わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

阿佐ヶ谷再開発に関する陳情の採択を求める(2022年6月9日本会議)

 2022年6月9日杉並区議会本会議において、阿佐ヶ谷再開発に関する陳情を採択すべき、との意見を述べました。

 都市環境委員会では「不採択」とする委員が多数でした。本会議でも、私のこの発言のあと採決され「不採択」と決しました。

 3年間も審議せず「塩漬け」にした挙げ句、不採択とは、ふざけるんじゃない、という気持ちです。

 *なお「反対の立場」としているのは、「不採択とすることに反対」との意味です。

(以下、発言原稿です。実際の発言とは異なるところがあります)

 1陳情第16号「阿佐ヶ谷駅北東地区土地区画整理事業に関する陳情」について、反対の立場から意見を述べます。

 本件陳情の主旨は「阿佐ヶ谷駅北東地区土地区画整理事業の事業計画に関する公聴会を開催してほしい」というものであり、その理由として、本件事業は個人共同施行となっているが、その内容はきわめて公共性が高く、公共施行同様のものと位置づけて都市計画法第16条1項に規定する公聴会を開催すべきというものです。

 都市環境委員会では、2019年7月の区まちづくり条例による公聴会、また、そのほかの説明会やオープンハウスが行われたことをもって願意は満たされているとする意見がありました。しかし、これは誤りであり、陳情の願意は満たされていません。

 第一に、都市計画法第16条1項の解釈です。区担当者は委員会質疑において、これまでの区議会答弁同様、16条1項の公聴会は「例示にすぎない」ため開催の必要はない旨述べました。

 しかし、これが誤りであることはすでに2019年6月の第二回定例会一般質問において、次のように指摘してきたところです。

国交省の『都市計画運用指針』では、『法第16条第1項において公聴会の開催を例示しているのは、住民の意見を反映させるための措置として、住民の公開の場での意見陳述の機会を確保するべきという趣旨であることに留意する必要がある。』と述べ、さらに、説明会は、都市計画の原案について住民に説明する場であるのに対し、公聴会は、住民が公開の下で意見陳述を行う場であるとしており、単なる例示ではないこと。したがって、特に必要がないと認められる場合以外は公聴会を開催すべきとしている。」

 以上です。

 本陳情は、本件開発を公共施行同様に扱うことを求める趣旨から都市計画法にもとづく公聴会を求めたものであり、その願意は満たされていません。

 第二に、区まちづくり条例にもとづく公聴会の開催が不公正であったことです。これも2019年9月の本会議一般質問で指摘したところですが、公聴会の告知直前に、公述人選定のルールがくじ引きから区長による選任に変更され、その結果、公述申し出者28人のうち、賛成4名は全員が公述し、反対・慎重意見は24名中6名しか公述できないという明らかに偏った人選がなされました。

 以上の点から、陳情の願意は満たされていません。陳情者も、区が開催した公聴会は求める公聴会ではないと補足説明のなかで指摘されていました。

 従って、区議会は陳情を採択すべきです。また、不採択の理由として「願意が満たされている」とされたことは論外であり、反対です。

 なお、本件陳情の審査時期について述べます。

 本件陳情は、その番号が示すように令和元年の5月20日に提出されたものです。すでに3年以上が経過したところで、ようやく審査が行われましたが、当該事業はすでに実行されており、けやき屋敷は更地となりました。

 本件陳情者は計画が実行される前にと、緊急性を感じて提出したものと考えられ、それを3年も塩漬けにした区議会、特に都市環境委員会の歴代委員長の不作為は厳しく糾弾されてしかるべきです。

 陳情者の補足説明では、陳情代表者が出席できなかった事情について語られました。

 代表者の方が体調を崩され、出席どころか、電話連絡をとることもかなわないとのことです。3年前ならお元気だったので、補足説明でお話しされたいことが山ほどあったに違いない、悔しいとおっしゃっていました。

 意見開陳では、あろうことか、陳情者に対して、陳情を提出しなおすべきだったなどと発言した委員がいたことに呆れました。区議会としての不作為を棚にあげてなんという言い草なのでしょうか。

 このような区議会のありかた、特に陳情審査のあり方については、陳情者の補足説明でも繰り返し疑問が投げかけられていました。私からも、議会基本条例を定めた杉並区議会として抜本的な改善を求めます。

 さて、私ども会派、無所属・少数会派連携は、各議員の政治信条を尊重し違いを認めあい、議会における多様性の確保を追求し、同時に一致できる課題ではしっかりと協力しあって活動しています。

 本件土地区画整理事業についてもその一つであり、情報が不透明であり、公平公正の観点から疑問があり是正されるべきという点で一致しているものです。

 都市環境委員会では会派の木梨議員が、容積率変更による地権者の利益誘導、都市計画審議会委員である本件コンサルの利益相反、緑の確保の問題を指摘しました。田中区長が地域の一部の有力者の利益のために、公共の利益をないがしろにし、杉並区政を大きくゆがめています。

 本件事業の是正について、今後とも追及していく決意を述べて、意見といたします。