わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

生活保護の削減について

わくわく会議定例会で、福祉事務所の職員の方に来ていただき、生活保護の現状や制度がどう変わっていくのかについて教えていただきました。
参加者からは、不正受給の問題や医療扶助について、批判が多いが実際はどうなのかと質問がありました。
講師のお話では、不正受給については「3つくらいのパターンがある。1つは少数だけど確信犯的な人。これはどんな分野にも必ず一定数の不正がある(公務員の収賄とか)。2つめは年金の申告もれで、多いのは、企業年金などで少額のものをうっかり忘れて申告しなかったケース。現場の実感としてはこれが非常に多い。3つめは子どものアルバイト。申告しなくてはいけないことを知らない人がいる」
現場の方にしかわからないことです。
「不正受給というと、なにか罰則を受けたり、保護を取り消されたりするような印象を受けるが、実態は不正といってもほとんどはこういう事務的なケースです」
また施設で働く参加者からは「テレビで不正受給や過剰診療などとやっているが、初めから視聴者の溜飲を下げるような決まった企画があって、それにあてはめている感じ。現場で出会う生活保護の方は、すべて、ひけめを感じながら慎ましく暮らしている」
障害があり生活保護を受給している方からは、きりつめていても、生活は厳しく、コンビニのお弁当も我慢している、との発言もありました。また、医療に関しては、すでに主治医によって薬がジェネリックに切り替えられたとのことです。

以下講師のお話の要旨。
・保護費の削減など変更は今年の8月から。
民主党政権時代に厚労省がまとめた「生活支援戦略に関する主な論点(案)」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002kvtw-att/2r9852000002kvvd.pdf
にもとづいて、制度変更が進められている。
(これに対しては日弁連が意見書を書いています↓)
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2012/121115_4.html
セーフティーネットとして、生活保護まで行かない「第二のセーフティーネット」がリーマンショック後つくられてきた(住宅支援、求職者援)が、これを法制化する「困窮者支援法」の新設も同時に進められている。
・保護率の変化(激増しています)
杉並区
2008年3月 5614人 (人口1000人あたり、10.5人)
2012年12月 7576人 (同上       13.8人)
(同時期に東京都は 20万3000人 → 28万9000人)
ちなみに、杉並区は都内でも保護率が低い方で、例えば台東区では同時期に人口1000人あたり、38.6 → 48.2 (人口の約5%)
自民党の総選挙マニフェスト(注)で生活保護の制度改革を主張(給付切り下げ、医療扶助の抑制、現金から現物給付へ、働ける世代への就労支援、不正受給摘発強化、制度の見直しで受給を3年で打ち切り、など。)これがすべて実現されるかはわからないが、要注意。
・基準の引き下げは特に2人以上の世帯(母子世帯など)を直撃する。貧困の連鎖防止・子どもの貧困防止と謳われているが、子どものいる世帯の給付削減は矛盾している。
ケースワーカーは、本来一人80ケースと決められているが、現状は100世帯以上を担当している。地域によっては120ケースというところも。年々保護世帯が増えるのでワーカーは増員されているが、それでも厳しい。また、福祉事務所の職員にも非正規有期雇用の人が増えている。
注:マニフェスト自民党ファクスニュース)はここにあります。↓
http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/recapture/pdf/062.pdf
3.7兆円の保護費を大幅に削減するとしています。