わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

あんさんぶる荻窪の財産交換と荻窪北児童館、図書館について質問しました

 9月15日、本会議にて一般質問を行いました。以下はその原稿です(実際の発言は原稿と異なるところもあります)。区側回答などは別途改めて掲載します。
1.あんさんぶる荻窪の財産交換と荻窪北児童館について
 杉並わくわく会議から、区政一般についての質問をいたします。
 皆さんご承知のように、国の安保関連法案が明日にも参議院で可決成立しようかという大変緊迫した局面です。自衛隊を海外に派遣して米軍の戦闘行為の手伝いや代理をさせるというこの法案は、憲法違反であることはいうまでもなく、対米従属に一段と踏み込み、わが国の安全をかえって脅かすものであることから、広範な反対運動が起こっています。私も、地域の方々と、また、この区議会の他会派の皆様とも共同で、この法案の廃案に向けて活動しているところです。
 人々がここまで怒り、反対運動が広がった理由は、この法案の内容と同時に、民主主義と法治という国の根幹をないがしろにした安倍政権のやり方にあるでしょう。
 第二回定例会の一般質問において、私は「杉並の自治は神話なのか」と問いかけをいたしました。以下は国のような大きな問題ではないかもしれません。しかし、地域における民主主義も自治もまた危うくなっているのではないか、そのように考えて、以下質問をいたします。
(町会の要望書の取り下げについて)
 第一に、あんさんぶる荻窪の財産交換と荻窪北児童館についてです。
 6月11日、荻窪五丁目町会は「『要望書に於ける署名及び捺印の取り下げ』に関する通知書」を区長に提出しました。この通知書は、昨年7月23日付で荻窪地区町会連合会の7町会長の連名で提出された「桃二小早期改築に関する要望書」、すなわち、区がこれまで地元の合意形成の根拠としてきた要望書を撤回したものです。なお、隣接する、やはりあんさんぶる直近の南荻窪会も、昨日、要望の撤回を通知しました。まず、この要望取り下げについての区の認識、また、対応をうかがいます。(Q1−1)
取り下げの事実は、7月17日に開催された桃二小改築説明会において報告されました。説明会で発言された町会の方々は「あんさんぶる荻窪の交換についてなんら地元の私たちに説明のないまま、荻窪北児童館の廃止、学校の建て替えと進んでしまっている」と口々に懸念を表明しておられました。
 これに対して、政策経営部長は「地元町会は、荻窪五丁目町会だけではない。」と回答しました。
連合会を構成する7町会の中でも、あんさんぶる荻窪と桃二小はともに五丁目に立地しており、そのまさに最も地元の当事者から上がった声をあえて無視することは、町会の自治を否定することです。政策経営部長の発言の撤回を求めます。(Q1−2)
 8月24日の桃二小改築検討懇談会でも次のような一幕がありました。「桃二小改築には賛成できない」と発言された町会長に対して、連合町会長が「この件は、連合町会で決着をつけます」と大変強い語調で何度も繰り返されました。
 連合会長は、これまで地域に多大な貢献をされ、私も尊敬する方です。その方が、区の方針に反対する意見だからと、他の町会長を公的な場で怒鳴りつけるという、信じられない場面でした。
 この方をここまで追いつめているのは、区長と区役所です。地元住民の納得できない財産交換を強引に行うために、地域に不和の種をまき、混乱に陥れているのです。
 このような状況を招いたことについて、区長は反省すべきです。答弁を求めます。(Q1−3)
 なお、昨年の要望書そのものについても、7月の説明会では、文面は区の課長が作成し、町会長の名前までプリントしてあるところへ、「すぐに捺印してくれ」と求められたものであることを指摘する声が上がりました。町会の自発的な要望書というよりは、財産交換に反対する声が上がらないように、区側でお膳立てしたものであることは明らかです。
 このように策を弄してまで、区が、あんさんぶる荻窪の財産交換とそれに伴う桃二小早期建て替えは地元の同意を得ているとしてきた根拠は、2つの町会の要望取り下げによって、いま崩壊しました。地元は同意していません。
 一部の住民の方々は訴訟も辞さない覚悟で準備しておられるともお聞きしました。あんさんぶる荻窪に関する地域説明会を開催し、いちから正々堂々と区民と議論すべきです。見解を求めます。(Q1−4)
荻窪北児童館の存続を)
 そもそも2つの町会が要望の撤回に至った最も大きな原因は、荻窪北児童館に関する区のいいかげんな説明でした。
 当初、荻窪北児童館がまるごと桃二小に移るかのような説明を町会の皆さんは受けていたわけですが、あとになって、荻窪北児童館の丸ごと移転は無理ということが判明しました。
