわかりませんが、コンサルの説明では「中杉通り側は斜線制限を緩和、高さは60mまで可」です。

 しかもよく見ると「小学校の跡地『等』を活用」と書かれていて、地図上では杉一だけの話ではなく西友三菱銀行も含むブロック全体の計画になっています。つまり、中杉通り東側のこの3棟の建物を「一体的な街区として」再開発し、60mのビルが並ぶ計画ということです。しかし、公表された計画案だけではここまで読み取れません。そこには「60m」という数字が欠けているからです。

 すでに意見募集は始まっていますが、今挙げたような数値はこれからでも公表すべきと考えますがいかがか。報告会で配布された「まちづくりルールのイメージ、意見交換会での主な提案内容等」という資料もあり、まずはこれをサイト上に公開することです。

 <批判的な意見は削除されている>

 また、意見募集の資料には「意見交換会で出た主な意見」が書かれていますが、そこには「60mの高さには反対」とか「みどりを『できるだけ守る』というだけでは弱いのでは」といった発言は載っていません。批判的な意見は消されています。疑問を呈する声、反対の声も率直に公開すべきです。

 以上、意見募集に際しての情報提供のありかたは極めて不十分です。公正な情報提供を求めますがいかがか、見解を伺います。(Q1-3)

 <「道路基盤」「法規制」が不都合なのは誰か>

次に計画案の「まちづくりの課題4 更新時期を迎えた複数の大規模建築物等」についてうかがいます。本文には「道路基盤や法規制により建物の機能更新が難しく」とありますが、「道路基盤」「法規制」とは何か伺います。「道路基盤」は中杉通りに面した建物に関しては問題があるとは思えないので、これは河北病院のことだと思われます。

 河北病院、地主さん等で構成する民間団体「阿佐ヶ谷駅北東地区を考える会」が2017年に区に提出した報告書には、病院の建て替えのためには、東京都建築安全条例の道路幅員がネック、また、区道つけかえをすれば、杉一馬橋公園通りの9mへの拡幅が必須で、まだ新しい河北の分院を壊さなければならないことが課題と書かれていました。また、「法規制」についていうと、以前にも指摘したように、河北病院がめざす現在の3倍程度の床面積が、現在の容積率および建築規制では実現できない。要は病院の都合という話です。まちづくりの課題ではありません。

  また、「適正な土地利用が行われていない」とも書かれていますが、これは例えばどういった状況を指したものでしょうか。杉一やけやき屋敷で容積率が十分消化されていないというようなことを言っているのだとすれば、これも環境を守るという点から疑問です。以上説明を求めます。(Q1-4)

 <区議会選挙の最中に計画を認可?>

 11月に新たに交わされた三者の協定書にはスケジュールの線表がついています。これによると、今年5月には土地区画整理事業の施行認可がおりる予定になっています。ところで今年4月は区議会の改選があり、私たち区議会議員の任期は4月末で切れます。新生議会が機能するのは5月も末になってからのことです。まさか4年に一度しかない、区議会が実質止まってしまうタイミングをとらえて、まちのあり方を根底から変えてしまうような大問題について、区長認可を出そうとしているのでしょうか。

<地区計画よりも先行する区画整理事業>

 また、この線表を見ると、区画整理事業が施行認可されたのちに地区計画等の都市計画手続きが行われるように読めます。しかし、今回の計画は、単なる土地区画整理事業ではなく、公共の場所に緩和型の「街並み誘導型地区計画」を導入し、独自の建築規制を設けるものです。こうしたルールは土地区画整理事業に先立って公益の観点から審査されて設定されるのがスジですが、区は逆でとにかく区画整理事業ありきの日程のようです。

 そこで、伺いますが、土地区画整理事業の施行認可の時期、他方、地区計画の都市計画審議会での審議などのスケジュールはどのように想定されているのか。また、地区計画の規制については、高さや容積率の制限、敷地の最小面積、壁面後退、などを条例で定める必要があるものと考えますが、いかがか、お尋ねします。(Q1-5)

 <阿佐谷北にオオタカが飛来!>

 次に、貴重な屋敷林の保全についてうかがいます。

 先日、阿佐ヶ谷北2丁目でオオタカが目撃されました。近所の方が写真をとったのがこれです。電線にとまりスズメを押さえつけて夢中で食べているところでした。(※写真は本会議録画配信またはこちらのサイトをご覧下さい。)

 場所はJR中央線の間近です。阿佐ヶ谷にタカが飛んでくるなんてすごいことです。けやき屋敷の森があってこそのことです。この森は守らなくてはなりません。

 <個人まかせにせず、区の責任で森の保全を>

 以前にも指摘したように、区はけやき屋敷を、区内10か所しかない「杉並らしいみどりの保全地区」に選定しているのですから、個人まかせにせず、区の責任で現況を保全するのが原則と考えますが、いかがか。所見を求めます。

 昨年の決算特別委員会で紹介した「東京の自然の保護と回復に関する条例」の理念も、基本的に現況を保全するか、または移植となっています。しかし、今回の計画案では「可能な限り」「できるかぎり」などと書かれるにとどまっており、守られる保障がありません。

<緑化率25%にするのか。それで十分か>

意見交換会」ではコンサルが「けやき屋敷を中心とする河北病院の用地については、緑化率を25%程度としたい」と説明してきました。25%が妥当かどうかはわかりませんが、具体的な数値を規定する必要があると考えますが、いかがか。

 ただし、条例で定めない限り、いくら高い緑化率の目標をかかげても、拘束力がありません。したがって、都市緑地法に規定された地区計画緑化率条例を制定すべきと考えますが、いかがか。所見を伺います。(Q1-6)

 <緑地を地区施設として守るのか否か>

 さらに、意見交換会ではコンサルから「緑地を地区施設として設置する。地区施設というのは安易に改変できないものなので、緑地が必ず残せる」との提案がありました。ところが、この計画案にはこのことが明記されていません。

 同じ地区施設である道路については、たとえば「幅員9m」などとその数字まで具体的に書かれていることと比べ、消極的です。緑地を地区施設とすることについては計画化されるのでしょうか、されないのでしょうか。答弁を求めます。

<けやき屋敷南側の並木は伐採?>

 特に、けやき屋敷門前の砂利道沿いのけやきの木は、景観としても歴史的にも重要なものだと、意見交換会で何度も住民の方から意見が出されています。ところが、計画案の図をみると、この道をはさんで南側のけやきは保全される緑地から外れています。じっさい、現地では、大幅な剪定がなされ、けやきは丸太のようになってしまっています。これらの木は保全することなく切ってしまうのでしょうか、伺います。(Q1-7)

 <土壌汚染は豊洲市場と同じ>

 この項の最後に、杉一小の移転が計画されている河北病院敷地の土壌汚染についてうかがいます。ただでさえ、病院用地は土壌汚染対策の対象とされます。まして河北病院は、昭和初年に創業された病院です。当時の環境基準、医療廃棄物管理は、全く野放しといっていい状況だっただろうと想像されます。

