わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ(工事中)

保育園というバケツの大きな穴。公費の4分の1が流出(一般質問しました)

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 2018年11月21日杉並区議会第四回定例会一般質問しました。

◎保育について

 区内保育園財務書類2017年度分)を東京から情報公開にて入手した結果を述べました。保育園人件費運営費の7割程度といわれていますが、驚くことに、情報入手した私立認可保育園53園のうち、7割を超したのはわずか7園でした。53園の平均では6割に届きません。区が支払っている多額の予算の4分の1は、保育園運営に使われず運営法人利益あるいはストックになってしまっています。これじゃ保育士のお給料が上がるワケがない。

 区立保育園民営化については主に事業者選定の際の「ガイドライン」について質問しました。民営化するとしても、選定を厳しくし、せめて質の高い事業者が選ばれるようにしなくてはならないと思います

◎清掃行政について

 今年の夏の酷暑の中で、清掃委託派遣の方々は「休憩所ナシ」「休憩時間とれず」「休憩は車の中」「その車は冷房オフ」という地獄のような環境で働いておられました。もちろん違法ですね。

(以下は発言原稿です。実際の発言とは違うところがあります

1.保育について

 一般質問をいたします。最初に保育について質問します。杉並区はこの間、私立認可保育園をはじめ、保育施設を大量に建ててきました。それ自体必要なことですが、質の低下が問題となっています施設がふえても、児童福祉は後退しているのではないか心配です。

(1)保育園財務

 本日はまず、財務の面から保育の改善を考えたいと思います

 先の決算特別委員会で、私は2016年度の区内保育園財務状況について指摘しました。東京都は「保育士キャリアアップ補助金」を受けた施設に対し、人件費比率などを含む財務状況の報告書提出を義務づけていますジャーナリスト小林美希さんはこの報告書東京から情報開示して分析をまとめました。その初出は雑誌世界」の今年2月号、3月号、その後岩波新書「保育格差」として出版されています。これにならい、私は杉並区内の保育施設財務書類請求して分析しました。決算特別委員会のあと、新たに昨年度2017年度分、すなわち最新の財務書類を入手しましたので、本日は、その数字からいくつかのポイントを指摘しておきたいと思います

 なお、認可外も含めた全提出書類調査しましたが、本日問題をわかりやすくするため、認可保育園53園のみを対象として論じます

 また、入手した数字は保育課に提供しましたので、今後の参考にしていただければ幸いです。

公費流出

 さて、指摘すべき第一は、決算特別委員会で指摘したように私立認可保育園に投入される公費のかなり多くの部分が、その園の保育に使われずに流出してしまっていることです。保育園運営費基本的に、人件費事業費、事務費の、それぞれに必要な経費を見積もって公定価格積算されていますしかし、国は規制緩和により、運営費を他の用途へ流用することを認めました。そのため合法的に流用ができてしまうわけです。

 今回開示された2017年度提出分のうち認可保育園53園の総額は約26億円、事業活動収入の総計が101億円なので、約26%、つまり公費の4分の1以上が流出しています。この26億円の内訳は、積立資産支出事業区分間・拠点区分間・サービス区分間繰入金支出、そして、当期末支払資金残高を合計したものです。積立資産支出は、事業者が積立に回すもの事業区分間・拠点区分間・サービス区分間繰入金支出とは、同一法人経営する他の園、他の分野、例えば介護事業など当該保育園とは別の区分に繰り入れるものです。

 実態としては、そのかなりの部分は企業法人本部経費に回され、あるいは、新園開設のための資金として流用されています

 なお、事業費の内訳をみると、業務委託費が1割以上にのぼる園がいくつもあります給食習い事などを外部化して関連会社に支払い、そちらの収益となるビジネスモデルもあるのです。

 国の規制緩和により、保育園というバケツには大きな穴があけられ、投入された公費の4分の1以上が園の外へ流出してしまう、すなわち、企業法人の他の部門収入となってしまうという仕組みです。次々に保育園をつくれる裏にはこういう錬金術があるわけです。これでは子ども福祉のための保育園ではなく、保育園経営する企業経営拡大ための保育園です。以上、資金流出の状況について述べましたが、区はこの実態をどのように考えるか。所見を伺います。(Q1-1)

人件費について)

 第二に、肝心な人件費です。先ほど述べた保育園資金流出は、最も大きな支出であり、かつ削りやすい人件費犠牲にすることによって行われています

 現在の保育制度設計するにあたり、国は保育園幼稚園調査し、全体として人件費が7割程度かかっているとの結果を発表しました。こうした調査をもとに公定価格においては人件費が7~8割になるよう設計されています。ところが、区内保育園財務書類分析したところ、なんと驚くことに、人件費7割以上の認可園は、53園中7園しかありませんでした。しかも、この場合人件費施設長、事務職員など子どもに直接かかわらない人も含んでのものです。前述の小林美希さんにならって、これを便宜上「全体人件費」とよびます。全体人件費比率が5割を切っている園が11園、うち社会福祉法人1園、企業10園と5分の1にのぼります。53園のうち最低の値を記録したのは、区有地につくられた社会福祉法人保育園で41.6%となっています(この園は昨年開設したばかりですが、大量離職も起きています)。53園の平均では、58.3%と6割を割り込んでいます

 ちなみに、これは先の書籍に紹介されていた数字ですが、仙台市2016年度実績で平均74.8%とあり、杉並区の6割未満というのは、23区全体の傾向ともいえますが、かなり非常識に低いものです。

保育士人件費

 次に施設長などを除いた、子どもに直接かかわる保育士調理士、看護師などの「保育士人件費」の比率を見ます。53園の平均では47.9%と5割を切っています。最も高いところで69%、逆に低いほうは、下から26.9%、29.5%、31.3%がワースト3です。園によってかなり格差があることがわかりますが、保育士人件費が3割に満たない認可園があるのには恐れいります

 そこで質問します。人件費比率が7割を超えている認可園は確認できた53園のうち7園しかなく、平均は6割を切っています。このことについての所見を伺います。また、流用されている費用人件費にまわすように指導すべきではないでしょうか。区としての対策はあるかうかがいます。(Q1-2)

 以上のような公費流出人件費比率は、保育士賃金、保育の質に直接響いています。これは国が行ってきた規制緩和問題の根源があります。都や他自治体と協力して規制強化へと国が政策転換するよう求めるべきと考えますいかがか、うかがいます。(Q1-3)

 保育を企業の草刈場にした国が悪いのですが、杉並区もまたそれにのっかっているともいえます。ひとしきり問題となった区長後援会ゴルフコンペにも、いくつかの保育園運営事業者が参加しており、これらの企業区長、副区長が仲良くゴルフをする関係だとすると、資金流出を止めることは残念ながらなかなか難しいと言えるかもしれません。区政の転換があらためて必要であると感じるところです。

(2)区立保育園民営化

 次に、区立保育園民営化についてうかがいます。いま述べてきた民間保育園資金流出人件費の削減を考えると、民営化かしこ選択とはとうてい言えないと思います

 現在の区の計画では、今後6年間でさらに6園を民営化、区立を27まで減らすことになっていますしかし、他区では、民営化をしないところもあります。 前にも指摘しましたが、文京区は1園民営化したのち、民営化をやめています。世田谷区も数園を民営化しましたが、当面は予定がありません。その他にも民営化をしない区がいくつかあります。これらの状況をみると、杉並区がなぜ休息に民営化を進めなくてはならないのか理由は不明確です。

 民営化された園の保護者からよくうかがうのは、区が説明会で「民営化しても変わりません」と説明していたが、実態はそうではなかった、ということです。上井草保育園民営化後、保護者から、朝夕の保育補助の人員が減り、また、区立ではおかれていた用務の職員がいなくなり、用務や保育補助の仕事まで保育士がこなしており、多忙化しているとの指摘がありました。

 また、中瀬保育園民営化にあたっての説明会では「公募要項の基準公募時は満たされていても、のちに満たされなくなった場合、区は対応してくれるのか」との質問に対し「信義則として公募要項の要件を守るよう働きかけるが、罰則などはない。運営開始後に保育士退職などはありうる」との回答、朝夕パートについても「運営費の中でどのように人を配置するかは事業者判断」などの説明がなされており、これは、区立同様の水準を選定時に定めても、結局ザルだということです。

 このように「区立の保育水準を変えない」ことが保障されないなかでは、区立保育園民営化することにより、保育の体制、保育の質に必ず影響が出てしまます現在予定されている民営化計画については立ち止まり、見直すよう求めるがいかがか。見解を求めます。(Q1-4)

(3)民営化ガイドライン

 次に民営化ガイドラインについてうかがいます保護者のグループから提案を受けましたので、それをふまえて提案します。まず、ガイドライン改定にあたっては、区役所内部だけでなく、外部の専門家保護者代表を含む公開の審議会で行うべき、ということです。次に、内容について提案します。

公募要項の改善

 第一に、公募要項の改善により、事業者の選定をより厳正に行うことです。このかん、上井草保育園、杉並保育園事業者選定に際しては、保護者選出の選定委員要望に応える形で、公募要項の改善が図られてきました。事業者の応募条件として、認可保育所運営実績を、杉並保育園では10年以上、上井草保育園では6年以上としました。民営化ガイドラインでは1年以上とされているのと比べ、厳しい内容で募集されました。また、全ての既存園の実績で人件費がおおむね70%以上であるという条件や、有休、育休の適切な付与などの労働環境に関する条件も付されていました。

 しかし、これらの条件が中瀬保育園公募要項では後退してしまっているのは残念なことです。今後は上井草・杉並の選定をスタンダードとして、書き込んでいくべきではないでしょうか。その点でもガイドライン改定必要となります

 また、上井草保育園の選定にあたっては、園長の条件として実務7年以上の上に、1年以上の施設経験を求め、さらに、「運営に関する条件」として、

発達障害など要配慮児に対する体制

・区立上井草保育園の保育目標行事の継承、近隣の学校との連携

情報公開説明責任

などについて詳しく書かれています。これらは子どもを守るための最低限の条件であって、今後の選定にも生かしていくべきことではないでしょうか。

(選定の手法

 次に、選定のやりかたについてです。お隣の中野区は区長がかわり、保育園民営化についても見直しが行われました。このたびの民営化では公開プレゼンテーションが行われたそうです。また、中野区の選定委員会では、保育士栄養士看護師現場職員が現地施設派遣され、一日の保育をチェックして評価する、ということです。これは素晴らしいと思いました。区の選定委員会においても、これらの手法に学ぶことが必要と考えます

 また委員会会議録については、これまでにも指摘してきましたが、選定委員会は非公開であり、内容を知ることができません。しかも、会議録を開示しても、議論の内容は全く記録されていません。そのため、上井草保育園の選定では「標準偏差」という奇抜な手法が導入されたことが誰の提案だったのか、なぜそのような結論に至ったのかの検証が全くできませんでした。区は民営化を進めるのであれば、区民・利用者に対する説明責任をきちんと果たしていくべきと考えます

(移行のしかた)

 第三に、民営化への移行の仕方です。練馬区などでは、行政保護者事業者の3者による協議会を立ち上げて、民営化プロセススムーズに進むように、進行管理を行っていくとのことです。

 また、合同保育について、現在ガイドラインでは合同保育は民営化前の4か月を目安とするとされていますが、それでは短いとの指摘があります。具体的には民営化前の6か月、民営化後の6か月の計1年間は最低限必要と考えます民営化後も区職員保育士派遣して共同で保育にあたることになりますが、これはすでに、武蔵野市、日野市など多くの自治体で実際に行われている例があります。また、合同保育が終わったあとも、行政保育士毎日巡回して指導に当たっている自治体もあります子どもたちの心の安定を考えれば、こうした手厚い引継ぎが必要です。

 以下ガイドラインについて、まとめて質問します。

 第一に、区立保育園民営化ガイドライン改定時期はいつごろか。また、改定にあたり、保護者学識経験者を交えた審議会等の設置を求めるがいかがか。(Q1-5)

 第二に、保護者等の意見により公募要項に盛り込まれてきた保育園運営年数、施設長の経験年数などの改善を改めてガイドラインに取り入れ、今後引き継いでいくことを求めるがいかがか。(Q1-6)

 第三に、運営事業者選定の際、公開プレゼンテーションなどの手法を導入するよう求めるがいかがか。(Q1-7)

 第四に、民営化移行時の合同保育期間の延長を求めるがいかがか。以上、見解を求めます。(Q1-8)

 なお、杉並の民営化ガイドラインにはめざす保育の在り方が全く述べられていないという大きな問題があります。世田谷区のガイドラインを前にも紹介しましたが、

・区立の水準を守れる事業者を選定する

児童福祉法理念子どもの育ちを重視した質の高い保育、質の高い職員

などが具体的に書かれています。杉並区のめざす保育はただひたすら数だけなのでしょうか。そうではないというなら、理念をしっかりと書き込んでほしいと思い、この項の最後要望します。

2.清掃行政について

 次に、清掃行政についてうかがいます

(1)この夏の過酷労働

 この夏は、本当に記録的な猛暑であり、不要不急な外出は避けるようにというよびかけまでなされるような状況でした。他の議員から発言がありましたが、このような過酷環境の中、毎日ごみ資源収集に当たられた職員の皆様には、心から感謝いたします。