 区は発言を否定していますが、公式の場ではなくても、区の部課長が口頭で「まるごとうつります」「立派なものができますよ」と言っているのは何人もの人が聞いています。百歩ゆずっても誤解を招く説明をしていたことは間違いありません。
 財務省に直接「荻窪北児童館を残してほしい」と訴えに行った方は国の方からこのような感想を聞いています。「杉並区は、児童館を近くの小学校に移すから大丈夫だと言っていた。こんなに混乱するとは想像していなかった」また、「そんなに大事な施設なら、なぜ杉並区は手放すんですか」と驚いておられたとのことです。区はこの言葉をどう受け止めるのでしょうか。
 そんななか、桃二小地域では、荻窪北児童館を桃二小完成までだけでも使わせてほしいという署名運動が始まっています。「子どもの居場所を守ろう」とポスター、さらには横断幕が掲げられて、町行く人々に訴えかけています。
 また、説明会では、あんさんぶる荻窪が税務署になっても、2階の児童館を残してほしいという意見が出ました。これに対し、区側の回答は「国に問い合わせたが、セキュリティの面などから断られた」とのことです。しかし、本当に不可能なのでしょうか。
 荻窪北児童館は外階段が利用されており、他の階と動線を完全に分離することは、技術的には全く容易と思われます。また、国は地方創生の一環で、国の機関と地方自治体の公共施設との複合化を積極的に行う方針を打ち出しています。
 3つの税務署の例を紹介しましょう。お隣の世田谷区では、世田谷税務署が現在改築中で、法務局や都税事務所とともに区立世田谷図書館、区立保健福祉センターが合築され、来春竣工の予定です。
 大阪の枚方税務署は、枚方市役所、大阪府府民センターなどと一体の建物として改築することが計画されています。さらに、これはかなり以前からですが、麹町税務署は、九段の合同庁舎の中に入っています。この建物は、東京法務局、航空局などとの合同庁舎であり、私も行ったことがありますが、特にチェックもなく建物内の目的の場所へいくことができます。
 このような例をみると、税務署があんさんぶるに移転しても、2階を児童館として残すことに、セキュリティ上なんら問題はありません。
 だいたい、財務省側は当初、あんさんぶるでは面積が余るので、2階はコンビニを入れるという案ももっていたというくらいですから、断る理由がありません。むしろ、国の方針としては積極的に複合施設としての活用を進めたいくらいだと思われます。どうも、区が真剣にお願いしていないか、断るようにしむけているとしか思えません。
 区は財務省と真剣に交渉すべきです。桃二小完成まであんさんぶる荻窪の児童館を存続できるよう、あんさんぶるの交換を先延ばしするか、あるいは、税務署が移転してきても、2階は児童館として存続させるよう、技術的な提案も含めて、交渉するよう求めます。(Q1−5)
(学校内学童クラブの問題)
 さて、今後桃二小の中に移転することが予定されている学童クラブについては、区の説明では150人を想定した450平米の学童とされています。
 現在の児童館が1067平米の広いフロアに200平米の遊戯室、さらに図書室、音楽室、図工室など、学童の子も自由に使える施設を備えていることと比べ、きわめて劣悪な条件に子どもたちを追いやるものです。
 区は「学校の図書室や図工室、体育館などを使って活動を大きく展開できる」と繰り返していますが、学校現場を少しでも知っている人なら、そんなふうにフリーに使うことはとうてい考えられないことです。児童館が廃止されたあとに、「やっぱり使えませんでした」と言われてもあとの祭りです。こうした根拠のない説明で区民をごまかすことはやめてください。
 ここで、児童館の再編を考える前提として、国の考え方を確認していきたいと思います。
 国の「放課後子ども総合プラン」では、学校内の余裕教室の活用を徹底的に進めること、と指示していますが、既存の学童クラブまで学校内に移設することを強制しているわけではなく、「引き続き当該施設で実施することは差支えない」とされています。要は、杉並区の現状の児童館・学童クラブのあり方を崩してまで、無理矢理、学校内に小学生の事業を移していくことを国は求めていないということです。この点について、区は承知しているか、確認します。(Q1−6)
 先日、私も和泉学園の学童クラブを見学させてもらいました。一歩足を踏み入れたときに感じたのはその狭さでした。目の前のフローリングのスペースで指導員の方と数人の子どもたちがベーゴマをやっていましたが、他の遊びができるスペースはなく、「え、ここだけ?」と思わず聞いてしまいました。
