わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

あの鷹巣町の その後

きょうは、「あの鷹巣町の その後」(羽田澄子さんの演出)の映画を見ました。残念ながら3時間のうち2時間しか見られなかったのですが、すごい映画でした。地味な映画なのですが。
でも、そこで描かれていた、小さな町の民主主義の苦闘は、本当に学ぶところが多かったと思いました。
前町長が福祉のまちづくりをめざして構想を出すが、議会では少数派のため、否決される。再選されて、新たなプランを出して1票差で可決されて、鷹巣町は全国的にも有名な福祉の町として注目を浴びる。3期12年の終わりに、反対派の猛烈な巻き返しが起こり、町長が落選、反対派の町長にかわって、鷹巣町の福祉が後退を始める。そして町村合併へ。
っていうところが前編のあらすじでしたが、肝心なことは、この町長の奮闘をささえたのは、町民の運動だったということです。ボランティアのワーキンググループがプランニングを行う、議会の傍聴に大勢の人がおしかける。選挙の開票所も押すな押すなで、みんなで見守る。反対派の人たちも、自分たちの主張を集会を持って訴えざるをえなくなり、そこでも激しい言葉の応酬がおこなわれる。そのようにして闘いとった福祉の町は、町長だけのものではなくて、町民みんなの財産になったわけです。
しかし、一方、4選目に意外な大差で町長が落選します。何が起きたのか。
よくわかりませんが、結局利権で動く人たちが、あらゆる手段をつかって、牙をむいたということだったのでしょう。そして、それに対して、福祉推進派の人たちは、対抗する力が十分ではなかったということなのか。
「あらゆる誹謗中傷が繰り広げられた。打ち消しても打ち消しても、ウワサが流された。良いことをやっていれば、みんなが素直に支持してくれると思っていたのだけれど」という議員さんや福祉公社の方の言葉が状況の難しさを物語っています。そして、合併推進や「官から民へ」という政府の方針も逆風となったのでしょう。
自治、民主主義、あらゆる問題がここに含まれていると思いました。上映会でもやりたいですねえ。(HPで見たところ、9月に中野での上映会が予定されているそうです)