わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

区長は不動産ブローカーなのか(一般質問を行いました)

 2017年11月21日、杉並区議会本会議にて一般質問を行いました。(区議会HPから録画配信も視聴できます)
【1.保育】
・世田谷区の例と比べてみましたが、杉並区は(1)保育行政をどうしたいのかわからない(2)民営化のいいところ(財政効果)しか書いてない、ので、これからの保育行政がとても心配です。区民と議論をしようという姿勢が全く見られず隠蔽体質です。
・昨年公園の一部を転用した保育園で開園半年にしてすでに7人やめた園があります。事業者選定が問題です。なので、新設保育園の審査について「建設予定地と業者の既存園を必ず視察してほしい」と提案しました。「予定地を委員が確認できるようにする。必要と認めれば既存園も視察する」との答弁でした。期待したいです。
【2.あんさんぶる荻窪
・あんさんぶる荻窪は、「併設施設ではなく複合施設」としてつくられました。「複合施設」は利用する人たち相互が交流、影響しあい、成長しあうという意味です。でも、いま予定されている複合施設は「併設施設」にすぎないのではないかと思います。
・あんさんぶるが税務署になっても2階の児童館だけは残せないか?という質問がこの間私も含む議員から何度も出ました。「国に聞いたが、セキュリティ上無理といわれた」という答弁と、他方「国には要望してない」という答弁もあり、どっちが本当なのか聞きました。「国の施設になるのに区が注文つけられない」という婉曲な答弁でしたが、要は「国に聞いたけど」というのが虚偽答弁だったということです。区議会ですら平気でウソをつく区幹部がいることに唖然とします。
・あんさんぶるが代表例ですが、田中区長は区民の財産である公共施設で取引をしたり玉突きで改築させたりに熱中していて、まるで不動産のブローカーみたい、と指摘しました。
【3.高円寺小中一貫校】
・一貫校の開校が1年のびました。区はその理由を「工事妨害」といっています。でも質問に対して、オリンピックの影響とかその他の理由があることも認めました。なら、そのように訂正すべきと思います。
・今後、工事業者が「工事妨害だ」として住民を訴えるようなことのないよう求めました。万が一賠償請求訴訟が起こされたりしたら、区は「言論の自由」「表現の自由」を抑圧する立場で憲法裁判を闘うことになるでしょう。そんなみっともないことにならないようにしていただきたいです。
(以下原稿です。実際の発言とは一部異なります)
1.保育について
 一般質問を行います。最初に保育についてうかがいます。
 先日、さいたま市のある私立保育園を視察する機会を得ました。ゆとりのある開放的な木造園舎で活発に遊び、もりもりと食べる子どもたち。公園や野原で毎日思い切り遊んでいるとのこと、わが子の通った園も、同じような保育だったとなつかしく思いました。園庭のない保育園や、ビルの中の保育施設があたりまえになっている昨今ですが、保育本来の姿にふれて、あらためてここに立ち戻らなければと感じた次第です。
 しかし区はいま逆に区立保育園民営化の方針を大きく打ち出し、保育のさらなる劣化が心配されます。そこでまず、「保育のあり方検討部会報告」を検討します。その際、おとなり世田谷区の「今後の保育施策推進のための保育施設再整備方針」を参照したいと思います。これはやはり民営化を検討した文書ですが、杉並区とは大きな違いがあります。
 第一に保育行政全体の方向性、めざすべき保育内容が明示されていることです。「待機児童解消」「子どもの視点に立った保育の質向上」などが明確に示されています。
 第二に、民営化の検証内容です。財政の節減等を評価する一方、「保護者や子どもの不安」などが書かれており、問題点を直視しています。
 第三に、民営化について慎重な結論が出されていることです。
 杉並区の「検討部会報告」と比較したときにずいぶん立派な報告書だと思ったのですが、考えてみれば行政の仕事としてはこれがあたりまえの姿であって、杉並区の検討があまりにお粗末なのです。