 狭さと同時に1部屋しかないことの息苦しさを感じます。子どもは隅っこが好きです。こっそり一人になりたい子もいます。苦手な相手がいたときに、逃げる場所、隠れる場所も必要です。児童館の学童クラブであれば、育成室以外の場所がいくらでもあります。しかし、この学童クラブには隠れる場所がありません。
 せっかくの新築の学童クラブですが、率直にいって、あれはひどいです。あの場所では子どもの健全な成長は阻害されると感じました。
 子どもは荷物ではありません。学童クラブは家庭のかわりの場所です。狭くても、すし詰めでも、あずかりさえすればいいというような貧弱なものではだめなのです。
 緊急避難的に学校内学童クラブをつくることはやむを得ないとしても、児童館内学童クラブを原則とする、これまでの方針にたちかえるべきです。区の施設再編整備計画は、来年度が見直しの年となります。先の国の通知もふまえて、児童館・学童クラブの再編方針を見直し、児童館を存続するよう求めます。(Q1−7)
(中高生の居場所がなくなる)
 さらに、荻窪北児童館の廃止により、中高生の居場所がなくなることにも、改築検討懇談会などで心配する声が出ていました。
 大阪や川崎の、中学生が犠牲となった痛ましい事件で、中学生の居場所が注目されています。杉並では、42の児童館に中高生が自由に行くことができます。特に「ゆう杉並」と7つの地域児童館に組織されている中高生委員会では、中学生が高校生といっしょになって活発に活動しています。そして、この場を通じて、児童館の職員さんや地域のおとなとつながることで、杉並の中高生は守られてきました。杉並はいわばこの問題の先進地域なのです。
 今議会初日から、何人もの方が中高生の居場所について質問されましたが、正直言って私は違和感をぬぐえません。現に杉並にはすでに中高生の居場所としての立派な児童館が42カ所もあるではありませんか。これを存続させ、拡大していけばいいだけです。
 問題は居場所がないことではなくて、目の前にあるのに、それを区がなくそうとしていることなのです。子どもの居場所を心配する皆さんは、児童館をなくさないように、という声をどうぞ上げてください。
 先日、児童館を毎日利用しているという高校生の話を聞きました。かれは「ゆう杉」にもいくけど、「ゆう杉」はダンスとかバスケとかの目的をもって、グループでいくイベント的な場。それに対して、地域の児童館は、小さいときからの仲間や後輩が集まる地元の「居場所」なのだそうです。行けば小学生が「あ、○○君が来た!」と喜んで寄ってくる。気心の知れた安心できる場所です。区は「中高生が使いづらい」などといっていますが、とんでもない。熱心に地元の児童館に通う中高生も多いのです。「ゆう杉」もいいのですが、「ゆう杉」だけではだめなんです。
 ひきつづき地域の児童館が中高生を積極的に受け入れていくよう、再編の対象に上げられている荻窪北、和泉なども含めて、児童館の中高生スペースと職員配置を確保し、事業を継続することを要望します。(Q1−8)
2.図書館
南相馬の図書館)
 次に図書館について質問します。
 先日、女性議員有志で南相馬市を訪問し、その際、私にとって念願であった南相馬市中央図書館の見学をかなえていただくことができました。南相馬市の教育長、館長はじめ職員の皆様に心より感謝します。
 その素晴らしさは想像以上でした。館内にはホテルのロビーのようにソファが置かれ、本を取り出したらその場で座り込んで読むことができます。館内500席、テラスには120席があり「いつまでも居ていいんだよ」と語りかけているようです。一方、わが中央図書館は座席数92、座席はまず空いていないので、図書館にいくと立っているのがあたりまえでくたびれます。さっさと本を借りて帰りたくなります。
 南相馬市中央図書館は大変広々とした印象を受けるのですが、実は図書館の総床面積は杉並区の中央図書館と変わらないと知って驚きました。杉並区でも同じような図書館がつくれるのではないかと思いました。
(杉並区立図書館サービス基本方針)
 それでは杉並区にはどんな図書館が必要でしょうか。その指針となるのが「杉並区立図書館サービス基本方針」です。この基本方針は、図書館の利用者団体や職員からの提案をふまえて、図書館協議会の皆さんが知恵を集めてつくったもので「図書館は進化する」とのタイトルがついています。
 そこでおたずねしますが、10年後の図書館の姿を描いた「サービス基本方針」の進捗状況はいかがでしょうか。(Q2−1)
 先日、杉並区図書館協議会を傍聴し、その際、各図書館の館長の経営評価の発表をお聞きしました。直営、指定管理、業務委託を問わず、どの館もがんばっておられることが伝わってきました。
