わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

保育園の事故と規制緩和

今朝(2月3日)日本経済新聞の記事、「安倍政権成長戦略 主戦場は規制改革会議」という見出しの記事に「あの」宮内義彦オリックス会長コメントがあります。
「今やらなければならない制度改革は保育だ。…もっと自由に保育所をつくれるようにすべきだ。」
「あの」というのは、皆さんご存じの「かんぽの宿」事件。そして、もうひとつ、彼は政府の規制改革委員会の委員長をずうっとやってきて、中でも一貫して保育の規制緩和に執念を燃やしてきた人。何度も「直接契約」(自治体が保育を保障するのではなく、自己責任で保育園と契約する)の答申を出しています。
規制緩和が何を招くか。事故についてのデータを振り返りたいと思います。
先月、昨年(2012年)の全国の保育園の死亡事故が18件にのぼったと報道されました(1月19日付各紙)。前年と比べても増えているそうですが、実はこれは考えられないほどひどい数字です。
「2001年、保育園の定員や保育士の資格要件が緩和され、それを境に、保育園での死亡事故が激増しました(2000年までの40年間で15件しかなかったものが2001〜08年の8年間だけで22件)。」
↑これは、私のホームページの記事です。
http://suginami-waku2.net/2010/01/2009_1.html
2009年の「レポート」新年号にのせた記事ですが、新聞報道をもとにしています。当時、8年間で22件というのが衝撃でした。それが昨年は1年で18件! 18件のうち、認可施設は6人、無認可で12人が亡くなっています。認可だけでも1年間に6人ものお子さんが亡くなっていることに衝撃を受けます。保育施設が子どもにとって安全な場所でなくなっているのです。
事故数全体でも145件と、前年から1.6倍に急増しました。事故が前年から急増したことについて「厚労省は、保育施設の利用者増加などが要因とみている。」と記事にありましたが、とんでもない。規制緩和が保育園での子どもの安全を脅かしているというのが真相ではないでしょうか。
なお、19日付日経夕刊の記事ではこうなっていました。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1803L_Y3A110C1CR8000/
・事故は145件、前年の1.6倍に。
・死亡事故は4件増えて18件だった。
・施設別では認可保育所が116件、認可外が29件。
死亡事故の認可・無認可の内訳がありません。一見すると認可のほうが事故が多く問題、と見えますが、認可のほうが施設数、児童数が圧倒的に多いのですから(約10倍)事故も多くなります。おかしいと思って朝日新聞をみると(19日付朝刊)こちらは「死亡事故は認可6名、無認可12名」と書いてありました。日経は意図的に認可を悪者にしたともとれ、今日の宮内氏コメントにつながるものがみてとれます。