 以前にも指摘しましたが、仮に病院跡地の土壌を全面的に地下3mまで入れ替えることになれば7億円以上の費用がかかるということは、区自身が算定しています。仮に7億円かかることになったとき、果たして、河北病院がそれを全部背負って責任を果たしてくれるのでしょうか。

 ここで想起されるのが東京都の豊洲市場です。東京都は市場用地の汚染処理を東京ガスに請求することを放棄し、都の費用で処理してしまいました。この例を見るとき、河北病院跡地の汚染対策を、杉並区の費用でまかなうことがないとは言い切れません。

<肺がん見落とし事件で手のひら返し>

 さらに、河北病院については、昨年から区を大きく揺るがしている肺がん検診の見落とし問題があります。この問題の当初から病院の対応は非常に鈍く、かつ、区長も先日の記者会見で述べていたように、昨年末になって突然、病院側の見落としは問題なかったかのように主張し始めました。いわば杉並区としては手のひらを返されたわけです。その法人を、本当に阿佐ヶ谷再開発のパートナーとしてよいものでしょうか。

  区担当者の説明によれば、いまのところの計画では、河北病院の移転後、現在の建物を解体した後にはじめて土壌汚染の調査を行うとのことですが、そこまで進んでしまってから、法人側がまた手のひらを返したら小学校はいったいどうなってしまうのでしょう。

南伊豆町の病院跡地、有害物質で計画がストップ>

 実際、杉並区政にとってはある意味身近なところで、病院跡地の汚染問題が起きています。

 他の議員からも指摘があった南伊豆町の旧湊病院跡地の汚染問題です。杉並区も協力して行うCCRC事業の予定地から、微量ながら有害物質が検出されたことで、CCRC構想は現在暗礁に乗り上げているとのことです。病院跡地の利用はこうしたリスクがあるということです。ましてこちらは小学校の用地です。

 <計画認可以前に土壌汚染の確認を>

 では、リスクを回避するにはどうしたらよいか。まずは、土壌汚染の状況を、いまのうちに確認しておくことです。土地区画整理事業の施工認可の前に、病院に対して土壌汚染の調査を求め、その結果を公開して区民の判断をあおぐことが適切と考えますが、いかがか、所見を求めます。(Q1-8)

 2.児童館・学童クラブについて

(1)児童館の再編について

 次に、児童館・学童クラブについて質問します。まず児童館の再編に関連してうかがいます。

<下井草児童館廃止後も小学生の使用を>

 先日、下井草児童館の廃止とプラザ転用の説明会が行われました。下井草地域では「ジャリ公園」とよばれて親しまれた向井公園が2016年に廃止され保育園に転用されましたが今回さらに、隣接する児童館が廃止され、また、来年春には、隣の学区の東原児童館も廃止される計画であり、この地域の子どもの居場所が次々に廃止されていくのは、何の罰なのでしょう。

 説明会では、何人もの保護者の方が「思い切り体を動かせる場所が減ってしまった。児童館の遊戯室は、これからも小学生に使わせてほしい」と発言されました。区の計画では小さな部屋を放課後の小中学生の場所とするようですが、今まで遊んでいた子どもが、遊戯室を使えなくなるのはかわいそうです。説明会でお話を聞いているとき、廊下のほうから、子どもの声で「3月まではここで遊べるんだよね」という話し声が聞こえました。じゃり公園も失った子どもたちに、再度こんなことを言わせるのは本当にむごいです。保護者の方々の声のとおり、遊戯室のタイムシェア利用はできないか、うかがいます。(Q2-1)

 <子どもプラザ天沼で小学生は>

 下井草児童館は子ども子育てプラザに転用されますが、先日、プラザ天沼利用者のこんなエピソードを聞きました。休日、お父さんが1年生と就学前の2人の兄弟をつれてプラザ天沼に遊びにいったところ、お兄ちゃんだけが小学生の部屋に誘導された。弟はお父さんと楽しく遊んでいたが、お兄ちゃんはひとりでいなくてはならず、つまらないと訴えて、3人とも早々に帰って来ることになってしまったというのです。

 プラザ天沼ができたとき、見学させていただきましたが、入口にはたくさんの下駄箱があり、多数の小学生の来館を予定しているとのことでした。しかし、このような扱いが事実でえあれば、小学生は行かなくなるでしょう。

 そこで伺いますが、プラザ天沼の小学生の利用人数はどの程度か、また、この例のような運用は改めて、小学生ももっと自由に遊べるようにしていただきたいが、いかがか。見解を求めます。(Q2-2)

 <東原児童館の廃止・再編>

 次に、東原児童館の再編に関して伺います。地域の方々から要望書が区に提出されました。その内容は、新しい地域コミュニティ施設について、区は住民とよく話し合ってほしいこと。東原児童館のよさを評価し、施設が転換されても、内容を継続してほしいこと。またそのための職員を配置してほしいこと。地域も行政と協力して活動したいのでサポートをお願いしたいこと。などです。

 幸い、区の主催により地コミにかんする意見交換会が開催されることになりました。すでに第1回が開かれ、私も傍聴させていただきました。杉九小の学区にかかわる5つの町会の会長さんやPTA会長さんなどがしっかりと意見を言って下さっている様子に安心しました。

<児童館の現状を知ってほしい>

 ただ、東原児童館の地元以外の4人の町会長さんは、全員口をそろえて「児童館のことを全く知らないので意見が言えない」と困っておられました。まず現状をお知らせしてから話し合いをするのが順序ではないでしょうか。この意見交換会の構成員の皆さんに対しては、現在の、東原児童館、阿佐ヶ谷北ゆうゆう館、杉九ゆうゆうハウスの利用実態、活動の様子、地域との関係をきちんとお知らせした上で、地域にとって有益な施設になるよう実のある議論をしていただきたいと期待しますが、いかがか、所見を求めます。(Q2-3)

 <児童館の庭を「空き地」という職員>

 なお、この会議で、司会の地域課長が、東原児童館の庭のことを知らず「空き地があるんですか。それも活用して」と表現していたことには仰天しました。空き地なんぞありません。東原児童館には樹木に囲まれたお庭があり、これが特徴でもあります。つまり、課長自身が東原児童館を訪れたことがなく、庭の存在すら知らずに再編を議論しようとしているわけで、地域が必死になってお庭を含めた子どもの居場所を守ろうと知恵を絞っているのに無神経な発言で、大変失礼だと思いました。

 また、傍聴していたある方は、帰りがけに立ち寄ったコンビニで、この会議に出ていた職員どうしが、ゆうゆうハウスのことを「使われている施設だったんですね」と話しているのを目撃してびっくりしたそうです。ちなみに、ゆうゆうハウスは区の事務事業評価によれば29年度利用率が97.5%とほとんど常時満席で使われている施設です。認識不足にもほどがあるというものです。大切な地域施設の廃止が与える影響を軽々しく考えているのならきわめて問題と指摘します。