 ところで、この過酷な夏に、さらに過酷環境に置かれていたという、委託先の派遣労働実態をうかがう機会がありました。

 清掃事業委託企業運転手作業員派遣している労働組合、いわゆる労働者供給事業、労供とよばれる形態をとる新産別運転者労働組合(新運転)および日本自動車運転士労働組合(自運労)は、あまりに過酷労働環境をなんとか改善しなくてはと、23区区議会議員によびかけて8月に勉強会を開催されました。そこでお聞きした要望などにもとづき、以下質問します。

 現場からの声として、

・休憩がとれない。休憩をとる場所時間がない。

・汗をかいても着替えができない。

・車内で休憩するしかないが、清掃車両路上に停まっていると苦情が入る

アイドリングオフを守るため、エアコンが使えず、車内は高温で耐えがたい

作業量が増えており、時間までに終わらせるために猛暑の中、走り続けなくてはならない

などをうかがいました。現場のようすの一端を伝えるものとして、新運転東京地方本部機関紙から抜粋して紹介します。

収集作業員はいつ緊急搬送されても不思議ではない状態。実際に収集作業中に体調が悪くなり緊急車両要請するか現場判断する状況となっている件数が、週に3件から10件ある」「午前10時から14時の最も危険時間帯に90分にも及ぶ灼熱地獄での収集が続けられている環境もある」さらに「午前中の炎天下での作業を終えて昼の休憩をとるにも、十分に体を休める施設等があまりにも不足している」そのため「路上車両を止め、東京都の条例を守りエンジンを停止した状態車両の中で、50度を超える状況で待機をしています」というのです。聞いただけで汗がしたたってくるような気がします。

 そこで伺いますが、資源回収等、委託先の労働環境について、特に今夏の猛暑の中で、このような状況で、労基法に定められた休憩時間すら適正に守られない違法状態であることを区は把握しているのでしょうか。(Q2-1)

 また、先ほどの意見にもありましたが、資源回収の作業手順が厳しくなっているとのことです。猛暑の中を作業員が走り続けていると聞き、そう思ってみると、確かに資源回収の日、作業員さんが走って収集している姿が目につきます。歩いて収集したのでは時間までに仕事が終わらないのだそうです。こうした実態を区は把握しているのでしょうか。(Q2-2)

 このような状況は、車を増やし、人を増やして、作業量を減らしていくことでしか解決できないのではないでしょうか。

区は委託事業者及び労供と協力して、着替えや休憩場所の確保などの労働環境を整備し、また作業手順を適正に見直すように求めるが、見解を伺います。(Q2-3)

 新宿区では清掃事務所の地下駐車場民間駐車場借り上げで休憩場所として提供しているそうです。杉並区も各区も最低限その程度のことはすべきではないでしょうか。委託とはいえ、清掃事業は区の事業であり、その労働環境において違法状態を解消する責任があります

(2)車付き雇上

 次に、「車付き雇上」についてうかがいます

 杉並区は今年から清掃事業に「車付き雇上」を導入しました。「車付き雇上」とは耳慣れない言葉ですので、少し説明します。

 23区の清掃作業では、区有車両のほかに「雇上会社」とよばれる委託企業が清掃車両運転手供給するというやりかたが、移管前の東京都の清掃事業時代から行われてきました。当初は車両運転手だけで、区職員作業員を積んで現場にいくというやり方だったのですが、次第に、作業員までも雇上会社供給するケースが増えてきました。これが「車付き雇上」です。ちなみに、この雇上会社運転手作業員として、先ほど述べた労供の方々が派遣されてきているわけです。

 杉並区はこれまで「車付き」は行ってこなかったのですが、今年から導入したとききました。そこで伺いますが、今年度は何人、また何組の「車付き」を導入したのでしょうか。また、来年度以降「車付き」を拡大する予定はあるのでしょうか。(Q2-4)

 これまで、車付きを導入してこなかったのには、それなりの理由があったと思います特に、清掃事務所職員の皆さんのがんばりで、業務を支えてきたことが大きかったのだと思いますしかし、2000年の区移管から18年が経過し、職員の減少、高齢化限界にきているのではないかと思います。そこで、区清掃職員の状況について、区移管時と現在の清掃職員の人数、平均年齢をお示しください。(Q2-5)

 杉並区ではこの間清掃職員新規採用を行ってきたでしょうか。また、他区において新規採用しているところもあるとうかがいます。区が把握している状況をお示しください。(Q2-6)

 他の議員質問にもありましたが、ごみ資源収集作業は、きわめて高度な専門性要求される仕事です。先日、東京清掃労組から私たち議員に対して、参考資料を配布していただきました。そのなかに、大東文化大准教授藤井誠一郎さんの著書「ごみ収集という仕事――清掃車に乗って考えた地方自治」がありました。この本には大変生々しく、清掃現場作業の様子が描かれ、しかも、いかに専門的な知識と経験必要な職かということがよくわかります

 以前、新潟で豪雨の折に、23区の清掃職員派遣されたというお話を聞いたことがあります派遣先自治体は清掃業務民間委託しており、民間事業者災害ごみの運搬を行っていたが、いっこうにはかどらない。そこへ、23区の手練れの職員さんたちが行き、初めて行く場所にも関わらず、たった3日で片付け終わってしまったという劇的な活躍でした。先の西日本豪雨においても、杉並区は総社市への清掃職員派遣を行いました。こんなことがいきなりできるのも、専門家である職員さんがいるおかげです。

 清掃職員高齢化で、今後こうした技術の継承ができるか心配です。災害対応の点からも、清掃職員の若返り、新規採用必要と考えますいかがか。最後見解を伺って質問を終わります。(Q2-7)

保育園というバケツの大きな穴。公費の4分の1が流出(一般質問しました)

