わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

失敗したのにあくまで学童民営化?/ゆり

学童クラブ民営化についての、新泉・和泉北学童クラブ保護者の皆さんから区長・議会に提出された意見書をいただきましたのでご紹介。ちなみに、一度頓挫した民営化ですが、区は全然あきらめてなくて、今度は新泉と松の木が民営化の候補として決められました。
下記のように説明会も行われます。
①3月11日(金)1900(高井戸児童館)
②3月12日(土)1000(アンサンブル荻窪
③3月12日(土)1800(四宮森児童館)
④3月13日(日)1500(和泉児童館)
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山田杉並区長殿
杉並区議会保健福祉委員会各委員殿
新泉・和泉北学童クラブ保護者会有志
学童運営のNPO委託問題に関し、昨年の対象2学童クラブの保護者が現在考えていることを、率直に申し上げたいと思います。
ご存じのように、委託予定のNPOが辞退した後、区役所側の人事異動で担当者がほぼ一新しました。そして、新任の伊藤児童担当部長・有坂児童青少年センター所長は、父母に対しては深く頭を下げられ、十分失敗の原因を分析し、その上で今後の取り組みを考えたい、お時間をいただきたい、とのことでした(平成16年4月の説明会において)。
しかし、その後、ついぞ失敗の分析文書はいただいてはおりません。他方、「学童クラブ運営委託検討会」が発足するとうかがいましたので、両父母会の者が第6回、7回の検討会を傍聴させていただきました(開催日時のお知らせはいただけませんでした)。ところが、この検討会ではどうやら、前回委託にかかわった当事者の意見聴取をするでもなく、また区内の学童クラブを見学するでもない、指導職員の話を聞くでもない、たいへん抽象的な話し合いが行われていると受け取らざるを得ませんでした。
今頃このようなことでは、というのでクレームを申し上げました。有坂所長は急遽我々との会合を用意して下さいました。しかし、有坂所長のお話では、あと1回か2回か、ともかく検討会は続ける、とのこと。しかも、その貴重な時間の中での重大議題は、検討会の答申を検討会の提言として出すか、区役所名で出すか、ということでした。つまりは検討会の方々も責任が重すぎるというので、及び腰になられていたようです。当初は、検討会が素案を出して、それを父母との意見交換会にかけ、その上で提言を出す、ということになっていたのです。
ともあれ、議会でも問題になっていたようですが、私どもはなぜ失敗したのか、それをどう区側が分析し、次回に生かそうとしているのかを、「詳細な文書」で出していただきたいのです。これがなければ、また同じ事の繰り返しになります。
現に、私どもは「検討会の提言の素案」を読む機会を得ましたが、その内容は、具体策が盛り込まれたものではなく、「児童館・学童クラブのあり方検討会提言」を受けた平成15年7月の時点(はじめて私どもに委託の話が持ちかけられた時)からほとんど何の進展もないものでした。

失敗の原因に関する、私どもの論点は以下の通りです。
・委託費の大半は指導員人件費で、運営・人事などに関する事務をおこなう人員分の人件費は、法人側の予算計上にもかかわらず削られた。
・受託NPOが採用した職員(ボランティアではありません)には、雇用条件が不透明であった(給与・賞与等が明確ではなく、次年度の雇用は保障されていなかった)。
・にもかかわらず、保育+運営を任され、彼らは、その負担の大きさゆえに辞退した。
もし、職員の辞退が無く、委託が開始されていたとしても、次のような問題があり、父母は区に対し、大きな不信感を感じていた、ということも、ご認識いただきたいと思います。
・現場における「引き継ぎ期間」を2ヶ月としたものの、法人が採用した職員4名のうち3名は、前任の職場との関係で、3月になっても週1〜2日しか当該クラブに来ることはなかった(3月は毎日の予定)。この結果、引継業務そのものに支障をきたした。
・「保育の質を下げない」という当初の約束について、委託先の業務内容に口を挟めないという理由付けのもと、区側は具体策を示さなかった。
・委託に対する具体的な指針(委託契約内容、区の委託先に対する指導内容等)が全く保護者に知らされることがないまま委託スケジュールのみが優先された。
子育て支援・福祉・教育に民間活力の導入を、という政策方針は十分理解いたします。しかし、丸投げでは、競争原理がそのしわ寄せを人件費に回す可能性が高い、…そうはお考えになりませんか? すでに石川県のNPO運営老人福祉施設のパート青年が起こした殺人事件の例があります。即断はできませんが、週3回、一人での夜勤などの劣悪な労働条件が事件の遠因といわれています。現在、区側が考えておられる、単独クラブの委託では、そこでどんな保育がおこなわれてい
るのか外部の目が入りにくく、丸投げ委託が問題を起こす危険性は否定できません。
競争原理の問題点は、委託先がNPOの場合に限られたことではありません。であるからこそ、区長や議員の先生方には創造的な取り組みをお願いしたいのです。失敗の中にこそ、成功のためのヒントがあるものです。支出削減優先の民託・民営化政策(学童・保育園)に対して、今、杉並の働く(母)親の間で急速に不安の輪が広がっていることをご存じでしょうか?
創造的な政策では定評のある山田区長、並びに区議会の先生方です。これからも、民間活力導入を推進なさるのであれば、ぜひ、「丸投げではない創造的かつ実際的な工夫」をお願いいたしたいと存じます。
以上