わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

「住民の妨害行為」と事業者の訴訟を正当化する区役所(一般質問に対する区の答弁)

 一般質問に対する区の答弁を紹介します。
1.高円寺小中一貫校については、「訴訟を起こすとは知らなかった。説明会での写真の盗撮もどうやってとっていたかわからない」「事業者が必要と思ったから“やむにやまれず”訴えたのだろう。」「(妨害との認識は)区も共有している」
 公共事業の受注者が発注者に相談もなく関連の訴訟を起こすとは考えられません。区が知らなかったはずはない。また、区の説明会で住民を盗撮していた件もですが、区が事業をコントロールできていないということであり管理能力を問われます。
 特に盗撮については「知りませんでした。そんなことがあったなんてとんでもない。即刻注意します」くらい言ってほしいところですが、はなからいっしょに仕組んでいることだからなんでしょう。なお、再質問に対して「肖像権の侵害について法的判断をする立場にない。したがって区には責任はない」という開き直りの答弁がありました。「スラップ訴訟」についての見解は示さずスルー。
 なお「公共施設の建設事業者が住民を訴えた例」については「把握していない」とのことであり、前代未聞ということ。
 監視カメラ設置については「条例違反はない」といいますが、とりはずしたまま設置しないこと自体が「まずかった」と語っています。
2.杉一小改築と阿佐ヶ谷のまちづくりについては、この新たな計画が河北病院移転を発端として出てきたことと考えあわせ、河北に容積をあげるための計画で公益がきわめて少ないことを指摘したのですが、「学校の環境がよくなる。防災性が向上する」と議論かみ合わず。
 「北東地区のまちづくり」という任意の民間団体の意見がなぜか尊重されているのですが、協議会などをやる考えはないそうで。
3.保育のうち上井草保育園の民営化について、プロポーザル選定委員会の「該当者なし」の結果を受けてどうするのかが問題になっています。この件は、保健福祉委員会の質疑で詳しく行っていますので改めて報告します。
(以下質問と答弁要旨)
1.高円寺小中一貫校について
(Q1-1)区担当者はこの訴訟について事前に報告を受けていたか。報告を受けていたなら、なぜ区は止めようとしなかったか。
(答弁)事前にはきいていなかった。
(Q1-2)区は「スラップ訴訟」というものを認識しているか。また、本件についての見解は。
(答弁)一部住民の妨害行為に対して法的措置が必要と判断したものと考える。
(Q1-3)杉並区及び他自治体において、公共事業の請負業者が住民を訴えた前例はあるか。
(答弁)杉並区では前例はない。他の例は把握していない。
(Q1-4、5)隠し撮り写真・動画は肖像権の侵害ではないか。また、撮影した写真等は当事者に開示すべき。区は指導すべき。区主催の工事説明会で説明者席から隠し撮りされている。区は撮影を知っていたか。撮影者は区職員か。
(答弁)写真は工事業者が記録の必要ありと判断したものと認識。開示を指導する考えはない。どのように撮影していたかは把握していなかった。
(Q1-6)白石建設幹部が自作自演で倒れ、警察に被害届を出した事件について、教育委員会や営繕の担当者は、「押し倒された」とする事業者の一方的な言い分を区役所内に広めているのか。
(答弁)話を広めたことはない。
(Q1-7)工事業者は「良好な近隣関係」を損なっており中高層建築紛争予防条例違反。また、隠し撮りなど反社会的な行為を行っており公共事業を担わせることはできないのでは。
(答弁)条例違反や反社会的行為はない。工事請負契約を解除はしない。
(Q1-8)高円寺中西門のカメラは届け出義務違反では。
(答弁)工事業者は届け出義務者ではない。区も設置者ではないので義務はない。
(Q1-9)構造設計の不備が指摘されている。ボーリングの追加調査を求める。
(答弁)杭の設計については第三者機関の審査、建築確認を受けているので安全。
2.杉一小改築と阿佐ヶ谷のまちづくりについて
(Q2-1)区が定めたB案を実施するため都市計画等のどのような制度を適用するのか。特に「けやき屋敷」の森、貴重な樹木の保全は。
(答弁)区が決定する地区計画、都が決定する用途地域変更など。みどりは可能な限り保全、周辺環境との調和をはかる。今後施行者が事業計画等を策定するものと認識。
(Q2-2)土地区画整理事業とはどういうものか。その設定の要件は何か。また、本事業で得られる公益は。
(答弁)地権者が土地を提供、道路等の整備を図り、土地を再配置、宅地の利用増進を図るもの。今回は個人共同施行の区画整理事業を想定。公益としては、小学校の将来的な教育環境向上、道路拡幅による防災性の向上など。
(Q2-3)B案における河北病院建設予定地の敷地面積はどのくらいか。容積率の引き上げ、あるいは用途地域の変更を想定しているのか。
(答弁)おおよそ10000平米余り。
(Q2-4)予定されている杉一小敷地と河北病院敷地の交換は土地区画整理法の「照応の原則」に反するのでは。
(答弁もれ)
(Q2-5)民間の動きと杉一小の建て替えとはいったん切り離すべき。
(答弁)最善の方法を検討してきた。総合的に勘案した結果。
(Q2-6)「阿佐ヶ谷駅北東区域のまちづくりを考える会」という民間団体の提案とは。
(答弁)2年にわたって検討した結果、まちの将来像や区の案への期待をまとめ提案いただいた。
(Q2-7)地権者の権利調整だけでなく幅広く区民の意見を聞くべき。
(答弁)これまでも地域の意見を聞いたり、説明会をやってきた。これからも地域住民との意見交換を密にやっていく。
3.保育について
(1)緊急事態宣言の総括について
(Q3-1、2)緊急対策第二弾をやらない場合565名の待機児童が出るとした根拠。実績を踏まえた計算根拠と保育需要数の歳児別・総数を。
(答弁は差し引きの需要数で食い違っていた。)
(Q3-3)待機児童ゼロを達成できなかった理由は。また、反省は。
(答弁)高円寺、方南・和泉地域で保育園を整備できなかったため。大変重く受け止めている。
(Q3-4)来年度より実施される国の新しい定義では待機児童何名か。
(答弁)不明。
(2)上井草保育園の民営化について
(Q3-5)事業者を選定するプロポーザル選定委員会は「選定に至らず」となったので、継続すべきでは。
(答弁)審議を終え、委員会は終了している。
(Q3-6)最終の委員会直前に委員会会長に見直しを求めたのは事実か。事実なら違法行為では。
(答弁)そのような事実はない。会長との一般的な事務打ち合わせである。
(Q3-7)選定委員会がない状態で公募を始めており、条例違反では。
(答弁)条例違反ではない。
(Q3-8)保護者委員が2名に減らされた理由は。また保護者委員選出期間10日は短すぎる。
(答弁)前回4名としたのは民営化通知からの期間が短かったためで今回通常に戻した。選出期間は適正。
(Q3-9)選定スケジュールが遅れており、民営化時期も繰り延べるべき。
(答弁)変更する考えはない。