わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

阿佐ヶ谷北東問題は住民と行政の対話で解決を(2023年9月14日一般質問)

(*杉並区議会公式動画リンクを追加しました。2023/12/5)

 2023年9月14日、杉並区議会第三回定例会で一般質問しました。テーマは、

阿佐ヶ谷駅北東地区の再開発と杉並第一小学校の移転計画について」

(杉並区議会公式動画はこちら

 杉並第一小学校の移転計画については、地域からずっと疑問の声が絶えません。

 その中でも区が説明を避けている「病院日影の懸念」「震災救援所として不適切」「近隣苦情の可能性大」の3つの問題は、どれか1つだけでも、学校にとって致命的です。

 また、前回(6月)一般質問で明確な回答がなかった「移転を見直したとき、誰かが損害を被ることがあるのか」について尋ねました。「相手が何を請求するかによって異なる」とかあいまいな答弁でした。

 杉並区は区長が交代したにもかかわらず、一貫して見直しを避け、「移転ありき」の姿勢です。

 岸本区長が進める「対話と共有」のまちづくりはそんなものではないはず。世田谷区のまちづくりの対話手法を紹介して、住民主権のまちづくりを提案しました。

(以下原稿です。実際の発言とは一部異なるところがあります)

 一般質問します。本日は、阿佐ヶ谷駅北東地区の再開発と杉並第一小学校の移転計画について質問します。

 8月31日、「阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくりを振り返る会」が開催され、特に杉一小の移転計画について、満席の会場からは、多くの疑問が区に対して投げかけられました。「対話と共有」「住民自治」をかかげる岸本区政において、阿佐ヶ谷の開発、杉一小の移転についても、行政と住民の十分な対話によって課題が解決されていくことを期待して以下質問します。

【『人をつなぐ街を創る』】

 さて、具体的な話に入る前に、一冊の本を紹介します。

 『人をつなぐ街を創る 東京・世田谷のまちづくり報告』という本です。日本で最も先進的という評価を受けている、お隣、世田谷区のまちづくりに長年携わってきた職員の方が書かれた、住民主権のまちづくりのレポートです。

 「行政をにらみつけてくる反対者との対立をどう乗り越えるのか。行政マンとして常に考えて続けてきた課題である」。本書の著者は、こういいます。

 そして「行政は往々にして反対勢力を排除する行動を選択するが、私の経験から、こうした人々をも巻き込んだ議論の場こそが、次の関係をはぐくんでくれると思える」とも述べています。

【反対する人を排除しない。情報公開をつくすこと】

 本書では繰り返し、計画に反対する人を排除せずにその声を聴くこと、行政が徹底して情報公開し説明をつくすことの有効性、必要性を具体的な経験を紹介しつつ説いています。区職員の皆さんにはぜひ一度手に取っていただきたい一冊です。

 世田谷のまちづくりは90年代から長い時間をかけて練り上げられてきました。本書に紹介されるどのエピソードも、最初は「やじと怒号の説明会」で始まりながらも、2年3年と対話の場を重ねて、反対する人の意見も聞きながら皆で知恵を出していく過程で、最後は住民も行政も、課題と解決方法を共有し、ともにまちづくりに踏み出していく、その姿は感動的です。

 杉並区役所においては、本書の著者とも連絡をとっておられると伺いましたが、区長は本書をご存じでしょうか。また、読まれたのであれば、感想を求めます。(Q1)

 すでに、世田谷区にならった「デザイン会議」の名称が西荻などの都市計画道路で使われているようですが、付け焼刃でできるような簡単なことではありません。

【反対住民を徹底して排除したきた杉並区】

 岸本区長のもとで、話し合いの場が広がり、7月の施設再編整備計画についての7地区での意見交換会では、参加者の多くが行政と話し合えたことを素直に感謝し、喜び、今後に期待しています。

 しかし、話し合いのプロセスは目的ではなく手段です。どのような結論を出していくかこそが問われています。

 阿佐ヶ谷北東も同じです。議論がちゃんと受け止められ、住民の意見を取り入れたプランになってこそ、プロセスに意味が出てくるのであって、そうでなければ、いくら話し合いがうまくなっても、ただのガス抜きです。

