わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

「平和憲法」削除問題に区長は沈黙(一般質問に対する答弁)

一般質問に対する答弁です(番号は質問の番号と対応しています。一部質問とは順序が違っています)。
 再質問に対して区長が答弁しましたが、(1)女性政策について:憲法問題(検閲)については全く語らず。「女性の社会進出については意を用いてきた」というがその内容は「保育園」で、質問の趣旨からするとかなり的外れ。質問したわけでもない「女性管理職が少ない」問題に言及するものの「試験制度に壁がある」と人のせい。(2)あんさんぶる荻窪の代替について:「駅前の利便性のいいところのビルを買え、人の建てたビルは使いたい、というくせに開発に反対するのか」というやはりはずした答弁でした。
 以下答弁の要旨です。( )内は松尾ゆりのコメントです。
(1-1)荻窪のまちづくり
Q1-1-1、2:荻窪駅は1日25万人が乗降、区内最大の交通結節点であり、産業、業務機能も最も集積。杉並を代表するにぎわいの中心。(産業に対しては分析ありませんでした。まちづくり方針では他駅と比べた商業集積など分析されているのですが。)
Q1-1-3:荻窪駅周辺総合交通戦略の連絡協議会は、鉄道、バス、タクシー会社、警察、東京都、学識経験者が参加して、昨年8月から3回開催。平成30年度戦略策定にむけ検討中。
Q1-1-4:南北動線は総合交通戦略の課題の1つ。既存通路等の安全性・快適性の向上や大規模商業施設(ルミネやタウンセブン)の更新期を捉えた整備など検討中。
Q1-1-5:民泊条例は、大田区・新宿区が制定の他、16区が条例案を提出予定。18区中16区が平日の民泊実施を制限。そのうち13区が住居専用地域での制限。杉並区との比較は、住環境が異なり一概に比較はできない。
(1-2)あんさんぶる荻窪
Q1-2-1:あんさんぶるの建物を売る場合、市場での価値は8割引きで妥当と考える。
Q1-2-2:児童館、会議室は杉並保健所や桃二小、ウェルファームに機能を移転するので駅前に代替施設整備の考えはない。
Q1-2-3:上記移転先は4月から確保するのであんさんぶるの継続使用の考えはない。廃止に際してのイベントもやらない。
(2)女性政策
Q2-1:ギャラは第一部(2者)13万円、第二部(1者)12万円、その他全体経費42万8千円の合計67万8千円。(第一部は元オリンピック選手と素人の2名。第二部は1者と言ったがピアニスト4人で12万円。ピアニストはえらく軽く見られたものです。なお、第一部司会の歌手のギャラは「全体費用」に入っている。)
Q2-2:事業の意図をわかりやすく伝えるため記載内容は受託者と協議して決定した。(「憲法違反ですよ」と言っているのに、その点は完全無視。受託者=コンサート監修者は「時間がない」と言われて仕方なく「平和憲法」を削ることに同意したが、その後この要請について区に対して抗議をしている。)
Q2-3:事前ちらしにプロフィールを掲載し、当日配布することで受託者と合意している。(ちらしはこのプログラムにははさまれておらず、別ファイルに他の多数のちらしにまぎれて入っていた。)
Q2-4:女性団体支援については、すでに継続的に行っているので計画には書かなかった。(計画の大半は「すでに行っていること」ですが、じゃあ計画はいらないね。)
 女性団体に対する発言は事実を確認していないので言うことはない。
Q2-5:男女平等推進センターに区職員の常駐配置は予定していない。(なんで平気で否定できるのか)
(3)高円寺小中一貫校
Q3-1:当事者ではないから所見を述べる立場にない。
Q3-2:仮処分で裁判所が妨害と判断したもの。
Q3-3:協議の記録はないが、事業者に確認した。

杉並区が「平和憲法」削除を要求(一般質問しました)

 2018年2月16日、区議会定例会で一般質問しました。質問を準備するなかでいろいろ調べましたが、田中区長は、まちづくりでも女性政策でも前山田区政の悪い面をしっかり継承しているなあとつくづく思いました。区政を転換できるのは住民の力です。がんばろう。
 質疑の概略は以下です。答弁の要旨はこちら
【1.荻窪のまちづくり】
(1)荻窪駅周辺まちづくり方針
 杉並区のまちづくり計画ではなぜか荻窪だけが特別力を入れるまちになっています。山田区長のときに荻窪の地主さんと区長が結びついてからのことです。田中区長に代わってさらに「立体交差にする」「荻窪再開発」と大きく花火が上がりました。でも、現実には荻窪の問題(地上駅なので南北通行が不便、地下通路が危険)はいっこうに解決されません。実務をきちんと進めてくれる区長に代わってほしいです。
(2)あんさんぶる荻窪
 今議会に「財産交換」の議案が上程されました。可決されればあんさんぶるは税務署になってしまいます。なぜこんなバカげた政策が通ってしまうのか。
 区長が過去に議会で「あんさんぶるのような不動産はこれからもいくらでも売りに出るし、区が買う可能性も大」との答弁をしているので「必ず代替施設を買って」と言ったら、「開発には反対するくせに駅前のビルを買ってもらいたいというのは矛盾している」と逆ギレされました。いや、あなたが買うって言ったんだよ。
【2.女性政策】
 イベントのプログラム原稿に「平和憲法」と書いたら区担当者から「削除してくれ」と言われたという「検閲」事件が起きました。区長の憲法観、人権観を糺しましたが答弁回避。これからもこんなことが続くのか杉並区。「女性政策でも山田さんと同じなのか」と再質問で答弁を迫ったところ「女性の社会進出については積極的にやっている。保育園をたくさんつくってきた」との答弁。保育園はいいけど、それは児童福祉で女性政策ではないと思う…。
【3.高円寺小中一貫校】
 一貫校の開校が1年延期になったのは「工事妨害のせい」と発表した杉並区、いつのまにかHPの告知は消していますが、訂正・謝罪はないまま。一方、「暴行を受けた」と建設会社の社員が被害届を出した件は不起訴処分が下り、事件は完全に否定されました。この件について認識を求めましたが「当事者ではありませんから」と逃げる区担当者。公共事業の請負業者が虚偽の訴えをしたのですが受注者として当然責任があると思いますが。
(以下原稿です。実際の発言とは異なるところがあります。)
<前区政と変わらない田中区政>
 一般質問をいたします。平昌オリンピック真っ最中ですが、開催国の韓国と朝鮮民主主義人民共和国北朝鮮)が対話へ向かって歩み出しています。民族の悲願である統一問題だけでなく、東アジアの緊張緩和に向かう可能性に大いに期待をしたいと思います。我が国も対米従属から脱しアジアの平和に役割を果たせる政治を実現しなくてはならないと痛感します。
 また、わが杉並区においても区政の閉塞感を打ち破る年になればと念じるところです。
 今回の質問にあたり、何点か過去の区政との比較をしましたが、現在の田中区政が前山田区政と大きく変わらないことをあらためて認識しました。行革、民営化を強力に進め人心を荒廃させた前区長に対して、転換を図ってくれるのではないかとの期待を寄せて、私自身も当初田中区長を応援した一人でありましたが、期待に反して、この8年、人員の削減、保育園などの民営化、委託化がいっそう強力に進められ、さらに杉並の貴重な財産、科学館や児童館の廃止が強行されています。その一方で、無駄に大きな建築工事が数多く行われ、建設事業者や地主さんなど少数の人が利益を得る区政となってしまっています。区政の転換を願って以下質問をいたします。
1.荻窪のまちづくりについて
(1)荻窪駅周辺まちづくり方針について
 まず、田中区政の目玉政策であったはずなのに、今はなんとなく置き去りになっている荻窪のまちづくりについてうかがいます。「荻窪まちづくり会議」も最近は開催されず開店休業です。方針が決まったこれからが、地域とともに進める時期だと思うのですが、残念な状態です。
荻窪だけが特別な「杉並の芯」>
 田中区長就任後に策定された基本構想には「戦略的重点的とりくみ」として「荻窪駅周辺まちづくりと多心型まちづくり」があげられていますし、昨年策定された「荻窪駅周辺まちづくり方針」では、荻窪を「都市活性化拠点」「杉並の芯」と位置づけており、荻窪のまちづくりがここまで区政の中心課題として大きくとりあげられたことはかつてありませんでした。そこでまず「都市活性化拠点」「杉並の芯」とは何か、うかがいます。(Q1-1-1)また、関連して、交通の面、および産業の面からみて、荻窪にはどういう特徴があるかご説明ください。(Q1-1-2)
<山田前区長の政策を継承、発展>
 なぜ荻窪が特別な存在として位置づけられたのか。
 「杉並区まちづくり基本方針」でJR4駅のうち荻窪だけが「都市活性化拠点」と規定されたのは、山田前区長のときでした。