 2018年11月21日杉並区議会第四回定例会で一般質問しました。
◎保育について
 区内保育園の財務書類(2017年度分)を東京都から情報公開にて入手した結果を述べました。保育園の人件費は運営費の7割程度といわれていますが、驚くことに、情報入手した私立認可保育園53園のうち、7割を超したのはわずか7園でした。53園の平均では6割に届きません。区が支払っている多額の予算の4分の1は、保育園の運営に使われず運営法人の利益あるいはストックになってしまっています。これじゃ保育士のお給料が上がるワケがない。
 区立保育園の民営化については主に事業者選定の際の「ガイドライン」について質問しました。民営化するとしても、選定を厳しくし、せめて質の高い事業者が選ばれるようにしなくてはならないと思います。
◎清掃行政について
 今年の夏の酷暑の中で、清掃委託の派遣の方々は「休憩所ナシ」「休憩時間とれず」「休憩は車の中」「その車は冷房オフ」という地獄のような環境で働いておられました。もちろん違法ですね。
(以下は発言原稿です。実際の発言とは違うところがあります)
1.保育について
 一般質問をいたします。最初に保育について質問します。杉並区はこの間、私立認可保育園をはじめ、保育施設を大量に建ててきました。それ自体は必要なことですが、質の低下が問題となっています。施設がふえても、児童福祉は後退しているのではないかと心配です。
(1)保育園の財務
 本日はまず、財務の面から保育の改善を考えたいと思います。
 先の決算特別委員会で、私は2016年度の区内保育園の財務状況について指摘しました。東京都は「保育士等キャリアアップ補助金」を受けた施設に対し、人件費比率などを含む財務状況の報告書提出を義務づけています。ジャーナリストの小林美希さんはこの報告書を東京都から情報開示して分析をまとめました。その初出は雑誌「世界」の今年2月号、3月号、その後岩波新書「保育格差」として出版されています。これにならい、私は杉並区内の保育施設の財務書類を請求して分析しました。決算特別委員会のあと、新たに昨年度2017年度分、すなわち最新の財務書類を入手しましたので、本日は、その数字からいくつかのポイントを指摘しておきたいと思います。
 なお、認可外も含めた全提出書類を調査しましたが、本日は問題をわかりやすくするため、認可保育園53園のみを対象として論じます。
 また、入手した数字は保育課に提供しましたので、今後の参考にしていただければ幸いです。
(公費の流出)
 さて、指摘すべき第一は、決算特別委員会で指摘したように私立認可保育園に投入される公費のかなり多くの部分が、その園の保育に使われずに流出してしまっていることです。保育園の運営費は基本的に、人件費、事業費、事務費の、それぞれに必要な経費を見積もって公定価格が積算されています。しかし、国は規制緩和により、運営費を他の用途へ流用することを認めました。そのため合法的に流用ができてしまうわけです。
 今回開示された2017年度提出分のうち認可保育園53園の総額は約26億円、事業活動収入の総計が101億円なので、約26%、つまり公費の4分の1以上が流出しています。この26億円の内訳は、積立資産支出、事業区分間・拠点区分間・サービス区分間繰入金支出、そして、当期末支払資金残高を合計したものです。積立資産支出は、事業者が積立に回すもの。事業区分間・拠点区分間・サービス区分間繰入金支出とは、同一法人が経営する他の園、他の分野、例えば介護の事業など当該保育園とは別の区分に繰り入れるものです。
 実態としては、そのかなりの部分は企業や法人の本部経費に回され、あるいは、新園開設のための資金として流用されています。
 なお、事業費の内訳をみると、業務委託費が1割以上にのぼる園がいくつもあります。給食や習い事などを外部化して関連会社に支払い、そちらの収益となるビジネスモデルもあるのです。
 国の規制緩和により、保育園というバケツには大きな穴があけられ、投入された公費の4分の1以上が園の外へ流出してしまう、すなわち、企業・法人の他の部門の収入となってしまうという仕組みです。次々に保育園をつくれる裏にはこういう錬金術があるわけです。これでは子どもの福祉のための保育園ではなく、保育園を経営する企業の経営拡大ための保育園です。以上、資金の流出の状況について述べましたが、区はこの実態をどのように考えるか。所見を伺います。(Q1−1)
(人件費について)
 第二に、肝心な人件費です。先ほど述べた保育園の資金流出は、最も大きな支出であり、かつ削りやすい人件費を犠牲にすることによって行われています。
 現在の保育制度を設計するにあたり、国は保育園・幼稚園を調査し、全体として人件費が7割程度かかっているとの結果を発表しました。こうした調査をもとに公定価格においては人件費が7〜8割になるよう設計されています。ところが、区内保育園の財務書類を分析したところ、なんと驚くことに、人件費7割以上の認可園は、53園中7園しかありませんでした。しかも、この場合の人件費は施設長、事務職員など子どもに直接かかわらない人も含んでのものです。前述の小林美希さんにならって、これを便宜上「全体人件費」とよびます。全体人件費比率が5割を切っている園が11園、うち社会福祉法人1園、企業10園と5分の1にのぼります。53園のうち最低の値を記録したのは、区有地につくられた社会福祉法人の保育園で41.6%となっています(この園は昨年開設したばかりですが、大量離職も起きています)。53園の平均では、58.3%と6割を割り込んでいます。
 ちなみに、これは先の書籍に紹介されていた数字ですが、仙台市は2016年度実績で平均74.8%とあり、杉並区の6割未満というのは、23区全体の傾向ともいえますが、かなり非常識に低いものです。
(保育士等人件費)
 次に施設長などを除いた、子どもに直接かかわる保育士や調理士、看護師などの「保育士等人件費」の比率を見ます。53園の平均では47.9%と5割を切っています。最も高いところで69%、逆に低いほうは、下から26.9%、29.5%、31.3%がワースト3です。園によってかなり格差があることがわかりますが、保育士人件費が3割に満たない認可園があるのには恐れいります。
 そこで質問します。人件費比率が7割を超えている認可園は確認できた53園のうち7園しかなく、平均は6割を切っています。このことについての所見を伺います。また、流用されている費用は人件費にまわすように指導すべきではないでしょうか。区としての対策はあるかうかがいます。(Q1−2)
 以上のような公費の流出や人件費比率は、保育士賃金、保育の質に直接響いています。これは国が行ってきた規制緩和に問題の根源があります。都や他自治体と協力して規制強化へと国が政策転換するよう求めるべきと考えますがいかがか、うかがいます。(Q1−3)
 保育を企業の草刈場にした国が悪いのですが、杉並区もまたそれにのっかっているともいえます。ひとしきり問題となった区長後援会のゴルフコンペにも、いくつかの保育園運営事業者が参加しており、これらの企業と区長、副区長が仲良くゴルフをする関係だとすると、資金の流出を止めることは残念ながらなかなか難しいと言えるかもしれません。区政の転換があらためて必要であると感じるところです。
(2)区立保育園民営化
 次に、区立保育園の民営化についてうかがいます。いま述べてきた民間保育園の資金流出と人件費の削減を考えると、民営化がかしこい選択とはとうてい言えないと思います。
 現在の区の計画では、今後6年間でさらに6園を民営化、区立を27まで減らすことになっています。しかし、他区では、民営化をしないところもあります。 前にも指摘しましたが、文京区は1園民営化したのち、民営化をやめています。世田谷区も数園を民営化しましたが、当面は予定がありません。その他にも民営化をしない区がいくつかあります。これらの状況をみると、杉並区がなぜ休息に民営化を進めなくてはならないのか理由は不明確です。
 民営化された園の保護者からよくうかがうのは、区が説明会で「民営化しても変わりません」と説明していたが、実態はそうではなかった、ということです。上井草保育園の民営化後、保護者から、朝夕の保育補助の人員が減り、また、区立ではおかれていた用務の職員がいなくなり、用務や保育補助の仕事まで保育士がこなしており、多忙化しているとの指摘がありました。
 また、中瀬保育園の民営化にあたっての説明会では「公募要項の基準が公募時は満たされていても、のちに満たされなくなった場合、区は対応してくれるのか」との質問に対し「信義則として公募要項の要件を守るよう働きかけるが、罰則などはない。運営開始後に保育士の退職などはありうる」との回答、朝夕パートについても「運営費の中でどのように人を配置するかは事業者の判断」などの説明がなされており、これは、区立同様の水準を選定時に定めても、結局ザルだということです。
 このように「区立の保育水準を変えない」ことが保障されないなかでは、区立保育園を民営化することにより、保育の体制、保育の質に必ず影響が出てしまいます。現在予定されている民営化計画については立ち止まり、見直すよう求めるがいかがか。見解を求めます。(Q1−4)
(3)民営化ガイドライン
 次に民営化ガイドラインについてうかがいます。保護者のグループからの提案を受けましたので、それをふまえて提案します。まず、ガイドライン改定にあたっては、区役所内部だけでなく、外部の専門家や保護者代表を含む公開の審議会で行うべき、ということです。次に、内容について提案します。
(公募要項の改善)
 第一に、公募要項の改善により、事業者の選定をより厳正に行うことです。このかん、上井草保育園、杉並保育園の事業者選定に際しては、保護者選出の選定委員の要望に応える形で、公募要項の改善が図られてきました。事業者の応募条件として、認可保育所の運営実績を、杉並保育園では10年以上、上井草保育園では6年以上としました。民営化ガイドラインでは1年以上とされているのと比べ、厳しい内容で募集されました。また、全ての既存園の実績で人件費がおおむね70%以上であるという条件や、有休、育休の適切な付与などの労働環境に関する条件も付されていました。
 しかし、これらの条件が中瀬保育園の公募要項では後退してしまっているのは残念なことです。今後は上井草・杉並の選定をスタンダードとして、書き込んでいくべきではないでしょうか。その点でもガイドラインの改定が必要となります。
 また、上井草保育園の選定にあたっては、園長の条件として実務7年以上の上に、1年以上の施設長経験を求め、さらに、「運営に関する条件」として、
発達障害など要配慮児に対する体制
・区立上井草保育園の保育目標や行事の継承、近隣の学校との連携
・情報公開や説明責任
などについて詳しく書かれています。これらは子どもを守るための最低限の条件であって、今後の選定にも生かしていくべきことではないでしょうか。
(選定の手法)
 次に、選定のやりかたについてです。お隣の中野区は区長がかわり、保育園民営化についても見直しが行われました。このたびの民営化では公開プレゼンテーションが行われたそうです。また、中野区の選定委員会では、保育士、栄養士、看護師ら現場の職員が現地施設に派遣され、一日の保育をチェックして評価する、ということです。これは素晴らしいと思いました。区の選定委員会においても、これらの手法に学ぶことが必要と考えます。
 また委員会の会議録については、これまでにも指摘してきましたが、選定委員会は非公開であり、内容を知ることができません。しかも、会議録を開示しても、議論の内容は全く記録されていません。そのため、上井草保育園の選定では「標準偏差」という奇抜な手法が導入されたことが誰の提案だったのか、なぜそのような結論に至ったのかの検証が全くできませんでした。区は民営化を進めるのであれば、区民・利用者に対する説明責任をきちんと果たしていくべきと考えます。
(移行のしかた)
 第三に、民営化への移行の仕方です。練馬区などでは、行政・保護者・事業者の3者による協議会を立ち上げて、民営化のプロセスがスムーズに進むように、進行管理を行っていくとのことです。
 また、合同保育について、現在のガイドラインでは合同保育は民営化前の4か月を目安とするとされていますが、それでは短いとの指摘があります。具体的には民営化前の6か月、民営化後の6か月の計1年間は最低限必要と考えます。民営化後も区職員の保育士を派遣して共同で保育にあたることになりますが、これはすでに、武蔵野市、日野市など多くの自治体で実際に行われている例があります。また、合同保育が終わったあとも、行政の保育士が毎日巡回して指導に当たっている自治体もあります。子どもたちの心の安定を考えれば、こうした手厚い引継ぎが必要です。
 以下ガイドラインについて、まとめて質問します。
 第一に、区立保育園民営化ガイドラインの改定時期はいつごろか。また、改定にあたり、保護者、学識経験者を交えた審議会等の設置を求めるがいかがか。(Q1−5)
 第二に、保護者等の意見により公募要項に盛り込まれてきた保育園運営年数、施設長の経験年数などの改善を改めてガイドラインに取り入れ、今後引き継いでいくことを求めるがいかがか。(Q1−6)
 第三に、運営事業者選定の際、公開プレゼンテーションなどの手法を導入するよう求めるがいかがか。(Q1−7)
 第四に、民営化移行時の合同保育期間の延長を求めるがいかがか。以上、見解を求めます。(Q1−8)
 なお、杉並の民営化ガイドラインにはめざす保育の在り方が全く述べられていないという大きな問題があります。世田谷区のガイドラインを前にも紹介しましたが、
・区立の水準を守れる事業者を選定する
児童福祉法の理念、子どもの育ちを重視した質の高い保育、質の高い職員
などが具体的に書かれています。杉並区のめざす保育はただひたすら数だけなのでしょうか。そうではないというなら、理念をしっかりと書き込んでほしいと思い、この項の最後に要望します。
2.清掃行政について
 次に、清掃行政についてうかがいます。
(1)この夏の過酷な労働
 この夏は、本当に記録的な猛暑であり、不要不急な外出は避けるようにというよびかけまでなされるような状況でした。他の議員からも発言がありましたが、このような過酷な環境の中、毎日のごみ、資源の収集に当たられた職員の皆様には、心から感謝いたします。
 ところで、この過酷な夏に、さらに過酷な環境に置かれていたという、委託先の派遣労働の実態をうかがう機会がありました。
 清掃事業の委託先企業へ運転手、作業員を派遣している労働組合、いわゆる労働者供給事業、労供とよばれる形態をとる新産別運転者労働組合(新運転)および日本自動車運転士労働組合(自運労)は、あまりに過酷な労働環境をなんとか改善しなくてはと、23区の区議会議員によびかけて8月に勉強会を開催されました。そこでお聞きした要望などにもとづき、以下質問します。
 現場からの声として、
・休憩がとれない。休憩をとる場所と時間がない。
・汗をかいても着替えができない。
・車内で休憩するしかないが、清掃車両が路上に停まっていると苦情が入る
・アイドリングオフを守るため、エアコンが使えず、車内は高温で耐えがたい
・作業量が増えており、時間までに終わらせるために猛暑の中、走り続けなくてはならない
などをうかがいました。現場のようすの一端を伝えるものとして、新運転東京地方本部の機関紙から抜粋して紹介します。
「収集作業員はいつ緊急搬送されても不思議ではない状態。実際に収集作業中に体調が悪くなり緊急車両を要請するか現場で判断する状況となっている件数が、週に3件から10件ある」「午前10時から14時の最も危険な時間帯に90分にも及ぶ灼熱地獄での収集が続けられている環境もある」さらに「午前中の炎天下での作業を終えて昼の休憩をとるにも、十分に体を休める施設等があまりにも不足している」そのため「路上に車両を止め、東京都の条例を守りエンジンを停止した状態の車両の中で、50度を超える状況で待機をしています」というのです。聞いただけで汗がしたたってくるような気がします。
 そこで伺いますが、資源回収等、委託先の労働環境について、特に今夏の猛暑の中で、このような状況で、労基法に定められた休憩時間すら適正に守られない違法状態であることを区は把握しているのでしょうか。(Q2−1)
 また、先ほどの意見にもありましたが、資源回収の作業手順が厳しくなっているとのことです。猛暑の中を作業員が走り続けていると聞き、そう思ってみると、確かに資源回収の日、作業員さんが走って収集している姿が目につきます。歩いて収集したのでは時間までに仕事が終わらないのだそうです。こうした実態を区は把握しているのでしょうか。(Q2−2)
 このような状況は、車を増やし、人を増やして、作業量を減らしていくことでしか解決できないのではないでしょうか。
区は委託先事業者及び労供と協力して、着替えや休憩場所の確保などの労働環境を整備し、また作業手順を適正に見直すように求めるが、見解を伺います。(Q2−3)
 新宿区では清掃事務所の地下駐車場や民間の駐車場借り上げで休憩場所として提供しているそうです。杉並区も各区も最低限その程度のことはすべきではないでしょうか。委託先とはいえ、清掃事業は区の事業であり、その労働環境において違法状態を解消する責任があります。
(2)車付き雇上
 次に、「車付き雇上」についてうかがいます。
 杉並区は今年から清掃事業に「車付き雇上」を導入しました。「車付き雇上」とは耳慣れない言葉ですので、少し説明します。
 23区の清掃作業では、区有車両のほかに「雇上会社」とよばれる委託企業が清掃車両と運転手を供給するというやりかたが、移管前の東京都の清掃事業時代から行われてきました。当初は車両と運転手だけで、区職員の作業員を積んで現場にいくというやり方だったのですが、次第に、作業員までも雇上会社が供給するケースが増えてきました。これが「車付き雇上」です。ちなみに、この雇上会社の運転手や作業員として、先ほど述べた労供の方々が派遣されてきているわけです。
 杉並区はこれまで「車付き」は行ってこなかったのですが、今年から導入したとききました。そこで伺いますが、今年度は何人、また何組の「車付き」を導入したのでしょうか。また、来年度以降「車付き」を拡大する予定はあるのでしょうか。(Q2−4)
 これまで、車付きを導入してこなかったのには、それなりの理由があったと思います。特に、清掃事務所職員の皆さんのがんばりで、業務を支えてきたことが大きかったのだと思います。しかし、2000年の区移管から18年が経過し、職員の減少、高齢化は限界にきているのではないかと思います。そこで、区清掃職員の状況について、区移管時と現在の清掃職員の人数、平均年齢をお示しください。(Q2−5)
 杉並区ではこの間清掃職員の新規採用を行ってきたでしょうか。また、他区において新規採用しているところもあるとうかがいます。区が把握している状況をお示しください。(Q2−6)
 他の議員の質問にもありましたが、ごみ・資源の収集作業は、きわめて高度な専門性が要求される仕事です。先日、東京清掃労組から、私たち議員に対して、参考資料を配布していただきました。そのなかに、大東文化大准教授・藤井誠一郎さんの著書「ごみ収集という仕事――清掃車に乗って考えた地方自治」がありました。この本には大変生々しく、清掃現場の作業の様子が描かれ、しかも、いかに専門的な知識と経験が必要な職かということがよくわかります。
 以前、新潟で豪雨の折に、23区の清掃職員が派遣されたというお話を聞いたことがあります。派遣先の自治体は清掃業務を民間委託しており、民間事業者が災害ごみの運搬を行っていたが、いっこうにはかどらない。そこへ、23区の手練れの職員さんたちが行き、初めて行く場所にも関わらず、たった3日で片付け終わってしまったという劇的な活躍でした。先の西日本豪雨においても、杉並区は総社市への清掃職員の派遣を行いました。こんなことがいきなりできるのも、専門家である職員さんがいるおかげです。
 清掃職員の高齢化で、今後こうした技術の継承ができるか心配です。災害対応の点からも、清掃職員の若返り、新規採用が必要と考えますがいかがか。最後に見解を伺って質問を終わります。(Q2−7)

高円寺、上井草、あんさんぶる…杉並区政史上例のない住民ないがしろの年(2017年度決算の認定に反対しました)