 <乳幼児の居場所はだれが運営するのか>

 次に、地コミには乳幼児の居場所が確保されるとのことですが、児童館のゆうキッズでは職員さんが保護者の仲間づくりをサポートしてくれます。子育て相談にものってくれます。そういう職員がいなくてスペースだけあっても、いごこちのいい場所にはなりません。運営は誰が行うのか、伺います。(Q2-4)

 (2)学童クラブの民間委託ガイドラインについて

 次に、学童クラブの民間委託ガイドラインについてうかがいます。

<区議会に事後報告は言語道断>

 昨年11月の保健福祉委員会に唐突に「民間委託ガイドラインの懇談会」についての報告が出されました。唐突だったばかりか、その報告の段階ですでに第一回懇談会が終わっていたのには驚きました。このような重要な事項について事後報告とは言語道断です。議会軽視としかいいようがありません。反省の弁を求めますが、いかがか。

<保護者へは全く告知なしに重大変更>

 議会への報告ですら事後なのですから、いわんや保護者へは全く周知されていません。ホームページの開催告知も当日付だったり、全く不十分であると考えますがいかがか、見解を求めます。(Q2-5)

 <営利企業に突然、学童委託を開放>

 今回のガイドライン作成にあたり、区はこれまで社会福祉法人NPOなど非営利法人に限っていた応募資格を、営利企業にまで拡大しました。

 しかし、学童クラブの委託を非営利企業に限定してきたのには理由があるはずです。2004年に最初の学童クラブの民営化が提案された時、保護者からは反対の声が強く上がりました。紆余曲折を経て委託が決まり、利用者への配慮も含め、営利企業への委託は行わないことが杉並区のルールとして確立してきたものです。当然、慎重に扱うべき問題です。

 ところが、保護者には知らせず、意見募集も行わない、しかも11月19日に始まった懇談会が1月12日には終結してしまう、年末年始もはさんでいるのに2ヶ月足らずで4回というとんでもないタイトなスケジュールだったことは、きわめて不当な扱いであると考えますがいかがか、所見を伺います。

 <否定的な意見はここでも隠されて>

 さらにもっと不当なことは、営利企業に対する否定的な意見が懇談会の資料から消されていることです。

 私は第2回の懇談会を傍聴しました。そこでは第1回目に行われた視察の感想が述べられました。視察は社会福祉法人が運営する区内の学童クラブと株式会社が運営する他区の学童保育との2カ所を対象に行われたとのこと。その感想を委員の皆さんが述べたのですが、どの委員も「株式はプレゼンはカンペキだけど、実際の運営は違う」「社福は、人材不足の悩みなど打ち明けてくれ信頼できた」といった感想だったのが印象的でした。

<保育の理念がない株式会社>

 学識の委員からは「株式会社では、子どもをどう育てたいとかの理念がなく、とにかく仕事をとって資金をまわしていくというやり方のところも多い」という指摘もありました。株式会社と「区内で現在委託している社会福祉法人の運営」とでは明らかに差があるという意見が大半でした。

  ところが、こうした意見が次の第三回に配られた「まとめ」には一切掲載されていませんでした。少しでも否定的な意見はすべて消されていました。しかし、私は聞いていました。区はこれらの意見を掲載しないことで、議論をミスリードしていたと思いますが、いかがですか。所見を求めます。(Q2-6)

<委託先への支援が必要> 

 懇談会で区担当者は、委託事業者に応募する法人が少ないので、要件を緩和する必要があるとしきりに主張しました。これについて、ある委員から「なぜ応募する法人が少ないのか、理由はわかりますか」という発言がありました。これは重要なポイントだったと思います。しかし、区側はこの質問に答えず、質問は黙殺されました。

 そこで改めて伺いますが、いったいなぜ応募する法人が少ないと考えていますか。区の見解を求めます。(Q2-7)

  私は学童クラブの委託自体に反対ですが、百歩譲って委託するとしても、できるだけ優良な法人を選定しないと、犠牲になるのは子どもたちです。

 実際、私もある法人に委託に応募しないかと尋ねたことがありますが、まじめな法人ほど、事業として採算がとれるのか、人材確保ができるのかなど不安が大きいようです。保育など児童福祉の事業に実績のある優良な事業者に応募してもらうためには、資金面を見直すこと、また、職員配置を厚くし、待遇をよくして、人材確保をやりやすくするなどのサポートが必要ではないかと思いますがいかがか、伺います。 保育の質は二の次とばかりに唐突に応募要件を緩和した区の方向性は全く逆です。(Q2-8)

<学童クラブが足りないならなぜ児童館をつぶすのか>

 今後、ますます学童クラブの需要は高まることが予想されます。あらためて、区は40館の児童館という資産の価値を再評価すべきです。児童館を学童保育に活用することは国も推奨しているところです。廃止せず、逆に活用することで、子どもたちの放課後を豊かに見守る方向に転換するよう求めて質問を終わります。

保育園というバケツの大きな穴。公費の4分の1が流出(一般質問しました)

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 2018年11月21日杉並区議会第四回定例会一般質問しました。

◎保育について

 区内保育園財務書類2017年度分)を東京から情報公開にて入手した結果を述べました。保育園人件費運営費の7割程度といわれていますが、驚くことに、情報入手した私立認可保育園53園のうち、7割を超したのはわずか7園でした。53園の平均では6割に届きません。区が支払っている多額の予算の4分の1は、保育園運営に使われず運営法人利益あるいはストックになってしまっています。これじゃ保育士のお給料が上がるワケがない。

 区立保育園民営化については主に事業者選定の際の「ガイドライン」について質問しました。民営化するとしても、選定を厳しくし、せめて質の高い事業者が選ばれるようにしなくてはならないと思います

◎清掃行政について

 今年の夏の酷暑の中で、清掃委託派遣の方々は「休憩所ナシ」「休憩時間とれず」「休憩は車の中」「その車は冷房オフ」という地獄のような環境で働いておられました。もちろん違法ですね。

(以下は発言原稿です。実際の発言とは違うところがあります

1.保育について

 一般質問をいたします。最初に保育について質問します。杉並区はこの間、私立認可保育園をはじめ、保育施設を大量に建ててきました。それ自体必要なことですが、質の低下が問題となっています施設がふえても、児童福祉は後退しているのではないか心配です。

(1)保育園財務

 本日はまず、財務の面から保育の改善を考えたいと思います

 先の決算特別委員会で、私は2016年度の区内保育園財務状況について指摘しました。東京都は「保育士キャリアアップ補助金」を受けた施設に対し、人件費比率などを含む財務状況の報告書提出を義務づけていますジャーナリスト小林美希さんはこの報告書東京から情報開示して分析をまとめました。その初出は雑誌世界」の今年2月号、3月号、その後岩波新書「保育格差」として出版されています。これにならい、私は杉並区内の保育施設財務書類請求して分析しました。決算特別委員会のあと、新たに昨年度2017年度分、すなわち最新の財務書類を入手しましたので、本日は、その数字からいくつかのポイントを指摘しておきたいと思います

