わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

杉並区教育基本条例の懇談会

「教育基本条例等に関する懇談会」を傍聴にいきました。ちなみに傍聴人は2人だけ。
今日が最終回で、提言を確認するという内容だったのですが、正直いってあきれました。実は私はこの会に行くのは初めてです。最終回にして、これほどひどい内容が、まんま残っているなんて唖然…。基本的にこの文章をベースに、事務局が文言修正の上、提言として区長に提出するそうです。(っていうか、この文章の一部は区長自身が書いたんじゃないか?とすら感じました。後述→★)
○問題点だらけだけれど、あえていくつかに絞ると、
・まず、「教育とは人づくり」との規定(違うだろっ!)。
・子どもだけでなく、大人も対象、と書いているのに、社会教育への言及なし。「社会教育」という言葉すらなし。
・子どもの教育については、あくまでも「教える側」からの視点で、子どもの学ぶ権利だとか、学びの主体としての子どもという視点なし。
・家庭や地域の「責務」を規定(家庭、地域というプライベートなセクターに杉並区は土足で踏み込んでくる)。
・障害児や外国籍の子どもなどマイノリティに対する言及がゼロ(委員の中からも指摘)。
・他方、伝統、愛郷心、我々日本人、といったことばが横溢。「杉並の美風」なんて言葉まで無修正で通過。一番ひどいところを一番最後に引用しておきます。
○さて、これは「条例をつくれ」という提言なので、当然のように条例の内容が問題になっていくわけです。具体的な内容として
・教育ビジョンを新たに定める。家庭や地域の取り組みも含める。
・家庭教育の支援(「家族の知恵として祖父母から父母へ、父母から子どもへと脈々と受け継がれてきた子どもを教育する力を高めるような内容」)
・地域教育活動の支援(「教育も、協働の視点にたって、地域でできることは地域にゆだねる」「地域における教育の大切を理解し、可能なかぎり参画する」)
・就学前教育の充実(幼稚園・保育園、私立・公立を問わず、区で統一した「就学前プログラム」を実施!)
・学校教育(「地域の学舎として地域の人々のボランティアや自発的な寄付のもとに運営されることが望ましい」)
・郷土愛をはぐくむ(郷土を学ぶ時間を確保) などなど。
ひとつひとつ反論する必要があるように思いました。
★提言案前文より。長いですがあんまりひどいので引用します。
「これまで資源の乏しい我が国にとって、国力の源泉は人間であるとして、人間を大切にした人材育成を重視する伝統を貫いてきました。そのことによって磨き上げられた鋭い感性と高い精神性によって世界に類例をみない独自の伝統精神文化を確立し、世界をリードする経済発展を成し遂げてきました。こうした国柄と国民意識は、今後の激動する国際社会の中でも、決して失ってはならない我々日本人の存在の基盤をなすものと考えます」
私は区民として、また日本人として、こんな文章恥ずかしくてたまらないです。「我々日本人」に対しては「区民には外国籍の人もいるでしょ」という委員からの当然の指摘もありました。