減税自治体構想について質問しましたが、言いたいことは「こんな構想をまともにとりあげる役所と議会がおかしい!」ということにつきます。担当部長からは「10年後の10%減税は可能」との答弁がありました。そりゃ可能です。だって一般会計から持ち出すんだから。そして「責任論というふうにはならない。減税するかどうか決めるのは議会」と、「議会の責任」と言わんばかりの答弁もあり、驚きました。
このような実現性のない、荒唐無稽な構想をもしも可決してしまうとしたら、杉並区議会は末代までの恥さらしです。真面目に議会活動をしていると信じてもらえないのではないでしょうか。
(以下原稿)
1.減税自治体構想について
本日は、まず減税自治体構想について質問します。
これまでも、また、今議会においても、この構想について多くの議員の皆さんが、疑問を投げかけてきましたが、私はあえて、この件について、詳しくとりあげてはきませんでした。それは、全く現実的ではない、マンガのような構想であり、まともにとりあうほうがおかしいと考えているからです。
ですが今議会において、いよいよ条例案が提案されるということなので、とりあえずこの構想の実現可能性がないことをはっきりさせておきたいと思い、質問します。
○減税基金の目的は、あくまでも減税では?
まず、最初に明らかにしたいことは、「減税自治体構想」の目的です。区長は3年前の区長選挙において78年後には区民税がゼロになるといううたい文句をかかげました。
第一回減税自治体構想研究会では「区の予算の一定額を積み立てていくことによって、将来、その果実をもってして住民税の一部を引き下げ、また将来は完全に無税にしていくということを構想するもの」と説明しています。現在も、区長のホームページや著作には依然として「78年後には区民税の100%減税」と書いてあります。
減税自治体構想の目的はあくまでも減税、無税というのが区長の思いでしょう。大規模災害に備えるとか言っていますが、それは論点のすり替えです。
そこで確認したいのですが、減税自治体構想の目標は、究極、区民税ゼロということでよいのか否か。お答えいただきたいと思います。構想の目的をぼかして、逃げては議論になりません。
○10%減税は一般会計からの持ち出し
さて、次に「減税自治体構想研究会報告書」のシミュレーションを見てみたいと思います。
もとよりこのシミュレーションの前提条件自体に私は疑問がありますが、ここはあえて、研究会のシミュレーションに従って計算し、このシミュレーションでさえも、実現性を担保するものではないということをお示ししたいと思います。
研究会のシミュレーションの前提条件である、GDP1.5%成長、利率1.5%複利などに忠実に再計算をしてみました。
まず10%減税の試算をしてみます。10%減税には、60億円程度の額が必要です。そこで、10年後に60億円の運用益があがるのかと計算してみると、そんなには利息がつかず、大体半分ぐらいです。
つまり10年後に10%減税をどうしてもやるとすると、一般会計から持ち出しということになると思いますが、確認の意味で数字上の根拠と説明を求めたいと思います。
○無税自治体になるのは630年後!
シミュレーションではさらに20年後に15%の減税ができるとしています。 これもやはり利息では足りなくて持ち出しというかっこうになります。
仮に、その後15%減税をずうっと続けていったとして、純粋に利息だけで住民税をゼロにできるのはいつのことかと思い計算してみました。すると、なんと驚くなかれ、630年もかかるということが判明したんです。630年。間違いなく現在の杉並区が存在することはないでしょうし、日本国自体が存在するかどうかも怪しいものです。
また、研究会報告書では10%、15%までしか示されていませんが、仮にこれをさらに10年ごとに20%、25%と減税率を引き上げていくとした場合はどうか。持ち出しがどんどん増えていって、50%減税あたりで制度は破綻します。だいたい100年後ぐらいです。
そんなわけで、区長の著作などにある「100%減税」は全く不可能であることがわかりました。しかし、区長は著書でも、また雑誌上でも、さかんにこの数字を宣伝しているのです。これは一種の詐欺的言説ではないでしょうか。
そこでもし、ウソじゃない。たしかに53年後に50%、78年後に100%できるんだという根拠があるのでしたら、数字を示して説明していただくように求めます。
次に、角度を変えて、実現可能性を検討してみます。
現下の厳しい経済情勢のもと、今年度も、また来年度も、区は基金を取り崩して埋める形になります。区の発表によれば、来年度の減税基金の積み立ては10億ということです。一般会計の1割にははるかに及びません。
それではいったいいつになったら、一般会計の1割程度の積み立ては可能になるのでしょうか。今後果たして可能になる局面がくるのでしょうか。
また、公表された基本方針案では、公債費及び財調基金からの繰り入れは、積立額から控除するとされています。これはどのようなしくみなのか、説明をしていただきたいと思います。
この方針案を読むかぎり、基金の取り崩しが続くような局面では、積み立て額は来年度同様、目標とは程遠い金額にとどまるということだと思います。
○4兆円も基金に積み立て?
