わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

〜レジ袋有料化条例〜

大きな2番目としてレジ袋有料化条例についてうかがいます。委員会でも意見をのべる機会がありますので、こまかいことではなく、理念や全体のわくぐみについてうかがいます。
杉並病おきざりにしてレジ袋対策)
そもそもレジ袋削減の問題が起きたのは、杉並病公害をふまえてのことだったはずです。レジ袋税を提案した2000年の最初の記者会見で区長は、「杉並病」問題に触れて「健康被害を抱える区の義務として、資源循環型社会への転換を目指す動きの先べんをつけたい」と述べたと報道されました。しかし、その後、杉並病解決という根本的な問題は忘れ去られ、いつしか、問題は、レジ袋削減、そのための課税というふうにすりかえられ、矮小化されていきました。
杉並病という区民の生命に関わる問題が、いまだに解決されずに放置され、区がレジ袋対策を語るときの枕詞か装飾品のように、軽く扱われていることに、私は怒りを禁じえません。いったい、このかんのレジ袋削減の運動で、杉並中継所のごみ削減にたいして効果が得られたのでしょうか。この点をまずお聞きいたします。
しかも、このレジ袋削減のために、多くの費用が投入されています。街に林立していた桃太郎旗(いまはぼろぼろになって、景観のさまたげになっていますが)こうした宣伝物、エコシール事業、様々な調査、そして、一昨年にはレジ袋削減協議会のヨーロッパとアジアの各2カ国をまわり、事務局4名を含む計22名が参加した海外視察まで行われ、これには1300万円の予算が費やされています。5年間でレジ袋削減のために約1億7千万円が使われました。これだけの区の予算を投入した結果としての、費用対効果の点からプラスであったと評価できるのかどうか。総体としての評価について、見解をうかがいます。
(なぜ有料化? なぜ条例?)
さて、条例そのものの話にうつります。先日、私は都市環境委員会の視察で京都市にうかがい、「レジ袋」対策について伺う機会がございました。京都は言うまでもなく「京都議定書」のつくられた街ですから、環境政策には積極的にとりくんでこられ、その中で、レジ袋対策は、一昨年から専門家、市民などにより検討されてきた結果、今年初めから企業との協定という形で進められています。今後とも条例化の予定はなく、協定を拡大していくとのことでした。
京都市の協定は、消費者団体、環境団体など多くの市民団体も参加して、企業と市と市民団体の3者による協定が結ばれます。私たちがうかがった10月末の時点で、すでに8事業者、27店舗、2商店街と協定していました。
その特徴というか、杉並区との違いは、第一に、有料化にかぎらず、レジ袋削減の多様な取り組みを内容としていることです。ですから、たとえば、現在全国で展開している西友さんのレジ袋を断るとレジで2円引いてくれるというキャンペーンも協定の対象になっています。
京都のもうひとつの特徴は市の役割です。協定を結んだ企業への支援はどんなことをしているのかを伺うと「何もしない。市の役割はPRである」というお返事で、それは京都市との協定を結んだという事実を広報などで知らせること自体が、企業のメリットになるという考え方でした。それ以上のキャンペーンだとか、人をつけたりお金をつけたりという考え方はないということでした。それでいて、すでに相当の実績が上がっており、すでに5店舗で、マイバッグ持参率が80〜90%、また、別の店舗では、前年比でレジ袋使用量が20%減少と、ちゃんと実績が上がっています。
一方、杉並区の場合は、協定を結んだ企業に対して、人的な援助、また広報宣伝物の提供など、金銭的な支援もしています。1月のサミットとの実証実験に関しては、職員の人件費を別として280万円ほどの経費をかけ、それとは別に、のべ110名の職員を説明員として派遣、総計440時間の職員の派遣をおこなっています。非常に対照的で、ここまでやってあげる必要があるのか、と思われます。どう見ても、京都市のやりかたのほうがスマートで、市の負担なく、企業の自主性にまかせて効果をあげています。
京都市のお話をきいて、あらためて、レジ袋削減のための企業と行政の協力関係のありかた、また、条例が本当に必要なのか、あるいは条例化するとしても有料化でなくてはならないのかということには、大変疑問がわきました。
振り返ってみれば、「環境目的税」は区内世論を二分する大騒ぎの末に制定されましたが、結局のところ、今日にいたるまで課税は実施されていません。区民の強い反対をおしきって条例にしたところで、結局実施はできなかったという事実が残ったではありませんか。
レジ袋有料化条例提案に関して、条例でなければならない理由、そして有料化でなければならない理由について、あらためて区長の見解をうかがいます。何でも条例を作って決めてしまえばよいというものではありません。これはこの件に限りませんが、条例は区民や事業者に対して法的拘束力をもつものですから、設置にあたっては、慎重である必要があります。
私は、条例の設置には反対です。京都市の経験もふまえ、条例でなく、ゆるやかな協定、有料化でなく幅広い創意工夫、また、企業の自主性と自己責任による削減努力という形でのレジ袋削減政策がのぞましいと考えますが、いかがでしょうか。見解を求めます。