わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

杉並の歴史教科書採択ついに決着

さきほど、教育委員会で教科書採択が行われ、中学校社会科(地理、歴史、公民、地図帳)はすべて帝国書院と決定しました。10年越しの教科書問題がやっと解決し、ほっとしました。私個人としても4年間の議員活動の宿題が1つ終わった気分です。
教育委員会は約300人の傍聴がおしかけ、例によって抽選で20名が傍聴、他は音声だけというパターン。教育委員会も下らないことばかり慣れてきて、受付番号順にイスに座らせ、番号札の交換はできないようにと目を光らせていました。(でも、明らかに人の当たりをもらった人はやはりいましたけど)
区長がかわり、教育委員も入れ替わっての採択。今回は大丈夫とあらかじめ某関係者から確証は得ていましたが、やはり実際に決定するまでは緊張。
くわしい議事の様子は別便にしますが、簡単に報告すると、社会科の最初の地理のときに井出教育長が「社会科は3分野の連関性が大事」と伏線をはり、地理に強い帝国書院が選ばれた結果、歴史も扶桑社の前に使っていた帝国が選ばれるとうい道筋をつけました。そのラインで対馬、田中両委員も発言して、「つくる会」派をおさえこんだという結果です。大蔵委員はとにかくべらべらしゃべった。宮坂委員はメモを読んでるっぽい発言でしたが、2人に共通する他社批判がいくつもありました。相談したのか、それとも教科書会社から知恵つけられたのか。
対馬委員が「賛否はっきりわかれている教科書をあえて使うことはないでしょう」と言ってくれた。それから「保護者も困っている」「教員も使いにくいといっている」ということを具体的に言ってくれたこと。
とにかく、結果はよかったです。
ただ、思うことはあります。なんといっても、この10年はなんだったんだということです。区民の大多数、教員のほとんど全員が望んでいない教科書がなぜ選ばれたかといえば、山田前区長が教育委員を入れ替えたことによります。
今回と前回で意見がかわった唯一の委員である井出教育長。この人の意見がかわったのはひとえに区長がかわった結果です。教育長ともあろう人が区長の意見に左右されるのです(「この人やっと自由に意見が言えるようになったわね」といっている傍聴者がいました)。任命権者にいわれたら逆らえない。それが教育委員会の実態といえましょう。もちろん、山田区長に逆らえなかったのは区議会も同じです。教育委員会制度じたいを変えていかないと、教育の自由はありえません。
また、気になったのは、あくまでも教育委員5人の選択という姿勢がかわらなかったこと。教育委員は本当によく教科書を読み込んで勉強しておられると思いましたが、しかし、教材はそれを使う先生たちがやはり選ぶべきです。ひとりひとりの先生の考え方、教え方で教科書は違っていいはずです。
そして、もうひとつは教科書自体の問題。杉並では「つくる会」を排除することができましたが、新たに大田区武蔵村山市東大阪市、など意外なところで育鵬社自由社が採択されました。横浜市は市全体が育鵬社になりました。全国的なシェアではかえって増えています。
また、「つくる会」以外の教科書がとても良いかというと、そうは言えません。「従軍慰安婦」の記述が全く消えてしまったことももちろん、先日の教科書展示会でわかったように、日韓関係についても、あつかいが減っています。
杉並は、やっと「つくる会」と縁が切れ、歴史観ひとつとっても、やっとスタートラインに立ったのではないかという感じがします。決して手放しでは喜べないのです。
しかし、とりあえず今夜は勝利の美酒、ですね!