 荻窪のようなすでに開発された地域において、さらなる高度利用を喜ぶ人は限られています。むしろ既存の住宅地の環境を守り、発展させることが住民の願いです。しかし、荻窪のまちを再開発することで儲かる一部の地主さんらと前区長が結びついたことによって、荻窪の位置づけはそれ以前とは大きく変わってしまい、荻窪南口では、容積率の緩和問題や補助131号線の相互通行化問題などが、地域の人たちを悩ませました。そして田中区長に代わっても、前区長の政策を転換するどころか、さらに荻窪再開発がクローズアップされたのです。
<立体交差を約束したが手つかずに>
 田中区長は初当選時、荻窪の、特に北口の商店街の方々に対し、南北通行問題の解決として立体交差を約束し、地域に大きな期待を持たせました。しかしその後、高架化は現時点では実現不可能であることが明らかとなりました。また、駅北東地区の区画整理も手つかずのままとなり、期待は裏切られました。
荻窪駅交通戦略で南北通行解決できるか> 
 南北通行に関連して、「方針」の中では荻窪駅周辺交通戦略の策定がうたわれています。戦略に関する連絡協議会の開催経過、参加している事業者はどこか、また、戦略策定時期の見通しをお示しください。(Q1−1−3)また南北通行問題の解決策については、どのようなことが可能なのでしょうか。所見を伺います。(Q1−1−4)
 これまでできもしない公約で地域が振り回されてきましたが、新しい区長には鉄道事業者や関係者と話しあって、地味でも実現可能な問題解決、特に南北通行問題の解決を着実に行う人が、いま求められていると思います。
<住宅地域での民泊規制を>
 次に、荻窪のまちづくりに関連して民泊についてうかがいます。いま、荻窪のまちにも、急速に違法民泊が増えています。法施行を前に、すでに民泊をあてこんだマンションが建設されており、地域の不安は高まっています。荻窪のまちづくりには民泊規制が欠かせません。今定例会でも杉並独自の規制条例が審議されますので、詳しくはそちらに譲りますが、23区の中でも杉並区の規制は緩いのではないかと思います。区長は記者会見で法定外目的税の導入も考えるなどと述べましたが、その前にまずは条例で厳しく規制するべきと考えます。
 先日私は、旅館・ホテル事業者団体の全国本部で民泊についてのご意見を伺ってきました。同団体は、9月に区長・議長に対しても要望を提出していますので、区長もご覧になっていることと思います。この要望書の中で、この団体は「住居専用地域等では住宅宿泊事業者を除外されたい」と述べています。この点について伺ったところ「決して自分たちの利益のために言っているのではなく、地域の住環境が脅かされることを心配しているのです」とおっしゃっていました。
 すでに条例を施行している大田区では住専地域での民泊を全面的に禁止、また、お隣の練馬、世田谷、中野では住専地域での平日の民泊を禁止していますが、杉並区と違って家主居住型、不在型を問わず禁止している点は評価できます。そこで伺います。民泊について、大田区の条例、また今後予定している他区の規制の状況を具体的にお示しください。また、他区と比較して杉並区の規制の評価はいかがか所見を求めます。(Q1−1−5)
(2)あんさんぶる荻窪について
 次にあんさんぶる荻窪についてうかがいます。荻窪駅周辺まちづくり方針には「地域交流の促進」が掲げられています。地域住民が交流のために知恵を集めてつくったあんさんぶるこそ、本来、この目標に大きく資する地域の拠点でのはずでした。しかし、2010年、区長の一片の手紙から始まった財産交換によりその拠点は、今まさに風前の灯となっています。荻窪地域特に南口の人々は財産交換に決して納得していません。静かに見えても、地域には大きな傷が残っています。
<あんさんぶるの裁判、区職員が出廷へ>
 地元の町会長さんが区長を訴えた損害賠償請求訴訟は、いよいよ大詰めを迎え、3月19日午後2時から区職員2名が出廷して東京地裁で証人尋問が行われます。これまでの裁判のなかで明らかになってきた多くの事実から、常識では考えられない建物付き土地同士の財産交換という悪手を、区長のメンツにかけて、なりふりかまわず推進していく区政のすがたが浮かび上がってきました。
<70億円の無駄遣い。果実はどこへ>
 また、財産交換が財政上も全く無駄づかいであることは、これまで何度も指摘してきました。
税務署用地は今回47億円と査定されました。あんさんぶるとほぼ等価とされていますので、それだけなら等価交換です。しかし区は交換のために天沼3丁目にあんさんぶるのかわりの施設を建て、また、緊急性の低い桃二小の建て替えも行い、計70億を費やします。現金なら47億円で買える土地を財産交換にしたために約120億で買うことと同等です。2つの建設工事はどちらも同じ荻窪の建設会社が請け負っています。本来なら建てなくていい2つの大きな建物は誰を潤したのか歴然としています。この交換の本当の目的は何だったのかと考えさせられます。
<不動産価額調査に疑問>
 不動産価額については、予算審議に譲りますが、ここでは1つだけ大変気になることを指摘しておきます。不動産価額の調査報告書を読んだところ、あんさんぶる荻窪の土地・建物の価額はざっくり2割引きになっています。他方、荻窪税務署のほうは更地にマンションを建てたら、という仮定で割引なしに算定されています。前回の鑑定と同じです。しかし、今回税務署の土地は区が賃借して大きな真新しいビルを建てており、現況は2年前と変化しています。更地にマンションという開発の設定は非現実的なものです。これで公平な算定とはいいがたいと思いますが、あんさんぶるの市場修正率8割は妥当なものと考えるのでしょうか。所見を伺います。(Q1−2−1)
<なぜ児童館をはやばやと閉鎖?>
 次に、あんさんぶるの諸施設の移転・廃止についてうかがいます。昨年第三回定例会ではやばやと、児童館の廃止等が可決されてしまいましたが、福祉事務所、消費者センターは3月24日までで移転、児童館は17日までで閉鎖とのこと、また、会議室の貸し出し等は2月いっぱいで終了と告知されました。
 区の計画では財務省との財産交換は5月とされています。ですから仮に3月末まで施設を利用していたとしても1か月の余裕があります。なぜ年度末まで使わせないのか大変疑問です。また、それぞれの施設が使用不可となる時期がバラバラなのも不自然です。
<科学館の無残な最期> 
 それで思い出すのが科学館とけやきプールです。科学館は閉館となる1年前に事業を終了し、手入れもされない無人の施設となりました。日本一の科学館と称えられていた館の無残な最期です。けやきプールは、結果としてではありますが、取り壊し、使用不能となる2シーズンも前に廃止されて、そのまま今も放置されています。どうも区長は区の事業、施設に対し全く敬意を払わず、区民の愛着の心もふみにじり、しかも廃止してから長いことさらしものにするのがお好きなようです。
 あんさんぶるも同様で、各施設の終了がばらばらなのも、利用者が集まって「やっぱりなくしてほしくないよね」などと言ってあんさんぶるを惜しむことを恐れているとしか思えません。
<春休みなのに遊べない>
 特に荻北児童館は3月17日で終わり、春休みの子どもたちは児童館で遊べません。3月31日まで条例上は存在しているのに、閉鎖してしまうとは、なんと意地悪なことだろうと思わずにいられません。
 このことを知った保護者の方が区役所に電話して、春休みの遊び場をなんとかしてほしいと頼んだところ、「たった1週間、家庭でなんとかしてください。旅行にいけばいいでしょう」「公園やよその児童館に行けばいいじゃないですか」などと言われたそうです。なんと心無い言葉でしょう。
<4月まで使えるのに。最後のイベントもない>
 仮にあんさんぶるの交換が可決されるとしても、児童館、会議室は4月末まで区の所有であり、できるかぎり区民の利用に供するべきと考えるがいかがか。また、あんさんぶるにさよなら、ありがとうを言うためのイベントを行うことが必要と考えますがいかがか。所見を求めます。(Q1−2−2)
荻窪南口に児童館、会議室がなくなる>
 この項の最後になりますが、先ほど申し上げたように、荻窪南口の賑わいの拠点となってきたのがあんさんぶるであり、廃止するのであれば、地域の人が使う児童館と会議室の代替施設となるものが必要です。桃二小に遊び場ができるといいますが、駅から離れていますし、児童館の特徴だった大きな体育室や図工室、図書室などの諸施設はなくなってしまいます。また、会議室は学校の会議室であって、一般の方が予約して借りられるものではありません。
<代替施設確保を求める>
 幸い、区長は議会の答弁で「あんさんぶるに似たような、類似の資産というものは、今後将来区は取得することは可能性としては大いにあろうかと思う」と発言してくれています。こうおっしゃった以上、今後駅前の土地建物が売りに出ないか、虎視眈々とチャンスを狙って、まちがいなく整備していただくようお願いします。見解を求めます。(Q1−2−3)
2.女性政策について
 質問項目の2番目として、杉並区の女性政策についてうかがいます。
<男女共同宣言20周年イベント>
