わくわくの日々

杉並区議会議員・松尾ゆりのブログ

森友問題と同根、文書隠蔽から始まった財産交換(予算に反対しました)

 今議会冒頭で自民党が区長3選支持を表明、6月の区長選は楽勝と思っているのか、議会での田中良区長の慢心ぶりが半端ではありません。本会議では区長のゴルフコンペも暴露されましたが、杉並区政も「お友達政治」のぬるま湯にひたりきっていますね。でもそれ私たちの税金なんですが。
 「あんさんぶる荻窪」の財産交換が議会で可決されました。区長が国に「無料でビルを用意する」と約束したところから始まった問題ですが、その最初の文書は隠蔽されていました(このあたりの事情はこちらに)。国有財産の不明朗な取引という点であり、文書改ざんでは森友問題と同根と指摘しました。
 交換財産の鑑定も行われず(鑑定ではなく「価格等調査」を行った)、あんさんぶるは不当に安売りされる結果となりますが、このことを問題にする議員があまりにも少なすぎます。そもそも価格調査報告書を読んでいるのか…? 民営化大好き、行革をうるさくいう人たちがなぜこんな損な取引をだまって受け入れるのか、不明朗なものを感じます。
(以下原稿です。実際の発言とは異なる場合があります。)
<予算案に対する意見>
【田中区長自身の公私混同等】