 ましてこれまで住民意見を徹底的に排除してきた杉並区政において、住民主権への転換は容易ではありません。

サイレント・マジョリティとは】

 かつて「あんさんぶる荻窪」の税務署との財産交換の説明会で、住民が「ここで反対意見が多ければ、計画を見直してもらえるのか」と尋ねたところ、当時の企画課長は「サイレント・マジョリティという言葉がある。この場で反対といっている人はごく少数。57万区民のほとんどは賛成なのだから、計画はそのまま進める」と言い放ちました。わざわざ説明会に足を運び、時間を使って意見を言ってくれる貴重な住民を「ノイジー・マイノリティ」として切り捨てる、行政にはとても都合のいい論法ですが、世田谷のまちづくりとは対極にあります。

 また前区長は、政策に対する反対の声を「特定の政治的意図をもつ一部の反対者」などと断じていましたが、前区長を批判して当選した岸本区長に対しても、変わらず、杉一小移転や児童館廃止に対する疑問の声が出ていること自体が、政治的な思惑などではないことを証明しています。

【反対意見は先鋭的な活動家?】

 再び本書から引用します。「行政は住民の中の語らない賛成者をサイレント・マジョリティと称し、正義の後ろ盾として活用する。しかし本当にマジョリティなのだろうか。(中略)多くの人々で議論する場を排除する。それが一番とるべきではない行動であることを理解してほしい」

 そこで区長に質問しますが、区長はこうした「サイレント・マジョリティ」論法、区政に反対するのは一部の政治的、先鋭的な住民で、少数であれば排除していいという考え方を支持しますか。いかがですか。

 また、先日の阿佐ヶ谷の「振り返る会」では、杉一小の保護者からの強い懸念の声や、近隣の方から水害の経験にもとづく反対の声が聴かれましたが、こうした住民は排除してもかまわない少数の先鋭的な住民でしょうか。当日の会場発言についてはどのように受け止めたか。感想を求めます。(Q2)

【移転は法的に決まっていない】

 さて、ここから「振り返る会」を振り返ります。会では、多くの見るべき意見、鋭い指摘があったと思います。特に冒頭「杉一小の移転は法的に決まっているのか」との質問から始まったことは重要でした。

 杉一小の移転計画の見直しについて、区側の具体的な回答としては「法的に禁じられてはいない」「100%不可能というわけではない」「法的には問題ない」などの表現で、学校の移転が法的に決定していないこと、決定しているのは、欅興産、河北財団と区との3者が合意した協定のみであることが明らかになりました。

 そこでうかがいますが、阿佐ヶ谷北東地区の再開発計画、特に杉一小移転の見直しについて、法的に禁止されていないこと、法的には不可能ではないことはあの場で確認されたと認識していますがいかがか。所見を求めます。(Q3)

【学校移転中止で損害賠償請求になることはない】

 関連して、第二回定例会の私の質問に対し、明確な答弁がなかったので再度質問します。杉一小の移転計画を見直した場合、誰かが損害を被ることがあるのかないのか。あるとすればそれは誰でどのような損害でしょうか。「振り返る会」での法的決定に関する発言を踏まえて見解を示してください。(Q4)

【杉一小移転の大きな3つのリスク】

 さて「振り返る会」で区は膨大な資料を用意して説明していましたが、重要なポイントがいくつか抜けていましたので指摘します。

 2017年1月の「阿佐ヶ谷駅北東地区大規模敷地活用に関する調査業務委託」の報告書については、これまで幾度となく何人もの議員が取り上げてきましたが、ここでは特に、杉一小を複合施設・屋上校庭で現地建替えとする案(A案)と、現在の計画、つまり病院跡地に単体の施設として新築する案(B案)のメリット・デメリットの比較の中で、「振り返る会」では故意にか省略された、重大なデメリットについて改めて指摘します。