 杉並区男女共同参画都市宣言と男女平等センター開設から20周年を迎えました。11月23日には宣言20周年と銘打ったイベントがおこなわれました。しかし、なぜか男女平等センター開設20周年を祝う取り組みはありませんでした。区の施設なのに節目の年を祝わないのはなんとも不思議です。しかも、複合施設の1階にある「ゆう杉並」はしっかりと20周年行事をやっているのにです。
 また、イベントは当初、女性作曲家の知られざる名曲を紹介するレクチャーコンサート単独で企画されていたのが、なぜか第一部に元オリンピック選手らのトークが行われたあとコンサート、という二部形式に変更されました。
 このような不透明ないきさつがありながらも、第二部の監修をなさった音楽研究者の方は、ご自分がお住いの杉並区で開催できるということで力を入れて取り組んでくださいました。当日のアンケートでも参加者からは「女性作曲家を知ることができてとてもよかった」「演奏がすばらしく感動した」などの声が多数寄せられコンサートは成功裏に終わりました。
<「平和憲法」削除を区が要請>
 しかし、残念ながら、イベントの開催に際して重大な問題が発生してしまいました。この問題は絶対に見過ごしてはならないと考え質問いたします。
 イベントのプログラム用にこの監修者が書かれた企画意図のコメント原稿に対し、「平和憲法」の言葉を削るようにと担当者から連絡があったというのです。ご本人は唖然としながらも、入稿が迫っていると聞き、やむなく「平和憲法」を削って文章を直したそうです。しかし、イベント終了後、これは重大なことだと思い、知人や女性団体及びメディアに事実を明らかにされました。
憲法違反の検閲>
 区の名前で出す文章ならともかく、監修者の署名入りのコメントに対する削除要求であり、これは、憲法第21条2項において禁止されている検閲にあたります。言論の自由に対する重大な侵害です。削除を求めた理由はなにか。また、検閲行為についての認識を求めます。これは重大な問題であるので、必ず区長に答弁いただきたいと思います。(Q2−2)
 今回の件とは全く別件ですが、憲法にかかわるイベントで、この間私の知る限りでも2度の同じような検閲事件が起きています。杉並区はいったい言論の自由に対してどのような認識でいるのでしょうか。
<プログラムに演奏者の紹介なし>
 もうひとつは、プログラムに4人のピアニストとこの監修者の方のプロフィールが掲載されなかったことです。特に演奏者に対して大変失礼なことだったと監修者は責任を感じておられます。このことは大きな不手際であると考えますが、いかがか。当事者には謝罪をしたのでしょうか。お答えください。(Q2−3)
<イベントの予算について>
 次に、このイベントの予算について説明を求めます。当初、監修者の方は予算が10万円しかないと聞き、身銭を切ってピアニストを集めて企画を進めておられました。ところが後日確認したところ、イベントの総額は40万円余りであったと聞き、それならば、ピアニストの方々にもっと支払いができたのにと悔やんでおられます。そこで、このイベントの経費についてうかがいます。総額、また第一部、第二部別の経費、および出演者のギャラはいくらか、具体的にお示しください。(Q2−1)
<女性団体育成、支援が削除された>
 こうしたトラブルが起きることの背景には、杉並区があまりにも女性政策を軽視していること、そのため職員体制が不十分なことがあると考えます。
 先日「男女共同参画行動計画」の改定に際してのパブリックコメントが行われました。改定案を読んで「女性団体の育成、支援」の項目が削られていることに気づきました。
 女性の地位の国際比較で日本は114位と世界的にも非常に遅れています。これを解決するためには、女性たち自らが活動することそれ自体が欠かせません。当然、行政は、女性団体の育成、支援に積極的に取り組まなくてはなりません。
<女性団体は「偏った人たち」?>
 ところが以前、男女共同参画を担当していたことのある管理職の方と話していたときに驚くべき発言があったことを思い出しました。その方は女性団体のことを「かたよった人たちの集まり」と表現し、男女平等センターについても消極的でした。現在の担当者は、まさかこのような認識から女性団体の育成、支援を行動計画からはずしたということではないと思いますが、はずした理由は何か。明確に示してください。
 また、女性団体に対し、区長と担当者は「偏った人たち」などとまさか考えておられないと思いますが、いかがか。認識を聞かせてください。(Q2−4)
<前区長と同じ男女平等センターの扱い> 
 この項の最後に男女平等センターについてうかがいます。20周年を祝ってもらえないかわいそうなセンターは、いつも閑散としています。1階の「ゆう杉並」と違って、区職員もおらず、委託の受付さんがいるだけです。この人たちは案内はしてくれますが、事業を企画、運営するわけではありません。
 これが前区長の時代であればまだなるほどと思えます。前区長の思想からすれば男女平等の言葉すら聞きたくないことでしょう。実際、センターから区職員を引き上げたのも前区長の時代でした。しかし、区長が代わって以降も今日までずっとそのままというのはどういうことなのでしょうか。私はずっと不思議に思ってきました。田中区長も前区長と同じ思想なのでしょうか。違うというなら、男女平等センターの活性化を進め、そのために専任の区職員を常駐させるべきと考えますが、いかがか、うかがいます。(Q2−5)
3.高円寺小中一貫校について
 最後の項目として、高円寺小中一貫校の問題について質問します。
<住民に対し「工事妨害」>
 昨年11月高円寺小中一貫校の開校延期の告知が区ホームページに掲載され、その理由を住民の「工事妨害」とされました。また、保護者会でも同様の説明があったとのことです。これに対し、近隣住民の皆さんからは抗議文が出され、また議会でも問題となりました。その後、ホームページからはこの告知をとりさげたようですが、保護者に対しては紙で配ってしまっており、取り返しがつきません。
<暴行事件は不起訴。完全に否定された>
 この問題に関連して何点か指摘しておかなくてはなりません。ひとつは、住民の「妨害行為」とされたものの一つが司直によって明確に否定されたことです。
 工事請負業者の社員が、住民に「押し倒された」として、警察に被害届を出し、捜査が続いていた問題で、東京地検から弁護士に対し「不起訴処分とした」という通知が届き、この暴行事件は完全に否定されました。
 区は「妨害行為のために4か月も工事が遅れた」などと言ってみたものの、住民の行動で工事が行えなかったのはわずか4日であることを昨年の議会で認めています。その4日のうちの行為の1つが完全に否定されたことをどう受け止めるのでしょうか。身に覚えのない罪で、何度も警察や検察に呼ばれたご本人、ご家族は犯罪者扱いされてほんとうにつらい思いをしてきました。許しがたいでっちあげ事件、人権侵害です。不起訴処分という結果が出た今、区としての所見を伺います。(Q3−1)
<「妨害」というが現場を見ていない>
 さて、この「工事妨害」という中傷に対して、住民が区に問い合わせをした結果をお聞きしました。「工事妨害」というが、区職員はその事実を現場で確認したのかとの問いに対して「現場には行っていない」つまり確認していないということがわかりました。
 当時私も何度か現場に足を運びましたが、近隣住民の皆さんが毎回区役所に電話をして「私たちは工事業者ではなく区の担当者と話したい」「現場にきてください」と頼んでいました。住民の方が区役所まで出向いて頼んだこともありました。それでも区役所の担当者はがんとして現場に出向きませんでした。では、どうやって「工事妨害」と判断したのでしょうか。説明してください。(Q3−2)
<協議の記録もない>
 区の告知によると担当者は工事業者と協議して「工事妨害があったので工期を延伸する」ことを決めたことになっていますが、その協議の記録を住民の方が情報公開請求したところ、記録はないということでした。それは事実か、確認します。(Q3−3)区民に対し「工事妨害」などという汚名を着せておきながら、その決定過程を証明できないのは、あまりにも無責任ではないでしょうか。
 昨年11月の区議会では「ボタンのかけちがいがあった」という率直な答弁がありました。また、現在住民との話し合いの再開に向け前向きに準備が進められています。しかし、だからこそ、区側は住民に対する非礼については謙虚に反省をしてほしいと求め、質問を終わります。

わくわくレポート新年号<保育編>

保育料値上げ、民営化、待機児童問題 〜杉並の保育が大きく転換される〜
★1【待機児童問題】
 杉並区は平成29年4月1日時点の待機児童を29人と発表し「杉並の保育、危機を回避!」と大々的に宣伝しました。しかし、杉並区の「待機児童数」は区保育室や認証保育などの認可外施設に入所した人を除外しているため、待機児童の実態とは大きくかけ離れています。朝日新聞の調査では杉並区の待機児童は1,853人で全国5位でした(表)。「危機回避」どころではありません。
(表:隠れ待機児童数 朝日新聞調べ)
    隠れ待機児童 待機児童)
1位 横浜市 3257人  2人