 なお、認可外も含めた全提出書類調査しましたが、本日問題をわかりやすくするため、認可保育園53園のみを対象として論じます

 また、入手した数字は保育課に提供しましたので、今後の参考にしていただければ幸いです。

公費流出

 さて、指摘すべき第一は、決算特別委員会で指摘したように私立認可保育園に投入される公費のかなり多くの部分が、その園の保育に使われずに流出してしまっていることです。保育園運営費基本的に、人件費事業費、事務費の、それぞれに必要な経費を見積もって公定価格積算されていますしかし、国は規制緩和により、運営費を他の用途へ流用することを認めました。そのため合法的に流用ができてしまうわけです。

 今回開示された2017年度提出分のうち認可保育園53園の総額は約26億円、事業活動収入の総計が101億円なので、約26%、つまり公費の4分の1以上が流出しています。この26億円の内訳は、積立資産支出事業区分間・拠点区分間・サービス区分間繰入金支出、そして、当期末支払資金残高を合計したものです。積立資産支出は、事業者が積立に回すもの事業区分間・拠点区分間・サービス区分間繰入金支出とは、同一法人経営する他の園、他の分野、例えば介護事業など当該保育園とは別の区分に繰り入れるものです。

 実態としては、そのかなりの部分は企業法人本部経費に回され、あるいは、新園開設のための資金として流用されています

 なお、事業費の内訳をみると、業務委託費が1割以上にのぼる園がいくつもあります給食習い事などを外部化して関連会社に支払い、そちらの収益となるビジネスモデルもあるのです。

 国の規制緩和により、保育園というバケツには大きな穴があけられ、投入された公費の4分の1以上が園の外へ流出してしまう、すなわち、企業法人の他の部門収入となってしまうという仕組みです。次々に保育園をつくれる裏にはこういう錬金術があるわけです。これでは子ども福祉のための保育園ではなく、保育園経営する企業経営拡大ための保育園です。以上、資金流出の状況について述べましたが、区はこの実態をどのように考えるか。所見を伺います。(Q1-1)

人件費について)

 第二に、肝心な人件費です。先ほど述べた保育園資金流出は、最も大きな支出であり、かつ削りやすい人件費犠牲にすることによって行われています

 現在の保育制度設計するにあたり、国は保育園幼稚園調査し、全体として人件費が7割程度かかっているとの結果を発表しました。こうした調査をもとに公定価格においては人件費が7~8割になるよう設計されています。ところが、区内保育園財務書類分析したところ、なんと驚くことに、人件費7割以上の認可園は、53園中7園しかありませんでした。しかも、この場合人件費施設長、事務職員など子どもに直接かかわらない人も含んでのものです。前述の小林美希さんにならって、これを便宜上「全体人件費」とよびます。全体人件費比率が5割を切っている園が11園、うち社会福祉法人1園、企業10園と5分の1にのぼります。53園のうち最低の値を記録したのは、区有地につくられた社会福祉法人保育園で41.6%となっています(この園は昨年開設したばかりですが、大量離職も起きています)。53園の平均では、58.3%と6割を割り込んでいます

 ちなみに、これは先の書籍に紹介されていた数字ですが、仙台市2016年度実績で平均74.8%とあり、杉並区の6割未満というのは、23区全体の傾向ともいえますが、かなり非常識に低いものです。

保育士人件費

 次に施設長などを除いた、子どもに直接かかわる保育士調理士、看護師などの「保育士人件費」の比率を見ます。53園の平均では47.9%と5割を切っています。最も高いところで69%、逆に低いほうは、下から26.9%、29.5%、31.3%がワースト3です。園によってかなり格差があることがわかりますが、保育士人件費が3割に満たない認可園があるのには恐れいります

 そこで質問します。人件費比率が7割を超えている認可園は確認できた53園のうち7園しかなく、平均は6割を切っています。このことについての所見を伺います。また、流用されている費用人件費にまわすように指導すべきではないでしょうか。区としての対策はあるかうかがいます。(Q1-2)

 以上のような公費流出人件費比率は、保育士賃金、保育の質に直接響いています。これは国が行ってきた規制緩和問題の根源があります。都や他自治体と協力して規制強化へと国が政策転換するよう求めるべきと考えますいかがか、うかがいます。(Q1-3)

 保育を企業の草刈場にした国が悪いのですが、杉並区もまたそれにのっかっているともいえます。ひとしきり問題となった区長後援会ゴルフコンペにも、いくつかの保育園運営事業者が参加しており、これらの企業区長、副区長が仲良くゴルフをする関係だとすると、資金流出を止めることは残念ながらなかなか難しいと言えるかもしれません。区政の転換があらためて必要であると感じるところです。

(2)区立保育園民営化

 次に、区立保育園民営化についてうかがいます。いま述べてきた民間保育園資金流出人件費の削減を考えると、民営化かしこ選択とはとうてい言えないと思います

 現在の区の計画では、今後6年間でさらに6園を民営化、区立を27まで減らすことになっていますしかし、他区では、民営化をしないところもあります。 前にも指摘しましたが、文京区は1園民営化したのち、民営化をやめています。世田谷区も数園を民営化しましたが、当面は予定がありません。その他にも民営化をしない区がいくつかあります。これらの状況をみると、杉並区がなぜ休息に民営化を進めなくてはならないのか理由は不明確です。

 民営化された園の保護者からよくうかがうのは、区が説明会で「民営化しても変わりません」と説明していたが、実態はそうではなかった、ということです。上井草保育園民営化後、保護者から、朝夕の保育補助の人員が減り、また、区立ではおかれていた用務の職員がいなくなり、用務や保育補助の仕事まで保育士がこなしており、多忙化しているとの指摘がありました。

 また、中瀬保育園民営化にあたっての説明会では「公募要項の基準公募時は満たされていても、のちに満たされなくなった場合、区は対応してくれるのか」との質問に対し「信義則として公募要項の要件を守るよう働きかけるが、罰則などはない。運営開始後に保育士退職などはありうる」との回答、朝夕パートについても「運営費の中でどのように人を配置するかは事業者判断」などの説明がなされており、これは、区立同様の水準を選定時に定めても、結局ザルだということです。

 このように「区立の保育水準を変えない」ことが保障されないなかでは、区立保育園民営化することにより、保育の体制、保育の質に必ず影響が出てしまます現在予定されている民営化計画については立ち止まり、見直すよう求めるがいかがか。見解を求めます。(Q1-4)

(3)民営化ガイドライン

 次に民営化ガイドラインについてうかがいます保護者のグループから提案を受けましたので、それをふまえて提案します。まず、ガイドライン改定にあたっては、区役所内部だけでなく、外部の専門家保護者代表を含む公開の審議会で行うべき、ということです。次に、内容について提案します。