 そこで「検討部会報告」について質問します。第一に、「保育のありかた」検討部会なのに、あるべき保育、めざすべき保育について一言も語られていないことです。私は、昨年の第4回定例会で「行革本部会の中でも保育所管の立場から、方向性が出されるべき」との質問をしたところ、当時の子ども家庭担当部長から「保育課も入って、また必要に応じて職員の意見も聞く。現場の思いも踏まえつつ、行財政の視点とあわせて、結論を出していく」との答弁を得ました。それではいったい、「ありかた検討部会」で保育所管部署の意見は、具体的に報告書のどの部分にどのように反映されたのか、説明してください。(Q1−1)
 次に、「民営化の検証」についてうかがいます。「検討部会報告」では財政効果など民営化のプラス面しか書かれていません。しかし、世田谷区で指摘されている問題点は杉並区も同様のはずです。それらには全く言及されていません。検証結果はいかがだったのかお聞きします。(Q1−2)
 次に、関連して「外部監査報告書」についてうかがいます。同報告書の29ページ「区立ならではの強み」という表現についてです。区はこれまで民営化してもサービスは変わらないと説明していますが、この表現は「区立でなければできない」ことがあると認めたものと思います。決算特別委員会では外部監査人の意見という答弁でしたが、区としては、監査人の意見に賛同するのか、しないのか。見解を伺います。(Q1−3)
 2点目ですが、同29ページに「弾力的な調整機能」とあります。素直に読むと保育需要がピークアウトしていく際、区立園を調整弁とし、区立から先に廃止していくと読めますが、そうなのか。見解をうかがいます。(Q1−4)
 世田谷区の検討の結論は、区立園を民営化するのではなく、老朽園の改築時に統合し、跡地に民間園を誘致する、というものです。民営移行に伴う問題を回避しながらも財政負担を減らす考えが示されています。このほかにも他区の動向は様々です。北区が区立園の増設を行っていることは、他の議員が紹介されましたが、文京区では、1園を民営化した時点で区民からの反対意見があがり、その後民営化を行わない方針に転じています。江戸川区では民営化園の運営はすべて、区内の実績ある幼稚園・保育園が共同で設立した社会福祉法人が担っています。それぞれの区が事情に合わせて財政の効率化と良質な保育の両立を模索していますが、区はこれらの方針について、承知しているでしょうか。また、それぞれに対する杉並区としての所見を求めます。(Q1−5)
 「検討部会報告」の総括として、最後にうかがいます。区が保育行政を進めていく上で果たすべき役割とは何でしょうか。とりわけ、「保育の質」について、その具体的内容は何であると考えているでしょうか。(Q1−6)
 また、杉並区で区立園の果たすべき役割は何でしょうか。区立園の役割が「中核園」「障害児指定園」だけだとすると区立は最終的に14〜15園しか残さないという考えなのでしょうか。見解を求めます。(Q1−7)
 さて、私は、区立園の民営化には反対ですが、民営化のなかで、少しでも保育の質を保つための提案をしたいと思います。ひとつは、民営化にあたっての選定基準のありかたです。先の第三回定例会では、上井草保育園の選定がきわめて不透明で公正さを欠く、作為に満ちたものだったことを追及しました。しかしその一方、選定委員会では、当初保護者4名が委員に入り、応募事業者は人件費比率7割程度、園長の経験年数7年以上、直近の離職率を明示すること、など、事業者の質を担保するための厳しい条件がついたことは高く評価できると思います。この上井草の応募条件を他園の選定でも適用していくべきと考えますがいかがか、所見をうかがいます。(Q1−8)
 次に、民間認可保育園や小規模保育等にかかわる問題です。たとえば、来年4月開園が延期となった和泉3丁目の認可保育園は、住宅密集地の100坪に満たない狭小な敷地に定員60名の保育園です。近隣の皆さんは「保育園は歓迎するけれど、この計画では子どもたちの環境が悪すぎて可愛そう」とおっしゃっています。また、昨年区有地をつかって公募した保育園の一つでは、今年4月開園以来わずか半年にして、すでに保育士7名の離職が相次いだとのことです。個人情報の紛失も起きています。今後これらの問題を未然に防ぐために提案したいのは、プロポーザル選定委員会において、事業者の既存園の保育のようす、及び建設予定地を必ず視察して評価することです。いかがか、所見をうかがいます。(Q1−9)
 さて保育の項目の最後に、保育料についてうかがいます。まず、そもそも保育料とはなにかということです。保育は児童福祉であり、おあずかりサービスではありません。したがってサービス購入の対価、という考え方は間違いです。費用負担は一義的に国と自治体の責任であり、保育料は応能負担が原則です。区の考え方と法的根拠をうかがいます。(Q1−10)