2位 川崎市 2891人  0人
3位 港区  2510人  171人
4位 大阪市 2264人  325人
5位 杉並区 1853人  29人
★2【保育料値上げ】
 年末の区議会で可決された保育料値上げでは、生活保護世帯を除く全世帯がもれなく値上げの対象となります。具体的には、
・住民税非課税世帯:これまで負担ゼロだったが今後は有料に(23区内での前例は6区のみ)。
・年齢区分:これまで「3歳未満」「3歳」「4歳以上」の3区分だったのが「0歳」「1・2歳」「3歳以上」の区分に変わり、特に0歳、4・5歳での引き上げ率が大きい。
・引き上げ率:0歳児については2割程度、1〜3歳児については1割程度、4・5歳児については1〜3割程度の引き上げ。
★3【区立保育園の民営化】
 区立保育園の民営化方針(「今後の区立保育園の役割と民営化の方針について 保育のあり方検討部会報告」)が発表されました。区役所の内部だけで検討したもので、区民には全く公開されていません。報告書を見ても審議の経緯は全くわかりません。杉並区は意思形成過程が本当にブラックボックスです。
 松尾ゆりは、他区の状況を調べ、杉並区と違い慎重に進めていることを指摘しました。それぞれの区が理念を持って進めています(表)が、杉並区は「民営化ありき」で理念がありません。
 具体的には、
・区内を7地域に分け、各地域2園を中核園とする。障害児指定園を14園指定。これらは区立として存続。
・中核園と障害児指定園は重なる場合もあり、最悪区立園は14園(現在の3分の1)になる可能性もある。
平成36年までに6園を民営化する。現在進行中の上井草、杉並のほかに新たに中瀬、井荻保育園が指名された。
・指定管理(公設民営)の7園も民設民営に移行する。これは上記6園とは別枠(つまり平成36年までに最大13園民営化の可能性)。
・これまでは保育園の老朽建て替え時に民営化していたが、今後は園舎の新しい園も民営化する。その場合、土地建物は区有のまま賃貸する。
(表:23区の事例)
北区:区立を4園新設。
文京区:1園のみ民営化、その後は民営化しない方針に転換。
江戸川区:民営化した園は全て、区内の私立幼稚園・保育園が共同で設立した法人が運営。
世田谷区:民営化はせず区立を統廃合、跡地を民間保育園に。
<保育料とはなにか。保育とはなにか。>(保育料値上げに関する松尾ゆりの質疑より)
・保育料は「サービス購入の対価」ではない。児童福祉法では「保育にかかる経費は市町村が負担する。その一部または全部を利用者から徴収することができる」と規定。
・同じく「能力に応じて負担」とも規定され、所得に応じて負担するのが原則。
・保育は就労支援サービスではない。親の所得や就労状況によらず「保育に欠ける」子どもに健全な生活を保障するための「児童福祉」。
・23区は保育料を他地域よりもかなり安く抑えている。それは、生活費がかかる都市部において子育て世帯を応援するため。

わくわくレポート新年号(No.185)

 新年を迎え、皆様にはいかがお過ごしでしょうか。
 昨年は7月に都議会議員選挙、10月には衆議院の解散、総選挙が行われました。都議選では小池百合子知事の「都民ファースト」が圧勝しましたが、総選挙直前につくられた同じ小池さんの「希望の党」は改選議席を割り込む敗北に終わり、3匹目のどじょうはいませんでした。
 森友・加計問題隠しが目的とも言われた今回の急な解散ですが、政府がこれほど露骨な不正を行っていても選挙で負けない理由は有力な対抗勢力がないことにつきます。
 世界情勢は緊迫しています。トランプ米大統領朝鮮民主主義人民共和国北朝鮮)に対して「完全破壊」と脅し、安倍首相も「対話するときではない」と戦争を煽っています。
 選挙の公示直後に米軍ヘリが墜落炎上、その後も保育園・小学校に相次いでヘリ部品が落下しました。こうした事故の原因究明すらできない日本は独立国とは言えません。
 対米自立、自主外交を実現できる政治勢力を幅広く形成していく必要があります。
 杉並区を振り返ると、年末の区議会では保育料の値上げと区長や区議会議員等の給与引き上げが同時に提案されました。区民には負担増を押しつける一方、自分たちの給料は引き上げるなどとんでもないことです。私は両案に反対しましたが賛成多数で可決されてしまいました。
 主権在民、住民自治がこれほどないがしろにされていいわけがありません。
 今年も「変えよう!杉並区政」を合言葉に、皆様とご一緒に区政を追及して参ります。
<無理が通れば道理がひっこむ 〜問答無用の区政になり果てた〜>
平成28年度決算に対する反対意見より)
 平成28年度の杉並区政を振り返ると、子どもたちが多く利用し愛着を持っている公園をつぶして保育園をつくるという暴挙が地域に深い傷と不信感を残しました。
 公園ばかりでなく、区内各地でことごとく住民の意思をないがしろにして計画が進められ、田中区長の独断的な区政運営がきわまった年でありました。
 高円寺小中一貫校建設に80億円の予算が投入されます。施設一体型小中一貫校ではなく、まだ新しい杉四小の校舎も活用して分離型小中一貫校にすれば、高円寺中の建て替えのみ、半額以下ですんだはずです。あえて巨大で使いにくい校舎と狭い校庭の一体型にしたのはなぜか。教育よりも建設利権が優先されています。
 あんさんぶる荻窪の財産交換に至っては、全く必要性のない交換をするために新しい複合施設建設と桃二小の改築前倒しであわせて70億円もの予算が投入されます。30億円かけたあんさんぶるの建設費も無駄になります。保育園や児童館にかけるお金は少しでも削っていこうとする一方で、これら大規模工事の巨額予算がドンブリではどうしようもありません。
 杉一小の改築計画変更にともない不要となった駐車場賃借料は総額1億3千万円と高額で、期間も不自然に長い契約です(下記参照)。
 上井草保育園の民営化では「標準偏差」を用いる特異な選定方法で、2位の事業者が1位になりました。選定の公正さに疑問があります。
 持続可能な行財政とか財政規律といいますが、コツコツ節約しても利権でふっとんでしまいます。これらの理由をのべて決算認定に反対しました。
<決算委員会の質疑から>
★【地域区民センターで残業代不払い】
 ある地域区民センターで運営委託事業者が常勤者に対して残業代を払っていない問題が発生しました。この質問をした時点では未払い分の賃金がすでに支払われて解決されていましたが、事業者との契約では、不正行為があれば契約解除の条件ともなり得ます。
 杉並区では委託・指定管理事業者に対して社労士による「労働環境モニタリング」で労働法令違反がないかチェックを行っています。問題の事業者に対しては昨年実施したものの、今年度法令違反が発生していたことを区は把握できていませんでした。モニタリングの回数、頻度を増やす必要があります。
★【杉一小改築計画、駐車場に不当な支払い】
 河北病院の移転改築経過に伴い(という動きもヘンな話なのですが)杉一小改築計画が抜本的に変更されました。しかし、すでに変更前の案に従って2億円が執行されており、うち1億3千万円が代替運動場の賃貸料でした(月880万円、平成28年4月〜29年6月)。当初計画で仮設校舎の運用は30年4月からの予定でしたが、使用予定の2年も前から借りており、しかも使用実績はゼロ。完全にムダな出費となりました。
 区は駐車場管理会社に転貸し月340〜360万円の賃貸料を得ていましたが、区が借りる前から同地は駐車場であり地主さんは同額程度の賃貸料を得ていたと思われ、区が借りた際には1か月当たり500万円以上も上積みされています。
 そもそも学校建て替え時に代替運動場を借りた例はなく、現在工事中の桃二小も他の学校の校庭などを借りています。杉一小の場合だけわざわざ代替運動場を確保するのは不自然です。
 地主さんはハンコ1つで1億3千万円を受け取り濡れ手アワ。不当な利益供与と見られても仕方がありません。
★【小中学校の特別教室エアコンをつけて】
 小中学校の特別教室のエアコンのうち理科室はすべて設置済みですが、家庭科室、図工室は約半数が残っています。28・29年度で行う計画だったのですが、途中で計画が変更されました。今年度は小学校2校、中学校1校の3校だけです。
 教育委員会からは「教育の機会均等のため29年度で小学校の家庭科室、図工室、中学校の家庭科室につけたかったが、実行計画改定の中で計画外となった。小中学校PTA協議会や保護者から強いご要望をいただいており、来年度にむけては十分検討していきたい」との答弁でした。
 整備するために必要な金額は1億3千万円。前項の駐車場賃貸料と変わらない金額です。優先順位が間違っています。
★【議事録と称するのも恥ずかしい代物】
 上井草保育園民営化の事業者選定についての議事録を情報公開請求したところ1枚ピラで、議題しか書いてないようなものでした(代替運動場に1億3千万円は不当な利益供与)。
 他区、例えば港区ではちゃんと議論の経過がわかる議事録が公式ホームページ上でも公開されています。しかし、杉並区は他の分野でも議事録がまともに残っていないことが多々あります。