 昨年度の決算に対する意見ですが、昨年度といえば、高円寺小中一貫校でスラップ訴訟があったり、上井草保育園の民営化で「標準偏差」で評価を逆転させて国立保育会に委託したり、そして、あんさんぶるが廃止された年でもあります。とんでもないことばかりが続きました。当然すべての認定に反対しました。項目を挙げます。
<2017年度の区政について>
(1)高円寺小中一貫校建設(2)上井草保育園民営化(3)あんさんぶる荻窪の財産交換(4)新しい施設の解体・事業廃止(5)区民負担増
<委員会で追及した区政の問題点>
(1)阿佐ヶ谷再開発(2)保育予算の流出と民営化(3)児童館廃止と学童クラブ民営化(4)区民センター利用率の低下(5)男女平等センター、プレミアム商品券、小学校警備など
《決算認定に反対する》
(以下原稿です。実際の発言とは違う部分があります。)
 杉並わくわく会議として、決算に対する意見を述べます。認定第1号平成29年度杉並区一般会計歳入歳出決算ほか5件の認定に対しては反対とし、以下その立場から意見を述べます。
(1)当該年度の区政について
 まず当該年度を振り返ると、杉並区政史上に例をみないほど、住民がないがしろにされ、田中区長の専横がきわまった年であったといえます。
●高円寺小中一貫校
 特に、高円寺小中一貫校をめぐってそれは顕著でした。
 5月の連休に高円寺の住民のもとに突然裁判所から書類が届いたのが、高円寺スラップ訴訟の始まりでした。自分の家の隣に高さ約30mという巨大な建物が建つというのにあいさつもなく、計画が決まってから突然知らされたという住民の抗議に対して、建設会社が区と結託して行ったのが仮処分申請でした。突然裁判所に呼び出された住民は大きなショックを受け、なかには体をこわした人もいます。
 このスラップ訴訟の過程で、事業者が工事説明会のときに住民を無断で隠し撮りしていたことも判明しました。また、建設会社の部長は住民の一人に対して暴行傷害の被害届を警察に提出し、この住民は何度も警察や検察に呼び出されて長時間の取り調べを受けました。しかし、当然のことながら、この事件は不起訴処分となりました。全くのぬれぎぬであったことを検察も認めたのです。
 住民の心と体に大きなダメージを与える様々な事件を繰り返して、高円寺小中一貫校は着工しました。
 しかもその後も、設計の不備による建築許可の遅れまで住民のせいにするなど、住民を容赦なく攻撃し続けた1年であったと言っても過言ではありません。なんとえげつない区政が展開されたことでしょうか。
●上井草保育園民営化
 もうひとつ、住民を敵視した対応が繰り広げられたのは上井草保育園の民営化でした。そもそも民営化が保護者に知らされたのが、計画発表よりも後というところから混乱が始まったものですが、当該年度はいよいよ事業者選定が行われました。驚くべきことに、素点では2位だった事業者が選定されて園舎を建設し、今年の開園に至っています。
 該当者なしとなった最初の選定後、強引に選定委員会を解散、委員会が存在しない状態で公募要項を制定して公募を開始、保護者には10日以内に委員を選出しないと選定委員会に参加させないと脅したあげく、標準偏差などという異例の手法を使って成績を逆転させるというやりたい放題の選定でした。事業者の提案した計画では、園舎の中に法人事務所があり、保育に使われるべき面積が犠牲になっているにもかかわらず選定されたことも不自然でした。
 委員会でこれらを指摘された区長や部長の答弁は、民営化と区のやり方に疑問を持つ保護者に対する敵意をむき出しにした異様なものでした。法人事務所の面積について減額対象から外すとのことでしたが、法人部分をきわめて小さく評価していることが、区の収入を減らす結果につながっていることは、質疑で指摘しました。区立保育園の民営化が加速化されようとしていますが、上井草の例をみるとき、民営化は慎重であるべきと言わざるをえません。
●あんさんぶる荻窪の財産交換
 第三に、当該年度は、あんさんぶる荻窪の財産交換へむけて、あんさんぶる廃止の計画が進んだ年でもありました。現ウェルファーム杉並の建設と桃二小の改築が行われ、今年の3月には荻窪北児童館が3月17日に閉鎖されたことを皮切りに、福祉事務所等が閉鎖され、移転しました。荻窪北児童館は3月末日をもって廃止され、子どもたちは保健所の「おぎきたプレイス」に仮住まい、不自由を強いられています。
 あんさんぶるの諸施設を移転したはずのウェルファーム杉並に新たに設置された天沼集会所の利用率がきわめて低いことも確認しました。あんさんぶる荻窪では60〜75%であった利用率が、天沼集会所ではひと桁から、高くて十数%と2割にも達していません。地元の強い反対の声を蹴散らして行われた、全くおろかな財産交換であったとしかいいようがありません。
 足を踏んだ者は忘れても、踏まれたほうは決して忘れないと言います。以上のべてきた、これら住民を踏みつけにした区のやりかたが、区政不信を招き、住民をふるさと納税に走らせる一因ともなっているのではないでしょうか。
●新しい施設の解体、事業廃止
 あんさんぶる荻窪も、過去廃止された科学館も永福南小も、現在取り壊しが始まったけやきプールも、また、今後廃止される予定の杉四小学校も、個性的で、杉並の歴史と記憶、文化を担う施設でした。あんさんぶるは築後14年足らず、杉四小は20数年で事業廃止、永福南小では30年と新しい施設が解体されました。区有財産の扱い方が粗略にすぎます。他区でこれほどぞんざいに新しい施設をつぶしたりしているところはまずないでしょう。ひたすら施設の文字通りスクラップ&ビルドを行っている田中区政は、区民の財産を棄損し、将来負担を増大させています。そして、本来であれば、施設に集う人々によって紡がれ続けていくはずだった文化はぷつりと途絶え、人と人のつながりは、また一から作り直しです。このやり方では、杉並の歴史はぶつ切りになり文化が育つことはなくなるでしょう。
 施設はただの箱であってはならず、住民の活動を保障し、子どもの育ちを保障するものとして魂を入れなくてはなりません。施設再編のありかたを転換するよう求めます。
●区民負担増
 さらに、当該年度中には、20年ぶりの保育料値上げと同時に区長・区議会議員等特別職の給与引き上げが決定されました。また、国民健康保険介護保険など大幅値上げとなったことも問題です。これらの区民負担を抑制するよう求めます。
(2)委員会で追及した区政の問題点
 次に、質疑の中で指摘してきた区政の問題点等について述べます。
●阿佐ヶ谷再開発
 第一に阿佐ヶ谷北東地域のまちづくりについてです。これまでも何度も指摘し、また今議会の一般質問でも取り上げたように、土地区画整理事業を中心とする北東地区の再開発計画には問題が多すぎます。
 駅前の一等地に立地する杉一小を移転させ、跡地を民間に手渡す計画はマンションディベロッパーにリボンをかけて差し出しているかのようです。 病院の跡地は汚染地であり、しかも、ハザードマップ上の浸水地です。小学校用地としては全く不適切です。区の試算によれば、徹底した土壌汚染対策には7億円以上かかるとのことであり、汚染の原因者である河北病院が果たしてそのような対策を行うかは不透明です。
 けやきのまち阿佐ヶ谷の象徴的な存在であるけやき屋敷の森はほとんどが伐採される計画です。区内を14ゾーンに分けたとき、阿佐ヶ谷は樹林率が最も低く、1.42%しかないことを確認しました。ほとんどゼロに近いのです。緑被率も高円寺ゾーンに次いで下から2番目となっています。これは井の頭線沿線など他地域の方には想像がつきにくいかもしれませんが、本当に阿佐谷は緑がないのです。そのなかでけやきの森が消滅することの意味を区長、区役所そして区議会の皆さんにはよくよく考えていただきたいと思います。
 北東まちづくりの意見交換会ではコンサルタントから「けやき屋敷といっても大して木はない」かのような説明もありましたが、みどりの実態調査によれば、けやき屋敷の敷地内は建物が建っていると思しき部分を除いてはほぼ全部が樹木被覆地すなわち樹木におおわれた土地とされていることも確認しました。今般の土地区画整理事業でこの被覆率を守れるとは到底思えず、根本的に計画変更が必要と考えます。
 「東京における自然の保護と回復に関する条例」についても説明を求めました。この条例に従って、区はこれから秋、春2回の自然環境調査を行うとのことです。東京都に対しては、既存樹木の保全、移植の計画、またはそれを検討したができない場合の理由を提出しなければならないことを確認しました。区がこれらを誠実に履行されるよう期待します。
 また「街並み誘導型地区計画」についても質問しました。道路の拡張などのかわりに斜線制限や容積率を緩和できる地区計画です。これが導入されて阿佐ヶ谷が開発される計画だということを知っている区民がどれだけいるでしょうか。
 高さについて、意見交換会で聞いたことを付け加えます。コンサルからは新進会通りの高さ制限を30mにする案が出されました。その理由は25mを超えるビルが1棟あるのでそれ以下の高さ制限だとこのビルがひっかかってしまうからということでした。しかし、それ以外の建物は4〜5階建てで仮に25mでも十分な余裕があります。ちなみにこのビルは河北病院のサテライト診療所ですが、この1棟だけのために大甘の高さ制限となることは容認できません。杉一小用地については60mが提案されました。これは南口の16階だてマンションと同じような高さです。しかも、杉一小だけでなく、その南側に並ぶ西友三菱銀行がいずれ同じ時期に建て替えられ、一斉に60mの高さになったら阿佐ヶ谷北口の環境・景観は大きく損なわれます。
 意見交換会では、北口でお店を営む方から、現状でも風害の問題があり、60mの高さには反対、との意見が出されました。コンサルは「皆さんからご意見があれば検討しますよ」といいながら、このご意見に対しては、何度も発言を遮ろうとし、「反対」と明言されたことにたいしては、あ、そうですか、とまともにとりあおうとしないのです。「意見交換会」と銘打っているものの、区とコンサルの案ありきの説明会になってしまっています。しかも、この会に来ている人は毎回十数人ときわめて少数です。地元阿佐ヶ谷も含む圧倒的多数の区民は全くこの計画を知りません。区民が知らない間に進めて、発表したときに意見をいうと「もう決まりました」という区のやりかたは、いつもの手口としかいいようがありません。
 すでに行われている不動産鑑定や緑地に関する情報、河北病院の設計案など、区画整理事業にかかわる情報は、区が事業主体としてかかわっている以上、区議会と区民に公表されてしかるべきものです。個人情報をタテに一切情報を公表しようとしない区の隠蔽体質は公有財産の適正な管理・処分の担保という点からも許されるものではありません。
 このままだと阿佐ヶ谷はみどりが消えて、駅前に高層マンションが林立して商店街が衰退し、どこにでもある殺風景なまちに変わってしまうことでしょう。私たちのまちはこれからも長く子孫に受け継いでいくものです。田中区長ひとりのお好みやご都合で勝手に作り変えていいものではありません。
●保育予算の流出と民営化
 第二に保育についてです。
 ほとんど全額が公費でまかなわれているにも拘わらず、私立認可保育園に投入される公費の十数%が運営法人によって、新規事業や他園の運営、高齢者など他分野の事業に流用されていることを指摘しました。ちなみに、公定価格では7割に設定されている人件費比率について他の委員からも質疑がありましたが、私の調査では、把握できた区内37園の認可保育園のうち人件費比率が7割を超えたのはたった7園でした。これでは保育士不足や保育士の待遇改善などといっても空語です。これは国の制度上の欠陥ですが、区は都や他区と連携して、保育士給与にきちんと使われるよう、制度改善にむけ努力していくべきです。
 また、区としても財務上改めるべき点があることも指摘しました。区有地の貸し付けです。区有地を活用して私立認可保育園を建てると基本的に当初3年間の地代が免除され、以降も3分の1に減額されるという優遇を、区は、向井公園や久我山東原公園などに建てた保育園に対して行っています。他区ではこのような例はないようだとの答弁でした。ただでさえ、建設費は事業者の持ち出しが16分の1のみ、運営ははほとんど公費、お客は放っておいてもおしかけてくるという事業で、その上に地代もただとなれば事業者は笑いがとまりません。
 保育園の費用拡大により経常収支比率も大きな声で言えなくなってしまった杉並区としては、土地代くらいは回収すべきではないでしょうか。
●児童館廃止と高井戸学童クラブ民営化
 第三に児童館について述べます。
 高井戸児童館・学童クラブについて質問しました。私たち議員が知らないうちに、いつのまにか学童クラブを民営化することになっていました。なお、担当部長の答弁では「現在の行革計画で4クラブの民営化が決まっている」とのことでしたが具体名は上がっていませんでした。
 私は先日、高井戸児童館に視察にうかがい、公園に隣接した環境、広々として、外の公園が見通せる開放的な遊戯室など、すばらしい児童館だと思いました。学童クラブの待機児童解消のためとはいえ、この遊戯室を削って他用途に振り向けるのは本当にもったいないと感じました。まして、将来的にこの館が乳幼児専用などということにならないようにと願うものです。
 学童クラブは児童館内にある場合、児童館事業との分離が難しく偽装請負の危険があることから、学校内など児童館外に設置の場合のみ委託化と受け止めてきました。しかし、このたびの高井戸では児童館から動かないのに委託の計画が進んでいます。質疑では、児童館内の階段を閉鎖することを確認しました。偽装請負の危険を回避しつつ委託するためにやむを得ない措置と考えたのでしょう。しかし、これまで児童館内を自由に行き来して好きなところで遊ぶことができた学童クラブの子どもたちは、民営化後はわざわざ別の階段を通っていったん外に出て玄関から入りなおして1階の遊戯室などに遊びに行くことになります。しかも、学童クラブの運営事業者が引率しなくてはならず自由には行けません。学童クラブは子どもの福祉のために行っていることなのに、子どもの生活の質を引き下げてどうするのでしょう。民間委託にまい進するあまり、肝心な子どもたちが不利益をこうむります。
 しかも、そこまでやっても、偽装請負を回避することは難しいのではないでしょうか。なぜなら、1階で遊ぶ子どものうち学童と一般来館の子どもの区別はつきにくく、また、区職員と委託の職員が同じ現場に居合わせ、区職員から指示を受けるような場面が容易に想像つきます。違法となる可能性が高く、委託は中止するのが適切と考えます。
 児童館については、施設再編整備計画第二次プランでさらに9館が廃止されることになりました。加速しています。対象となった児童館をかかえる地域、私の地元の杉九小学校区もそうですが、それらの地域の皆さんにとっては晴天の霹靂です。しかも、区はこの計画をつくるにあたって、地域の事情や意見をまったく把握していませんでした。放課後子ども教室や土曜日学校などの実施状況も知らずに、いきなり放課後等居場所事業を学校で行うなどというものだから、学校支援本部に係る方々に混乱が生じています。施設の利用状況、たとえば杉九ゆうゆうハウスがどれだけ地域に必要とされているかも把握されていません。しかも、町会にも事前に何の説明もなかったと聞きました。これらは区役所が、いかに地域から乖離しているかを示すものです。もういい加減に仕事のやりかたを変えてください。区役所の皆さんは区長の手下ではなくて公僕です。区民全体のために働くことが使命です。所管の皆さんは、まず地域に入り、地域の方々に事情をよく聞いてください。区役所が勝手に決めた計画を上から押し付けるのではなく、地域が納得するやり方を探り、区民といっしょにものごとを作り上げる区役所に変わってほしいと思います。
●区民センター利用率の低下
 第四に区民施設の利用率と、施設使用料値上げの関係です。資料をいただいて確認したところ、地域区民センターの諸室のうち、区民が一般的に会合に使う集会室・和室の利用率の低さは衝撃でした。
 今年度の実績ですが、利用率が5割を割り込んでいるコマが55%にもおよび、2割未満すなわち数%から十数%しか使われていないコマが19%。惨憺たるものです。せっかくの施設がのきなみ半分以上空っぽなのです。しかも、施設使用料値上げと団体割引の廃止が進むにつれ、利用率がどんどん下がってきました。この現実を直視すべきです。
 そもそも区民施設は何のためにあるのか。住民どうしが様々なかたちでつながり、学び、活動することが地域を活性化させ、豊かな地域を作っていくことに有効だから、区が公費を投じて整備しているのではないでしょうか。また、団体割引を行ってきたのも、集まって活動するグループを形成することが組のまとまりを促すからではないでしょうか。杉並区はそのことを忘れ、使わせてやってるんだから、経費は負担しろといわんばかりの傲慢な姿勢で大幅な値上げを行い、無残な結果となってしまいました。使用料の大幅引き下げと団体割引の復活を再度強く求めます。
●男女平等センター、プレミアム商品券、小学校の警備
 このほか、質疑の中では、男女平等センターの委託事業者の一部契約不履行について指摘しました。公的な施設が開館日に閉まっているなど、あってはならない不祥事です。同センターの事業に対する区の軽視が緩みにつながっていると指摘します。所管の管理責任は重大です。猛省を求めます。
 プレミアム商品券についても述べました。来年には消費税の税率引き上げも待っています。予想される消費の冷え込みと商店街の苦境を打開するためにも、この事業は必要です。真剣に検討していただきたいと思います。
小学校の警備について質問しました。警備会社からシルバー人材センターへの変更は見送りとのことで安心しましたが、今後とも子どもの安全にかかわる経費については、出し惜しみすることのないよう求めます。
 以上をもちまして反対意見とします。
 最後になりましたが、審議にあたり、多数の資料を作成して下さり、さまざまな問題についてご教示くださり、また連日丁寧に答弁してくださった職員の皆様に御礼申し上げます。ありがとうございました。