 また、今回保育料の値上げにより、区は年間総額いくらの増収になるのかをうかがいます。(Q1−11)
 保育料値上げの効果は年間数億円でしょうし、民営化での経費節減は5年間で14億円だそうですから、杉並区の一般会計の0.5%にも届くかどうかです。そのお金を惜しんで、保育環境を悪化させたり、子育て世帯に経済的な重荷を負わせてはならないと指摘します。
2.あんさんぶる荻窪の財産交換について
 2つめの項目としてあんさんぶる荻窪の財産交換についてうかがいます。先ごろ東京地裁ではいわゆる「7つのハンコ事件」裁判の法廷が開かれ、多くの区民が傍聴しました。来年にはいよいよ証人尋問が行われるとのことで、大詰めを迎えています。また先日は、区内の市民グループが、あんさんぶる荻窪のフィールドワークを企画、私も参加しましたが、外階段から屋上に上がった皆さんは「屋上がこんなにいい場所とはしらなかった」「こんないい施設、絶対になくしてはいけない」と口々に感想を述べておられました。あんさんぶる荻窪の廃止に反対する署名活動も続いており、あんさんぶるへの区民の関心はひとまわり広がっているようです。
 あらためて「あんさんぶる荻窪」がつくられた時の「複合施設をつくる会」のメンバーに当時の書類を見せていただきました。「ちび体育館」を中心として、階段は自然を感じられる屋外プレーパーク、そして屋上にはお花畑、前面は大きな吹き抜けのガラス窓など、現在のあんさんぶるに多くの意見が生かされています。また、当時区がつくった立派な「あんさんぶる荻窪」というパンフレットが区政資料室にありました。そこには名称の由来として「あんさんぶるとは少人数の合奏団を意味します。複合を構成する各事務所等を合奏団にたとえ、調和のとれた美しい建物と施設運営を期待して名付けられました。」と書かれています。
 当時の議論のなかに、「併設施設ではなく複合施設」という言葉がでてきます。同じ建物のなかにただ別の施設が存在しているのでなく、それぞれの施設を利用する人たちが交流し育ち合う場と位置づけ、条例上も「複合的利用を推進するもの」と定めました。地域の方々の夢を、行政の人たちが知恵を絞って形にしていった、そういう誇りがそこにはこめられています。
 翻っていま、天沼3丁目をはじめとして多くの複合施設が予定されていますが、区はそもそも「複合施設」の意味をどのように考えているかうかがいます。(Q2−1)
 次に、あんさんぶる荻窪の中核である児童館についてうかがいます。一昨年第二回定例会で、私は、仮に税務署になるとしても、2階の児童館だけは存続できないかと質問しました。これに対して「国からはセキュリティー上の問題などから困難であると聞いている」との答弁がありました。また、議事録をさかのぼると、平成27年の予算特別委員会で「児童館の存置については、協議の場でもお伺いしているが、なかなかそれは難しいという回答である」という答弁が見られます。ところが、荻窪の方が当時財務省に直接話を聞きに行ったところ、担当者は「児童館のことは全く聞いていない。議事録を見ても区はウソばかり言っている」と憤慨しておられたそうです。そうしたところ、昨年3月の予算特別委員会で他会派の質問に対して「国には求めていない」との答弁があり、案の定と思ったところでした。
 「国にお願いしたがセキュリティ上無理といわれた」という答弁と、他方「国に求めていない」という答弁のどちらかが虚偽答弁ということになりますが、いったいどうなのかうかがいます。(Q2−2)
 区は児童館機能を桃二小に移転し「学校という広いフィールドを使って」「校庭、体育館、図書室、音楽室などを活用して、より充実した活動ができる」旨説明を繰り返してきましたが、それでは放課後等居場所事業の実態はどうか。和泉学園の本事業において、校庭、体育館は週何回程度使えているでしょうか。また、図書室、音楽室、図工室は使えているのでしょうか。お示しください。また事業に対する評価はいかがでしょうか。所見をうかがいます。(Q2−3)