 ただ、残念なことは、この評価に肝心の中央図書館が入っていなかったことです。これは協議会の方も指摘されたことですが、この「基本方針」を実現していく司令塔たるべき中央図書館が自らの評価を表明しないのでは、とうてい全館を率いて、基本方針の実現に導くことなどできはしません。基本方針が「絵に描いた餅」になっていると感じました。
 このたびの中央図書館の全面改修は「サービス基本方針」を実現するためのハード、ソフトを整える、まさに「図書館が進化する」絶好の機会ととらえるべきです。このさい、目の覚めるような全面的な改造を行い「さすが文教地区杉並の顔」と言われるような図書館に変わってほしいと思います。以下、サービス基本方針の3つの項目に沿って、気になる点を質問します。
 第一に「学びの場」です。
 気になるポイントは資料収集です。杉並区の図書館は全体で約240万冊を保有しており、23区でも一番の保有数です。しかし、施設再編整備計画ではなぜか「改築時に蔵書スペースを含めた施設規模を縮小する」とされています。これは疑問です。むしろスペースの確保を積極的に行うべきです。
 まず、保存書庫の不足をどう解決するかを伺います。その計画はあるのでしょうか。たとえば、読書の森公園の一角を利用することはできないでしょうか。また今後、順次改築となる地域館について、複合化よりも、むしろ書庫を拡張して活用することもできるでしょう。(Q2−2)
 館内のスペース、1階の展示コーナーや地下のスペースも十分活用されているとは言えません。また、2階の会議室は、現在不登校の子どもたちの教室となっていますが、これは本来一時的な利用だったはずで、より適切な場所に移転すべきです。移転時期や場所は決まったのでしょうか。(Q2−3)
 資料の除籍についてうかがいます。区全体あるいは館ごとの保有点数の削減目標は設定されていますか。また、1タイトル1冊に絞り込んでいく動きもあるようですが、その際の廃棄基準はどのように定めていますか。うかがいます。(Q2−4)
次に「知の共同体」です。
 特に、地域資料の収集は重要です。これは杉並区がやらなければ誰もやらないことです。高齢化の中で、今後ますます、区民が保有していた貴重な地域資料の寄贈も増えていくはずです。ぜひ積極的に収集を進めてほしいと考えます。地域資料は、郷土博物館、区役所の区政資料室、議会の図書室とも分担しながら、充実を図ることを求めます。(Q2−5)
 3つめの柱は「楽しい交流空間」です。
 先にのべた南相馬の図書館は、まず、明るく居心地がいい、という印象があります。それだけでなく、よく見ると、ボランティア活動のレポートが貼られているなど、市民が活発に活動していることがわかります。図書館は無料貸本屋になってはいけません。多数のボランティアが活動できる図書館の姿勢と受け入れ体制、そのための職員配置が必要です。
 そこで、杉並の図書館のボランティアの現況についてお尋ねします。活動内容、人数、活動日数など概要をお示しください。(Q2−6)
 また、「明るく楽しい」図書館をつくるため、たとえばですが、公園に面している2階の参考資料室のカーテンを開けてカフェにするくらいの大胆な変更を求めますが、いかがでしょうか。(Q2−7)
(全面改修の具体化にむけて)
 さて、全面改修にむけて、たくさんの課題があることはいうまでもありません。どんな図書館にするのかはもちろん、閉館中の図書館サービスや資料の保管はどうするのかもこれからです。
 まずは、図書館協議会を中心として、学識経験者の先生方、および利用者の皆さんの意見をよく取り入れていただきたいと思います。そのうえで、図書館を専門とする設計者に依頼して、思い切ったリファイン、リノベーションを行うことが必要であると考えます。見解をうかがいます。(Q2−8)
 そして、それらを実践できるプロの職員が必要です。中央館の改修ばかりでなく、今後も地域館老朽改築、高円寺の新館建設などが予定されていることを考えると、現在の中央図書館の体制では不十分です。改築改修を担う専門部署の設置、及び、図書館に精通した人材配置を求めます。(Q2−9)
 昨日も前向きな答弁があったと受け止めていますが、「サービス基本方針」10年計画の達成へ向けて、中央図書館がリーダーシップをとり、改修も含めてしっかりと進めること、また、図書館だけでなく教育委員会として全力でとりくんでいただきたいと思います。教育長の決意をうかがいます。(Q2−10)
 今日、経済的な厳しさが増し、格差が広がるなか、公共の役割はこれまで以上に重要です。子どもたちを地域で守ることも図書館も根はひとつです。杉並区が住民の利益を追求し、また、住民の意思を尊重する区となることを願ってやみません。以上で私の質問を終わります。