わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

一般質問〜ごみをゼロにする? 家庭ごみ有料化について〜

2.清掃行政について
 次に清掃行政についてうかがいます。先日、区の清掃事務所から、地震で被害を受けた柏崎市の支援に職員さんが派遣されたとうかがいました。清掃事務所は以前にも、災害支援の実績がおありだと思います。東京の清掃行政の中で培われたノウハウが被災地で生かされることは、大変すばらしい貢献だということをまず申し上げておきたいと思います。
 さて、1点目に「一般廃棄物処理基本計画」改定についてうかがいます。今回の改定にあたり、環境清掃審議会より出された提言では杉並区の目標は「ごみを限りなくゼロにする社会」とされています。この目標が果たして清掃行政の目標として適切なものなのかという疑問があります。「ごみを限りなくゼロに」というあまり現実的でない目標があえて持ち出されたことには、奇異な感じを否めません。「ごみをゼロにする」という永遠の目標がかかげられ、区民は終わりのない努力を求められます。そのことが、あとに述べます家庭ゴミの有料化という方法論と安直に結びつくことによって、区民に過重な負担を強いることになるのではないかと危惧します。
 「ごみの減量」といったときに、大きく3つ、?物を大切にしムダを減らすこと、?環境に負荷を与えないこと、?ごみ処理にかかる経費を削減すること、の意味があると思います。1つめの「物を大切にすること」は、モラルの問題であり、個人の価値観や経済的な判断です。これは行政がとやかくいうことではありません。3番目の「経費の節約」は主に行政改革の視点、行政の効率化の視点からするものであり、清掃行政に限らないあらゆる分野に関係する課題です。2番目の「環境に負荷を与えない」ことは、廃棄物から毒物を発生させないという技術の問題、あるいは法的規制という意味で政治的な問題であり、個々人の責任では解決がつかない問題です。このように分けて考えたとき、個人の努力の及びにくい2番目の問題、すなわち、いかに環境を破壊せずに廃棄物を処理するかという問題こそ、実は行政の役割として非常に重要だと私は思いますが、区の見解はいかがでしょうか。基本計画改定にあたっては、ごみの減量ばかりを強調するのでなく、むしろ、ごみを安全に処理することとか、公害を出さないことを主眼にすべきと考えますがいかがでしょうか。
 次に家庭ごみの有料化についての質問にうつります。区の「ごみ・リサイクルに関する区民アンケート」でも6割近くの方が有料化に反対であったことは、昨日も他会派からの指摘があったところです。一方、審議会の提言には「減量努力と負担の間に相関関係がなく不公平感がある」と書かれていますが、このアンケートの中には、そういう声はひとこともありません。私自身もそういう環境意識の低い声はきいたことがありません。首をかしげます。歓迎する声に比べ、区民の反対の声は強いと言えると思いますが、それでも区は家庭ごみの有料化に踏み切るおつもりなのでしょうか。
 今日の私たちの社会は、大量のごみを出さなくては生活が成り立たない状態に置かれています。それは消費者の責任というよりは、主に生産者の責任、企業の責任であるということに反対される方はないと思います。ごみの減量努力は重要なことではありますが、消費者の減量努力には限界があります。ごみがたくさん出ることはいいことではありません。しかし、昨日も指摘されていましたが、赤ちゃんや介護の方のオムツのように、やむなくそういう生活を強いられているという方も、実は多いのではないでしょうか。それなのに、ごみを出す量が減ると処理手数料が減額されるというように、減量努力と手数料を連動させると、ごみをたくさん出す人はモラルが低く、手数料はそれに対する「迷惑料」とか「ペナルティ」であるかのように受け取られるおそれがあるのではないでしょうか。見解を伺います。
審議会を傍聴しましたが、ごみ減量に対し、さきほど申し上げた3点のうち、1つめの物を大切にする、2つめの環境対策という議論がされておりながら、方法論になると、3つめの「行政の効率化」に直結する有料化に、すっと行ってしまうところに、議論のずれ、もっといえば、意図的なすり替えを感じます。有料化は環境問題とイコールではありません。区は、有料化の目的は、経費削減、区民への負担の転嫁であるという論点を明確にした上で区民、区議会の意見を求めるべきであると考えますがいかがでしょうか。なぜ区民が手数料を負担しなくてはならないのかという財政的な根拠、数字を明示して、正々堂々と議論するほうが、双方に有益な議論になると思います。
 なお、他会派からの質問に対し、民間委託のスケジュールが出されましたので、ひとこと申し上げます。私は、この項の冒頭に述べました災害支援において発揮された、清掃の職員さんがたのスキルとノウハウ、また、一昨年の杉並の大水害のときにも、住民の方々が何よりも感謝していたのは清掃事務所の方々のてきぱきとした働きであったことを考えるとき、清掃業務の民間委託に関して大きな疑問を持つものです。こうした清掃の業務に関する専門的な技能というものは一朝一夕に身に付くものではなく、民間委託によって、長年積み重ねてきた、こうした専門的な技能をもった職員さんを失ってしまうことは区民にとって大きな損失であると申し添えます。(以下別項)