わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

保育予算の流出、高井戸児童館、区民センター利用率など質問しました(決算特別委員会質疑)

 2018年10月15日の採決をもって決算特別委員会が終わりました。私は6会計の決算すべての認定に反対しました。下記は私の質疑の要旨です。
決算特別委員会の動画はこちらから見られます。
保育について(質疑1回目:10/3)
 私立認可保育園はそのほとんどが公費(国・都・区)で運営されています(区立保育園は国の補助金が出ません。政府の民間誘導=優遇政策です)。ところが、そのうちかなりの金額が運営法人の「他の事業」「他園の新築」経費や積立に回されていることがわかりました。東京都全体で18%の公費が流出や積み立てなどに回され、園の保育に使われていません(岩波新書『ルポ保育格差』小林美希著参照)。
 そこで、私は杉並区の状況を調査しました(東京都から情報開示)。私立認可37園合計で
・年度末の支払い資金残高が合計約10億円
・他区分(他園、他の事業=介護などへ)の支出が合計約6億円
と、総額のうち16%ほどが園の保育以外に使われていることがわかりました。
 他方、区立保育園の民営化1園あたりの経費削減は6000万円余り(区側答弁)ですので、15億円の流出は20園以上の民営化に相当します。杉並区は区立保育園の民営化を加速していますが、それより保育に使われずに「抜かれている」お金を取り戻せばいいわけです。
 つまり、民間企業を保育でもうけさせるために区立園がつぶされていっているわけですね。わかりやすいですね。
 人件費について補足しますと(委員会では質問していません)、公費(公定価格)のうち7割が人件費として計上されています。その部分が抜かれているわけです。ちなみに、上記調査で私立認可37園のうち、人件費(しかも園長なども含む)が7割以上という園は7園しかありません。
地域区民センターの利用率(質疑2回目:10/4)
 2014年度から区民施設利用料の大幅な値上げ&団体割引の廃止となりましたが、そのため区民センターの利用率が大幅に下がっています。この間に20ポイント以上利用率が下がった(70%→50%とか、50%→30%とか)コマ(部屋毎の時間帯)がなんと41%もあります。
また、今年度第一四半期実績で、利用率が5割未満のコマがなんと55%。うち2割未満のコマだけでも19%に及ぶのでした。半分以上の部屋が半分以上の時間帯空いているという状態。使いたい人がいないのじゃなくて、高くて使えない。区民センターという事業が完全に失敗していますね。
 ちなみに、あんさんぶる荻窪の最後の年度と、移行した先の「ウェルファーム」の現在の利用率は以下のようです。
<あんさんぶる> 
(午前)61.0(午後1)75.2(午後2)70.9(夜間)62.7%
<ウェルファーム(天沼集会所)>
(午前)11.0(午後1)14.8(午後2)13.8(夜間) 9.0%
 だから言ったでしょ、と言いたくなる結果。皆さんの意見を聞くと「駅から遠くて不便」「場所がわかりにくい」「あんさんぶるは駅から近くて便利だったのに」。天沼集会所は5部屋あるので、毎日1部屋入っていれば2割にはなるんですけどね。それすら使われてないんですね。実際、日曜日にウェルファームに行ったとき午前1部屋、午後1部屋しか入ってなかったですもん。日曜日ですよ。
男女平等センター(質疑2回目:10/4)
 これは、ある日、センターを訪れるとなんと真っ暗で入れなかったという事件を追及したものです。利用者の方が驚いて区役所に通報したそうです。委託事業者の職員が午前の勤務なのに午後と思い込んでいたという単純ミスなんですけど、公共施設ですよ。ありえないですね。区がいかに男女平等センターを軽視しているかよくわかります。委託契約書では、決められた日時までに業務を履行すること、契約通りに履行された分についてのみ委託料を支払うとはっきり書かれています。遅延損害金についても定めがあります。がしかし、「始末書を書かせたんで、ペナルティーとかは別に」みたいな答弁で。