 杉並わくわく会議として、予算特別委員会付託議案についての意見を述べます。その前提として、田中区長の区政運営について、どう見るかが問われます。
 今議会ほど、区長自身の問題が様々に議論されたことはありませんでした。他会派の発言の中で、政治資金パーティー、ゴルフコンペ、公用車の使用などについて、公私混同および、区補助団体や委託事業者との癒着を疑わせるとの指摘が数多くなされました。
 区長という重い職責を担い、総額3000億円にも及ぼうかという巨額の予算の決裁権者として、疑いを持たれることだけでも、深く恥じ入るべきところ、違法ではないと開き直る区長の態度には、区民のひとりとして大きな失望を禁じえません。
【文書隠蔽から始まった財産交換】
 さて、最初に議案第21号あんさんぶる荻窪の財産交換について述べます。多くの問題点のなかでも、いまの田中区政の問題点をもっともよく表しているものと考えるからです。
 いま国会では森友問題の文書改ざんが大きな問題となっていますが、あんさんぶるの問題も振り返れば2010年の区長文書の隠蔽、廃棄から始まったのであり、同様の病根の深さを感じます。
【区長が言い出せばどんなことをしても遂行】
 財産交換については、これまで何度となく、かつさまざまな視点から問題点を述べてきたところですが、
・区民全体には不利益であっても、区長が言い出したことだから、どんなことをしても絶対に完遂する。
・そのためには予算もつぎこむ。建てなくてもよい施設を建て、まだまだ使える施設を解体、廃止する。
・行きがけの駄賃で、それらの工事は、一部の建設会社の利益につながる。
・区民の疑問の声には「反対派」とレッテル貼りしてシャットアウトする。町会からどんなに要求されても必要な説明会を開催しない。パブコメでどんなに反対の声が出ても「55万区民からみれば少数」と無視する。
などの特徴は、公園を強引につぶしての保育園建設、高円寺3校の統廃合と一貫校建設などにも共通しています。
財務省も経験したことのない非常識な交換】
 あんさんぶるの財産交換は、現に使っている施設どうしの交換という財務省の担当者も経験したことがないと言っている、前例のないきわめて非常識な交換であること、また、区にとっては築後13年の区民施設を不当に安く手放す不利益な交換であるばかりか新たなビル建設、学校改築に70億円もの費用を余分に費やしたこと、さらに、児童館がはじめて物理的にも廃止され、地域の子どもたちを犠牲にするものであること、区が喫緊の課題と述べた特養については他の整備手段があり、かつ、喫緊のわりに計画発表後8年も整備されないことなど、簡単に述べてもこれだけ多岐にわたる大きな問題があり、仮に交換が行われたとしても、これらの問題は決して消えないことを指摘します。
【町会から苦言、3000筆の署名が】
 先に紹介したように地元の町会からは「この財産交換に対して地元は取り返しのつかない犠牲を払った。区は不手際を深く反省し、二度と繰り返さないように」との要望書が区長あてに提出されました。
 また、昨日は「荻窪 子どもの居場所を守る会」から、「税務署来るな。無慈悲にこどもからあんさんぶるを取り上げるな」とのメッセージを添えて3000筆余の署名が田中区長に提出されました。財務省理財局にも持参したとお聞きしました。これだけ根強く、区民、とりわけ荻窪地域の方々が今もあんさんぶるの存続を願っているという重みを区長、感じてください。
【不動産「鑑定」ではない】
 委員会質疑では、いくつかの点に絞って質問しました。まず、財産評価にかかわる問題です。今回は不動産鑑定ではなく、評価基準に則らない「価格等調査」の手法が使われました。報告書には「鑑定評価を行った際には異なった結果が出る可能性がある」との注意書きがあります。
【あんさんぶるは4分の1に割り引き】
 評価それ自体にも多くの疑問があります。
 市場性修正率8割の根拠は、あんさんぶるが容積率を使い切っていないこと、事務所には適さないスペースがあることなどを理由に44%と大幅に割り引かれたことでした。それに加えてあんさんぶるの建物は減価償却を見込んでさらに53%に減額されました。築浅にもかかわらず、あんさんぶるの評価がなんと23%、4分の1以下に減額されていることは、全く不当な評価というほかありません。
【工事費上昇を反映せず】
 次に、建物評価の根拠となる再調達価格について、建設工事費の上昇が考慮されず、一昨年と全く同じ単価をもって積算されていることも、価格を押し下げる要因となっていることを指摘しました。
 また、土地価額の算出にあたり、参考としたマンション価額が税務署とあんさんぶるのどちらも南荻窪や高井戸など同じ地域であり、税務署の価額が高く算出されている可能性があることも指摘しておきます。
 以上、あんさんぶる荻窪の土地建物と税務署土地との差額4000万円では不当な安売りです。
【単純な価格変更ではないのに】
 また、他の委員の質疑において、一昨年の財産交換の議決は、それ単独で交換を成立させるものではなかったとの指摘があり、再度これを質したところ否定する答弁は得られず、今回の議案が単なる価額の変更であるとの区の説明は誤りであると考えます。このような2段階議決のやりかたも、議会と区民を無用に混乱させるものです。
【児童館廃止の説明会、成田西では二度も開催】
 荻窪北児童館の廃止に際しては、一昨年の議決の際には「今後説明会等は行っていく」と答弁したのに、説明会を、結局一度も開いていません。地元町会も再三にわたって説明会を要求してきましたが、区は言を左右にして逃げ回りました。
 施設再編計画の中でやったとか、学校改築の説明会をしたとか言っていますが、成田西児童館では、廃止・再編を前に、当該小学校の全校生徒に案内が配られた上で、ちゃんと児童館で説明会が行われたことを知りました。成田西では2013年、施設再編整備計画策定以前にも説明会が行われており、二度にわたり説明会が行われたことになります。
【反対の声を封じるため児童館を閉鎖】 
 同じ児童館の廃止・再編でありながら、成田西と荻窪北の違いは何なのか。要は会を開けば反対の声が上がるから、開けないという、区長の姑息かつ卑怯な判断ということです。
 荻窪北児童館が条例上では31日まで存続しているのに17日で閉鎖してしまうという運用の不当も、同様に、利用者の声を封じてしまいたいということなのでしょう。
【落成式に町会長招かず】
 荻窪地域の施設であるにもかかわらず、ウェルファーム杉並の落成式には荻窪南口の町会長さんたちが招待されなかったことを確認しました。これも区が批判的な声をいかに嫌っているかの証左です。
 耳の痛い批判の声は一切シャットアウトして、仲間内だけで都合のいい政策を進めていくやりかたは、冒頭指摘した田中区政の問題点と重なります。
 以上の理由、またこれまで指摘してきた多くの問題点をふまえ、あんさんぶる荻窪の財産交換については不当、かつ区にとって不利益なものと判断し、断固として反対いたします。
【広報にあんさんぶる廃止の説明なし】
 なお、あんさんぶるの児童館を除く諸機関の引っ越し先であるウェルファーム杉並の落成にあたり、区は広報すぎなみ臨時号まで発行して宣伝しました。その紙面には「あんさんぶる荻窪」から移転する説明は一言もありません。全く新しい福祉の拠点ができるかのような宣伝は誇大広告です。
「これまで縦割りだった相談を1か所でできる」というPRがなされていますが、あんさんぶるも1か所で、生活、就労、福祉、子ども、さまざまな相談が可能です。区の窓口ではこれまでも、複数の問題を抱える人について異なる部署間の必要な連携は十分行われてきました。「横串」は今でも機能しています。この施設ではじめて実現するかのような表現は、財産交換をどうしても正当化したいための言い訳としか受け取れません。
【「ゆうキッズ」は廃止?】
 荻窪北児童館の廃止に関連して「ゆうキッズ」はどうなるのか、他の委員からも質疑があったので、あらためて正確なところを所管に確認しました。
 桃二小完成後も保健所4階の乳幼児の居場所は残るが、管理は同所にある子どもセンターが行う予定、また「ゆうキッズ」に相当するプログラムは天沼プラザからのアウトリーチを検討しているが、プラザ職員は常駐せず、荻窪北児童館ほどの回数は見込めない予定。さらに「ゆうキッズ」の名称を引き継ぐかどうかは検討中とのことでした。いずれにせよ荻窪児童館での事業には全く及びません。そもそも保健所という場所が子どもの居場所にはふさわしくないことはこれまでにも指摘してきました。
 議員の皆様にはこれをふまえで、正確な情報提供を行ってくださるようお願いいたします。
【新たな子どもの居場所を南口に】
 あらためて、あんさんぶるの児童館の代替として、子どもたちの居場所になる公共施設を南口駅前に確保することを求めます。
 これは区長自身が区議会の答弁で「あんさんぶるに似たような、類似の資産というものは、今後将来区は取得することは可能性としては大いにあろうかと思う」と答えたものなので責任もって実行するよう求めます。
介護保険国保、保育料の増大】
 あんさんぶる以外の問題について述べます。
 第一に区民負担についてです。議案第16号の介護保険料引き上げ、議案第37号の国保料引き上げなど、区民負担が大幅に増大します。また、昨年第4回定例会では保育料の引き上げも議決されており、これも大きな負担増です。
 さらに、区民センターの利用率について調べていただいたところ、大幅に利用率が下がっていることがわかりました。2015年から3段階の値上げにより、ついに昨年団体割引がなくなりました。1回借りるにも2000円、3000円とお金がかかり、区民活動の大きな阻害要因となっていることは間違いありません。区民に活用されなければ何のための区民施設なのでしょうか。本末転倒です。
【待機児童一服?とんでもない】
 第二に、保育についてです。委員会では「待機児童問題は一服した」かのような表現がたびたび垣間見られました。冗談ではありません。
 この4月に待機児童ゼロとなるかどうかは、国の待機児童の基準が変わることもあり、予断を許しません。また仮に国基準でゼロとなったとしても、法が求めているのは、必要とする人すべてが認可園に入所できることであり、数百人の隠れ待機児童が発生することはこれまでの実績からもほぼ確実とみられます。待機児童問題解決までは長いみちのりです。
【上井草保育園民営化、区立と全く変わらない、のウソ】
 また、質疑では上井草保育園の民営化について質しました。計画施設中の法人部分の面積を十分に精査するとともに、園との共有部分にまで補助金をフルに活用できるものなのか、区財政に損失を与えないよう厳密な算定が必要です。
 上井草保育園民営化のひきつぎでは、「区立と全くかわらない」としてきた区側及び事業者の説明に反し、すでにアレルギー対応が区立のようにはできないことが判明しました。これまでの説明はなんだったのか。運営法人がきちんと対応するよう区の指導を求めます。
【建設工事は一者入札】
 上井草新園の建設工事の入札が一者入札だったことを指摘しました。民間園の入札の中には他にもいくつもの一者入札があることがわかりました。区の入札でないため目にふれないのですが、競争性が働いていないのではとの不信がぬぐえません。法人選定時の「標準偏差」導入、そして建設工事の一者入札と、この園の民営化には不透明さがつきまといます。
 さらに、最近の民間保育園の施設は、最低基準を本当にぎりぎりでクリアしているもの、プレハブ建築のもの、外観が倉庫のようなものなど、子どもたちが家よりも長い時間すごす施設としては疑問のある劣悪な施設が増えています。保育の質に直結することであり、この点についてはあらためて調査したいと考えています。
 民間保育園の運営については、全国的に、人件費の流用も問題とされています。今後も増えていく民間保育園、また民営化について、貴重な財源が浪費されないよう監視が必要です。
【河北病院敷地が陥没】
 第三に、今後問題となりそうな、阿佐ヶ谷北東地区のまちづくりです。
 たまたま区民の方から、河北病院敷地内で土地の陥没が起きていることを知らされたので質疑の中で示しました。区はこの状態を把握していないとのことでした。今後、杉一小を移転する予定の土地であり、駅前一等地の杉一小用地との交換は安全性、また財産価値の面から本当に大丈夫なのでしょうか。
 また、土地の権利交換に関して区議会の議決時期等についてはいまだ検討中とのことであり、区の財産処分なのに果たして区議会が有効に関与できるのかはなはだ心もとないことです。区に不利益な交換となり第二のあんさんぶる問題とならないよう注意喚起します。
【「平和憲法」削除事件】
 このほかにも多数の問題がありますが、最後に、憲法と女性政策について述べます。
 一般質問でも追及し、かつ、予算特別委員会でも質疑してきたところですが、まず第一に区長の憲法観です。
 男女共同参画のイベントをめぐって起きた「平和憲法」削除を求める検閲事件については、区長からも所管からもついに責任ある答弁が得られなかったことは大変遺憾です。
 区の文書に「平和憲法」の言葉がのることを区職員が怖がるほど、いまの日本には言論の自由がなくなってしまったのでしょうか。憲法違反の検閲であるとの自覚を強くもち、厳しく反省してください。
【9条擁護と相いれない区長の憲法観】
 憲法に関連して、区長が以前、安保法制に対して「国民の生命、財産を守る安全保障の根幹をなす政策との与党の判断でつくられた」と評価する発言をしていることを指摘しました。いわゆる9条擁護の立場とは相いれない発言と指摘しましたが、区長は沈黙したままでした。
【男女平等センター事業の後退】
 男女平等センターの区民認知度は目標とする50%に到達するどころか、むしろ下がっています。
 山田前区長時代に男女平等センターの常勤職員がはずされ、受付のみの委託となって事業は大きく後退したわけですが、田中区長のもとで、前区長よりもさらに女性政策を後退させてきたことを指摘します。なにかと前区長を引き合いに出すことがお好きな田中区長ですが、区民負担増と人員削減、民営化などの行革では前区長すらやらなかったことが行われている上に、憲法や男女平等についても前区長と変わらない考え方で区政運営をされていることは大変残念です。
 以上、区政に対する評価を様々述べてまいりました。杉並わくわく会議として、平成30年度杉並区一般会計予算ほか4予算には反対とし、関連議案のうち、第13号、第14号、第15号議案については賛成、他の議案については反対とします。
 終わりにあたり、職員の皆様には、この間多くの資料を調整いただき、また様々な疑問に丁寧にご教示いただきましたことに心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

