わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

「認可じゃなきゃダメ?」〜〜ダメでしょ!

きょう4月7日付日本経済新聞「規制 岩盤を崩す3 保育所足りない ママ一揆 「認可」じゃなきゃダメ?」
杉並区をはじめ各地で続く、保育所に入れなかった人たちの異議申し立てを取り上げた記事ですが、見出しにあきれました。そりゃ、認可じゃなきゃダメですよ。法律的にも。児童福祉法では、自治体の責務としての保育所で保育することを定め、その最低基準をクリアしたのが認可保育園です。認可外の保育はあくまでも例外的に認められているのです。
今年、あれだけ沢山の保護者の皆さんが、なぜ「認可に入れて」と行動しているのか。日経の記事では保育料について触れられています。もちろん保育料の安さは重大なことですが、保護者の立場からすると、認可保育園に入ってやっと「これで安心」と思えるのです。いうまでもありませんが、人員、面積、設備などが、子どもを保育するにふさわしいレベル(最低限)に達しているからです。
実は認可の基準ですら、あくまで「最低基準」「国基準」といわれるものであって、戦後1948年に作られていらい改善されていないきわめて貧しい基準なので、保育関係者からはもっと高い水準にすべき(つまりはその分国がお金を出すべき)とする意見が大勢です。
保育園を考える親の会の「保育所にかかわる国基準の堅持・向上を求める緊急アピール」http://www.eqg.org/oyanokai/opinion_091014appeal.pdf
機能面に着目した保育所の環境・空間に係る研究事業http://www.shakyo.or.jp/research/2009_pdf/gaiyou.pdf
「認可という規制で縛っているから、子どもをたくさん入れられない。だから待機児童があふれているのだ」といわんばかりの日経新聞や一部の論調は本末転倒です。
日経の記事では次のようにのべています。
(引用開始)
「認可外は子どもをたくさん詰め込む」との声も聞く。でも認可保育所はなかなか増えない。都内では国の基準を満たす広さの土地は確保しにくい。猪瀬直樹都知事も怒っている。「北海道と東京が同じ面積。厚生労働省は基準を相変わらず変えていない」
育児支援NPO法人、フローレンスの駒崎弘樹代表理事は「認可か認可外かにこだわらず、預け先を増やすのが先」と話す。条件や設備は認可に少し見劣りするが、預けてもいい。そんな手軽で安全、快適な認可外を増やせないか。国が自治体の独自認証への補助を増やし、ほかの認可外もしっかり指導すればいい。
(引用おわり)
いや、北海道から沖縄まで(もちろん東京も)同じ最低基準が保障されていてあたりまえでしょ。東京の子どもだけは、狭くても同じように育つんですか??
猪瀬知事は保護者の行動に対して次のようにも語っています(2月23日付東京新聞)。
(引用開始)
「国が一律の基準でお母さん方に迷惑をかけている」「新しいスタイルの保育所が生まれていくことで待機児童は解消できる」「一元的な情報に惑わされないように。国が一律の基準でやらせないようにしていることが問題だと気づいてほしい。意見のある方は厚労省にも言いに行ったらいい」
(引用おわり)
また、杉並区の田中区長も、同じ記事の中で「認可保育所一辺倒は時代遅れ」と言っています。この方たちは、子どもをあずける親の都合、預かる企業の都合だけから考えているように思えます。子どもたちにとっては、そこが毎日、家よりも長くいる生活の場なのに。子どもは荷物のように預けるものではないのですが、そのことが、どうしてもわからないらしい。必ず事故につながります。(保育園の事故と規制緩和 http://d.hatena.ne.jp/waku2/20130203#p1
以前、荻窪の認証保育園を見学しました。園長はじめ、スタッフはとても心を砕いて保育をされていました。でも、「狭い」んです。その園に通っているお母さんは「いい保育をしてくださって感謝しているが、認可の子たちに比べて運動量が圧倒的に少なく、発達に影響しないか心配」と話しておられました。認可外には認可外の理由があるのです。
それに、認可外施設に入ったとしても、多くの子はいずれ、転園することになります。本当は入学まで一貫した施設で保育されることが、子どもの心の安定のためにも望ましいのですが、いまそれを望むのは「ぜいたく」と言われそうです。