公募要項の改善

 第一に、公募要項の改善により、事業者の選定をより厳正に行うことです。このかん、上井草保育園、杉並保育園事業者選定に際しては、保護者選出の選定委員要望に応える形で、公募要項の改善が図られてきました。事業者の応募条件として、認可保育所運営実績を、杉並保育園では10年以上、上井草保育園では6年以上としました。民営化ガイドラインでは1年以上とされているのと比べ、厳しい内容で募集されました。また、全ての既存園の実績で人件費がおおむね70%以上であるという条件や、有休、育休の適切な付与などの労働環境に関する条件も付されていました。

 しかし、これらの条件が中瀬保育園公募要項では後退してしまっているのは残念なことです。今後は上井草・杉並の選定をスタンダードとして、書き込んでいくべきではないでしょうか。その点でもガイドライン改定必要となります

 また、上井草保育園の選定にあたっては、園長の条件として実務7年以上の上に、1年以上の施設経験を求め、さらに、「運営に関する条件」として、

発達障害など要配慮児に対する体制

・区立上井草保育園の保育目標行事の継承、近隣の学校との連携

情報公開説明責任

などについて詳しく書かれています。これらは子どもを守るための最低限の条件であって、今後の選定にも生かしていくべきことではないでしょうか。

(選定の手法

 次に、選定のやりかたについてです。お隣の中野区は区長がかわり、保育園民営化についても見直しが行われました。このたびの民営化では公開プレゼンテーションが行われたそうです。また、中野区の選定委員会では、保育士栄養士看護師現場職員が現地施設派遣され、一日の保育をチェックして評価する、ということです。これは素晴らしいと思いました。区の選定委員会においても、これらの手法に学ぶことが必要と考えます

 また委員会会議録については、これまでにも指摘してきましたが、選定委員会は非公開であり、内容を知ることができません。しかも、会議録を開示しても、議論の内容は全く記録されていません。そのため、上井草保育園の選定では「標準偏差」という奇抜な手法が導入されたことが誰の提案だったのか、なぜそのような結論に至ったのかの検証が全くできませんでした。区は民営化を進めるのであれば、区民・利用者に対する説明責任をきちんと果たしていくべきと考えます

(移行のしかた)

 第三に、民営化への移行の仕方です。練馬区などでは、行政保護者事業者の3者による協議会を立ち上げて、民営化プロセススムーズに進むように、進行管理を行っていくとのことです。

 また、合同保育について、現在ガイドラインでは合同保育は民営化前の4か月を目安とするとされていますが、それでは短いとの指摘があります。具体的には民営化前の6か月、民営化後の6か月の計1年間は最低限必要と考えます民営化後も区職員保育士派遣して共同で保育にあたることになりますが、これはすでに、武蔵野市、日野市など多くの自治体で実際に行われている例があります。また、合同保育が終わったあとも、行政保育士毎日巡回して指導に当たっている自治体もあります子どもたちの心の安定を考えれば、こうした手厚い引継ぎが必要です。

 以下ガイドラインについて、まとめて質問します。

 第一に、区立保育園民営化ガイドライン改定時期はいつごろか。また、改定にあたり、保護者学識経験者を交えた審議会等の設置を求めるがいかがか。(Q1-5)

 第二に、保護者等の意見により公募要項に盛り込まれてきた保育園運営年数、施設長の経験年数などの改善を改めてガイドラインに取り入れ、今後引き継いでいくことを求めるがいかがか。(Q1-6)

 第三に、運営事業者選定の際、公開プレゼンテーションなどの手法を導入するよう求めるがいかがか。(Q1-7)

 第四に、民営化移行時の合同保育期間の延長を求めるがいかがか。以上、見解を求めます。(Q1-8)

 なお、杉並の民営化ガイドラインにはめざす保育の在り方が全く述べられていないという大きな問題があります。世田谷区のガイドラインを前にも紹介しましたが、

・区立の水準を守れる事業者を選定する

児童福祉法理念子どもの育ちを重視した質の高い保育、質の高い職員

などが具体的に書かれています。杉並区のめざす保育はただひたすら数だけなのでしょうか。そうではないというなら、理念をしっかりと書き込んでほしいと思い、この項の最後要望します。

2.清掃行政について

 次に、清掃行政についてうかがいます

(1)この夏の過酷労働

 この夏は、本当に記録的な猛暑であり、不要不急な外出は避けるようにというよびかけまでなされるような状況でした。他の議員から発言がありましたが、このような過酷環境の中、毎日ごみ資源収集に当たられた職員の皆様には、心から感謝いたします。

 ところで、この過酷な夏に、さらに過酷環境に置かれていたという、委託先の派遣労働実態をうかがう機会がありました。

 清掃事業委託企業運転手作業員派遣している労働組合、いわゆる労働者供給事業、労供とよばれる形態をとる新産別運転者労働組合(新運転)および日本自動車運転士労働組合(自運労)は、あまりに過酷労働環境をなんとか改善しなくてはと、23区区議会議員によびかけて8月に勉強会を開催されました。そこでお聞きした要望などにもとづき、以下質問します。

 現場からの声として、

・休憩がとれない。休憩をとる場所時間がない。

・汗をかいても着替えができない。

・車内で休憩するしかないが、清掃車両路上に停まっていると苦情が入る

アイドリングオフを守るため、エアコンが使えず、車内は高温で耐えがたい

作業量が増えており、時間までに終わらせるために猛暑の中、走り続けなくてはならない

などをうかがいました。現場のようすの一端を伝えるものとして、新運転東京地方本部機関紙から抜粋して紹介します。

収集作業員はいつ緊急搬送されても不思議ではない状態。実際に収集作業中に体調が悪くなり緊急車両要請するか現場判断する状況となっている件数が、週に3件から10件ある」「午前10時から14時の最も危険時間帯に90分にも及ぶ灼熱地獄での収集が続けられている環境もある」さらに「午前中の炎天下での作業を終えて昼の休憩をとるにも、十分に体を休める施設等があまりにも不足している」そのため「路上車両を止め、東京都の条例を守りエンジンを停止した状態車両の中で、50度を超える状況で待機をしています」というのです。聞いただけで汗がしたたってくるような気がします。

 そこで伺いますが、資源回収等、委託先の労働環境について、特に今夏の猛暑の中で、このような状況で、労基法に定められた休憩時間すら適正に守られない違法状態であることを区は把握しているのでしょうか。(Q2-1)

 また、先ほどの意見にもありましたが、資源回収の作業手順が厳しくなっているとのことです。猛暑の中を作業員が走り続けていると聞き、そう思ってみると、確かに資源回収の日、作業員さんが走って収集している姿が目につきます。歩いて収集したのでは時間までに仕事が終わらないのだそうです。こうした実態を区は把握しているのでしょうか。(Q2-2)

 このような状況は、車を増やし、人を増やして、作業量を減らしていくことでしか解決できないのではないでしょうか。

区は委託事業者及び労供と協力して、着替えや休憩場所の確保などの労働環境を整備し、また作業手順を適正に見直すように求めるが、見解を伺います。(Q2-3)

 新宿区では清掃事務所の地下駐車場民間駐車場借り上げで休憩場所として提供しているそうです。杉並区も各区も最低限その程度のことはすべきではないでしょうか。委託とはいえ、清掃事業は区の事業であり、その労働環境において違法状態を解消する責任があります