それでも仮に1割の積み立てがいつか可能になったとして、今度は、積立金の規模の問題を考えてみます。
1.5%の利息だけで10%、60億円の減税を行うには、元本は4000億円必要です。一般会計規模の3倍ぐらいです。
さらに、区長がめざす100%減税を考えると、今の財政規模でも600億円の利息が必要になりますから、その場合の元本は計算してみるとなんと4兆円になります。
このように、基金の運用益を減税の原資とするためには、一般会計規模の数倍から数十倍の基金残高が必要となります。一般会計1500億円の自治体が兆の基金を持つことが現実的に可能なことと考えられるでしょうか。見解をうかがいます。
これほど基金を貯め込んだ場合に、国や東京都から補助金を受け取り、区民から税金を徴収することの正当な根拠はないといわれるのではないでしょうか。すでに石原都知事にまでおかしいと言われています。
このように検討をしてきますと、「基金をつみあげて、その果実で減税を」などというのは、研究会の考え方に沿って検討しても、全く現実性のないでたらめな構想であることが、あらためて明らかになったと思います。
○特別区の仕組みの中の杉並。名古屋とは違う
さて、次に、いくつか政策論としての誤りを指摘したいと思います。
1点目は、地方税のあり方についてです。元来地方税とはその自治体に住んでいる人たちがサービスの対価として払うものです。この点、区は何度も「一定の時間軸の中で考えれば公平性が保たれている」と説明していますが、これはどういう意味かということをお尋ねします。
時間軸の中で考える、とは、結局、転居した人のことはカバーできないという意味ではないのか。説得力が全くありません。
もう1点指摘したいのは、杉並区が名古屋のような独立した市ではなく、東京23区という特別区のしくみの中にあるということです。
23区の中で1区だけが、単独で減税をしたり、あるいはその目的で基金を積み立てることに予算を回すということは、他区の負担で自分だけが豊かになろうとする目論見とも見えることは確かです。こうしたやり方に、果たして他区からの了解は得られるのでしょうか。見解をうかがいます。
かつてPTAの懇談会の席上、「葛飾区では年間10億円ぐらいで全教室にエアコンを入れたそうだが」と言われた区長が、「葛飾区は、他区からもらったお金を勝手に使って!」と怒り出したのを、私は目撃しましたが、今度は自分が他区から怒られる番ではないでしょうか。
○もうすぐやめる区長。責任とるのは誰?
