わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

天沼地域の再編に反対する。保育園移転プロセスにも問題あり(2023年6月19日本会議での討論)

 先日の区民生活委員会で否決された天沼地域の施設再編(本天沼集会所・天沼集会所・ゆうゆう天沼館の廃止とコミュニティふらっと本天沼の設置)関連の条例は、先ほど(6/19)の本会議で残念ながら可決されました。

 私は同条例に反対するとともに、関連予算を計上した補正予算案にも反対の討論をしました(採決結果は可決)。以下にその原稿を掲載します。

 なお、同計画は新旧10所もの施設の廃止・移転・新設が絡む大変複雑な計画で、1つ躓けば全てが渋滞する欠陥計画です。(立案した人たちは「無駄のない精緻な計画」と思っていたかも)

 計画の詳細については、2022年11月21日の私の一般質問のうち、2.本天沼集会所等の再編について をご覧ください。  

(以下は原稿です。実際の発言とは異なる部分もあります)

 議案第44号 一般会計補正予算(第3号)について意見を述べます。本議案は多数の項目を含むものであり、その大半には異議のないところではありますが、コミュニティふらっと本天沼の整備に伴う予算と債務負担行為が計上されていることから反対します。

【区民生活委員会で反対した理由】

 ふらっと本天沼整備等に関連する反対理由は、区民生活委員会において述べた通り、第一に、3つの施設を1つに統合することに無理があること。特にゆうゆう館を廃止すべきでないこと。第二に、ふらっと本天沼の設計や改修とその後の利用計画に無理があること。第三にゆうゆう天沼館・保育園廃止後の民間保育園移転の根拠が不透明であること の大きく3点です。

【計画を止めないとの判断は早計だった】

 施設再編整備計画については、岸本区長就任後、当面する再編を、いったん休止する取り組みと、止めないで計画通り実施していく取り組みの2つにわけ、本件天沼地域の再編については、止めないほうに分類したわけですが、止めずに進めるとの決断は早計であったと指摘します。

児童相談所開設には影響しない】

 なぜなら第一に、児童相談所開設に対する影響ですが、区民生活委員会の質疑では、天沼集会所は利用者を消費者センターや隣接の特養の地域交流施設に分散することが可能であることが示されました。したがって廃止しなくても、利用者の調整等により発達相談係の移転と児相開設の時期には影響を与えないものと判断します。

【パピーナ保育園移転に関する訴訟リスクはない】

 第二に、天沼保育園等跡地に予定されているパピーナ保育園の移転については、中止、見直しが可能だからです。委員会では、移転を約束する契約書や覚書に類する文書は存在しないこと。また、事業者は移転のための準備行為を行っていないと区が確認しているとの答弁を得ました。

 したがって、損害賠償を請求する根拠となる文書がないこと、また損害金が発生しないことから、仮に計画を変更、あるいは中止しても、事業者が損害賠償を主張する可能性は極めてひくく、訴訟リスクはほぼないことは明らかです。

 パピーナ保育園の移転が決まっているから、計画はもう止められない、といわれてきました。しかし、中止や見直し、例えば複合施設としての建て替えが全く不可能かといえば、契約上、さらには訴訟リスクの上からは全く可能であると指摘します。

【通常の手続きではない、区として前例ない保育園の移転】

 質疑ではさらに、旧若杉小の事業者公募時に将来の移転先が明記されていないこと、にもかかわらず、天沼保育園等跡地の賃貸に関して公募が行われていないことを指摘して、こうした手法は通常の手続きではないこと、また、区として前例のない手続きであるとの答弁を得ました。

 行政計画として移転を計画しているので、違法な手続きとまではいえないものの、特に天沼保育園等跡地の賃貸については、旧若杉小学校内からあたかも自動的に移転できるかのように、公募をせずに決定したことは、著しく公正を欠く手続きであったといえます。その点からも、一度立ち止まって計画を見直す必要があります。

 以上が反対の理由です。議員各位のご賛同をお願いします。

【阿佐ヶ谷再開発でも損害賠償との虚偽答弁】

 なお、一般質問で、阿佐ヶ谷駅北東地区再開発についても、損害賠償請求が生じるから計画を見直せないとの理屈は法律的に誤りであり虚偽答弁であることを指摘しました。区民に誤った情報を流して転換をあきらめさせようとする手法はもはや通用しないことを認識していただきたいと思います。

 前区政の、阿佐ヶ谷、西荻等再開発や児童館・ゆうゆう館廃止に対してNOの声をつきつけたのが、昨年の区長選挙だったはずです。区長および関係所管の皆さんは、選挙に示された区民の意思を尊重し、地域の声に誠実に向き合っていただくよう、強く要望し、反対の意見とします。