わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

和田中PTAについて(TBS「NEWS23」3月24日放送に対する意見)

さきほど放送された和田中PTAの問題の特集には大変失望しました。以下数点意見をのべます。
1.PTAの廃止について
P協を脱退することと、PTAを廃止することは、全く次元の違うことです。P協を脱退しても、PTA活動は存続すればよいのです。それなのに、藤原氏は、PTAの活動はムダが多いので、地域本部の下部組織にしてしまえばよいと言い、違うレベルの問題をわざと混同しています。
貴社もふくめ、マスコミが、この藤原氏のすりかえ論法にやすやすと乗ってしまうのはどういうことなのでしょうか。客観的にみて、この報道は「PTA廃止」のキャンペーンになっています。そのことを自覚しておられますか? 私はこの点、貴社に抗議したいと思います。
なおここで、藤原氏が意図的に語らなかったことがあります。PTAは学校から独立した組織であり、ときには学校と対峙することもあります。また、その名のとおり、保護者と教員の組織です。それにたいし、地域本部は、あくまでも学校のお手伝い組織にすぎず、教員は入っていません。この違いは重大ではないでしょうか?
2.PTA組織の説明の問題
都中Pの加盟率が下がっていることは事実でしょう。しかし、杉並区の小中学校は全校がP協に加盟しています。そのことも報道しなくては不公平ではありませんか。
また、PTAが全国組織であるため、あたかも、都道府県や全国の仕事がたくさんあって大変であるかのような説明をしていましたが、会長以外のPTA会員が県以上のレベルに接触することはまずゼロです。負担どころか、存在も知らないのがふつうです。この点について独自に取材をされましたか? 藤原氏が用意した素材をそのまま使っていませんか。視聴者に対しては完全にミスリードになっています。
また、当然ながら、協議会の加盟率が下がっているということをもって、PTAがいらない組織だということには全くなりません。
3.校長には決定権なし
番組中でもいわれていたように、各校のPTAはできるが、協議会までは、という学校があることも確かです。私自身もP協に参加してムダも多いと思いました。P協の仕事をしたくないから、会員の総意で脱退しようと決めるPTAがあってもいいと思います。
しかし、今回和田中で脱退を言い出したのは、藤原校長です。PTAのなかで自発的に出てきた話では、全くありません。(東京新聞によれば、現会長はむしろP協に残る方向を模索しています)
和田中のPTA規約はわかりませんが、ほとんどのPTAでは校長はPTA会員になれません(PTAの独立を担保するため)。会員でもない校長がPTAの重大方針について決定することはできません。発言権すらありません。
今回の「脱退声明」が校長によってなされたことについて、貴社も含むマスコミ各社が、この全く基本的な点について疑問もさしはさまず報道しているのは思考停止としかいいようがありません。
4.地域本部について
「地域本部」という名称から、いかにも地元の保護者や町会などが熱心にもりたてているという印象をうけることと思います。しかし、和田中の実態は少し違います。和田中には現在、地元学区の子、隣接学区の子、それよりも遠方の子がそれぞれ3分の1ずつだそうです。地域本部の構成はわかりませんが、地域の人々が地域の子どもをはぐくむというあり方とは、ずれている、「仮想現実の地域」とでもいえるのではないでしょうか。
なお、杉並区のルールでは公立中学へは地元学区および隣接学区までしか入学できません。つまり、3分の1がこのルールに反した入学者です(ちなみに藤原校長のお子さんも和田中生徒だそうですが、彼の住所もまた隣接学区外)。こうした実態もきちんと報道していただきたいと思います。
5.和田中報道のいきすぎ
本日の番組で卒業式会場にまでカメラが入っていたのにはあきれました。貴社も非常識だと思いますし、卒業式の主催者が自分を撮ってもらうためにカメラを入れるとは、子どものことは全く考えていない校長だとよくわかります。
和田中では藤原校長自身がHPに「和田中の教員・保護者・生徒は肖像権をみとめない。和田中の教室はショールーム」といっていますが、これだけカメラが学校に入り子どもの顔を大写しにするのは、当節ありえないことです。貴社にも報道にあたり教育的配慮を求めます。校長が非常識だからといって、何をしてもいいわけではありません。
貴社にかぎらず、和田中報道は、藤原氏が提供した素材をうれしそうに垂れ流すだけという印象をうけます。地域にはもっといろいろな意見をもった人たちがいるのに、なぜ異論をとりあげることをしないのか。不信感をもちます。ニュース23には好感をもっていただけに残念です。