保育予算の流出、高井戸児童館、区民センター利用率など質問しました(決算特別委員会質疑)

 2018年10月15日の採決をもって決算特別委員会が終わりました。私は6会計の決算すべての認定に反対しました。下記は私の質疑の要旨です。
決算特別委員会の動画はこちらから見られます。
保育について(質疑1回目:10/3)
 私立認可保育園はそのほとんどが公費(国・都・区)で運営されています(区立保育園は国の補助金が出ません。政府の民間誘導=優遇政策です)。ところが、そのうちかなりの金額が運営法人の「他の事業」「他園の新築」経費や積立に回されていることがわかりました。東京都全体で18%の公費が流出や積み立てなどに回され、園の保育に使われていません(岩波新書『ルポ保育格差』小林美希著参照)。
 そこで、私は杉並区の状況を調査しました(東京都から情報開示)。私立認可37園合計で
・年度末の支払い資金残高が合計約10億円
・他区分(他園、他の事業=介護などへ)の支出が合計約6億円
と、総額のうち16%ほどが園の保育以外に使われていることがわかりました。
 他方、区立保育園の民営化1園あたりの経費削減は6000万円余り(区側答弁)ですので、15億円の流出は20園以上の民営化に相当します。杉並区は区立保育園の民営化を加速していますが、それより保育に使われずに「抜かれている」お金を取り戻せばいいわけです。
 つまり、民間企業を保育でもうけさせるために区立園がつぶされていっているわけですね。わかりやすいですね。
 人件費について補足しますと(委員会では質問していません)、公費(公定価格)のうち7割が人件費として計上されています。その部分が抜かれているわけです。ちなみに、上記調査で私立認可37園のうち、人件費(しかも園長なども含む)が7割以上という園は7園しかありません。
地域区民センターの利用率(質疑2回目:10/4)
 2014年度から区民施設利用料の大幅な値上げ&団体割引の廃止となりましたが、そのため区民センターの利用率が大幅に下がっています。この間に20ポイント以上利用率が下がった(70%→50%とか、50%→30%とか)コマ(部屋毎の時間帯)がなんと41%もあります。
また、今年度第一四半期実績で、利用率が5割未満のコマがなんと55%。うち2割未満のコマだけでも19%に及ぶのでした。半分以上の部屋が半分以上の時間帯空いているという状態。使いたい人がいないのじゃなくて、高くて使えない。区民センターという事業が完全に失敗していますね。
 ちなみに、あんさんぶる荻窪の最後の年度と、移行した先の「ウェルファーム」の現在の利用率は以下のようです。
<あんさんぶる> 
(午前)61.0(午後1)75.2(午後2)70.9(夜間)62.7%
<ウェルファーム(天沼集会所)>
(午前)11.0(午後1)14.8(午後2)13.8(夜間) 9.0%
 だから言ったでしょ、と言いたくなる結果。皆さんの意見を聞くと「駅から遠くて不便」「場所がわかりにくい」「あんさんぶるは駅から近くて便利だったのに」。天沼集会所は5部屋あるので、毎日1部屋入っていれば2割にはなるんですけどね。それすら使われてないんですね。実際、日曜日にウェルファームに行ったとき午前1部屋、午後1部屋しか入ってなかったですもん。日曜日ですよ。
男女平等センター(質疑2回目:10/4)
 これは、ある日、センターを訪れるとなんと真っ暗で入れなかったという事件を追及したものです。利用者の方が驚いて区役所に通報したそうです。委託事業者の職員が午前の勤務なのに午後と思い込んでいたという単純ミスなんですけど、公共施設ですよ。ありえないですね。区がいかに男女平等センターを軽視しているかよくわかります。委託契約書では、決められた日時までに業務を履行すること、契約通りに履行された分についてのみ委託料を支払うとはっきり書かれています。遅延損害金についても定めがあります。がしかし、「始末書を書かせたんで、ペナルティーとかは別に」みたいな答弁で。
 さらにひどいのは、前日までにこの質問を通告しているにもかかわらず、「契約書を読み上げて」というと課長が「事前の通告がなかったので用意していない」と平気で言ったことです。こんなぶざまな事件を質問されるとわかっていて契約書が手元にないとか、全く緊張感も反省もないですね。ていうか、それ以前に所管なんだから契約書は委員会室に持ってこようよ。
上井草保育園と保育園の土地代(質疑3回目:10/9)
 杉並区は区有地を貸して民間保育園を建てた場合、当初3年間土地代無料、かつそれ以降は通常の地代の3分の1という優遇をしています。向井公園や久我山東原公園に建てた保育園などが代表的です。
「こういう優遇をしている区はほかにあるんですか」
「ないのではないかと思います」
「区は保育にお金がかかると言っているんだから土地代とればいいんじゃないですか」
というやりとりをしました。企業に優しすぎです。
 区有地利用の民間保育園は現在16園。うち地代を払っているのは4園しかないそうです。
高井戸児童館・学童クラブ(質疑3回目:10/9)
 高井戸小学校はものすごく子どもが増えていて、今年は1年生が5クラス。来年は6クラスか!?と言われているそうです。当然学童クラブもパンパンなので、区民会議室を潰して学童クラブに使います、ということは聞いていました。
 ところが。保健福祉委員会にも報告のないまま学童クラブが「委託」になっていたんです。
 そこで質問したのですがポイントは
○児童館内で学童クラブをやるのに、分離できるのか。できないと「偽装請負」になる可能性が高い。
○他方むりやり分離すれば、これまでと違い学童の子たちが児童館を自由に使えなくなる。
という両方から見て、両立は無理なのじゃないかということです。具体的には、
・2階を学童クラブ専用とし、1階の児童館部分と分離。
・児童館内の階段を閉鎖し、直接の行き来ができなくする。
・2階の学童クラブから1階の児童館へ遊びにいくには別の階段からいったん外へ出て玄関から入り直さなくてはならない。
・しかも引率者が必要なので、子どもが勝手に行くわけには行かない。
・しかも、そこまでしても、結局1階で混ざってしまう(子どもも職員も)ので偽装請負の防止は困難。
 こんな無理な委託をなぜやるのでしょう。杉並区は事業の目的を完全に見失っています。委託で少々お金が浮くのかもしれないけど、そのために子どもの福祉が犠牲になっているわけです。委託の弊害がそのまま具現化したといえます。
小学校の警備(質疑4回目:10/11)
 これは、PTAの人から聞いたんですが、杉並区が小学校の校門に配置している民間のガードマンを節約のためシルバー人材センターに変えるという案があったそうです。ガードマンが殺されたりしているご時世に、高齢者に警備させるんですよ。しかも低賃金!
 さすがに教育委員会も思いとどまったそうですけど、経費削減のためらしく、こちらも事業の目的がわからなくなっている杉並区らしいです。
阿佐ヶ谷の開発(質疑4回目:10/11)
 阿佐ヶ谷はけやきのまちです。私は子ども時代、朝な夕な二階の窓から近所の教会の大きなけやきの木を見て育ちました。中杉通りやけやき屋敷はいうまでもありません。これは数字的にも実証されています。区内全体としてけやきが多いのですが、阿佐ヶ谷はとびぬけて多く樹木の3割くらいがけやきです。他方、阿佐ヶ谷は区内でも緑が少ない(高円寺に次ぐ)まちです。
 ちなみに、まちづくり「意見交換会」ではコンサルが「けやき屋敷といっても大して木はない」かのような説明をしましたが「杉並区みどりの実態調査報告書」ではけやき屋敷のほぼ全面が「樹木被覆地」と確認されています。
 今回のけやき屋敷の開発にあたっては、都条例(東京における自然の保護と回復に関する条例)により、自然環境調査をしなければならないということがわかりました。春、秋2回の調査が必要であり、調査結果に基づいて、樹木等の保全、移植、伐採等の計画、工事工程等を示した報告書を提出する義務があります。また「既存樹木等保護検討書」は保護樹林・保護樹木を対象とし、行為地内にそのまま残すことまたは行為地内での移植を検討すること、保存できない場合はその理由を述べる必要があるとされています。
 この調査をこれから杉並区が行うとのことですが、どのような結果になるのか、そもそもその結果が公表されるのか、追及していきたいと思っています。

杉並区は児童館を全部廃止します/阿佐ヶ谷再開発は豊洲と同じ(一般質問しました)