杉一小移転先の河北病院に大穴(予算特別委員会の質問から)

 2018年3月の予算特別委員会での残りの質問(7日、9日、12日)をまとめて報告します。なお区議会HPから録画配信を見ることができます。
★「平和憲法」削除問題
 2月16日に一般質問した際の答弁で憲法問題への言及が全くなかったので、もう一度やりましたが、やはり区長、区役所は憲法には一切触れずでした。
 まず、当事者が書かれた「ふぇみん」への投稿を事前に渡して該当部分を読み上げてください、と言ったら「読みません」。はぁ? こんなこと言われたら質問できない。委員長(自民党・大和田議員)に「読むように指示してくれ」と言ったのに「質問を続けろ」とかいうので、3往復くらい押し問答しました。「どこがまずくて修正したのか」といっても決して「平和憲法」を削らせたことには触れない。しまいに「男女共同参画とひとことも書いてなかったので」といいますが「書き直したあとの文章にも男女共同参画は入ってないですよね」とトドメ。
 この質疑を傍聴しておられた当事者へのインタビューが「杉並の問題をみんなで考える会」のブログに掲載されています。
「区側の答弁はとんでもないこと。私はプログラムの印刷前日になっていきなり担当者から電話で、『平和憲法のくだりは政治的。書き直してほしい』と言われたました。こんなやりとりがあったのに、区はその事実をひたすら隠し、まるでなかったように見せかけようとしています」
★田中区長の憲法
 関連して区長の憲法観を聞きました。2016年2月すなわち、安保法制が成立したあとの本会議で区長は以下のように答弁しています。
「この法制度は、平和を保持し、国民の生命、財産を守る安全保障の根幹をなす政策であるという与党の判断でつくられたものと受けとめております。」
 どう見ても安保法制支持としか受け取れないので、賛成でいいんですね?と聞いたけど区長は答弁せず。「反論しないということはそういうことと受け止めます」「憲法9条擁護と安保法制支持は両立しない」と指摘しました。
★あんさんぶる荻窪の財産交換
・今回の議決の位置づけがあいまい。
 区は今回「一昨年、財産交換についてはすでに議決しており、今回のは金額変更だけだ」と説明していますが、先に佐々木議員が「前回は交換金額が全く書かれていなかったのであの議決だけでは交換は成立しない(つまり、はじめから2段階議決が前提されている)のではないか」と指摘したものです。区の答弁があいまいだったので再度質したものです。「成立しませんよね」と指摘しましたが「しかし区としての意思決定を行ったもの」と引き続きあいまいな答弁でした。
・児童館の説明会行わず
 他の議員の質問で「成田西児童館の再編についての説明会に参加しました」というのがあり、びっくりしたので質問しました。成田西児童館は「施設再編計画」が確定される前の2013年に児童館で説明会を行い、さらに今回再編の直前にも2度目の説明会が開かれたのです。説明会に際しては杉二小の全校生徒に案内が配布されたそうです。
 ところが、あんさんぶるの荻窪北児童館については、もう今週廃止になるのに、いまだに一度も開かれていません。この点をただすと区は「施設再編計画で説明した」「学校の保護者会で説明した」「そのさい全校生徒に配布した」などと言い訳に終始しました。
荻窪の町会を招待せず
 2月末にあんさんぶるの移転先である「ウェルファーム杉並」の落成式が開かれ、私も出席しました。しかし、荻窪南口の町会長さんに会ったときに「案内なんか来ないよ」とお聞きしたので驚きました。「どこの町会を呼んだんですか」と聞いたら、「天沼地区、上荻地区、清沓地区(清水地域)」との回答で南口の荻窪町会はやはり呼んでいないのでした。あんさんぶるの廃止に反対の人がいると思って、怖くて呼べないらしいです。
★上井草保育園民営化
・法人事務所?
 新園の見取り図をもらったのですが、事務所が2つもあって大きく、会議室も大きく、しかも園長室に副園長室2つもあるという建物です。こんな保育園見たことない。例の「標準偏差」で選ばれたいわくつきの法人で、法人事務所を持ってくるためにこのような仕様になっています。その分の面積は園庭やプールに使えばいいのに。法人優先、子ども後回し。
 副園長室は、法人の理事が使用するということでした。法人部分は53平米と答弁していましたが、もっとありそう。しかも共用部分は算入してないと思います。
・民間へのひきつぎ
 「区立と全く変わらない保育の質」を区役所も事業者も述べていたが、さっそく違いが出てきています。アレルギー対応は区立でやっている「一部除去」ができなくなり「全部除去」のみとなるとの連絡が該当する子の保護者だけに届いたそうです。やはり民営化は保育の質を引き下げることになります。
★河北病院の穴と区画整理事業
・河北病院の穴
 河北病院の北側、旧桃園川にあたる道路に面した部分が大きく陥没しています。

↑花壇部分が陥没し穴は奥へと広がっています。

↑配管(多分排水管)が露出しています。

↑隣接部分では地盤沈下のためフェンスがゆがんで柱から外れたりしています。
 知っていますか?と聞いたら区は把握していませんでした。この地盤の悪い土地と駅前一等地の杉一小を交換し、学校の移転先とするのは危険、かつ損では。
区画整理事業
 手続きを聞きました。来年度の後半くらいまでに法的手続きを終わらせ、「仮換地」=「将来的にこの土地を所有することになる」という権利をきめて工事をするそうです。工事(この場合は、河北、杉一の移転及び道路の拡幅)が完了してはじめて正式の権利交換(移転登記)を行うとのこと。では、区議会はいつ議決するのか? あんさんぶるみたいに「今回のは仮だよね」と思っていたら「あのとき決めたでしょ」と言われるようなバカなことを繰り返すわけにはいきません。
★科学教育と図書館
 最後は少し楽しい話をしたいと思って。
・今年もすぎなみサイエンスフェスタが開かれました。今年は、楽しかった、だけで終わらせずなにかを持ち帰ってほしいと「ブックリスト」をつくりました。来年はぜひ公立図書館が本の展示をやってほしいと要望。今年も一部展示はやっていたそうですが。
荒川区中央図書館「ゆいの森」では科学体験キットの貸し出しをしています。杉並の図書館でも導入しては。と提案しました。

あんさんぶる荻窪の財産交換価格について(予算特別委員会における質問)