 次に、あんさんぶるの財産交換と再開発の関係です。以前にも申しましたように、荻窪の一部の地主さんからは「児童館が開発のじゃまだからどかしてくれ」と区に対し再三要望があったと聞いています。なぜなら児童館などの児童福祉施設、学校などがあると、そのまわりには、風俗営業の規制はもちろんのこと、東京都の建築安全条例でも車庫の設置についての規制があるからです。この点、制度を確認したいと思いますのでご説明ください。(Q2−4)
 また、児童館があれば児童が多数通行するところから、運用上も一方通行など車両の通行規制の緩和は難しいのではないかと思われます。実際、上荻児童館にほど近い荻窪北口の再開発計画では東急デパートを誘致する話が進んでいたが、通行規制がネックになって成立しなかったということです。あんさんぶるも、結局、補助131号線の相互通行化など再開発の邪魔ということなのか。そのためにあんさんぶるが廃止されてしまうことに地元では怒りの声が聞かれます。
 これは荻窪だけでなく阿佐ヶ谷の駅前一等地にある杉一小が普通の老朽建て替えではなく、やれ複合施設だ、土地交換だと振り回され、開発のタネ地扱いされていることも同様です。公共の用地・建物は政策目的に供されるものであるのに、区長の主導する施設再編は目的と手段が逆転しているとしか思えません。自分の所有でもない公共の土地や建物を取引の材料にしたり、右から左への玉突きで動かしたりすることにひたすら熱意を燃やす区長は、不動産のブローカーなのかと言いたくなります。
 さて、国はあんさんぶるへの移転を歓迎しているわけではなく早期に再移転する可能性が高いことは先にも指摘しましたが、荻窪駅北口の再開発ビルにデパートの代わりに税務署が再移転するのではとも、地元ではささやかれているそうです。税務署の再移転の可能性について区はどのように認識しているのか、また、仮に税務署が数年で再移転すれば、再度区が買い戻すこともできるのではないかと思いますが、その可能性はあるのかうかがいます。(Q2−5)
 この項の最後に、先の保健福祉委員会で議論になった、財産交換の手続きについてお聞きします。昨年と来年の2回議決をする問題です。委員会のあと、2段階議決の前例について区の担当者に問い合わせたところ、岐阜県飛騨市が国と土地を交換したケースを教えていただきました。このケースは飛騨市側が土地評価額の差額1700万円余を国に支払うという議決をしたのちに、金額が変更となり、「差額金の変更」を議決したものです。しかし、このケースはあんさんぶるのケースとはかなり違っています。単純な土地同士の交換であること、さらに、再度の議決は差額の変更であり、その変更は最初の議決からわずか半年後、変更額もわずか35000円ほどにすぎません。
 あんさんぶるの場合には、交換財産の両方ともが現在使用中の行政財産であり、しかも、土地と建物をあわせての交換であること。そして、実際の交換より2年以上も前に議決を行っており、現実の交換時点の価額はまだわからず、鑑定価格次第では交換が成り立たないことなど、飛騨市のケースとは全く違う異例の要素が多く、前例とするにはかなり無理があります。副区長は2回の議決に関して「他団体でも通例のやりかた」という表現をしていましたが、どうも通例というほど事例数がないようです。区は飛騨市以外のケースを把握しているでしょうか。お答えください。(Q2−6)
 来年提案される予定の財産交換ですが、あまりにも異例の要素が多すぎ、肝心の議決のありかたについてすら、いまだに混乱が続いているところからも、やはり無理筋の話としか言いようがないと申し上げておきます。
3.高円寺小中一貫校について
 最後に高円寺小中一貫校について質問します。8日、関連する3校の保護者に手紙が配られ、工事の遅れと新校の開校延期が告げられました。遅れの理由は「工事妨害」があったことと説明しています。区ホームページにも掲載されました。ここでいう「工事妨害」とは、おそらく住民の抗議活動を指しているものと思いますが、そうだとすると不当ないいがかりとしか言いようがありません。なぜなら、工事の遅れは住民の抗議行動が原因ではなく、他に原因があるからです。
 まず手続きの遅れです。工事用地である高円寺中の敷地は、東京都建築安全条例で求められる接道条件を満たしていません。そのため区は「知事が安全上支障がないと認める」という例外として認可するよう求めました。この審査が通常なら1か月ほどで終わるところ、異例の4か月を要したところからスケジュールの遅れが始まりました。さらに建築確認、この場合は計画通知、のおりるのも、通常より2か月程度遅れました。