 2018年9月13日杉並区議会第三回定例会で一般質問しました。
◎児童館について
 このかん開かれた「施設再編整備計画第二次プラン」の説明会では多くの質問が児童館に集中しました。すべての児童館を廃止するという区の方針を初めて知ってショックを受けた人も多かったようです。
 6月の区長選挙に際して田中区長は「杉並区長 田中良〜児童館の枠を越えた取り組み〜」という動画を発信しています。それを見て驚きました。
 「児童館が全廃されるというデタラメを喧伝する人がいる」はもちろんウソっぱちですが、「中高生の利用を児童館から切り離さないと乳幼児の利用拡大ができない」「そのためには法律の縛りのある児童館という名称を外さなくてはいけない」(大意※)と聞いたことのない理屈が突然出現。しかも同じ動画で「中高生の利用はゼロか1〜2人」とも言っているのですから、え?じゃあ、利用を阻害はしてないのでは?です。ウソをついてるから発言が混乱するのです。
 部長さんたちの答弁は最近はやりの「ご飯論法」で「児童館の機能を移転するということを申し上げたもの」と答えになっていません。「乳幼児施設である子ども子育てプラザでも小中学生の利用はできる」と答えたのは区長の発言と矛盾しています。
※発言は「児童館という名称は法律に依拠していまして、その法律には、児童館とは高校生まで対象にしなければならないという定義がある」というもの。この発言は不正確で、児童福祉法自体の対象は18歳未満とされているものの、児童館の条項に特段の年齢の定義はない。「児童館ガイドライン」で児童館の対象を18歳未満とされている。
◎杉九・東原地域の再編について
 私のご近所の東原児童館が廃止される方針が突如発表されました。そればかりか、同じ地域の「杉九ゆうゆうハウス」(生涯学習振興室)、「ゆうゆう阿佐ヶ谷北館」と3つの施設がいっきに廃止される計画。この地域にウラミでもあるのか。
 しかも、学童クラブと放課後居場所事業をやるといっている杉九小は教室がいまパンパンの状態です。空き教室はありません。無理矢理ほかの事業をもってくれば学習環境の悪化につながります。
 杉九地域は、地域の方々が、子どものためにボランティアを地道に続けてきた地域。その拠点である児童館をなくすことはできません。
2.阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくりについて
◎河北病院の建て替えから始まった
 「阿佐ヶ谷駅北東地区を考える会」というナゾの団体。区役所は「民間の団体」といいながら、えらく優遇していて、この団体の言うことを受け入れてきています。その正体に迫りました。
豊洲新市場と同じ区画整理事業のあやしさ
 東京ガス土地区画整理事業の仕組みを利用して、(1)豊洲の汚染地と東京都所有の普通地を交換(2)汚染地を普通地として高く評価(3)汚染対策が不十分だったが東京都が請求を放棄、と何重にも利益を得ました。河北病院と杉一小の土地交換も同じ構図です。土地区画整理事業を使うと区民が知らないうちに一括で事業を進めることができてしまうのです。 
◎「意見交換会」について
 知らない間に6回もやっている意見交換会。計画予定地(杉一、けやき屋敷、河北病院と新進会商店街)の権利者と一皮(面している家)だけに配布しているため参加者が少ない。しかも、区とコンサルが一方的に説明をしているので参加者は「???」の状態。それなのに「反対意見がなければこれで」みたいな進め方です。大切な駅前、もっと議論が必要です。
◎情報公開
 放っておくと区が事業費を負担して河北病院と地主さんが儲かる構図になります。土地評価などもうわかっているはずなので、公開させなければなりません。
(以下は発言原稿です。実際の発言とは違うところがあります)
1.施設再編整備計画について
(1)児童館について
<「学校に行きたくなければ児童館へおいで」>
 一般質問をいたします。まず児童館について質問します。
 9月、新学期が始まるとき、子どもの自殺が最も多い時期といわれます。「学校に行きたくなければ図書館においで」「児童館においで」と公共施設もよびかけます。
 2015年、川崎や寝屋川で中学生が犠牲になる痛ましい事件が起きたとき、杉並区議会でも多くの議員から「子どもの居場所が必要」との発言がありました。そのとき私は議員の皆さんに対して、以下のように述べました。
「杉並では、42の児童館に中高生が自由に行くことができます。特に「ゆう杉並」と7つの地域児童館に組織されている中高生委員会では、中学生が高校生といっしょになって活発に活動しています。そして、この場を通じて、児童館の職員さんや地域のおとなとつながることで、杉並の中高生は守られてきました。杉並はいわばこの問題の先進地域なのです。(中略)問題は居場所がないことではなくて、目の前にあるのに、それを区がなくそうとしていることなのです。子どもの居場所を心配する皆さんは、児童館をなくさないように、という声をどうぞ上げてください。」
 ところが残念ながら、その後3つの児童館が廃止され、さらに今回、第二次プランで、杉並区は3年間でいっきに9館を廃止しようとしています。これは子どもをめぐる社会の要請に全く逆行しているとしか言いようがありません。
<選挙で「児童館廃止はデタラメ」と区長>
 そこでまず、区長の見解を質したいと思います。
6月に施行された区長選挙の際に区長の陣営が配信した動画は区長が児童館について述べたものでした。
 まず冒頭、区長は「児童館全廃というデタラメを喧伝している人がいる」と延べています。そこでうかがいますが、「児童館全廃」はデタラメというのは区の共通認識でしょうか(Q1−1−1)。それはこのかん「最終的には施設としての児童館はすべてなくなる」旨、説明会で回答してきていることとも矛盾します。幸いというかこの動画の閲覧数はさほど多くないのですが、このように、選挙の票めあてで、事実を政治的に歪曲するのは姑息で、廃止は廃止として堂々と主張していただきたいものです。
 次に、児童館の事業内容について。区長はこの動画で「児童館の主な事業は3つ」と述べています。しかしこれは間違いではありませんか。区の公式見解でしょうか。児童館の主な事業とはなにか、区長がわかっていないようでは困るので、今更ですが説明を求めます。(Q1−1−2)
<中高生の児童館利用は乳幼児のじゃま?>
 この動画で区長は、児童館の中高生の利用は極めて少ないが乳幼児の需要は強い、として次のように述べています。
「ニーズの少ない中学生や高校生の居場所というのは児童館から切り離して、他に考えていきたい。だから児童館という名称を消さないと、中学生・高校生を切り離すことができない。」
 驚きました。区が児童館を廃止するのはそういう理由なのでしょうか。(Q1−1−3)
 子ども子育てプラザ条例は18歳までの子どもを対象としており、小中学生の来館も拒まないと区は説明してきたのですが、区長の「切り離す」発言は、この方針とも矛盾しているのではありませんか。見解を求めます。(Q1−1−4)
<国は児童館を充実、活用へ。杉並区は逆行>
 さて国の動きは杉並区の動きとは反対に児童館の充実、活用に向かっています。
 国の社会保障審議会「放課後児童対策に関する専門委員会」は今年7月に発表した「総合的な放課後児童対策に向けて」(中間とりまとめ)で「大きく社会状況が変化している中で福祉、子どもの権利の観点から検討の必要がある」として、子どもの権利条約第31条の休息・余暇及びレクリエーション等についての規定にふれ、
・放課後児童クラブや放課後子ども教室と、児童館・社会教育施設等をはじめとした地域の様々な施設を有機的に連携させる
・児童館については、児童館ガイドラインにそって機能をより一層充実させていく
・高学年の待機児童の対策として児童館、社会教育施設等を活用して地域に多様な居場所を用意する
と児童館の充実と活用を打ち出しています。杉並区の児童館をすべて廃止するという方針はこれに逆行するものではありませんか。見解を求めます。(Q1−1−5)
<改正「児童館ガイドライン」では「子どものための館」>
 また、同じ社保審の「遊びのプログラム等に関する専門委員会」は「児童館ガイドライン」改正の最終案を発表しています。その中では新しく「施設特性」の項目を設け、「子どもが安心してくつろぐことができる」「子どもが困ったときや悩んだときに相談したり助けてもらえたりする職員がいる」などと定義されています。中でも第一に「拠点性」が挙げられ、「児童館は、地域における子どものための拠点(館)である」と定義されています。他の施設では代替できない児童館の特性です。
 そこで、このガイドライン改正の趣旨と概略、および、新設条項である「施設特性」について説明を求めます。杉並区の児童館廃止方針は、館がなくなっても機能を分散移転するからよい、とするものですが、これはこの新ガイドラインに掲げる「拠点性」に反するものと考えるがいかがか。見解を求めます。(Q1−1−6)
(2)杉九・東原地域の再編について
<東原児童館など3施設廃止の衝撃>
 次に、杉九・東原地域の施設再編についてうかがいます。
 第二次プランが発表され、私の地元の杉九小・東原中地域には衝撃が走りました。なぜ私たちの地域が突然ふってわいたようにターゲットにされたのかわかりませんが、それぞれ多くの大人や子どもが利用している東原児童館、ゆうゆう阿佐ヶ谷北館、杉九ゆうゆうハウスという3つの施設をいっぺんに奪われることに対し、地域の方々から懸念や疑問の声がわいています。
<学校には余裕教室がない>
 まず、学童クラブを杉九小に移転するということですが、杉九小には空き教室はなく、来年以降、教室が不足することは確実です。区の案では、もともと校舎の一部を転用した杉九ゆうゆうハウスを廃止し、学童クラブに再転用することになっています。ところが、現在の東原学童は面積にして約190平米、3教室分ありますが、ゆうゆうハウスは転用しても2教室分しかとれずスペースが不足します。現状では学童クラブを移転させるのは無理です。
 それだけでなく、児童館の代替事業として放課後等居場所事業を学校内で行うことになっていますが、さらに教室が削減されることになりますから、もちろんこのスペースもとることはできません。
 区は特別教室の転用で対応するといいますが、いま現在学校教育のために使っている教室を削減することは即、杉九小の教育環境の悪化となります。しかも、東原学童クラブは昨年数ヶ月児童館を閉鎖して定員拡大のため工事をしたばかりです。それなのにまた工事して学校内に移転とは、この無駄遣い、朝令暮改は何なのか。学校側からもご意見として「地域に丁寧に説明してほしい。子どものため、を第一として行ってほしい」とのお話があり、区の担当者も直接聞いておられました。学校教育にとっても学童クラブにとっても無理な計画を強行すべきでないと考えますが、区の見解はいかがか。伺います。(Q1−2−1)
<学童クラブは学校内だけでいいのか>
 また、地域の方々からは、仮に学校内に学童クラブを移すとしてもなお、学校外の学童クラブという選択肢は必要との声が聞かれます。児童館の学童クラブも存続させ選択肢の保障と定員拡大に対応すべきと考えるがいかがか。見解を求めます。(Q1−2−2)
<地域のボランティアは「お払い箱」?>
 次に、杉九小では放課後子ども教室「わくわくクラブ」が運営されてきました。しかし、放課後等居場所事業の導入でこの事業は終了することになります。地域のボランティアの皆さんが区の要請に応えて懸命に維持してこられた活動です。区が別の事業をやることにしたからと、一方的にお払い箱にしてしまうことは許されません。ボランティアの方々と地域の子どもたちはまちで会っても声をかけあう関係があり、こうした地域のネットワークが壊されてしまうことを危惧します。区はいったいどう考えているのか。所見を伺います。(Q1−2−3)
<杉九ゆうゆうハウスまで廃止される>
