わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

杉十小天窓事故での区長減給処分

9月18日の本会議で、区長専決処分の報告と承認の議案が出ました。これに対する反対討論です。
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 区長給与に関する専決処分について意見を申し述べます。
 報告によりますと、杉十小の事故に対する責任をとるため給与1ヶ月を2分の1に減給するとのことです。
 この事故の原因について、先般報告書が出されましたが、私のみるところ、たしかに、この事故について、設置者である区長及び教育委員会の責任はきわめて重大なものです。
 第一に、杉十小の校舎は、問題の天窓のみならず、校舎の配置、塀のない開放型の校庭など、建設当初から、きわめて危険な校舎であることが現場では指摘されていました。そもそもデザイン重視で安全を軽視したものであったといえます。
 第二に、区及び教育委員会の安全対策全般に問題があったことです。昨年、杉十小の近隣の和田中で、プール授業中の事故が起きています。この件については、なぜか表ざたになっていません。当事者の生徒さんは、一命はとりとめたものの、いまだに体がご不自由とうかがっています。昨年起きた学校の重大事故の原因究明と再発防止のための経験の共有が行われなかったこと、むしろ、事故をひたかくしにしたことが、次のさらに重大な事故を招いたと思われます。
 ひとつの事故が起きたとき、真摯に受け止めて安全管理の改善をしなければ、さらなるより重大な事故を招くことは学校に限らず常識ですが、区と教育委員会は和田中の名前を傷つけることを恐れたのか、事故を隠蔽して次の事故を招いてしまいました。
 この2点から事故の原因は区及び教育委員会の管理体制にあったことはあきらかです。
 一方、杉十小の事故からわずか半月で、和田中給食室の一酸化炭素中毒事故が起きました。この事故は、以前から何度も点検業者が危険性を指摘し、器具の交換を求めていたにもかかわらず、交換せず放置されていたために起こってしまったものです。杉十小の死亡事故というとんでもない事故をひきおこし「本来安全であるべき学校で、あてはならない事故」と教育長はおっしゃいましたが、全く反省なく、次なる事故を引き起こしてしまいました。安全対策に真剣にとりくむし姿勢が全くみられず、一人のお子さんの尊い生命が杉並区のずさんな管理のために失われたことの重さが、全くわかっていないとしか思えません。
 山田区長の主導のもと、教育委員会はさまざまな新奇な施策を行ってきました。民間人校長、小中一環教育、学校支援本部、エコスクール等々です。そうした施策に追われるあまり、学校の安全という最も重要な、最も基本的な部分をないがしろにしている教育委員会の姿勢には怒りを禁じえません。
 今回の専決処分、1ヶ月2分の1減給は「責任を感じています」というポーズにすぎず、また、処分そのものも、事故の重さに対し軽微であると思います。反省の色がうかがえません。
 よって、本件の承認には反対いたします。
 なお、次の教育長給与に関する案件についても、同じ理由から反対であることを申し添えます。
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 議会では述べませんでしたが、杉並区教育委員会の事故報告書は、非常に無責任なものです。これまでの安全管理のずさんさは、すべて学校のせい。事故が起こったのは、担当していた教員に責任。今後の対応としては、学校ごとの安全管理計画、安全委員会で管理(しかもボランティアが!!)と、何から何まですべて他人ごと。重大事故を引き起こしたことへの後悔のカケラも感じられません。