【9階建ての病院に隣接。日影懸念】

 第一に「病院日影の影響懸念」、第二に「震災救援所として不適切」、第三に「近隣苦情の可能性大」です。

 第一に日照です。報告書では※印で強調されています。現在建築工事中の河北病院は完成すれば9階建て、高さ40mです。屋上建屋含め45m。病院が示した冬至日影図によれば、となりの敷地には朝10時から影がかかりはじめ、一日中日陰となります。病院に近い南側に校舎を建てれば冬場は校舎が一日中日陰、かつ北側におかれる校庭には校舎の影もかかります。北側に校舎を建てれば南側の校庭が日陰、かつ校舎にも病院の影がかかります。しかも、なんと、地区計画決定時に現在の病院敷地は日影規制が解除されているので、学校が計画されているにも関わらず、隣地にいくら影がかかってもいい前提で病院を設計、つまり、初めから日陰の学校を前提している計画だということです。

【延焼・類焼により震災救援所には不適】

 第二の震災救援所。これは報告書でゴシック体の一回り大きな字で書かれています。「住宅密集地移転で、震災火災時延焼・類焼の恐れ」があるから震災救援所として不適切。また、地盤が弱いことから、現在の杉一の場所に比べると、揺れが大きいことは防災科学技術研究所のハザードカルテで明らかになっています。

 また、水害避難所については「振り返る会」でも多くの方から「もともと川である場所、かつて浸水もしており、水害の懸念が強い」こと、当然水害の避難所にはならないことが指摘されました。

【「静かな場所」に移転すると、近隣迷惑】

 第三の近隣苦情についても、ゴシック体です。先日、深刻なケースをうかがいました。以前新宿区の小学校に勤務されていた教員の方の話です。小学校が住宅地に移転し、音楽室は二重の防音、窓は一切あけずに授業、それでも近隣からどなりこまれる。子どもたちの声にもものすごい苦情があった。杉一小が病院跡地に移転したらとても学校教育は成り立たないとのご指摘でした。特に器楽が有名な学校でもあります。その活動はどうなるのでしょうか。また、区は静かな環境に移転することをメリットと説明していますが、逆に、その静かな環境に現在住んでいる人たちはどうなるのでしょう。

【リスクを知っているのになぜ学校を移転?】

 区から当日説明のなかった部分のうち重大な3点だけ補足しましたが、改めて、地域にこれらを公開し、意見を求めるべきです。

 お伺いしますが、これらのリスクを認識しているのに、それでも病院跡地に移転すべきと考えるのでしょうか。その理由を説明するよう求めます。

 さらに、「振り返る会」では「法的に問題がないとしても、道義的に責任がある」という区側の発言もありました。すなわち、民間地権者との協定などを示すものと思われますが、前区長の当時ならともかく、区長が交代したいま、そして「地域のことは地域が決める」と打ち出しているいま、これらの明白なデメリットが指摘されてなお、子どもたちの安全と教育環境、地域の災害避難所を犠牲にしても、地域の有力者との関係性「道義的責任」を優先するのでしょうか。見解を求めます。(Q6)

【そもそもどこから出てきた計画か】

 次に当日の説明にはなかったこの計画の経緯について指摘します。そもそもこの土地区画整理事業の発端は、2014年にさかのぼります。河北病院のホームページには、沿革に「まちづくり団体「阿佐ヶ谷駅北東地区を考える会」設立」と明記されており、河北病院の経営サイドが設立を主導した会です。この会が区に提出した報告書を情報公開で入手したところ、メンバーは10人ほどの少人数です。

【懇談会委員は全く説明を受けていない】

 ここで「振り返る会」で住民が読み上げた「改築検討懇談会委員から託された手紙」の一部を紹介します。 

 「最終検討決定のおりに、今までは懇談会委員として参加されていなかった「阿佐ヶ谷北東の会」と称する方々が同席され、違和感を覚えたことを記憶しています。後日、あくまでも河北総合病院理事長の私的な会の方と知りました。

 「検討懇談会」の意見はすべてなきものとなり、至った経緯、及び、きちんとした説明も全く受けていない状況で今日に至っています。

 不思議に感じていた私的な「北東の会」の名称を使った行政会議が行われている無神経さに、憤りを感じずにはいられません」

とのことです。

 10人ほどの私的な会の提案が、学校関係者も知らない間に杉一小を巻き込み、子どもたち、学校教育に重大な影響を与える区政の一大プロジェクトになったことには、今更ながら私物化を感じます。ことの発端から問題ですが、そこにとどまりません。

