わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

「名誉区民」について

きょう2月18日の本会議で、亡くなった遠藤実さんに対して「名誉区民」を贈るという議案が提案され、私は反対しましたが、可決されました。
今回は反対討論をしませんでしたので、昨年、故石井桃子さんに対する「名誉区民」顕彰に反対した討論の原稿を紹介します。
なお、一昨年11月(名誉区民4名:伝統芸能の人たち)の時には反対したのは、私含む2名。昨年の石井桃子さんのときは、4名。今回は6人反対したので、だんだん共感してくれる議員が増えていて、うれしいです。
(以下昨年5月29日の本会議討論原稿より。私は本当に「石井桃子訳」の本ばかり読んでいる子どもで、石井桃子になりたい! が私の子ども時代の夢でした。あこがれでした。偶像でした。だからこそ反対という気持ちを訴えました。)
議案第35号について意見を申し述べます。
亡くなった石井桃子さんは、日本の戦後児童文学のもっとも大きな峰の一つでありました。石井さんの文学の長年のファンとして、私はその業績に対しては、誰よりも高く評価し尊敬の念を惜しまないものです。
であるからこそ、どうしてもひとこと申し上げておかなくてはなりません。
第一に、「名誉区民」という顕彰のありかたについてです。そもそも区民のあいだに「名誉区民」とそうでない人の区別をつけることは、人権と平等の理念に反することであり、制度自体に私は反対です。
第二に、これまでの「名誉区民」の方はみなさんそうですが、すでにそれぞれの分野で第一人者であり、小柴先生のノーベル賞をはじめ、専門分野で高い評価を受けておられるみなさんに対して、なぜわざわざ、杉並区が、たまたま住んでおられるからというご縁だけで「名誉である」と称号を授けなくてはならないのでしょうか。
それは、こうした立派な業績をあげておられる皆さんに対して、名誉を授けるという立場にちたい、目立ちたいという区長による政治利用と言えないでしょうか。
第三に、このたびの石井桃子さんは、初めて亡くなったかたに対しての「名誉区民」の顕彰になります。「くまのプーさん」ほか、いまここに列挙するいとまのないほどの数多の著書・訳書があり、かつ、たくさんの賞も受けておられる、地域では「かつら文庫」を主宰されて、子どもたちと本の出会いを長年とりもって来られた方に対して、生前に業績を評価するのでなく、亡くなってはじめて顕彰しようと思いつくことも、私はいかがなものかと思います。
物心ついたころから石井さんの文学に親しみ、「石井桃子訳」の本によって世界への目を啓かれてきた者の一人として、今更とってつけたように「名誉区民」などと顕彰するぐらいならば、杉並の文庫活動への支援、子どもたちの読書活動への支援に力を入れることこそが石井さんの業績を真に評価し、遺志を継ぐことであると考えます。
以上の理由により、本議案には反対いたします。