 2018年3月5日予算特別委員会1回目の質問を行いました。今議会で議案となっている「あんさんぶる荻窪の財産交換」についてです。本日傍聴されていた方から「難しかった」のお声もあり、説明もかねてご報告します。
 あんさんぶるの財産交換は2016年3月に区議会で議決されましたが、実際に交換されるのは今年5月の予定です。2年もたつと地価が変わってしまうので、新たに議決しなおさなくてはなりません。そのため今回再度の議案が提出されました。
 この手順の疑問や取引が国主導で区にとって不利ではないか、という件については「自民無所属クラブ」の佐々木議員が私の直前で質問してくれ、私は財産価格の鑑定について質問しました。
 概要はこんな感じです。
【財産鑑定ではない】
・財産鑑定というが、今回のは財産鑑定ではない。「価格等調査」という。
・どうして財産鑑定をしないかというと、12月時点で2月の価格を求めたもので「将来時点」のものだから、鑑定の条件を満たさない。
・「価格等調査」なので「鑑定を行った場合には違う価格になるかもしれません」という但し書きがついている。こういう条件で価格を決めてしまっていいのか疑問。
【あんさんぶる荻窪の建物価値がなんと4分の1以下に】
・あんさんぶるの土地建物は「市場性修正率」というものを使って2割引きにされている。
・なぜ2割引きかというと、建物が容積率をめいっぱい使っていないこと、体育館など事務所に適さない施設が入っていることから、なんと44%にディスカウントされた。(元々の建築費から減価償却分を引いてまず53%に減額、その上さらに44%に割り引いたので、築浅のあんさんぶるがなんと、原価の23%!4分の1以下に割り引かれている。)
・さらに、その値段から、理由も示さず、ざっくり1億5千万円が引かれている。(割引率の端数を切り捨てたため)
【建築費用の上昇を無視】
・もうひとつは、建物の計算の前提になる建築費用。2年前の鑑定と今回と、同じ数字を使っているが、実は2年間に建設費用は2%ほど上昇している。ここでもあんさんぶるがディスカウントされている。
・これら全体として、あんさんぶるの価格算定が適切とは思われない。
【地元町会からの要望書】
・最後に、荻窪の2つの町会から出された要望書を紹介。「財産交換に際し、区が十分に説明責任を果たさないため、地元では意見の対立、地域の分断、人間関係の悪化にまで及び取り返しのつかない犠牲を払った」「区がこの不手際を深く反省し、二度とこのようなことを繰り返さないように求める」と厳しい表現で区を批判している。

「平和憲法」削除問題に区長は沈黙(一般質問に対する答弁)

一般質問に対する答弁です(番号は質問の番号と対応しています。一部質問とは順序が違っています)。
 再質問に対して区長が答弁しましたが、(1)女性政策について:憲法問題(検閲)については全く語らず。「女性の社会進出については意を用いてきた」というがその内容は「保育園」で、質問の趣旨からするとかなり的外れ。質問したわけでもない「女性管理職が少ない」問題に言及するものの「試験制度に壁がある」と人のせい。(2)あんさんぶる荻窪の代替について:「駅前の利便性のいいところのビルを買え、人の建てたビルは使いたい、というくせに開発に反対するのか」というやはりはずした答弁でした。
 以下答弁の要旨です。( )内は松尾ゆりのコメントです。
(1-1)荻窪のまちづくり
Q1-1-1、2:荻窪駅は1日25万人が乗降、区内最大の交通結節点であり、産業、業務機能も最も集積。杉並を代表するにぎわいの中心。(産業に対しては分析ありませんでした。まちづくり方針では他駅と比べた商業集積など分析されているのですが。)
Q1-1-3:荻窪駅周辺総合交通戦略の連絡協議会は、鉄道、バス、タクシー会社、警察、東京都、学識経験者が参加して、昨年8月から3回開催。平成30年度戦略策定にむけ検討中。
Q1-1-4:南北動線は総合交通戦略の課題の1つ。既存通路等の安全性・快適性の向上や大規模商業施設(ルミネやタウンセブン)の更新期を捉えた整備など検討中。
Q1-1-5:民泊条例は、大田区・新宿区が制定の他、16区が条例案を提出予定。18区中16区が平日の民泊実施を制限。そのうち13区が住居専用地域での制限。杉並区との比較は、住環境が異なり一概に比較はできない。
(1-2)あんさんぶる荻窪
Q1-2-1:あんさんぶるの建物を売る場合、市場での価値は8割引きで妥当と考える。
Q1-2-2:児童館、会議室は杉並保健所や桃二小、ウェルファームに機能を移転するので駅前に代替施設整備の考えはない。
Q1-2-3:上記移転先は4月から確保するのであんさんぶるの継続使用の考えはない。廃止に際してのイベントもやらない。
(2)女性政策
Q2-1:ギャラは第一部(2者)13万円、第二部(1者)12万円、その他全体経費42万8千円の合計67万8千円。(第一部は元オリンピック選手と素人の2名。第二部は1者と言ったがピアニスト4人で12万円。ピアニストはえらく軽く見られたものです。なお、第一部司会の歌手のギャラは「全体費用」に入っている。)
Q2-2:事業の意図をわかりやすく伝えるため記載内容は受託者と協議して決定した。(「憲法違反ですよ」と言っているのに、その点は完全無視。受託者=コンサート監修者は「時間がない」と言われて仕方なく「平和憲法」を削ることに同意したが、その後この要請について区に対して抗議をしている。)
Q2-3:事前ちらしにプロフィールを掲載し、当日配布することで受託者と合意している。(ちらしはこのプログラムにははさまれておらず、別ファイルに他の多数のちらしにまぎれて入っていた。)
Q2-4:女性団体支援については、すでに継続的に行っているので計画には書かなかった。(計画の大半は「すでに行っていること」ですが、じゃあ計画はいらないね。)
 女性団体に対する発言は事実を確認していないので言うことはない。
Q2-5:男女平等推進センターに区職員の常駐配置は予定していない。(なんで平気で否定できるのか)
(3)高円寺小中一貫校
Q3-1:当事者ではないから所見を述べる立場にない。
Q3-2:仮処分で裁判所が妨害と判断したもの。
Q3-3:協議の記録はないが、事業者に確認した。

杉並区が「平和憲法」削除を要求(一般質問しました)

