わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

阿佐ヶ谷ゴールド街をめぐって

ゴールド街の裁判をずっと傍聴しています。私が子どもだったころはピカピカのショッピングセンターでした。部活のバスケットシューズを初めて買ったのもゴールド街のカワカミさんです。最近、なんだか空き店舗ばかりになってきたなあ、建て替えるのかなあ、と思っていたとき、複数の店が立ち退き裁判をかけられていることを知りました。長年の真面目な商売が、JRの都合一つで追い立てられる悔しさは想像するに余りあります。
建て替えのためといいますが、建物が新しくなっても、JRは個人商店を再入居させるつもりはさらさらなく、現在の3〜4倍の家賃を要求されているとのことです。高〜い家賃を払える、たとえばユニクロなどのチェーン店を入居させるつもりなのでしょう。
(ゴールド街立ち退き問題は、店のお客さんがつくった下記のブログに詳しいです。
「ずっとこの場所で」http://asagayagold.jugem.jp/
ゴールド街の立ち退き裁判のことが雑誌にのったことを知りましたので、紹介したいと思います。
(以下引用。ルポライター古川琢也さんの記事「JR東日本 駅ナカ駅チカ戦略の暗い部分」。「自然と人間」2012年11月号より抜粋)
JR中央線阿佐ヶ谷駅の東口を出て徒歩1分足らずの場所に、線路高架下を利用して作られた「阿佐ヶ谷ゴールド街」という商業施設がある。旧国鉄時代の1967年に建てられ、現在はIR東日本100%子会社のデベロッパー「JR東日本都市開発」が所有している物件だ。
日本最初の珈琲専門店の流れを汲む「可否茶館」、洋食店「クロンボ」など、いわゆる中央線文化を象徴する飲食店も昨年まで入居していたこの建物だが、すでに両店とも撤退。2012年10月現在の入居はわずか4店舗となり、ほんの数年前までの賑わいが嘘のように寂れてしまっている。
・(立ち退き裁判の被告となったAさんの言葉)「阿佐ヶ谷ゴールド街は今年で築46年。古いことは確かです。しかし、(中略)通常の建築物とは頑丈さにおいて比べ物にならない。08年には耐震補強工事まですませており、使用できないほど老朽化しているはずはありません。」
民法に詳しい中央大学法科大学院の本田純一教授も「建物が今後十数年程度維持できる見込みがある場合、『老朽化』だけでは立ち退きの正当事由にならない」と説く。これらの事情を見る限り、JR東日本都市開発のいう「老朽化」は、建て替えの根拠としては恣意的なもの、との疑念が拭えない。
・Aさんによれば、01年にJR東日本都市開発と賃貸契約を結んだ当時、同社の担当者からは「契約書の名目こそ定期借家契約だが、それは関係ない。ずっと営業してもらって構わない」との説明を受けていた。「だからこそ営業を続けてきたし、一度は実際に更新までしたのに、JR東日本都市開発は一切の話し合いもなく、いきなり提訴してきた」と、Aさんはいう。
・(別の被告Bさんは普通契約から定期借家契約に変更する際)JRの説明は「契約書の名前が変わるだけ。ずっと営業していて構いません。心配しないでください」だったという。
・昨年5月に急性心筋梗塞で亡くなったCさんも、やはりゴールド街でクリーニング店を営んでいた。亡くなる少し前、JR東日本都市開発の当時の担当部長に土下座しながら「店を続けさせてほしい」と懇願したCさんの姿が、ゴールド街の複数の店主たちから目撃されている。「JRとの交渉が過酷を極めたあまり、心労が祟ったのではないか」(引用終わり。( )内引用者補足。A、B、Cさんの表記は変更しました)
さて、阿佐ヶ谷駅をご利用の方はご存じかもしれませんが、昨年春「Dila」という「駅ナカ」商店街がオープンしました。当初年間13億の利益をあげるなどと豪語していたJRのビジネスモデルですが、すでに5つの店舗が撤退。どうも家賃が高すぎてもうからないらしいく、失敗が明らかになっています。
ゴールド街でも同じような商売をやろうとしているのでしょうが…阿佐ヶ谷らしい商店街を残してほしいと思うのです。