 公文書管理法では第4条(※)に行政文書の作成が定められており、国の機関は意思決定の過程がきちんとあとづけられるようにしなくてはならないというルールがあります。杉並区でも公文書管理条例を定める必要があると指摘しました。区の答弁は「すでに条例を施行している自治体もある。歴史的文書の保存、公文書管理館をどうするかなどさまざまな課題があり、必要性も含めて検討している」とのことでした。
※ 第4条 行政機関の職員は、第1条の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう(中略)文書を作成しなければならない。

高円寺の工事延期の理由は「妨害」ではありえない(補正予算にたいする反対意見)

 2017年12月6日本会議補正予算に反対する意見を述べました。理由は、成田西児童館、下井草児童館の廃止・再編の費用が含まれていることです。また、補正予算に関連して、高円寺小中一貫校の工事延期の理由を区が「住民の妨害行為があったから」と述べていることについて新たな情報も含めてあらためて指摘しました。
(以下、原稿です。実際の発言とは一部異なるところがあります。)
 議案第83号杉並区一般会計補正予算(第5号)について反対の立場から意見を述べます。反対の理由は、児童館の廃止と児童館事業の再編の費用が含まれていることです。成田西児童館および学童クラブについては、保健福祉委員会において廃止に対する反対意見を述べましたので詳しくは述べませんが、区内児童館をすべて廃止していくという区の計画が区の子ども政策として致命的な誤りであることについてはあらためて強調しておきます。
 保健福祉委員会では、成田西児童館では中高生の利用が少ないので「ゆう杉並」に利用を収斂するという答弁がありました。中高生の利用が少ないことは中高生のニーズにこたえきれていないということであり、区政が真剣に取り組まなくてはならない大きな課題です。もともと利用が少ないのだからなくしてもいいというのは職務怠慢であり、無責任かつ不見識な答弁としかいいようのないものです。あらためて真剣な対策を求めます。
 下井草学童クラブの移転整備は、下井草児童館の廃止にむけてのものであり、廃止には断固反対します。昨年、向井公園を一部廃止しての保育園建設に対し、地域の皆さんが公園をつぶさなくてもすむようにと提案したのが、下井草自転車集積場を他に集約することで保育園建設用地とする案でした。当時、区はこの案を一顧だにせず向井公園の廃止にこだわりました。その後、公園の代替地および学童クラブの移転用地として同集積場が示されたことに対し、提案した区民の皆さんは呆然としました。保育園と共存していこうとする住民の前向きな提案を逆手にとり、公園を廃止したばかりか、今度は隣接する児童館まで廃止し、子どもたちの居場所をさらに奪おうとする区のやりかたは、公園つぶしに反対した地域への報復とすら受け止められています。
 さらに、学童クラブの移転計画そのものにも疑問があります。公園の代替としてボールネットが先に建設されたために、学童クラブが間にネットをはさむ形で2つに分断されること、学童クラブが1か所で200名と巨大な規模になること、これまで学区の東西2か所にあった学童が1か所になってしまい、学区の東側の児童は自宅から遠くなることなどです。これらの理由により下井草学童クラブの移転には反対します。
 次に、債務負担行為の変更について述べます。高円寺小中一貫校建設工事の債務負担行為の期間が31年度まで延長されたことについては、反対はいたしませんが、その理由には大きな疑問があります。それについてはすでに一般質問でとりあげたところですが、新しい事実が判明しましたので、あわせて述べたいと思います。
 同建設工事工期延長の理由を、区が「工事妨害があった」と述べていることについて、私は一般質問で、延長の真の理由は東京都建築安全条例および建築確認(計画通知)の手続きに時間がかかったこと、さらに天候不順や地下水、オリンピックの影響による竣工検査のスケジュール延長などがあるのではないかと指摘しました。その後、文教委員会、総務財政委員会でこれらについての詳しい質疑が行われました。委員の皆さんの質疑のなかで明らかになったことは、住民の抗議行動による工事の遅れと称するものはあったとしてもほんのわずかであり、3か月とか4か月とかいうほどのものではなかったということです。担当課長は「妨害により車両が入れなかった日は4日」と答弁しており、いくら再調整に時間がかかるとはいえ、4日のことが4か月にまで拡大されているのは無理があります。また、天候による遅れが何日あったのかとの委員の質問に対してはその日数を把握すらしていないこともわかりました。それに対し、建築確認は予定よりも3か月も遅れたとの答弁があり、どう考えてもこちらが真の理由と考えるべきです。
 さらに、最近になって区民に対して開示された書類では、6月時点ですでに工事業者、設計業者と区の間で工期の検討がなされていたことがわかりました。この書類を検討してみましたところ、既成杭の発注が5月時点で3か月余り延期されていたことがわかりました。杭ができあがらなくてはそもそも工事にかかれません。他方、発注は住民が妨害しようのない行為であり、住民の行動は全く影響を及ぼしていません。もっと早く発注することもできたのに、杭の発注が5月初めまで延期された理由としては、計画通知が4月18日まで下りなかったそのことによるとしか考えられません。すなわち、計画通知の遅れが杭の製作の遅れに、そして工事全体の遅れに導いたと考えるのが妥当です。その他、歩道の切り下げの申請もやはり5月に延期されています。
 なぜこのような遅れが生じたのか。第一に考えられるのは土質調査の不十分さなど設計者の問題です。そうでないとすれば、杉並区側のスケジューリングの甘さ、そもそもの計画に無理があったことなどが考えられます。いずれにしても、責任は住民にはないということがわかりました。しかし、住民の抗議行動が行われたことをこれ幸いと「地元の神様」として利用して、区は責任を回避しています。きわめて不当、不公正な行為といわざるをえません。
 杉並区は「工事妨害による工事の遅延」という説明を即刻撤回し、区民、保護者に対して正確な説明をあらためて行うべきです。このことを強く求めておきます。以上議案に対する反対意見といたします。

区長は不動産ブローカーなのか(一般質問を行いました)

 2017年11月21日、杉並区議会本会議にて一般質問を行いました。(区議会HPから録画配信も視聴できます)
【1.保育】
・世田谷区の例と比べてみましたが、杉並区は(1)保育行政をどうしたいのかわからない(2)民営化のいいところ(財政効果)しか書いてない、ので、これからの保育行政がとても心配です。区民と議論をしようという姿勢が全く見られず隠蔽体質です。
・昨年公園の一部を転用した保育園で開園半年にしてすでに7人やめた園があります。事業者選定が問題です。なので、新設保育園の審査について「建設予定地と業者の既存園を必ず視察してほしい」と提案しました。「予定地を委員が確認できるようにする。必要と認めれば既存園も視察する」との答弁でした。期待したいです。
【2.あんさんぶる荻窪
・あんさんぶる荻窪は、「併設施設ではなく複合施設」としてつくられました。「複合施設」は利用する人たち相互が交流、影響しあい、成長しあうという意味です。でも、いま予定されている複合施設は「併設施設」にすぎないのではないかと思います。
・あんさんぶるが税務署になっても2階の児童館だけは残せないか?という質問がこの間私も含む議員から何度も出ました。「国に聞いたが、セキュリティ上無理といわれた」という答弁と、他方「国には要望してない」という答弁もあり、どっちが本当なのか聞きました。「国の施設になるのに区が注文つけられない」という婉曲な答弁でしたが、要は「国に聞いたけど」というのが虚偽答弁だったということです。区議会ですら平気でウソをつく区幹部がいることに唖然とします。
・あんさんぶるが代表例ですが、田中区長は区民の財産である公共施設で取引をしたり玉突きで改築させたりに熱中していて、まるで不動産のブローカーみたい、と指摘しました。
【3.高円寺小中一貫校】
・一貫校の開校が1年のびました。区はその理由を「工事妨害」といっています。でも質問に対して、オリンピックの影響とかその他の理由があることも認めました。なら、そのように訂正すべきと思います。
・今後、工事業者が「工事妨害だ」として住民を訴えるようなことのないよう求めました。万が一賠償請求訴訟が起こされたりしたら、区は「言論の自由」「表現の自由」を抑圧する立場で憲法裁判を闘うことになるでしょう。そんなみっともないことにならないようにしていただきたいです。
(以下原稿です。実際の発言とは一部異なります)
1.保育について
 一般質問を行います。最初に保育についてうかがいます。