(2)車付き雇上

 次に、「車付き雇上」についてうかがいます

 杉並区は今年から清掃事業に「車付き雇上」を導入しました。「車付き雇上」とは耳慣れない言葉ですので、少し説明します。

 23区の清掃作業では、区有車両のほかに「雇上会社」とよばれる委託企業が清掃車両運転手供給するというやりかたが、移管前の東京都の清掃事業時代から行われてきました。当初は車両運転手だけで、区職員作業員を積んで現場にいくというやり方だったのですが、次第に、作業員までも雇上会社供給するケースが増えてきました。これが「車付き雇上」です。ちなみに、この雇上会社運転手作業員として、先ほど述べた労供の方々が派遣されてきているわけです。

 杉並区はこれまで「車付き」は行ってこなかったのですが、今年から導入したとききました。そこで伺いますが、今年度は何人、また何組の「車付き」を導入したのでしょうか。また、来年度以降「車付き」を拡大する予定はあるのでしょうか。(Q2-4)

 これまで、車付きを導入してこなかったのには、それなりの理由があったと思います特に、清掃事務所職員の皆さんのがんばりで、業務を支えてきたことが大きかったのだと思いますしかし、2000年の区移管から18年が経過し、職員の減少、高齢化限界にきているのではないかと思います。そこで、区清掃職員の状況について、区移管時と現在の清掃職員の人数、平均年齢をお示しください。(Q2-5)

 杉並区ではこの間清掃職員新規採用を行ってきたでしょうか。また、他区において新規採用しているところもあるとうかがいます。区が把握している状況をお示しください。(Q2-6)

 他の議員質問にもありましたが、ごみ資源収集作業は、きわめて高度な専門性要求される仕事です。先日、東京清掃労組から私たち議員に対して、参考資料を配布していただきました。そのなかに、大東文化大准教授藤井誠一郎さんの著書「ごみ収集という仕事――清掃車に乗って考えた地方自治」がありました。この本には大変生々しく、清掃現場作業の様子が描かれ、しかも、いかに専門的な知識と経験必要な職かということがよくわかります

 以前、新潟で豪雨の折に、23区の清掃職員派遣されたというお話を聞いたことがあります派遣先自治体は清掃業務民間委託しており、民間事業者災害ごみの運搬を行っていたが、いっこうにはかどらない。そこへ、23区の手練れの職員さんたちが行き、初めて行く場所にも関わらず、たった3日で片付け終わってしまったという劇的な活躍でした。先の西日本豪雨においても、杉並区は総社市への清掃職員派遣を行いました。こんなことがいきなりできるのも、専門家である職員さんがいるおかげです。

 清掃職員高齢化で、今後こうした技術の継承ができるか心配です。災害対応の点からも、清掃職員の若返り、新規採用必要と考えますいかがか。最後見解を伺って質問を終わります。(Q2-7)

高円寺、上井草、あんさんぶる…杉並区政史上例のない住民ないがしろの年(2017年度決算の認定に反対しました)

