わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

〜教育行政について〜

大きな3番目として教育行政についてうかがいます。第一に、学校適正配置について、うかがいます。前回第3回定例会でも質問したことですので、まずはその続きです。明瞭な答えをいただけなかった点につき質問いたします。
(学校適正配置)
最初に、適正配置の第二次計画についてですが、計画は全く未定であり白紙という認識で正しいのでしょうか。この点再度確認を求めます。来年度決定ということですので、この時期まできて、全く検討がなされていないということはありえないと思いますが、事務局内部ですでに候補が挙がっているということはないのでしょうか。その場合、当該校には、現段階で、すみやかに十分な説明を行う必要があると考えますが、その用意はあるのかどうかをうかがいます。
3点目ですが、これまでのご説明で、また、先日教育委員会に報告された、新しい再編構想の文面によれば、小規模校、即、統合対象とは限らないということでした。逆にいうと、すなわち、杉並区の学校の現状は、小規模校に分類される学校であろうとも、統合の必要性が低いと理解できます。実際、いま、子どもの数が減って減って、学校がまともに運営できずに困っているという話はきいたことがありません。さらに、同じ再編構想の資料によりますと、今後10年の推計で、杉並の小中学生は数が横ばいであるとの数字が出ています。学校・学級の規模は今後10年は今と同程度で推移するということです。そして、いま、どうしても統合しなくてはならない、という学校がないのですから、10年後も状況は同じです。
学校の統合が必要という前提には、子どもがどんどん減っていき、学校としての授業なり運営が成り立たなくなる。子どもたちが困る、という心配があるからこそで、それ以外の統合には説得力がありません。人口推計で小中学生数が横ばいと出た以上、杉並区で統廃合を急ぐ必要性は全くないと考えます。教育委員会はどのようにお考えになりますか。見解を伺います。
(雑誌「エコリ」の配布は中止を)
教育行政の2番目です。雑誌「エコリ」についてうかがいます。
今年6月から杉並区の小学校で配布が開始されたこの雑誌はサンケイリビング社が発行するフリーペーパーです。ごらんになればわかりますが、この大半は広告です。一見編集記事のように見えるのですが、これはいわゆる「ペイドパブリシティ」、一般の雑誌でもよく使われる手法で、簡単にいうと、編集記事の体裁をとった広告です。エコリのホームページhttp://tokyoliving.jp/ecoli/を見ればはっきりしますが、「ペイドパブ」の料金が明記されています。1ページあたり80万円です。それと別に独自に開発した広告手法であるという「エデュケーショナル・アド」という料金設定もあり、こちらは見開き2ページで100万円となっています。当然のことながら「アド」つまりアドバタイズメント=広告です。
同ホームページによれば、「企業の商品やサービスの直接的な紹介ではなく、それを取り巻く教育的な話題を取り上げ、読者を啓発しながら企業・商品・サービスへの関心を喚起するオリジナル広告。読者目線を的確に捉えたクオリティの高い広告展開」ということです。記事のように見えますが「クオリティの高い広告」なのです。
さて、この「エコリ」ですが、現在文京区、台東区、杉並区の3区で配布されており、発行部数は公称12万部となっています。世田谷区も配布を始めたところ、議会などで問題とされ、先月、配布を中止するという決定をしました。何が問題かというと、1企業の広告媒体に対して、行政が学校を通じて配布を無料で引き受けているということです。同じくホームページをみますと、なんと書いてあるか。
「配布のステージは小学校。主に公立の小学校をステージに、担任の先生から児童ひとりひとりに配布され保護者に届けられます。確かな配布と媒体に対する受け取り側の高い信頼性が期待できます」と、あります。
つまり、フリーペーパーという事業の根幹部分である配布を、公立の小学校、小学校の先生、そして児童というルートをタダで使って、しかも継続的、定期的にやらせているというのが「エコリ」の事業スタイルの特徴であり、ウリになっています。単なる企業広告の配布でもいかがかと思いますが、エコリの場合には、「公立小学校を通して配る」媒体であることそのものが商売のネタになっており、配布という行為が企業の営業活動に組み込まれている点が大きな問題です。
ここまでお聞きになれば、たいがいの皆さんは、それはおかしいのではないかと思われると思います。
ついでに申し上げますと、この発行元であるサンケイリビング社に対して、杉並区はこのほかに、「くらしのガイド」(便利帳)の編集委託、杉並文化協会の新聞「コミュかる」の編集も今年から委託しています。同じフジサンケイグループでは、もちろん、一番有名なのは扶桑社版歴史の教科書、そして富士学園の運営委託先のフジランドなど、なぜ、サンケイグループばかりが優遇されているのか大変疑問です。
エコリに話をもどすと、すでに杉並区内の小学校でも5回にわたって配布されたことについて、教職員、保護者から疑問の声があがっています。純然たる私企業の営利活動のために公立学校を使っていいのかというあたりまえの疑問です。
そこで以下、5点にわたって伺います。まず、杉並区ではどのような経緯でエコリを配布することになったのでしょうか。小学校長会、小学校PTA協議会、教育委員会には、いつごろどのように同意を得ていますか。二点目、世田谷区はサンケイリビング社との間に協定を結んでいますが、杉並区では協定を結んでいますか。それはいつごろだったのでしょうか。三点目、なぜ税金で雇っている教職員を使って1私企業であるサンケイリビングの営業活動に奉仕しなくてはならないのか。その理由をお答えください。四点目、教職員ばかりでなく児童も配布の一端を担わされていることは、教育上問題があるのではありませんか。
五点目、以上の問題点をふまえ、また、先にのべたように、世田谷区では区民の批判を受けて配布を中止するという、こうした状況も受けて、当区でも、今後エコリ配布は中止すべきだと考えますが、いかがですか。
(ナンバーワンにならなくていい)
以上が私の質問です。
今回の質問で、他市他区の先進事例を引き合いに出すことが多くなりました。これは意図的にそうしたのではなくて、調べているうちに、自然とそうなったのです。杉並区は「ナンバーワン」だとか「トップランナー」だとかかけごえばかり勇ましく、実際の施策面では、むしろ他市他区に学ぶことのほうが多くなっているのではないかと気がつきました。
私ども区民は杉並が「ナンバーワン」であることを望んでいません。それよりも、区民生活を守り、区民要望に応えるという行政の使命にたちかえり、真摯に区民の現状を把握し、地道に政策立案をしていただきたいと要望して質問を終わります。