 2018年2月16日、区議会定例会で一般質問しました。質問を準備するなかでいろいろ調べましたが、田中区長は、まちづくりでも女性政策でも前山田区政の悪い面をしっかり継承しているなあとつくづく思いました。区政を転換できるのは住民の力です。がんばろう。
 質疑の概略は以下です。答弁の要旨はこちら
【1.荻窪のまちづくり】
(1)荻窪駅周辺まちづくり方針
 杉並区のまちづくり計画ではなぜか荻窪だけが特別力を入れるまちになっています。山田区長のときに荻窪の地主さんと区長が結びついてからのことです。田中区長に代わってさらに「立体交差にする」「荻窪再開発」と大きく花火が上がりました。でも、現実には荻窪の問題(地上駅なので南北通行が不便、地下通路が危険)はいっこうに解決されません。実務をきちんと進めてくれる区長に代わってほしいです。
(2)あんさんぶる荻窪
 今議会に「財産交換」の議案が上程されました。可決されればあんさんぶるは税務署になってしまいます。なぜこんなバカげた政策が通ってしまうのか。
 区長が過去に議会で「あんさんぶるのような不動産はこれからもいくらでも売りに出るし、区が買う可能性も大」との答弁をしているので「必ず代替施設を買って」と言ったら、「開発には反対するくせに駅前のビルを買ってもらいたいというのは矛盾している」と逆ギレされました。いや、あなたが買うって言ったんだよ。
【2.女性政策】
 イベントのプログラム原稿に「平和憲法」と書いたら区担当者から「削除してくれ」と言われたという「検閲」事件が起きました。区長の憲法観、人権観を糺しましたが答弁回避。これからもこんなことが続くのか杉並区。「女性政策でも山田さんと同じなのか」と再質問で答弁を迫ったところ「女性の社会進出については積極的にやっている。保育園をたくさんつくってきた」との答弁。保育園はいいけど、それは児童福祉で女性政策ではないと思う…。
【3.高円寺小中一貫校】
 一貫校の開校が1年延期になったのは「工事妨害のせい」と発表した杉並区、いつのまにかHPの告知は消していますが、訂正・謝罪はないまま。一方、「暴行を受けた」と建設会社の社員が被害届を出した件は不起訴処分が下り、事件は完全に否定されました。この件について認識を求めましたが「当事者ではありませんから」と逃げる区担当者。公共事業の請負業者が虚偽の訴えをしたのですが受注者として当然責任があると思いますが。
(以下原稿です。実際の発言とは異なるところがあります。)
<前区政と変わらない田中区政>
 一般質問をいたします。平昌オリンピック真っ最中ですが、開催国の韓国と朝鮮民主主義人民共和国北朝鮮)が対話へ向かって歩み出しています。民族の悲願である統一問題だけでなく、東アジアの緊張緩和に向かう可能性に大いに期待をしたいと思います。我が国も対米従属から脱しアジアの平和に役割を果たせる政治を実現しなくてはならないと痛感します。
 また、わが杉並区においても区政の閉塞感を打ち破る年になればと念じるところです。
 今回の質問にあたり、何点か過去の区政との比較をしましたが、現在の田中区政が前山田区政と大きく変わらないことをあらためて認識しました。行革、民営化を強力に進め人心を荒廃させた前区長に対して、転換を図ってくれるのではないかとの期待を寄せて、私自身も当初田中区長を応援した一人でありましたが、期待に反して、この8年、人員の削減、保育園などの民営化、委託化がいっそう強力に進められ、さらに杉並の貴重な財産、科学館や児童館の廃止が強行されています。その一方で、無駄に大きな建築工事が数多く行われ、建設事業者や地主さんなど少数の人が利益を得る区政となってしまっています。区政の転換を願って以下質問をいたします。
1.荻窪のまちづくりについて
(1)荻窪駅周辺まちづくり方針について
 まず、田中区政の目玉政策であったはずなのに、今はなんとなく置き去りになっている荻窪のまちづくりについてうかがいます。「荻窪まちづくり会議」も最近は開催されず開店休業です。方針が決まったこれからが、地域とともに進める時期だと思うのですが、残念な状態です。
荻窪だけが特別な「杉並の芯」>
 田中区長就任後に策定された基本構想には「戦略的重点的とりくみ」として「荻窪駅周辺まちづくりと多心型まちづくり」があげられていますし、昨年策定された「荻窪駅周辺まちづくり方針」では、荻窪を「都市活性化拠点」「杉並の芯」と位置づけており、荻窪のまちづくりがここまで区政の中心課題として大きくとりあげられたことはかつてありませんでした。そこでまず「都市活性化拠点」「杉並の芯」とは何か、うかがいます。(Q1-1-1)また、関連して、交通の面、および産業の面からみて、荻窪にはどういう特徴があるかご説明ください。(Q1-1-2)
<山田前区長の政策を継承、発展>
 なぜ荻窪が特別な存在として位置づけられたのか。
 「杉並区まちづくり基本方針」でJR4駅のうち荻窪だけが「都市活性化拠点」と規定されたのは、山田前区長のときでした。
 荻窪のようなすでに開発された地域において、さらなる高度利用を喜ぶ人は限られています。むしろ既存の住宅地の環境を守り、発展させることが住民の願いです。しかし、荻窪のまちを再開発することで儲かる一部の地主さんらと前区長が結びついたことによって、荻窪の位置づけはそれ以前とは大きく変わってしまい、荻窪南口では、容積率の緩和問題や補助131号線の相互通行化問題などが、地域の人たちを悩ませました。そして田中区長に代わっても、前区長の政策を転換するどころか、さらに荻窪再開発がクローズアップされたのです。
<立体交差を約束したが手つかずに>
 田中区長は初当選時、荻窪の、特に北口の商店街の方々に対し、南北通行問題の解決として立体交差を約束し、地域に大きな期待を持たせました。しかしその後、高架化は現時点では実現不可能であることが明らかとなりました。また、駅北東地区の区画整理も手つかずのままとなり、期待は裏切られました。
荻窪駅交通戦略で南北通行解決できるか> 
 南北通行に関連して、「方針」の中では荻窪駅周辺交通戦略の策定がうたわれています。戦略に関する連絡協議会の開催経過、参加している事業者はどこか、また、戦略策定時期の見通しをお示しください。(Q1−1−3)また南北通行問題の解決策については、どのようなことが可能なのでしょうか。所見を伺います。(Q1−1−4)
 これまでできもしない公約で地域が振り回されてきましたが、新しい区長には鉄道事業者や関係者と話しあって、地味でも実現可能な問題解決、特に南北通行問題の解決を着実に行う人が、いま求められていると思います。
<住宅地域での民泊規制を>
 次に、荻窪のまちづくりに関連して民泊についてうかがいます。いま、荻窪のまちにも、急速に違法民泊が増えています。法施行を前に、すでに民泊をあてこんだマンションが建設されており、地域の不安は高まっています。荻窪のまちづくりには民泊規制が欠かせません。今定例会でも杉並独自の規制条例が審議されますので、詳しくはそちらに譲りますが、23区の中でも杉並区の規制は緩いのではないかと思います。区長は記者会見で法定外目的税の導入も考えるなどと述べましたが、その前にまずは条例で厳しく規制するべきと考えます。
 先日私は、旅館・ホテル事業者団体の全国本部で民泊についてのご意見を伺ってきました。同団体は、9月に区長・議長に対しても要望を提出していますので、区長もご覧になっていることと思います。この要望書の中で、この団体は「住居専用地域等では住宅宿泊事業者を除外されたい」と述べています。この点について伺ったところ「決して自分たちの利益のために言っているのではなく、地域の住環境が脅かされることを心配しているのです」とおっしゃっていました。
 すでに条例を施行している大田区では住専地域での民泊を全面的に禁止、また、お隣の練馬、世田谷、中野では住専地域での平日の民泊を禁止していますが、杉並区と違って家主居住型、不在型を問わず禁止している点は評価できます。そこで伺います。民泊について、大田区の条例、また今後予定している他区の規制の状況を具体的にお示しください。また、他区と比較して杉並区の規制の評価はいかがか所見を求めます。(Q1−1−5)
(2)あんさんぶる荻窪について
 次にあんさんぶる荻窪についてうかがいます。荻窪駅周辺まちづくり方針には「地域交流の促進」が掲げられています。地域住民が交流のために知恵を集めてつくったあんさんぶるこそ、本来、この目標に大きく資する地域の拠点でのはずでした。しかし、2010年、区長の一片の手紙から始まった財産交換によりその拠点は、今まさに風前の灯となっています。荻窪地域特に南口の人々は財産交換に決して納得していません。静かに見えても、地域には大きな傷が残っています。
<あんさんぶるの裁判、区職員が出廷へ>
 地元の町会長さんが区長を訴えた損害賠償請求訴訟は、いよいよ大詰めを迎え、3月19日午後2時から区職員2名が出廷して東京地裁で証人尋問が行われます。これまでの裁判のなかで明らかになってきた多くの事実から、常識では考えられない建物付き土地同士の財産交換という悪手を、区長のメンツにかけて、なりふりかまわず推進していく区政のすがたが浮かび上がってきました。
<70億円の無駄遣い。果実はどこへ>
 また、財産交換が財政上も全く無駄づかいであることは、これまで何度も指摘してきました。
税務署用地は今回47億円と査定されました。あんさんぶるとほぼ等価とされていますので、それだけなら等価交換です。しかし区は交換のために天沼3丁目にあんさんぶるのかわりの施設を建て、また、緊急性の低い桃二小の建て替えも行い、計70億を費やします。現金なら47億円で買える土地を財産交換にしたために約120億で買うことと同等です。2つの建設工事はどちらも同じ荻窪の建設会社が請け負っています。本来なら建てなくていい2つの大きな建物は誰を潤したのか歴然としています。この交換の本当の目的は何だったのかと考えさせられます。
<不動産価額調査に疑問>
 不動産価額については、予算審議に譲りますが、ここでは1つだけ大変気になることを指摘しておきます。不動産価額の調査報告書を読んだところ、あんさんぶる荻窪の土地・建物の価額はざっくり2割引きになっています。他方、荻窪税務署のほうは更地にマンションを建てたら、という仮定で割引なしに算定されています。前回の鑑定と同じです。しかし、今回税務署の土地は区が賃借して大きな真新しいビルを建てており、現況は2年前と変化しています。更地にマンションという開発の設定は非現実的なものです。これで公平な算定とはいいがたいと思いますが、あんさんぶるの市場修正率8割は妥当なものと考えるのでしょうか。所見を伺います。(Q1−2−1)
<なぜ児童館をはやばやと閉鎖?>
 次に、あんさんぶるの諸施設の移転・廃止についてうかがいます。昨年第三回定例会ではやばやと、児童館の廃止等が可決されてしまいましたが、福祉事務所、消費者センターは3月24日までで移転、児童館は17日までで閉鎖とのこと、また、会議室の貸し出し等は2月いっぱいで終了と告知されました。
 区の計画では財務省との財産交換は5月とされています。ですから仮に3月末まで施設を利用していたとしても1か月の余裕があります。なぜ年度末まで使わせないのか大変疑問です。また、それぞれの施設が使用不可となる時期がバラバラなのも不自然です。