 昨年度の決算に対する意見ですが、昨年度といえば、高円寺小中一貫校でスラップ訴訟があったり、上井草保育園の民営化で「標準偏差」で評価を逆転させて国立保育会に委託したり、そして、あんさんぶるが廃止された年でもあります。とんでもないことばかりが続きました。当然すべての認定に反対しました。項目を挙げます。
<2017年度の区政について>
(1)高円寺小中一貫校建設(2)上井草保育園民営化(3)あんさんぶる荻窪の財産交換(4)新しい施設の解体・事業廃止(5)区民負担増
<委員会で追及した区政の問題点>
(1)阿佐ヶ谷再開発(2)保育予算の流出と民営化(3)児童館廃止と学童クラブ民営化(4)区民センター利用率の低下(5)男女平等センター、プレミアム商品券、小学校警備など
《決算認定に反対する》
(以下原稿です。実際の発言とは違う部分があります。)
 杉並わくわく会議として、決算に対する意見を述べます。認定第1号平成29年度杉並区一般会計歳入歳出決算ほか5件の認定に対しては反対とし、以下その立場から意見を述べます。
(1)当該年度の区政について
 まず当該年度を振り返ると、杉並区政史上に例をみないほど、住民がないがしろにされ、田中区長の専横がきわまった年であったといえます。
●高円寺小中一貫校
 特に、高円寺小中一貫校をめぐってそれは顕著でした。
 5月の連休に高円寺の住民のもとに突然裁判所から書類が届いたのが、高円寺スラップ訴訟の始まりでした。自分の家の隣に高さ約30mという巨大な建物が建つというのにあいさつもなく、計画が決まってから突然知らされたという住民の抗議に対して、建設会社が区と結託して行ったのが仮処分申請でした。突然裁判所に呼び出された住民は大きなショックを受け、なかには体をこわした人もいます。
 このスラップ訴訟の過程で、事業者が工事説明会のときに住民を無断で隠し撮りしていたことも判明しました。また、建設会社の部長は住民の一人に対して暴行傷害の被害届を警察に提出し、この住民は何度も警察や検察に呼び出されて長時間の取り調べを受けました。しかし、当然のことながら、この事件は不起訴処分となりました。全くのぬれぎぬであったことを検察も認めたのです。
 住民の心と体に大きなダメージを与える様々な事件を繰り返して、高円寺小中一貫校は着工しました。
 しかもその後も、設計の不備による建築許可の遅れまで住民のせいにするなど、住民を容赦なく攻撃し続けた1年であったと言っても過言ではありません。なんとえげつない区政が展開されたことでしょうか。
●上井草保育園民営化
 もうひとつ、住民を敵視した対応が繰り広げられたのは上井草保育園の民営化でした。そもそも民営化が保護者に知らされたのが、計画発表よりも後というところから混乱が始まったものですが、当該年度はいよいよ事業者選定が行われました。驚くべきことに、素点では2位だった事業者が選定されて園舎を建設し、今年の開園に至っています。
 該当者なしとなった最初の選定後、強引に選定委員会を解散、委員会が存在しない状態で公募要項を制定して公募を開始、保護者には10日以内に委員を選出しないと選定委員会に参加させないと脅したあげく、標準偏差などという異例の手法を使って成績を逆転させるというやりたい放題の選定でした。事業者の提案した計画では、園舎の中に法人事務所があり、保育に使われるべき面積が犠牲になっているにもかかわらず選定されたことも不自然でした。
 委員会でこれらを指摘された区長や部長の答弁は、民営化と区のやり方に疑問を持つ保護者に対する敵意をむき出しにした異様なものでした。法人事務所の面積について減額対象から外すとのことでしたが、法人部分をきわめて小さく評価していることが、区の収入を減らす結果につながっていることは、質疑で指摘しました。区立保育園の民営化が加速化されようとしていますが、上井草の例をみるとき、民営化は慎重であるべきと言わざるをえません。
●あんさんぶる荻窪の財産交換
 第三に、当該年度は、あんさんぶる荻窪の財産交換へむけて、あんさんぶる廃止の計画が進んだ年でもありました。現ウェルファーム杉並の建設と桃二小の改築が行われ、今年の3月には荻窪北児童館が3月17日に閉鎖されたことを皮切りに、福祉事務所等が閉鎖され、移転しました。荻窪北児童館は3月末日をもって廃止され、子どもたちは保健所の「おぎきたプレイス」に仮住まい、不自由を強いられています。
 あんさんぶるの諸施設を移転したはずのウェルファーム杉並に新たに設置された天沼集会所の利用率がきわめて低いことも確認しました。あんさんぶる荻窪では60〜75%であった利用率が、天沼集会所ではひと桁から、高くて十数%と2割にも達していません。地元の強い反対の声を蹴散らして行われた、全くおろかな財産交換であったとしかいいようがありません。
 足を踏んだ者は忘れても、踏まれたほうは決して忘れないと言います。以上のべてきた、これら住民を踏みつけにした区のやりかたが、区政不信を招き、住民をふるさと納税に走らせる一因ともなっているのではないでしょうか。
●新しい施設の解体、事業廃止
 あんさんぶる荻窪も、過去廃止された科学館も永福南小も、現在取り壊しが始まったけやきプールも、また、今後廃止される予定の杉四小学校も、個性的で、杉並の歴史と記憶、文化を担う施設でした。あんさんぶるは築後14年足らず、杉四小は20数年で事業廃止、永福南小では30年と新しい施設が解体されました。区有財産の扱い方が粗略にすぎます。他区でこれほどぞんざいに新しい施設をつぶしたりしているところはまずないでしょう。ひたすら施設の文字通りスクラップ&ビルドを行っている田中区政は、区民の財産を棄損し、将来負担を増大させています。そして、本来であれば、施設に集う人々によって紡がれ続けていくはずだった文化はぷつりと途絶え、人と人のつながりは、また一から作り直しです。このやり方では、杉並の歴史はぶつ切りになり文化が育つことはなくなるでしょう。
 施設はただの箱であってはならず、住民の活動を保障し、子どもの育ちを保障するものとして魂を入れなくてはなりません。施設再編のありかたを転換するよう求めます。
●区民負担増
 さらに、当該年度中には、20年ぶりの保育料値上げと同時に区長・区議会議員等特別職の給与引き上げが決定されました。また、国民健康保険介護保険など大幅値上げとなったことも問題です。これらの区民負担を抑制するよう求めます。
(2)委員会で追及した区政の問題点
 次に、質疑の中で指摘してきた区政の問題点等について述べます。
●阿佐ヶ谷再開発
 第一に阿佐ヶ谷北東地域のまちづくりについてです。これまでも何度も指摘し、また今議会の一般質問でも取り上げたように、土地区画整理事業を中心とする北東地区の再開発計画には問題が多すぎます。
 駅前の一等地に立地する杉一小を移転させ、跡地を民間に手渡す計画はマンションディベロッパーにリボンをかけて差し出しているかのようです。 病院の跡地は汚染地であり、しかも、ハザードマップ上の浸水地です。小学校用地としては全く不適切です。区の試算によれば、徹底した土壌汚染対策には7億円以上かかるとのことであり、汚染の原因者である河北病院が果たしてそのような対策を行うかは不透明です。
 けやきのまち阿佐ヶ谷の象徴的な存在であるけやき屋敷の森はほとんどが伐採される計画です。区内を14ゾーンに分けたとき、阿佐ヶ谷は樹林率が最も低く、1.42%しかないことを確認しました。ほとんどゼロに近いのです。緑被率も高円寺ゾーンに次いで下から2番目となっています。これは井の頭線沿線など他地域の方には想像がつきにくいかもしれませんが、本当に阿佐谷は緑がないのです。そのなかでけやきの森が消滅することの意味を区長、区役所そして区議会の皆さんにはよくよく考えていただきたいと思います。
 北東まちづくりの意見交換会ではコンサルタントから「けやき屋敷といっても大して木はない」かのような説明もありましたが、みどりの実態調査によれば、けやき屋敷の敷地内は建物が建っていると思しき部分を除いてはほぼ全部が樹木被覆地すなわち樹木におおわれた土地とされていることも確認しました。今般の土地区画整理事業でこの被覆率を守れるとは到底思えず、根本的に計画変更が必要と考えます。
 「東京における自然の保護と回復に関する条例」についても説明を求めました。この条例に従って、区はこれから秋、春2回の自然環境調査を行うとのことです。東京都に対しては、既存樹木の保全、移植の計画、またはそれを検討したができない場合の理由を提出しなければならないことを確認しました。区がこれらを誠実に履行されるよう期待します。
 また「街並み誘導型地区計画」についても質問しました。道路の拡張などのかわりに斜線制限や容積率を緩和できる地区計画です。これが導入されて阿佐ヶ谷が開発される計画だということを知っている区民がどれだけいるでしょうか。