【「A案は凍結」】

 2016年2月、杉一小改築検討懇談会は複合施設・現地建替え・屋上校庭の案に概ね賛意を示し、これで基本計画が地元の合意を得たことになりました。この日の最後には事務局から「次回の懇談会は6~7月くらいでの開催となるかと思います」とありましたが、次回が開かれることはついになく、現在に至るまで開かれていません。

 ある委員のところには6月に連絡があり、計画は変更になる。このことは内密にお願いするといわれたそうです。この時点ですでに現地建替え案は変更が前提されていたのです。しかし、公式には8月に河北病院から移転の連絡があったとされ、以降区は公然と建て替え案の変更にむけて動き出しました。

意見交換会は非公開。委員は呼ばれていない】

 10月には意見交換会があったと区は言いますが、私も含め議員にも情報提供はなく、全く非公開の会議でした。検討懇談会委員にも何人も確認していますが全く知らされていなかったそうです。情報公開により入手した当日の資料には、先ほど述べたようなA案、B案の比較検討情報は一切記されておらず、意見の言いようがありません。これは区民との話し合いとはとうていよべないものであり、まして、検討懇談会が開かれないままであったことは、先ほど紹介した手紙の

「「検討懇談会」の意見はすべて無きものとなり、至った経緯及び、きちんとした説明も全く受けていない状況で今日に至っています。」のとおりです。

 そこで伺いますが、杉一小改築検討懇談会の予定されていた第8回が今日まで開かれなかったのはなぜか。(Q6)

 また、懇談会の中断により、学校関係者、保護者は蚊帳の外におかれて、約1年が経過し、B案つまり河北病院跡地への移転が決められてしまいました。前区長の時代のことなので岸本区長はこれまでご存じなかったと思います。いまこれを知って、区長はどう感じますか。感想をうかがいます。(Q7)

【学校関係者は蚊帳の外。プロセスに決定的な瑕疵】

 形だけの非公開の意見交換会がアリバイ的に開催された直後の11月、庁内の「実務検討会」が始まります。他の議員の質問にもあったように、この時点ですでにB案ありき、杉一小移転ありきでした。

 区が委嘱した委員さんが何回も集まっては話し合い、視察にも行って、悩みながらも出した結論であるA案をくつがえすというのに、委員には、検討自体知らせないまま約1年が経過ました。それこそ道義的にもあってはならないことで、B案決定のプロセスには決定的な瑕疵があったといわざるをえません。

【ホームページから消された議事録】

 私はこの経緯を確認するために、検討懇談会の議事録を読もうと教育委員会ホームページを検索しましたが、杉一小の検討懇談会の議事録が見当たりません。教育委員会にきくと削除されているとのことでした。しかし、高円寺学園や桃二小のように、とっくに工事が完了している学校であっても、検討懇談会の議事録はホームページにすべて残されています。

 いまだ改築ならず、検討の途上にある杉一小の懇談会の議事録こそ、むしろ公開されていなければならないはずですが、なぜ杉一だけが消されたのでしょう。計画を変更したので都合の悪い履歴ということなのでしょうか。

 そこでうかがいますが、杉一小検討懇談会の議事録を削除したのはいつか、また削除の理由は何か。説明を求めます。(Q8)

 削除は前区長の時代のことかとは思いますが、情報公開ナンバーワンをかかげる岸本区政においては、隠すことなく、だれもがアクセスできるよう、すぐにもホームページ上に復活するよう、これは要望といたします。

【まちづくり部長の発言は少数排除?】

 次に今後の進め方についてうかがいます。

 「振り返る会」では、最後に区長が話し合いを継続する旨を明言して終わりましたので、遠からず次回の話し合いの場が開催されるものと期待しています。

 しかし他方、この会でのまちづくり担当部長の発言には会場から驚きの声が上がりました。部長の「法的な問題がないから見直すというが、法的問題がないから何をしてもいいわけではない」「これまで協力・応援してくださった方を裏切るわけにはいかない」などの発言です。これらは、既定路線の見直しを拒否し、反対意見を排除する考えを示したものなのでしょうか。発言の真意を問うものです。(Q9)