<科学館の無残な最期> 
 それで思い出すのが科学館とけやきプールです。科学館は閉館となる1年前に事業を終了し、手入れもされない無人の施設となりました。日本一の科学館と称えられていた館の無残な最期です。けやきプールは、結果としてではありますが、取り壊し、使用不能となる2シーズンも前に廃止されて、そのまま今も放置されています。どうも区長は区の事業、施設に対し全く敬意を払わず、区民の愛着の心もふみにじり、しかも廃止してから長いことさらしものにするのがお好きなようです。
 あんさんぶるも同様で、各施設の終了がばらばらなのも、利用者が集まって「やっぱりなくしてほしくないよね」などと言ってあんさんぶるを惜しむことを恐れているとしか思えません。
<春休みなのに遊べない>
 特に荻北児童館は3月17日で終わり、春休みの子どもたちは児童館で遊べません。3月31日まで条例上は存在しているのに、閉鎖してしまうとは、なんと意地悪なことだろうと思わずにいられません。
 このことを知った保護者の方が区役所に電話して、春休みの遊び場をなんとかしてほしいと頼んだところ、「たった1週間、家庭でなんとかしてください。旅行にいけばいいでしょう」「公園やよその児童館に行けばいいじゃないですか」などと言われたそうです。なんと心無い言葉でしょう。
<4月まで使えるのに。最後のイベントもない>
 仮にあんさんぶるの交換が可決されるとしても、児童館、会議室は4月末まで区の所有であり、できるかぎり区民の利用に供するべきと考えるがいかがか。また、あんさんぶるにさよなら、ありがとうを言うためのイベントを行うことが必要と考えますがいかがか。所見を求めます。(Q1−2−2)
荻窪南口に児童館、会議室がなくなる>
 この項の最後になりますが、先ほど申し上げたように、荻窪南口の賑わいの拠点となってきたのがあんさんぶるであり、廃止するのであれば、地域の人が使う児童館と会議室の代替施設となるものが必要です。桃二小に遊び場ができるといいますが、駅から離れていますし、児童館の特徴だった大きな体育室や図工室、図書室などの諸施設はなくなってしまいます。また、会議室は学校の会議室であって、一般の方が予約して借りられるものではありません。
<代替施設確保を求める>
 幸い、区長は議会の答弁で「あんさんぶるに似たような、類似の資産というものは、今後将来区は取得することは可能性としては大いにあろうかと思う」と発言してくれています。こうおっしゃった以上、今後駅前の土地建物が売りに出ないか、虎視眈々とチャンスを狙って、まちがいなく整備していただくようお願いします。見解を求めます。(Q1−2−3)
2.女性政策について
 質問項目の2番目として、杉並区の女性政策についてうかがいます。
<男女共同宣言20周年イベント>
 杉並区男女共同参画都市宣言と男女平等センター開設から20周年を迎えました。11月23日には宣言20周年と銘打ったイベントがおこなわれました。しかし、なぜか男女平等センター開設20周年を祝う取り組みはありませんでした。区の施設なのに節目の年を祝わないのはなんとも不思議です。しかも、複合施設の1階にある「ゆう杉並」はしっかりと20周年行事をやっているのにです。
 また、イベントは当初、女性作曲家の知られざる名曲を紹介するレクチャーコンサート単独で企画されていたのが、なぜか第一部に元オリンピック選手らのトークが行われたあとコンサート、という二部形式に変更されました。
 このような不透明ないきさつがありながらも、第二部の監修をなさった音楽研究者の方は、ご自分がお住いの杉並区で開催できるということで力を入れて取り組んでくださいました。当日のアンケートでも参加者からは「女性作曲家を知ることができてとてもよかった」「演奏がすばらしく感動した」などの声が多数寄せられコンサートは成功裏に終わりました。
<「平和憲法」削除を区が要請>
 しかし、残念ながら、イベントの開催に際して重大な問題が発生してしまいました。この問題は絶対に見過ごしてはならないと考え質問いたします。
 イベントのプログラム用にこの監修者が書かれた企画意図のコメント原稿に対し、「平和憲法」の言葉を削るようにと担当者から連絡があったというのです。ご本人は唖然としながらも、入稿が迫っていると聞き、やむなく「平和憲法」を削って文章を直したそうです。しかし、イベント終了後、これは重大なことだと思い、知人や女性団体及びメディアに事実を明らかにされました。
憲法違反の検閲>
 区の名前で出す文章ならともかく、監修者の署名入りのコメントに対する削除要求であり、これは、憲法第21条2項において禁止されている検閲にあたります。言論の自由に対する重大な侵害です。削除を求めた理由はなにか。また、検閲行為についての認識を求めます。これは重大な問題であるので、必ず区長に答弁いただきたいと思います。(Q2−2)
 今回の件とは全く別件ですが、憲法にかかわるイベントで、この間私の知る限りでも2度の同じような検閲事件が起きています。杉並区はいったい言論の自由に対してどのような認識でいるのでしょうか。
<プログラムに演奏者の紹介なし>
 もうひとつは、プログラムに4人のピアニストとこの監修者の方のプロフィールが掲載されなかったことです。特に演奏者に対して大変失礼なことだったと監修者は責任を感じておられます。このことは大きな不手際であると考えますが、いかがか。当事者には謝罪をしたのでしょうか。お答えください。(Q2−3)
<イベントの予算について>
 次に、このイベントの予算について説明を求めます。当初、監修者の方は予算が10万円しかないと聞き、身銭を切ってピアニストを集めて企画を進めておられました。ところが後日確認したところ、イベントの総額は40万円余りであったと聞き、それならば、ピアニストの方々にもっと支払いができたのにと悔やんでおられます。そこで、このイベントの経費についてうかがいます。総額、また第一部、第二部別の経費、および出演者のギャラはいくらか、具体的にお示しください。(Q2−1)
<女性団体育成、支援が削除された>
 こうしたトラブルが起きることの背景には、杉並区があまりにも女性政策を軽視していること、そのため職員体制が不十分なことがあると考えます。
 先日「男女共同参画行動計画」の改定に際してのパブリックコメントが行われました。改定案を読んで「女性団体の育成、支援」の項目が削られていることに気づきました。
 女性の地位の国際比較で日本は114位と世界的にも非常に遅れています。これを解決するためには、女性たち自らが活動することそれ自体が欠かせません。当然、行政は、女性団体の育成、支援に積極的に取り組まなくてはなりません。
<女性団体は「偏った人たち」?>
 ところが以前、男女共同参画を担当していたことのある管理職の方と話していたときに驚くべき発言があったことを思い出しました。その方は女性団体のことを「かたよった人たちの集まり」と表現し、男女平等センターについても消極的でした。現在の担当者は、まさかこのような認識から女性団体の育成、支援を行動計画からはずしたということではないと思いますが、はずした理由は何か。明確に示してください。
 また、女性団体に対し、区長と担当者は「偏った人たち」などとまさか考えておられないと思いますが、いかがか。認識を聞かせてください。(Q2−4)
<前区長と同じ男女平等センターの扱い> 
 この項の最後に男女平等センターについてうかがいます。20周年を祝ってもらえないかわいそうなセンターは、いつも閑散としています。1階の「ゆう杉並」と違って、区職員もおらず、委託の受付さんがいるだけです。この人たちは案内はしてくれますが、事業を企画、運営するわけではありません。
 これが前区長の時代であればまだなるほどと思えます。前区長の思想からすれば男女平等の言葉すら聞きたくないことでしょう。実際、センターから区職員を引き上げたのも前区長の時代でした。しかし、区長が代わって以降も今日までずっとそのままというのはどういうことなのでしょうか。私はずっと不思議に思ってきました。田中区長も前区長と同じ思想なのでしょうか。違うというなら、男女平等センターの活性化を進め、そのために専任の区職員を常駐させるべきと考えますが、いかがか、うかがいます。(Q2−5)
3.高円寺小中一貫校について
 最後の項目として、高円寺小中一貫校の問題について質問します。
<住民に対し「工事妨害」>
 昨年11月高円寺小中一貫校の開校延期の告知が区ホームページに掲載され、その理由を住民の「工事妨害」とされました。また、保護者会でも同様の説明があったとのことです。これに対し、近隣住民の皆さんからは抗議文が出され、また議会でも問題となりました。その後、ホームページからはこの告知をとりさげたようですが、保護者に対しては紙で配ってしまっており、取り返しがつきません。
<暴行事件は不起訴。完全に否定された>
 この問題に関連して何点か指摘しておかなくてはなりません。ひとつは、住民の「妨害行為」とされたものの一つが司直によって明確に否定されたことです。
 工事請負業者の社員が、住民に「押し倒された」として、警察に被害届を出し、捜査が続いていた問題で、東京地検から弁護士に対し「不起訴処分とした」という通知が届き、この暴行事件は完全に否定されました。
 区は「妨害行為のために4か月も工事が遅れた」などと言ってみたものの、住民の行動で工事が行えなかったのはわずか4日であることを昨年の議会で認めています。その4日のうちの行為の1つが完全に否定されたことをどう受け止めるのでしょうか。身に覚えのない罪で、何度も警察や検察に呼ばれたご本人、ご家族は犯罪者扱いされてほんとうにつらい思いをしてきました。許しがたいでっちあげ事件、人権侵害です。不起訴処分という結果が出た今、区としての所見を伺います。(Q3−1)
<「妨害」というが現場を見ていない>
 さて、この「工事妨害」という中傷に対して、住民が区に問い合わせをした結果をお聞きしました。「工事妨害」というが、区職員はその事実を現場で確認したのかとの問いに対して「現場には行っていない」つまり確認していないということがわかりました。
 当時私も何度か現場に足を運びましたが、近隣住民の皆さんが毎回区役所に電話をして「私たちは工事業者ではなく区の担当者と話したい」「現場にきてください」と頼んでいました。住民の方が区役所まで出向いて頼んだこともありました。それでも区役所の担当者はがんとして現場に出向きませんでした。では、どうやって「工事妨害」と判断したのでしょうか。説明してください。(Q3−2)
<協議の記録もない>
 区の告知によると担当者は工事業者と協議して「工事妨害があったので工期を延伸する」ことを決めたことになっていますが、その協議の記録を住民の方が情報公開請求したところ、記録はないということでした。それは事実か、確認します。(Q3−3)区民に対し「工事妨害」などという汚名を着せておきながら、その決定過程を証明できないのは、あまりにも無責任ではないでしょうか。
 昨年11月の区議会では「ボタンのかけちがいがあった」という率直な答弁がありました。また、現在住民との話し合いの再開に向け前向きに準備が進められています。しかし、だからこそ、区側は住民に対する非礼については謙虚に反省をしてほしいと求め、質問を終わります。