 先日、さいたま市のある私立保育園を視察する機会を得ました。ゆとりのある開放的な木造園舎で活発に遊び、もりもりと食べる子どもたち。公園や野原で毎日思い切り遊んでいるとのこと、わが子の通った園も、同じような保育だったとなつかしく思いました。園庭のない保育園や、ビルの中の保育施設があたりまえになっている昨今ですが、保育本来の姿にふれて、あらためてここに立ち戻らなければと感じた次第です。
 しかし区はいま逆に区立保育園民営化の方針を大きく打ち出し、保育のさらなる劣化が心配されます。そこでまず、「保育のあり方検討部会報告」を検討します。その際、おとなり世田谷区の「今後の保育施策推進のための保育施設再整備方針」を参照したいと思います。これはやはり民営化を検討した文書ですが、杉並区とは大きな違いがあります。
 第一に保育行政全体の方向性、めざすべき保育内容が明示されていることです。「待機児童解消」「子どもの視点に立った保育の質向上」などが明確に示されています。
 第二に、民営化の検証内容です。財政の節減等を評価する一方、「保護者や子どもの不安」などが書かれており、問題点を直視しています。
 第三に、民営化について慎重な結論が出されていることです。
 杉並区の「検討部会報告」と比較したときにずいぶん立派な報告書だと思ったのですが、考えてみれば行政の仕事としてはこれがあたりまえの姿であって、杉並区の検討があまりにお粗末なのです。
 そこで「検討部会報告」について質問します。第一に、「保育のありかた」検討部会なのに、あるべき保育、めざすべき保育について一言も語られていないことです。私は、昨年の第4回定例会で「行革本部会の中でも保育所管の立場から、方向性が出されるべき」との質問をしたところ、当時の子ども家庭担当部長から「保育課も入って、また必要に応じて職員の意見も聞く。現場の思いも踏まえつつ、行財政の視点とあわせて、結論を出していく」との答弁を得ました。それではいったい、「ありかた検討部会」で保育所管部署の意見は、具体的に報告書のどの部分にどのように反映されたのか、説明してください。(Q1−1)
 次に、「民営化の検証」についてうかがいます。「検討部会報告」では財政効果など民営化のプラス面しか書かれていません。しかし、世田谷区で指摘されている問題点は杉並区も同様のはずです。それらには全く言及されていません。検証結果はいかがだったのかお聞きします。(Q1−2)
 次に、関連して「外部監査報告書」についてうかがいます。同報告書の29ページ「区立ならではの強み」という表現についてです。区はこれまで民営化してもサービスは変わらないと説明していますが、この表現は「区立でなければできない」ことがあると認めたものと思います。決算特別委員会では外部監査人の意見という答弁でしたが、区としては、監査人の意見に賛同するのか、しないのか。見解を伺います。(Q1−3)
 2点目ですが、同29ページに「弾力的な調整機能」とあります。素直に読むと保育需要がピークアウトしていく際、区立園を調整弁とし、区立から先に廃止していくと読めますが、そうなのか。見解をうかがいます。(Q1−4)
 世田谷区の検討の結論は、区立園を民営化するのではなく、老朽園の改築時に統合し、跡地に民間園を誘致する、というものです。民営移行に伴う問題を回避しながらも財政負担を減らす考えが示されています。このほかにも他区の動向は様々です。北区が区立園の増設を行っていることは、他の議員が紹介されましたが、文京区では、1園を民営化した時点で区民からの反対意見があがり、その後民営化を行わない方針に転じています。江戸川区では民営化園の運営はすべて、区内の実績ある幼稚園・保育園が共同で設立した社会福祉法人が担っています。それぞれの区が事情に合わせて財政の効率化と良質な保育の両立を模索していますが、区はこれらの方針について、承知しているでしょうか。また、それぞれに対する杉並区としての所見を求めます。(Q1−5)
 「検討部会報告」の総括として、最後にうかがいます。区が保育行政を進めていく上で果たすべき役割とは何でしょうか。とりわけ、「保育の質」について、その具体的内容は何であると考えているでしょうか。(Q1−6)
 また、杉並区で区立園の果たすべき役割は何でしょうか。区立園の役割が「中核園」「障害児指定園」だけだとすると区立は最終的に14〜15園しか残さないという考えなのでしょうか。見解を求めます。(Q1−7)
 さて、私は、区立園の民営化には反対ですが、民営化のなかで、少しでも保育の質を保つための提案をしたいと思います。ひとつは、民営化にあたっての選定基準のありかたです。先の第三回定例会では、上井草保育園の選定がきわめて不透明で公正さを欠く、作為に満ちたものだったことを追及しました。しかしその一方、選定委員会では、当初保護者4名が委員に入り、応募事業者は人件費比率7割程度、園長の経験年数7年以上、直近の離職率を明示すること、など、事業者の質を担保するための厳しい条件がついたことは高く評価できると思います。この上井草の応募条件を他園の選定でも適用していくべきと考えますがいかがか、所見をうかがいます。(Q1−8)
 次に、民間認可保育園や小規模保育等にかかわる問題です。たとえば、来年4月開園が延期となった和泉3丁目の認可保育園は、住宅密集地の100坪に満たない狭小な敷地に定員60名の保育園です。近隣の皆さんは「保育園は歓迎するけれど、この計画では子どもたちの環境が悪すぎて可愛そう」とおっしゃっています。また、昨年区有地をつかって公募した保育園の一つでは、今年4月開園以来わずか半年にして、すでに保育士7名の離職が相次いだとのことです。個人情報の紛失も起きています。今後これらの問題を未然に防ぐために提案したいのは、プロポーザル選定委員会において、事業者の既存園の保育のようす、及び建設予定地を必ず視察して評価することです。いかがか、所見をうかがいます。(Q1−9)
 さて保育の項目の最後に、保育料についてうかがいます。まず、そもそも保育料とはなにかということです。保育は児童福祉であり、おあずかりサービスではありません。したがってサービス購入の対価、という考え方は間違いです。費用負担は一義的に国と自治体の責任であり、保育料は応能負担が原則です。区の考え方と法的根拠をうかがいます。(Q1−10)
 また、今回保育料の値上げにより、区は年間総額いくらの増収になるのかをうかがいます。(Q1−11)
 保育料値上げの効果は年間数億円でしょうし、民営化での経費節減は5年間で14億円だそうですから、杉並区の一般会計の0.5%にも届くかどうかです。そのお金を惜しんで、保育環境を悪化させたり、子育て世帯に経済的な重荷を負わせてはならないと指摘します。
2.あんさんぶる荻窪の財産交換について
 2つめの項目としてあんさんぶる荻窪の財産交換についてうかがいます。先ごろ東京地裁ではいわゆる「7つのハンコ事件」裁判の法廷が開かれ、多くの区民が傍聴しました。来年にはいよいよ証人尋問が行われるとのことで、大詰めを迎えています。また先日は、区内の市民グループが、あんさんぶる荻窪のフィールドワークを企画、私も参加しましたが、外階段から屋上に上がった皆さんは「屋上がこんなにいい場所とはしらなかった」「こんないい施設、絶対になくしてはいけない」と口々に感想を述べておられました。あんさんぶる荻窪の廃止に反対する署名活動も続いており、あんさんぶるへの区民の関心はひとまわり広がっているようです。
 あらためて「あんさんぶる荻窪」がつくられた時の「複合施設をつくる会」のメンバーに当時の書類を見せていただきました。「ちび体育館」を中心として、階段は自然を感じられる屋外プレーパーク、そして屋上にはお花畑、前面は大きな吹き抜けのガラス窓など、現在のあんさんぶるに多くの意見が生かされています。また、当時区がつくった立派な「あんさんぶる荻窪」というパンフレットが区政資料室にありました。そこには名称の由来として「あんさんぶるとは少人数の合奏団を意味します。複合を構成する各事務所等を合奏団にたとえ、調和のとれた美しい建物と施設運営を期待して名付けられました。」と書かれています。
 当時の議論のなかに、「併設施設ではなく複合施設」という言葉がでてきます。同じ建物のなかにただ別の施設が存在しているのでなく、それぞれの施設を利用する人たちが交流し育ち合う場と位置づけ、条例上も「複合的利用を推進するもの」と定めました。地域の方々の夢を、行政の人たちが知恵を絞って形にしていった、そういう誇りがそこにはこめられています。
 翻っていま、天沼3丁目をはじめとして多くの複合施設が予定されていますが、区はそもそも「複合施設」の意味をどのように考えているかうかがいます。(Q2−1)
 次に、あんさんぶる荻窪の中核である児童館についてうかがいます。一昨年第二回定例会で、私は、仮に税務署になるとしても、2階の児童館だけは存続できないかと質問しました。これに対して「国からはセキュリティー上の問題などから困難であると聞いている」との答弁がありました。また、議事録をさかのぼると、平成27年の予算特別委員会で「児童館の存置については、協議の場でもお伺いしているが、なかなかそれは難しいという回答である」という答弁が見られます。ところが、荻窪の方が当時財務省に直接話を聞きに行ったところ、担当者は「児童館のことは全く聞いていない。議事録を見ても区はウソばかり言っている」と憤慨しておられたそうです。そうしたところ、昨年3月の予算特別委員会で他会派の質問に対して「国には求めていない」との答弁があり、案の定と思ったところでした。