 学童クラブの移転のために廃止される杉九ゆうゆうハウスについても、地域からは懸念の声が多く上がっています。ゆうゆうハウスをご存じない方も多いかもしれません。杉九ゆうゆうハウスは、地域の方が登録して使える会議室と自習室から構成されています。地域団体とりわけ子どもにかかわるいくつものボランティア団体が、ゆうゆうハウスで会議をもって団体の活動を続けてきました。自習室では図書館以上に静穏な環境のなかで、定期試験や受験勉強に子どもたちががんばっています。地域に根付いた地域活動の拠点です。こんなに安易に廃止していいものでしょうか。そもそもゆうゆうハウス設置の目的は何だったのですか。説明を求めます。
<中央線の南側まで行けと?>
 また、今回の第二次プランでは、阿佐ヶ谷駅南口の産業商工会館へ、さらには荻窪駅南口の中央図書館へ「機能移転」と説明されていますが、区北部の区境に位置する私たちの地域から、わざわざ中央線を越えてそんなところまで子ども達が行くと思いますか。近所にあるから行くのです。「機能移転」など現実的ではありません。この地域を軽視しているとしか思えませんが、いかがか。見解を求めます(Q1−2−4)。「機能移転」などとごまかさず、「廃止するので申し訳ないけどあっちを使ってください」とまず謝るのがスジではありませんか。
<ボールで遊べる唯一の場所>
 東原児童館の使われ方も、区は実態を把握しているのでしょうか。杉九小校区にはボール遊びのできる公園がありません。児童館が唯一のボールで遊べる場所です。また、東原児童館は東原中学校に近いため、学校帰りの中学生がふらっと立ち寄る場所でもあります。
 乳幼児から高齢者までが使える地域コミュニティ施設に再編するといいますが、小学生、中高生は除外されています。しかも我々の北部地域にはいまのところ中高生の居場所は検討にすら上がっておらず居場所がなくなります。これら児童館機能の維持について見解を求めます。(Q1−2−5)
<地域活動に大きなダメージ>
 以上の様々な地域の声に区はひとつひとつ誠実に答える義務があると考えます。この項の冒頭に述べたように、児童館、ゆうゆう館、ゆうゆうハウスという利用者の多い3つの施設がいっきに廃止されれば、地域活動には大きなダメージとなります。計画は全面的に見直すべきと考えるがいかがか。この項の最後に見解を求めます。(Q1−2−6)
2.阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくりについて
<「阿佐ヶ谷駅北東地区を考える会」とはなにか>
 次に阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくりについて質問します。この話は、ちょうど2年前に公になりましたが、以来「阿佐ヶ谷では『阿佐ヶ谷駅北東地区を考える会』の活動などまちづくりの機運が高まっている」としきりに説明されてきました。いったいこの「考える会」とは何なのかと、本会議でも質問しましたが「民間団体なので」と説明してもらえないわけです。
 そこで調べてみたところ、この団体は2014年1月に設立されたものだとわかりました。河北病院のホームページに「考える会を設立」と記載されています。河北病院がつくった団体かと思うと、代表者は地主の相澤さん、そして連絡先はなぜか港区にある会社に置かれていました。阿佐ヶ谷の、それも北東地区というきわめてローカルな問題を議論する会がなぜか港区です。
<区役所が特別扱いするたった11人の団体>
 しかも、阿佐ヶ谷駅北東地区の計画に関わる区の事業委託公募要項を見ると、驚くことに、一民間団体にすぎないこの団体とのコンタクトが条件となっています。例えば、2015年「まちづくり方針案策定等支援業務委託公募」には「北東地区を考える会との意見交換の想定回数を教えてください」というQ&Aが出ています。河北病院の移転が公表されるよりもずっと前のことです。2016年「まちづくり基礎調査委託業務」では公募要項冒頭の「目的」の項に「阿佐ヶ谷駅北東地区を考える会が検討している」云々書かれています。どうも素朴な住民団体とはちょっと扱いが違うようです。
 そこで情報公開でこの会が区に提出した「阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくり構想」という報告書を入手したところ、34ページにもわたる専門的な報告書で、これは2015年4月から2年間、首都圏不燃公社の補助金を受けてコンサルに依頼してまとめたものだそうです。一般人にはなかなか考えつかない手法です。この段階から区がアドバイスをしていたのでしょうか。
 こんなふうに妙な存在感のある団体ですが、さぞかし幅広いまちの人たちで構成されているのかと思えば、メンバーはたった11人。たった11人の民間の人の考えが優先されて、阿佐ヶ谷のまちの運命を決めてしまうのでしょうか。
<河北病院の建て替えのために>
 この報告書を読むと、2015年段階では河北病院が現地で建て替えるためには敷地の拡大が必須、として「その際、病院中央に区道があることから区道の付け替えが必須であった。道路の付け替えは中杉通りに接続する9mの道路整備が課題であるが、そのためには新しい分院の解体が避けられないことが課題だった」とあり、また「大規模建築を建て替えるには、東京都安全条例による前面道路の規制により、道路整備の検討が必要である」ともあり、道路拡張や付け替えの話自体が防災云々言う以前にそもそも河北病院が建て替えをする都合から始まった話であることがわかりました。そしていまそれが、土地区画整理事業による駅前開発へと膨張しています。
<汚染地の交換は豊洲と同じ>
 ところでちょっと話が飛びますが、区画整理事業といえば、東京都の豊洲新市場も実は、区画整理事業です。豊洲は移転が間近となった今も、まだ多くの難問をかかえていますが、都民の税金がいかに浪費されたかも知る必要があります。
 東京ガス区画整理事業の仕組みを利用して、第一に、汚染された土地を東京都所有の土地と交換することにより利益を得、第二に、汚染対策が万全に行われる前提で資産評価を行ったため、過大な資産評価を得ることができ、第三に、汚染対策が不十分だとわかった時点で、都が追加対策を東京ガスに請求することなく放棄してしまったことで、何重にも多くの利益を得ました。しかし、こうした不公正は区画整理事業という複雑な仕組みを隠れ蓑に、都民の目から隠されています。
 田中区長の都政の師匠ともいわれる元都議会議員の方が手掛けた案件であり、同じく民間の汚染地と公共用地の交換である阿佐ヶ谷の区画整理事業と構図がそっくりなのは不穏な兆候です。
<土壌入れ替えには7億円>
 第一に汚染地と普通地の交換は、まさに河北病院用地と杉一小の交換です。第二に土地評価の問題では、やはり、対策が行われる前提で病院用地が不当に高く評価される恐れがあります。第三に、万が一、あとから汚染が発覚した場合、東京都のように区が請求を放棄してしまう可能性も否定できません。そっくりの構図です。
 問題の土壌汚染対策ですが、学校を建てるのだから、当然土壌を全面入れ替えすると思いたいですが、区の委託調査によれば、予定地の土壌を3mの深さで全面入れ替えすると7億円以上の経費がかかるとのことです。果たして河北病院がこの費用を負担して土壌入れ替えを行うかどうかわかりません。盛り土をしただけで終わる可能性があります。
 新しい杉一小用地の安全性は現在の大まかな協定だけでは担保されず、別協定できちんと保障すべきです。汚染が残った場合の病院側の責任、金銭的解決するなどの条項を盛り込んだ具体的な協定を、河北病院と別途結ぶべきと考えますがいかがか。見解を求めます。(Q2−1)
<河北病院土地の過大評価につながり区が損を>
 事業の順序としては、土壌汚染調査の実施より前に仮換地指定が行われます。その場合、河北病院跡地を清浄土壌として評価すれば、豊洲同様の過大評価になり区にとって不利な交換となると考えますがいかがか。見解を求めます。(Q2−2)
 公益財団法人区画整理促進機構の報告書には、こうしたトラブルを未然に防ぐため、また照応の原則から、汚染地は原位置換地すなわち元の権利関係のままが適切という指摘があります。地域の方々からも、病院の跡地に杉一小を移して大丈夫なのかというご意見をたびたびうかがいます。本件区画整理事業においても原位置換地が適切ではないでしょうか。見解を伺います。(Q2−3)
<「保留地」は区が購入することに?>
 事業費用にも問題がありそうです。3者の協定書では、第5条に「土地区画整理事業の施行に係る費用については保留地の設定及び処分により充当する」とあります。
 区画整理事業において権利者が土地を提供して保留地とし、それを売却することにより事業費を生み出す手法は一般的ですが、公共施設の建設や移転が絡むと保留地の大半を自治体が購入することにより、他の権利者が負担なく開発事業を行うケースが各地に多々あります。阿佐ヶ谷の事業においても、保留地をすべて区が購入するということになりはしないでしょうか。そうなれば他の当事者は事業費の負担なく事業を行うことになり、こんなおいしい話はないわけです。
<まちづくり計画意見交換会
 さて先日、阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくり計画の意見交換会が行われました。この意見交換会は、今回第6回目ですが、告知される地域は一貫して対象区域内及び一皮ということで、きわめて限定されているため参加者は少ないです。しかも、毎回、区の担当者とコンサルタントが一方的に説明して、参加者はちんぷんかんぷんという風情です。こんな会合をアリバイとして「反対意見はなかった」などと計画を進めるのでしょうか。駅前開発は公共性が高く、一部の地権者だけで決めてはなりません。広く区民に告知を行い、また、議論の場を多く設けるべきです。見解を求めます。(2−4)
阿佐ヶ谷駅前は高さ60mまで許容?>
 会合の中では新進会商店街および中杉通りの拡幅にあたり、容積や斜線制限を緩和し絶対高さ制限を導入するとの説明がありました。新進会は30m、杉一小敷地は60mが提案されていました。60mというとマンションだと20階くらいになるとのことです。阿佐ヶ谷駅はすでに南口に13階と16階のマンションが建ち、まちの風景が一変してしまいました。北口は駅前広場が南口よりずっと狭いのに、そこにもっと高い建物が建つ想定となります。かなりの圧迫感です。
 大幅な緩和は阿佐ヶ谷のまちにふさわしくありません。現状を大きく越えない高さに制限すべきと考えるがいかがか。見解を求めます。(Q2−5)
<河北病院の建築計画公表を>
意見交換会では河北病院の建築計画が毎回質問されます。地域の人たちが一番気にしているのはそこなのです。病院はどちらが入口か、高さは何階建てか。ヘリポートは果たしてできるのか。しかし、まだ検討中だからとのことで回答はありません。
 ところが、病院の配置はほぼ決まっているはずです。昨年の区の計画をまとめる段階で三者による調整会議が行われていました。そこでは河北病院の設計案も出されたことになっています。区民に対しても、すみやかに明らかにするべきと考えますが、いかがか。見解を求めます。(Q2−6)
 また、けやき屋敷のみどりをどう残すかについても説明がありました。その時の話では樹木の専門家に調査してもらったとのことでしたが、いつどのような専門家に依頼したか。またどのような調査を行ったか。評価はどうだったか。説明を求めます。(Q2−7)
 杉並らしいみどりの保全地区の中核をなす森です。区には保全の責任があることを改めて強調しておきます。
<土地評価を区民に公表すべき>
 最後に肝心な換地計画について触れます。換地の根拠となるのは土地の資産評価ですが、実は鑑定はすでに行われています。情報公開しましたが、マスキングされて値段どころか面積すら全くわからない状態です。民間の土地とはいえ、区が当事者として行っている区画整理事業に関する情報は公的なものであり区民に開示すべきです。
 区の土地は、区民の財産であり、その処分の是非を判断するのは区民です。仮換地指定以前に、権利交換にかかわる財産鑑定や区画整理路線価図などの情報を公にし、区民に意見を求めるべきと考えるがいかがか。最後にうかがって質問を終わります。(Q2−8)