わくわくレポート新年号<保育編>

保育料値上げ、民営化、待機児童問題 〜杉並の保育が大きく転換される〜
★1【待機児童問題】
 杉並区は平成29年4月1日時点の待機児童を29人と発表し「杉並の保育、危機を回避!」と大々的に宣伝しました。しかし、杉並区の「待機児童数」は区保育室や認証保育などの認可外施設に入所した人を除外しているため、待機児童の実態とは大きくかけ離れています。朝日新聞の調査では杉並区の待機児童は1,853人で全国5位でした(表)。「危機回避」どころではありません。
(表:隠れ待機児童数 朝日新聞調べ)
    隠れ待機児童 待機児童)
1位 横浜市 3257人  2人
2位 川崎市 2891人  0人
3位 港区  2510人  171人
4位 大阪市 2264人  325人
5位 杉並区 1853人  29人
★2【保育料値上げ】
 年末の区議会で可決された保育料値上げでは、生活保護世帯を除く全世帯がもれなく値上げの対象となります。具体的には、
・住民税非課税世帯:これまで負担ゼロだったが今後は有料に(23区内での前例は6区のみ)。
・年齢区分:これまで「3歳未満」「3歳」「4歳以上」の3区分だったのが「0歳」「1・2歳」「3歳以上」の区分に変わり、特に0歳、4・5歳での引き上げ率が大きい。
・引き上げ率:0歳児については2割程度、1〜3歳児については1割程度、4・5歳児については1〜3割程度の引き上げ。
★3【区立保育園の民営化】
 区立保育園の民営化方針(「今後の区立保育園の役割と民営化の方針について 保育のあり方検討部会報告」)が発表されました。区役所の内部だけで検討したもので、区民には全く公開されていません。報告書を見ても審議の経緯は全くわかりません。杉並区は意思形成過程が本当にブラックボックスです。
 松尾ゆりは、他区の状況を調べ、杉並区と違い慎重に進めていることを指摘しました。それぞれの区が理念を持って進めています(表)が、杉並区は「民営化ありき」で理念がありません。
 具体的には、
・区内を7地域に分け、各地域2園を中核園とする。障害児指定園を14園指定。これらは区立として存続。
・中核園と障害児指定園は重なる場合もあり、最悪区立園は14園(現在の3分の1)になる可能性もある。
平成36年までに6園を民営化する。現在進行中の上井草、杉並のほかに新たに中瀬、井荻保育園が指名された。
・指定管理(公設民営)の7園も民設民営に移行する。これは上記6園とは別枠(つまり平成36年までに最大13園民営化の可能性)。
・これまでは保育園の老朽建て替え時に民営化していたが、今後は園舎の新しい園も民営化する。その場合、土地建物は区有のまま賃貸する。
(表:23区の事例)
北区:区立を4園新設。
文京区:1園のみ民営化、その後は民営化しない方針に転換。
江戸川区:民営化した園は全て、区内の私立幼稚園・保育園が共同で設立した法人が運営。
世田谷区:民営化はせず区立を統廃合、跡地を民間保育園に。
<保育料とはなにか。保育とはなにか。>(保育料値上げに関する松尾ゆりの質疑より)
・保育料は「サービス購入の対価」ではない。児童福祉法では「保育にかかる経費は市町村が負担する。その一部または全部を利用者から徴収することができる」と規定。
・同じく「能力に応じて負担」とも規定され、所得に応じて負担するのが原則。
・保育は就労支援サービスではない。親の所得や就労状況によらず「保育に欠ける」子どもに健全な生活を保障するための「児童福祉」。
・23区は保育料を他地域よりもかなり安く抑えている。それは、生活費がかかる都市部において子育て世帯を応援するため。