 「国にお願いしたがセキュリティ上無理といわれた」という答弁と、他方「国に求めていない」という答弁のどちらかが虚偽答弁ということになりますが、いったいどうなのかうかがいます。(Q2−2)
 区は児童館機能を桃二小に移転し「学校という広いフィールドを使って」「校庭、体育館、図書室、音楽室などを活用して、より充実した活動ができる」旨説明を繰り返してきましたが、それでは放課後等居場所事業の実態はどうか。和泉学園の本事業において、校庭、体育館は週何回程度使えているでしょうか。また、図書室、音楽室、図工室は使えているのでしょうか。お示しください。また事業に対する評価はいかがでしょうか。所見をうかがいます。(Q2−3)
 次に、あんさんぶるの財産交換と再開発の関係です。以前にも申しましたように、荻窪の一部の地主さんからは「児童館が開発のじゃまだからどかしてくれ」と区に対し再三要望があったと聞いています。なぜなら児童館などの児童福祉施設、学校などがあると、そのまわりには、風俗営業の規制はもちろんのこと、東京都の建築安全条例でも車庫の設置についての規制があるからです。この点、制度を確認したいと思いますのでご説明ください。(Q2−4)
 また、児童館があれば児童が多数通行するところから、運用上も一方通行など車両の通行規制の緩和は難しいのではないかと思われます。実際、上荻児童館にほど近い荻窪北口の再開発計画では東急デパートを誘致する話が進んでいたが、通行規制がネックになって成立しなかったということです。あんさんぶるも、結局、補助131号線の相互通行化など再開発の邪魔ということなのか。そのためにあんさんぶるが廃止されてしまうことに地元では怒りの声が聞かれます。
 これは荻窪だけでなく阿佐ヶ谷の駅前一等地にある杉一小が普通の老朽建て替えではなく、やれ複合施設だ、土地交換だと振り回され、開発のタネ地扱いされていることも同様です。公共の用地・建物は政策目的に供されるものであるのに、区長の主導する施設再編は目的と手段が逆転しているとしか思えません。自分の所有でもない公共の土地や建物を取引の材料にしたり、右から左への玉突きで動かしたりすることにひたすら熱意を燃やす区長は、不動産のブローカーなのかと言いたくなります。
 さて、国はあんさんぶるへの移転を歓迎しているわけではなく早期に再移転する可能性が高いことは先にも指摘しましたが、荻窪駅北口の再開発ビルにデパートの代わりに税務署が再移転するのではとも、地元ではささやかれているそうです。税務署の再移転の可能性について区はどのように認識しているのか、また、仮に税務署が数年で再移転すれば、再度区が買い戻すこともできるのではないかと思いますが、その可能性はあるのかうかがいます。(Q2−5)
 この項の最後に、先の保健福祉委員会で議論になった、財産交換の手続きについてお聞きします。昨年と来年の2回議決をする問題です。委員会のあと、2段階議決の前例について区の担当者に問い合わせたところ、岐阜県飛騨市が国と土地を交換したケースを教えていただきました。このケースは飛騨市側が土地評価額の差額1700万円余を国に支払うという議決をしたのちに、金額が変更となり、「差額金の変更」を議決したものです。しかし、このケースはあんさんぶるのケースとはかなり違っています。単純な土地同士の交換であること、さらに、再度の議決は差額の変更であり、その変更は最初の議決からわずか半年後、変更額もわずか35000円ほどにすぎません。
 あんさんぶるの場合には、交換財産の両方ともが現在使用中の行政財産であり、しかも、土地と建物をあわせての交換であること。そして、実際の交換より2年以上も前に議決を行っており、現実の交換時点の価額はまだわからず、鑑定価格次第では交換が成り立たないことなど、飛騨市のケースとは全く違う異例の要素が多く、前例とするにはかなり無理があります。副区長は2回の議決に関して「他団体でも通例のやりかた」という表現をしていましたが、どうも通例というほど事例数がないようです。区は飛騨市以外のケースを把握しているでしょうか。お答えください。(Q2−6)
 来年提案される予定の財産交換ですが、あまりにも異例の要素が多すぎ、肝心の議決のありかたについてすら、いまだに混乱が続いているところからも、やはり無理筋の話としか言いようがないと申し上げておきます。
3.高円寺小中一貫校について
 最後に高円寺小中一貫校について質問します。8日、関連する3校の保護者に手紙が配られ、工事の遅れと新校の開校延期が告げられました。遅れの理由は「工事妨害」があったことと説明しています。区ホームページにも掲載されました。ここでいう「工事妨害」とは、おそらく住民の抗議活動を指しているものと思いますが、そうだとすると不当ないいがかりとしか言いようがありません。なぜなら、工事の遅れは住民の抗議行動が原因ではなく、他に原因があるからです。
 まず手続きの遅れです。工事用地である高円寺中の敷地は、東京都建築安全条例で求められる接道条件を満たしていません。そのため区は「知事が安全上支障がないと認める」という例外として認可するよう求めました。この審査が通常なら1か月ほどで終わるところ、異例の4か月を要したところからスケジュールの遅れが始まりました。さらに建築確認、この場合は計画通知、のおりるのも、通常より2か月程度遅れました。
 しかし、区と施工業者はスケジュールの見直しをしませんでした。このくらいの遅れは取り戻せるとの認識だったのでしょう。ところが、この期間は例年になく雨が多く、台風も何度も襲来しました。また、工事現場でかなり地下水が出ており、これも工事の難航の一因だったと思われます。さらに、区議会に対しては「オリンピックの工事が集中しているため完了検査が順番まちになって間に合わない」という説明もありました。これらの様々な事情を全て隠して、ありもしない「工事妨害」のみで片付けるなど、責任転嫁もはなはだしいといえます。
 建設業界の方に言わせるとこういうのを「地元の神様」というのだそうです。地元で反対があれば、自分たちのミスで工期が遅れても「地元の人が邪魔をしたから」という言いのがれができるから、神様、仏様だという意味だそうです。今回のケースはその典型です。ホームページ上、また保護者に対しての「工事妨害」との説明は訂正し、区と施工業者の責任を明らかにするよう求めます。(Q3−1)
 さらに、住民が大変危惧していることがあります。今回、区が「工事妨害」などと公言したことで、さきに東京地裁に仮処分を申し立てた工事業者がさらに調子づいて、賠償請求訴訟を起こすのではないか、ということです。しかし、仮にそのような事態に陥れば、まさに泥沼化します。
 先の仮処分申し立ては新聞、テレビにも取り上げられ「言論の自由」「表現の自由」との関係で大きな問題になりました。これが多額の金銭を要求するようなスラップ裁判となれば、公共の、学校の工事です。区は当事者性をまぬかれません。区が事業者といっしょになって、住民の言論に圧迫を加えるケースとして、全国の注目のなかで憲法裁判として進行していくことになるでしょう。区としては全国区で大変みっともないことになります。区はこれ以上、地元で紛争が起こらないよう、事業者と住民に対して配慮していくべきと考えますが、いかがか、所見を求めます。(Q3−2)
 最後に、さきほども触れた建築安全条例に関して述べます。安全条例上の認可については住民が異議申し立てを行い、この手続きはまだ続いています。住民の皆さんは、この学校の建築の危険性を指摘しています。
 まず完成後の建物について、巨大な建物におおぜいの児童生徒がおり、避難に手間がかかることです。例えば発災時に、6階のプールで小学校低学年が授業を行っている場合だってありえるのです。また、消防活動の点からも不安があります。この学校は環七通りの接道が8.7mしかなく、胴の長いはしご車が来ても簡単には入場できません。模型で確認してみると、片側車線の通行をすべて止めて誘導し、90度以上の角度で大きく回り込まないと入場できません。消防が迅速に活動できるか不安です。ほかにもたくさんの問題がありますが、特に工事中の3年間は校庭が使えず、校庭への避難が全く不可能です。今回、スケジュールが延期になりましたが、少なくとも中学生はその3年間ずっと工事現場の隣にいるわけです。
 これらの問題点について、住民の方々は杉並消防署、および高円寺中学管理職に対応をききにいったそうです。すると消防署は、はしご車の件では答えることができずに口をつぐんだとのこと。また、学校の先生たちは、「苦渋の選択で、教室内で点呼を行い、校舎前の狭く危険な空間に避難する訓練をしている」また「そこが危険になり第二避難所に向かうとしても、木密地域という特性からかえって危険である」と懸念をのべておられたそうです。これらの消防の問題、子どもの避難の問題について、区はどのように認識しているでしょうか。また、特に避難に関しては解決を求めたいと思いますが、いかがか、所見を求めます。(Q3−3)
