わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

福島へ行きました(6月4日記)

ふってわいたチャンスに1泊の日程で福島へ行ってきました。仮設住宅建設に関わっておられる方が「今度いくとき便乗する?」と言ってくださったので、お言葉に甘えました。往路は須賀川市役所(震度6強のゆれで使用不能となり隣接の体育館などに機能を移転)、飯舘村を経由して南相馬市の沿岸被災地、さらに新地町、宮城県山元町と北上し(須賀川南相馬、新地、山元のそれぞれ仮設住宅を見学)仙台市泊。翌日は福島県庁で仮設住宅についてのお話をきき、そこから単独行動。福島県教育庁でお話をきき、帰途につきました。
教育庁(県庁舎が壊れているため、あちこちに分散している)の話。
・すでに10000人の子ども(幼稚園から高校)が県外に移住(母数は小中高で24万人)。そのほかに県内での転校が4500人。
原発の30キロ圏内、および計画的避難地域のため授業に使えなくなった学校が54校。それ以外に一部倒壊などで使用不能が16校。計70校がもとの学校で授業ができない状態。
・高校ではまとまって移転できたところ(南相馬市・相馬農業高校→相馬市の旧相馬女子校校舎を利用、など)以外はサテライト教室で授業再開している。(私たちの移動の最中も、高校生のスクールバスをいくつも見ました)
・校庭の放射能汚染除去について:当初国から(1)表土5cmを削り上下置換(深い部分の汚染されていない土と入れ替え(2)表土5cmを削り穴を掘って埋め、覆土、の2つの方法が指示されたが、現実にはどちらでもなく、現在ビニールシートをかぶせて校庭においている状態。当初産廃処分場に持ち込むという話があったが、地元地域から猛烈な反対にあって頓挫(そりゃそうです)。
・表土除去は県下59自治体のうち11自治体で実施。
・5/27に文科省から福島県の全教員に簡易型積算型の線量計を配布。1か月に1回国に報告する(原子力安全委員会に報告し、発表される)。
・55校の特に線量の高い学校については、4/26に先行して配布が行われた。これらの学校は週1回報告し、2週に1回発表される。
◎20ミリシーベルト問題
「20ミリシーベルト(年間の被曝上限)についてはどうなんですか」と聞きました。保護者からは県教育庁にも電話あるいは直接来訪での要望、問い合わせ、抗議なども多いようです。「国の20ミリではなく、県は独自のもっと厳しい基準を作ってほしい」との要望が寄せられているが、県として基準をつくるとすれば、科学的根拠がなくてはならず、今のところ国の基準でやっていると苦しい説明。
福島市第一小学校
県庁の前には福島市第一小学校があります(ちなみに、ここでも県教委が一部執務しています)。外観では授業をしているように見えなかったので、きいてみると「授業はやっているが、授業中は窓を閉め切っている。校庭は使わない」とのことでした。校庭の使用については県として禁じているわけではなく、学校の判断とのことでした。この学校は表土の除去はしていません。
飯舘村
飯舘村は車で通過したのですが、計画的避難地域に指定され、ほとんど人気がなくなっている状態でした。「山は青く、水は清く」緑豊かな日本の原風景ともいえる里山の村です。水田が続くのですが、昨年の稲を刈った株がそのままに、全く作付けをされず放置されているのが、なんとも悲しいです。
◎沿岸部
津波被害を受けた沿岸部にも連れて行ってもらいました。かなりがれきの撤去が進んでいる状態で、見渡すかぎりの「更地」状態に絶句するしかありません。土台だけになっている家ばかり。ところどころ残った建物がありますが、1階部分は津波が抜けていって柱だけとか、場所によっては3階まで津波が達している建物もありました。想像を絶する被害です。
仮設住宅孤独死を防ぐ
今回、建築家の皆さんが仮設住宅への取り組みを検討する旅に便乗したので、たくさんの仮設を見学させていただきました。「いかにもな」仮設住宅(県議会の古手のおじさんたちは「兵舎のようだ」と言っているそうですが、全くそのとおりです)も数多くありますが、これまでの経験を生かした、多少とも居住性のいい仮設(スロープつき、中廊下、断熱・防音がよい、天然素材など)もつくられています。
孤独死を防ぐため、国が補助して200戸以上の仮設住宅には高齢者サービスの拠点(デイサービス、配食など)を作ることになったそうです。夜のTV番組でも、コミュニティがつくりやすい仮設の配置(全部居室南面・玄関北面ではなく、玄関が向かい合わせになるなど)を工夫していくなどを建築家が提案しているという特集がありました。
仮設にグループホームをつくってほしいという要望も出ているそうです。避難を余儀なくされたグループホームでは、民間賃貸などで経営を維持できているところが数カ所しかないらしく、認知症の方はどうしているのだろうと思います。また、高齢者の方については、仮設の福祉住宅というテーマが今回出てきたわけですが、障害者についてはどうなのでしょう。県のお話では「とにかく当初はたくさんの住宅を供給するということに追われ、やっと最近、福祉面の対応を考える余裕がでてきた」とのこと。「災害弱者」といわれますが、本当に後回しになってしまうことを実感。