さて、最後にやはり聞いておかなくてはならないのは責任の所在です。
区長は自身で定めた3期という任期まであと1年あまりです。10年後には、山田区長はいないのです。
10年後に約束した減税ができなかったとき、山田さんはどうやって責任をとるのでしょうか。山田さんでなければいったい誰が責任をとるのでしょうか。見解を求めます。
想像するに、おそらく10年たって減税ができなくても、「基金が少したまったから、良かったではないか」と、役所や、将来の区長が強弁するような気がします。たしかにお金が少し貯まるかもしれません。しかし、それは減税自治体構想とは全く趣旨が違います。
冒頭にこの構想は、まともにとりあうようなものではないといいました。そのことは何も私だけでなく、この議場にいる議員、理事者、だれもが、実はわかっていることだと思います。
それなのに、このような荒唐無稽な案を、行政はまじめくさって条例として提案し、しかも、自民、公明、民主などの与党会派の議員の皆さんがこれを賞賛しているというのはどういうわけでしょうか。
○まるで「裸の王様」
多分「区長が変わったら、こんな基金は廃止して、また災害対策基金にもどせばいいんだから。区長の最後に花をもたせてやるさ」ぐらいに、行政も、議会与党の皆さんも考えているんではないかと想像します。
しかし、減税自治体構想のようなおかしな政策をおかしいとはっきり言えないのは、区民に対する裏切りであり、精神的な退廃、思考停止です。
全く「裸の王様」のようです。役所の人たちも、そして恥ずべきことに、議会の一部までもが、「王様、よくお似合いです」とお追従を並べているのです。
そこで思い出すのは「レジ袋税」です。商店街の強い反対にあい、区議会も当時大変紛糾したとうかがっています。結局このレジ袋税条例は、実施時期を明記せずに成立し、世の中を騒がせただけで、一度も実施されることなく廃止されました。形だけ整えて山田区長に花を持たせた例です。今度も同じです。
レジ袋税のときには、区議会が紛糾して、会派が割れたりと、それでも真剣な議論があったと思います。
今回はどうなるのか。
「王様は裸だ!」という発言を与党の方からもぜひ聞きたい、と期待を表明して、次の質問に移ります。
2.「民との協働」について
(1)民間事業化提案制度について
さて、次に「民との協働」について質問します。
まず、「民間事業化提案制度」について、質問します。「すべての区の事業を民間に開放する」と、「民との協働」の最も象徴的な事業として華々しく打ち上げられた制度でしたが、年々応募件数は減るばかりです。この制度の挫折は区の協働方針の欠陥をよく示していると思います。
まず最初に、提案制度への応募件数の推移をお尋ねします。
余りにも件数が少なくなってしまったため、今年度は制度を見直したということですが、そこで、昨年までとの変更点、今年度の応募状況、また審査結果についてもうかがいます。
この制度の趣旨は「従来のような行政が枠組みを決める取り組みではなく、民間からの自由な発想を生かす」とされ、「区の事務事業をすべて公表」「担い手の育成との連動」がウリでした。「民間による適正な競争が促進される」ことも期待されていました。
しかし、果たして、これらの理念は実現したといえるのでしょうか。
少し具体的に、採択された事業を見ていきたいと思いますので、まず、うかがいますが、これまで4年間に採択した事業のその後の経緯と評価はいかがでしょうか。
○自由な発想どころか役所主導の提案
私のみたところ、「民間の自由な発想」「適正な競争」が実現しているとはあまり思えません。
たとえば、NPOによる自転車駐車場運営の提案です。以前予算委員会でもとりあげましたが、この事業は特別ユニークな発想があるわけでもなく、また、この事業者が運営する民間駐輪場で働いていた方のコメントとして「自転車駐車場のことはわかっていない業者だった」ということをうかがったこともあり、なぜ競争入札でなく随意契約で事業を委託したのか、疑問だということは、以前にも指摘したところです。
このようなケースでは、提案制度が無競争で事業を受託するトンネルのようになっているとも思えます。
また、「自由に提案」といいますが、明らかに区側と密接に連携した提案も見られます。たとえば「学校支援総合推進事業」がそうです。