 さらにひどいのは、前日までにこの質問を通告しているにもかかわらず、「契約書を読み上げて」というと課長が「事前の通告がなかったので用意していない」と平気で言ったことです。こんなぶざまな事件を質問されるとわかっていて契約書が手元にないとか、全く緊張感も反省もないですね。ていうか、それ以前に所管なんだから契約書は委員会室に持ってこようよ。
上井草保育園と保育園の土地代(質疑3回目:10/9)
 杉並区は区有地を貸して民間保育園を建てた場合、当初3年間土地代無料、かつそれ以降は通常の地代の3分の1という優遇をしています。向井公園や久我山東原公園に建てた保育園などが代表的です。
「こういう優遇をしている区はほかにあるんですか」
「ないのではないかと思います」
「区は保育にお金がかかると言っているんだから土地代とればいいんじゃないですか」
というやりとりをしました。企業に優しすぎです。
 区有地利用の民間保育園は現在16園。うち地代を払っているのは4園しかないそうです。
高井戸児童館・学童クラブ(質疑3回目:10/9)
 高井戸小学校はものすごく子どもが増えていて、今年は1年生が5クラス。来年は6クラスか!?と言われているそうです。当然学童クラブもパンパンなので、区民会議室を潰して学童クラブに使います、ということは聞いていました。
 ところが。保健福祉委員会にも報告のないまま学童クラブが「委託」になっていたんです。
 そこで質問したのですがポイントは
○児童館内で学童クラブをやるのに、分離できるのか。できないと「偽装請負」になる可能性が高い。
○他方むりやり分離すれば、これまでと違い学童の子たちが児童館を自由に使えなくなる。
という両方から見て、両立は無理なのじゃないかということです。具体的には、
・2階を学童クラブ専用とし、1階の児童館部分と分離。
・児童館内の階段を閉鎖し、直接の行き来ができなくする。
・2階の学童クラブから1階の児童館へ遊びにいくには別の階段からいったん外へ出て玄関から入り直さなくてはならない。
・しかも引率者が必要なので、子どもが勝手に行くわけには行かない。
・しかも、そこまでしても、結局1階で混ざってしまう(子どもも職員も)ので偽装請負の防止は困難。
 こんな無理な委託をなぜやるのでしょう。杉並区は事業の目的を完全に見失っています。委託で少々お金が浮くのかもしれないけど、そのために子どもの福祉が犠牲になっているわけです。委託の弊害がそのまま具現化したといえます。
小学校の警備(質疑4回目:10/11)
 これは、PTAの人から聞いたんですが、杉並区が小学校の校門に配置している民間のガードマンを節約のためシルバー人材センターに変えるという案があったそうです。ガードマンが殺されたりしているご時世に、高齢者に警備させるんですよ。しかも低賃金!
 さすがに教育委員会も思いとどまったそうですけど、経費削減のためらしく、こちらも事業の目的がわからなくなっている杉並区らしいです。
阿佐ヶ谷の開発(質疑4回目:10/11)
 阿佐ヶ谷はけやきのまちです。私は子ども時代、朝な夕な二階の窓から近所の教会の大きなけやきの木を見て育ちました。中杉通りやけやき屋敷はいうまでもありません。これは数字的にも実証されています。区内全体としてけやきが多いのですが、阿佐ヶ谷はとびぬけて多く樹木の3割くらいがけやきです。他方、阿佐ヶ谷は区内でも緑が少ない(高円寺に次ぐ)まちです。
 ちなみに、まちづくり「意見交換会」ではコンサルが「けやき屋敷といっても大して木はない」かのような説明をしましたが「杉並区みどりの実態調査報告書」ではけやき屋敷のほぼ全面が「樹木被覆地」と確認されています。
 今回のけやき屋敷の開発にあたっては、都条例(東京における自然の保護と回復に関する条例)により、自然環境調査をしなければならないということがわかりました。春、秋2回の調査が必要であり、調査結果に基づいて、樹木等の保全、移植、伐採等の計画、工事工程等を示した報告書を提出する義務があります。また「既存樹木等保護検討書」は保護樹林・保護樹木を対象とし、行為地内にそのまま残すことまたは行為地内での移植を検討すること、保存できない場合はその理由を述べる必要があるとされています。
 この調査をこれから杉並区が行うとのことですが、どのような結果になるのか、そもそもその結果が公表されるのか、追及していきたいと思っています。