わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

「杉並区施設整備再編計画(素案)」について

(小さな政府、しかも公共事業が利権に)
ひとことで言って、この計画が区政の全てをあらわしているのでしょう。政策優先でなく財政優先。区民のために区役所が何をしなければならないか、ではなく、ひたすら「小さな政府」をめざす。事業を切り捨てることが区役所幹部のポイントになる。そこで生じた財源は区民に還元されるのではなく、膨大な公的施設のスクラップアンドビルドにあて、そのことにより区長や区議が利益誘導をはかる、という構図になるでしょう。(安倍政権のミニチュア版)
(人員合理化)
上記のように児童館が全廃されます。これは、杉並区の人員合理化・労務管理の大きな山場です(すでに学校給食・警備・用務、保育園、図書館などが民営化で大幅に削減されていますが、児童館は残った大きなかたまりのひとつです)。
(杉並の文化の断絶)
児童館問題は、杉並区が41館もつくって重視してきたはずの児童館事業という文化を何の評価もまた反省もなく、一方的に投げ捨てることでもあります。
中央図書館は蔵書を削減、縮小するとあります。科学館も実質廃止です。
(民営化)
保育園の増設を口実にゆうゆう館もつぶされます。保育園が増えるのはいいですが、区立保育園は建てない方針であり、その運営を行うのは株式会社になっていきます(いま予定している区内の新規認可保育園はすべて株式会社)。質と量を保証していた区の公的責任は後退します。
(福祉の質の劣化)
介護も保育も国の制度改革が進められ、設置基準・人員基準を設けない(あるいは緩和した)質の低い施設が乱造されます。その受け皿施設を用意する計画でもあります。区民財産である土地建物を安価に提供して営利に供するということです。
高齢者向け住宅「みどりの里」については「民間と協力して住まい確保」とあり、つまりは不動産屋さんに頼って自分で探せ、ということです。住居の保障という福祉の基本をやめてしまうのです。
(区民の自由な活動に制約)
集会施設が統廃合されます。また、あんさんぶる荻窪3Fの談話コーナーも廃止されます。ゆうゆう館、児童館の廃止とあわせ、区民が自由に集う場所が少なくなります。「施設」案と同時に発表された「使用料等の見直し」案で、登録団体使用料が倍に値上げされることも、区民には二重に制約となります。
受益者負担:平等性の毀損)
受益者負担の原則」が「使用料」案の冒頭にかかげられています。地方も含む政府は、住民のために必要な事業を税金で提供するのが仕事です。その際、所得の低い人でも利用できることは当然の条件です。「受益者負担」は、「同じサービスを受ける人は同じ負担」ということになります。税の再分配機能という言葉は、最近の公務員の辞書にはなくなったのでしょうか。