この事業を提案したNPO法人は、もともと区が中心メンバーに声をかけて学校教育コーディネーターとして養成したもので、区はNPO法人の結成を助け、それからずっと事業を委託してきました。「自由な提案」というよりは、法人そのものが区の政策の必要性から育成されてきたというほうが適切です。
あらかじめ区が進めたい事業にあわせて、担い手を育成し、提案制度にのせて事業を委託していくというレールがしかれているため、それこそ「行政が枠を決める取り組み」となっています。
しかも、委託された事業者は交代せずに継続して独占的に受託しており、競争性は阻害されています。
○地域事業者も少なく
検討委員会の報告書には「民間事業化にあたっての評価の指標」として6項目が上げられています。将来性、地域性、競争性、採算性、安定性、効率性です。実際に採択された事業を見ると首をかしげたくなります。特に競争性は、いま見たとおりの状況です。
また、地域性という項目がありますが、いままでに採用された提案のうち、区内事業者は3件のみ。しかも、さきほどの学校支援や商店街支援などの提案は、もともと区と関係の深い団体からのもので、いわばできレースです。
それでは、指標の最後の効率性、コスト削減はどうでしょうか。
財政面での効果はどうだったのか。コストダウンがどのくらい実現したのかをうかがいます。
先ほどみたように競争性が確保されないことからもコスト削減に結びつかない構造になっていると思われます。
民間事業化提案制度には、結局かんばしい成果があったとはいえないし、今後も展望があるとは思えません。当初「民間からの提案により区の既存業務を再構築する」とまでぶち上げていたわりには、あまりに地味な成果しかありません。そもそも現在の区の事業に対する改善提案という限定附きでは「民間の自由な発想」などできようがないのです。毎年無駄な経費と時間を使って審議するのはやめて、そろそろ幕引きにしたほうがいいのではないでしょうか。
この項の最後に、この提案制度自体の運営のためにどの程度の経費が使われてきたのかをうかがいます。
(2)民間委託、民営化の問題点について
さて、区のすすめてきた「協働」とは、大部分が、行政サービスを民間企業にゆずり渡すための「民との協働」ならぬ「民間企業との協働」すなわち民営化でした。そこで、「民との協働」の2番目に民営化のもたらした弊害について質問します。
○賃金未払い事件再発防止に踏み出した杉並区
委託のデメリットといえば、人件費の削減、ワーキングプアの問題がまっさきにあげられます。セシオン杉並等での東宝クリーンサービスの賃金未払い事件は記憶に新しいところです。この問題では、昨年の決算特別委員会や第4回定例会の中で再発防止と契約の改善を求めてまいりましたが、このたび区は、モニタリング制度の改善を行うとのことです。
私を含む複数の議員が求めてきた要望を受けとめてさっそく改善が行われることに、敬意を表したいと思います。
具体的にはどのような変更が行われるのかについて、説明を求めます。
杉並区としての改善の努力に感謝しつつ、さらにもう少し踏み込んではいかがかという提案をさせていただきます。
東宝クリーンサービス事件をふまえて、杉並区だけでなく、各区がそれぞれの工夫で改善の努力をされています。なかでも板橋区では、昨年秋、指定管理者の賃金水準に「官準拠」という一定の標準を示しましたが、さらに年末に出された方針では、委託に関して賃金水準の事前チェックを行うことになっています。
具体的は、清掃業務委託に限ってではありますが、賃金が区のアルバイト以下の賃金であった場合、引き上げを求めるとのこと。また、毎月賃金支払いを確認する報告書を求めるとのことです。強制力はないとしても、それなりの効果のあるやり方だと思います。
この板橋区のやりかたを、杉並区でも取り入れてみてはいかがか、見解をお伺いします。
○偽装請負を疑われるケースはないか
さて、賃金の不払いは論外ですが、民間委託に際して、もうひとつ、偽装請負の問題があります。偽装請負とはいうまでもなく、実態が労働者派遣事業であるのに請負契約を結ぶ違法行為です。判断基準になるのは、労働者に対する指揮命令のありかたです。
たとえば学校用務委託のケースです。ある区で学校用務について調査したところ、学校側から「副校長が作業員に直接指示している場合がある」「急な来客のお茶出しや緊急の場合に直接指示することがある」など偽装請負にあたる例が多数出てきました。学校用務業務の性質上、どうしても業務責任者との打ち合わせだけではカバーしきれないケースが出てくるのです。