 最初に紹介した世田谷に比べ、杉並区政の対話の実践は絶望的なまでにレベルが違いすぎ、全く遅れていると感じました。これまで述べてきた検討懇談会の経緯に鑑みても、見切り発車は決して許されるものではありません。

【5つの会議体が並走する。ちゃんとやれるの?】

 さて、今後ですが、「振り返る会」の続きの会を行うのは当然として、もうひとつ「阿佐ヶ谷まちづくりセッション」というものが、今定例会にも補正予算で提案されます。来年1~3月に2回開催する、その内容は北東地区だそうです。さらに第三に、杉一小改築検討懇談会が12月から開催される予定であるときいています。第四に、エリアマネジメント。これまで少人数の非公開会合として行われてきたものが、今後公開されていくのか、あやしいところではありますが、いちおうこういうものがある。第五に、都市計画道路補助133号線に関する対話集会は、今後の事業区間だけでなく、阿佐ヶ谷駅北口、北東地区も、会議体の一部として指定されています。阿佐ヶ谷駅北東地区だけで、合計5つもの会議体が並走することになりますが、これ全部本当に区役所は運営できるのでしょうか。もう少し整理すべきでしょう。むしろ、以前から指摘しているように、阿佐ヶ谷のまちの様々な問題を広く話し合う協議会をまず設定して、だれもが自由に話し合える場を設置すべきと考えます。

 そこでうかがいますが、第一に、5つの事業それぞれの主旨・目的、及び5つは相互にどう関係するのか。第二に、各々の開催スケジュールについて説明を求めます。

 また、これらは所管がばらばらです。そもそも阿佐ヶ谷北東再開発全体の統括責任はだれが負うのか。事業調整担当、施設マネジメント担当、学校整備担当、まちづくり担当と、それぞれの担当に「どこが統括するんですか」と聞いても首をかしげて答が返ってこない。みんな嫌がっているのかもしれません。前区長時代は、田中区長マターだから区長が統括します、ですんだのかもしれませんが、区長が交代したいま、それでは通りません。どこが統括するのか明らかにしてください。(Q10

【A街区・C街区の両方を活用する方法を】

 さて、今後についてはまだ何も決まっていないようですので、提案を申し上げます。

 第二回定例会でも述べたように、また「振り返る会」でも確認されたように、阿佐ヶ谷北東の事業は、変更したとしても、なんら法的に問題ないことは確認されています。とはいえ、相手のあることなのですべてを見直すことは不可能に近いでしょう。

 ではどうするか。私は、第二回定例会で紹介した「阿佐ヶ谷の原風景を守るまちづくり協議会」から提案されたように、仮換地によって区の換地先とされている現在の杉一小敷地(A街区)、及び、現在の河北病院敷地(C街区)、の両敷地をうまく活用して、よりよい学校を建築する計画を住民自治にもとづき検討すべきと考えますが、いかがか伺います。(Q11)

【保護者の思い「子どもに説明できない!」】

 質問を終わるにあたり、「振り返る会」での保護者の方の発言の一部を紹介します。

「子どもに、お父さん、どうして杉一小は移転しなきゃいけないの?って言われて、答えがないんですよ。(中略)移転する理由がない。にぎわいとかきれいごと、美しい言葉はけっこうです。

「それじゃ、移転するしかないよね」とみんなが納得するシンプルな理由がないと小学校っていうのは移転しちゃいけないと思うんです。

区のみなさんが小学校を単なる不動産として見ているのが悔しいです。(中略)

148年もあそこで先生や生徒や親ごさんや地域の方々がいっしょになって育んできた教育の場、教育の風土があそこで培われているんですよ。それを簡単に区の財産、区の不動産として移転される。これは子どもには説明できない。なんでこんなにみんなが不満に思っているのかよくよく考えていただきたいと思います。」

 この方の声をしっかえりと受け止めていただきたいと思います。

 杉並区内で最も古い小学校である杉一小は、再来年150周年を迎えます。150年の学校には、目先のことではなく、これからの150年を考える必要があります。

 先に紹介した世田谷のまちづくりにも学びつつ、この阿佐ヶ谷の問題こそ住民主権と呼ぶにふさわしいまちづくりを実現できるよう、区長、教育長、職員の皆さまにはよくよく考えていただきたいと要望して質問を終わります。