 しかし、区と施工業者はスケジュールの見直しをしませんでした。このくらいの遅れは取り戻せるとの認識だったのでしょう。ところが、この期間は例年になく雨が多く、台風も何度も襲来しました。また、工事現場でかなり地下水が出ており、これも工事の難航の一因だったと思われます。さらに、区議会に対しては「オリンピックの工事が集中しているため完了検査が順番まちになって間に合わない」という説明もありました。これらの様々な事情を全て隠して、ありもしない「工事妨害」のみで片付けるなど、責任転嫁もはなはだしいといえます。
 建設業界の方に言わせるとこういうのを「地元の神様」というのだそうです。地元で反対があれば、自分たちのミスで工期が遅れても「地元の人が邪魔をしたから」という言いのがれができるから、神様、仏様だという意味だそうです。今回のケースはその典型です。ホームページ上、また保護者に対しての「工事妨害」との説明は訂正し、区と施工業者の責任を明らかにするよう求めます。(Q3−1)
 さらに、住民が大変危惧していることがあります。今回、区が「工事妨害」などと公言したことで、さきに東京地裁に仮処分を申し立てた工事業者がさらに調子づいて、賠償請求訴訟を起こすのではないか、ということです。しかし、仮にそのような事態に陥れば、まさに泥沼化します。
 先の仮処分申し立ては新聞、テレビにも取り上げられ「言論の自由」「表現の自由」との関係で大きな問題になりました。これが多額の金銭を要求するようなスラップ裁判となれば、公共の、学校の工事です。区は当事者性をまぬかれません。区が事業者といっしょになって、住民の言論に圧迫を加えるケースとして、全国の注目のなかで憲法裁判として進行していくことになるでしょう。区としては全国区で大変みっともないことになります。区はこれ以上、地元で紛争が起こらないよう、事業者と住民に対して配慮していくべきと考えますが、いかがか、所見を求めます。(Q3−2)
 最後に、さきほども触れた建築安全条例に関して述べます。安全条例上の認可については住民が異議申し立てを行い、この手続きはまだ続いています。住民の皆さんは、この学校の建築の危険性を指摘しています。
 まず完成後の建物について、巨大な建物におおぜいの児童生徒がおり、避難に手間がかかることです。例えば発災時に、6階のプールで小学校低学年が授業を行っている場合だってありえるのです。また、消防活動の点からも不安があります。この学校は環七通りの接道が8.7mしかなく、胴の長いはしご車が来ても簡単には入場できません。模型で確認してみると、片側車線の通行をすべて止めて誘導し、90度以上の角度で大きく回り込まないと入場できません。消防が迅速に活動できるか不安です。ほかにもたくさんの問題がありますが、特に工事中の3年間は校庭が使えず、校庭への避難が全く不可能です。今回、スケジュールが延期になりましたが、少なくとも中学生はその3年間ずっと工事現場の隣にいるわけです。
 これらの問題点について、住民の方々は杉並消防署、および高円寺中学管理職に対応をききにいったそうです。すると消防署は、はしご車の件では答えることができずに口をつぐんだとのこと。また、学校の先生たちは、「苦渋の選択で、教室内で点呼を行い、校舎前の狭く危険な空間に避難する訓練をしている」また「そこが危険になり第二避難所に向かうとしても、木密地域という特性からかえって危険である」と懸念をのべておられたそうです。これらの消防の問題、子どもの避難の問題について、区はどのように認識しているでしょうか。また、特に避難に関しては解決を求めたいと思いますが、いかがか、所見を求めます。(Q3−3)
 今更ですが、子どもの数が少なくて統合するというのですから、和泉学園で行ったように、工事中はいったん小学校の校舎に中学生を移すという方法はとれないのでしょうか。安全面を考えれば、いまからでも検討していただきたいと思います。これは意見として申し上げます。
 今回も区政の問題点について様々に指摘せざるを得ませんでした。区政はますます住民との対立を深めているように思えます。しかし、私たち杉並区の歴史をたどれば、あんさんぶる荻窪のように、住民と行政が協力していい街をつくるための作業ができていたのはつい十数年前であり、そう遠い昔ではありません。私たち区民、そして心ある区職員の皆さんはその力をもっています。
 住民自治にもとづく区政転換への希望を皆さんと共有したいと心より願うものです。