 高さについて、意見交換会で聞いたことを付け加えます。コンサルからは新進会通りの高さ制限を30mにする案が出されました。その理由は25mを超えるビルが1棟あるのでそれ以下の高さ制限だとこのビルがひっかかってしまうからということでした。しかし、それ以外の建物は4〜5階建てで仮に25mでも十分な余裕があります。ちなみにこのビルは河北病院のサテライト診療所ですが、この1棟だけのために大甘の高さ制限となることは容認できません。杉一小用地については60mが提案されました。これは南口の16階だてマンションと同じような高さです。しかも、杉一小だけでなく、その南側に並ぶ西友三菱銀行がいずれ同じ時期に建て替えられ、一斉に60mの高さになったら阿佐ヶ谷北口の環境・景観は大きく損なわれます。
 意見交換会では、北口でお店を営む方から、現状でも風害の問題があり、60mの高さには反対、との意見が出されました。コンサルは「皆さんからご意見があれば検討しますよ」といいながら、このご意見に対しては、何度も発言を遮ろうとし、「反対」と明言されたことにたいしては、あ、そうですか、とまともにとりあおうとしないのです。「意見交換会」と銘打っているものの、区とコンサルの案ありきの説明会になってしまっています。しかも、この会に来ている人は毎回十数人ときわめて少数です。地元阿佐ヶ谷も含む圧倒的多数の区民は全くこの計画を知りません。区民が知らない間に進めて、発表したときに意見をいうと「もう決まりました」という区のやりかたは、いつもの手口としかいいようがありません。
 すでに行われている不動産鑑定や緑地に関する情報、河北病院の設計案など、区画整理事業にかかわる情報は、区が事業主体としてかかわっている以上、区議会と区民に公表されてしかるべきものです。個人情報をタテに一切情報を公表しようとしない区の隠蔽体質は公有財産の適正な管理・処分の担保という点からも許されるものではありません。
 このままだと阿佐ヶ谷はみどりが消えて、駅前に高層マンションが林立して商店街が衰退し、どこにでもある殺風景なまちに変わってしまうことでしょう。私たちのまちはこれからも長く子孫に受け継いでいくものです。田中区長ひとりのお好みやご都合で勝手に作り変えていいものではありません。
●保育予算の流出と民営化
 第二に保育についてです。
 ほとんど全額が公費でまかなわれているにも拘わらず、私立認可保育園に投入される公費の十数%が運営法人によって、新規事業や他園の運営、高齢者など他分野の事業に流用されていることを指摘しました。ちなみに、公定価格では7割に設定されている人件費比率について他の委員からも質疑がありましたが、私の調査では、把握できた区内37園の認可保育園のうち人件費比率が7割を超えたのはたった7園でした。これでは保育士不足や保育士の待遇改善などといっても空語です。これは国の制度上の欠陥ですが、区は都や他区と連携して、保育士給与にきちんと使われるよう、制度改善にむけ努力していくべきです。
 また、区としても財務上改めるべき点があることも指摘しました。区有地の貸し付けです。区有地を活用して私立認可保育園を建てると基本的に当初3年間の地代が免除され、以降も3分の1に減額されるという優遇を、区は、向井公園や久我山東原公園などに建てた保育園に対して行っています。他区ではこのような例はないようだとの答弁でした。ただでさえ、建設費は事業者の持ち出しが16分の1のみ、運営ははほとんど公費、お客は放っておいてもおしかけてくるという事業で、その上に地代もただとなれば事業者は笑いがとまりません。
 保育園の費用拡大により経常収支比率も大きな声で言えなくなってしまった杉並区としては、土地代くらいは回収すべきではないでしょうか。
●児童館廃止と高井戸学童クラブ民営化
 第三に児童館について述べます。
 高井戸児童館・学童クラブについて質問しました。私たち議員が知らないうちに、いつのまにか学童クラブを民営化することになっていました。なお、担当部長の答弁では「現在の行革計画で4クラブの民営化が決まっている」とのことでしたが具体名は上がっていませんでした。
 私は先日、高井戸児童館に視察にうかがい、公園に隣接した環境、広々として、外の公園が見通せる開放的な遊戯室など、すばらしい児童館だと思いました。学童クラブの待機児童解消のためとはいえ、この遊戯室を削って他用途に振り向けるのは本当にもったいないと感じました。まして、将来的にこの館が乳幼児専用などということにならないようにと願うものです。
 学童クラブは児童館内にある場合、児童館事業との分離が難しく偽装請負の危険があることから、学校内など児童館外に設置の場合のみ委託化と受け止めてきました。しかし、このたびの高井戸では児童館から動かないのに委託の計画が進んでいます。質疑では、児童館内の階段を閉鎖することを確認しました。偽装請負の危険を回避しつつ委託するためにやむを得ない措置と考えたのでしょう。しかし、これまで児童館内を自由に行き来して好きなところで遊ぶことができた学童クラブの子どもたちは、民営化後はわざわざ別の階段を通っていったん外に出て玄関から入りなおして1階の遊戯室などに遊びに行くことになります。しかも、学童クラブの運営事業者が引率しなくてはならず自由には行けません。学童クラブは子どもの福祉のために行っていることなのに、子どもの生活の質を引き下げてどうするのでしょう。民間委託にまい進するあまり、肝心な子どもたちが不利益をこうむります。
 しかも、そこまでやっても、偽装請負を回避することは難しいのではないでしょうか。なぜなら、1階で遊ぶ子どものうち学童と一般来館の子どもの区別はつきにくく、また、区職員と委託の職員が同じ現場に居合わせ、区職員から指示を受けるような場面が容易に想像つきます。違法となる可能性が高く、委託は中止するのが適切と考えます。
 児童館については、施設再編整備計画第二次プランでさらに9館が廃止されることになりました。加速しています。対象となった児童館をかかえる地域、私の地元の杉九小学校区もそうですが、それらの地域の皆さんにとっては晴天の霹靂です。しかも、区はこの計画をつくるにあたって、地域の事情や意見をまったく把握していませんでした。放課後子ども教室や土曜日学校などの実施状況も知らずに、いきなり放課後等居場所事業を学校で行うなどというものだから、学校支援本部に係る方々に混乱が生じています。施設の利用状況、たとえば杉九ゆうゆうハウスがどれだけ地域に必要とされているかも把握されていません。しかも、町会にも事前に何の説明もなかったと聞きました。これらは区役所が、いかに地域から乖離しているかを示すものです。もういい加減に仕事のやりかたを変えてください。区役所の皆さんは区長の手下ではなくて公僕です。区民全体のために働くことが使命です。所管の皆さんは、まず地域に入り、地域の方々に事情をよく聞いてください。区役所が勝手に決めた計画を上から押し付けるのではなく、地域が納得するやり方を探り、区民といっしょにものごとを作り上げる区役所に変わってほしいと思います。
●区民センター利用率の低下
 第四に区民施設の利用率と、施設使用料値上げの関係です。資料をいただいて確認したところ、地域区民センターの諸室のうち、区民が一般的に会合に使う集会室・和室の利用率の低さは衝撃でした。
 今年度の実績ですが、利用率が5割を割り込んでいるコマが55%にもおよび、2割未満すなわち数%から十数%しか使われていないコマが19%。惨憺たるものです。せっかくの施設がのきなみ半分以上空っぽなのです。しかも、施設使用料値上げと団体割引の廃止が進むにつれ、利用率がどんどん下がってきました。この現実を直視すべきです。
 そもそも区民施設は何のためにあるのか。住民どうしが様々なかたちでつながり、学び、活動することが地域を活性化させ、豊かな地域を作っていくことに有効だから、区が公費を投じて整備しているのではないでしょうか。また、団体割引を行ってきたのも、集まって活動するグループを形成することが組のまとまりを促すからではないでしょうか。杉並区はそのことを忘れ、使わせてやってるんだから、経費は負担しろといわんばかりの傲慢な姿勢で大幅な値上げを行い、無残な結果となってしまいました。使用料の大幅引き下げと団体割引の復活を再度強く求めます。
●男女平等センター、プレミアム商品券、小学校の警備
 このほか、質疑の中では、男女平等センターの委託事業者の一部契約不履行について指摘しました。公的な施設が開館日に閉まっているなど、あってはならない不祥事です。同センターの事業に対する区の軽視が緩みにつながっていると指摘します。所管の管理責任は重大です。猛省を求めます。
 プレミアム商品券についても述べました。来年には消費税の税率引き上げも待っています。予想される消費の冷え込みと商店街の苦境を打開するためにも、この事業は必要です。真剣に検討していただきたいと思います。
小学校の警備について質問しました。警備会社からシルバー人材センターへの変更は見送りとのことで安心しましたが、今後とも子どもの安全にかかわる経費については、出し惜しみすることのないよう求めます。
 以上をもちまして反対意見とします。
 最後になりましたが、審議にあたり、多数の資料を作成して下さり、さまざまな問題についてご教示くださり、また連日丁寧に答弁してくださった職員の皆様に御礼申し上げます。ありがとうございました。