わくわくレポート新年号(No.185)

 新年を迎え、皆様にはいかがお過ごしでしょうか。
 昨年は7月に都議会議員選挙、10月には衆議院の解散、総選挙が行われました。都議選では小池百合子知事の「都民ファースト」が圧勝しましたが、総選挙直前につくられた同じ小池さんの「希望の党」は改選議席を割り込む敗北に終わり、3匹目のどじょうはいませんでした。
 森友・加計問題隠しが目的とも言われた今回の急な解散ですが、政府がこれほど露骨な不正を行っていても選挙で負けない理由は有力な対抗勢力がないことにつきます。
 世界情勢は緊迫しています。トランプ米大統領朝鮮民主主義人民共和国北朝鮮)に対して「完全破壊」と脅し、安倍首相も「対話するときではない」と戦争を煽っています。
 選挙の公示直後に米軍ヘリが墜落炎上、その後も保育園・小学校に相次いでヘリ部品が落下しました。こうした事故の原因究明すらできない日本は独立国とは言えません。
 対米自立、自主外交を実現できる政治勢力を幅広く形成していく必要があります。
 杉並区を振り返ると、年末の区議会では保育料の値上げと区長や区議会議員等の給与引き上げが同時に提案されました。区民には負担増を押しつける一方、自分たちの給料は引き上げるなどとんでもないことです。私は両案に反対しましたが賛成多数で可決されてしまいました。
 主権在民、住民自治がこれほどないがしろにされていいわけがありません。
 今年も「変えよう!杉並区政」を合言葉に、皆様とご一緒に区政を追及して参ります。
<無理が通れば道理がひっこむ 〜問答無用の区政になり果てた〜>
平成28年度決算に対する反対意見より)
 平成28年度の杉並区政を振り返ると、子どもたちが多く利用し愛着を持っている公園をつぶして保育園をつくるという暴挙が地域に深い傷と不信感を残しました。
 公園ばかりでなく、区内各地でことごとく住民の意思をないがしろにして計画が進められ、田中区長の独断的な区政運営がきわまった年でありました。
 高円寺小中一貫校建設に80億円の予算が投入されます。施設一体型小中一貫校ではなく、まだ新しい杉四小の校舎も活用して分離型小中一貫校にすれば、高円寺中の建て替えのみ、半額以下ですんだはずです。あえて巨大で使いにくい校舎と狭い校庭の一体型にしたのはなぜか。教育よりも建設利権が優先されています。
 あんさんぶる荻窪の財産交換に至っては、全く必要性のない交換をするために新しい複合施設建設と桃二小の改築前倒しであわせて70億円もの予算が投入されます。30億円かけたあんさんぶるの建設費も無駄になります。保育園や児童館にかけるお金は少しでも削っていこうとする一方で、これら大規模工事の巨額予算がドンブリではどうしようもありません。
 杉一小の改築計画変更にともない不要となった駐車場賃借料は総額1億3千万円と高額で、期間も不自然に長い契約です(下記参照)。
 上井草保育園の民営化では「標準偏差」を用いる特異な選定方法で、2位の事業者が1位になりました。選定の公正さに疑問があります。
 持続可能な行財政とか財政規律といいますが、コツコツ節約しても利権でふっとんでしまいます。これらの理由をのべて決算認定に反対しました。
<決算委員会の質疑から>
★【地域区民センターで残業代不払い】
 ある地域区民センターで運営委託事業者が常勤者に対して残業代を払っていない問題が発生しました。この質問をした時点では未払い分の賃金がすでに支払われて解決されていましたが、事業者との契約では、不正行為があれば契約解除の条件ともなり得ます。
 杉並区では委託・指定管理事業者に対して社労士による「労働環境モニタリング」で労働法令違反がないかチェックを行っています。問題の事業者に対しては昨年実施したものの、今年度法令違反が発生していたことを区は把握できていませんでした。モニタリングの回数、頻度を増やす必要があります。
★【杉一小改築計画、駐車場に不当な支払い】
 河北病院の移転改築経過に伴い(という動きもヘンな話なのですが)杉一小改築計画が抜本的に変更されました。しかし、すでに変更前の案に従って2億円が執行されており、うち1億3千万円が代替運動場の賃貸料でした(月880万円、平成28年4月〜29年6月)。当初計画で仮設校舎の運用は30年4月からの予定でしたが、使用予定の2年も前から借りており、しかも使用実績はゼロ。完全にムダな出費となりました。
 区は駐車場管理会社に転貸し月340〜360万円の賃貸料を得ていましたが、区が借りる前から同地は駐車場であり地主さんは同額程度の賃貸料を得ていたと思われ、区が借りた際には1か月当たり500万円以上も上積みされています。
 そもそも学校建て替え時に代替運動場を借りた例はなく、現在工事中の桃二小も他の学校の校庭などを借りています。杉一小の場合だけわざわざ代替運動場を確保するのは不自然です。
 地主さんはハンコ1つで1億3千万円を受け取り濡れ手アワ。不当な利益供与と見られても仕方がありません。
★【小中学校の特別教室エアコンをつけて】
 小中学校の特別教室のエアコンのうち理科室はすべて設置済みですが、家庭科室、図工室は約半数が残っています。28・29年度で行う計画だったのですが、途中で計画が変更されました。今年度は小学校2校、中学校1校の3校だけです。
 教育委員会からは「教育の機会均等のため29年度で小学校の家庭科室、図工室、中学校の家庭科室につけたかったが、実行計画改定の中で計画外となった。小中学校PTA協議会や保護者から強いご要望をいただいており、来年度にむけては十分検討していきたい」との答弁でした。
 整備するために必要な金額は1億3千万円。前項の駐車場賃貸料と変わらない金額です。優先順位が間違っています。
★【議事録と称するのも恥ずかしい代物】
 上井草保育園民営化の事業者選定についての議事録を情報公開請求したところ1枚ピラで、議題しか書いてないようなものでした(代替運動場に1億3千万円は不当な利益供与)。
 他区、例えば港区ではちゃんと議論の経過がわかる議事録が公式ホームページ上でも公開されています。しかし、杉並区は他の分野でも議事録がまともに残っていないことが多々あります。
 公文書管理法では第4条(※)に行政文書の作成が定められており、国の機関は意思決定の過程がきちんとあとづけられるようにしなくてはならないというルールがあります。杉並区でも公文書管理条例を定める必要があると指摘しました。区の答弁は「すでに条例を施行している自治体もある。歴史的文書の保存、公文書管理館をどうするかなどさまざまな課題があり、必要性も含めて検討している」とのことでした。
※ 第4条 行政機関の職員は、第1条の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう(中略)文書を作成しなければならない。