河北健診クリニックの肺がん見落としで検証委員会(2018年8月21日保健福祉委員会)

 7月17日に公表された河北健診クリニックの肺がん見落とし事故(杉並区のお知らせはこちら)を受けて、杉並区が外部検証委員会設置の条例案を区議会に提案、本日保健福祉委員会で審議しました。
 河北病院といえば、阿佐ヶ谷の再開発の中心でもあります(関連記事:阿佐ヶ谷の森を守ろう(杉並区主導の駅前再開発に反対します))。今回の事故に関連して、病院経営の拡大路線が影響したのではという声もあります。
 約3時間の審議を通じて、区長の答弁回数がいつになく多かったことが印象的でした。そして、その答弁の内容は、事故の責任の所在を明確にするというよりは、逆に問題を一般化するような発言が多かったと思います。また、具体的な内容に踏み込むとすべて「それは検証委員会でやること」と棚上げしてしまう姿勢にも疑問を感じました。
 私の質疑は、外部検証委員会のミッション、区と医師会、病院側の責任の所在に注目しました。
(1)本件の患者さんは河北健診クリニックで3回にわたり肺がんを見落としされた結果、治療機会を逸して残念ながらお亡くなりになりました。3回目は区の肺がん検診であり、事業の運営主体としての区も責任は免れません。
(2)他方、実際の検診業務を行ったクリニックは、事後の検証(法人の内部検証報告書)において、2014年の1回目の見落とし(職場の成人健診)に以降の判断も引きずられてしまったことを明らかにしています。3回の連続する見落としの端緒、そしてその結果はクリニックに一義的責任があると考えます。
(3)なおかつ、区の肺がん検診である3回目の見落としにおいては、委託事業の実施要領にある「専門医の配置」が守られていませんでした(数年にわたって常態化していたことが質疑でわかりました)。さらに、見落としが発覚して後、区に対する報告も「速やか」とはいえません。委託契約の条項にある「事故の際は速やかに報告」にも反していました。
(4)設置される外部検証委員会では、これらの事実をあらためて検証するとともに、区、医師会、クリニックの三者の責任の所在を明確にすること。また、会議が非公開で行われるため、説明責任を果たせる議事録の作成、十分な情報公開を求めて、議案には賛成しました。
 以下、松尾ゆりの質疑要旨および意見。
(松尾)他の委員からも質問があったが、河北の内部検討委員会の報告書が本委員会に提出されていないことは、私も遺憾に思う。すでに私も情報公開請求をしているが、延長されており本日には間に合っていない。
(日暮健康推進課長)情報公開の第三者の保護に関する条項により、財団で行われた検証内容なので照会が必要と判断した。
(松尾)検討委員会のミッションについて。肺がん検診の見落とし事案の検証、今後の対策の大きく2つと説明された。お願いしたいのは、区、医師会、河北クリニックの三者に責任があり、その三者を検証委員会できちんと峻別、切り分けていただきたい。全部区がわるいといってボウズ懺悔でなく、区は何を求められているのかを明確にする委員会であるべき。
(日暮健康推進課長)事実関係をきちんと確認する必要がある。
(松尾)今回の経緯について。3回の見落としが同じ医療機関で行われ3回目が区民検診であった。区の責任があったとすれば、どういったところが問題だったと考えられるか。一義的には見落とした医療機関の問題では。
(田中区長)そのために第三者による検証委員会を提起している。検診一般について議論をするということであれば、厚労省や東京都で議論すればよい。こういう問題が発生したことを重く受け止め、今回の事案について区として事実関係を検証するフィールドワークをちゃんとやるべきだということで委員会を設置する。
 今回の事故の直接的な問題、あるいはそこにつながる背景、事情の有無も皆さんに十分検証していただきたい。河北内部の検証委員会の報告書も区の設置した検証委員会で検証するということでなくてはいけない。具体的にはその先に責任とか施策の改善が導かれる。
(松尾)区の検診実施要領の第10条にある「二重読影する医師のうち1名は、呼吸器又は放射線の専門医が望ましい」との条件が満たされていなかった。クリニックの院長も記者会見で「残念ながら私どもの施設では人員の配置は、呼吸器の専門、画像の専門を配置できていなかったことは否めない事実」と反省の弁を述べている。
 ところでお聞きしたいが、この状態が普段からそうだったのか、たまたまこの方の読影が専門家が入っていなかったのか、他の人の読影もそうだったのか。
(布施地域保健・医療連携担当課長)河北健診クリニックの院内検証委員会報告書によると、2015年秋、センター放射線科医の負担が大きくなり、区民肺がん検診の読影担当より放射線科医をはずす、ということが記載されている。29年度もだが、体制がとれていなかったと認識。
(松尾)こういうことがあるので、内部検証報告書を読みたい、ということなんですが、2015年に放射線科医をはずしていたということですね。すなわち、いまの状態も、他の人の読影も専門家が入らない状態で行われていたということか。
(布施地域保健・医療連携担当課長)2015年秋以降と記載されていたので、その間の検診について区として再読影を要請した。今年度(の検診)に関しては、この検証報告書が6月19日に提出されたところ、検診は6月1日から開始されるという事情をひかえて、区と医師会で協議して、今年度の河北クリニックの検診は二次判定、総合判定を医師会に引き上げた。
(松尾)次に、賠償責任について。委託契約書第6条2項に賠償責任の条項がある。今回訴訟になる可能性もある。この条項では検診のなかで起きた事故については区に賠償責任があるとなっているが、本件についてはどうか。
(日暮健康推進課長)現在賠償請求されているわけではないが、今後適切に対処したい。
(松尾)同項には「故意または重大な過失によるものをのぞき」とありここの判断が重要。同じ第6条の1項には事故の報告義務が明記され「応急措置を講ずるとともに速やかに報告」とされているが、この点について河北健診クリニックの対応は。
(布施地域保健・医療連携担当課長)区として口頭報告を受けたのが5月7日。その後、医師会を通じて報告書が届いたのが8日。
(松尾)資料によれば4月18日に、病院として見落としを把握しているが、区への通報は口頭により5月7日。正式には5月8日。「速やかに」とはいえないと思うが。
 また、クリニックから口頭で報告があったということだが、院長ということか。
(布施地域保健・医療連携担当課長)口頭報告時、河北健診クリニックのセンター長も在席していた。報告までの期間が20日間という点、河北からの報告があった時点で、もう少し速やかに報告していただけなかったのかということはお伝えした。
(松尾)区の肺がん検診に関する問題がどこにあったのかということについていうと、1つは専門医の配置について実施要領が守られていない状態が常態化していたことが一番大きい。もう1つは、区に対する報告が遅いこと、その後の経緯も非常に時間がかかっていることも問題があると思う。
 専門医の配置について、記者会見で院長が再発防止策を述べている。この解決策を見ても、専門医の配置についての問題点を改善することが読み取れない。区はどのように受け止めているか。
(田中区長)それは松尾委員の考えかと思うが、それがスタンダードだろうか。専門医というが、専門医が最初に見落としたのが発端。他の委員からは専門医がいないことが問題というが、専門医かどうかは、読影の技量とどの程度重なるのか、疑問はもつ。これらすべて検証委員会に検証してほしい。
 専門医、専門医というが、仮にいたとしても、検診の数が急激に増えていったときに、同じメンバーでやっていたら負担が重くなる。リスクが高まる。医療資源の分配のありかた、受診率の向上をどう見ていくのか。検診をするのは区だけでなく、各種の健康保険の健診もある。それを全部区が把握するのは無理。事実を検証するということがまず大事であって、責任をなすりつけてしまうような議論は排して、専門家にきちんと検証してもらう。
(松尾)事実を第三者に検証してもらうことは、共有されていると思う。
 私が言っているのは個人的な見解ではなく客観的な事実として、河北財団自身が報告している事実として、実施要領に規定されている専門医の配置ができていなかった事実が確認されている。これに対してクリニックの再発防止策というのが十分なのだろうかという疑問を呈したもの。
 ちょっと気になったので質問しますが、「専門医」とは何か。説明をお願いします。
(布施地域保健・医療連携担当課長)いろんな専門医があるが、一例をあげると〇〇学会認定の専門医、認定医という資格がある。学会により条件があり、臨床経験年数、症例数、などにより認定されたものを専門医とよぶ。
(松尾)だから、専門医というのは根拠があるということ。学会できちんと認定されている。キャリアや、それなりの技量がある人を専門医として認定している。区長は専門医が最初に見落としたじゃないか、というが、区は実施要領において、放射線科あるいは呼吸器の専門医によることと定めている。それが条件で委託をしているわけだから、それに逸脱する行為があったという話をしている。
 それから医療資源からみて、これだけのボリュームを見ることができるのかと区長がおっしゃって、それは私たちも危惧をしているところだが、分量が多いから見落としが増えるというと大変まずいことになってしまう。分量が増えたから免罪されるものではないし、区もそれを管理しきれなかった責任がある。関連して、ペナルティという話があったが、今後とも河北健診クリニックが指定医療機関(二次検査まで行う)としてやっていけるのかは無理があるように思う。
 関連して伺いたいが、委託している1件あたりの単価、ダブルとシングルとでそれぞれいくらか。
(布施地域保健・医療連携担当課長)肺がん検診の単価はデジタル撮影で7170円。撮影および一次判定で6252円、二次判定、総合判定を行うことで918円。合計で7170円。
<議案に対する意見>
 あってはならない事故が起きた。被害者のご冥福を心からお祈りします。
 本議案を検討するにあたり、河北財団側の内部検証報告書が提供されなかったことは大変遺憾である。提供された資料から判断するしかない。質疑をふまえ、委員会の設置は必要なものと認め、議案には賛成する。
 ただし、質疑の中で確認したとおり、本件は、3回の見落としのうち2回は民間の健診であって、3回目が区民健診であったところで区が関わってくる。こうしたことが引き起こされたのは、区の健診ではなく、河北健診クリニックの見落としが根源である。
 今後検証委員会で検討していくべき問題として、区の責任、医師会、河北健診クリニックの三者の主体の責任をきりわけて明確にすることが求められている。
 実施要領に反して専門医の不在が常態化していたこともすでに明らかになっている。また、委託契約の条項にある速やかな報告義務という点でも逸脱があった。こうしたクリニック側の責任が明確になることが必要と考える。
 最後に、非公開で行われるということについて。原則として公開で行われるべき案件と考えるが、個人情報にかかわることを峻別しがたいという説明もあった。したがって、この間私は杉並区の議事録について問題にしてきているが、十分な説明責任を果たせる議事録の作成、その上での情報公開を求め賛成とする。

阿佐ヶ谷の森を守ろう(杉並区主導の駅前再開発に反対します)

 現在、杉並区は阿佐ヶ谷駅北口の河北総合病院の移転・改築を全面的にバックアップする計画を進めています。このまま計画が進行すると、2020年には「けやき屋敷」の森が全面的に伐採され、阿佐ヶ谷はビルの林立するまちに変貌していくことになります。
 阿佐ヶ谷を守りたい。
 その思いを多くの方と共有したいと思い、これまで区議会などで述べてきた問題点をまとめました。
<計画の概要>
 杉並区は河北総合病院の移転・改築計画を受けて2017年5月、阿佐ヶ谷北東地区の開発計画をまとめました。前年3月に杉並第一小学校の移転計画が確定したばかり。病院の移転を契機に(=移転を実現するために)決まったばかりの計画を全面的に覆すこと自体、行政として異例としかいいようがありません。
 資料:杉並第一小学校等施設整備等方針*この文書の「A案」が2016年3月策定のもの。→変更後のものが「B案」。
 計画の骨子は:(1)河北病院→けやき屋敷に新築・移転(〜2025年)。(2)杉一小→河北病院が引っ越した跡地に移転(〜2028年)。(3)杉一小敷地→河北病院土地と交換、民間と区の共同で高層ビル建設(〜2032年)。

【問題点1 民間病院のための規制緩和
 この計画は、河北病院と地主さんの利益のために行われる規制緩和容積率の引き上げ)が本質です。予定地(けやき屋敷)は約10000平米ですが、病院側は32000平米以上の建物を希望しているとのこと。しかし、同予定地の現在の容積率は200%の規制があり、希望どおりの病院は建てられません。そのため、容積率の引き上げを求めたものです。
 それは公共の利益ではなく、病院の経営上の利益にすぎません(地主さんにとっても地代の上昇等の利益)。一方、用途地域の変更は住環境の悪化を招きます。住宅地阿佐ヶ谷において、一般の住民が開発で得るものはありません。
 なお、区は公共の利益という理由をひねり出すために、病院北側の道路拡張をいいますが、計画地区内の拡張が行われるのみで、河北病院より先の拡張の見込みは全くありません。
【問題点2 けやきの森の伐採】
 通称「けやき屋敷」と呼ばれる予定地の森は南西の一部の木を残して全面的に伐採されます(図には「森に囲まれた」などとありますが、伐採しないとビルは建てられません)。「けやき屋敷」は、みどりの少ない阿佐ヶ谷に残された貴重な屋敷林として、杉並区「みどりの顕彰表彰屋敷林」(2012年)、「杉並らしいみどりの保全地区」(2014年杉並区緑地保全計画)に指定されています。守るべきみどりとして杉並区自身が選定したものであり、区には森を守る責務があります。

 過去、「杉並区自然環境調査」(第一次1985年、第二次1990年)で「けやき屋敷」の調査が行われ、植物の種の数、多様度、また自然林要素率において大変高いスコアを示しました。逆に帰化植物の率を示す帰化率は非常に低く、区内でも有数の「自然性が高く、安定した植物相」を示しているという結果が出ています。小学校のプールで行われる「ヤゴ救出作戦」では杉並第一小学校は駅前にも関わらず区内で最もヤゴが豊かだそうです。森の恩恵なのです。
★「民間の土地だから…」と思っていませんか?
 「けやき屋敷」は民間所有だから、所有者の意向次第、伐採も止めることはできないのでは?と思われる方も多いと思います。しかし上記のように区は「守るべきみどり」と指定しており、所有者を援助して森の保全に努めなければなりません。また、今回は公的な制度(規制緩和、都市計画)を利用して開発を行う予定ですので、そのなかで「緑被率」や木の本数の維持、「地区施設」としてみどりを指定するなど、保全のための制度は法的にも保障されており、開発の当事者(所有者)は決定されたら従わなくてはなりません。
【問題点3 区にとって不利な土地交換】
 「区画整理事業」の実施により、現在の河北病院敷地(地主さんの所有)と杉一小敷地(区所有)の権利交換が行われますが、権利交換においては「照応の原則*」が満たされなければなりません。
*照応の原則:交換される両者の位置、地積、土質、水利、利用状況、環境等が大きく変わらないこと。
 ところが河北病院の土地は旧桃園川に接しハザードマップでも浸水地域とされています。また、病院の土地は汚染地です。他方、杉一小の土地は駅前の中杉通りに面した一等地であり、標高もやや高く、2つの土地の価値は照応しません。土地区画整理法にも反します。いうなれば区の財産を毀損する(区民が損をする)計画です。
 区は杉一小が移転により広くなる、住宅地なので学校の環境がよくなると交換の理由を挙げていますが、杉一小は長く現在の場所にあって地域から愛されてきました。少々広くなるからといって浸水、医療廃棄物の可能性がある土地に移るリスクは無視できません。また、静かな住宅地に移ることは逆に周囲への迷惑となり、他校で学校へのクレームが多くなった例も指摘されています。
★河北病院の地質のわるさはこんなところに
 北側、旧桃園川にあたる道路に面した部分が大きく陥没しています(2018年3月撮影)。

↑花壇部分が陥没し穴は奥へと広がっています。

↑配管(多分排水管)が露出しています。
【問題点4 地域の人が知らない】
 阿佐ヶ谷駅北東地区を今後どうしていくのかは、地権者はもちろんのこと、近隣住民らに広く意見を求めた上で納得のいく計画を策定する必要がありますが、阿佐ヶ谷の多くの人はこの計画をまだ知りません。阿佐ヶ谷駅前は杉並の顔ともいえるきわめて公共性の高い場所であり、一般の住宅地の建替えとはわけがちがいます。病院も公益性の高い施設です。権利者間の利害調整だけですませてはいけない場所です。
 区は「阿佐ヶ谷駅北東区域のまちづくりを考える会」という実態不明の民間団体からのまちづくり提案があったということも述べていますが、その内容については全く公表されていません。
★駐車場をめぐる疑惑
 計画が「A案」から「B案」に変更されたにもかかわらず、すでに変更前の案に従って2億円が執行されていました。うち1億3千万円が代替運動場の賃貸料でした(月880万円、平成28年度1億500万円、29年度(4〜6月)2600万円)。当初計画で仮設校舎の運用は平成30年4月からの予定でしたが、使用予定の2年も前から借りており、しかも使用された実績はゼロで全額がムダになりました。
 区は駐車場管理会社に転貸し月340〜360万円の賃貸料を得ていましたが、区が借りる前から同地は駐車場であり地主さんは同額程度の賃貸料を得ていたと思われます。それなのに、区が借りた際には1か月当たり550万円も上積みされています。
 そもそも学校建て替え時に代替運動場を借りた例はなく、現在工事中の桃二小も他の学校の校庭などを借りています。杉一小の場合だけわざわざ代替運動場を確保するのは不自然です。
 さらに、仮設校舎予定地だった「けやき公園」からは馬橋小学校・馬橋公園グラウンドが至近であり、借りていた民間駐車場と距離は変わりません。ますます必要がなかったと考えられ、不当な利益供与と見られても仕方がありません。
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