杉並区において、民間委託した現場、特に、民間の労働者と区の職員が緊密に連携をとる必要の生じる学校用務、給食、あるいは図書館などの現場で、同じような偽装と思われるケースが生じていないのか大変心配です。現状はいかがか、うかがいます。
○図書館の指定管理、コスト比較のトリック
さて、民間委託に関していくつかの問題点を指摘しましたが、それでもコスト面で有利なら、財政改革のために民間委託を行うべきであるというのが区の見解かもしれません。そこで、最後にコスト計算について論じます。
例として、図書館指定管理のケースをとりあげます。区長は12月11日付広報すぎなみで図書館の指定管理について触れ、1館7000万円の経費削減になると述べています。この試算は本当なのでしょうか。
2007年から指定管理となった阿佐ヶ谷、成田の2館の運営委託料総額は合計1億1千万円です。これに対し、直営の最後の年の2館の経費は人件費を含め2億5千万円、比べてみると、確かに1億4千万円の差がありますので、1館につき約7000万円の削減であるかのように見えます。
ところが、ここにトリックがあります。大きく2つです。ひとつは、直営館と指定館の職員待遇が全く違うことです。直営では正規の職員がほとんどですが、指定管理者ではほとんどが非常勤です。その点を全く無視して比較したのでは意味がありません。
トリックの2点目は行革効果の計算方法です。区長コラムの考え方は、区の職員を全員、民間の職員に完全に置き換えるとした場合の計算です。しかし、現実には直営の職員さんたちはいなくなるわけではありません。図書館からはいなくなるが、区のどこかでは働いています。その人件費は、図書館が指定管理になったとしても、区が払い続けているのです。
では何が変わるのかというと、指定管理になった分の人員削減は、実際には新規採用の抑制という形であらわれます。区長コラムの計算は区職員の平均賃金に基づいて計算されているので、新規採用と比べ二倍近く高い結果になっています。
○実は高くつく民間委託
そこで、この2つの点を踏まえて、2館の指定管理導入による行革効果がいくらかを正しく積算するとどうなるか。
2館合計の人件費のみの積算総額は、直営で約6500万円、民間で5450万円となり、その差1050万円、1館あたりの差は約500万円になります。差は縮まったけれど、直営のほうが少し高いです。
ところで、現実に払っている委託料のうち、人件費等にあたる「運営費」は2館で8000万円余りです。人件費だけを積み上げた金額と比べ約2500万円も余分に払っています。
この差額は何かというと、事業者の本社経費、管理料、利潤と考えられます。ところが直営の場合は、こうした経費が全く必要ありませんので、人件費のみの6500万円ですみます。すなわち直営のほうが実は2館で1500万円も安くつくことがわかります。大逆転です。
区長コラムにあった7000万円というのは大間違い、水増しだということがわかりました。
図書館だけでなく、学校給食や用務も計算してみれば同じ結果が出ます。
このように、正しく計算してみれば、民間委託はかえって高くついていると判断されますが、区の評価はいかがでしょうか。
○指定管理の図書館では人が足りなくて…
図書館の話に戻りますが、先日区内某所で、たまたま耳にしてしまったのは指定管理館の管理者たちの会話でした。それは人が足りない、カウンターを回すのが大変だという話でした。職員ひとり数十万で入れられるのに会社はやってくれない、と延々と話は続きました。
「民との協働で個性ある図書館づくり」と館長が胸を張るウラで、民間の人たちはこのような辛い思いをして働いているのです。
杉並区は住民を動員して行政の下請けをさせること、あるいは営利企業への事業の売り渡しを、「協働」の美名のもとに、巧妙に住民参画とすりかえてきました。しかしそこでは、真の協働、真の住民参画はかえって遠のいています。
「官から民へ」の小泉改革が国民生活と福祉の向上どころか、貧困に落ち込みそこから這い上がれない人々を大量に作り出したことが、事実をもって証明され、総選挙でも政治的に否定された今日、「民間なら何でも善である」というおめでたい考え方をあらためて、一線を引くべきではないかと指摘して、質問を終ります。