 今更ですが、子どもの数が少なくて統合するというのですから、和泉学園で行ったように、工事中はいったん小学校の校舎に中学生を移すという方法はとれないのでしょうか。安全面を考えれば、いまからでも検討していただきたいと思います。これは意見として申し上げます。
 今回も区政の問題点について様々に指摘せざるを得ませんでした。区政はますます住民との対立を深めているように思えます。しかし、私たち杉並区の歴史をたどれば、あんさんぶる荻窪のように、住民と行政が協力していい街をつくるための作業ができていたのはつい十数年前であり、そう遠い昔ではありません。私たち区民、そして心ある区職員の皆さんはその力をもっています。
 住民自治にもとづく区政転換への希望を皆さんと共有したいと心より願うものです。

代替運動場に1億3千万円は不当な利益供与(決算特別委員会の質疑まとめ)

 2017年9月29日から10月12日まで開催された杉並区議会決算特別委員会で行った質疑のまとめです。質問のテーマは以下のとおりです。★印はさらに下に要旨を掲載しました。一人会派の私は各回5〜6分の持ち時間(発言時間のみ)でこれらの項目をこなすので大変です。なお、杉並区議会ホームページより録画配信がありますので、あわせてご参照ください(こちらが動画リストです)。
1回目(10月2日)
●待機児童対策(公園をつぶさなければ500人の待機児童が出ていた、と区が言っている数字のトリック)
●持続可能な行財政運営(大規模工事のムダづかいを見直すべき)
2回目(10月3日)
★●地域区民センター(運営委託業者の労働法令違反発生)
●プロポーザル選定(上井草保育園民営化の事業者選定に疑問があること)
★●議事録(プロポーザル選定委員会の議事が全く記録されていない問題。公文書管理条例制定を求める)
3回目(10月5日)
★●保育料値上げ(0歳児を中心にすべての利用者1〜3割値上げに反対)
★●区立保育園の民営化(平成36年までに6〜13園を民営化する計画に反対)
4回目(10月10日)
★●杉一小改築計画(全く使わない代替運動場に1億3千万円払った件)
★●学校エアコン(同じ金額の1億3千万円をけちった話)
●阿佐ヶ谷のまちづくり
★【地域区民センター】
 ある地域区民センターで運営委託事業者が常勤者に対して残業代を払っていない問題が発生しました。この質問をした時点では未払い分の賃金がすでに支払われて解決されていましたが、事業者との契約では、不正行為があれば契約解除の条件ともなります。区としては改善されたので処分は考えていないとの答弁でした。
 杉並区では委託・指定管理事業者に対して社労士による「労働環境モニタリング」で労働法令違反がないかのチェックを行っています。問題の事業者に対しては昨年実施したものの、今年度法令違反が発生していたことを区は把握できていませんでした。モニタリングの回数、頻度を増やす必要があります。
★【議事録】
 上井草保育園民営化の事業者選定におけるプロポーザルでは異例の「標準偏差」の手法が用いられました(この件の詳細はこちら)。この選定についての議事録を情報公開請求したところ1枚ピラで、議題しか書いてないようなものでした(画像参照)。
 これに対し例えば港区ではちゃんと議論の経過がわかる議事録になっていますが、杉並区は他の分野でも議事録がまともに残っていないことが多々あります。
 公文書管理法では34条に地方公共団体の責務、4条に行政文書の作成が定められており(※)、国の機関は意思決定の過程がきちんとあとづけられるようにしなくてはならないというルールがあります。区もこうした条例、公文書管理条例を定める必要があります。区の答弁は「34条は公文書管理条例の努力規定ではあるが、条例を施行している自治体もある。歴史的文書の保存、公文書管理館をどうするかなどさまざまな課題がある。必要性も含めて検討している」とのことでした。
※公文書管理法 第34条 地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その保有する文書の適正な管理に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない。
第4条 行政機関の職員は、第1条の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならない。
★【保育料値上げ】
 保育料は上がるし、民営化はするし、保育園の利用者はふんだりけったりです。広報すぎなみの10月1日号は保育園の特集でしたが、民営化、保育料については、一番小さい字で見つからないように書いてあります。具体的には
・引き上げ率:0歳児については2割程度、1〜3歳児については1割程度、4・5歳児については1〜3割程度の見直しとなる。
・住民税非課税世帯:これまで負担0だったが今後負担を求めていく方針。23区内での前例は6区にすぎない。
★【区立保育園の民営化】
 区立保育園の民営化方針(「今後の区立保育園の役割と民営化の方針について 保育のあり方検討部会報告」)が発表されましたが、これも報告書を見ても審議の経緯が全くわかりません。杉並区は意思形成過程が本当にブラックボックスです。以下報告書の内容にもとづき質疑で確認しました。
・7地域ごとの2園は区立保育園として存続する(計14園=現在の区立園の約1/3のみ)
平成36年までに6園を民営化する。具体的には、上井草、杉並のほかに新たに中瀬、井荻保育園が指名された。
・これまでは保育園の老朽建て替え時に民営化していたが、今後は園舎の新しい園も民営化する。その場合、土地建物は区有のまま賃貸する。
・指定管理の7園もさらに民営化する。これは上記6園とは別枠(つまり36年までに最大13園を民営化)。
 ちなみに、公立と私立では人件費(賃金)が全く違うといわれますが、杉並区は公設民営園の人件費すらつかんでいません。今回報告書に経費の概略が出たので推計してみました。
 区立保育園運営費のうち人件費は82億3200万円(平成28年度)。事務職の人件費を除いて約80億円余り。一方、私立保育園は補助金総額が53億円と書かれています。私立の場合人件費が7割を切るのが普通と言われるので、30数億円と推定。園児数を勘案(区立:私立=5:4)して、人件費(賃金)が約2倍と推計できました。保育の質と保育士の待遇改善のためにも公立園(公務員保育士)の存続・拡大は必要です。
★【杉一小改築計画】
 河北病院の移転改築経過に伴い(という動きもヘンな話なのですが)杉一小改築計画が抜本的に変更されました。しかし、すでに変更前の案に従って2億円が執行されていました。うち1億3千万円が代替運動場の賃貸料でした(月880万円、平成28年度1億500万円、29年度(3か月)2600万円)。当初計画で仮設校舎の運用は30年4月からの予定でしたが、使用予定の2年も前から借りており、しかも使用された実績はゼロで完全にムダな出費となりました。
 区は駐車場管理会社に転貸し月340〜360万円の賃貸料を得ていましたが、区が借りる前から同地は駐車場であり地主さんは同額程度の賃貸料を得ていたと思われます。それなのに、区が借りた際には1か月当たり550万円も上積みされています。
 そもそも学校建て替え時に代替運動場を借りた例はなく、現在工事中の桃二小も他の学校の校庭などを借りています。杉一小の場合だけわざわざ代替運動場を確保するのは不自然です。
 さらに、仮設校舎予定地のけやき公園からは馬橋小学校・馬橋公園グラウンドが至近であり、借りていた民間駐車場と距離は変わりません。ますます必要がなかったと考えられ、不当な利益供与と見られても仕方がありません。
★【学校エアコン】
 28年度の小中学校特別教室エアコン設置は小学校14校、中学校9校、金額は1億3700万円余。理科室はすべて設置済みですが、家庭科室、図工室は約半数。中学校の美術室はまだ相当数が残っています。そこで今年度残りを行う計画だったのですが、途中で変更が生じました。今年度は小学校2校、中学校1校のみ、金額では2800万円のみ実施でした。
 教育委員会からは「教育の機会均等のため29年度で小学校の家庭科室、図工室、中学校の家庭科室をつけたかったが、実行計画改定の中で計画外となった経過がある。今年度小中学校PTA協議会や保護者から強いご要望をいただいているので、来年度にむけては十分検討していきたい」との答弁でした。
 この質問をしたのは、学校の図工の先生から、今年エアコンがつくと思っていたのにつかず、非常に困ったという話を聞いたことがきっかけでした。図工室が暑くて授業ができず、毎時間重たい教材をかかえて冷房の入っている普通教室に移動しており非常に大変とのことでした。
 前項の駐車場賃貸と変わらない金額です。優先順位が間違っています。